食道がんに対する手術支援ロボット 「ダヴィンチ」を使用し …...支援ロボット「da Vinci Si Surgical System」による腹腔鏡手術、いわゆるダヴィンチ手術
手術支援ロボット 「ダヴィンチ」についてLeonardo da Vinci self-portrait circa 1512...
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手術支援ロボット 「ダヴィンチ」について
和歌山県立医科大学泌尿器科
原 勲
本日の話題 ロボット支援手術とは?
ダヴィンチサージカルシステムの特徴
ダヴィンチを用いた手術手技とその実績
本邦における状況
前立腺癌と前立腺全摘除術について
ロボット支援前立腺全摘除術(動画)
本日の話題 ロボット支援手術とは?
ダヴィンチサージカルシステムの特徴
ダヴィンチを用いた手術手技とその実績
本邦における状況
前立腺癌と前立腺全摘除術について
ロボット支援前立腺全摘除術(動画)
最初のテレプレゼンスロボットアーム
核物質の遠隔操作
マスタースレイブ型マニピューレーター
マスタースレイブ技術の発展
超小型電子ロボットとコンピュータの著しい進歩(1980年代)
ロボットテレプレゼンス技術の向上
NASA ロボットアーム ~ 1981
深海ロボット ~ 1985
Robot “Jason Jr.” タイタニック号の座礁 ~ 1986
放射線ロボットアーム ~ 1981
6
・1980年代後半、戦場のトリアージを目的とした遠隔手術プログラム 実現に向けた研究を行ういくつかの施設に資金を供給
DARPA(国防総省国防高等研究事業局)
衛生兵をロボットにおき換え人的惨事を最小化する
海外の戦闘で現在も使用されているロボットによる 無人飛行機のアイデアから考案
従来の腹腔鏡手術 腹腔内に数本のポートを挿入する
腹腔内を炭酸ガスで膨らませ、専用の内視鏡を挿入して腹腔内をモニターに映し出す
専用の鉗子(電気メスや把持鉗子、洗浄、吸引管、持針器)を用いて手術を行う
従来の開腹手術に比べ出血が少なく術後の回復が早いのが特徴
腹腔鏡手術はその性質上Master-slave型の遠隔操作手術と相通じるものがある
内視鏡技術と遠隔ロボット技術の融合
+ =
ともに1980年代に開発
Why the “da Vinci” name?
Leonardo da Vinci self-portrait circa 1512 to 1515 Model of Leonardo's robot
with inner workings
ロボット支援手術とは? ロボットが勝手に手術を行ってくれるわけではありません
あくまでも作動させるのは術者です
腹腔鏡手術の発展した手術方法です
腹腔鏡手術は2次元の視野で鉗子を用いて手術を行うものですが難易度が高く術者の経験と技倆が問われます
ロボット支援手術システムでは3次元の視野でより自由度の高い特殊な鉗子を用いるためより精細で巧緻な手術操作が可能です
本日の話題 ロボット支援手術とは?
ダヴィンチサージカルシステムの特徴
ダヴィンチを用いた手術手技とその実績
本邦における状況
前立腺癌と前立腺全摘除術について
ロボット支援前立腺全摘除術(動画)
ダヴィンチサージカルシステム
Vision Cart
Surgeon Console
Patient Cart
ダ・ヴィンチを用いた手術 身体にあけた小さな穴に“鉗子”(手術器具)を挿入、医師がハイビジョンカメラの映像を見ながら4本の腕を持ったロボットを遠隔操作して手術を行う。
ダ・ヴィンチ サージカルシステムの特徴①
高解像度3D画像
10~12 倍の拡大視野
ダ・ヴィンチ サージカルシステム特徴②
EndoWristインストゥルメント
普通の腹腔鏡の鉗子
(5自由度) 7自由度、540度回転
16
ダ・ヴィンチ サージカルシステム特徴③
自然な操作感(Intuitive Motion)
手ぶれ補正機能など 安全性の高い機能
Motion scale (2:1, 3:1, 5:1)
ダヴィンチの長所と短所
長所 短所
・反復性 ・安定性、正確性 ・拡大空間視野での自然な操作感 ・さまざまな安全センサー
・機器が高額 ・大型 ・術中質的評価不能 =触覚がない ・発展途上 ・経費がかかる
1,548台(2011年12月末時点)
Kansas
Nevada
Oregon
Alaska
Puerto Rico
Hawaii
Washington
Idaho
Arizona New Mexico
Utah Colorado
Wyoming
Montana
Ohio
Pennsylvania
MD
DC DE
NJ
New York
VT NH
ME
MA RI
CT
West
Virginia
Virginia
N. Carolina
S. Carolina
Nebraska
South Dakota
North Dakota
Kentucky
Tennessee
California
Texas
Oklahoma
Louisiana
Arkansas
Missouri
Indiana Illinois
Wisconsin
Michigan
Iowa
Minnesota
Alabama
Mississippi Georgia
Florida
Kansas
Nevada
Oregon
Alaska
Puerto Rico
Hawaii
Washington
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ArizonaNew Mexico
UtahColorado
Wyoming
Montana
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Pennsylvania
MD
DCDE
NJ
New York
VTNH
ME
MARI
CT
West
Virginia
Virginia
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S. Carolina
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NorthDakota
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IndianaIllinois
Wisconsin
Michigan
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MississippiGeorgia
Florida
Kansas
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Oregon
Alaska
Puerto Rico
Hawaii
Washington
Idaho
ArizonaNew Mexico
UtahColorado
Wyoming
Montana
Ohio
Pennsylvania
MD
DCDE
NJ
New York
VTNH
ME
MARI
CT
West
Virginia
Virginia
N. Carolina
S. Carolina
Nebraska
SouthDakota
NorthDakota
Kentucky
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California
Texas
Oklahoma
Louisiana
Arkansas
Missouri
IndianaIllinois
Wisconsin
Michigan
Iowa
Minnesota
Alabama
MississippiGeorgia
Florida
20002000200120012002200220032003
20042004
20052005
20062006
2007200720082008
2009200919991999
2010201020112011
アメリカにおける導入数
ヨーロッパ における導入数
372台(2011年12月末時点)
Portugal
Spain
France
Belgium
UKNetherlands
Irish
Republic
Germany
Denmark
Norway
Sweden
Finland
Estonia
Latvia
Lithuania
Poland
Belarus
Switzerland
Italy
Czech Republic
Slovakia
Austria
Ukraine
Moldova
SloveniaCroatia
HungaryRomania
Bosnia &
HerzegovinaSerbia &
Montenegro Bulgaria
Macedonia
Albania
Greece
Turkey1999
2000200120022003
2004
2005
2006
20072008
2009
2010
2011
Portugal
Spain
France
Belgium
UKNetherlands
Irish
Republic
Germany
Denmark
Norway
Sweden
Finland
Estonia
Latvia
Lithuania
Poland
Belarus
Switzerland
Italy
Czech Republic
Slovakia
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Moldova
SloveniaCroatia
HungaryRomania
Bosnia &
HerzegovinaSerbia &
Montenegro Bulgaria
Macedonia
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Greece
TurkeyPortugal
Spain
France
Belgium
UKNetherlands
Irish
Republic
Germany
Denmark
Norway
Sweden
Finland
Estonia
Latvia
Lithuania
Poland
Belarus
Switzerland
Italy
Czech Republic
Slovakia
Austria
Ukraine
Moldova
SloveniaCroatia
HungaryRomania
Bosnia &
HerzegovinaSerbia &
Montenegro Bulgaria
Macedonia
Albania
Greece
Turkey19991999
20002000200120012002200220032003
20042004
200520052005
200620062006
2007200720082008
200920092009
20102010
20112011
アジア における導入数
China
Nepal
IndiaBangladesh
Bhutan
Myanmar
Sri
Lanka
Thailand
CambodiaVietnam
Lao People’s
Democratic Republic
Taiwan
Philippines
Malaysia
Malaysia
North Korea
South
Korea Japan
2002200220032003
20042004
20052005
200620062006
20072007
20082008
200920092009
201020102010
20112011
131台(2011年12月末時点)
※全ての機種を含む
2002 2004 2005 2008 2009 2010 2011 2012
40台(2012年2月)
日本における導入数
Japan
※全ての機種を含む
本日の話題 ロボット支援手術とは?
ダヴィンチサージカルシステムの特徴
ダヴィンチを用いた手術手技とその実績
本邦における状況
前立腺癌と前立腺全摘除術について
ロボット支援前立腺全摘除術(動画)
海外で施行されているダヴィンチの手術 診療科 手術手技
心臓外科 内胸動脈の剥離
僧帽弁修復術
消化器外科 胃切除術
直腸低位前方切除術
肝切除術
膵切除術
婦人科 子宮摘出術
子宮筋腫核出術
胸部外科 胸腺摘出術
食道切除術
肺葉切除術
泌尿器科 前立腺全摘除術
腎部分切除術
腎盂形成術
世界における臨床使用実績 累計114万例を超える症例数
2011年実績
前立腺摘出術:約113,000例
子宮摘出術:約146,000例
良性:約107,000例
悪性:約39,000例
その他
28%
子宮摘出術
40%
前立腺摘出術
32%
米国における前立腺全摘除術の 術式別年次推移
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
dV
P %
of
Mark
et
Share
Quarterly Time Period
実績
予測
開腹手術の割合
2008年 第4四半期
四半期毎推移
普及率
本日の話題 ロボット支援手術とは?
ダヴィンチサージカルシステムの特徴
ダヴィンチを用いた手術手技とその実績
本邦における状況
前立腺癌と前立腺全摘除術について
ロボット支援前立腺全摘除術(動画)
本邦での承認状況 2009年11月18日:薬事承認の取得(適応診療域は一般消化器外科、心臓外科を除く胸部外科、泌尿器科、産婦人科)
2010年3月:販売開始
2012年4月:泌尿器科領域の前立腺全摘除術に関して保険術式として収載 開腹手術(41万円)に内視鏡手術用支援機器加算(54万円)を合算した95万2800円と定められた
2012年6月現在、本邦では約40台のダヴィンチが稼働している 近畿圏では、京都大学、神戸大学、徳洲会病院(宇治、松原)、神戸医療機器開発センターに設置されている
薬事法承認にあたっての厚生労働省からの指導
日本内視鏡外科学会が制定する「内視鏡外科手術を行うにあたってのガイドライン(1992年8月29日制定)」の遵守
日本内視鏡外科学会が発表した「新医療機器に関する見解」の厳守
施設、実施医・医療チームに関すること
消化器外科、胸部外科、泌尿器科、婦人科において、内視鏡手術の恒常的(日本内視鏡外科学会の技術認定医が在籍すること)な実績を有すること
機器の性能・使用方法に精通した医療チーム体制を有すること
施術にあたる医師・医療チームは、企業が提供するトレーニングプログラムを必ず受講し、認定を取得した者から構成されること。なお、受講するプログラムの内容の妥当性に関しては、学会からの評価・校閲が必ずなされていること
緊急時において適正な処置(開胸、開腹等)が実施可能な体制にあること
ダヴィンチの購入から運用まで 1. オンライントレーニング:Webでの受講
2. オンサイトトレーニング:施設へのシステム納入後、実際に機器を使用してシステムのトレーニングを行う
3. オフサイトトレーニング:実験動物を用いたトレーニング
4. 症例見学:国内他施設への手術見学
5. シミュレーション:実際の症例を想定したシミュレーション
納品から実際の手術まで約2ヶ月 11月中旬頃に1例目を予定している
ダヴィンチを導入する意義 本学の目標とする癌治療の充実、および先進医療の導入の概念にかなっている
保険収載となっている前立腺全摘除術に関して、当院では5年前から腹腔鏡下前立腺全摘除術を積極的に導入し、実績を積んでいるため(現在までに219例施行)、ロボット支援手術に抵抗なく導入することが可能である
近畿圏は5台目の導入であり県民に対する高度先進医療のアピールになる
今後他領域での術式の導入に関し先進的に取り組める
日本における臨床使用の状況
2011年(2011年1月~12月)実績
全症例数:945例
泌尿器科:667例(ほとんどが前立腺全摘除術)
消化器外科:126例
婦人科:87例
呼吸器外科:65例 泌尿器科 消化器外科
婦人科
呼吸器科
70%
7%
9%
13%
本日の話題 ロボット支援手術とは?
ダヴィンチサージカルシステムの特徴
ダヴィンチを用いた手術手技とその実績
本邦における状況
前立腺癌と前立腺全摘除術について
ロボット支援前立腺全摘除術(動画)
前立腺
膀胱
尿道
精巣
精嚢 発生から増殖・成長まで 発生から増殖・成長まで
男性ホルモンに依存 男性ホルモンに依存
前立腺の解剖
出典 US Cancer Statistics : 2001 Incidence and Mortality
部位別罹患率 (2001年) 部位別死亡率 (2001年)
米国の男性における前立腺がんの状況
前立腺がん
30%
肺がん
16% 大腸がん
12% 膀胱がん
7%
その他
35%
前立腺がん
12%
肺がん
31%
大腸がん
10%
すい臓ガン 5%
白血病 4%
その他 38%
出典 大野ゆう子 ほか:がん・統計白書-罹患/死亡/予後-(大島 明 ほか編), 篠原出版新社, p202-217, 2004
前立腺
男 性(日本)
1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
100
30
10
3
1
300
×103 全部位
前立腺 結腸
肺
直腸 肝臓
膵臓
胆嚢
リンパ組織
膀胱
白血病
食道
胃
腎臓等
罹患数
がんの部位別罹患率と将来予測
出典 大野ゆう子 ほか:がん・統計白書-罹患/死亡/予後-(大島 明 ほか編), 篠原出版新社, p145, 2004
0
50
100
150
200
250
300
400
350
85+ 80-84 75-79 70-74 65-69 60-64 55-59 50-54 45-49 40-44 35-39
罹患率(人口1
0
万対)
年齢(年)
典型的な“高齢者がん”
前立腺がんの年齢階級別罹患率(1998年)
社会の高齢化
食生活の欧米化
動物性脂肪の摂取量が増加
診断法の進歩
前立腺特異抗原(PSA検査)の普及
前立腺癌の増加している背景
早期がん 転移がん 進 行
無症状 前立腺肥大と同じ ような症状が出現
骨転移に伴い 骨痛・四肢痛が出現
*腰痛 *四肢の痛み
−転移しやすい部位−
骨、リンパ節など
*がん特有の症状は ない
*尿が出にくい・残尿感
*排尿時に痛みを伴う
*尿や精液に血が混じる
前立腺癌の症状
●PSA検査(血液検査) ●直腸診(触診) ●経直腸的超音波(エコー)検査
●生検 (前立腺組織を採取)
●画像検査(CT・MRIなど)
●骨シンチグラフィ
スクリーニング検査 (一般検査)
確定診断 がんを確定するための検査
病期診断 がんの進行度(広がり)を 確認するための検査
前立腺癌の診断の流れ
・痛みは少ない
・検査時間は約15分程度
超音波端子 6分割生検
前立腺組織を8-10カ所採取
前立腺生検
前立腺検診協議会、財団法人前立腺研究財団(編):前立腺検診の手引き(金原出版)、54-70、1993
100 60 40 20 0 80 (%)
骨
リンパ節
肺
肝
その他
85.8%
38.4%
5.1%
1.6%
0.9%
転移部位
前立腺癌の転移しやすい部位
42
ABCD分類 (Jewett Staging System)
UICC TNM悪性腫瘍の分類 第6版 日本語版, 金原出版, 東京, 2003
限局がん (偶発がん)
限局がん
周囲臓器浸潤がん
T1
T2
T3
T4
T1:触知不能、画像診断不能
T1a:組織学的に切除組織の5%以下に偶発的に発見
T1b:組織学的に切除組織の5%をこえて偶発的に発見
T1c:針生検により確認
T2:前立腺に限局
T2a:片葉に1/2以内の進展
T2b:片葉の1/2をこえて広がるが、両葉には及ばない
T2c:両葉への進展
T3:前立腺被膜をこえて進展
T3a:被膜外へ進展
T3b:精嚢に浸潤
T4:精嚢以外の隣接組織に固定または浸潤
N1:所属リンパ節転移
M1a:所属リンパ節以外のリンパ節転移
M1b:骨転移
M1c:リンパ節、骨以外の転移
N1, M1
病期A
病期D
病期B
転移がん (骨・リンパ節)
局所浸潤がん
病期C
前立腺癌のTNM分類
43
局所浸潤がん
T3
周囲臓器 浸潤がん
T4 M1
無治療 経過観察
内分泌療法 前立腺全摘除術 または
放射線療法 または
内分泌療法 または
待機療法
放射線療法+内分泌療法
または
内分泌療法
T1a T1b T1c
限局がん 偶発・触知不能がん
限局がん
T2
転移がん
N1
または
手術療法
前立腺癌の一般的治療指針
前立腺癌に対する治療各論 内分泌療法療法(ホルモン療法)
手術療法 開腹前立腺全摘除術 腹腔鏡下前立腺全摘除術 ロボット支援前立腺全摘除術
放射線療法 外照射 内照射(組織内照射、小線源治療)
一時留置、永久留置
粒子線治療
PSA監視療法
前立腺癌に対する治療各論 内分泌療法療法(ホルモン療法)
手術療法 開腹前立腺全摘除術 腹腔鏡下前立腺全摘除術 ロボット支援前立腺全摘除術
放射線療法 外照射 内照射(組織内照射、小線源治療)
一時留置、永久留置
粒子線治療
PSA監視療法
• 内分泌療法は副作用も少なくほとんどの症例に
有効であるが、効果が永続的でない。
• 全身療法であるため転移を有する患者さんには
第一選択となる。
• 高齢者(75歳以上)や合併症のため手術できな
い人には向いているが、若くて癌が前立腺に限
局している患者さんには向いているとは言えな
い。
内分泌療法の限界
前立腺癌に対する治療各論 内分泌療法療法(ホルモン療法)
手術療法 開腹前立腺全摘除術 腹腔鏡下前立腺全摘除術 ロボット支援前立腺全摘除術
放射線療法 外照射 内照射(組織内照射、小線源治療)
一時留置、永久留置
粒子線治療
PSA監視療法
48
●早期であれば根治が期待できる
●手術時間は通常3〜4時間程度
→2週間程度の入院
●腹腔鏡下、ロボット支援前立腺全摘
除術も普及
●限局期(T1b〜T2)の患者さんが主体
*全身状態が良好で、75歳以下の方
●尿漏れ、勃起不全など
特 徴
適応(目安)
主な副作用
尿道
膀胱 精のう
前立腺
摘出部位
前立腺全摘除術
前立腺全摘除術の利点と欠点
利点
根治性が高い(完全に治癒する率が高い)限局性前立腺癌なら90%、局所浸潤性前立腺癌で60-70%の治癒率
正確な病理学的病期がわかる(摘出した標本を顕微鏡で観察することにより)
欠点
術後尿失禁の問題
術後性機能不全の問題
前立腺癌に対する前立腺全摘除術 限局性前立腺癌に対する標準的な治療
癌の根治性
QOLの維持
排尿機能
性機能
侵襲性
ロボット支援前立腺全摘除術 前立腺は骨盤内で最も深い位置に存在するため腹腔鏡下での手術の方がより良好な視野を確保できより細かな操作が可能である。
さらに腹腔鏡手術に比べ2軸自由度が追加されたことによりまるで人間の手以上の動きが体腔内で可能になる。
術者は拡大された立体画像で解剖同定が可能になり、また安定した術野での手術が可能になる。
52
●従来から広く行われている治療法
●外来で治療が可能
●早期の限局がん(T1,T2)が主体
●局所進行(T3)の患者さんや、局所進行
が予想される方では内分泌療法と併用
●照射中の急性期の障害と照射後数年し
てから現れる晩発性の障害がある
●主に直腸(下痢、下血、肛門痛)および
膀胱(排尿痛、排尿困難、頻尿)の障害が
主体である
特 徴
適 応
主な副作用
写真提供:京都大学医学部放射線科
放射線療法 外照射
53
● 短期間の入院が必要
● 小線源の挿入:1〜2時間程度
● 線源は埋め込んだままでよい
線源を充填したカートリッジ
線源挿入具 (アプリケーター)
アプリケーター針 超音波探子
膀胱
直腸
写真:日本メジフィジックス株式会社提供
線源挿入後のX線画像
線源を挿入しているところ 前立腺
内照射の実際(永久埋め込み)
さいごに ロボット支援手術は海外では既に確立された術式として多くの実績を誇っています
このたび前立腺全摘除術が保険収載となったことで今後は同術式が前立腺癌に対する標準的な術式となる可能性が極めて高いです
高度先進医療の象徴であるダヴィンチを近畿圏でも他施設に先駆けて導入できたことは和歌山県民にとって大きな福音となることは間違いありません
今後は初症例の実施に向けて全力をあげて取り組んでまいります