Fax.0186-46-2890かつて大掛かりな生産ラインが組まれていた工場内は広々としていて、...

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  • かつて大掛かりな生産ラインが組まれていた工場内は広々としていて、社内認定と国家検定の制度でひとりひとりのスキルの向上を目指している。

    エヌピーエス株式会社〒017-0005

    大館市花岡町字前田40-16Tel.0186-46-3131Fax.0186-46-2890

    http://www.nps-co.jp/

      ーター工場から技術を生かした  多品種少量生産にシフト 大館市花岡地区の旧花岡鉱山跡地一角に本社工場を構えるエヌピーエス株式会社は、1987年に秋田県と大館市の誘致企業として当地に進出した。電子タイプライターやパソコン用プリンターなどの紙送りやヘッドを動かす部品であるステッピングモーターを製造販売する日本パルスモーター株式会社の子会社として、国内の生産拠点のひとつとしての役割を担ってきた。 当初は日本パルス大館株式会社と名乗り、のちに親会社と合併、更に事業内容の移行に伴って再度親会社から分社して、2008年2月より現在の社名で事業を行っている。親会社や海外にもネットワークを広げるグループ会社との連携も密で、現在の石山裕志社長も、工場長をしていた日本パルスモーターの岩木工場(青森県弘前市)から4年前にこの会社の社長に就任している。

      レームの出ない高品質製品を  世界中に向けて出荷 現在の同社の主力製品は、国内のベンチャー企業が特許を持つ「DNA自動抽出装置」。従来の遠心分離機型の装置に取って代わるもので、処理能力と操作性に優れ、国内外の医療機関や捜査機関に導入されている。昨年の震災発生時には、身元不明者の身元調査にもこの装置が多数使われたという。 同社では特許を持つベンチャー企業向けにほぼ一手にこの装置をOEM生産しており、ま

      本のモノづくり企業としての誇りを 次のステップに 今年4月で現社名での5期目の事業年度を終えた同社は、次期の重点施策として以下の7項目を掲げている。 1. 経営計画の達成 2. コストダウンの推進(海外調達を含む) 3. 消耗品(成型品)量産の確立 4. 新規事業・製品立ち上げのスピードアップ 5. 生産・品質管理システムの見直し 6. 技術力向上(ソフト設計、生産) 7. やる気を引き出す人事組織 社是は「顧客満足から感動へ」である。顧客の要求を100%満たすのは当然のこととして、たとえば、顧客の要求する納期より一日でも早く

     「6年ほど前まではこの工場でもモーターをつくっていました。しかし、ご多分に漏れず円高以降は国内生産では採算が悪化し、モーター製造は岩木工場と海外のグループ工場に集約し、ここではモーター以外の多品種少量生産の形態にシフトしてきました」(石山社長)

    た、同じ製品を海外の大手医療機器メーカーや大手試薬メーカーのブランドでも製造している。その結果、大館で製造されたこの装置が今では世界中に行き渡るまでになった。 「当社にはモーターをつくっていた時代からの製造技術の蓄積があり、パーツのひとつひとつまでこの工場内で内製できるのが大きな特長です。また、クレームの発生しない高い品質もこの工場の自慢で、大量生産時代と違って従業員のひとりひとりが幅広い工程を責任を持って仕上げるという現在の生産体制が功を奏していると思っています」(石山社長)

    届ける努力を惜しまないなど、日本のモノづくり企業としての矜持をおろそかにしたくないという思いのようである。 バブルに翻弄され、事業内容の大胆な見直し、従業員数の大幅な削減など、困難も多かったが、この会社は、逆境をバネにして次の飛躍につなげる企業風土を持っているようだ。「次の一手として、自社ブランドの製品を世に出したいと考えている」と、石山社長は意欲に燃えている。

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    医療機器分野の製品製造と検査はクリーンルームで行っている 寝たきりの人のための床ずれ防止装置は早い時期に手がけた。今でもコントロール用基板を製造出荷している 「DNA自動抽出装置」は海外の医療機器メーカーや試薬メーカーのブランドでも販売されており、それらも一手にここで製造されている装置本体のみならず消耗品など関連製品も一手に生産出荷のときを待つ海外ブランド向け製品インタビューに応じる石山裕志社長

    日エヌピーエス株式会社(秋田県大館市)

    クレームゼロの製造技術で国内外大手企業から厚い信頼

      ーター工場から技術を生かした  「6年ほど前まではこの工場でもモーターをモ  ーター工場から技術を生かしたモ  ーター工場から技術を生かした

    パソコン用プリンターなどに組み込まれるステッピングモーターの専門メーカーであったが、バブル崩壊で国内生産では採算性がとれなくなり、高い技術力を生かして多品種少量生産型の製造会社にシフト。モーションネット・コントロール&アクチュエータ技術(※)で世界を目指す。

    経営探訪

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    ※各種モーターによる位置制御の技術で、工作機械、ロボット制御、半導体製造装置、射出成形機やデジタル家電検査装置などの中核として大きな役割を担っている。

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    2012.06 2012.06

  • 株式会社北村スカーフ(秋田県秋田市)

    自分と同世代を対象に閃きとこだわりで開業パティスリー パルテール(株式会社ジェーユー)

    〒018-1504秋田県潟上市飯田川飯塚字家ノ越47-3Tel.018-893-5085 Fax.018-893-5085http://patisserie-parterre.jp/Open/10:00~18:00 Lunch Time/11:00~14:00 火曜定休

    わずか半年の準備期間で繁盛店に 潟上市飯田川の小玉醸造隣接地にあるスイーツとランチの店「パティスリー パルテール」は、平成23年5月のオープン。繁華街や大通りに面しているわけでもなく、必ずしも飲食店向きの立地とは言いがたい。にもかかわらず、今ではランチタイムに順番待ちが出るほどの繁盛店になっている。 果物をふんだんに使ったタルトケーキと地元の食材を積極的に用いた健康志向のランチメニューが自慢の店だ。 社長の齊藤順子さんは、ご主人の経営する電気機器会社を長年手伝ってきて経営に関する心得は少しはあったものの、飲食事業はまったく未知の分野。 「普通はこういう店を開くのには2年くらいの準備期間を設けるそうなのですが、私は何も知らない強

    みで、思い立ってから半年足らずで開業してしまいました」(齊藤社長)

    中高年がターゲットの店づくり 店に隣接する小玉醸造には、地元出身の水中写真家・中村征夫氏の作品を展示するギャラリー「ブルーホール」がある。来場者の多い人気のギャラリーだが、これまで周辺には飲食できる店や休める場所がなかった。そういう話が耳に入ってきたことが、齊藤社長がこの店を始めるきっかけになった。また、齊藤社長自身が休みの日にご主人と道の駅巡りなどをしていて顔なじみとなった同世代の人たちと話をしているうち、中高年世代が外でゆっくりできる場所が意外に少ないことも感じ始めていた。そこで、新しくつくる店は空間もメニューも中高年をターゲットにしたものにしようと決めた。

    反対されても最後は勘を頼りに 「飲食ビジネスの専門家の派遣を受けて料理の基礎やアレンジの仕方のアドバイスを受けました。その上で、地場の食材を積極的に使うとか、冷食は一切使用せず、例えばブイヨンも自家製にするとか、自分なりにあえてこだわったところもあります」(齊藤社長) 今の店舗の立地も、10人に相談す

    飲食店の事業は未知の分野で、気に入った店舗候補地も周囲から反対されるなど逆風の中での開業だったが、ふたを開けてみると予想以上の繁盛店に。自分と同世代の中高年向けの店にしようとしたとき、業界の既出データやセオリーよりも、最後にものを言ったのは自分自身の勘だった。

    センター事業活用事例平成23年度専門家派遣事業

    ショーケースに並ぶ彩り鮮やかなタルトはまさにパルテール(“花咲き誇る庭園”の意)。

    倉庫に使われていた建物の梁などを生かしながらおしゃれな空間に生まれ変わった店内。(写真上)データやセオリーよりも自分の勘を信じて開業に踏み切ったという齊藤順子社長(写真下)

    ると10人ともに反対された。それでも最後は、自分の勘に突き動かされるようにしてこの場所に決めたという。 今は秋田県のアンテナショップなどで販売できるような日持ちのする焼き菓子などを開発中だ。満足できる商品は出来上がったので、これからパッケージや包装方法などを改めて専門家からアドバイスを受けて戦略的に売り出していきたいと考えている。

    パティスリー パルテール(株式会社 ジェーユー)

    今までなかったものが秋田でつくられている株式会社 アスター

    先進技術に意欲的に取り組む社風 横手市平鹿町の株式会社アスターは、高い製造技術を強みにして多くの大手メーカーの家電製品やオーディオ製品の部品製造を手掛けてきた会社だ。長年工場長を務めてきた現在の本郷武延社長が、創業者から会社を引き継ぐ形で一昨年社長に就任している。 アスターはいわゆる下請け型の製造会社であったが、同時に、新しい製造技術の開拓に果敢に取り組む社風も持っていた。日本で青色発光ダイオードが発明されて間もない時期に、これを使って世界で初めてブルーレーザー(ブルーレイ)のピックアップを商品化して世に出したのはアスターだった。未知の領域の製品を出現させるのは至難の業であるが、それを可能にしたのがこの

    会社の高い技術力だったと言っていいだろう。

    LEDの有用性に早くから着目 昨年の東日本大震災の際には、長く停電が続く現地の様子をテレビで見て、大急ぎでLEDの卓上ランプを200個製作し、横手市役所を通して釡石市に無償で提供した。十分な光量があって消費電力が少なく、電池2個で200時間は明るさが持続するというLED照明の特性を生かした被災地支援だった。のちにこのランプは「スプーンライト」という商品名で東京の東急ハンズなどでも売られるようになり、1年足らずで1万個以上を売り上げた。 蛍光管型のLED照明も製造販売している。ひとくちにLEDと言っても粗悪品も多いそうなのだが、アスターでは早期にLEDに着目していた製造技術を生かし、高い品質にこだわり、かつ4年の保証をつけて販売している。地域の雇用を守るためにはとにかく多く売らなければいけないということで、薄利多売の考えで国内製品としては格段の低価格に設定している。

    独創技術がものづくりに変革を “カシメ”による接合技術もアスターの独壇場だ。溶接しないで十分な強度で部品同士を接合する工法

    地方によくある下請け型の製造会社でありながら、高い製造技術で大手企業からの信頼も厚く、また、進取の気性にも富んでいて特許を取得した自社開発技術も少なくない。みずからも技術者である代表者が、地域の雇用を守り人材を育成しながら、次々に新しい技術を生み出していく。

    センター事業活用事例ものづくりパワーアップ事業

    スプーンライトは東急ハンズなどでもコンスタントに売れているため生産も追われている

    溶接をしないカシメによる接合は同社の独壇場の接合技術。大手自動車メーカーの部品製造に採用が予定されている(写真上)みずからも技術者として、会社経営と技術開発に意欲的に取り組む本郷武延社長(写真下)

    季節感にこだわったタルトは午後には売り切れるものも多い

    東日本大震災の停電が開発のきっかけになったスプーンライト。非常時に重宝するスプーンライトだが、

    日常的に使えるようにカラーバリエーションも豊富。

    は、エネルギー節減、製造設備の簡略化、コストダウン、工程短縮などメリットが少なくない。 アスターではあきた企業活性化センターの事業を利用して、大手メーカーと仲介してもらい、この工法が今後の生産現場で使われる話が検討されている。 今まで世の中になかったものが秋田の地から次々に生み出されていく。なかなか夢のある話である。

    〒013-0105 秋田県横手市平鹿町浅舞字道川北18-3Tel.0182-24-1377 Fax.0182-24-0611http://ast-aster.com/E-mail [email protected]

    株式会社 アスター

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