魅力ある学校づくりからの地域づくり...2011/10/26  ·...

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魅力ある学校づくりからの地域づくり ~島前高校魅力化プロジェクトの事例~ 岩本 1

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  • 魅力ある学校づくりからの地域づくり ~島前高校魅力化プロジェクトの事例~

    岩本 悠 1

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    k-hamaタイプライターテキスト資料3-2-①

    k-hama長方形

    k-hamaタイプライターテキスト岩本悠氏配布資料

  • 岩本 悠 (Iwamoto Yu)

    ・1979年 人形劇団の長男として東京に生まれる

    ・学生時代、一年間アジア-アフリカ20ヵ国の地域開発の現場を巡る。 帰国後、その体験学習録『流学日記(文芸社/幻冬舎)』を出版。

    その印税でアフガンに学校を建設。『こうして僕らはアフガニスタンに学校をつくった(河出書房新書)』

    ・卒業後、ソニー(株)で人材育成・組織開発・ 社会貢献事業に従事。その傍ら途上国の教育支援活動や、全国の学校で開発教育・キャリア教育に取り組む。

    ・2006年 日本海の離島 海士町へ移住し、教育委員会にて人づくりからのまちづくりを推進。その実践をもとにリーダーシップ開発を研究

    ・現在は、島唯一の高校を起点に、地域起業家的人財を育成する新コースや学校-地域連携型公立塾の立ち上げ、全国から次々世代の地域リーダーの卵を募集する「島留学」の創設など、地域をつくる学校づくりに取り組む。

    免許: 幼稚園・小学校・中学校・高校(英語・公民)の教員免許

    趣味: 神楽

    家族: 妻1人、0歳児1人 2

  • 海士町 (あまちょう)

    東京

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  • 離島中山間地の学校を取り巻く状況 ~島前高校の場合~

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  • 20

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    H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21

    12年間で島前地域の中学生の数は3分の1に(122人→41人)

    島前3中学校の卒業生総数の推移 人

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    H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20

    島前高校への入学者数の推移

    入学者数も約3分の1に(77人→28人) 全学年1クラス 島唯一の高校に存続の危機が迫る

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  • 島前3中学校から島外の高校への流出率推移

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    H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20

    島前の中学生の約55%が島外の高校へ流出 (親の経済力が高く、大学進学希望がある子どもほど島外へ出ていく傾向)

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  • 保護者、子どもを中心に不安が高まる

    「高校があると聴いて家族でIターンしてきたのに、 うちの子が大きくなったときには

    高校がないかもなんて、詐欺じゃないですか」

    「島前高校がなくなったら、島に住んでられません。 本土に出て、そこで仕事を見つけて、 子どもたちを高校に通わせます。」

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    90~

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    80~84

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    70~74

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    35~39

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    25~29

    20~24

    15~19

    10~14

    5~9

    0~4

    (歳)

    (H15.12.26) ※15歳で島を離れることに⇒高校に行けない子、本土で潰れる子が頻出 ※仕送り等で子ども一人あたり3年間で約450万円⇒出生率の更なる低下 ※子連れの家族の島外流出 + 家族でのUIターンの激減 ※将来のUターン率(約20%)の低下 ⇒ 地域文化や行事の維持困難 ※超尐子高齢化が一気に加速 ⇒ 町村の自立・存続不能

    この層が島から激減 島の存続危機へ

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  • 県教育委員会の考え 魅力と活力ある県立高校のあり方について(答申) H20年3月21日

    • 小規模化が進む中山間地域の高校について –生徒数の推移によっては存続の可否について検討しなければならない状況にあるため、

    今後の高校のあり方や生徒数の確保を含む学校活性化の方策などについて、各地域においても具体的な議論が望まれる。

    魅力と活力ある県立高校づくり検討委員会

    県として全体の統廃合基準はつくるが 各校の活性化策はつくらない。

    「各学校、各地域ごとにやってください」 10

  • 島前高校の教職員の状況

    ●3年間(H17-20)で教員約4割が削減 (19人→12人)

    ●実習助手、図書館司書もおらず図書館には鍵

    ●教員が専門以外の科目も教えており、進学に不利

    ●物理が履修できないため、理系進学はできない

    ●尐人数で大規模校と同じ分掌をこなし教員は多忙

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  • 学力分布

    0

    5

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    20

    27.5- 32.5- 37.5- 42.5- 47.5- 52.5- 57.5- 62.5- 67.5-

    人数 (人)

    偏差値得点

    本土と離島の高校の違い(イメージ)

    A高校 B高校 C高校

    離島の高校

    学力分布

    学力分布図参考:全国学力調査 文部科学省 数Ⅰ 成績分布 高校3年生 約15万人 平成17年度

    離島は本土よりも尐人数クラスでの指導の必要性が高い しかし、今はクラス定員は同じで、教員数は尐なく不能。 12

  • 離島に生まれた子は なぜ、これだけの 教育ハンディを受けることになるのか?

    憲法が謳う「教育の機会均等」は 離島には適応されないのか?

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  • 離島等の地理的条件を考慮しない 全国一律の基準による『標準法』

    公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律

    • 「教育水準の維持向上に資することを目的」とし、生徒数(収容定員)をもとに教職員数を算定する法律

    • 生徒100人程度の離島の高校だと、教員8名という算定。

    • 8名では高校教育は成り立たないので、県が負担。

    • 人口が増える時代に、「適正規模化」が可能な本土を前提に作られた基準。統廃合が不可能な「離島」という視点がまったく考慮されていない。

    人口減尐時代に、離島等の多様な地域も考慮した「適正」や「標準」に改正が必要 14

  • 東京都の離島の高校と島前高校の教員数の比較

    平成19年度 東京都公立学校一覧参照

    高校名 生徒数 教員数 事務員数

    八丈町(8495人)

    八丈高校 204人 41人 9人

    大島町(8900人)

    大島高校 171人 36人 10人

    島前地区(6300人)

    隠岐島前高校 91人 15人 3人

    三宅島村(2402人)

    三宅高校 52人 25人 8人

    補足資料

    自治体の経済格差が教育格差に・・・ 15

  • そんな状況下で、島前地域と高校が連携し

    島前高校魅力化プロジェクト発足

    『存続』⇒『魅力化』 『存続』を目指すと存続しない。

    生徒が「行きたい」、保護者が「行かせたい」と思い 地域も「必要だ」と思う、

    『魅力ある学校づくり』を目指す。

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  • 役員

    島前3町村の 町村長、議長、教育長、総務課長、

    3中学校校長、高校校長、PTA会長、 OB/OG会長等

    指標 1.島前3町村からの入学率増

    2.島前地域外からの入学数増

    高校と地域の連携による推進母体の整備 (H20年3月25日)

    隠岐島前高等学校の魅力化と永遠の発展の会(魅力化の会)

    ワーキンググループ(WG)で魅力化構想策定 現在は推進協議会にて魅力化実現へ

    現状・ニーズの 把握

    基本方針の 検討

    構想と取り組み案の 作成

    県などと協議しながら

    実現可能な構想と 計画の作成

    最終 答申

    4月 10月 7月 12月

    実行

    ・中学高校の生徒、保護者、 教員へアンケート

    ・3町村での地域意見交換会 ・3町村議会との意見交換会 ・高校教員との意見交換会

    WGの流れ

    県への 提言

    推進体制 整備

    ・先進事例調査 ・地域内外への広報

    H21年4月

    ・3町村長と校長が 県知事、島根県教育長へ提言 ・メディア発表

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