あきる野の自然 - Akiruno...500 0 500 1000 1500 (m) S N WE 小峰台 舘谷 モリ ナガレ...

500 0 500 1000 1500 (m) S N W E 小峰台 舘谷 モリ ナガレ モリ シュ トウ シュ ナガレ モリ ナガレ ナガレ ナガレ モリ トウ トウ トウ トウ 高尾公園 五日市郷土館 五日市郷土館には、「昔々の暮らし」・「自然や生態 系」・「地質や地層」に関する資料が数多く展示され ています。 あきる野市の大地を形づくる、古生代~新生代に堆 積した地層から発掘された貴重な化石も観ることが できます。 自然観察の途中に立ち寄って、あきる野の歴史や自 然、大地の生い立ちなどにぜひ理解を深めてください。 五日市郷土館入口 五日市-川上構造線 五日市の奥に目立つピークが戸倉城山です。山頂は、 五日市盆地の全景や遠く新宿やスカイツリーが望め る絶好の展望台になっています。 この山の南側(写真左側)を、五日市 - 川上構造線 という大きな断層が通っています。この線の南側で は砂岩や頁岩を主体とするより新しい小仏層群とい う地層が分布しています。 左斜面が急傾斜になっているのはこの構造線により 切れているためです。 首をかしげたような戸倉城山 伊奈石と石造物 中世の鎌倉期から江戸末期まで約 600 年間採掘さ れ、石造物として利用されました。 信州伊那谷から石を求めてやってきた石工集団が、 横沢入や秋川周辺の山から粗粒の砂岩を掘り出し加 工して臼や石造物などを作り、多摩川流域一帯に出 荷していました。 あきる野周辺では、路傍や寺社などで多く見ること ができます。 伊奈石で造られた五輪塔 幻の五日市湖 現在の五日市盆地一帯の沢沿いには、水平に堆積 した湖沼性の地層が見られます。この黒い泥炭層や レキ層の中からは、流木や昆虫が見つかります。そ の地層の形成は、この層にはさまれている火山灰 の分析からおよそ10万年~3万年前のものであり、 花粉や珪藻の分析から氷河期の寒冷な気候で、湖 沼性の水域が広がっていたことが推定されます。 当時、五日市一帯が大きな湖であったのかもしれま せん。 観察される水平層 五日市盆地を造る地層 五日市盆地と化石 五日市盆地には、基盤に新生代新第三紀(およそ 1500万年前)の地層(礫岩・砂岩・泥岩)が分 布しています。 主に黒褐色の泥岩の地層からは、メタセコイアやコ ンプトニアに代表される植物化石や、ウニ・スナモ グリ・イワシの鱗・二枚貝などの化石がたくさん出 てきます。珍獣パレオパラドキシアの化石も見つかっ ています。 五日市は化石の宝庫として昔から有名です。 河原の石 河原の石は、上流の山がどんな地質でできているか を教えてくれます。 秋川や平井川の上流には中生代や古生代の堆積岩 が多く、中流の河原には砂岩、泥岩、石灰岩、チャー ト、凝灰岩が見つかります。 また秋川には三頭山から運ばれるごま塩状の石英 閃緑岩という火山起源の石もあります。 色や形、硬さなどに注目して石の生い立ちを確かめ てみましょう。 河原の贈りもの 河岸段丘と湧水 今から約2万年前 ( 最終氷期のころ ) の秋川は、今 の五日市中心街や、あきる野市役所周辺を流れてい ました。その後、地盤の隆起とともに川の下方への 浸食が盛んになり、流路が移動して、何段ものみご とな河岸段丘ができました。段丘の下には水を通し にくい粘土質の地層(上総層)があり、地下水はそ のすぐ上に溜まり、段丘崖から湧き出します。秋留 台地の周辺には多くの湧水や池が見られます。 白滝神社の湧水の滝 ゾウのいた時代 あきる野市では、3 種類の象が見つかっています。種 は歯によって決まります。 ◇ミエゾウ:肩の高さが 4 m近くもある大型の象で、 網代の約 300 万年前の地層から発掘されました。ほ ぼ1頭の骨というのは貴重な発見です。◇アケボノゾ ウ:ミエゾウが進化した日本固有の小型象で、多摩 川河床の約 150 万年前の地層から発見されています。 ◇ナウマンゾウ:30 万年~ 1 万年ほど前まで生きて いた中型象で、留原の天王沢で見つかっています。 化石 (肋骨・尺骨) チャート(火打石) 秋留台地から眺めると、大岳山や馬頭刈山など突起 した山が目につきますが、これらの稜線はチャート という岩石でできています。 チャートは中古生代の深海底に降り積もった珪質の プランクトンが固まったもので、非常に硬く鉄クギ でも傷が付きません。浸食に強く、山の稜線や渓流 の滝場を造り、つづら岩や大岳沢上流の大滝・小 滝などはこの岩石でできています。火打石とも言い、 ハンマーでたたくと火花が出ます。 チャートの褶曲模様 テフラ(火山灰) あきる野市の最上段の段丘面には、2~3万年前以 降の富士山の火山灰から成る立川ローム層が見られ ます。この赤土の中には、美しい鉱物が見られます。 下部に南九州から飛んできた火山ガラスを多く含む姶 良(あいら) - 丹沢テフラ( 略称 AT)が見いだされます。 また、小机地区の露頭からは、木曽の御岳伊那(On- In)という約9万3千年前のテフラが初めて発見されま した。指標となるこれらのテフラの分布や重なり方は、 過去を知る重要な手掛かりとなります。 ATテフラの鉱物粒(顕微鏡写真) 樽と南沢の石灰岩 秋川流域には、時代の違う石灰岩が分布しています。 樽や南沢で見られる石灰岩は、鍾乳洞の石灰岩よ り新しい中生代ジュラ紀のもので、やや灰色で、ハ ンマーでたたくと石油のようなにおいがします。 表面を調べると、六射サンゴやシダリスというウニ の棘や魚卵状の模様が見られます。 この石灰岩は高知県の産地の地名をとって、鳥の巣 石灰岩と呼ばれています。 六射サンゴの化石 鍾乳洞とフズリナ 市内には小規模な鍾乳洞が各所にあり、代表的な ものは養沢川流域の三ツ合鍾乳洞と大岳鍾乳洞で す。これらの鍾乳洞を作っている石灰岩は、フズリ ナ ( 紡錘虫 ) という時代を特定できる化石が見つか ることから、古生代(ペルム紀)のものであること がわかります。奥多摩の山々を造る岩石は、深い海 の中にたまった地層やサンゴ礁を伴った海山や陸か らの土砂が、プレートの動きではぎとられ日本列島 に貼りついたもの(付加体)です。 フズリナの化石 サルギ尾根  最近ハ イカーが多い 大滝.高さ 20m. 水 量 が 多 い. 滝 つぼの位置から 滝が後退したこ とがわかる サルギ尾根東側 にある谷頭の絶 壁. 高 さ 約 80m で、日の出山か ら見える 小 滝 は 高 さ 48m. 水量が少なく、し ばらく雨が降らな いと、したたり落 ちる程度になる 養沢鍾乳洞(閉 鎖中).中は乳 白色のきれいな 鍾乳洞 日の出方面は 木を切ってあ り眺めが良い. まき道がある ので山頂に来 る人は少ない つ づ ら 岩. 高 さ 35m の チャートの岩.檜原側が切 り立っている 馬頭刈尾根は「 かやくら 尾根」と呼ばれて いる.岩稜の所もあり、北アルプスの 岩尾根のようだとも言われた 三ツ合の滝. 3段 25m 日天岩にある平滑に 割れた岩. 高さ 9m 幅 13m 道の両側にスギ・ ヒノキ・モミなど の大木が並ぶ.ブ ナも数本ある 弁 天 滝. 約 10m の 滝.道路から見える 天王岩.高さ約 100m. 上部にはオノオレカ ンバが生える.斧が 折れる程硬い木とい う意味 立岩.ヒノキがたくさん 生えている 林道の法面を守る ために草の種を吹き つけるが、イワヨモ ギなどこの付近にな いものが生えている 天狗岩(天王岩と もいわれる).周辺 は砂岩なのに天狗 岩はチャート.岩 登りの人が多い 林道に最近市街地等 で増えているタカサ ゴユリが生えている 市内最大の松 林.枯れた松 が少ない 深沢の大カシ(ウラ ジロガシ).直径約 2.5m 高さ 14m 尾根の南側は時々手入 れをしているので日当 たり地の植物が生える 東側は眺めが良い.山 頂のモミの木に半寄生 植物のマツグミが付い ている(花は赤) 九立沢.地滑りで埋 まったなだらかな 沢.「くたち」は崩 れた土地を表す.木 に中学校林と書いて ある 刈寄滝.4m と 10m の 2 段.真っ 直ぐに落ちている 舟子尾根.松 も所々に残 る雑木林の尾 根.ヤブ道 都立小峰公園ではノハナショウブなど 湿地の植物が見られる.桜尾根は野草 を主とした手入れで、オオバギボウシ やウツボグサなど花が多い.ビジター センターで自然情報が得られる 豊かな丘陵の 自然が残る地域 青梅境の尾根には道があるが自転車が通るので注 意.青梅側の林は落葉を集めているのでヤブがない 瀬戸岡歴史環境保全地域 ではホタルブクロなどの 野草が守られている 多摩川が丘陵を 削ってできた崖.崖 の上からは羽村方 面がよく見える 鉄塔の近くに針葉樹 のネズ(ネズミサシ・ ムロ)がある.高さ 13m 直 径 36cm で 天然記念物級 雨武主神社の モミ、ツガ林 六枚屏風岩 (悪地地形) カタクリ群生地 昔砂利を採った跡にできたと いう池がいくつもある . 水辺 の自然地帯でもある 引谷川 ミズナラにあっ た熊棚.クマ がドングリを食 べた跡は枯葉 が残る 睦橋から見たサルギ尾根 (望遠レンズで撮影) 雪の後に多摩川の睦橋から 山を見るとサルギ尾根には 落葉樹が多いことがわかる 岩石園 あくば 峠付近 1067m. あきる野市最高地点 ミズナラ林が 見られる サワグルミ、オオバアサガ ラなど沢沿いに生える特有 の林が見られる 金を採掘したという 伝説から「金堀沢」 と名付けられた 山頂周辺にミズナラ がある この高さでも ミズナラ林が ない 土砂崩れを防ぐため、ア メリカ原産のニセアカシ アがたくさん植えてある. 市内の山の急傾斜地にも よく植えてある 三つ釜の滝.14 m. 岩を削りながら後 退したことがわか る滝で、左側に昔 の滝の跡がある 土手のコンクリー トにツルマンネン グサが群生する まとまった田 んぼがある 秋留台地の広大な 畑は、生き物にとっ ても貴重な環境に なっている 睦橋 サルギ尾根の絶壁 大岳鍾乳洞 三ツ合鍾乳洞 鳥の巣石灰岩 伊奈石 乙津 伊奈 高岩山 養沢 馬頭刈山 高明山 盆堀川 戸倉 刈寄山 逆沢 深沢 入野 戸倉城山 小中野 五日市 小和田 三内 市道山 臼杵山 留原 高尾 網代 横沢 弁天山 秋川丘陵 秋川 引田 山田 上ノ台 渕上 上代継 下代継 油平 秋川 牛沼 切欠 雨間 秋留 二宮 小川東 二宮東 平沢東 平沢 平沢西 原小宮 草花 菅生 瀬戸岡 大澄山 草花丘陵 野辺 二宮 小川 平井川 ◎秋川駅 ◎東秋留駅 御岳沢 大岳沢 南沢 三内川 小机 峰見通り 千ケ沢 金堀沢 グミ尾根 武蔵五日市駅◎ 武蔵増戸駅 麻生山 金比羅山 武蔵引田駅◎ 横沢入 里山保全地域 養沢神社 大陸側から膨大な量の砂や泥が流れ込み、砂 岩泥岩互層を主体とする小仏層群と呼ばれる 付加体が形成された。白亜紀にはわずかにイ ノセラムスが化石になった。 イノセラムス 6 5 5 0 2 3 0 0 ミエゾウ ソデガイ・ギンエビス スナモグリ・クモヒトデ タカアシガニ コンプトニア メタセコイア・ブナ 東側に浅い海が広がり、山地から土砂が運ば れ、上総層が堆積した。 五日市は深い海になり盆地を形成する地層が できた。 ナウマンゾウ アキシマクジラ アケボノゾウ 段丘上に縄文人が住んだ。 秋川、平井川によって上総層が削られ、秋留台 地ができた。 五日市盆地には、五日市湖ができた。 1 2 5 8 5 3 3 日本海が拡大し、日本列島が姿を現し始める。 2 . 5 1 2 . 9 9 1 . 4 6 2 . 0 0 4 . 1 6 アンモナイト モノチス貝 ウミユリ・腕足貝 放散虫・コノドント フズリナ シダリス・六射サンゴ 魚卵状石灰岩・腕足貝 3 . 5 9 4 . 8 8 古太平洋(パンサラサ海)には海山が点在し、そ の上の浅い海にフズリナ・ウミユリ・コノドントな どが栄えて礁が形成され、石灰岩(地質図の青 色の部分)が堆積した。周辺の深い海には放散 虫などのプランクトンが栄えていた。 コノドントが三畳紀末まで繁栄。ジュラ紀には、 石炭紀・ペルム紀にできた海山や海底の堆積 物と陸からの砂や泥が大陸の縁に付け加わっ た。そこにはサンゴ礁が見られる青く澄んだ暖 かい海が広がっていた。 4 . 4 4 5 . 4 2 2 5 この地質図は、地質調査所発行 5 万分の 1 地質図幅「五日市」(酒井 ,1987)及び独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター発行 5 万分の 1 地質図幅「青梅」(植木・酒井 ,2007)を基に、2011 年樽良平が作成した。 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の基盤地図情報を使用した。(承認番号 平 23 情使、第 584 号) 注 : 地質時代で示す色は 「地質図」 及び 「コラム」 の色と対応している。 知って 守ろう あきる野の自然 ★動物マークは、 市民から寄せら れた主な動物の目撃情報 ★動物の写真は、 近年市内で撮 影された野生動物 (ツキノワグマ のみ他地域で撮影) ハクビシン ホンドタヌキ ニホンアナグマ ホンドテン 市内随所で目撃されたためマークは省略 ニホンジカ ニホンイタチ イノシシ ニホンザル ホンドギツネ モリ ナガレ シュ トウ ナガレタゴガエル モリアオガエル トウキョウダルマガエル シュレーゲルアオガエル カヤネズミ ニホンカモシカ フクロウ ツキノワグマ カタクリ カワラノギク ホタルブクロ ツリガネニンジン オオバギボウシ ノハナショウブ 地質ポイントの凡例 湧水 ゾウ化石産地 化石産地 立川ローム層 湖沼性堆積物 石灰岩 (ジュラ紀) 石灰岩 (古生代) チャート あきる野の地質 四万十帯 小仏層群 秩父帯 五日市町層群 丘陵 段丘・現河床堆積物 段丘・立川面 丘陵 廃棄物処分場 五日市ー川上構造線 ▲ 920 ▲ 794 ▲ 884 ▲ 798 ▲ 434 ▲ 687 ▲ 842 ▲ 468 ▲ 192 ▲ 331 ▲ 795

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500 0 500 1000 1500 (m)S

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小峰台

舘谷

モリ

ナガレ

モリ シュ

トウ

シュ

ナガレ

モリ

ナガレ

ナガレ

ナガレ

モリ

トウ

トウ

トウ

トウ

高尾公園

五日市郷土館五日市郷土館には、「昔々の暮らし」・「自然や生態系」・「地質や地層」に関する資料が数多く展示されています。あきる野市の大地を形づくる、古生代~新生代に堆積した地層から発掘された貴重な化石も観ることができます。自然観察の途中に立ち寄って、あきる野の歴史や自然、大地の生い立ちなどにぜひ理解を深めてください。

五日市郷土館入口

五日市-川上構造線五日市の奥に目立つピークが戸倉城山です。山頂は、五日市盆地の全景や遠く新宿やスカイツリーが望める絶好の展望台になっています。この山の南側(写真左側)を、五日市 - 川上構造線という大きな断層が通っています。この線の南側では砂岩や頁岩を主体とするより新しい小仏層群という地層が分布しています。左斜面が急傾斜になっているのはこの構造線により切れているためです。首をかしげたような戸倉城山

伊奈石と石造物中世の鎌倉期から江戸末期まで約 600 年間採掘され、石造物として利用されました。信州伊那谷から石を求めてやってきた石工集団が、横沢入や秋川周辺の山から粗粒の砂岩を掘り出し加工して臼や石造物などを作り、多摩川流域一帯に出荷していました。あきる野周辺では、路傍や寺社などで多く見ることができます。

伊奈石で造られた五輪塔

幻の五日市湖現在の五日市盆地一帯の沢沿いには、水平に堆積した湖沼性の地層が見られます。この黒い泥炭層やレキ層の中からは、流木や昆虫が見つかります。その地層の形成は、この層にはさまれている火山灰の分析からおよそ10万年~3万年前のものであり、花粉や珪藻の分析から氷河期の寒冷な気候で、湖沼性の水域が広がっていたことが推定されます。当時、五日市一帯が大きな湖であったのかもしれません。観察される水平層

五日市盆地を造る地層

五日市盆地と化石五日市盆地には、基盤に新生代新第三紀(およそ1500万年前)の地層(礫岩・砂岩・泥岩)が分布しています。主に黒褐色の泥岩の地層からは、メタセコイアやコンプトニアに代表される植物化石や、ウニ・スナモグリ・イワシの鱗・二枚貝などの化石がたくさん出てきます。珍獣パレオパラドキシアの化石も見つかっています。五日市は化石の宝庫として昔から有名です。

河原の石河原の石は、上流の山がどんな地質でできているかを教えてくれます。秋川や平井川の上流には中生代や古生代の堆積岩が多く、中流の河原には砂岩、泥岩、石灰岩、チャート、凝灰岩が見つかります。また秋川には三頭山から運ばれるごま塩状の石英閃緑岩という火山起源の石もあります。色や形、硬さなどに注目して石の生い立ちを確かめてみましょう。河原の贈りもの

河岸段丘と湧水今から約2万年前 ( 最終氷期のころ ) の秋川は、今の五日市中心街や、あきる野市役所周辺を流れていました。その後、地盤の隆起とともに川の下方への浸食が盛んになり、流路が移動して、何段ものみごとな河岸段丘ができました。段丘の下には水を通しにくい粘土質の地層(上総層)があり、地下水はそのすぐ上に溜まり、段丘崖から湧き出します。秋留台地の周辺には多くの湧水や池が見られます。

白滝神社の湧水の滝

ミエゾウ想像図

ゾウのいた時代あきる野市では、3 種類の象が見つかっています。種は歯によって決まります。◇ミエゾウ:肩の高さが 4 m近くもある大型の象で、網代の約 300 万年前の地層から発掘されました。ほぼ1頭の骨というのは貴重な発見です。◇アケボノゾウ:ミエゾウが進化した日本固有の小型象で、多摩川河床の約 150 万年前の地層から発見されています。◇ナウマンゾウ:30 万年~ 1万年ほど前まで生きていた中型象で、留原の天王沢で見つかっています。

化石 (肋骨・尺骨)

チャート(火打石)秋留台地から眺めると、大岳山や馬頭刈山など突起した山が目につきますが、これらの稜線はチャートという岩石でできています。チャートは中古生代の深海底に降り積もった珪質のプランクトンが固まったもので、非常に硬く鉄クギでも傷が付きません。浸食に強く、山の稜線や渓流の滝場を造り、つづら岩や大岳沢上流の大滝・小滝などはこの岩石でできています。火打石とも言い、ハンマーでたたくと火花が出ます。チャートの褶曲模様

テフラ(火山灰)あきる野市の最上段の段丘面には、2~3万年前以降の富士山の火山灰から成る立川ローム層が見られます。この赤土の中には、美しい鉱物が見られます。下部に南九州から飛んできた火山ガラスを多く含む姶良(あいら)- 丹沢テフラ ( 略称 AT)が見いだされます。また、小机地区の露頭からは、木曽の御岳伊那(On-In)という約9万3千年前のテフラが初めて発見されました。指標となるこれらのテフラの分布や重なり方は、過去を知る重要な手掛かりとなります。ATテフラの鉱物粒(顕微鏡写真)

樽と南沢の石灰岩秋川流域には、時代の違う石灰岩が分布しています。樽や南沢で見られる石灰岩は、鍾乳洞の石灰岩より新しい中生代ジュラ紀のもので、やや灰色で、ハンマーでたたくと石油のようなにおいがします。表面を調べると、六射サンゴやシダリスというウニの棘や魚卵状の模様が見られます。この石灰岩は高知県の産地の地名をとって、鳥の巣石灰岩と呼ばれています。

六射サンゴの化石

鍾乳洞とフズリナ市内には小規模な鍾乳洞が各所にあり、代表的なものは養沢川流域の三ツ合鍾乳洞と大岳鍾乳洞です。これらの鍾乳洞を作っている石灰岩は、フズリナ ( 紡錘虫 ) という時代を特定できる化石が見つかることから、古生代(ペルム紀)のものであることがわかります。奥多摩の山々を造る岩石は、深い海の中にたまった地層やサンゴ礁を伴った海山や陸からの土砂が、プレートの動きではぎとられ日本列島に貼りついたもの(付加体)です。フズリナの化石

サルギ尾根 最近ハイカーが多い

大滝.高さ20m.水量が多い.滝つぼの位置から滝が後 退したことがわかる

サルギ尾根東側にある谷頭の絶壁. 高 さ 約 80mで、 日 の 出 山 から見える

小滝は高さ 48m.水量が少なく、しばらく雨が降らないと、したたり落ちる程度になる

養沢鍾乳洞(閉鎖 中 ). 中 は 乳白色のきれいな鍾乳洞

日の出方面は木を切ってあり眺めが良い.まき道があるので山頂に来る人は少ない

つ づ ら 岩. 高 さ 35m のチャートの岩.檜原側が切り立っている

馬頭刈尾根は「茅か や く ら

倉尾根」と呼ばれている.岩稜の所もあり、北アルプスの岩尾根のようだとも言われた

三ツ合の滝.3段 25m

日天岩にある平滑に割れた岩.高さ 9m 幅 13m

道の両側にスギ・ヒノキ・モミなどの大木が並ぶ.ブナも数本ある

弁 天 滝. 約 10m の滝.道路から見える

天王岩.高さ約100m.上部にはオノオレカンバが生える.斧が折れる程硬い木という意味

立岩.ヒノキがたくさん生えている

林道の法面を守るために草の種を吹きつけるが、イワヨモギなどこの付近にないものが生えている

天狗岩(天王岩ともいわれる).周辺は砂岩なのに天狗岩はチャート.岩登りの人が多い

林道に最近市街地等で増えているタカサゴユリが生えている

市内最大の松林.枯れた松が少ない

深沢の大カシ(ウラジロガシ).直径約2.5m 高さ 14m

尾根の南側は時々手入れをしているので日当たり地の植物が生える

東側は眺めが良い.山頂のモミの木に半寄生植物のマツグミが付いている(花は赤)

九立沢.地滑りで埋ま っ た な だ ら か な沢.「くたち」は崩れた土地を表す.木に中学校林と書いてある

刈寄滝.4m と 10m の 2 段.真っ直ぐに落ちている

舟子尾根.松も 所 々 に 残る雑木林の尾根.ヤブ道

都立小峰公園ではノハナショウブなど湿地の植物が見られる.桜尾根は野草を主とした手入れで、オオバギボウシやウツボグサなど花が多い.ビジターセンターで自然情報が得られる

豊かな丘陵の自然が残る地域

青梅境の尾根には道があるが自転車が通るので注意.青梅側の林は落葉を集めているのでヤブがない

瀬戸岡歴史環境保全地域ではホタルブクロなどの野草が守られている

多 摩 川 が 丘 陵 を削ってできた崖.崖の上からは羽村方面がよく見える

鉄塔の近くに針葉樹のネズ(ネズミサシ・ムロ)がある.高さ13m 直 径 36cm で天然記念物級

雨武主神社のモミ、ツガ林

六枚屏風岩(悪地地形)

カタクリ群生地

昔砂利を採った跡にできたという池がいくつもある . 水辺の自然地帯でもある

引谷川

ミズナラにあった熊棚.クマがドングリを食べた跡は枯葉が残る

睦橋から見たサルギ尾根(望遠レンズで撮影)

雪の後に多摩川の睦橋から山を見るとサルギ尾根には落葉樹が多いことがわかる

岩石園

芥あくば

場峠付近 1067m.あきる野市最高地点

ミズナラ林が見られる

サワグルミ、オオバアサガラなど沢沿いに生える特有の林が見られる

金を採掘したという伝説から「金堀沢」と名付けられた

山頂周辺にミズナラがある

この高さでもミズナラ林がない

土砂崩れを防ぐため、アメリカ原産のニセアカシアがたくさん植えてある.市内の山の急傾斜地にもよく植えてある

三つ釜の滝.14m.岩を削りながら後退したことがわかる滝で、左側に昔の滝の跡がある

土手のコンクリートにツルマンネングサが群生する

まとまった田んぼがある

秋留台地の広大な畑は、生き物にとっても貴重な環境になっている

睦橋

サルギ尾根の絶壁

大岳鍾乳洞

三ツ合鍾乳洞

鳥の巣石灰岩 伊奈石

乙津

伊奈

高岩山

養沢

養沢川

深沢川

馬頭刈山 高明山

金比羅尾根

サルギ尾根

盆堀川

戸倉

刈寄山

刈寄川

天王沢

逆沢

深沢

入野

戸倉城山

小中野

五日市

小和田

三内

市道山

臼杵山

留原

高尾

網代

横沢

弁天山

秋川丘陵

秋川

引田

山田

上ノ台

渕上上代継

下代継

油平

秋川

牛沼

切欠

雨間秋留

二宮

小川東

二宮東

平沢東

平沢

平沢西

原小宮

草花

菅生

瀬戸岡

大澄山

草花丘陵

野辺

二宮

小川

平井

◎秋川駅

◎東秋留駅

御岳沢

大岳沢

馬頭刈尾根

南沢

三内川

小机

峰見通り

千ケ沢金堀沢

舟子尾根

グミ尾根

鯉川

氷沢川

武蔵五日市駅◎ 武蔵増戸駅 ◎

麻生山

金比羅山

武蔵引田駅◎

横沢入里山保全地域

養沢神社

放射年代

大陸側から膨大な量の砂や泥が流れ込み、砂岩泥岩互層を主体とする小仏層群と呼ばれる付加体が形成された。白亜紀にはわずかにイノセラムスが化石になった。 イノセラムス

6550万年

秋川流域のおいたち

秋川流域のようす 主な化石など地質時代

新 生 代

2300万年

新第三紀

ミエゾウソデガイ・ギンエビススナモグリ・クモヒトデタカアシガニコンプトニアメタセコイア・ブナ

東側に浅い海が広がり、山地から土砂が運ばれ、上総層が堆積した。五日市は深い海になり盆地を形成する地層ができた。

ナウマンゾウ

アキシマクジラアケボノゾウ

第四紀

古第三紀

段丘上に縄文人が住んだ。秋川、平井川によって上総層が削られ、秋留台地ができた。五日市盆地には、五日市湖ができた。

完新世

更新世

1万年

258万年

533万年

鮮新世

中新世日本海が拡大し、日本列島が姿を現し始める。

白亜紀

2.51億年

2.99億年

1.46億年

2.00億年

4.16億年シルル紀

石炭紀

アンモナイトモノチス貝

ウミユリ・腕足貝放散虫・コノドント

フズリナ

シダリス・六射サンゴ魚卵状石灰岩・腕足貝

古 生 代

3.59億年

4.88億年

古太平洋(パンサラサ海)には海山が点在し、その上の浅い海にフズリナ・ウミユリ・コノドントなどが栄えて礁が形成され、石灰岩(地質図の青色の部分)が堆積した。周辺の深い海には放散虫などのプランクトンが栄えていた。

中 生 代

コノドントが三畳紀末まで繁栄。ジュラ紀には、石炭紀・ペルム紀にできた海山や海底の堆積物と陸からの砂や泥が大陸の縁に付け加わった。そこにはサンゴ礁が見られる青く澄んだ暖かい海が広がっていた。

オルドビス紀

カンブリア紀

デボン紀

三畳紀

ペルム紀(二畳紀)

4.44億年

5.42億年

25億年原生代

始生代/冥王代

ジュラ紀

注記:色枠は「地質図」及び「コラム」の色枠と対応している。この地質図は、地質調査所発行 5万分の 1地質図幅「五日市」(酒井 ,1987)及び独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター発行5万分の 1地質図幅「青梅」(植木・酒井 ,2007)を基に、2011 年樽良平が作成した。

この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の基盤地図情報を使用した。(承認番号 平 23 情使、第 584 号)

注 : 地質時代で示す色は 「地質図」 及び 「コラム」 の色と対応している。

知って 守ろう

あきる野の自然

★動物マークは、 市民から寄せら

れた主な動物の目撃情報

★動物の写真は、 近年市内で撮

影された野生動物 (ツキノワグマ

のみ他地域で撮影)

ハクビシン

ホンドタヌキ

ニホンアナグマ

ホンドテン

市内随所で目撃されたためマークは省略

ニホンジカ

ニホンイタチ

イノシシ

ニホンザル

ホンドギツネ

モリ

ナガレ

シュトウ

ナガレタゴガエル

モリアオガエル

トウキョウダルマガエル シュレーゲルアオガエル

カヤネズミ

ニホンカモシカ

フクロウ

ツキノワグマ

カタクリ

カワラノギク

ホタルブクロ

ツリガネニンジン

オオバギボウシノハナショウブ

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地質ポイントの凡例

♈ 湧水

▼ ゾウ化石産地

▲ 化石産地

● 立川ローム層

● 湖沼性堆積物

石灰岩 (ジュラ紀)

石灰岩 (古生代)

チャート

あきる野の地質

四万十帯   小仏層群

秩父帯

五日市町層群

丘陵

段丘・現河床堆積物

段丘・立川面

丘陵

廃棄物処分場

五日市ー川上構造線

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