(2014-12 ODPG) LibreOfficeコミュニティと製品について...

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LibreOfficeコミュニティと製品について この1年の振り返りと今後の展望 in ODPG 2014/12/19 榎 真治 ([email protected]) LibreOffice 日本語チーム This work is licensed under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported License.

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LibreOfficeコミュニティと製品について この1年の振り返りと今後の展望in ODPG2014/12/19

榎 真治 ([email protected])LibreOffice 日本語チーム

This work is licensed under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported License.

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自己紹介

LibreOfficeコミュニティLibreOffice日本語チームメンバーThe Document Foundationメンバー(2014/4-)関西LibreOffice勉強会 (2008年-)徳島LibreOffice勉強会 (2014年-)

その他、関わっているコミュニティ日本UNIXユーザ会幹事、KOFスタッフ、LILOなど

お仕事:フリーランスLibreOfficeのサポートなど

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アジェンダ

LibreOfficeコミュニティの振り返り

日本のコミュニティの振り返り

今後について

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今日のゴール

LibreOfficeコミュニティやプロダクトの現状を知る

LibreOffice導入/活用のアクションに使える情報を拾う

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今年も予定通り、順調にリリース

4.2 2014/1/30リリース4.2.0が不安定だったため4.2.1をすぐにリリース現在、4.2.8(4.2.xの最後)までリリースパフォーマンスの向上や使い勝手の向上など、Calcでは内部的な変更もあり、変更点が多かった

4.32014/7/29リリース現在、4.3.4 までリリース使いやすさの向上や、MSOfficeのOOXMLとの相互運用性強化が中心

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4.2リリース(変更点のピックアップ)

Writer文字に囲み線を設定できるように

Calc

処理の高速化、xlsxファイルインポートの高速化などパフォーマンス向上

統計関数、セル関数、グラフの種類の追加乱数が簡単に生成できるように

ImpressサイドバーがデフォルトにiOS版のImpress Remote(プレゼン操作できるアプリ)

Keynoteもインポートできるように

その他スタートセンターでファイルが呼び出せるようにOOXMLのインポートの高速化とフィルタ改善

http://www.slideshare.net/naruoga/whats-new42https://wiki.documentfoundation.org/ReleaseNotes/4.2/ja

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4.3リリース(変更点のピックアップ)

Writerコメントが余白に印刷できるようにネストされたコメントのインポート/エクスポートが可能に

DOCXフィルタの改善いろいろ

Calcセル式とセル枠のハイライトが同じ色にピボットテーブルのデータレイアウトが向上Excelとの相互運用性のために関数を追加

Impress/Draw表示中スライドを1クリックでウインドウサイズに合わせるglTFフォーマット3Dモデルをプレゼンにインポート可能に

その他スタートセンターでODF以外のファイルのプレビューやドキュメント単位で選択して削除できるように

https://wiki.documentfoundation.org/ReleaseNotes/4.3/ja

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4.4に向けて(割と地味?)

Writerマスタードキュメントもテンプレート機能が追加シェイプにテキストボックスを持てるように変更追跡の改善

Calc式から値への直接変更できるようにセル関数の追加ツールバーの改善。普段使うものに減らした

Impressスライドマスター画面ではテキストは直接変更しないようにOpenGLのWindows版が実装完了

https://wiki.documentfoundation.org/ReleaseNotes/4.4/ja

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タイムベースリリース

リリース時期を決めて、時期を優先してリリースする間に合わない機能は次のバージョンへUbuntuやGnomeなども採用

スケジュールが明確いつ何をすればいいか分かりやすいユーザー、コミュニティメンバどちらも予定が立てやすい

品質はマイナーバージョンアップごとに上げていく作戦最新版はそこそこリスキー組織導入では、最新版ではなく、安定版をオススメ

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リリーススケジュール

機能追加するメジャーバージョンアップは年2回1月末-2月頭 / 7月末-8月頭4.3、4.4 などバージョン番号の2つ目が増加

毎月バグ修正したマイナーバージョンアップ4.3.4、4.3.5などバージョン番号の3つ目が増加

最新版と安定版の2系統をメンテナンス現在は4.3.xが最新版、4.2.xが安定版4.4.xがリリースされると最新版になり、4.3.xが安定版に

リリース計画https://wiki.documentfoundation.org/ReleasePlan

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セキュリティの修正(脆弱性対応)

通常は、マイナーバージョンアップで対応するなので、リリースノートをチェックしておくバージョンアップしないと脆弱性対応は出来ない差分アップデートが欲しければ、Collaboraなどのサポートを購入して、そのビルドを利用する必要がある

今年は数件修正Heartbleedの修正も含む

4.2.6-secfixリリース4.2.6に対してセキュティ修正のみ行ったビルドを提供最新版4.3.1で修正したので、安定版でも同時に対応

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開発コミュニティ

毎月何名かずつ増えているアクティブな開発者は300名程度月単位でのアクティブな開発者は80名程度

ボランティアも相変わらず1/3程度占めている新しい貢献者を増やす活動を継続中

Hackfestによりオフラインで集まってフォローHackfestは回数も増加

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開発について

ソースコードレビューが通ったものがマージされるコミットされ、レビューが通ったものが10000件を超えた

LibreOffice開始以来、約7400のバグ修正Bugzillaベース

静的解析ツールのCoverityでチェックして修正検出数が10万行あたり7つに4.3.5では0になったそうです

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相互運用性

Microsoft OOXMLとの相互運用性の向上CollaboraやLanedoを始めとするサポートベンダはサポートの中で修正してコミットCloudOnも修正パッチを投げている今年のカンファレンスではSYNERZIPという企業のエンジニアが取り組みを発表していたバージョンアップごとに向上は期待できる様々なファイルをインポートできるようになりつつある

Keynote、Visioなど

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モバイル

開発者向けは出ているが、ユーザー向けはリリースされていないもう少し時間がかかりそうCloudOnドキュメントエディ ターの最新版はLibreOfficeベースらしい

http://www.cloudon.com/press/cloudon-brings-productivity-to-tablets-with-gesture-first-document-editor

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QA

ミッション計画は策定中...(カンファレンスの時は)IRCミーティングなどで議論

TDFは、QAエンジニアとして2014/8からRobinsonを雇用元々ボランティアとして、Joelと並んでQAの中心メンバ

Bugzillaのマイグレーション現在は、Freedesktop.orgに間借りしている検索しにくかったり、カスタマイズできず使いにくい面があり、TDFのインフラに移行する

2014カンファンレス資料

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QA:バグトリアージ

Bugzillaが整理されておらず、報告が埋もれる未確認(unconfirmed)は今年も取り組み、500以下へ

2013/12/30では781

ただし、新規(new)は8400以上ある

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カンファレンスのQA発表資料より

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4.2.0でのクラッシュバグ

4.2.0ではクラッシュバグが複数含まれていたCalcなど、データ構造などコアまで変更したベータ版などであまりテストする人がいなくて見逃した

即座に修正されて、4.2.1をリリースリリース直後に報告が集まる対応は早かった

ベータ版で報告されていれば、早く直せた情報部門の方はベータ版から検証されることをオススメ

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QA:バグハンティングセッション

ベータ版やRC版をインストール、使ってみてバグをレ

ポートするイベント

世界中で、週末の3日間に集中的に行う

今日から3日間も(12/19-21)

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The Document Foundation(TDF)

Board of Directors意思決定機関選挙により、今年2月に新メンバに移行

Membership Commitee選挙管理など今年は改選のため、MCの選挙があった

Board of Trusteesメンバーのこと209名、うち日本人は4名(2014/12/18にWeb参照時)

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2013年アニュアルレポートより

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Advisory Board

TDFの助言機関であり、スポンサー今年は”ITOMIG”と”CIB Software”が新たに参加

現在16団体のはずITOMIG

2004年にチュービンゲン大学からスピンオフした企業フリーのオフィスソリューションのサポートなど

CIB Software文書のライフサイクルを管理するアプリを扱う四半世紀にわたりドイツの主要な金融機関向けに提供

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TDFのスタッフ

昨年のカンファレンス時の2名から6名に増加エグゼクティブ・ディレクター:Florian Effenbergerリリースエンジニア:Christian Lohmaierリリースコーディネート:Sophie Gautier認定:Italo Vignoliインフラ:Alexander WernerQA:Robinson Tryon

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LibreOffice認定制度

個人のスキルを認定し、エコシステムを形成するため

認定開発者はすでに実施中

移行およびトレーニングのプロフェッショナルが開始現在はTDFメンバーのみ。来年4月からは一般も

TDFのメンバーの場合スキルがあれば無償で認定される開発者はTDFメンバーのみ認定される

http://www.documentfoundation.org/certification

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寄付について

500日間の寄付回数が10万回に(ユーロではないと思う)2013年5月から2014年9月まで

ありがとうございますそれだけ応援してくださっている方は多いのかも金額が増えれば出来ることも増える。今はまだインフラ維持費用+α程度

寄付も貢献活動プロジェクトに直接参加できる時間やスキルがない場合でも、お金を出すという選択肢はあり

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カンファレンス

今年はスイスのベルンで開催2014年9月2日から5日の3日間日本人参加者は小笠原さんとKoheiさん(アメリカから)小笠原さんのレポートスライドIT Proのレポート

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/092900079/スライド

http://conference.libreoffice.org/2014/talks/ビデオ

https://www.youtube.com/channel/UCQAClQkZEm2rkWvU5bvCAXQ

来年は、デンマークのオーフスで開催

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ODF

イギリス政府がオープンなファイル形式への移行を宣言2014/7/22に内閣府長官からプレスリリースHTMLやPDFとともに、ODFも挙げられる

イギリス政府のプレスリリース

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Document Liberation Project

ベンダロックインを回避して、自由なドキュメントへ移

行するためのプロジェクト

様々なプロプライエタリなファイル形式から、

LibreOfficeへのインポートするフィルターをライブラリ

として整備する

TDFの2つ目のプロジェクトとして今年4月にスタート

http://www.documentliberation.org/

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日本での活動

UI/Helpの翻訳Web、アナウンスの翻訳イベントあたりが活動の中心

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日本のコミュニティ:翻訳

UIはほぼ出来ている

ダイアログなどのUI変更は完了したが、その影響で翻訳しなおし部分が4.4でもたくさんある

Helpの未訳が増え続けているアナウンスは安部さんがコツコツWebサイトは松宮さんがカバー

コミュニティ運営系の情報が載るWikiは必要なところのみ翻訳それ以外のドキュメントはほとんど出来ていない

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4.3UIは若干未訳がある程度

4.3Helpは未訳が少なくない

4.4は締め切りが正月ごろ

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私はものぐさな性格で普段やらないことはつらいので、イベント化してみました

興味を持たれたらご参加ください

http://connpass.com/event/10677/

関西LibreOffice翻訳もくもく会 2014/12/21

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日本のコミュニティ:開発

ビルドやパッチについて日本語メーリングリストでも質問ややり取りを見かける勉強会資料など、情報は増えつつあるパッチを書いている人は相変わらず少ない関東ではHackfestで、オフラインでの機会を作りつつある

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日本のコミュニティ:QA

各自でバグレポート企業や役所の方でもレポート書かれている場合も

日本語メーリングリスト質問や情報交換もボチボチしているが...人手も少ないのでバグレポートまでいけないケースも

フィードバックが少ないので、バグに気が付かない組織内で閉じてしまっているどこかでツイートされてもフォローできない

BugzillaへレポートするQA(英語)や日本語メーリングリストに投稿する

質問サイトに投稿するのいずれかを推奨

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日本のコミュニティ:QAその2

バグハンティングセッションをオフラインで実施ベータ版やRC版を使って、バグを見つけてレポートする4.4向けに関東と九州(福岡)で行った明日も関西で実施

たぶん2人くらい。参加者募集中!http://connpass.com/event/10676/

関東も明日にイベント実施http://kantolibo.connpass.com/event/10713/

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質問サイト(日本語)

日本語版も今年できました!

http://ask.libreoffice.org/ja/questions/

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日本でのLibreOfficeイベント

LibreOffice mini Conference 2014 Tokyo/Japan日本語チーム主催で6月に開催2013年に続いて2回目開発よりの内容。ハンズオンもあり

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勉強会、オフラインミーティング、HackFest(合計で19回)

関東LibreOfficeオフラインミーティング(#11-19)9回関東関東LibreOfficeハッカソン(#2)関東LibreOfficeHackFest(#1-2)関西LibreOffice勉強会(#6-8)3回例年通りのペース

徳島LibreOffice勉強会(#1-2)2回今年スタート。次回は2月ごろで日程調整中

浜名湖LibreOffice勉強会(#3)九州LibreOffice勉強会(#5)

HackFestが効果ありそうという感触関西でもやってみたい

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他のイベントへの参加

オープンソースカンファレンス(ほぼ全部)10回セミナー、ブース出展(個人的には8つ参加)

KOFセミナー、ブース出展オープンテック・ショーケース・ヒメジ

ブース出展。地下街のところで通りがかりの人向けLibreOfficeの日@JUSO-Coworking

今年から個人的に試みてみた毎月第3水曜日に固定(12月は都合で第2水曜)15時-21時の間、私がドロップインで利用させて貰ってますLibreOffice関連で定期的に集まる場にしたい

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関東LibreOfficeハッカソン(#2) & DocFest 2014 Tokyo/Spring

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OSC東京春(上)とOSC福岡(下)

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LibreOfficeの日@Juso Coworking一番集まった日かも...

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先日の第8回関西LibreOffice勉強会大釜さん撮影

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LibreOffice Advent Calendar 2014

クリスマスまで毎日誰かが記事を書くもの25日全部予定がうまっている今日まででも、いろんな種類の面白いネタがありますhttp://www.adventar.org/calendars/507

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コミュニティの今後の予測(私見)

LibreOfficeコミュニティは良くも悪くも落ち着いてきた

製品としては一定速度での開発は期待できる

来年も予定通りリリースし続けるだろう

品質は少しづつ向上は期待できるが、ユーザー組織も

貢献できるところなので、ぜひ参加を!

大きな飛躍のためには、フルタイマーが必要

モバイルやクラウドについてはまだまだかかりそう新たな企業が参入してくれば別2013年ごろに入ってきたCloudOnの貢献も大きい

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来年にむけて(個人的な予定)

LibreOfficeへの貢献者を増やしたいHackfestを関西でもやっていきたい

日本のmini conferenceは来年も

勉強会は関西と徳島は年3-4回目標ローカル側で動いてくれる人がいる場合は他も行く

カンファレンスはお金がしんどいので未定いくなら発表したい発表する場合は旅費補助は出るらしい(ユーザ企業やサポート企業の方はぜひ発表を)

QAはイベントベースで関わり

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Q&A

Enjoy LibreOffice Life!Thank you!