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516323 川村 宜也 土壌圏システム学教育研究分野 217日(月)卒論発表会 黒ボク土への水の浸潤にともなう 地温分布の形成メカニズムの解明

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516323 川村宜也土壌圏システム学教育研究分野

2月17日(月)卒論発表会

黒ボク土への水の浸潤にともなう地温分布の形成メカニズムの解明

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はじめに(発熱に寄与する吸着分子層)

吸着分子層

𝒒𝒘𝟏大

発熱量𝒒𝒘 ?

発熱する分子層の厚さ ?

土粒子表面

吸着熱𝒒𝒘𝟐 𝒒𝒘𝟑 ・・・ 𝒒𝒘𝒏

湿潤熱

伝導

吸着による発熱

移流による放熱

地温分布への影響 ?

土の種類の影響 ?

弱吸着力

比表面積

熱伝導率滴下流速

・浸潤による土の発熱とそれによって生じる地温分布の形成メカニズムを解明する

土の種類が及ぼす影響の検討吸着分子層の厚さと発熱量の推定

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初期水分条件 湿度50 %,温度30 ℃で一定期間保存

試料

乾燥 初期 分子層 比表 熱伝導率

密度 含水率 厚さ 面積 (W/mK)

(g/cm3) (cm3/cm3) (層) (m2/g) 初期 飽和

熊本風

0.790.09 2.7 151.4 0.16 0.75

炉 0.05 1.8 116.1 0.15 0.72

長野風

0.790.07 2.5 124.3 0.14 0.69

炉 0.03 1.6 89.5 0.14 0.69

三重風

1.100.04 2.1 60.9 0.19 1.06

炉 0.02 1.5 49.2 0.17 1.09

鳥取砂丘砂

1.56 0.02 5.0 9.6 0.24 1.63

* 水分吸脱着装置(VSA) ** 熱特性計(KD2Pro)

* **

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方法室温25℃一定流量(5, 4, 2.5, 0.5 cm/h)で滴下

測定項目地中温度、浸潤水温度、室温(℃)浸潤速度(cm/h)

実験方法

・カラム浸潤実験

・数値解析

使用ソフト : HYDRUS-1D計算条件:試料 30 cm、初期圧力:実測水分条件:一定フラックス(実測)温度条件:上端 温度一定

水温・初期温度:実測

熱電対

35cm

5cm

@25℃

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0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

0 1 2 3 4 5

𝑪𝐬𝝏𝑻

𝝏𝒕= 𝝀

𝝏𝟐𝑻

𝝏𝒛𝟐− 𝑪𝐰

𝝏𝒒𝑻

𝝏𝒛+ 𝑯𝐰

伝導・分散 移流 発熱

熱伝導方程式

方法(数値解析)

𝑯𝒘 = 𝒒𝒘

𝒅𝜽

𝒅𝒕𝜽𝐈𝐧𝐢 < 𝜽 < 𝜽𝐋𝐢𝐦

𝟎 𝜽𝐋𝐢𝐦 < 𝜽

𝒒𝐰 :吸水量当たりの発熱量𝜽𝐈𝐧𝐢 :初期含水率𝜽𝐋𝐢𝐦 :発熱可能含水率 𝜽𝐋𝐢𝐦𝜽𝐈𝐧𝐢

𝒒𝐰

含水率𝜽

発熱量

リチャーズ式𝝏𝜽

𝝏𝒕=𝝏

𝝏𝒛𝑲 𝒉

𝝏𝒉

𝝏𝒛+ 𝟏

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24

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28

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0 100 200 300 400

0

5

10

15

20

25

30

24 25 26 27 28 29深さ(

cm)

24

経過時間(min)

26

28

25

27

100 3000 400200 26 2824 2730

15

5

25

10

0

20

25

地温(℃)

結果(地温変化の概要)

21 地温(℃)

29

29

●熊本風 ▲三重風

―熊本風(数値解)

地温は時間経過にともない上昇し、その後下降上昇・下降にかかる時間は試料ごとに異なる

昇温時間

降温時間

昇温量

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150

175

200

225

250

0 0.5 1 1.510

20

30

0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2

乾燥時の熱伝導率(W/mK)

結果(熱伝導率の影響)

昇温時間は乾燥時の熱伝導率に比例→ 伝導に影響大降温時間は湿潤時の熱伝導率と相関無し→移流・分散の影響大

10

20

25

15

30

昇温時間(

min)

0.12 0.160.1 0.20.14 0.18

風 炉熊本 ● ○長野 ■ □三重 ▲ △鳥取 ×

降温時間(

min)

1.00 1.50.5150

175

225

200

250

湿潤時の熱伝導率(W/mK)

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0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 40 80 120 160

0

1

2

3

0 2 4 6

比表面積(m2/g)

結果(比表面積・滴下流量の影響)

昇温量は比表面積に比例→吸着量の増加昇温量は 低流量部→流量の増加により増加

高流量部→流量の増加により低下

10

20

25

15

30

昇温量(℃)

800 16040 120

風 炉熊本 ● ○長野 ■ □三重 ▲ △鳥取 ×

昇温量(℃)

40 620

1

2

3

滴下流量(cm/h)

5 cm/h4 cm/h0.5 cm/h

吸着分子層の厚さ移流の影響

濡れる面積の増加

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0

2

4

6

8

0 2 4 6 80

2

4

6

8

0 40 80 120 160

𝜽𝐋𝐢𝐦から換算される吸着分子層数(層)

結果(吸着分子層数と発熱量の推定)

0

4

6

2

8

発熱量𝒒𝒘(

kJ/m

ol)

40 82 6

風 炉熊本 ● ○長野 ■ □三重 ▲ △鳥取 ×

発熱量𝒒𝒘(

kJ/m

ol)

0

比表面積(m2/g)

0

4

6

2

8

80 16040 120

吸着分子層数は3~7層それに伴う発熱量は風乾で2 kJ/mol、炉乾で1.2 kJ/mol

2 kJ/mol

1.2 kJ/mol

吸着分子層数= 𝜽𝐋𝐢𝐦/𝜽𝟏

𝜽𝟏:単分子吸着時の含水率

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0

5

10

15

20

25

30

24.5 25.5 26.5

・浸潤による発熱と地温分布

昇温量

→比表面積の影響

昇温・降温

→昇温は伝導降温は伝導、移流、分散が影響

まとめ

地温(℃)深さ(

cm)

吸着

伝導・移流

伝導

吸着層の厚さは3.5層程度発熱量は風乾土2 kJ/mol・炉乾土は1.2 kJ/mol

・発熱量と吸着分子層の厚さ