スペインの原子力...出典:スペイン電力系統会社(REE)...

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スペインの原子力 2017年9月 (一社)日本原子力産業協会 国際部

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スペインの原子力

2017年9月

(一社)日本原子力産業協会

国際部

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全般 スペイン概観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 スペインの発電設備容量の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 スペインの発電電力量構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 原子力発電 スペインの原子力開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 最近の動き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 スペインの原子力発電所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 スペインの原子力発電所の稼働状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 スペインの原子力行政・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・ 10 燃料製造工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 廃止措置・放射性廃棄物管理 スペインの廃止措置に係る主要機関・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 ENRESA(放射性廃棄物管理公社)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 廃止措置の基本枠組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 廃止措置の標準工程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 今後の廃止措置スケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 スペインの廃止措置の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 ホセ・カブレラの廃止措置の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 ホセ・カブレラの廃止措置で見込まれる廃棄物発生量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 スペインの放射性廃棄物管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 今後の放射性廃棄物発生量の見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 その他 スペインの原子力産業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 スペインの原子力産業の国際展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 スペインの原子力の今後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

目 次

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スペイン概観

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*バイオ燃料、廃棄物、風力、水力、太陽を含む

3

出典:Energy Policies of IEA Countries Spain 2015 Review

項目

面積 50.6万平方キロメートル(日本の約1.3倍)

人口 約4,646万人(2016年7月)

首都 マドリード(マドリード市の人口約315万人)(2016年)

主要産業 自動車、食料品、化学品、観光産業

GDP 約1兆1,997億ドル(2015年)

一人当たり国民所得 25,843米ドル(2015年)

経済成長率 3.2%(2015年)

一次エネルギー供給量 113.9 Mtoe(石油換算100万トン)(2014年)

一人当たりの 一次エネルギー供給量

2.5 toe(石油換算トン)(2014年) (IEA平均: 4.4 toe)

エネルギー生産量 34.2 Mtoe(石油換算100万トン)(2014年)

エネルギー自給率 30%

発電量 2,739億kWh(2014年)

一人当たりの発電量 5,900 kWh (IEA平均: 9,900 kWh)(2014年)

*

スペインの一次エネルギー供給構成(2014年)

113.9 Mtoe

出典: 外務省ウェブサイト Energy Policies of IEA Countries Spain 2015 Review

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スペインの発電設備容量の推移

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水力 原子力 石炭 ガス 風力

その他の再生可能エネルギー

太陽光 コジェネ 太陽熱 廃棄物

コンバインドサイクル

2016年の総発電設備容量:1億528万kW(前年比-0.8%*)、2016年の原子力発電設備容量:739.7万kW**(全体の約7.0%)

(単位: MW)

*石炭火力5基(計93.2万kW)の閉鎖による 4

水力 原子力 石炭 コンバインドサイクル 風力 太陽光 コジェネ

その他の再生可能エネルギー

太陽熱 廃棄物

出典:スペイン電力系統会社(REE)

**数値は「世界の原子力発電開発の動向2017」を用いて計算。

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スペインの発電電力量構成

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出典:スペイン電力系統会社(REE)

2016年の原子力発電電力量: 561億kWh(前年比2.5%増) 原子力が他電源のなかで、シェアNo.1

原子力

石炭

コンバインドサイクル

コジェネ

廃棄物

風力

水力

太陽光

太陽熱

その他の再生可能エネルギー

再生可能エネルギー

非再生可能エネルギー

非再生可能エネルギー

再生可能エネルギー

水力 原 子 力

石 炭

コンバインド サイクル

コジェネ 廃棄物

風 力

太陽光

太陽熱 その他の再生可能 エネルギー

(単位: %)

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運転中 炉型 万kW 営業運転開始 所有者等

アルマラス1 PWR 104.9 1983年 イベルドローラ53%、エンデサ36%、 ガス・ナチュラル・フェノサ11%

アルマラス2 PWR 104.4 1984年

アスコ1 PWR 103.2 1984年 エンデサ

アスコ2 PWR 102.7 1986年 エンデサ85%、イベルドローラ15%

コフレンテス BWR 109.2 1985年 イベルドローラ

トリリョ PWR 106.6 1988年 イベルドローラ48%、ガス・ナチュラル・フェノサ34.5%、DP15.5%、ニュークレノール2%

バンデリョス2 PWR 108.7 1988年 エンデサ72%、イベルドローラ28%

閉鎖炉

ホセカブレラ(ゾリタ) PWR 16.0 1969年 エンレサ(放射性廃棄物管理公社) 閉鎖年:2006年4月

バンデリョス1 GCR 50.0 1972年 エンレサ(放射性廃棄物管理公社) 閉鎖年:1990年5月

サンタ・マリアデガローニャ BWR 46.6 1971年 ニュークレノール(エンデサ50%、イベルドローラ50%) 政府は2017年8月、運転認可更新申請を却下*

スペインの原子力発電所(7基・739.7万kWが運転中、3基が閉鎖)

*新規課税等による財政悪化を懸念し、2012年12月に運転停止。その後、ガローニャの運転会社であるニュークレノール社は、規制当局に再稼働計画を 申請、同社は2031年までの運転を希望していた。 出典: 「世界の原子力発電開発の動向」、Foro Nuclear

スペインの原子力開発 ・1960年代から米(PWR&BWR)・英(GCR)の技術を導入し、建設 ・ウラン鉱山、燃料製造、発電、廃棄物管理・処分、廃止措置まで一貫したバリューチェーンが存在 ・再処理政策は敷かず、オープンサイクル。出力増強(約52万kWを出力増強済)と運転認可延長 (10年毎の更新・延長、40年超の長期運転が目標)が主流、 新規建設計画はなし ・世界40ヶ国以上で原子力ビジネスを展開、活動の70%が輸出向け

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ガローニャ原子力発電所

今回の政府決定について、スペイン原子力産業協会(Foro Nuclear)は、“例外的かつ1回限りの決定”として、国内の他の原子力発電所の運転には影響しない、との見方を示している

最近の動き(ガローニャの運転認可更新却下)

✾2017年8月1日、政府、サンタ・マリアデガローニャ (BWR、46.6万kW)の運転認可更新を却下 -国内で出力規模が最小かつ最古であり、4年以上も運転していないことや

停止により、国内の電力供給にこれまで大きな支障はなかったことが主な理由

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出典: ニュークレノール社

出典: エネルギー・観光・デジタル政策省

ガローニャの永久閉鎖を発表するナダル大臣

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スペインの原子力発電所

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★ マドリード

アルマラス1.2

ホセカブレラ

トリリョ

コフレンテス

アスコ1,2

バンデリョス1,2

サンタ・ マリアデガローニャ

PWR

BWR

GCR

×印 閉鎖

写真の出典: Foro Nuclear (ガローニャ以外、ガローニャはニュークレノール社)

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スペインの原子力発電所の稼働状況

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出典: Energia 2017

9

近年高いパフォーマンスを誇るスペインの原子力発電

0

20

40

60

80

100

1 2 3 4 5 6 71995 2000 2005 2010 2014 2015 2016 (年)

(%)

スペインの平均設備利用率の推移

90.38 88.26 88.41

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スペインの原子力行政

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出典: ENRESAウェブサイト

議 会 政 府

管理

原子力 安全委員会

(CSN)

規制と許認可

エネルギー・ 観光・デジタル

政策省

農業・ 漁業・食料・環境省

ENRESA (放射性廃棄物管理公社)

エネルギー・ 環境・科学技術 研究センター

(CIEMAT) 80%

産業参画公社 (SEPI) 20%

経済産業 競争力省

財務・公共省

政策

エネルギー 大臣

10

(諮問機関)

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燃料製造工場(ENUSA*フズバド工場)

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出典: ENS News、ENUSAウェブサイト

・燃料製造: PWR&BWR、VVER ・約60%は輸出向け (主な輸出先: フランス、ベルギー、 スウェーデン等)

★ マドリード

サラマンカ フズバド工場

*ENUSA: ウラン公社 11

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スペインの廃止措置に係る主要機関

原子力安全委員会

エネルギー・観光・デジタル政策省

農業・漁業・食糧・環境省

放射性廃棄物管理公社

・許認可発給 ・廃棄物管理や使用済燃料に関する政策策定

・原子力安全および放射線防護を担当 ・CSNによる審議結果の報告に基づいて、エネルギー・観光・デジタル政策省が許認可を行う

・放射性廃棄物管理、貯蔵および処分 ・廃止措置実施機関

・環境影響評価(EIA)の審査

その他、国内で廃止措置を行う場合、 許認可は国内以外に、EUの許可も必要

12 出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

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・設立根拠:1985年に法律に基づき、設立 使用済燃料を含む放射性廃棄物管理、廃止措置を担うスペインの国営企業

・使命:放射性廃棄物の処理、貯蔵施設のサイト選定、設計、建設、運転、原子力関連施設 の廃止措置、資金管理等(HLWの最終処分の実施主体+廃止措置も含めた全ての 放射性廃棄物の管理、調査研究を実施) ・出資機関:財務・公共省傘下の産業参画公社(SEPI) (20%出資) 経済産業競争力省傘下の エネルギー・環境・科学技術研究センター (CIEMAT)(80%出資) ・資金調達:電力会社が発電量に応じて支払い

☆その他、ENRESAは資金調達や管理を含む放射性廃棄物管理や 廃止措置に関する戦略や活動、技術ソリューション等に関する 総合放射性廃棄物計画(General Radioactive Waste Plan ーGRWP、右図)

の草案を原則4年毎に策定

第6次GRWP(2006年6月内閣承認)

ENRESA(放射性廃棄物管理公社)

13 出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

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☆ENRESAの廃止措置の基本戦略:即時廃止措置の実施 ・・・ 全機材の撤去、建物の解体、廃棄物管理、サイトの環境修復を行い、 閉鎖後はグリーンフィールドに戻す、完全な廃止措置を実施

☆廃止措置の基本枠組み: 閉鎖の4年以上前から計画検討に着手、1年前に廃止措置計画や環境影響評 価、使用済燃料管理計画等の書類を関係省庁に提出 完全閉鎖の認可後、燃料の取り出し(所有者である電力会社が実施)や ENRESAとの所有権移転手続き*等を行うとともに、EURATOMに必要書類を提 出する(国内以外にもEUの承認が必要)。燃料は3~5年かけて冷却し、廃止措 置の認可を得る。 ENRESAが10年程度かけて廃止措置を行い(所有権はENRESA)、更地に 戻し、所有権を元の所有者に戻す。その後の利用計画は、発電事業者が検討

廃止措置の基本枠組み

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*UNESA(スペイン電力協会)とENRESAが契約を結び、廃止措置に向け た所有権移転に関し、詳細を決める(運転停止日や廃止措置 開始日、サイトの所有権返還日等)

出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

閉鎖前

閉鎖後

廃止措置

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廃止措置の標準工程

(1年) (3年) (>=1年)

廃止措置計画 検討着手

基本調査 +計画

関係省庁との閉鎖に関する協議

ENRESAへの 所有権移転

元のオーナー への

所有権返還 閉鎖

(3~4年)

除染 および 廃止措置

廃止措置許可 廃止措置 完了宣言

最終閉鎖許可

燃料 取り出し

所有権移転 取決

燃料 冷却

・廃止措置計画 ・使用済燃料 管理計画 策定

・廃止措置計画 ・使用済燃料管理計画 ・環境影響評価 関係省庁へ提出 ・自治体への許認可申請

・廃止措置計画 ・使用済燃料管理計画 ・環境影響評価 Euratomへ提出

(10年程度)

15 出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

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出典: 第6次総合放射性廃棄物計画(GRWP)(2006年6月承認)

今後の廃止措置スケジュール

原子力発電所

1995

2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2070 2065

2070 2065

設計/

廃棄体分類等

建設

運転

出力増強

使用済燃料や廃棄物取り出し

Level

2

廃止措置(建屋の解体など)

管理

Level

3

廃止措置(原子炉の解体やサイト修復など)

閉鎖

制度的管理開始

廃炉にかかる資金の集中ピークは、2030~40年で年間€3億~3億5,000万 (約400億~460億円)

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ホセ・カブレラ

ガローニャ

アルマラス1

アルマラス2

アスコ1

アスコ2

コフレテンス

バンデリョス2

トリリョ

バンデリョス1

フズバド燃料 製造工場

エル・カブリルLILW

エル・カブリルVLLW

低中レベル

放射性廃棄物

使用済燃料/

HLW

原子力発電所

トリリョ使用済燃料 一時貯蔵施設

ホセ・カブレラ使用済燃料一時貯蔵施設

集中一時貯蔵施設

最終処分施設

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スペインの廃止措置の現状

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バンデリョス原子力発電所(GCR、50.0万kW)

実施主体:ENRESA(放射性廃棄物管理公社)

・廃止措置戦略:“即時解体”が原則

・ENRESAの廃止措置の経験:Andujarウラン精錬工場(1991~95年実施) や研究炉の廃止措置→バンデリョスの廃止措置(但し、原子炉の解体までは未達)→実験炉(PIMIC)の廃止措置(2006~15年実施) →ホセ・カブレラの廃止措置、と段階を踏んで実施

99%以上の除染終了 70%以上の機材等の撤去完了 建屋内では汚染コンクリートの解体を実施 土壌修復作業も進捗(2016年7月時点) 廃炉費用:€160M(約210億円)

ホセ・カブレラ原子力発電所(PWR、16.0万kW)

2010年廃止措置開始 2018年終了予定

1998年開始

【進捗状況】 2003年までに原子炉建屋以外の建物や機器等の撤去完了 原子炉建屋は25年間密閉管理され、2028年頃に再び撤去作業が実施される予定(2030年終了予定) ※バンデリョスは、黒鉛を使用した特殊な炉ゆえ、 廃止措置が遅延

【進捗状況】

マドリード

出典: Enresaウェブサイト、 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」日-西 廃止措置セミナー (2016年7月)資料 等

マドリード

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ホセ・カブレラの廃止措置の流れ

閉 鎖

燃料の一時貯蔵施設の建設許可

ENRESA

への所有権移転・廃止措置許可

廃止措置完了

2006年4月 2008年5月 2010年2月

・準備作業

・通常施設(非放射性)の解体 ・原子炉領域の解体 ・建物の解体・撤去 ・廃棄物管理

・サイト修復 解体については、原子炉はWHだが、蒸気発生器はENSA、 タービンはNUSIMが担当するなど、ほぼスペイン企業が契約

移行期間 廃止措置期間

2018年

18 出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

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ホセ・カブレラの廃止措置で見込まれる 廃棄物発生量

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218t

4,000t

ごく僅か

5,000t

95,000t (約95%が再利用可能)

使用済燃料&炉内構造物

放射性廃棄物

金属スクラップ

コンクリート等

毒性のある有害廃棄物 (PCBやアスベスト等)

(出典: Foro Nuclear)

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出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

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スペインの放射性廃棄物管理

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エル・カブリル 放射性廃棄物処分センター (低中、極低レベル廃棄物)

1992年操業開始

マドリード

ビジャル・デ・カニャス自治体 集中中間貯蔵施設

(使用済燃料およびHLW(ガラス固化体)の 保管期間は60年)

※現在、建設に向け許認可手続中。 燃料の貯蔵だけでなく、燃料試験やHLWの研究等を

行う研究所等も同敷地内に併設される予定

※ ・貯蔵容量: LILWは100,000m3、VLLWは130,000m3 ・300年間の保管を想定。浅地中処分 ・エル・カブリル処分場の容量は2015年以降、 LILWは全容量の73.27%、VLLWは22.43%を収容 →今後、さらなる減容化を図る方針

・多くは、原子炉建屋内の燃料プールで貯蔵 ・さらに別途、3サイトで独立貯蔵施設(ISFSI)が操業中 トリリョは屋内、ホセ・カブレラやアスコは屋外にて保管 ガローニャは建設中、アルマラスは設計中 ・今後、集中中間貯蔵施設(建設中)に保管予定 →40年運転で使用済燃料20,000本(6,700tU)発生見込み ・最終処分場は未定

・放射性廃棄物の分類: 極低レベル(VLLW)、低中レベル(LILW)、高レベル(HLW)の3種類 (使用済燃料は再処理せず、直接処分の方針。使用済燃料はHLWとして分類)

集中中間貯蔵施設の完成予想図 (出典: ENRESA)

(出典: Foro Nuclear)

出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

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LILWおよびVLLW

使用済燃料

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今後の放射性廃棄物発生量の見通し

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低中レベル放射性廃棄物(含:極低レベル)の発生量割合

使用済燃料79%

中レベル20%

高レベル (ガラス固化体)1%

使用済燃料(SNF)および高レベル放射性廃棄物(HLW) (含:中レベル)の発生量割合

原子力関係 製造施設1%

原子力発電所 (廃止措置)72%

原子力発電所 (運転中)20%

その他4%

放射線関連 施設4%

★第6次放射性廃棄物管理計画(GRWP) 標準シナリオ(2006年6月承認)★ ー原子力発電所以外に約800の 小規模放射性廃棄物発生者が存在

☆原子力発電 ー40年運転、新規建設なし ーオープンサイクル(再処理はしない) ー閉鎖後、3年で廃止措置開始

21 出典: 「スペインにおける廃止措置の現状と将来」 日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

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スペインの原子力産業

出典: 「スペインの原子力の概況」日-西 廃止措置セミナー(2016年7月)

従事者の 50%が大卒

従事数 約3万人

スペイン企業 40ヶ国に進出

生産の70%が 輸出向け

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出典: 「第6回会員フォーラム(2014年12月)」スペイン大使館発表資料 「スペインの原子力の概況」日-西 廃止措置セミナー(2016年7月) 等

スペインの原子力産業の国際展開

☆最近の輸出例: ENSA: 蒸気発生器(中国向け)、 原子炉圧力容器上蓋(米国向け) 使用済燃料貯蔵ラック(韓国向け) TECNATOM: 運転シミュレータ(アルゼンチン、中国向け) 等

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世界40ヶ国以上でビジネス展開、活動の70%が輸出向け

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スペインの原子力の今後

・スペインにとって、原子力発電は主要な電源であり、 将来のエネルギーミックスやCO2削減目標に向けても 大切な電源である ・CO2削減目標達成のためには、少なくとも2030年 までは既存の原子力発電所の運転継続が不可欠 ・現時点で、新規建設はない。それは政府や世論等に よる判断ではなく、実際のビジネス上の観点による。 原子力発電への課税や昨今の電力価格の低迷により、 スペインの原子力発電は今、苦境にある ・政府は新たなエネルギー政策構築の必要性を認識し、 原子力発電の必要性も分かってはいるが、政策の枠組に 原子力を位置付けることには消極的のようだ ・スペインの原子力産業は、燃料製造やエンジニアリング、 大型コンポーネント製造等を手掛ける。 国内市場の縮小は痛手ではあるが、既に世界40ヶ国で ビジネスを展開しており、今後もさらに市場開拓をめざして いく

出典: Foro Nuclear ウェブサイトに掲載中のインタビュー記事より (2017年9月)

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イグナシオ・アラルース Foro Nuclear理事長