溶液プロセスにより特異的に発現する 高い比誘電率を有する...

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1 溶液プロセスにより特異的に発現する 溶液プロセスにより特異的に発現する 溶液プロセスにより特異的に発現する 溶液プロセスにより特異的に発現する 高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用 高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用 高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用 高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用 2016/02/01 北陸先端科学技術大学院大学 グリーンデバイス研究センター 特任教授 井 上 聡 教授 下田 達也 新技術説明会発表資料

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溶液プロセスにより特異的に発現する溶液プロセスにより特異的に発現する溶液プロセスにより特異的に発現する溶液プロセスにより特異的に発現する高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用高い比誘電率を有する誘電体膜の電子デバイス応用

2016/02/01北陸先端科学技術大学院大学グリーンデバイス研究センター

特任教授 井 上 聡教授 下田 達也

新技術説明会発表資料

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CVD装置 RIE装置 アッシング装置露光装置

基板

①薄膜形成 ③薄膜エッチング ④レジスト除去②レジスト形成

従来のエレクトロニクス製造工程従来のエレクトロニクス製造工程従来のエレクトロニクス製造工程従来のエレクトロニクス製造工程

(スクリーン印刷の例)(スクリーン印刷の例)(スクリーン印刷の例)(スクリーン印刷の例)

機能性材料を印刷技術で直接パターニングPrinted Electronics

新技術の特徴・従来技術との比較新技術の特徴・従来技術との比較新技術の特徴・従来技術との比較新技術の特徴・従来技術との比較

巨大な工場、巨大な装置、莫大なエネルギー消費、低い材料使用効率多量の産業廃棄物、巨額の設備投資

小型の装置、小さな工場少ない設備投資額、少ないエネルギー消費高い材料使用効率・少ない廃棄物

持続可能な電子デバイス製造持続可能な電子デバイス製造持続可能な電子デバイス製造持続可能な電子デバイス製造

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機能性液体材料機能性液体材料機能性液体材料機能性液体材料酸化物系インク

シリコン系インク

各種の機能性液体材料を開発

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実験方法実験方法実験方法実験方法

TiOx/SiO2/Si

Bi-Nb-O

Pt~170nm

Pt

x 5

2-エチルヘキサン酸ビスマス

2-エチルヘキサン酸ニオブ

550℃での成膜が可能

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TG-DTA分析結果分析結果分析結果分析結果

溶液 ゲル膜 固化 結晶化

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Rel

ativ

e D

iele

ctric

Con

stan

t [εr]

120

100

80

60

40

20

140

160

450 500 550 600 650 700 750

Annealing Temperature [℃]

0

0.07

0.06

0.05

0.03

0.02

0.01

0.08

0.04

0.00

Loss

Tan

gent

[tanδ

]

比誘電率と比誘電率と比誘電率と比誘電率とtanδのアニール温度依存性のアニール温度依存性のアニール温度依存性のアニール温度依存性

550℃付近で高い誘電率が観測された

真空法で成膜した

Bi-Nb-O膜

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XRD分析結果(分析結果(分析結果(分析結果(1))))

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

500 ℃

560 ℃

580 ℃

600 ℃

620 ℃

650 ℃

350 ℃

60

550 ℃

570 ℃

590 ℃

610 ℃

630 ℃

700 ℃

450 ℃

250 ℃

Inte

nsity

[a.u

] Pt

Pt

2θ [Deg.]

Bi-Nb-O

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XRD分析結果(分析結果(分析結果(分析結果(2))))

550℃付近で結晶化、 590℃付近で別の結晶相が出現

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断面断面断面断面TEM観察結果観察結果観察結果観察結果(1)

アニール条件:550℃/O2/40分

550℃焼成のBi-Nb-O膜では、微結晶が観察される

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電子線回折結果電子線回折結果電子線回折結果電子線回折結果

12

3

Zone axis : 0 1 1

Bi3NbO7 MeasurementResults of

NBD (b)

Simulation Data

d1 1 -1 0.317 0.316

d2 0 0 0.273 0.273

d1 -1 1 0.317 0.311

(Bi1.5Zn0.5)(Nb1.5Zn0.5)O7 MeasurementResults of

NBD (c)

Simulation Data

d1 1 -1 0.610 0.612

d2 0 0 0.528 0.532

d1 -1 1 0.610 0.616

1

2

3

(a)

(b)

(c)

Bi-Nb-O膜でパイロクロア構造はこれまで報告されていない

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Amorphous Bi3NbO7 Pyrochlore

17.4 % 82.6 % (Crystalinity)

30.0 % 52.6 %

結晶化率と各結晶の割合結晶化率と各結晶の割合結晶化率と各結晶の割合結晶化率と各結晶の割合

パイロクロア構造が主な結晶相

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断面断面断面断面TEM観察結果観察結果観察結果観察結果(2)

アニール条件:600℃/O2/40分

600℃アニールにより新たな結晶粒が発現

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13

12

34

5

1 2

3

(Bi1.5Zn0.5)(Nb1.5Zn0.5)O7 MeasurementResults of SAED (a)

Simulation Data

d1 1 1 0.604 0.609

d2 2 2 0.306 0.305

d4 0 0 0.263 0.264

d4 4 0 0.185 0.187

d6 2 2 0.160 0.159

β-BiNbO4 MeasurementResults of SAED (b)

Simulation Data

d1 -1 0 0.305 0.305

d1 -1 1 0.265 0.264

d0 0 1 0.307 0.305

(d)

(e)

Zone axis : 1 1 0

電子線回折結果電子線回折結果電子線回折結果電子線回折結果(2)

600℃アニールにより三斜晶が発現する

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kHz/nm12.59 nm

0 nm500 nm 500 nm

(a) (b)

AFM/SNDM分析結果分析結果分析結果分析結果

AFM像 SNDM像

アニール条件:600℃/O2/20分

パイロクロア構造の比誘電率が大きいことを示唆する

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Bi-Nb-O膜の構造膜の構造膜の構造膜の構造

(Bi1.5Zn0.5)(Nb1.5Zn0.5)O7

パイロクロア構造: A2B2O7

A-site B-site

Bi Nb

Pyrochlore 40.4 59.6

Amorphous 54.2 45.8

(EDX分析結果)

パイロクロア相はNbリッチになっている

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H2O

CO2

CO

H2

C2H2

0 100 200 300 400 500 600 700Surface Temperature of Sample [℃]

10-12

10-11

10-10

10-9

10-8

10-7

Inte

nsity

[Arb

itrar

y U

nit]

TDS分析結果分析結果分析結果分析結果

500℃-550℃付近でCO/CO2の脱離が観測される

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Bi-Nb-O膜の結晶化過程膜の結晶化過程膜の結晶化過程膜の結晶化過程

膜中の炭素が結晶化課程を律速している可能性

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Bi/Nb比の最適化による比誘電率の向上比の最適化による比誘電率の向上比の最適化による比誘電率の向上比の最適化による比誘電率の向上

Bi/Nb比の最適化により、比誘電率の更なる向上が可能

アニール温度: 600℃

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Bi-Nb-O膜の温度特性膜の温度特性膜の温度特性膜の温度特性

540 550 560 570 580 590 600 610 620 630 640-500

-400

-300

-200

-100

0

100

200

300

400

500

温度

係数

(ppm

/℃

)

焼成温度

±60

焼結温度の最適化により、温度係数を原理的に0に出来る

β-BiNbO4

Pyrochlore

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Imprint法による法による法による法によるBi-Nb-O膜のパターニング膜のパターニング膜のパターニング膜のパターニング

Imprint法による微細パターニングも可能

Mold

Bi-Nb-O

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溶液プロセスで作製した溶液プロセスで作製した溶液プロセスで作製した溶液プロセスで作製したBi-Nb-O膜膜膜膜のののの特長特長特長特長

(1)高い比誘電率:140と通常の膜に対して3倍程度高い

(2) Bi/Nb比を調整することで更に高い比誘電率(250)が得られる

(3) このBi-Nb-O膜では、パイロクロア構造が発現(溶液プロセスに特異の構造)

(4) パイロクロア相とβ-BiNbO4相の比率を調整することで温度係数を0に

(5) インプリント法により微細パターンの形成が可能

(6) 成膜温度の低温化が可能

(7) 薄膜化が容易

(8) LTCCプロセスとの互換性が高い

(9) 上記の結果は溶液プロセスによる新しい材料設計の可能性を示している

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想定される用途想定される用途想定される用途想定される用途

• 積層セラミックコンデンサ• LTCC複合デバイス• パッシブデバイス内蔵IC/VLSI

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実用化に向けた課題実用化に向けた課題実用化に向けた課題実用化に向けた課題

現在:溶液プロセスによるBi-Nb-O膜の基本物性について理解が進んでいる。

今後:具体的な製品ターゲットを定め、

要求スペックを確認し、満足させる様な

取り組みが必要。

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企業への期待企業への期待企業への期待企業への期待

・セラミック関連技術を持つ、企業との共同研究を希望

・積層セラミックコンデンサ、LTCC複合デバイス、パッシブデバイス内蔵IC/VLSIを開発中の企業

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本技術に関する知的財産権本技術に関する知的財産権本技術に関する知的財産権本技術に関する知的財産権発明の名称 :固体電子装置

登録番号 :第5293983号出願人 :JST

発明者 :下田、徳光、尾上、宮迫

発明の名称 :固体電子装置

出願番号 :第5278717号出願人 :JST

発明者 :下田、徳光、尾上、宮迫

発明の名称 :積層キャパシタ及び積層キャパシタの製造方法

登録番号 :第5232963号出願人 :JST

発明者 :下田、徳光、尾上、宮迫

発明の名称 :積層キャパシタ及び積層キャパシタの製造方法

登録番号 :第5615945号出願人 :JST

発明者 :下田、徳光、尾上、宮迫

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お問い合わせ先お問い合わせ先お問い合わせ先お問い合わせ先

共同研究などに関すること北陸先端科学技術大学院大学産学官連携総合推進センター(URA) 中田 泰子TEL: 0261-51-1070、FAX: 0261-51-1427e-mail: n-yasuko@jaist.ac.jp

ライセンスに関すること科学技術振興機構知的財産戦略センター

桑島 健TEL: 03-5214-8486、FAX: 03-5214-8417e-mail: takeshi.kuwajima@jst.go.jp