親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ...

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2 ド

キドキを楽しもう

!1 ワ

クワクを楽しもう

親を学び伝える学習プログラム親を学び伝える学習プログラム

3 イ

キイキを楽しむ

手引き書

4 ハ

ラハラを楽しむ

富山県教育委員会

親を学び伝える学習プログラム 手引き書

富山県教育委員会

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参考文献 『「親」をまなぶ・「親」をつたえる』       大阪府教育委員会

親学習プログラム                栃木県教育委員会

とやまっ子のすがた-小学生の生活実態調査-   富山県教育委員会

とやまっ子のすがた-未就学児生活実態調査-   富山県教育委員会

かがやけとやまっ子-心の教育V-DASH宣言- 富山県教育委員会

資料提供 「社会意識に関する世論調査」(平成18年)    内閣府

「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成16年)内閣府

「子育て支援等に関する調査」(平成15年)㈱UFJ総合研究所 厚生労働省委託

「第 2 回子育て生活基本調査報告書」(平成14年) Benesse教育研究開発センター

「日本のいじめ-予防・対応に生かすデータ集」(平成11年)

           森田洋司、滝充、秦政春、星野周弘、若井彌一編著 金子書房

親を学び伝える学習推進委員

氏 名

子育て情報・子育て相談窓口の案内

子育てほっとライン 2076-433-4150            [email protected](メール相談)

家庭教育カウンセリング 「子育てほっとライン」で予約をお願いします。

子どもほっとライン 2076-443-0001 [email protected]

子育てネッ!とやま http://www.pref.toyama.jp/sections/3009/hp/(パソコン版)

          http://www.pref.toyama.jp/sections/3009/hp/k/(携帯版)

 その他、相談や悩みについては、「子育てネッ!とやま」ホームページを参照して

 ください。

所属・役職等

神 川 康 子

尾 崎 康 子

佐 藤   徳

久保田 真 功

萱 原 昌 子

土 肥 由美子

廣 田   勉

武 内   清

牛 丸 美奈代

廣 川 美奈子

浦 田 久美子

高 原   徹

寺 西 外 美

会 長

副会長

委 員

 〃

 〃

 〃

 〃

 〃

 〃

 〃

 〃

 〃

 〃

富山大学 人間発達科学部 教授

富山大学 人間発達科学部 教授

富山大学 人間発達科学部 准教授

富山大学 人間発達科学部 准教授

小児科医、スクールカウンセラー

臨床心理士、スクールカウンセラー

前県PTA連合会 会長

県PTA連合会 副会長

家庭教育アドバイザー、元県PTA連合会 副会長

元県PTA連合会 総務委員長

家庭教育アドバイザー

砺波市立砺波東部小学校校長 

高岡市立戸出東部小学校校長

平成20年 3 月発行

編集・発行 富山県教育委員会 生涯学習・文化財室

      〒930-8501 富山市新総曲輪1番7号 電話 076(444)3435

親を学び伝える学習プログラム・手引き書

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親を学び伝える学習プログラムの趣旨と子育て支援

 地域、社会、生活、自然環境の変化が子どもの育ちに及ぼす影響は想像以上に大きいとい

うのが多くの方々の実感ではないでしょうか。子ども達の通学路は決して安全とは言い切れ

ない状況にさらされ、地域で「見守り隊」組織を結成していらっしゃるところも少なくあり

ません。公園や夏休みのラジオ体操の時間からは子どもの姿がとても少なくなり、反対に夜

のコンビニやファミリーレストラン、塾や習い事の場所周辺では子ども達の姿をよく見かけ

るようになりました。家庭生活は便利になり、快適な子ども部屋で、ともすると子ども達が

テレビやゲーム、インターネットに熱中するあまり家族のコミュニケーションが少なくなり、

親が子どもの気配や変化を感じにくくなり、親子の絆が築かれにくい状況にもなってきてい

るように思われます。

 一方で家族の小規模化、少子化高齢化、共働きや仕事の多忙化の中で、日常的に家庭生活

や子育て自体が支え合いにくい家庭環境も生じています。このような中においても情報に惑

わされず、孤独にならず、子育ての悩みや課題を共に語り合いながら、子どもの育ちに本当

に必要なことはどのようなことであるのかを一緒に考えながら、元気が出る、ヒントが得ら

れる機会を増やして、親も子も一緒に成長し、今の子ども達が、将来の子育てに楽しみや希

望を持って取り組んでほしいという壮大な想いから、この「親を学び伝える学習プログラム」

の作成に取り組みました。

1. プログラム作成の趣旨

2. 子育ての支えあい

 皆さんは子どもの頃どのような家庭に育ち、今どのような家庭を築いていらっしゃるでし

ょうか。親に言われたことを不満に思ったり、感謝したり、時には自分一人で大きくなった

ような錯覚を持ったりしたことも誰にでもあるのではないでしょうか。親になってふと気が

つくと、自分の親と同じことを子どもに言ってはっとしたり、よく似た行動をとり、「子を

もって知る親の想い」を実感することもたびたびあるのではないでしょうか。このように子

育ては、自然に受け継がれていく文化だったのですが、近年は家族の小規模化や少子化によ

って、世代間での子育ての支援や継承の機会も少なくなりがちです。本来は、親世代から子

育てを学び、同世代で子育てを支えあい、ゆとりや自信をもって子どもと向き合える環境づ

くりが望まれますが、個々の家庭では、なかなか困難な現状も見られます。そこで、親とな

り、子どもとかかわることが、自分や家族の生活をいかに豊かにし、人を成長させるもので

あるかを実感したり、実際の子育ての喜びや悩みを共有し、支えあうことで、心強い子育て

ができ、ひいては社会秩序の安定にもつながればと考えました。

 本学習プログラムは、これから親になる若者、乳幼児をもつ親、小学生をもつ親、中・高

校生をもつ親をおもな対象として、以下に示す4段階のプログラムとしました。どの段階の

1

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 平成18年度、19年度と、お忙しい中、また限りある期間の中で、多くのエピソードや資

料の収集、ワークシートの工夫と作成、そしてプログラムの検証等を行ってくださいました、

尾崎康子副会長はじめ、富山大学の佐藤徳先生、久保田真功先生、これらの作業に加えて、

エピソードをより有効なものとするために毎回熱心に詳細検討してくださいました牛丸美奈

代、浦田久美子、萱原昌子、高原徹、武内清、寺西外美、土肥由美子、廣川美奈子、廣田勉

の各委員の皆様に心より感謝申し上げます。

                          親を学び伝える学習推進委員会

                              会長 神 川 康 子

3. 親を学び伝える学習プログラムの完成にあたって

プログラムをどの世代の方が使っていただいても、親の役割や家庭教育、子育ての課題解決

にむけて考えていただく上で、想像力や創造力を鍛えながら真摯に、時に楽しく取り組んで

いただけるものと思います。 このプログラムは、平成18年度に試行プログラムを作成し、

平成19年度に「家庭教育アドバイザー養成講座」やPTA研修会、大学の講義などの様々な

機会において1,500人近くの方々の使用と結果の検証を加え、さらに使いやすく、柔軟な使

用方法を考えて完成を目指しました。その結果、自分自身の悩みとしては相談しにくい場合

でも、様々なエピソードの中からケースを拾って客観的に課題を取り上げながら、できる限

り身近な課題に取り組めるように、エピソードやワークシートを増やしました。すべてのプ

ログラムに取り組むというより、最も興味のあるプログラムから使用を開始し、使用マニュ

アルを参考にしていただきながら、自由に柔軟に活用していただけましたら幸いです。そし

て、できるだけ多くの保護者の方々や学校、企業、地域の皆様に使用していただき、お互い

のコミュニケーションや相互理解を図り、子育ての元気を増していただくきっかけにしてい

ただけましたらこの上ない喜びです。

 なお、本プログラムは決して答えを見つけたり、解答が一つであるというような課題を設

定しているわけではなく、子育ては、悩みや課題も含めて一生懸命取り組んだり、家族や友

達や地域の人達と一緒に支えあって、泣いたり笑ったり、注意しあったり、支えあうその過

程・プロセスそのものが親と子の成長につながるものであることを実感していただきたいと

思うものです。

 子育ては大変だけど、本当に楽しいよ!という声が聞こえることを目標にしたいと考えて

います。2

親を学び伝える学習プログラム

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プログラム使用時の進行例

日ごろ気になっている子育てのエピソードのテーマを挙げてみませんか?

◆できれば、みなさんも身近な生活を題材に客観的なエピソードを作成してみませんか。

親を学び伝える学習プログラム

1 親となるための準備期プログラム(ワクワクを楽しもう!)ある日の親子の会話から(親の役割ってなんだろう?)

静香さん(中学3年生)の日記から(親ってたいへんだ!)

良くんと萌さんの会話から(家事・育児は女性の仕事?)

迷う恵梨花さん(子育てはガマンと忍耐?)

働かなければ大人じゃない?(働くことを考えてみよう!)

2 乳幼児をもつ親のプログラム(ドキドキを楽しもう!)赤ちゃんの行動や言葉をまねてみましょう!(赤ちゃんと体験を共有しましょう!)

赤ちゃんの感情の調子に波長を合わせてみましょう!

忙しいお母さん、話をきいてほしい太郎君(子どもと向き合おう!)

ついイライラしてしまうお母さん(イライラに対処する)

保育園から絵本を借りてきたよ!(子どもの気持ちを受け止めよう!)

3 学童期の子どもをもつ親のプログラム(イキイキを楽しむ!)健太郎君とお父さん(自立の後押し!?、親の出番は!?)

参観日の母親の姿(規範意識が低いのは、おとな?子ども?)

子ども同士のけんかに親がかかわり(かかわり方を考えよう!)

運動会は誰の競争?(もう6年生なんだから・・・!)

地域とのかかわり(親も子も地域で育つ)

4 思春期の子どもをもつ親のプログラム(ハラハラを楽しむ!)

p6~

p14~

p22~

p30~由香のお手伝い(いつまでも子どもと思っていたら!)

健一の友達とのトラブル(子どもの問題に向き合おう!)

智也の通学(いつまでも手をかけていませんか!)

夕飯時の携帯電話(ゆらぐ自我に向き合う!)

地域デビュー(社会に踏み出す!)

プログラムメニュー

プログラム使用時の進行例

活 動 留  意  点 など

アイスブレイキング

グループ分け

・参加者の心をほぐす活動を行う。

・話し合いをしやすいようにグループに分ける。

・学習のルールや目的を確認する。

時間

15 分

エピソードの読み上げ

グループワーク・エピソードを読む。ワークシートへ記入する。

・セリフを役割分担して演じてみる。15 分

グループでの話し合い

学びあい

・エピソードや活動から考えたこと、思い出したことなどを話

 し合う。

・それぞれが考えたセリフで演じてみる。

20 ~ 40 分

ふりかえりや発表・学びを広げ、発展させるため、他のグループの発表を聞いたり、

 資料をもとに話し合ったりする。20 分

※全体の時間に合わせてそれぞれの活動時間を調整します。

※参加者によって内容を工夫したり、違う世代のエピソードも使用したりすることが可能です。

4 5

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6

親となるための準備期プログラム

7

親となるための準備期プログラム

グ ル ー プ

ワ ー ク

1

やがて親になることを考えてみましょう

親の役割ってなんだろう?

ワクワクを楽しもう!

15√c}S

ある日の親子の会話から

1

2

3

しかし、誠くんが家に帰ってきたのは、12時を少しまわったくらいのことでした。

誠くんのお母さんは、誠くんが帰宅するのをずっと待っていました。あなたの家庭ではどんな親子の会話に

なりそうですか。吹き出しに書いてみましょう。

4

今日、クラスメートとカラオケに行くから、食事は外で食べてくるよ。 わかったわ。

でもあまり遅くならないようにね。

うん。遅くても10時ぐらいには帰るよ。

3 人 1 組になり、いろいろな会話を考えてみましょう。

自分が親になるとしたらどんな親になりたいか話し合ってみましょう。

あなたの親のことを思い浮かべ、親の役割について考えてみましょう。

「親の役割ってなんだろう?」

手 順

3 人 1 組のうち 2 人が親の役と子の役となる。1 人は聞き役。

自分の家庭の様子を思い浮かべながら親子の会話をしてみましょう。

聞き役は 2 人の会話を否定しないこと。

役割を順次交替し、3 人が 1 回ずつ親と子の役を受け持つ。

3 人全員で考えた会話をグループごとに発表しましょう。

1

2

3

4

1

2

3

誠くんは高校 1 年生。誠くんの家族は、誠くんを含めて両親と妹の 4 人ですが、お父さんは単身赴任のため、

現在は 3 人で暮らしています。

誠くんのお母さんは、いつも朝 6 時には起き、家族 3 人のお弁当と食事の用意をします。みんなの食事が終

ったら、後片付けをし、それから仕事に出かけます。

ある日のこと、誠くんのお母さんは、仕事から帰った後、洗濯を済ませ、夕食の支度をしていました。その

とき、誠くんから電話がありました。

ワクワクを楽しもう!

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8

親となるための準備期プログラム

9

親となるための準備期プログラム

グ ル ー プ

ワ ー ク

参考資料

親ってたいへんだ!

25√c}S

静香さん(中学 3 年生)の日記から

日記を読んで、あなたが静香さんなら、お母さんの入院中にどのようなことができるか考えてみま しょう。

10月29日の日記を、静香さんの気持ちになって、次のワークシートに書いてみましょう。

「明日は、母さんの一時退院の日だわ。」

子育ての楽しさや大変さって何だと思いますか。思いつくことを想像してみましょう。

10月10日

たいへん!お母さんが緊急入院した。

拓也の11歳の誕生日ケーキを買いに行く途中、

車に接触。自転車ごと倒れて大腿骨骨折で

全治1ヶ月。

どうしよう・・・でも命に別状ないし、

お父さんと拓也と私できっとなんとかなるわ。

10月13日

天の助けだわ!大阪のおばあちゃんが来てくれた。

ありがとう、本当にありがとう。

10月29日

明日は、お母さんの一時退院の日だわ。

今日は、朝からパニックだった。

お米ってどうやって炊くの?

こんなことになるんならお母さんにちゃんと

教わっておけばよかった。

お父さん、私にハンカチや保険証の在り場所

なんか聞かないでよ。私だって知らないよ。

ア~ッ、忘れてた、お弁当どうしよう!

コンビニで買おうかしら。

10月11日

おばあちゃん、膝が痛いって言いながら

一生懸命働いてくれている。

でも、お願いだから私のお気に入りのブラウスと

お父さんの下着、一緒に洗濯しないで。

勝手に私の部屋を掃除して、大切にしていた

ファッション誌を捨てないで。

あーぁ、お父さん、また背広姿のまま寝てる。

会社帰りに病院寄って、母さんの面倒

見てるんだもん・・きっと疲れてるんだわ。

ガミガミ叱り声でもいいから、お母さんの元気な

声、聞きたいなぁ。

10月14日

この日の静香さんの日記を後のワークシートに書きましょう。

60.0

50.0

40.0

30.0

20.0

10.0

0

49.3

(%)

36.4

6.00.1

8.2

子育てを楽しいと感じるか辛いと感じるか(調査対象:20歳以上)

わからない

その他

辛いと感じる

ことの方が多

い楽しいと感じ

ることの方が

多い

楽しいと感じるこ

とと辛いと感じる

ことが同じくらい

※出典:内閣府「社会意識に関する世論調査」(平成18年 2 月調査)

1

2

あなたの親に、子育ての楽しかったことや大変だったことを聞いてみましょう。4

3

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10

親となるための準備期プログラム

11

親となるための準備期プログラム

グ ル ー プ

ワ ー ク

参考資料

家事・育児は女性の仕事?

35√c}S

良くんと萌さんの会話から

エピソードを、役割分担して読み上げましょう。

各自で最後の萌さんと良くんのせりふを考えて、吹き出しに記入してみましょう。

あなたの両親であれば、どのような会話になると思いますか? ワークシートに書いてみましょう。

おれ、結婚するとしたら萌以外は考えられないよ。

私も。良くんと結婚したら幸せになれる気がする。

1979年

1992年

1997年

2002年

2004年

0 20 40 60 80 100(%)

賛成

どちらかといえば賛成

どちらかといえば反対

反対

わからない

「夫は外で働き妻は家を守るべき」という考え方をどう思うか

※(内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」平成16年11月調査より作成)

 良くんと萌さんは同じ高校に通う恋人同士(ともに高校 3 年生)。ふたりは高校に入学してからすぐに付き合

いだしたため、付き合いは 3 年目をむかえています。このように付き合いは長いものの、ふたりの恋は色あせる

ことなく、お互いに結婚することを夢見ています。

 ある日の学校からの帰り道のこと、ふたりは結婚後のことについて話をしました。

 結婚して子どもができたら、萌には家にいてほしいなぁ。おれの両親は共働きで、小さかった頃のおれはずいぶんと寂しい思いをしたから。おれの子どもには絶対にそんな思いをさせたくない。 あと、おれが仕事から帰ってきたら萌がおれを玄関で迎えてくれて、温かい食事とお風呂が用意されている。そんな光景にもあこがれるなぁ。

良: 萌:

良萌

母:

父: 

各自 2 と 3 で記入したことを、一人ずつ順番に紹介し合いましょう。

メモ:

男性の役割は外での仕事、女性の役割は家で家事・育児という考え方について、どのように思いま すか?自由に意見を出し合いましょう。

メモ:

31.8

23

20.6 37.2 24 13.8 4.4

14.8

12.7 32.5 27.4 21.5 5.9

32.1 27 20 6.1

37.1 24 10 5.9

40.8 16.1 4.3 7.1

3

1

2

4

5

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12

親となるための準備期プログラム

13

親となるための準備期プログラム

グ ル ー プ

ワ ー クグ ル ー プ

ワ ー ク

子育てはガマンと忍耐?

45√c}S

迷う恵梨花さん

手持ちの携帯電話を使って動作をまねながら、エピソードを役割分担して読み上げましょう。

あなたが恵梨花さんなら、ライブに行きますか?あきらめますか?理由も合わせて考え、各自でワ ークシートに記入してみましょう。

 恵梨花さんは18歳。妊娠・結婚をきっかけに高校を中退し、もうすぐ 1 歳になる翼くんの子育て真っ最中です。

結婚前は、大好きなテニス部で大活躍。休みの日は友だちと映画やショッピングなど、楽しい高校生活を送って

いました。

 主婦となった今は、夫の慎吾さんは仕事で帰りが遅く、家事や育児は恵梨花さんの役目です。

 最近の恵梨花さんにとって唯一の息抜きは、同じ高校に通い大学に進学した、正美さんとのお喋りです。今日

も、正美さんから恵梨花さんの携帯電話に連絡がありました。

正美  「恵梨花、元気?今、話できるかな?」

恵梨花 「正美!大丈夫だよ。翼、ちょうど眠ったところだから」

正美  「一日中、翼ちゃんと一緒でしょ?たいへんだね」

恵梨花 「でもね、うれしいこともあるよ。翼、このあいだ初めて“たっち”ができるよう    “あんよ”

     になったの。もうちょっとでできそうだし。子どもの成長ってすごいよ!」

正美  「そう。ところで、来週の土曜日、ちょっと出てこられないかな?久しぶりにライブに行くんだけど、

     ひとりじゃつまらないし、恵梨花もどうかと思って・・」

恵梨花 「行きたいなぁ。ライブなんてずっと行ってないし、正美ともゆっくり話したいな」

正美  「じゃあ、たまには慎吾さんに翼ちゃん任せて、出かけようよ」

恵梨花 「土曜日も仕事だし、無理だよ。」

正美  「じゃあ、慎吾さんのおかあさんにお願いしてみたら?」

恵梨花 「翼、このごろ人見知りがひどくて、何をするにも私じゃないとダメなの。夜、目が覚めて私がい

     なかったらきっと大泣きしちゃう・・。でも、正美に会いたいし・・」 

正美  「じゃあやっぱり無理かなぁ・・」

恵梨花 「・・・   」

メモ:

家庭や子どもをもつと、生活はどのように変わるでしょう?グループで話し合ってみましょう。

理由:

行く  あきらめる  その他

働くことを考えてみよう!

55√c}S

働かなければ大人じゃない?

各自でエピソードを読んでみましょう。

あなたは、現在どのような進路を考えていますか。ワークシートに記入しましょう。

 勇樹くんは高校 2 年生、卒業後の進路について考え始めています。最近は、将来どのような仕事に就きたいの

かを友人と話す機会が増えました。

メモ:

エピソードや2で記入したことをもとに、働くことの目的や意義についてグループで話し合ってみ  ましょう。

みんな、進む道が違うみたいだね。・・・でも、どうして、大人になったら働かなくちゃいけないのかな?

友人A

大学進学を希望。学んだこと

を生かした職業に就きたいと

考えている。

友人B

親は自営業。家業を継ぐこと

を考え、親も期待している。

友人C

卒業後は就職希望。早く経済

的に親から自立したいと考え

ている。

友人D

両親が共働きのため、料理や洗濯が得意。

就職に強い意欲はなく、早く結婚して

家事や子育てに専念したいと考えている。

友人E

勇樹くん

自分の生活パターンにあった仕事をし

たいと考えている。職場に拘束されな

いフリーター生活が理想。

1

2

3

1

2

3

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14

乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

15

乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

1

3

1

2

子どもと向き合い、親子の絆を深める

赤ちゃんと体験を共有しましょう!

ドキドキを楽しもう!

15√c}S

赤ちゃんの行動や言葉をまねてみましょう!

 たとえば、赤ちゃんがテーブルを「バン」とたたいたら、ママやパパも一緒に「バン」とたたいてみましょう。

「バンバンバン」と 3 回たたいたら、一緒に「バンバンバン」と 3 回たたいてみましょう。赤ちゃんが何かを見

て、「アーアー」と言ったら、同じように「アーアー」と言ってみましょう。ママやパパも同じ口調で「アーアー」と言ってみましょう。何でもいいから、赤ちゃんの行動や言葉をまねてみましょう。(もしいまここに赤ち

ゃんがいなかったら、身近にいる人でお互いに役割をかえてやってみましょう。そして、家に帰って、赤ちゃん

にもやってみましょう。)

赤ちゃん ( 相手 ) にどんな変化がありましたか ? ワークシートに書き込んでみましょう。 赤ちゃん ( 相手 ) にどんな変化がありましたか? ワークシートに書き込んでみましょう。

どんな気持ちになったかグループで話し合ってみましょう。

そのときあなたはどんな気持ちになりましたか?ワークシートに書き込んでみましょう。

25√c}S

赤ちゃんの感情の調子に波長を合わせてみましょう!

  エピソードのような、「まね」の場合は、赤ちゃんの動作や言葉をそのまま、まねていました。ここでは、

行動そのものをまねるというよりも、赤ちゃんとは異なる表現で、赤ちゃんの感情の調子(状態)に波長を合わせてみます。たとえば、楽しそうにガラガラを振り回す赤ちゃんの腕の動きに合わせてうなずいたり、赤ちゃんの喜びの表情に合わせて、声の表情を変えたりしてみます。つぎに例を挙げてみますので、やってみましょう!

 (身近にいる人でお互いに役割をかえてやってみてもよいでしょう。)

赤ちゃんが毛布の下に隠れていたぬいぐるみを見つけたとします。喜びでいっぱいになって、赤ちゃんの

顔がみるみるほころんできます。そうした喜びに波長を合わせ、「うぁーい」と、それらを声の調子や動

作で表現してみましょう。

赤ちゃんがやわらかいぬいぐるみに手をたたきつけています。最初は、ちょっと怒ったように見えますが、

たたいているうちに、だんだん楽しくなって、一定のリズムを刻みはじめました。ママやパパもその喜び

のリズムに乗って、体を振りながら、「パーン、パーン、パンパンパン」と声に出してみましょう。

赤ちゃんがおもちゃを見つけ、体を傾けて、手を伸ばしています。もう少しで届きそうですが、それでも

まだ手が届きません。そのときの赤ちゃんの気持ちに波長を合わせて、「うー、うー」と声を出してみま

しょう。

そのときあなたはどんな気持ちになりましたか ? ワークシートに書き込んでみましょう。

どんな気持ちになったかグループで話し合ってみましょう。

メモ:

メモ:

1

例1

例2

例3

パパ、ママのためのワンポイント知識

 赤ちゃんは自分と同じような動きをする他者を好み、そうした他者に強い関心を持ちます。

 赤ちゃんの言葉や動作を大人が真似ることを「逆模倣」と言います。他者に関心を示さない発達障

害児においても逆模倣を行うと、他者への関心が増大するという報告もあります。それに、何より、

自分の行動が大好きな人たちに影響を与えているということを、赤ちゃんは学ぶことができます。

 これは、とても楽しい出来事であると同時に、これから赤ちゃんが成長していく上でとても大きな財産となります。

2

3

2

ドキドキを楽しもう!

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16

乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

17

乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

グ ル ー プ

ワ ー ク

場面

子どもと向き合おう!

35√c}S

忙しいお母さん、話を聞いてほしい太郎君

 康子さんは、フルタイムで働いています。夫の篤史さんも会社勤めです。夫の篤史さんは、つい最近部所が変

わったばかりで気苦労が多く、疲れて帰ってくる日が多くなりました。共働きの 2 人には、保育所に通っている

3 歳の太郎君がいます。

 今日は、康子さんの職場の仕事が特別いそがしく、帰宅が遅くなり、夕食作りにあせっています。

 そこへ、3 歳の太郎君が来て、後ろからお母さんのエプロンのひもを引っ張りながら、「おかあさん」「おか

あさん」と話しかけてきます。

 康子さんは、イライラのあまり、後ろにいる太郎君に振り向きもせず、

「あとで」と言ってしまいました。

 

台所で、夕食を作っているお母さん。お父さんが帰ってくる時間

を気にしながらあせって食事を作っているイライラのお母さん。

お母さんのエプロンのひもを引っ張りながら、「おかあさん」「お

かあさん」と呼びかける太郎君。

参考資料 子育てで何が楽しいか

※「とやまっ子のすがた」 平成16年 3 月 富山県教育委員会

成長と共に親であることへの喜び

友達ができる

家族との会話が弾む

自分がかけがえのない存在である

配偶者、祖父母の信頼が深まる

経験が仕事や趣味に役立った

その他

0 10

69.5

60.9

49.3

39.7

18.7

42

4.9

20 30 40 50 60 70 80(%)

経験した出来事:

メモ:

そのとき考えたこと:

あなたにもエピソードと同じような経験はないでしょうか。その時の経験をできるだけ客観的に書 くとともに、その時どんなことを考えたかも書いてみましょう。

子どもと向き合っていくためにどうしたらよいと思いますか。ワークシートに書き込んでみましょう。

それぞれの立場になったとしたら、どんなふうに思いますか。 ワークシートに書き込んでみましょう。

それぞれの立場になって感じたことをグループで話し合ってみましょう。

子どもと向き合っていくためにどうしたらよいと思うか、グループで話し合ってみましょう。

康子(お母さん)

篤史(お父さん)

太郎(3 歳)

1

2

3

4

5

メモ:

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18

乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

19

乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

イライラに対処する

45√c}S

ついイライラしてしまうお母さん

 聡子さんには 4 歳の翔太君と1歳になったばかりの美里ちゃんの二人の子どもがいます。

 翔太君が赤ちゃんのときはそうでもなかったのですが、美里ちゃんが生まれてからは、二人の子育てで時々イ

ライラしてしまうことがあります。

 食事のときに、翔太君がお味噌汁をこぼしたりすると、すぐに手が出て、頭をたたいてしまいます。美里ちゃ

んのおもちゃを翔太君が取ろうとすると、「お兄ちゃんなのに、どうして我慢ができないの」と、またたたいて

しまうのです。子どもが二人とも泣き出したり、言うことを聞かないときには、もう何もかも嫌になって、自分

だけどこかに行ってしまいたい気持ちになります。でも、寝ている子どもたちの寝顔を見ているときは、「ごめ

んね、すぐ怒るお母さんで…」と申し訳ないやら、情けない気持ちになるのですが、昼間に二人の子どもが好き

勝手をしだすと、また頭の中がめちゃくちゃになるような気がするのです。

 夫に子どもが言うことを聞いてくれないと相談すると、「お前がちゃんと子育てしないからだ」と言われ、ま

すます落ち込んでしまいます。時々この子たちがいなければとさえ思うこともあります。本当はよいお母さんに

なりたいのですが、すぐに子どもに手が出る自分をどうしたらよいのか、分かりません。

子どもと接していて、どういう状況のときに、イライラしたり、自分を抑えられなくなったりしま すか?

イライラしたり、自分を抑えられなくなったときに、どんなことを感じたり、考えたりしました か?

 で記入した考えに対して、別の考え方や対処の仕方はできますか?

 のように感じたり、考えたりする結果、どれくらい強いイライラを感じますか?  最大を 100 として数字で表してみましょう。

/ 100

  のように、別の考えや対処の仕方をすることで、イライラがどの程度和らぎますか? と同じよ うに数字で表してみましょう。

/ 100

グ ル ー プ

ワ ー ク

ワークシートに記入したことをもとに 4 ~ 5 人のグループで話し合ってみましょう。 このエピソードのように、子どもと接していて、イライラしたり、自分を抑えられなくなったとき に、 どのように考えたり、対処したりすると、よりイライラが大きくなるか、 どのように考え たり、対処したりすると、イライラが和らぐか、について、話し合ってみましょう。

自分にもできそうな、参考になる状況や気持ちに対する対処法はありましたか?

1 21

2

1

2

3

3

2

4 2

5 4

み さとしょうた

メモ:

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乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

21

乳幼児期の子どもをもつ親のプログラム

子どもの気持ちを受け止めよう!

55√c}S

保育園から絵本を借りてきたよ!

 さくら  「お母さん、今日、保育園から『ぐりとぐら』の絵本を借りてきたよ」

 お母さん 「ふーん(洗濯物をたたみながら)」

 さくら  「明子先生が保育園で読んでくれたんだよ」

 お母さん 「そう、よかったね」

 さくら  「お家でも読みたい人は借りていってもいいよって言ったんだよ」

 お母さん 「借りてこられて、よかったね」

 さくら  「お母さんも読んで」

 お母さん 「お父さんが帰ってきたら読んでもらって。

       お母さんは、夜、寝るときにね」

      (さくらは、絵本のページを楽しそうにめくっています。

       そこへお父さんが珍しく早く帰ってきました。)

 お父さん 「ただいま~」

 さくら  「あっ、お父さんだ。おかえり~。お父さん、これ、読んで」

 お父さん 「えっ、『ぐりとぐら』? お母さんは?」

 お母さん 「ふーん。(洗濯物をたたみながら)」

(山川家の夕方の会話です)

グ ル ー プ

ワ ー ク

4 ~ 5 人のグループに分かれ、このエピソードを役割分担して読み上げましょう。

あなたにもエピソードと同じような経験はないでしょうか。そのときの状況や感じたことをありの ままに書いてみましょう。

それぞれの立場になったとしたら、どんなふうに思いますか。 ワークシートに書き込んでみましょう。

メモ

それぞれの立場になって感じたことをグループで話し合ってみましょう。

メモ

あなたの家庭では子どもに本を読んであげたり、子どもといっしょに本を読んだりすることはされ ていますか。子どもの気持ちを受け止めていくにはどうしたらよいと思うか、グループで話し合っ てみましょう。

5

4

3

1

2

お母さん

お父さん

さくら(5歳)

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22

学童期の子どもをもつ親のプログラム

23

学童期の子どもをもつ親のプログラム

3

依存から自立へ

自立の後押し!?、親の出番は!?

イキイキを楽しむ!

15√c}S

健太郎君とお父さん

あなたが小学生の頃、がんばったことは何でしたか?思い出してみましょう!

小学生の頃、がんばっていたこと:

 健太郎君の小学校 3 年生までの話です。お父さん、お母さんが勤めから帰ってく

るのが遅いので、お菓子を食べて、テレビゲームで遊んで待っているのが普通でした。

 お母さんと顔を合わせてから、おしゃべりをして、明日の準備をして、夜11時

過ぎに寝ることにしていました。  

 こんな毎日ですから、いつも学校へは遅刻をしていました。朝 9 時ごろ、お母さ

んに学校へ送ってもらい、学校の玄関には入るのですが、そこで座り込んでしまい

ます。無理やり起こされて連れて来られたので、機嫌も悪く、教室には入りにくい

のです。このように、午前中はさっぱり調子が出ません。

 そんな日が続いた 3 月のある日曜日、野球部の上級生がユニフォーム姿で練習しているところを目にしました。

とてもかっこいいと思ったので、家に帰り話をしてみました。いつもあまり話をしないお父さんが「お父さんも

野球をしていたんだよ。初めはへたくそだったけどね」となつかしそうに話し、「お前もやってみたら」と背中

を押してくれました。

 4 月に 4 年生になってから、健太郎君のようすはすっかり変わりました。朝も間に合うように教室へ入るので

す。それは「野球スポーツ少年団」に入ったからです。練習日には、ランドセルのほかに野球の用具も持って登

校しています。放課後になると、野球部の友達といっしょにいそいそと着が

えます。ユニホームにそでを通し、スパイクをはき、帽子をかぶるのが気に

入っているのです。友達といっしょに行動できることがうれしいのです。礼

儀正しくなり、先生たちも驚いています。3 年生のころのぐずぐずした態度

はどこかへとんでいってしまったようです。

 かなり太っていた体も少ししまってきました。ところが、キャッチボール

は一番へたです。10mも投げられません。でも、友達に助けてもらいながら

毎日キャッチボールの練習に励んでいます。

グ ル ー プ

ワ ー ク

子どもが自立し始めたと感じたのはどのような時ですか。 

 エピソードを読み、つぎに示す 1 ~ 5 のテーマについて10分ほどで自分の経験を書いてみましょう。つぎに 4

~ 5 人のグループでいくつかテーマを選んで30分ほど話し合い、後で話し合った内容について簡単に報告し合い

ましょう。グループでは、あらかじめ司会者、記録者、報告者の分担を決めておきましょう。

自分の経験 他の人の意見:メモ

子どもの自立をあと押しする行動とはどんな行動でしょうか。(例:ほめる、応援する、しつけるなど具体的なエピソードで)

自分の経験 他の人の意見:メモ

親子のコミュニケーションの取り方で心がけていることはなんですか。(例:子どもの話に耳を傾ける)

自分の経験 他の人の意見:メモ

あなた自身が父、母を尊敬したのはどんな時ですか。子どもにとっての、父の出番、母の出番とは どんな時でしょうか。

・尊敬した時

・父母の出番

他の人の意見:メモ

家族のきずなや、協力し合う姿をどのような場面で子どもに見せていけばよいでしょうか。(例:アウトドア)

場面 他の人の意見:メモ

1

2

3

4

5

イキイキを楽しむ!

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学童期の子どもをもつ親のプログラム

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学童期の子どもをもつ親のプログラム

規範意識が低いのは、おとな?子ども?

25√c}S

参観日の母親の姿

 参観日に徹の母、美奈代は少し早めに小学校に行き、徹の教室に入りました。

 すでに何人かの保護者が教室にいて世間話をしていました。しばらくして授業開始のチャイムが鳴り、子ども

たちも先生も少し緊張の中で授業が始まりました。しかし、声を小さくはしているのですが、数人の保護者の会

話は延々と続き、他の保護者への迷惑や、授業の妨げになるようなものでした。母の美奈代は、家に帰って今日

の出来事を家族と話し合いました。

 母(美奈代) 「今日の授業参観、何人かの保護者が授業中ずっと話をしてて、気になって集中できなかっ

         たわ」

 息子(徹)  「僕も後ろから小さな声で話声がして、授業に集中できなかったよ」

 父(一郎)  「たまに学校で会ったんだから、少しは大目に見てあげないと」

 母      「でも、先生や子どもたちが一生懸命に授業に取り組んでいるのに親の方がじゃまをしてい

         るなんて」

 父      「そんなに気になったのなら、注意すればよかったじゃない」

 息子     「いつも子どもには静かにしなさいと言っているのにね」

 母      「そうなんだけど、後の関係のことを考えると、注意まではなかなかできないのよ」

 父      「親として今日は何の目的で参加しているのか、他の人に迷惑になっていないかを考えない

         大人の方がルールを守っていないみたいだね」

母の立場になって考えましょう。あなたならどういう態度をとりますか?

 と についてグループで話し合ってみましょう

グループで出た意見をまとめて発表してください。

親の規範意識が希薄になってきたと言われますが、あなたはどう感じますか? また、どんな時に規範意識が希薄と感じますか?

1

2

3 21

4

メモ:

メモ:

裕太の気持ちを考えましょう。母の気持ちを考えましょう。

あなたが裕太のお母さんだったらどうしますか? ア 裕太との話で収める。

 イ お父さんに相談する。

 ウ 俊夫くんの家に電話する:何というのか?

 エ 担任の先生に連絡する:どのように相談する?

 オ 周りの保護者に相談する。

 カ いじめ問題として校長や教育委員会に相談する。

 キ その他(                )

その後の話の展開を考えて見ましょう。

裕太の気持ち 母の気持ち

その後の展開:

かかわり方を考えよう!

35√c}S

子ども同士のけんかに親がかかわり

 裕太くんは小学1年生。お母さんからみると優しい子ではありますが、少々気が小さいようで、クラスでも思

ったことがはっきりと言えない点が心配です。でも、毎日元気に「行ってきます」と言って学校に出かけていく

ので、友達もいて、学校もまあまあ楽しいのだろうと安心していました。ところが、ある日学校から帰ってきた

裕太くんの様子がいつもと違うように、お母さんは感じました。そこで

 母  「裕太、どうしたの?学校で何かあったの?」

 裕太 「ううん、何でもないよ」

 母  「そう、ならいいんだけど・・・。おやつあるわよ、食べる?」

 裕太 「うん、いまいいよ、後で食べる」

     いつもなら嬉しそうに、お母さんの見える居間のテーブルで、

     大好きなドーナツや、クッキーを牛乳と一緒に食べるのに、すうっと、自分の部屋に行ってしまい

     ました。お母さんはなんだか気になったので、部屋の前に行ってみると、鼻をすするような音が聞

     こえてきたので、トントンとノックをして部屋に入り、

 母  「どうしたの、誰にも言わないから、お母さんに何があったか言ってみて」

     しばらく裕太は何も言わず口を真一文字にしていましたが、

 裕太 「ほんとに誰にも言わない?」と、言って、ランドセルから二つに折れた下敷きを出してきました。

 母  「どうしたの?これ裕太が大事にしていたアニメの下敷きじゃない!自分で折ったの?」

 裕太 「ちがうよ!俊夫くんが・・・」

     と言ったきり泣きじゃくり始めました。お母さんは、仲良しのはずの俊夫くんがどうして?と思い

     ましたが、内気な裕太くんが泣いている姿を見て、「なんてひどいことを!」と怒りがこみ上げて

     きました。

グ ル ー プ

ワ ー ク

1

2 3

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学童期の子どもをもつ親のプログラム

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学童期の子どもをもつ親のプログラム

もう6年生なんだから・・・・・!

45√c}S

運動会は誰の競争?

 秋晴れになった10月10日。今日は小学校の運動会です。6 年生の恵梨奈さんは国語も大好きですが、運動も大

好きです。今日は得意のかけっこで 1 等賞をとる小学校最後のチャンスです。同じくらい足の早い早苗ちゃんに

は負けたくないので、体育の時間にも一生懸命練習してきました。昨夜も少し不安でいつもより寝付くのが遅く

なりました。

 お母さん 「いつまで寝てるの。学校に遅れるわよ。お弁当も水筒も準備したわよ。」

 恵梨奈  「えっ、どうして起こしてくれなかったの?」

 お母さん 「何度も起こしたわよ。とにかく全部準備してあるから着替えて、ご飯も食べていってらっしゃい。

       お母さんもお父さんも後から見に行くから。」

 恵梨奈  「髪の毛もちゃんと結んでほしいのに、えっお弁当に卵焼きがない・・・、靴下はあのピンクの

       が良かったのに・・・洗濯中?」

 しぶしぶ、準備して学校へ出かけましたが、気分がすっきりしません。運動会が始まって、

いよいよ 6 年生の100m走の時間です。お父さんはゴール近くにビデオカメラを持ってスタン

バイしています。お母さんは素敵なよそ行きの服を着て、来賓席の前まで進出して「えりちゃ

んがんばって!」と声を張り上げています。数人の保護者もわが子が見やすい場所にと、どん

どん前に出ています。「よ~い、ドン!」ピストルがなって、一斉に走り出しました。すると、

すぐに運悪く靴が抜けてしまい、恵梨奈さんはおもいっきり走れず早苗ちゃんに負けて 2 位に

なってしまいました。悔しくて涙が出てきました。「お母さんがお気に入りのピンクのソック

スにしてくれなかったからだ」と思いました。楽しみにしていた小学校最後の運動会は恵梨奈

さんにとって残念な結果になってしまいました。家に帰ってからも恵梨奈さんの気持ちはおさ

まらず、「お母さんのせいだからね」とぷんぷんです。

グ ル ー プ

ワ ー ク

この話の中で書き換えたいと思うところがありましたら何箇所でも良いので、アンダーラインを引いてください。どのように書き換えたいかグループで話し合ってみましょう。

家に帰っても機嫌の悪い恵梨奈さんにどのように接しますか。

子どもを信頼して任せられることはどんなことだと思いますか。話し合ってみましょう。

お母さんの気持ちになって

お父さんの気持ちになって

話を聞いた祖父母の気持ちになって

親も子も地域で育つ

55√c}S

地域とのかかわり

 小学 5 年生の知樹くんのお母さんは今年度、児童会の役員がまわってきています。夏休みには家族旅行をする

予定が決まっていましたが、その前日が納涼祭に決まり、お母さんは、旅行の準備もあるのにと、ちょっと児童

会の手伝いが「面倒だな」という気持ちになっています。知樹くんの家族の夕食時の会話です。

 母    「今年は町内の児童クラブの役員だから納涼祭に出なくちゃいけないのよ。       母さんは輪投げの係なの。お世話大変だわ~。家族旅行の前日よ!」 知樹   「ぼくは納涼祭楽しみだなぁ!」 父    「町内の人たちで集まるのも納涼祭ぐらいだからな~。近所に住んでいてもなかなか話をするこ       ともないし、母さんが世話係ならみんなで参加しよう!」   母    「まあね、いつもは出たことないものね。夏休みはいろいろ忙しいからね」 知樹   「ぼく、もう、となりの健ちゃんと一緒に行く約束したんだよ」 母    「うちは私も仕事しているし、休みの日は家の事もたまっているから、なかなか町内のお手伝い       できないけど、今回は役員だから仕方ないわね」 父    「そういえば、山田のおじいちゃん、今朝、腕章をして横断歩道に立っていたよ」 知樹   「そうだよ。毎朝いるし、帰りも見かけるよ。見守り隊なんだって」 母    「ボランティアで毎日地域の子どもたちのためにありがたいわねぇ。何年かに一度の役員でも大       変なのにね」 知樹   「お父さんも休みの日ぐらいは見守り隊になったら?」 父    「・・・                    」

グ ル ー プ

ワ ー ク

お父さんは最後になんと言ったでしょうか。「・・・」のところを考えてみましょう。

「                                  」

各自が書いた後、話し合ってみましょう。

お父さんの出番って、どんな時でしょう?例を挙げて考えてみましょう。

あなたのお子さんが、家族での行動よりも、友達同士のイベントを優先したがったのはいつ頃でしたか?

地域の活動に関わってこれまでに良かったと思うことはありますか。それはどんなことですか?

地域の町内会等の役員がまわってきたとき、どのような思いですか? ア 何もしたくない         イ 仕方ないので最小限の協力をする

 ウ まわってきたからには頑張る   エ 積極的に活動する

 オ その他(                    )

1

2

3

1

2

3

4

5

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学童期の子どもをもつ親のプログラム

29

学童期の子どもをもつ親のプログラム

ワークシート 

むかし、よく親に言われたことは何だったでしょうか。 今になってわかる親の思いもあれば書いてみましょう。

これからどんな親に成長していきたいと思いますか。

ワークシートで考えたことをグループで話し合ってみましょう。

家に帰ってから、家族で話し合い、家族のルールをひとつ考えてみませんか。

親としての自分を見つめ直してみましょう。

 私の良いところ:

 

 親として直したいなと思うこと:

 小学校の 6 年間で子どもたちは、赤ちゃんのようだと思っていた 1 年生から、まるで大人のようだと思わせる

6 年生までいちじるしい成長をとげてくれます。そんな子ども達の成長を親として、大人として、どのようにあ

と押しできるでしょうか。学童期のいろいろなエピソードを参考に、ゆっくり考えてみましょう。

1

4

5

2

3

グラフから:アンダーラインを引いた項目はやや年配者に重要という意識が高い。

1 親子のふれあいの機会をもつ 

2 祖父母や近所の人とふれあう機会をもたせる 

3 子どもに手伝いなどの生活体験をさせる 

4 子どもに身近な地域で自然体験をさせる 

5 氾濫する情報を整理して活用できるようにさせる 

6 夫婦で協力して子育てを行う 

7 過保護、甘やかせすぎや過干渉をやめる 

8 親が子どものしつけに関心をもつ 

9 親が子育てに自信をもつ 

10 子どものしつけを学校や他人任せにしない 

11 親自身が自らの規範意識や生活習慣を律する 

12 親の働く姿を見せる  

13 その他

参考資料70

60

50

40

30

20

10

0

30歳代

60歳代

家庭で特に心がけるべきこと

※子どもの健全育成のために(30歳代と60歳代の意識の比較のために、平成15年8月県政世論調査のデータを編集)

家族のルール

子どものいる暮らし、たいへんなこともあるけど、みんなイキイキしますね。 

1

65

57

1722 20

34

139

25

15

46

36

15

106

38

27 25

31

84 2

2222

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

ご自身でご記入ください。

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30

思春期の子どもをもつ親のプログラム

31

思春期の子どもをもつ親のプログラム

グ ル ー プ

ワ ー ク

4

自立を見守る

いつまでも子どもと思っていたら!

ハラハラを楽しむ!

15√c}S

由香のお手伝い

お母さん、手伝おうか

この前のテストの成績悪かったでしょう。手伝いなんかする暇があったら勉強しなさい

せっかく手伝おうと思ったのに・・・

今度のテストで良い成績をとる自信があるの?

手伝わせてもいいのに。でも勉強の方が大事だからな。

 中学 1 年生の由香は学校から宿泊学習に行き、いろいろな体験をしました。なかでも食事作りは大変でした。

初めての経験でしたが、協力しながら何とか作りました。後始末をするのも一苦労でした。その時、「お母さん

が、毎日、家族の食事の用意をするのはさぞかし大変だったろうな」と思いました。これからは、少しでもお母

さんのお手伝いをしようと心に決めました。

 家に帰ると、お母さんが食事の準備をしていました。

・・・

参考資料 親が一番気がかりな子どものこと

※Benesse教育研究開発センター「第 2 回子育て生活基本調査報告書」(平成14年)

14

12

10

8

6

4

2

0

(%)

小学生(3,579人)

中学生(2,504人)

家庭学習

の習慣

子どもの

教育費

整理整頓

片づけ

人間関係

これからの

生きがい

受験準備

ほめ方

しかり方

子どもの

性格態度

友達との

関わり方

子どもの

進路

メモ:

メモ:

4 ~ 5 人のグループに分かれ、このエピソードを役割分担して読み上げましょう。

エピソードについて考えてみましょう。  それぞれの立場について,あなたはどのように思いますか? 下の欄に書きましょう。

1

あなたの家庭では、子どもの自立に対してどのように対応していますか。  子どもの自立についてうれしかったことや困ったことなどはありますか。また,その時どのように対応しま

 したか。下の欄に書きましょう。

3

2

 それぞれの立場について思ったことをグループで話し合いましょう。

 最後に、話し合ったことをグループごとに発表しましょう。

 各家庭の様子をもとに、子どもの自立に向けて親はどのようにすればよいかについてグループで話し合いま

 しょう。

由香

(由香)

(由香)

(母親)

(母親)

(父親)

(父親)

3.7

13

8.6

5.56.6

4.5 4.5 4.5 4.4 4.2 3.8 4.33.2

4.64.93.8

7.6 8.2

2.5 3

ハラハラを楽しむ!

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32

思春期の子どもをもつ親のプログラム

33

思春期の子どもをもつ親のプログラム

グ ル ー プ

ワ ー ク

エピソードについて考えて下の欄に書きましょう。1

 健一、伸也、母親、父親、兄の立場になって、それぞれの気持ちを考えてみましょう。

 あなただったら、健一にどのように言うでしょうか。

 子どもが困っている問題に対して、親のとるべき対応と役割についてどのように考えますか。

子どもの問題に向き合おう!

25√c}S

友達とのトラブル

 いつものように、健一は仲の良い友達の伸也と学校に行きました。休み時間になって、今度の休日に何をしよ

うかと話していました。

 健一 「今度の日曜、映画でも見に行こうか」

 伸也 「そうだね。それじゃ何人か誘って行こう」

     映画に行く朝になって、健一は急にお腹が痛くなり、行くことができませんでした。

     次の日、学校へ行ってみると、友達の様子が何だか変です。伸也をはじめ何人かの友達が話をして

    くれなくなりました。

 健一 「昨日はゴメン。急にお腹が痛くなって映画に行けなかったんだ」

 伸也 「・・・・・・・・・」

 健一 「伸也、映画のことで怒ってるの?」 

 伸也 「・・・・・・・・・」

  この頃、健一の様子がおかしいので、母親が尋ねました。

  すると、健一は、家族にこれまでのことを話しました。家族からは色々な意見がでました。

・・・・・・・ その後も、家族の会話は続きました。

「健一、どうしたの?」

「それは健一が悪いわよ。急にお腹が痛くなったから行けないって、 何で伸也くんに言わなかったの?」

「お父さんだったら、みんなにしっかり理由を言って、謝るよ」

「それ位で、無視するなんて、所詮それだけの友達だったんだよ」

数日後、家庭での夕食時

参考資料 いじめを親に打ちあける割合

※出典:森田・滝・秦・星野・若井編著「日本のいじめ」(平成11年)

(%)

65.9

30.3

3.8

64.6

31.4

3.9

71.4 71.5

25.5

3

72.5

16.7

10.9

27.2

1.5

小学 5 年 小学 6 年 中学 1 年 中学 2 年 中学 3 年

80

70

60

50

40

30

20

10

0

話していない話したその他

(母)

(母)

(兄)

(父)

健一:

伸也:

母親:

父親:

兄 :

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34

思春期の子どもをもつ親のプログラム

35

思春期の子どもをもつ親のプログラム

グ ル ー プ

ワ ー ク

いつまでも手をかけていませんか!

35√c}S

智也の通学

 中学校2年生の智也は自転車通学です。

 でもこのごろはいつも母親に車で送り迎えをしてもらっています。

  すると、おじいさんが

  智也は口をとがらせて

お母さんはいそいそと送っていく準備をしながら

と言いました。

それを聞いていたお父さんは、

と新聞を読みながら言いました。

お母さん、今日もたのむね

帰りは、ずっと登り坂だから疲れるんだよ 帰りはいつもの

時刻でいいの?

体もどこも悪いところがないのだろう。自転車で行ったらどうだ

智也、今日はいいけど、できるだけ自転車で行けよ

参考資料 「親は自分に対して過保護である」と思う中学生の割合

※出典:㈱UFJ総合研究所「子育て支援策等に関する調査」厚生労働省委託(平成15年)

そう思う

まあそう思う

あまりそう思わない

そう思わない

不明

0 20 40 60 80 100

母親

父親

(%)

13.9 28.2 33.7 23.4

29.239.1219.3

0.8

1.4

メモ:

メモ:

メモ:

4 ~ 5 人のグループに分かれ、このエピソードを役割分担して読み上げましょう。

エピソードについて考えてみましょう。  この会話から登場人物になったつもりでその気持ちを書きましょう。

1

あなたの家庭で子どもに過保護な接し方をしていると思われることがありますか。グループで話し 合いましょう。

3

最後に、話し合ったことをグループごとに発表しましょう。4

2

 登場人物の気持ちについてグループで話し合いましょう。

(智也)

(智也)

(母)

(父)

(祖父)

智也

祖父

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思春期の子どもをもつ親のプログラム

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思春期の子どもをもつ親のプログラム

ゆらぐ自我に向き合う!

45√c}S

夕飯時の携帯電話

 中学 1 年生の加奈子は、父親と母親と弟の4人家族です。このところ毎日、お母さんに「携帯電話を買って!

買って!」としつこくねだっています。そんな加奈子に、お母さんはとうとう根負けして言いなりになってしま

いました。それでも、何とか「携帯をかけすぎて成績が下がらないこと」「人に迷惑をかけないこと」を約束さ

せました。

 ところが、ようやく携帯電話を買ってもらった加奈子は、携帯電話を片時も離さず、着信をいつも気にかけて

います。電話料金は高額になることもあり、また、最近では成績も下がってきました。

 お父さんが帰ってきて、久しぶりに夕食に家族全員が揃いました。皆で食事をしている最中に、携帯電話のメ

ールの着信音が鳴り響きました。加奈子は、食事もそこそこに、食卓でメールを打ち始めました。それを見たお

父さんとお母さんは・・・

社会に踏み出す!

55√c}S

地域デビュー

 中学 2 年生の武は、父親と母親との 3 人家族です。お父さんは仕事の関係で出張が多く、近所付き合いもあま

りありません。そんな家庭で育った武は、小さい頃には引っ込み思案でしたが、中学生になるとたくさんの友達

が出来て、楽しく中学校生活をおくっています。

 夏休みが近いある日の夕方、学校からの帰り道、近所に住む浩一との会話です。

 武  「暑いなぁ・・もうすぐ、夏休みだね」

 浩一 「休み中の予定、なにかある?」

 武  「今のところ、別にないよ。」

 浩一 「8 月に、町内会で夏祭りがあるんだよ。

     ぼく、毎年、準備や夜店の手伝いしてるんだけど、武くんも一緒にやらないか?」

 武  「でも、ぼく、近所の人の名前とか顔、あんまりわからないしなぁ。子どもやお年よりも、おおぜい

     来るんだろ?実は、今まで、近所の人たちと話した経験ないんだよ。ぼくにできるかな?」

 浩一 「そうか・・・でも、少し考えてみてよ」

     武は、その日の夕食時に、両親に相談しました。

 武  「浩一くんに祭りの手伝いを誘われたんだけど・・・」

 この後、お父さんとお母さんは、武と話し合いをしました。

そんなある日、家庭での夕飯時

グ ル ー プ

ワ ー ク

メモ:

エピソードの夕食のような時、あなただったら、子どもにどのように言いますか(どのようにしますか)。 グループで話し合いましょう。

1

メモ:

あなたの家庭では、ルールや約束事はありますか。子どもがそれを守らなかった時には、どうしますか。 グループで話し合いましょう。

2

グ ル ー プ

ワ ー ク

メモ:

エピソードの話の続きを考えてみましょう。あなたの家庭では、どのような話し合いになるでしょうか。 グループで話し合いましょう。

1

メモ:

あなたの家庭では、子どもの地域活動についてどのように考えていますか。 グループで話し合いましょう。

2

Page 22: 親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ ク を 楽 し も う!親を学び伝える 学習プログラム 3 イ キ

手引き38

思春期の子どもをもつ親のプログラム

「親を学び伝える学習プログラム」を使った研修・講座についてアンケート親を学び伝える学習推進委員会

該当するものの  にチェック又は○をつけてください。

1 「親を学び伝える学習プログラム」を使った研修・講座について

(1)参加して

    ①とても良かった        ②まあまあ良かった 

    ③あまり良くなかった      ④全く良くなかった

(2)このプログラムを使った研修・講座で良かったこと、悪かったこと(複数回答可)

    ①同じ考えや違う考えなどいろいろな人の意見を聞くことができた。

    ②子どもとの接し方のヒントを得た。

    ③エピソードが具体的でわかりやすい。

    ④グループ活動で話や意見が出しやすい。

    ⑤話し合った結果や意見が家庭や子育てに生かしやすい。

    ⑥自分の家庭教育や子育てに関する悩みがいくぶん解消された。

    ⑦地域やグループなどで他の人・機会にも使ってみたい。

     活用してみたい機会があれば下の項目の中から選んで(複数回答可)○で囲んでくだ

     さい。

     子育てサークル、PTA研修会や学習会、アドバイス講座、その他(      )

    ⑧プログラムの使い方がよくわからない。

    ⑨もっと多くのエピソード(事例)があった方が良い。

    ⑩プログラム使用に時間がかかる。

    ⑪プログラムにどのように記入して良いかがわかりにくい。

    ⑫子育てでどうすることが良いのか、正しい在り方や方法がわからない。

    ⑬話し合いの後、どのようにまとめたらよいかや指導したらよいかがわかりにくい。

    ⑭その他(具体的に:                            )

(3)研修・講座や学習プログラムについてのご意見やご感想を自由に記入してください。

2 今後、付け加えたら良いと思われるエピソード(例:保護者間トラブル、学校へのクレーム

 など)やワークショップ、研修方法などがあれば自由に書いてください。

ありがとうございました。

Page 23: 親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ ク を 楽 し も う!親を学び伝える 学習プログラム 3 イ キ

41

手引き

親を学び伝える学習プログラムについて各段階ごとに、また、エピソードごとに                  使用方法を解説します。

1 親となるための準備期プログラム(ワクワクを楽しもう!)ある日の親子の会話から(親の役割ってなんだろう?)

静香さん(中学3年生)の日記から(親ってたいへんだ!)

良んと萌さんの会話から(家事・育児は女性の仕事?)

迷う恵梨花さん(子育てはガマンと忍耐?)

働かなければ大人じゃない?(働くことを考えてみよう!)

2 乳幼児をもつ親のプログラム(ドキドキを楽しもう!)赤ちゃんの行動や言葉をまねてみましょう!(赤ちゃんと体験を共有しましょう!)

赤ちゃんの感情の調子に波長を合わせてみましょう!

忙しいお母さん、話をきいてほしい太郎君(子どもと向き合おう!)

ついイライラしてしまうお母さん(イライラに対処する)

保育園から絵本を借りてきたよ!(子どもの気持ちを受け止めよう!)

3 学童期の子どもをもつ親のプログラム(イキイキを楽しむ!)健太郎君とお父さん(自立の後押し!?、親の出番は!?)

参観日の母親の姿(規範意識が低いのは、おとな?子ども?)

子ども同士のけんかに親がかかわり(かかわり方を考えよう!)

運動会は誰の競争?(もう6年生なんだから・・・!)

地域とのかかわり(親も子も地域で育つ)

4 思春期の子どもをもつ親のプログラム(ハラハラを楽しむ!)由香のお手伝い(いつまでも子どもと思っていたら!)

健一の友達とのトラブル(子どもの問題に向き合おう!)

智也の通学(いつまでも手をかけていませんか!)

夕飯時の携帯電話(ゆらぐ自我に向き合う!)

地域デビュー(社会に踏み出す!)

プログラムメニュー

p42~

p50~

p52~

p56~

活用手引き

活用手引き

活用手引き

活用手引き

手引き

40

Page 24: 親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ ク を 楽 し も う!親を学び伝える 学習プログラム 3 イ キ

手引き

手引き

42 43

「親となるための準備期学習プログラム」手引き1

1 プログラムの趣旨

 本プログラムの主な対象は、親となるための準備段階にある中学生・高校生・大学生などです。プログラムの

目的は、次の 3 つです。

 第 1 の目的は、親になるということの意味を理解してもらうことです。 青少年は、身体的には成熟しているため、子どもを生み育てることが可能です。しかし一方で、社会的に成熟

しているかというと様々な問題を抱えていることもあります。10代後半や20代前半の夫婦間で児童虐待のよう

な悲劇が生まれてしまう背景には、彼らが社会的に未熟であり、親になりきれていないという現状があるように

思います。

 以上のことを踏まえると、青少年に“親になるということはそもそもどういったことなのか”ということを考

えてもらうことは、非常に重要であると言えるでしょう。このような観点から、①エピソード「親の役割ってな

んだろう?」では、友人とカラオケに行って帰宅が遅くなる誠と、誠の帰りを待つ母親のエピソードを取り上げ、

両者でかわされる会話を考えてもらいます。このエピソードのポイントは、親に必要とされる役割には、子ども

を受け入れるということだけではなく、子どもを叱るということも含まれることを若者に気づかせることにあり

ます。近年、子どもと友だちのように接する親が増えてきており、子どもを叱ることのできない親が増加してい

ます。このことと若者のモラルの低下とは決して無関係ではないでしょう。このような状況のなか、子どもを叱

るという親の役割が今一度見直される時期にきていると思います。

 ②エピソード「親ってたいへんだ!」では、母親が交通事故で入院したために、家事を任され、パニックに陥

る静香の日記を取り上げ、母親が一時退院した時の静香の日記を考えてもらいます。このエピソードのポイント

は、若者に親がいることのありがたさを理解してもらうことにあります。若者たちのなかには、親が仕事をして

お金を稼いできたり、家事をしてくれたりすることを当たり前だと思っている方が少なくないと思います。しか

し、本プログラムを通じて、そのことが決して当たり前ではないことに若者自身に気づいてもらい、親になると

いうことがどういったことなのかについて考えてもらいたいと思います。

 ④エピソード「子育てはガマンと忍耐?」では、18歳と若くして母親となった恵梨花と、正美(恵梨花の高校

時代の友人)との携帯電話でのやりとりを取り上げています。携帯電話でのやりとりとは、次のようなものです。

ある日、恵梨花の携帯電話に正美が電話をかけてきます。正美は恵梨花をライブに誘いますが、恵梨花はライブ

に行きたいものの、子守りを夫や夫の母親にも任せることができないということから思い悩みます。そのことを

察した正美は、恵梨花に「子育てって、辛くて、損なことばかりなんじゃない?」という一言を投げかけます。

このエピソードのポイントは、青少年に子育てというものはときにその親に対してガマンや忍耐を強いるもので

あるということに気づいてもらうとともに、子育ては辛いことばかりでは決してなく、子どもの成長に直接かか

わることができるという点において大きな喜びをもたらすものでもあるということに気づいてもらうことにあり

ます。

 第 2 の目的は、夫婦共同で家事・育児を行うことの重要性を理解してもらうことです。 

 富山県は、夫婦の共働きが多いことで知られています。平成17年の国勢調査によれば、富山県における夫婦の

共働きの率は56.3%であり、全国で 3 位となっております。このこと自体は、「男女共同参画社会」といった点

からすれば喜ばしいことかもしれません。しかし一方で、家事・育児が女性に一方的に押しつけられているとい

う現状があるとしたならば、それはとても不幸なことです。ここでいうところの不幸には次の 2 つの意味があり

ます。1 つは、女性が過重労働によって身体的にも精神的にも疲弊してしまうという不幸です。もう1つは、子

どもが父親とほとんどかかわることなく育ってしまうという不幸です。

 以上のことを踏まえると、家事・育児は決して女性の専売特許などではなく、男性も家事・育児にかかわるこ

とによって、夫婦関係や親子関係がより豊かなものになるといえるのではないでしょうか。このような観点から、

③エピソード「家事・育児は女性の仕事?」では、恋人同士である高校生の良と萌の会話を考えてもらいます。

ある日の学校からの帰り道、良と萌は将来のことについて話しをします。良は両親が共働きであり寂しい思いを

したという自分自身の経験から、萌に家事・育児を求めます。プログラムでは、このような良の発言を受けた萌

の発言を考えてもらうとともに、萌の発言を受けた良の発言を考えてもらいます。このエピソードのポイントは、

青少年に“夫婦が協力して家事・育児にかかわることによって、夫婦関係や親子関係がより充実したものとなる”

ということに気づいてもらうことにあります。

 第 3 の目的は、働くことの意味を理解してもらうことです。 キャリア教育というものがあります。「キャリア教育」とは、“望ましい職業観・勤労観及び職業に対する知

識や技能を身に付けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育”

のことです。このような教育が求められるようになった背景の一つに、フリーターやニートと呼ばれる若者の増

加があります。彼らのなかには、働く意思があるにもかかわらず、求人の減少のため、やむを得ず非正規雇用の

地位に甘んじている若者もいます。一方で、「正規雇用より非正規雇用の方が気楽だ」「働くことが面倒くさい」

などの理由から、自ら進んでフリーターやニートとなっている若者もいます。当然のことながら、問題となるの

は後者の若者です。彼らは今後の日本社会を担う貴重な人材であるため、彼らの勤労意欲を高めることは日本に

おける急務の課題といえるでしょう。

 以上のことを踏まえると、青少年に“働くということはそもそもどういったことなのか”ということを考えて

もらうことは、とても重要であるように思います。若者の勤労意欲の向上は、働くことの意味を問い、それに対

する答えを自分なりに導き出すことからはじまると考えられるからです。このような観点から、⑤エピソード「働

くことを考えてみよう!」では、高校2年生の勇樹が卒業後の進路について悩む様子を取り上げます。このエピ

ソードのポイントは、青少年に進路について悩みながら、働くことの意味や意義についてあらためて考えてもら

うことにあります。

 本プログラムが、富山県の将来を担う青少年が円満な家庭を築く一助となることを切に願っております。

Page 25: 親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ ク を 楽 し も う!親を学び伝える 学習プログラム 3 イ キ

手引き

手引き

44 45

(1)①エピソード「親の役割ってなんだろう?」

グループワークの流れは、以下の通りです。

1)グループ決め

 3 人 1 組のグループに分かれてもらいます。

2)親子の会話を考える

 自分の家庭の様子を思い浮かべてもらい、親子の会話を考えてもらいます。

3)親子の会話のグループ内発表

 各自が考えた会話については、グループ内で発表してもらいます。その際、各自が考えた会話を淡々と

読み上げるのではおもしろくありません。「誠の役」、「誠の母親の役」を決め、本人になりきって会話

を読んでみましょう。

 お互いに誠や母親役を交代しながら、グループのメンバーが考えた会話を読み合ってみましょう。

4)親子の会話のグループごとの発表

 今度は、グループ全員で新しい親子の会話を考えてもらいます。各グループで考えた会話については、

みんなの前で発表してもらいます。発表前に、「誠役」の人と「誠の母親役」の人をあらかじめ決めてお

いてください。

2 プログラムの流れ

1 の表 1 プログラム使用の流れ(① 親の役割ってなんだろう?)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 グループ決め(1 グループ 3 人) ○ファシリテーターがグループワークの内容と

進め方を説明します。

○グループは、仲の良い人ばかりで構成されな

いよう配慮します。

約 5 分 2 誠の会話と誠の母親の会話を考えてみ

ましょう。

○会話をなかなか思い浮かばない人については、

自分の家庭を想像して会話を考えてもらいます。

約10分 3 各人が考えた会話をグループ内で発表

してみましょう。

○本人になりきって会話を読み上げてもらいます。

約10分 4 グループ全員で別の新しい会話を考え

てみましょう。

○グループで話しあう際、特定の人ばかりが発

言するのではなく、できる限り多くの人が発

言できるようにファシリテーター(調整・進

行役)の人は留意します。

○意見が同じような内容に偏ってしまうことが

予想されます。ファシリテーターの人は、で

きる限り多様な意見が出されるよう参加者を

うながします。

約30分 5 各グループで考えた会話をみんなの前

で発表しましょう。

○会話を発表してもらう前に、「誠役」の人と「誠

の母親役」の人をあらかじめ決めておいても

らいます。

時間が許せば、以下の 2 つの課題にも取り組んでもらいます。

 「発表したことを参考にし、自分が親になるとしたらどんな親になりたいか話し合ってみましょう。」

 「あなたの親のことを思い浮かべ、親の役割について考えてみましょう。」

1 の表 2 プログラムの流れ(② 親ってたいへんだ!)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 グループ決め(1 グループ 3 ~ 5 人) ○ファシリテーターがグループワークの内容と

進め方を説明します。

○グループは、仲のよい人ばかりで構成されな

いよう配慮します。

約15分 2 もし、静香なら母親が入院中になにが

できるのか、という点について考えて

もらいます。この点について個々人で

考えてもらった後に、グループ内で各

自が考えたことを発表してもらいます。

約15分 3  母親が一時退院した時の静香の日記(10

月29日)を考えてもらいます。この点

について個々人で考えてもらった後に、

グループ内で各自が考えたことを発表

してもらいます。

約30分 4 これまでの作業や発表を踏まえて、子

育ての楽しさや大変さについて考えて

もらいます。この点について個々人で

考えてもらった後に、グループ内で各

自が考えたことを発表してもらいます。

さらに、各グループで出された考えを

みんなの前で発表してもらいます。

○グループで話しあう際、特定の人ばかりが発

言するのではなく、できる限り多くの人が発

言できるようにファシリテーターの人は留意

します。

○意見が同じような内容に偏ってしまうことが

予想されます。ファシリテーターの人は、で

きる限り多様な意見が出されるよう参加者を

うながします。

家に帰って

から   

自分の親や祖父母など周囲の人に、子育て

の楽しかったことや、大変だったことをイ

ンタビューしてみましょう。

○インタビューの結果についても、できれば発

表する機会を設けることが、望ましいでしょう。

(2)②エピソード「親ってたいへんだ!」

グループワークの流れは、以下の通りです。

1)グループ決め

 3 ~ 5 人のグループに分かれてもらいます。

2)母親の入院中にできることを考える

 もし、静香ならお母さんが入院中になにができるのか、という点について考えてもらいます。この点に

ついて個々人で考えてもらった後に、グループ内で各自が考えたことを発表してもらいます。

3)静香の日記を考える

 お母さんが一時退院した時の静香の日記(10月29日)を考えてもらいます。この点について個々人で

考えてもらった後に、グループ内で各自が考えたことを発表してもらいます。

4)子育ての楽しさや大変さについて考える

 「母親の入院中にできること」及び「静香の日記を考える」の発表を踏まえて、子育ての楽しさや大変

さについて考えてもらいます。この点について個々人で考えてもらった後に、グループ内で各自が考えた

ことを発表してもらいます。さらに、各グループで出された考えをみんなの前で発表してもらいます。

Page 26: 親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ ク を 楽 し も う!親を学び伝える 学習プログラム 3 イ キ

手引き

手引き

46 47

(3)③エピソード「家事・育児は女性の仕事?」

グループワークの流れは以下の通りです。

1)グループ決め

 3 人 1 組のグループに分かれてもらいます。

2)良と萌の会話を考える

 良萌の会話を考えてもらいます。

3)良と萌の会話のグループ内発表

 各自が考えた会話については、グループ内で発表してもらいます。発表の方法については、3 ページの

1 の図 1 を参照してください。

4)自分自身の両親の会話を想像する

 両親であったらどういった会話になるのかを想像して書いてもらいます。それぞれが書いた会話につい

ては、グループ内で発表してもらいます。

5)性別役割分業の是非について考える

 男性は外で仕事、女性は家事・育児を行うという考え方の是非についてグループ内で議論してもらいま

す。議論の結果については、グループごとに発表してもらいます。

1 の表 3 プログラム使用の流れ(③ 家事・育児は女性の仕事?)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 グループ決め(1 グループ 3 人) ○ファシリテーターがグループワークの内容と

進め方を説明します。

○グループは、仲のよい人ばかりで構成されな

いよう配慮します。

2 良の会話と萌の会話を考えてみましょ

う。

約 5 分

3 各人が考えた会話をグループ内で発表

してみましょう。

○本人になりきって会話を読み上げてもらいます。約10分

4 両親の会話を想像してみましょう。 約 5 分

5 想像した両親の会話をグループ内で発

表しましょう。

○本人になりきって会話を読み上げてもらいます。約10分

6 性別役割分業の是非についてグループ

内で議論してもらいます。議論の結果

については、グループごとに発表して

もらいます。

○グループで話しあう際、特定の人ばかりが発

言するのではなく、できる限り多くの人が発

言できるようにファシリテーターの人は留意

します。

○意見が同じような内容に偏ってしまうことが

予想されます。ファシリテーターの人は、で

きる限り多様な意見が出されるよう参加者を

うながします。

約30分

(4)④エピソード「子育てはガマンと忍耐?」

グループワークの流れは以下の通りです。

1)グループ決め

 3 人 1 組のグループに分かれてもらいます。

2)恵梨花と正美の会話の実演

 「恵梨花の役」と「正美の役」を順次交代してもらい、3人が1回ずつ「恵梨花の役」と「正美の役」を

担当するようにします。

1 の表 4 プログラム使用の流れ(④ 子育てはガマンと忍耐?)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 グループ決め(1 グループ 3 人) ○ファシリテーターがグループワークの内容と

進め方を説明します。

○グループは、仲のよい人ばかりで構成されな

いよう配慮します。

約 5 分 2 恵梨花と正美の会話を実演してみまし

ょう。

○本人になりきって会話を読み上げてもらいます。

約 5 分 3 恵梨花の立場だとしたらライブに参加

するかどうかについて、理由もあわせ

て考えてみましょう。

約10分 4 ライブへの参加の有無とその理由につ

いて、グループ内で発表しましょう。

約 5 分 5 家庭や子どもをもつことによって生じ

る生活の変化について、想像して考え

てみましょう。

○すでに家庭や子どもをもっている方については、

自身の経験を書いてもらってもかまいません。

約10分 6 家庭や子どもをもつことによって生じ

る生活の変化について、グループ内で

発表しましょう。

約10分 7 これまでの作業や発表を踏まえて、親

になることの意味について考えてもら

います。この点について個々人で考え

てもらった後に、グループ内で各自が

考えたことを発表してもらいます。さ

らに、各グループで出された考えをみ

んなの前で発表してもらいます

○グループで話しあう際、特定の人ばかりが発

言するのではなく、できる限り多くの人が発

言できるようにファシリテーターの人は留意

します。

○意見が同じような内容に偏ってしまうことが

予想されます。ファシリテーターの人は、で

きる限り多様な意見が出されるよう参加者を

うながします。

3)ライブに行くかどうかを考える

 もし恵梨花の立場だとしたならライブに行くかどうかということについて理由もあわせて考えてもらい、

グループ間で発表してもらいます。

4)家庭や子どもをもつことによって生じる生活の変化を考える

 家庭や子どもをもつことによって生じる生活の変化について、想像して考えてもらいます。すでに家庭

や子どもをもっている方については、自身の経験を書いてもらってもかまいません。各自の考えについて

は、グループ内で発表してもらいます。

5)親になることの意味について考える

 これまでの課題を踏まえて、親になるということの意味についてグループ内で話し合ってもらいます。

話し合った結果については、グループごとに発表してもらいます。

※時間等の都合により、5)の作業ができなかった場合、4)について話し合った結果を発表してもらっても

 結構です。

Page 27: 親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ ク を 楽 し も う!親を学び伝える 学習プログラム 3 イ キ

手引き

手引き

48 49

1 の表 5 プログラムの流れ(⑤働くことを考えてみよう!)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 グループ決め(1 グループ 3 ~ 5 人) ○ファシリテーターがグループワークの内容と

進め方を説明します。

○グループは、仲の良い人ばかりで構成されな

いよう配慮します。

2  各自でエピソードを読んでみましょう。約 5 分

3 現在考えている進路をワークシートに

記入しましょう。

約 5 分

4 現在考えている進路をグループ内で発

表しましょう。

○個々人が考えている進路を発表する際、それ

を聞いている人が茶化したり馬鹿にしたりす

ることのないよう配慮します。

約10分

5 これまでの作業や発表を踏まえて、働

くことの目的や意義についてグループ

内で話し合ってもらいます。話し合っ

た結果については、グループごとに発

表してもらいます。

○グループで話しあう際、特定の人ばかりが発

言するのではなく、できる限り多くの人が発

言できるようにファシリテーターの人は留意

します。

○意見が同じような内容に偏ってしまうことが

予想されます。ファシリテーターの人は、で

きる限り多様な意見が出されるよう参加者を

うながします。

約30分

(5)⑤エピソード(働くことを考えてみよう!)

グループワークの流れは以下の通りです。

1)グループ決め

 3 ~ 5 人のグループに分かれてもらいます。

2)エピソードを読む

 各自でエピソードを読んでもらいます。

3)現在考えている進路

 現在考えている進路について記入してもらいます。

4)現在考えている進路のグループ内発表

 現在考えている進路をグループ内で発表してもらいます。

5)働くことの目的や意義について考える

 これまでの作業や発表を踏まえて、働くことの目的や意義についてグループ内で話し合ってもらいます。

話し合った結果については、グループごとに発表してもらいます。

Page 28: 親を学び伝える 学習プログラム2 プ ド キ ド キ を 楽 し も う!1 ワ ク ワ ク を 楽 し も う!親を学び伝える 学習プログラム 3 イ キ

手引き

手引き

50 51

4)これまでの段階を踏まえて、自分なりに子どもと向き合っていくためにはどうしたらよいと思うかを書い

てみましょう。ここで大事なのは「自分なりに」ということです。経済的な状況も家庭の状況も人によって

異なります。自分ができる範囲で、どうしていけばよいかを考えましょう。(約 5 分)

5)グループで話し合い、様々な状況があることを認め合い、そのそれぞれの状況で最善な解決法を協力して

見つけていきましょう。(約20分)

(4)④エピソード(ついイライラしてしまう母さん)

 子育てにあたって、思うようにならず、イライラすることは誰でもあると思います。本セクションはそん

なときに自分の気持ちを整理するためのものです。本セクションはワークシートとグループワークに分かれ

ます。ワークシートの部分はお一人でやっていただきます。それをもとに、グループで他の参加者と話し合

っていただきます。グループの人数に特に制限はございませんが、4-5人がやりやすいのではないかと思い

ます。

 ワークシートの記入の際は、他の人のことは気にすることなく、また、このように考えたらいけないので

はないかなど気にすることなく、あるがままに自分の気持ちを書いてください。以下の表の流れに沿って自

分の気持ちを整理しましょう。ワークシートの欄に書き切れない場合は、ご自身で用紙を用意し、ご記入く

ださい。

2 の表 1 プログラム使用の流れ(④エピソード ついイライラしてしまう母さん)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 子どもと接していて、どういう状況の

ときに、イライラしたり、自分を抑えら

れなくなったりしますか?

○エピソードのような経験がないか思い出して、

状況をできる限り客観的に書き出してみまし

ょう。

約 5 分 2 イライラしたり、自分を抑えられなく

なったときに、どんなことを感じたり、

考えたりしましたか?

○そのときに考えたり、感じたことをありのま

まに書いてみましょう。ありのままにという

点が大事です。

約 3 分 3 2のように感じたり、考えたりする結果、

どれくらい強いイライラを感じますか?

最大を100として数で表してみましょう。

○ささいなことでも、自分を追い詰めるような

考え方をしてしまうと、その結果として、よ

り落ち込んでしまうというようなことがあり

ます。自分にもそういうことがないか、2 の

ように考えたりすることで、よりイライラし

てしまうということがないか、調べてみまし

ょう。

約 5 分 4 2 で記入した考えに対して、別の考え

方や対処の仕方はできますか?

○2 で記入した考えは本当に正しいのか、その

考え方と少し距離をとって、他の考え方や対

処の仕方はないか、探してみましょう。

約 5 分 5 4 のように、別の考えや対処の仕方を

することで、イライラがどの程度和らぎ

ますか? 3 と同じようにイライラの最大

を 100として数で表してみましょう。

○新しい考え方や対処の仕方をするとどうなり

ますか。自分にとってより楽になる考え方や

対処の仕方を生活の中で実践してみましょう。

 グループワークでは、他の人の意見も参考に、自分なりの対処法を見つけましょう。

「乳幼児期の子どもをもつ親の学習プログラム」活用手引き2

 子育てには大変なこともあります。辛いときもあります。しかし、その辛さもそのときでなければ体験できな

いことです。赤ちゃんに向き合い、今ここの、その束の間の「ドキドキ」を楽しみましょう。

1 プログラムの趣旨

 基本的には、「乳幼児の子どもをもつ親」を対象にしております。しかし、「赤ちゃんと体験を共有しましょ

う!」などは、夫婦でやっていただいても、お互いの絆を確かめ合う、よい機会となると思います。

2 プログラム使用対象者

 エピソード1 も 2 も、「赤ちゃんと体験を共有しましょう!」という気持ちで、赤ちゃんと一緒に楽しむという

ことが大事です。赤ちゃんの様子を見て、赤ちゃんに合わせて時間を決めていただいて構いません。

(1)①エピソード(赤ちゃんの行動や言葉をまねてみましょう。)

 まず、赤ちゃんの様子をよく観察してみましょう。赤ちゃんは何をしていますか。赤ちゃんの様子を十分

に観察したら、赤ちゃんの動作をまねてみましょう。次の段階(「2. 赤ちゃんの感情の調子に波長を合わ

せてみましょう!」)で赤ちゃんの気持ちや意図を考えて波長合わせを行います。この段階では、まず、そ

のまま赤ちゃんの行動や言葉(発声)をまねてみましょう。赤ちゃんにどんな変化がありましたか。あなたは

どんな気持ちになりましたか。

(2)②エピソード(赤ちゃんの感情の調子に波長を合わせてみましょう。) 

 ここでは、1 を踏まえて、赤ちゃんの気持ちに波長を合わせていきます。1 を通じて、赤ちゃんの気持ち

が分かるようになりましたか。ここでは、赤ちゃんの動作をただまねるのではなく、例を参考に、赤ちゃん

の気持ちに波長を合わせて、その気持ちを赤ちゃんとは違う表現で表してみましょう。赤ちゃんにどんな変

化がありましたか。あなたはどんな気持ちになりましたか。もしうまくできない場合は、1 の段階に戻って

やってみましょう。

(3)③エピソード(忙しいお母さん、話を聞いてほしい太郎君)

 グループワークに要する時間はグループの人数により異なります。以下の時間は、5 人程度のグループの

おおよその所要時間です。

1)ここでは、エピソードと同じような経験について、まずは、できるだけ客観的に書いてみましょう。その

後、そのとき考えたり、感じたりしたことを思うままに書いてみましょう。次の段階で、他の人の立場にな

って書いていただきますので、ここでは、他の人のことは気にすることなく、また、このように考えたらい

けないのではないかなど気にすることなく、あるがままに自分の気持ちを書いてみましょう。(約10分)

2)ここでは、他の人の立場になって、自分がそれぞれの立場だったらどう考えたり感じたりするかを想像し

て書いてみましょう。(約10分)

3)グループで話し合い、様々な考え方や感じ方があることに触れましょう。(約15分)

3 プログラムの使い方と留意点

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手引き

手引き

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3 の表 2 プログラム使用の流れ(②エピソード 参観日の母の姿)

作 業 留 意 点

エピソードを読む

時間

3 分 ○保護者としての自分たちの姿をふり

返る。

活   動

1 各自、黙読をしましょう。

Q1,Q 2 に答える 5 分 ○自分の考えを表現する。2 自分たちの参観日の様子を思い浮

かべながら考えてみましょう。

グループワーク

役割を決めエピソ

ードを読み合う

5 分 ○役になってみることで、それぞれの

気持ちに近づいてみる。

3 母、息子、父の役割を決めて、読

みあってみる。

Q1,Q2 について、

4 ~ 5 人のグルー

プで話し合う

20~

30分

○人の経験や意見を聞き、様々な考え

方があることを認め合う。

4 司会進行や記録する人などを決め、

全員が意見を言い合う。

発表 3 分×

グループ数

○より多くの経験や考え方を共有し、考

え方の幅を拡げる。規範意識につい

て色々と意見を出し合ってみましょう。

5 他のグループの意見も聞き合いま

しょう。

時間が許せば、または後から各自で、P 28、29 のワークシートに答えてみましょう

3 の表 3 プログラム使用の流れ(③エピソード 子ども同士のけんかに親がかかわり)

作 業 留 意 点

エピソードを読む

時間

5 分 ○自分にも似たような経験がないか思

い出してみましょう。

活   動

1 各自エピソードを黙読しましょう。

Q 1、Q 2、Q 3

に答える

7 分 ○子ども、親それぞれの気持ちになっ

て考え、自分だったらどうするか、

正直な気持ちで考えてみましょう。

2 子どもの気持ち、親の気持ちにな

って考えてみる。

グループワーク

役割を決めエピソ

ードを読み合う

5 分 ○できるだけ子どもや、親の気持ちに近

づくとともに、相手の子どもや親の気

持ちにまで思いを馳せてみましょう。

3 母と子どもの役を決め、交代しな

がら読んでみる。

Q1~Q3について

話し合う。

20分 ○子どもと親の両方の気持ちを考えな

がら、対処の仕方によって、どのよう

に展開が変わりそうか、想像してみる。

 子どもにとっては何が成長につなが

るかを考えてみる。

4 子どもの気持ち、親の気持ちにつ

いて話し合った後、自分だったらど

のように対処するか理由も合わせて

考えましょう。

発表 3 分×

グループ数

○多くの経験や考え方を共有し、考え

方の幅を拡げながら、子どもの成長

や、先の展開を予測して行動するこ

との必要性を考えてみる。

5 他のグループの意見も聞き合いま

しょう。

時間が許せば、または後から各自で、P 28、29 のワークシートに答えてみましょう

3 の表 1 プログラム使用の流れ(①エピソード 健太郎君とお父さん)

作 業 留 意 点

エピソードを読む

時間

5 分 ○健太郎君とお父さんのエピソードか

ら自分にも似たような経験がないか

思い出してみる。

活   動

1 各自、健太郎君やお父さんの気持

ちに近づいて黙読をしましょう。

Q に答える 3 分 ○子どもの目線に近づいてみる。2 小学生の頃の自分を思い出してみ

ましょう。

「学童期の子どもをもつ親の学習プログラム」活用手引き3

 学童期の子どもをもつ親の学習プログラムでは、おもに小学生の保護者の方々に、家庭における子どもとのか

かわり方や、小学校生活で起こりうる様々な課題とどのように向き合うか、さらに子ども達の心身の成長を促す

ための生活体験や地域とのかかわり方についても具体的に考えていただきます。そしてグループワークを通して、

親の想いを共有したり、小学生期の子育ての悩みや、課題について話し合い、子育てのヒントや元気を得ていた

だく目的で、バラエティーに富んだエピソードを提示したプログラムを作成しました。 

 幼児期までは、日常生活が保護者や幼稚園・保育所の先生方などのおとなの目がゆき届く範囲で、見守られな

がら依存的に行われることが多いでしょう。しかし、小学生ともなると、家庭でも学校でも、通学に代表される

ように、自立的に一人で、あるいは子ども同士で行動しなければならない場面も多くなります。このような時期

に、いつまでも子どもに親の思いを押しつけたり、過保護・過干渉なかかわり方を続けると、子どもの自立的行

動や、その意欲を阻害してしまうことにもなりかねません。そこで、学童期の子ども達が、スムースに自立を目

指し、自尊感情や自己肯定感を育んでいくために、親は何ができるのかを考えるために五つのエピソードを準備

し、どのエピソードからでも取り組んでいただけるようにワークシートを作成しました。

 プログラム使用対象者は、基本的には、「学童期の子どもをもつ親」ですが、エピソードの選択や、グループ

ワークの課題選択を工夫することで、親となる準備期の学生達(中、高、大学生)や、乳幼児の親、思春期の子

どもの親のみなさんにも使用していただけますので、「プログラム使用の流れ」の表を参考に、柔軟にご使用く

ださい。

1 プログラムの趣旨

 このプログラムを活用するために必要な時間は、「参加者人数」やグループワークで選択するエピソードの数、

またどこまでをグループで行うか、グループごとの発表を行うかにより、違いがありますので、各作業のおよそ

の必要時間数を下記に例で示します。なお、グループごとの発表時間を確保したほうが、実践や参加後の満足度

は高くなるようです。

2 プログラム使用の流れ

グループワーク

1~5について自分

の経験を記入する

10分 ○子どもであった自分と、親になった

自分を再確認してみる。

3 難しく考えず、思い浮かんだこと

を気楽にメモしましょう。

4~5人のグループ

でテーマを選んで

話し合う

20~

30分

○人の経験や意見を聞き様々な考え方

や、生き方があることを認め合う。

4 時間の余裕をみて、選ぶテーマは2,

3 個でも良いし、全てでもかまいま

せん。

発表 3分×

グループ数

○多くの経験や考え方を共有し、考え

方の幅を拡げる。

5 同じテーマや異なるテーマを選ん

だグループの意見も聞き合いましょ

う。

時間が許せば、または後から各自で、P 28、29 のワークシートに答えてみましょう

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手引き

手引き

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3 の表 6 プログラム使用の流れ(ワークシートはどのエピソードの後でも使用できます)

作 業

1 に答える

時間

3 分 ○親になった自分から、自分の親の子

育てを振り返り、親の思いに近づく。

活   動 留 意 点

1 自分の親の子育てを今になって思

い出してみてください。

2 に答える 3 分 ○自分の経験も振り返り、子どもが、

ここぞと親を頼りにする場面を考え

てみる。

2 様々な子育て場面を思い描いてく

ださい。

3 に答える 5 分 ○良いことは、自信をもってこれから

も続け、客観的に見て反省する点が

あれば、修正する努力をしていくこ

とができる。

3 これまでの子育てを振り返り、良

かったと思うことと、反省した方が

良いと思うことを整理してみましょ

4 に答える 3 分 ○親としての努力目標が明らかにでき

る。

4 これまでに話し合ってきたことや、

資料のグラフ等も参考にしながら、

どのような親になりたいかについて

整理してみましょう。

我が家のルール 3 分 ○家族が話し合うことによって、より

家族相互理解や絆が深まる。

5 親の思い、子どもの思いをもとに、

家族の共通理解できることを明確に

してみましょう。

 ①から⑤のどのエピソードの後でも、28、29ページのワークシートは使えます。

 時間に余裕があるときや、研修会の後で各自や家族での話し合いに使用することもできます。

3 の表 4 プログラム使用の流れ(④エピソード 運動会は誰の競争?)

作 業 留 意 点

エピソードを読む

時間

5 分 ○自分の家族でも似たような経験がな

いか思い出してみる。

活   動

1 各自、エピソードを黙読をしまし

ょう。

Q 1 ~Q 3 に答え

10分 ○エピソードの疑問点から、母、父、

祖父母の気持ちになって再検討し、

子どもの自立を促す関わり方につい

て考える。

2 エピソードで疑問に感じたところ

にアンダーラインを引く。それぞれ

の家族の立場で考えてみる。

グループワーク

アンダーラインを

引いたところを紹

介し合う。

10分 ○人によって考え方が様々であること

を再認識し、新たな気づきができれ

ば良いでしょう。

3 正しい答えがあるわけではないので、

なぜアンダーラインを引いたのかの

理由を紹介し合い、人の考えに耳を

傾ける。

親や祖父母の気持

ちについて話し合

20~

30分

○子どもの自立のために家族ができる

ことをそれぞれの立場で考えてみる。

4 父、母だけでなく祖父母の気持ち

にも近づいてみる。

発表 3 分×

グループ数

○様々な立場の人達の経験や考え方を

共有し、学び会うことの意義も実感

する。

5 他のグループの意見も聞き合いま

しょう。

時間が許せば、または後から各自で、P 28、29 のワークシートに答えてみましょう

3 の表 5 プログラム使用の流れ(⑤エピソード 地域とのかかわり)

作 業 留 意 点

エピソードを読む

時間

3 分 ○自分達の地域にも似たような状況が

ないでしょうか。

活   動

1 各自黙読をしましょう。

Q 1 ~Q 5 に答え

5 分 ○家庭と地域のつながりや、役割につ

いて考えてみましょう。

2 様々な地域活動について考えてみ

ましょう。

グループワーク

4 ~ 5 人のグルー

プで回答について

話し合う

20~

30分

○人の経験や意見を聞き様々な考え方

や、生き方があることを認め合う。

3 各自の考えを紹介しあっても良いし、

時間が少ないときは、質問毎に考え

を話す人を分担したも良いでしょう。

発表 3 分×

グループ数

○多くの経験や考え方を共有し、これ

から自分が考えていくヒントや材料

にしましょう。

4 他のグループの意見も聞き合いま

しょう。

時間が許せば、または後から各自で、P 28、29 のワークシートに答えてみましょう

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手引き

手引き

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4 の表 1 プログラム使用の流れ(①エピソード 由香のお手伝い)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 4~5人のグループに分かれ、このエピ

ソードを役割分担して読み上げましょう。

○ファシリテーターがグループワークの内容と

進め方を説明します。また、発表者(最後に

発表することを最初に伝えておく)をグルー

プごとに決めるように言っておきます。

○グループは、仲の良い人ばかりで集まるので

はなく、色々な人で構成されるように配慮し

ます。

○エピソードを読み上げる時は、由香、母親、

父親の立場になりきって演じてみます。時間

がゆるせば、役割を交代して何度か読みます。

約 5 分 2 エピソードについて考えてみましょう。

1)それぞれの立場について、あなたはど

のように思いますか?下の欄に書きま

しょう。

○まず、エピソードにおける由香、母親、父親

の立場の気持ちを考えます。

○次に、それぞれの立場について自分の感想や

意見を考えます。

○幾つか考えた人は、考えたものを全て書いて

もらいます。

約15分 2)それぞれの立場について思ったことを

グループで話し合いましょう。

○欄に書いたものを各自発表します。また、「こ

の立場の人は、もっとこのようにしたほうが

良い」という自分の意見がでるように促して

いきます。

○グループで話し合う際、特定の人ばかり話す

のではなく、全員が発言できるようにファシ

リテーターの人は留意します。

○これらのワークを通して、親睦を深め,意見

を出しやすい雰囲気が作られるように留意し

ます。

約 5 分 3 あなたの家庭では、子どもの自立に対

してどのように対応していますか。

1)子どもの自立について嬉しかったこと

や困ったことなどはありますか。また、

その時どのように対応しましたか。プ

ログラムの下の欄に書きましょう。

○我が家の状態を思い出してもらいます。また、

それを書くことによって、子どもの状態や自

分の対応が言語化され、それらを見直し整理

する作業が可能になります。なるべく沢山思

い出して書くように説明します。

約15分 2)各家庭の様子をもとに,子どもの自立

に向けて親はどのようにすればよいか

についてグループで話し合いましょう。

○書いたものを各自発表し合います。絶対に発

表したくない発表者には強制しません。しかし、

子育ての問題は、子どもを持つ親同士で話し

合うとどこの家庭でも共通していることが分

かります。自分の家庭だけで抱え込むのでは

なく、話し合いの場でオープンにすることに

「思春期の子どもをもつ親のプログラム」活用手引き4

 思春期は、自我に目覚め、それまでの親への依存状態から抜け出し自立に向かう時期です。そのため、今まで

親にしてもらっていたことも、自分で考え、自分でしようとします。ところが、その行動は未熟であるため、親

は見ていられず、小さい時と同じように世話を焼こうとします。また、親は、子どもの精神的変化に気づかず、

いつまでも親の思い通りに子どもを導こうとします。しかし、この時期には、子どもの自立に向かう行動や精神

のシグナルに気づき、子どもの自立を認めてあげることが大切です。親にとっても、自分中心の思いを押し付け

たり、過保護にすることの弊害に気づき、養育態度の変容をせまられる時期でもあります。

 しかし一方では、自我の自立に伴う激しい行動的・精神的変化によって、様々な問題が噴出してくるのも思春

期の特徴です。問題が生じても、まだ子どもだけでは適切な対処ができません。反抗期だからと言って、放任し

たり見放したりせずに、親が子どもの問題に一緒に向き合うことが大切です。

 そのような観点から、エピソード①では、親に依存するばかりでなく、家族の一員として手伝いをしようと思

い始めた由香に対して、それに気づかない両親のエピソードを取り上げ、思春期において親が子どもの自立に気

づくことの大切さとその際の親の対応を考えます。エピソード②では、友達とのトラブルに遭遇した健一に対し

て、家族がそれぞれの立場から助言するエピソードを取り上げ、親が子どもの問題に一緒に向き合うことの大切

さを考えます。エピソード③では、学校に車で送ってもらって当然と思っている智也と送ってあげて当然と思っ

ている母親のエピソードを取り上げ、日常生活の中に埋没している過保護的なかかわりに気づき、子どもの自立

を育てるための親のかかわり方を考えます。エピソード④では、最近どこの家庭でもトラブルの原因となってい

る携帯電話を取り上げ、携帯電話の扱いを通して家庭におけるルール作りの重要さを考えていきます。エピソー

ド⑤では,友達に地域活動を誘われた武のエピソードを取り上げ、子どもが成長するに伴い、活動範囲を社会に

向けて広げていくことの大切さを親が認識していきます。

 なお、このプログラムは、基本的には、中学生や高校生など思春期の子どもを持つ親に使ってもらうことを目

的に作成しました。しかし、自立や依存は、世代を超えたテーマですので、世代や子どもの年齢にかかわらず必

要に応じて工夫してお使い下さい。

1 プログラムの趣旨

 プログラム使用にあたっては、時間配分、活動、留意点が書かれた以下の表を参考にしてください。何れのプ

ログラムでも、基本的には、グループ作り、エピソードの読み上げ、個別及びグループのワーク、全体発表の順

に展開されます。4 -表 1 に、留意点が詳しく書かれていますので、他のプログラムでもこれを参考に進めてく

ださい。なお、各表に書かれた時間は、おおよその目安と考えてください。実施時間が限られている時には、そ

の状況に合わせて時間配分してください。また、参加人数や場所によって、プログラムの流れ通りに出来ない時

があります。その時には状況に合わせて工夫して下さい。

2 プログラムの流れ

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手引き

手引き

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4 の表 3 プログラム使用の流れ(③エピソード 智也の通学)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 1 4 ~ 5 人のグループに分かれ、このエ

ピソードを役割分担して読み上げまし

ょう。

○4~5名のグループに分かれます

○グループごとに、皆でエピソードを読み上げ

てから始めます。

約 5 分 2 エピソードについて考えてみましょう。

1)この会話から登場人物になったつもり

でその気持ちを書きましょう。

○智也、母親、父親、祖父の立場になったつも

りで、それぞれの気持ちを考えます。幾つか

考えられる人は、考えたものを全て書いても

らいます。

約15分 2)登場人物の気持ちについてグループで

話し合いましょう。

○書いたものを各自発表します。

○また、「この立場の人は,もっとこのように

したほうが良い」「私だったら(我が家だっ

たら)このようにする」という意見を出し合

います。

約15分 3 あなたの家庭で子どもに過保護な接し

方をしていると思われることがありま

すか。グループで話し合いましょう。

○エピソードを参考に、家庭で行っている過保

護の接し方を発表します。

○また、「すでに過保護と思っていたがそのま

ま続けている」「今までは過保護とは思って

いなかったが今回改めて過保護と気がついた」

「すでに過保護だと思ってやめたこと」など、

家庭での過保護の状態について話し合います。

○話し合いを通して、今までの我が家の子ども

へ過保護な接し方を見直します。

約20分 4 最後に、話し合ったことをグループご

とに発表しましょう。

○最後に全体で集まり、グループで話し合った

内容を発表します。

4 の表 4 プログラム使用の流れ(④エピソード 夕食時の携帯電話)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 4 ~ 5 人のグループに分かれ、エピソード

を読み上げましょう  

○4 ~ 5 名のグループに分かれます

○グループごとに、皆でエピソードを読み上げ

てから始めます。

約15分 1 エピソードの夕食のような時,あなた

だったら、子どもにどのように言いま

すか(どのようにしますか)。グループ

で話し合いましょう。

○エピソードの出来事が我が家で起った場合、

子どもにどのように言うか(するか)を各自

が考えて、発表します。

○また、発表内容の感想や意見を述べ合います。

約15分 2 あなたの家庭では、ルールや約束事は

ありますか。子どもがそれを守らなか

った時にはどうしますか。グループで

話し合いましょう。

○家庭におけるルールや約束事をどのように子

どもと決めていくのか、またそれを守らなか

った時には親としてどのように対応するかに

ついて考えます。

約20分 (最後に、話し合ったことをグループごと

に発表しましょう)

○最後に全体で集まり、グループで話し合った

内容を発表します。

4 の表 2 プログラム使用の流れ(②エピソード 健一の友達とのトラブル)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 4 ~ 5 人のグループに分かれ、エピソード

を読み上げましょう

○4 ~ 5 名のグループに分かれます

○グループごとに,皆でエピソードを読み上げ

てから始めます。

約15分 1 エピソードについて考えて、下の欄に

書きましょう。 

1)健一、伸也、母親、父親、兄の立場に

なって、それぞれの気持ちを考えてみ

ましょう。

○役割分担してエピソードを読みます。それぞ

れの立場になりきって読み、気持ちを考えます。

2)あなただったら、健一にどのように言

うでしょうか。

○エピソードの仮想事例によって、自分の身に

なって考える体験をします。

約15分 2 子どもが困っている問題に対して、親

のとるべき対応と役割についてどのよ

うに考えますか。

○思春期を迎えた子どもは日々様々な問題を抱

えています。それに対して家族がどのように

向かい合っているかを考えます。

○自分の家庭での子どもへの対応を振り返りな

がら、親の対応と役割を考えていきます。

約20分 (最後に、話し合ったことをグループごと

に発表しましょう)

○最後に全体で集まり、グループで話し合った

内容を発表します。

 より問題解決に導かれることがあるので、フ

ァシリテーターは、参加者が発表しやすい雰

囲気を作り、また問題を皆で共感できるよう

にしていきます。

○各家庭の事例に終わらず,子どもの自立に向

けて親がどのようにすればよいかの意見がで

るようにします。

約20分 3)最後に、話し合ったことをグループご

とに発表しましょう。

○最後に、全員で集まり、グループごとに話し

合ったことをまとめて発表します。最後に、

発表しなければならないと、話し合いも真剣

にされることでしょう。

○自分達のグループとは違う内容を聞くと、さ

らに自分の考えの幅が広がりますので、他の

グループの発表をしっかり聞くように促します。

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手引き

60

4 -表 5 プログラム使用の流れ(⑤エピソード 地域デビュー)

時 間 活   動 留  意  点

約 5 分 4 ~ 5 人のグループに分かれ、エピソード

を読み上げましょう  

○4 ~ 5 名のグループに分かれます

○グループごとに、皆でエピソードを読み上げ

てから始めます。

約15分 1 エピソードの話し合いの続きを考えて

みましょう。あなたの家庭では、どの

ような話し合いになるでしょうか。

○エピソードの最後に「この後、お父さんとお

母さんは、武と話し合いをしました。」と書か

れてあります。この話し合いが、我が家では

どのようになるか考えて、発表します。

○また、発表内容の感想や意見を述べ合います。

約15分 2 あなたの家庭では、子どもの地域活動

についてどのように考えていますか。

グループで話し合いましょう。

○我が家では、子どもの地域活動をどのように

捉えているのかについて考えて、発表します。

○また、親は子どもの地域活動に対してどのよ

うな対応や援助が望ましいのかを話し合います。

約20分 最後に、話し合ったことをグループごとに

発表しましょう

○最後に全体で集まり、グループで話し合った

内容を発表します。