ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制...

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ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制 誌名 誌名 日本植物病理學會報 = Annals of the Phytopathological Society of Japan ISSN ISSN 00319473 巻/号 巻/号 832 掲載ページ 掲載ページ p. 87-94 発行年月 発行年月 2017年5月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制

誌名誌名 日本植物病理學會報 = Annals of the Phytopathological Society of Japan

ISSNISSN 00319473

巻/号巻/号 832

掲載ページ掲載ページ p. 87-94

発行年月発行年月 2017年5月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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日植病報 83:87—94 (2017) Jpn. J. Phytopathol. 83: 87—94 (2017)

ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制

五十嵐千佳 1• 浅野雄二 2• 西岡友 樹 1• 須賀晴久 3• 百町満朗 1• 清 水 将 文 l*

ABSTRACT

IGARASHI, C.1, ASANO, Y.2, NISHIOKA, T.1, SUGA, H.3, HYAKUMACHI, M.1 and SHIMIZU, M.1* (2017). Suppression of spinach

Fusarium wilt by intercropping withAllium plants. Jpn. J. Phytopathol. 83: 87—94.

Intercropping with Welsh onion and Chinese chive was evaluated as a means to reduce the incidence of Fusarium wilt on spring-

summer spinach caused by Fusarium oxysporum f. sp. spinaciae (FOS). In preliminary experiments (i.e., plant box experiment and

container experiment), intercropping spinach with Welsh onion and Chinese chive suppressed development of spinach Fusarium wilt.

Particularly, intercropping with Welsh onion yielded stronger suppression. Subsequently, at two commercial spinach fields in Takayama

City, Gifu Prefecture, during the first cultivation season after soil fumigation, Welsh onion and Chinese chive were intercropped on the

ridge shoulders along the sides of rain shelters where FOS often survives. As a result, both intercropping systems effectively reduced

the incidence of spinach Fusarium wilt (44 to 100% reduction) up to 5 months post fumigation. R oxysporum was detected from soils in the ridges of plots with spinach-Chinese chive intercropped at a level similar to that in plots with only spinach, and soil populations of

R oxysporum in spinach-Welsh onion intercropped plots were undetectable during cultivation. These results suggest that intercropping

with alliums, particularly Welsh onion, on ridge shoulders along the sides of rain shelter after soil fumigation can effectively reduce the

incidence of Fusarium wilt on spring-summer spinach.

(Received January 15, 2016; Accepted July 10, 2016)

Key words: Fusarium oxysporum f. sp. spinaciae, intercropping, Allium plants, spinach

緒 戸

岐阜県の飛騨高冷地域は,標高 400~1200m の夏季冷涼

な気候を活かしたホウレンソウの一大産地を形成しており,

年間の生産量は 7000t以上,総販売額は約 50億円に及ぶ.

特に,夏ホウレンソウの生産量は全国 1位を誇り,岐阜県

の基幹作物の中でも取分け重要な品目となっている.同地

域のホウレンソウ生産者は,雨よけハウスを利用して 3月

から 11月までの間に 4回ないしは 5回の連作栽培を行って

いる. しかし, このような極端な連作により,同地域では

Fusarium oxysporum f. sp. spinaciaeが引き起こすホウレンソ

ウ萎凋病の被害が発生し問題となっている.本病は 7月頃

から 9月初め頃の高温期に発生が増加する(内記, 1984)

ため,その対策として 2連作目の作付け前の 5月中旬から

6月初旬にクロルビクリン剤を用いた土壌燻蒸消毒が行われ

ている. しかしながら,本病の発生を完全には防ぐことが

できておらず, しばしば大きな被害が発生するため,補完

的な防除法の開発が望まれている.

わが国や中国の一部地域では,ユウガオ(カンビョウ)

やキュウリとネギ類を混植する習慣が古くから伝承されて

いる(有江ら, 1987;Zeng et al., 2008). ネギ類の混植には,

連作障害の原因となるウリ類つる割病の発生を予防する効

果があることが知られており(木嶋, 2011), 北海道の一部

のスイカ・メロン産地では同病による被害を回避する目的

で昭和60年代からネギの混植が実際に利用されている.ま

た近年,ニラやタマネギの混植•輪作でバナナのパナマ病(病

1岐阜大学応用生物科学部(〒 501-1193岐阜県岐阜市柳戸 1-1) Faculty of Applied Biological Sciences, Gifu University, Gifu 501-1193,

Japan

2岐阜県飛騨農林事務所(〒 506-8688岐阜県高山市上岡本町 7-468) Gifu Prefectural Hida Region Agriculture and Forestry Office,

Takayama, Gifu 506-8688, Japan

3岐阜大学生命科学総合研究支援センター(〒 501-1193岐阜県岐阜市柳戸 1-1) Life Science Research Center, Gifu University, Gifu

501-1193, Japan

* Corresponding author (E-mail: shimizma@邸u-u.ac.jp)

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原菌: R oxysporum f. sp. cubense) の被害を抑制できること

が報告されている (Huanget al., 2012; Wibowo et al., 2012).

このように,ネギ類の栽培はウリ科以外の作物に発生する

フザリウム病に対しても有効であることから,ホウレンソ

ウ萎凋病の防除に利用できるのではないかと考えられた.

土壌燻蒸消毒後のホウレンソウ萎凋病の再発は,消毒む

らが主原囚であると考えられる.特に,消毒効果が及びに

くいハウスサイド側の畝肩部に病原菌が生残しやすく,そ

こから感染が広がっていることが経験的にわかっている.

このことから,ハウスサイド側の畝肩部からの病原菌の蔓

延を抑制すれば本病の再発を軽減できるのではないかと考

えられた.そこで,本研究では,ネギおよびニラを畝肩部

に混植することで土壌消毒後のホウレンソウ萎凋病の発生

を抑制できるか検討したので, ここに報告する.

材料および方法

人工気象器内でのプラントボックス試験 本研究には,

岐阜県農業技術センターより分譲されたホウレンソウ萎凋

病菌 <Fusariumoxysporum f. sp. spinaciae GF961株 以下

FOS)を供試した.ショ糖加用ジャガイモ煎汁液体培地(PSB)

で FOSを 4日間振とう培養 (100rpm, 25°C) し,培養液

を二重のキムワイプでろ過して菌糸を除去した後,ろ液を

遠心分離 (3000rpm,常温 10分間)した.得られたペレッ

トを滅菌蒸留水に懸濁し,接種源とした.胞子 (budcell)

濃度は血球計算盤を用いて測定した. FOS胞子懸濁液を育

苗培土(くみあい新スターベッド, JA全農)に混和し,汚

染土(約 1X 104胞子/g)を作成した. プラントボックス(縦

15.QX横 5.5X高 10.0cm, 藤本化学製品,大阪)の底部に

汚染士 150gを敷き,その上に FOS無接種の育苗培土 250g

を重層した.

本実験では, i)対照区;ホウレンソウのみを栽培, ii) ネ

ギ混植区;ホウレンソウとネギを混植, iii) ニラ混植区;

ホウレンソウとニラを混植,の 3処理区を設けた.混植には,

岐阜大学構内にある当研究室の実験圃場から採取した土壌

で約 4ヶ月間栽培したネギ (Alliumfistulosum L.)'九条細

ネ ギ'(クラギ)およびニラ (A.tuberosum Rottler ex

Spreng.)'ス バーグリーノベルト (武蔵野種苗園)を用

いた. これらネギ類を前出のプラントボックスに移植 (2株

/ケース)し,人工気象器内 C25°C, 12時間日長)で 1週

間栽培した.つぎに,ネギおよびニラの周りにホウレンソ

ウ (Spinaciaoleracea L.) 'プラトン, (サカタのタネ)を 10

粒ずつ播種し,同人工気象器内で栽培して経日的に発病を

調査した.ホウレンソウの発病を 5段階の発病指数(0:健苗,

1: 黄化, 2:やや萎涸, 3:激しく萎凋, 4:枯死)で評価

するとともに,発病指数を基に病勢伸展曲線下部面積

(AUDPC; area under disease progress curve)を求めた.なお,

各区3ケースを用いた試験を 3回行った.

プラスチックハウス内でのコンテナ試験 Kバック

(KM-25W, 加川椎茸)にフスマ 500gを入れ,高圧滅菌

c121°c, 60分間)した.そこへ PSBで 4日間振とう培養

(lOOrpm, 25℃)した FOS培聾液 15mlを接種し, 25°Cで

1週間培養した.培養期間中は 1日1回バックを振ってフス

マを撹拌した. FOSが充分に蔓延したフスマに 3倍量(重

量比)のバーミキュライトを加えてよく混ぜ合わせた後

網目 5mmの飾に通した.飾ったフスマーバーミキュライ

卜混和物に 9倍量(重量比)の育苗培土(くみあい新スター

ベッド, JA全農)を加えて混和した後 ビニール袋に移し

入れてプラスチックハウス内で 1週問培養した.その問,

乾燥を防ぐため混合物には適塁の水道水を灌水した. この

ようにして得られた培養物を汚染土とし,以下の実験に供

した.

コンテナ(縦 45.QX横 31.0X高 13.0cm) の長辺の端か

ら10cm幅に汚染土 2kgを充填した後,残りの部分に病原

菌無接種の育苗培土を充填した.ネギ類の定植密度の違い

がホウレンソウ萎凋病抑制効果に及ぼす影響を検討するた

め,本試験では, i)対照区, ii) ネギ (15cm)混植区, iii)

ネギ (10cm)混植区, iv)ニラ (15cm)混植区, v)ニラ (10cm)

混植区,の合計 5処理区を設けた.混植区には,当研究室

の実験圃場から採取した土壌で約 3ヶ月間栽培したネギ‘九

条細ネギ, (クラギ)および約 7ヶ月間栽培したニラ ‘スー

バーグリーンベルト, (武蔵野種苗園)を用いた.第 1図お

よび第 2図のように,前出のコンテナ内の汚染土と育苗土

の境界付近に,ネギまたはニラを 10cm間隔で 4株(試験

区 iiiおよびv) あるいは 15cm間隔で 3株(試験区 iiおよ

びiv) 定植した.対照区にはネギ類を定植しなかった.つ

づいて,病原苗無接種の育苗土部分にホウレンソウ‘プラ

トン’を 24粒播種 (8粒 X3条,播種日:2014年 10月 15日)

した. これらのコンテナをプラスチックハウス内にランダ

ムに並べ置き,経日的に発病を調査した.各コンテナ内の

発病株率を求めるとともに,発病株率を基に AUDPCを求

めたなお,各処理区につき 3コンテナを用いた.

圃場試験 試験は,岐阜県高山市の 2軒の生産農家の雨

よけハウス内で実施した.本試験では, i) 対照区, ii) ネ

ギ混植区, iii) ニラ混植区,の計 3処理区を設けた.試験

区は 1区幅 2mの6反復とした.農家 Aでは 1棟のハウス

内に 3区X6反復農家 Bでは隣接する 2棟のハウス内に

それぞれ 3区 x3反復を設けた.混植には,育苗培土(くみ

あい新スターベッド,JA全農)で約 2ヶ月間栽培したネギ‘九

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Jpn. J. Phytopathol. 83 (2). May, 2017 89

31 cm

無接種培土 無接種培土 無接種培土@G>◎ cG>GOc ◎ ◎ 〇 ◎ 0000 RRR ◎ @@@@

12 cm

45 cml ◎ R00◎◎ c0 06)◎ ◎ ◎ G) @@ R ◎ ◎ ⑨ @ R ◎ @

12cm

@cR ◎⑥c◎ ◎ 5cm

10 cm I II 15 cm

II 10cm

汚染土 汚染土 汚染土

対 照 区 (15 cm)混植区 (10 cm)混植区

第1図 コンテナ試験の模式図

⑨ :ホウレンソウ

8. : ネギまたはニラ

第2図 コンテナに植えたネギ類およびホウレンソウの様子

a: 対照区, b:ネギ (10cm)混植区, c:ネギ (15cm)混植区, d:ニラ (10cm)混植区 e:ニラ (15cm)混植区

条細ネギ' (ク ラギ)および約 8ヶ月間栽培したニラ ‘スー

バーグリーンベルト' (武蔵野種苗園)を用いた. これらの

ネギ類を,土壌燻蒸消毒後の第 1作目 (2連作 目)に畝肩ヘ

10cm間隔で定植した (第 3,4図).具体的には,農家 A

圃場ではクロルピクリン消毒から約 1ヶ月後,農家 B圃場

ではクロルビクリン消毒後のガス抜きから約 1週間後にあ

たる 2014年 6月 9日に定植を行ったその後ホウレンソ

ウを慣行通り株間約 10cm, 条間 15cmで播種 (播種日は

不明)・栽培し, 7月 7日 (A圃場では 3連作目, B圃場で

は2連作目),7月 29日 (両圃場とも 3連作目 ),8月 12日

(B圃場の 3連作 目),9月 9日 (A圃場の 4連作目 ),10月

22日 (両圃場とも 5連作目 )に発病状況および土壌中の F.

oxysporum菌密度の調査を実施した発病状況調査では,畝

肩から 4条目までのホウレンソウを目視で観察し,罹病株

数を計数したさらに,ネギ類の定植列より約 5cm内側の

地点から,鉄パイプ(直径約 2cm)で地表面から 10cm分

の土壌を採取し,F.oxysporum菌密度の測定に供した. F.

oxysporum苗密度 (cfu/g乾土)はFo-Gl培地 (西村, 2008)

を用いた希釈乎板法で測定した.採取土壊を滅菌水で 10倍

および 100倍に希釈液 した後各希釈液を 100μlずつ量り

取って Fo-Gl培地に塗布 した.25℃ で7日間培養した後

培地上のF.oxysporumのコロニ ー数を計数 し,菌密度を算

出した

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90 日本植物病理学会報第 83巻第2号乎成29年 5月

2m

畝内側4条 目 1• ••••® ◎◎亀〇R◎81 l

15 cm

3条目 .... ◎ . (i)◎ . .... I

2条目 •••••@•••••@• 1条目 R◎ ........ ● ..

AAAAAAAAAAAAAAAAAA I畝肩

10cm

第3図 生産農家で実施した圃場試験の概略図

(a)雨よけハウス内でのネギ類の混植場所, (b)ネギ類の混植位僅の詳細

•: ホウレンソウ

/.,: ネギまたはニラ

第 4図 圃場に植えたネギ類およびホウレンソウの様子

a: 対照区, b:ネギ混植区, c:ニラ混植区

結果

人工気象器内でのプラントボックス試験

3回のプラントボックス試験の結果を第 1表にまとめた.

1回 目試験では,対照区に対してネギ類の混植区の AUDPC

値は有意に小さく,ネギ混植区およびニラ混植区でそれぞ

れ 65%および 57%の低下が認められた.ネ ギ混植区とニラ

混植区の問には有意差はなかったが,ネギ混植区の方が

AUDPC値は小さかった. 2回目試験においても,ネギ類の

混植区でAUDPC値が低下し,特にネギ混植区では著しい

低下(92%)が認められた.ニラ混植区では61%の低下であっ

た.3回目試験では,対照区の発病指数のバラッキが大きかっ

たため統計学的な有意差は検出できなかったものの,やは

りネギ類の混植区では AUDPC値が低下し,低下率はネギ

混植区およびニラ混植区でそれぞれ 57%および 44%であっ

た.以上の結果から,ネギ類の混植にはホウレンソウ萎凋

病を抑制する効果があり,その効果はニラに比べてネギの

方が高い傾向にあることが明らかとなった.

第 1表 フ゜ラントボックス試験におけるネギおよびニラの混植

のホウレンソウ萎凋病抑制効果

AUDPca>

1回目試験 2回目試験 3回目試験

対照区 15.5土1.9abl 8.3土1.9a 2.6土2.7a

ネギ混植区 5.5士2.4b 0.6土l.lb 1.1土0.4a

ニラ混植区 6.7土1.0b 3.3土1.5b 1.4土0.3a

a)平均発病指数の推移を折れ線グラフで表示したときの折

れ線下面積を表す.表中の数値は 3反復の平均値土標準

偏差. 1回目試験:播種 20日後, 2回目試験:播種 24日後,

3回目試験:播種 27日後.

b)同ーカラムにおける異なる英字間に 5%水準で有意差あり

(Tukey-J(ramer検定).

プラスチックハウス内でのコンテナ試験

対照区では多数のホウレンソウが発病 • 枯死し, AUDPC

値は約 390に達した(第 2表).罹病株数は汚染土に近い条

ほど多かった一方,ネギ混植区では発病が顕著に抑制され,

対照区に対して AUDPC値が有意に低下したネギの株間

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第2表 コンテナ試験におけるネギおよびニラの混植のホウレンソウ萎凋病抑制効果

発病株率(%)•)AUDPCbl 処理区

1条目 2条目 3条目 平均

対照区 54士14a 27土14a 13士13a 32土4a 390士122ac)

ネギ (10cm)混植区 25土13a 9士Sa 0土Oa 11土5a 78士46bネギ (15cm)混植区 21士19a 4士7a 0土Oa 8土7a 64士64b ニラ (10cm)混植区 40土9a 4士7a 0土Oa 15士5a 121士46b

ニラ (15cm)混植区 53士25a 27士14a 4土7a 28土7a 202土125a

a)表中の数値は3反復の平均値土標準偏差.

b)汚染土から 3条目までの各条の発病株率を算出播種35日後までの発病株率の推移を折れ線グラフ

で表示したときの折れ線下面積を表す.

c)同ーカラムにおける異なる英字間には 5%水準で有意差あり (Tukey-Kramer検定).

の違いによる発病抑制効果に差は認められず,株間 10cm

区および株間 15cm区の AUDPC値はそれぞれ約 78および

約 64となり,対照区よりも約 80%低下した.ニラ混植区

では,株間 15cm区でAUDPC値が約 200(低下率 48%)だっ

たのに対して,株間 10cm区では同約 120(低下率 69%)

と有意に低く,株間 10cm区の発病抑制効果の方が高かった.

圃場試験

農家 A圃場では,調査期間を通じて畝肩から 1条目のみ

に萎凋病の発生が認められたため,第3表には 1条目にお

ける発病株率を示した. 3作目に実施した第 1回目調査の結

果,対照区では発病株率が平均 11%に達していた.一方,

ニラ混植区およびネギ混植区では,それぞれ同約 2%および

同約 5%にとどまり発病が抑制されていた.さらに, 4連作

目および 5連作目に行った調査においても,対照区では発

病株が散見されたのに対して,ネギ類の混植区ではいずれ

も発病が全く認められなかった.

農家 B圃場では,畝肩から 4条目まで萎凋病の発生が認

められた(第 4表).特に,畝肩に近いほど発病株が多い傾

向にあった. 2連作目に実施した第 1回目調査の結果,発病

株率は対照区で最も高く,畝肩から 4条目までの発病株率

は平均 4%となった.それに対して,ネギ混植区では 3, 4

条目までは感染が広がっておらず,平均発病株率は 0.7%(対

第3表 農家A圃場におけるホウレンソウ萎凋病発生の推移

発病株率(%)•)

処理区 3連作目 4連作目 5連作目

(7月29日調査) (9月9日調査) (10月22日調査)

対照区 11.0士12.5a bl 7.5土11.7a 0.9士2.3a

ネギ混植区 5.4土10.5a 0.0士O.Oa 0.0士O.Oa

ニラ混植区 2.1土5.1a 0.0土O.Oa 0.0士O.Oa

a)畝肩から 1条目の発病株率を算出.表中の数値は 6反復

の平均値士標準偏差.

b) 同ーカラムにおける同じ英字間に 5%水準で有意差なし

(逆正弦変換後, Tukey-Kramer検定).

照区に対して約 83%減少)にとどまった. ニラ混植区では

3条目まで感染が広がっていたものの,平均発病株率は約

1.4% (約 65%減少)と低かった. 3連作目には,いずれの

試験区においても 4条目まで感染が拡大していたが,やは

り対照区で発病株数が最も多く,平均発病株率は 5%であっ

た.それに対して,ネギおよびニラの混植区ではそれぞれ

同約 2% (約 60%減少)および同約 3%(約 40%減少)と

低かった.

農家 A圃場では, 3連作目 (7月7日に調査)から 4連作

目 (9 月 9 日に調査)にかけて対照区の土壌から約 42~

第4表 農家 B圃場におけるホウレンソウ萎凋病発生の推移

発病株率 (%)a)

処理区 2連作目(調査日: 7月7日) 3連作目(調査日: 8月12日)

1条目 2条目 3条目 4条目 平均 1条目 2条目 3条目 4条目 乎均

対照区 4.9土4.3a bl 4.8土9.4a 2.2士5.4a 4.2土10.2a 4.0士7.3a 6.1士6.8a 6.8土11.4a 5.3士6.5a 1.7士4.1a 5.0士7.4a

ネギ混植区 2.1土5.1a 0.8土1.9a 0.0士0.0a 0.0士0.0a 0.7士2.7a 2.3士3.8a 2.2土5.3a 1.0士2.2a 1.7士2.6a 1.8士3.5a

ニラ混植区 2.5土6.1a 2.3士3.6a 0.9士2.1a 0.0土0.0a 1.4士3.6a 1.9士4.5a 5.1土7.3a 3.3士8.2a 0.7士1.6a 2.8土5.8a

a)畝肩から 4条目までの各条の発病株率を算出.表中の数値は 6反復の平均値土標準偏差.

b)同ーカラムにおける同じ英字間に 5%水準で有意差なし(逆正弦変換後, Tukey-Kramer検定).

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92 日本植物病理学会報第 83巻第2号平成29年 5月

第 5表 高山市の現地2圃場における Fusariumoxysporumの土壌中生菌密度の推移

菌数 (cfu/g乾土)a)

7月7日 7月29日 8月 12日 9月9日 10月22日

対照区 0~41.7 (13.9) b) 0~41.7 (6.9) _c) 0~291.7 (62.5) N.D.

A圃場 ニラ混植区 N.D. N.D. o~s3.3 c21.s) 0~41.7 (6.9) ネギ混植区 N.D. N.D. N.D. N.D.

対照区 N.D. 0~41.7 (6.9) N.D. 0~41.7 (34.7) B圃場 ニラ混植区 0~41.7 (6.9) 0~41.7 (6.9) 0~875.0 (180.6) 0~41.7 (20.8)

ネギ混植区 N.D. N.D. N.D. N.D.

a)表中の数値は,菌密度の幅 (6反復の乎均値).

b) N.D. は,土壌の 10倍希釈液でも検出されなかったことを示す.

c)ーは未測定

292 cfu/g乾士程度の Roxysporumが検出される場合があっ

た(第 5表).ただし, 5連作目の調査 (10月 22日に調査)

では検出されなかった.ニラ混植区では, 3連作目には同菌

が検出されなかったものの, 4連作目と 5連作目には約 42

~ss cfu/g乾土程度検出される区があった.一方,ネギ混植

区では調査期間を通じて同菌は全く検出されなかった.農

家 B圃場においても,ネギ混植区では調査期間を通じて同

菌は全く検出されなかった.それに対して,対照区では 3

連作目から 5連作目にかけて Roxysporumが検出された.

また,ニラ混植区でも 2連作目から同菌が検出された.

考察

ホウレンソウ萎凋病は夏ホウレンソウの減収を招く最も

重要な病害のひとつであり,全国各地の夏ホウレンソウ産

地で深刻な問題となっている(上田ら, 2002;前川ら, 2011;

三木ら, 2012). 本病に対しては太陽熱や土壌燻蒸剤を利用

した土壌消毒が有効である(佐古ら, 1991). しかし,土壌

消毒するためには単価が最も高くなる夏場に 1度休作しな

くてはならないため,士壌消毒を行わない生産者も少なく

ない夏ホウレンソウの生産星が全国 1位の岐阜県飛騨地

域では,萎凋病対策として 5 月中旬~6 月上旬頃にクロルビ

クリン剤を用いた土壌消毒を慣行的に行っているが,土壌

消毒後に本病が再発することが多く生産者を悩ませている.

土壌消毒後に発生する萎凋病を追加防除する手立てが現状

では見当たらず,補完的な防除法の確立が望まれていた.

一方で,ホウレンソウ萎凋病と同じ Fusariumoxysporumを

原因菌とするウリ類つる割病がネギ類の混植で抑制できる

ことが古くから知られていた(有江ら, 1987). 最近になっ

て,ネギ類の混植や輪作がバナナのパナマ病にも有効であ

ることが報告された (Huanget al., 2012; Wibowo et al., 2012;

Zhang et al., 2013) . これらの報告から,ネギ類の混植はホウ

レンソウ萎凋病の防除にも利用できるのではないかと考え

た. しかし,飛騨地域のホウレンソウ生産地では刈取式収

穫機による機械収穫が定着しており, ウリ科作物の場合の

ように株元にネギ類を植え付ける方式の混植法が利用でき

なかった.そこで,土壌消毒効果の及びにくいハウスサイ

ド側の畝肩部が萎凋病の主な感染源となっている点に着目

し,畝肩だけにネギ類を混植する方法を考案した.畝肩に

ネギ類を定植するのであればホウレンソウ収穫の邪臆にも

ならず,最終収穫までネギ類を植え替えることなく混植栽

培を続けることができる.

ネギ属には約 750種が存在し (Stearn,1992), 日本では

ネギやニラ,タマネギ,ニンニク, ワケギ, ラッキョウな

ど10種類程度は食用として栽培されている.本研究では,

栽培が比較的容易かつ混植に利用されることの多いネギと

ニラのホウレンソウ萎凋病抑制効果を検討したまず,プ

ラントボックスを用いた室内試験で,ネギおよびニラの混

植がホウレンソウ萎凋病の発病に及ぼす影響を調べた結果,

両植物とも同病に対して発病抑制効果を示すことが確認さ

れた(第 1表).つぎに,圃場を模したコンテナ試験でも,

ネギ類混植の発病抑制効果が確認された(第 2表). これら

の試験結果に某づき, 2軒の生産農家において,士壌燻蒸消

毒後に畝肩部ヘネギおよびニラを混植し,その後の萎凋病

発生の推移を調べた結果,いずれの圃場においても統計学

的な有意差はないものの対照区に比べて混植区では発病株

率が低く推移し,ネギ類混植が萎凋病抑制に有効である可

能性が示された(第3,4表).

圃場試験での発病株率のデータではネギおよびニラの萎

涸病抑制効果に優劣をつけられなかったものの,プラント

ボックスおよびコンテナ試験ではネギ混植の方がニラ混植

に比べて萎凋病抑制効果が優る傾向にあった(第 1, 2表).

圃場試験を行った生産農家 2軒の土壌中の F.oxysporum菌

Page 8: ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制 誌名 日本植物病理學會報 = Annals of the Phytopathological

Jpn. J. Phytopathol. 83 (2). May, 2017 93

密度を調べたところ,ネギ混植区では調査期間を通じて検

出されなかったが,ニラ混植区では検出される場合があり

(第 5表),ネギとニラの問でF.oxysporumの増殖・蔓延抑

制効果に違いが認められた. この結果は,浅)II (1992) の

報告と良く一致するものであった.浅川は,畑からキュウ

リおよびニラ,ネギの根を採取し,士壌が付着している状

態で駒田培地上に置いて Fusarium菌の検出を行った.その

結果,キュウリとニラからはRoxysporumが分離されたが,

ネギからは分離されなかったと述べている. この報告の中

で同氏は,ネギ根からはRoxysporumが分離されない代わ

りに,同菌に拮抗性を示す細苗ばかりが出現したという興

味深い記述をしている.拮抗細菌に関しては, Suzukiet

al. (2013)が同様の報告をおこなっている.それによれば,

Pseudomonas C-F-C培地 (PseudomonasおよびBurkholderia

の選択培地)を用いてネギおよびニラ,キュウリの根圏士

壌から分離した細菌のRoxysporumに対する拮抗性を検定

し,拮抗細菌数を比較した結果,ネギ根圏にはニラ根圏お

よびキュウリ根圏に比べて拮抗性Burkholderiaが数十倍か

ら数百倍もの密度で生息していた. これらのことから,本

研究でニラ混植区の土壊からはRoxysporumが分離された

のに対し,ネギ混植区の土壌からは分離されなかった原因

として,ネギ根圏に高密度で生息する拮抗細菌の抗菌作用

が関与している可能性が考えられた.一方,ネギ類の根分

泌物には広範な微生物に抗菌性を示すアリシンなどの抗菌

物質が含まれることが知られている (Lanzottiet al., 2013).

ネギやニラが根から士嬢中にどの程度の抗菌物質を分泌し

ているのか定かではないが,ニラに比べてネギの方が多量

の抗苗物質を分泌しているためにRoxysporumの増殖が著

しく抑制された可能性もある. また, これらに加えて,根

系の構造的差異も重要な要因であると考えられる. プラン

トボックス試験, コンテナ試験および圃場試験のいずれに

おいても,試験終了時にはネギとニラともに隣接株の根同

士が互いに絡み合うまでに根系が発達しており,根系の範

囲という点では目立った差は見られなかった. しかし,ネ

ギは多数の細根を生じていたのに対して,ニラはネギに比

べて根が太く細根が少ないという構造的な違いがあった.

このような根の構造的差異は上述の拮抗細菌の分布や抗茜

性分泌物の土壌中への拡散に影響し得ることから,ネギと

ニラの発病抑制効果やF.oxysporumの増殖・蔓延抑制効果

の違いに問接的に関与している可能性がある.

現場へのネギ類混植の普及を進めるためには,最適混植

密度の検討を圃場において行う必要がある. コストと作業

の手問を考慮すると,株間を広く取り定植株数を最低限に

とどめることが重要である.本研究で実施した圃場試験で

は株間 10cmでの防除効果を検討したが, コンテナ試験に

おいてネギは株間 10cmと15cmで発病抑制効果に差が見

られなかった(第 2表)ことから,株間 15cmあるいはそ

れ以上の株間で定植した際の防除効果を圃場試験で今後検

証しなくてはならないと考えられる.ニラに関しては,株

間による発病抑制効果に有意な差が見られ,株間 10cmの

方が 15cmより抑制効果が高かった.ニラとネギを比べる

と,株間 10cmでニラを植え付けた区よりも株間 15cmで

ネギを植え付けた区の方が発病株の発生が少なく,発病抑

制効果が高かった. このことから, コストと定植作業の手

間の面から見て,ニラよりもネギを混植する方が実用的で

あると考えられた.

圃場試験では約 8ヶ月間育苗したニラおよび約 2ヶ月問

育苗したネギを混植に用いた.ニラは促成栽培においても

約 4ヶ月間の育苗期問後株の養成に約 5ヶ月を要する(小

松ら, 1998). それに対して,ネギは育苗期間が通常約 7週

間から 3ヶ月問程度であり,移植後約 4か月で収穫期とな

る(小原ら, 2004;霜田ら, 2010). 従って,ネギの方が二

ラより生育が早く,短期間の育苗で混植に用いることがで

きる.飛騨のホウレンソウ生産地でネギ類を定植できるの

は,必然的に土壌燻蒸消毒以降となる.萎凋病は,早けれ

ば土壌消毒直後の作から発生してしまうため,同病の蔓延

を抑制するには十分に生長したネギ類の苗を,ガス抜き後

速やかに植え付けることが望ましい.本研究の経験から,

混植用のニラ苗は最低でも半年以上は育苗しなくてはなら

ない. 6月頃に圃場へ定植することを考えると,播種は遅く

とも 12月頃となるが,積雪量が多い飛騨地方で冬場にニラ

を栽培するのは現実的ではないその点,ネギは 3月頃か

ら栽培を始めれば 6月の定植に間に合う. このことからも,

ネギの方が混植には適していると考えられた.

近年,飛騨地域ではホウレンソウ白斑病の発生がしばし

ば問題となっている.同病の病原菌である Stemphyliumbot-

ryosumはネギ葉枯病およびニラ褐色葉枯病の病原でもある

(酒井ら, 2002;三澤 2012) ことから,ネギ類の混植によ

るホウレンソウ白斑病の発生助長が懸念された.そこで,

圃場試験用ハウスおよび別棟のハウスでのホウレンソウ白

斑病の発生状況を比較したが,差は認められなかった(デー

夕未掲載).

本研究から,雨除けハウス内の畝肩へのネギ類の混植が

ホウレンソウ萎凋病の抑制に有効である可能性が示された.

特に,育苗期問も短く,株間も広く取れ,かつ土壌中の病

原菌の増殖を安定的に抑制できるという点から,ネギを利

用した混植栽培の実用性が高いと考えられた.

Page 9: ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制ネギ類の混植によるホウレンソウ萎凋病の抑制 誌名 日本植物病理學會報 = Annals of the Phytopathological

94 日本植物病理学会報第 83巻第2号平成29年 5月

謝辞

本研究を行うにあたり,岐阜県農業技術センターより供

試菌株の分譲を受けた.また,飛騨ホウレンソウ部会の方々

に多大なご協力をいただいた. ここに厚く御礼申し上げる.

また,本研究は, 日本学術振興会科学研究費助成事業(若

手研究 (B))「ネギ属植物根濶への拮抗細菌集精の機構解明」

および平成 26年度岐阜大学活性化経費事業「ネギ混植の導

入による飛騨ホウレンソウの産地維持とブランドカ強化」

の補助を受けて行った.

摘要

夏ホウレンソウに被害をもたらす萎凋病の発生をネギお

よびニラの混植で抑制できるか検討したまず,プラント

ボックス試験でホウレンソウ萎凋病に対するネギ混植およ

びニラ混植の発病抑制効果を評価した結果,両方に高い効

果が認められた.つぎに,萎漉病菌接種培土と無接種培土

をコンテナに詰め,両培土の境界にネギおよびニラを 10cm

および 15cm間隔で植え,無接種培土側にホウレンソウを

播種して萎凋病の発生を比較した.その結果,ニラ混植区

では株問 10cmでのみ発病が有意に抑制されたが,ネギ混

植区では株間によらず発病が有意に抑制され,またその発

病抑制効果はニラ混植区よりも高かった.現地圃場での混

植の発病抑制効果を検証するため,土壌燻蒸消毒後に雨よ

けハウス内の畝肩にネギおよびニラを 10cm間隔で植え付

け,萎凋病の発生と土壌中のFusariumoxysporum菌密度を

調査した.その結果,栽培期間を通じて両混植区で萎凋病

の発生が抑制された.R oxysporumは,ネギ混植区の土壌か

らは全く検出されなかったが,ニラ混植区および対照区の

土壌からは検出される場合があった.以上の結果から,畝

肩へのネギおよびニラの混植がホウレンソウ萎凋病の防除

に利用できる可能性が示唆された.特に,ネギの混植が実

用性が高いと考えられた.

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