採鉱技術開発...

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平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー <海底熱水鉱床における取組と成果> 採鉱技術開発 ~世界初の採鉱・揚鉱パイロット試験~ 2018516金属資源技術部 海洋資源技術課 川野 誠矢 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー ※本報告は、経済産業省の委託事業で得られた成果に基づき作成しています。

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    <海底熱水鉱床における取組と成果>

    採鉱技術開発~世界初の採鉱・揚鉱パイロット試験~

    2018年5月16日金属資源技術部 海洋資源技術課川野 誠矢

    平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    ※本報告は、経済産業省の委託事業で得られた成果に基づき作成しています。

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    本報告の内容

    1

    ○パイロット試験概要

    ○実海域揚鉱試験までの取組

    ○揚鉱試験実施内容

    ○実施結果

    ○試験の成果

    ○今後の課題

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

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    主に揚鉱ユニットに関する以下の評価・検証を行う。① 各種測定データの取得→技術的評価を行うために、揚鉱量、揚水量、ポンプ揚程、流量、モータ動力、集鉱濃度、磨耗量、配管圧力損失、鉱石粒子径等に関するデータ等を取得し、計画した運転諸元と実海域での運転実績の対比及び検証を行う。また、機器の投入から揚収までの作業時間や操船データも把握する。

    ② 連続的揚鉱の実施→安全性を考慮したオペレーションの確認を行うとともに、経時的な計測データの変化を把握するため、連続的に揚鉱を行う。

    ③ 技術的課題の把握と対応策の把握→経済性評価や商業化時の採鉱・揚鉱システムの構築に向けて、試験により得られた技術的な課題の把握と商業化に向けた今後の取り組みを提言する。

    実海域試験では集鉱から揚鉱までの一連のシステムを確認 特に商業生産時(想定)を見据えた条件である揚鉱ユニットに関する検証が中心 採掘及び採鉱母船ユニットは揚鉱ユニットの試験結果から改めて検討が必要

    パイロット試験(揚鉱試験)の目的

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    パイロット試験の基礎条件

    試験海域: 沖縄近海試験水深: 約1,600mスラリー流速: 3.8m/sスラリー濃度目標: 3-5vol.%(MAX10vol.%)鉱石粒子最大粒径: 30mm(長径)揚鉱管直径: 約100mm実鉱石密度: 3.2g/cm3模擬鉱石密度: 2.92g/cm3(パムコクラストン)揚鉱方式: ポンプリフト(揚鉱管懸下)ポンプ型式: 多段遠心ポンプ揚鉱管: リジッド

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    4マウンドの3D地形図

    試験範囲

    試験サイト沖縄近海のマウンド→熱水活動を終えたマウンドを対象とした。

    試験範囲のベンチ

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    粒子径:~50㎜(300㎜程度のものもある)

    ~30㎜(長径)

    蓄積

    移し替え

    白嶺 ポセイドン‐1

    4m(H26開削)

    約100m

    約50m

    掘削機

    集鉱試験機

    水中ポンプ

    ①掘削片を蓄積

    ②掘削片を破砕(~30㎜)

    ③破砕した掘削片を集鉱・浚渫

    ④水中ポンプで揚鉱

    クラッシャーヘッド

    浚渫ポンプ

    計装ライザー

    継手

    ⑤固液分離

    南部モデルマウンド

    約1,

    600m

    P

    貯鉱タンク

    三菱試験機

    三井三池試験機

    実海域試験(揚鉱試験)

    破砕機

    事前破砕試験 鉱石分離設備揚鉱水移送船

    パレット

    パレット パレット

    採鉱・揚鉱パイロット試験イメージ図

    5

    事前掘削試験

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    ○パイロット試験概要

    ○実海域揚鉱試験までの取組

    ○揚鉱試験実施内容

    ○実施結果

    ○試験の成果

    ○今後の課題

    本報告の内容

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    7

    平成27年度 平成28年度 平成29年度

    揚鉱試験の実施・事前掘削、破砕による鉱石準備継続

    ・海底熱水鉱床の採鉱・揚鉱の実証

    ・実証結果から抽出した課題整理

    ・商業化時の採鉱・揚鉱システムの構築に向け、抽出した課題への対応検討。

    揚鉱試験の実施に向けた:・課題の抽出・基本設計(詳細設計と機器製作を開始)・概略計画・陸上での要素試験

    ⇒要素試験による個々の技術確立と想定課題解決の見通しを把握。

    揚鉱試験の実施に向けた:・課題の解決・リスクの軽減・詳細設計と機器製作・各機器の機能確認試験・詳細計画(運用基準等)・機器の組合せ試験・事前掘削試験・事前海域試験(運用)⇒ユニットの相互関係を詳細に詰めた計画検討。⇒機器の組合せ試験による想定課題解決。⇒作業手順の事前確認。

    相互検討・詳細検討・組合せ試験・計画の試行

    個別検討・概略検討・個別試験 総合的な試験

    パイロット試験に向けた本格的取組

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    3カ年の取組でわかったこと陸上での試験で大粒径の鉱石によるポンプ内流路閉塞を経験。

    ○ポンプ内流路を通過可能な鉱石の最大長径とスラリー濃度に限界がある。

    ○鉱石の長径を30mm以下にし、スラリー中の鉱石濃度(Vol%)を15%以下にコントロールすれば閉塞は確認されなかった。

    (ポートの閉塞) (表面鉱石外し)

    鉱石閉塞状況

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    揚鉱試験で確認したかったこと○約1,600mの管路に徐々に鉱石が入っていくことによるポンプ必要吐出し流量の低下に対し回転数制御が追従できるか

    (スラリー濃度の増加によりポンプ吐出し流量低下→ポンプ能力維持のため回転数増加が必要)

    ○1,600mの鉛直揚鉱管内の鉱石流動状態⇒揚鉱中に重い鉱石の濃集が発達し閉塞するか?または拡散により濃度が均一化し流送されるか?

    ○全機器を組合せたトータルシステムの運転状態と複数作業船との総合運用

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    高濃度スラリーによる閉塞:管内平均スラリー濃度10%以上で水中ポンプの能力低下が懸念されるが、マウンド上で集鉱するとスラリー濃度の変動が過大→ スラリー濃度を3~5%(最大10%)に設定

    事前破砕した鉱石を蓄積したパレットからの集鉱による濃度調整の効果を検証

    閉塞リスク

    漁期との関係から作業開始は7月20日以降で、9月以降は台風等による荒天が多くなるため十分な稼動日数の確保が課題

    → 事前掘削・破砕作業の前倒しや作業反復訓練による稼働率向上

    十分な稼働日数の確保

    機器や計器も試験中に故障する可能性を想定。→ 考え得る十分な対策(補修、整備体制等)と様々なバックアッププランを検討

    試験機器の故障リスク

    長径30mm以上の鉱石による閉塞:長径30mm以上の鉱石はポンプを閉塞させる懸念があるが、採掘ユニットでは鉱石を全て30mm以下に整粒することは困難→ あらかじめ30mm以下に破砕して沈めた模擬鉱石を揚鉱する

    事前掘削した鉱石を深海底で破砕・分級した実鉱石を揚鉱する

    揚鉱試験までの課題と講じた対応策

    試験の特殊性に鑑み、試験内容に対応したリスク抽出と対応策について検討→HAZID会議、HAZOP会議の実施

    作業安全性の確保

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    ○パイロット試験概要

    ○実海域揚鉱試験までの取組

    ○揚鉱試験実施内容

    ○実施結果

    ○試験の成果

    ○今後の課題

    本報告の内容

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    平成28年度 平成29年度

    模擬鉱石

    実鉱石

    揚鉱試験

    陸上で30mm以下にして、海底に沈める

    破砕試験

    6,7,8、11次航技術の検証と事前掘削(白嶺)

    掘削量の確保

    海底で30mm以下に破砕

    パムコクラストン

    マウンド

    パレット内の鉱石を可能な限り揚げる

    模擬鉱石パレット設置(チャーター船)

    マウンド(ベンチ部)

    (白嶺+POSEIDON‐1)

    各鉱石30分揚鉱

    (白嶺)

    マウンド南の裾野

    浅海域試験(ポンプ)(POSEIDON‐1)

    パレット内の鉱石を可能な限り揚げる

    事前海域試験(オペレーション)(POSEIDON‐1)

    HAZOP会議

    事前洋上試験(集鉱試験機)

    平成29年度工程イメージ

    結果とりまとめ

    (H27:HAZID会議)

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    掘削(地山を崩す) 破砕(小割にする) 集鉱(水中ポンプに鉱石を供給する)鉱石サイズ< φ 400mm 鉱石サイズ< φ 30mm

    事前掘削~破砕~揚鉱試験

    累計146時間強、深海底で作業し大きな問題無く稼動

    掘削試験機 集鉱試験機

    破砕試験機H28

    H29

    H29

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    白嶺

    POSEIDON-1

    新世丸

    新潮丸

    揚鉱試験中状況

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    船団写真(深田サルベージ建設所有のドローンにより撮影)

    揚鉱試験船団配置

    採鉱母船白嶺

    揚鉱水運搬船新潮丸

    ROV母船新世丸

    揚鉱母船POSEIDON‐1

    白嶺新世丸

    新潮丸

    白嶺

    POSEIDON‐1

    新世丸

    新潮丸

    揚鉱ユニット投入時船団配置

    POSEIDON‐1

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    船名 使用目的

    白嶺採鉱母船・集鉱試験機の投入・揚収・集鉱試験機の運転

    POSEIDON‐1

    揚鉱母船・揚鉱ユニット(水中ポンプ・揚鉱管・監視計器)の投入・揚収・水中ポンプの運転・スラリー濃度・流速等の監視・スラリーを鉱石と細粒分を含む泥水に分離・揚鉱水運搬船への払い出し、泥水の一時貯留

    新世丸ROV母船・ROVによる水中作業のモニタリング、パレット内の大径鉱石の撤去、鉱石均し作業ほか

    新潮丸揚鉱水運搬船・模擬鉱石パレットの投入・揚収・揚鉱水の一時貯留/運搬(現場→揚鉱水貯留港)・揚鉱水貯留船への払い出し

    K‐2 揚鉱水貯留台船・係留港にて、泥水の受け入れ・貯留

    使用船舶

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    揚鉱母船・総合指揮「POSEIDON-1」・JOGMEC・採鉱・揚鉱パイロット試験受託コンソーシアム(三菱重工(三菱造船)、新日鉄住金エンジニアリング、海上・港湾・航空技術研究所、清水建設、住友金属鉱山(住鉱資源開発)、深田サルベージ建設)

    集鉱母船「白嶺」・JOGMEC・採鉱・揚鉱パイロット試験受託コンソーシアム(三菱重工(三菱造船)、住友金属鉱山(住鉱資源開発))・海洋技術開発

    ROV船「新世丸」・採鉱・揚鉱パイロット試験受託コンソーシアム(深田サルベージ建設、三井三池製作所)

    揚鉱水運搬船「新潮丸」・採鉱・揚鉱パイロット試験受託コンソーシアム(深田サルベージ建設)

    揚鉱水貯留台船・清水建設

    本部港最終的に揚鉱水は本土で処分

    警戒船「海成丸」

    揚鉱試験実施体制

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    ○試験期間:2017年8月22日~9月23日※投入揚収作業に3日を要するため、試験を含めると4日間連続で海象が良い期間が必要

    ※過年度の気象海象実績から1か月のうち4日間連続で作業できる回数は1,2回と想定

    揚鉱試験工程実績

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    実施日 試験計画内容 累計システム運転時間累計揚鉱時間

    累計揚鉱重量

    1 8/25~8/26 パレット1:模擬鉱石揚鉱試験 4時間21分40秒 35分51秒 5,668 kg

    2 8/27~8/28 パレット3:実鉱石揚鉱試験 3時間13分12秒 38分35秒 4,140 kg

    3 9/20 パレット2:模擬鉱石揚鉱試験 1時間35分4秒 22分28秒 6,587 kg

    揚鉱鉱石重量合計 16,395 kg

    ○試験実施状況

    ※システム運転時間は浚渫ポンプ起動から停止の時間※揚鉱重量は吐出タンクと吐出濃度計測かごで捕捉した鉱石の重量

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    深さ

    ○パレット内の実鉱石及び模擬鉱石を、集鉱試験機ヘッドをスイングさせ、ヘッドの高さを調整し集鉱

    パレット断面イメージ

    パレット

    集鉱試験機

    スイング集鉱(スイング角)

    集鉱ヘッド

    パレット

    鉱石

    揚鉱試験

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    ヘッドの高さ(掘削深さ)

    集鉱試験機

    パレット

    集鉱ヘッド

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナーNo. システム 主な計測内容

    1 揚鉱母船 船底タンク水位、船位、船体動揺量、海気象2 ROV 映像3 ケーブルリール アンビリカルケーブルの張力、巻出し長さ

    4 集鉱試験機動力用電源の電流・電圧、油圧系の圧力、測位、方位・ピッチ・ロール、深度、高度、ブームの姿勢、浚渫ポンプ差圧、ブーム角度、海水温度

    5 水中ポンプ測位、深度、差圧、捨石装置センサー、耐圧容器温度、電動機温度制御用・動力用電源の電流・電圧

    6 小型挙動計測装置 揚鉱管の加速度、角速度

    7 摩耗計測管 a. 揚鉱管:内面摩耗量、外面腐食量b. 船上配管:内面摩耗量

    8 水中モニタリングアセンブリスラリー濃度、管内圧力、差圧、挙動・姿勢、深度、測位情報、映像

    9 船上モニタリングアセンブリ スラリー濃度、流速、管内圧力

    10 鉱石分離設備 泥水流量、泥水密度、泥水の水質、タンク水位、硫化水素濃度、総揚鉱量11 計測タンク 水温、吐出量(泥水・鉱石)

    4. 集鉱試験機

    5. 水中ポンプ

    6. 小型挙動計測装置7a. 摩耗計測管(揚鉱管)8. 水中モニタリングアセンブリ

    9. 船上モニタリングアセンブリ

    1. 揚鉱母船

    10. 鉱石分離

    11. 計測タンク

    2. ROV

    3. ケーブルリール

    7b. 摩耗計測管(船上配管)

    計測データ

    19⇒計測機器は健全に作動し、計画した計測データ

    を取得できた。

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    ○パイロット試験概要

    ○実海域揚鉱試験までの取組

    ○揚鉱試験実施内容

    ○実施結果

    ○試験の成果

    ○今後の課題

    本報告の内容

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

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    起こるかもしれないと思っていたこと

    陸上での要素試験やシミュレーションでは確認できなかったが、揚鉱試験では起こる可能性がある事象を想定。

    ○濃度変動に対して、回転数制御が追従できず流速が低下しポンプ内が閉塞すること。

    ○長径30mm以上の大径粒子がパレット内に残存しておりポンプ内閉塞を引き起こすこと。

    ○急激な濃度上昇でポンプ内が閉塞すること。

    ○管路抵抗が陸上試験結果からの予測値と大きくずれること。

    ○実鉱石の密度が想定以上に大きくなり、水中ポンプ駆動モーターの必要動力が定格出力を超えること。

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    22自動流量制御(試験No.2-2-5、パレット2,3スイング 流量目標値140m3/h)

    流量目標値140m3/h

    ポンプ回転数

    揚鉱管スラリー柱濃度

    揚鉱管圧損

    スラリー柱濃度:揚鉱管路長分の平均

    平均濃度:試験時間全体平均

    スラリー柱

    揚鉱試験前半○本試験で使用するポンプはインバータによる流量一定の回転数制御⇒濃度変動に対して制御が追従できるか慎重に確認

    ○集鉱試験機ブーム操作と濃度の関係を慎重に確認

    掘削深さとスイング数変化による濃度傾向把握

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

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    ○平均濃度は最大で3.8%であった。

    実海域試験結果(平均濃度)

    揚鉱試験結果

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    24実海域試験結果(スラリー柱濃度)

    ○スラリー柱濃度は最大で5.6%であった。

    揚鉱試験結果

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    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    16:10 16:12 16:14 16:16 16:18 16:20 16:22 16:24 16:26 16:28 16:30 16:32

    鉱石管内

    濃度

    深さ900mMA 測定結果

    測定結果

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    16:10 16:12 16:14 16:16 16:18 16:20 16:22 16:24 16:26 16:28 16:30 16:32

    鉱石管内

    濃度

    時刻

    深さ500mMA 測定結果

    移送解析結果

    0%

    5%

    10%

    15%

    20%

    16:10 16:12 16:14 16:16 16:18 16:20 16:22 16:24 16:26 16:28 16:30 16:32

    鉱石管内

    濃度

    船上MA 測定結果

    移送解析結果揚鉱管鉛直部

    解析はやや遅れて鉱石が上昇するも、濃度の変動波形は概ね一致

    モニタリングアセンブリ(900m)

    モニタリングアセンブリ(500m)

    船上計測部

    水中ポンプ

    移送管

    検討範囲

    ※時間オフセットした波形を入口境界(水中ポンプ)にインプット揚鉱管部の縦軸は測定濃度を考慮して補正

    揚鉱試験結果と解析シミュレータの比較評価

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    ○パイロット試験概要

    ○実海域揚鉱試験までの取組

    ○揚鉱試験実施内容

    ○実施結果

    ○試験の成果

    ○今後の課題

    本報告の内容

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

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    揚鉱試験を16回(模擬鉱石:10回、実鉱石:6回)実施。計16.4トン(模擬鉱石:12.3トン、実鉱石:4.1トン)の鉱石を揚鉱することに成功。世界で初めて海底熱水鉱床の鉱石を海底からスラリー状で連続的に揚鉱した。

    開発した掘削試験機、集鉱試験機および水中ポンプは深海底での長時間の没水作業に耐え稼動することが出来た。

    非常に貴重な情報を取得。・採鉱ユニットでは、集鉱試験機の性能・揚鉱ユニットでは、水中ポンプの性能や制御、スラリー移送状態の解析、水中ポンプ、揚鉱管や船上配管の内面磨耗量

    ・採鉱母船では、揚鉱作業の作業性、スラリー性状、鉱石分離プロセス性能、作業限界、情報共有システムの通信性

    ・そのほか海底での作業音等

    試験の成果

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

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    試験後の分解点検結果・・・流水面• 3D計測を実施し、工場製作時と実海域試験後の形状変化を確認。• 羽根車翼入口端でmax3mm、ボリュート舌端でmax1mmの摩耗を確認。

    翼端の細くなった部分が鉱石衝突で後退している状況。

    耐久性に関する評価

    ⇒摩耗のほとんどは模擬鉱石(パムコクラストン)によるものと推測。ただし、実鉱石のみであっても耐久性の向上が必要。

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    今回実証・確認できなかったこと

    ○商業規模での課題を確認できるような大規模掘削作業

    ○海底で効率的な掘削・破砕の検証

    ○安定的な濃度コントロールと効率的な粒度調整

    ○機器のメインテナンス(交換頻度等)に関するデータ取得

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

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    パイロット試験に組み込めなかったもの○効果的なスラリーの鉱石粒度および鉱石濃度調整機能

    鉱石の粒度 ⇒ ポンプ内、揚鉱管等の管路閉塞に影響鉱石濃度 ⇒ ポンプ内、揚鉱管等の管路閉塞に影響

    ポンプの運転制御に関係揚鉱量(生産量)に影響

    破砕、スクリーンでの大径粒子排除

    スクリーン付パレット

    パレット

    集鉱試験機

    スイング集鉱(スイング角)

    集鉱ヘッド

    ヘッドの高さ(掘削深さ)

    集鉱試験機

    パレット

    集鉱ヘッド

    集鉱試験機のヘッド操作で濃度調整今回採用した調整方法

  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    目標粒度と濃度パイロット試験揚鉱管:100mm粒子径:30mm

    商業生産時揚鉱管:数倍?粒子径:数倍?

    パイロット試験結果一例• 3D計測を実施し、工場製作時と実海域試験後の形状変化を確認。• 羽根車翼入口端でmax3mmの摩耗を確認。

    翼端の細くなった部分が鉱石衝突で後退

    摩耗や揚鉱の観点から最適な粒度と濃度の達成が必要

    粒子径が大きく高濃度ほど摩耗に影響

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

    どこにどういう形で組み込むか

    軟弱な地盤

    急峻な地形?

    ??

    粒度・濃度調整? 比較的硬い地盤

    集鉱試験機

    水中ポンプ

    新たな方法で頂上から掘削

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  • 平成30年度第1回JOGMEC金属資源セミナー

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    採鉱・揚鉱システム全体の再構築(特に採鉱計画) 粒度・濃度調整機能・スラリー濃度を変動少なく高めて水中ポンプへ安定的に供給する技術(バッファーシステム)・掘削した大粒径の鉱石を海底で細粒化させる粉砕技術 連続的に安定操業するための機器や部材の耐久性向上 モニタリング技術やシミュレーション技術の向上 海底で有用鉱石と非有用鉱石を分別する技術(海底選鉱技術) 採鉱・揚鉱システム全体の高効率化や最適化(メンテナンス性)

    今後の課題

    次期5ヶ年での取り組みにつなげたい

    ●採鉱・揚鉱技術分野