海外で注目される廃プラスチック油化技術 · 株式会社 ブレスト 〒254-0014...

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1 海外で注目される廃プラスチック油化技術 -株式会社ブレストの事例- 大澤正明 1990 年代に夢の技術の一つとして廃プラスチックの油化技術の実証試験が立川市や新潟市で開始 されたが、いずれも実用化に至ることなく終了している。焼却処理が主体のわが国では油化処理はコ ストの面などから普及されにくい面があるのだが、焼却施設の建設が困難な開発途上国などの国々で は、油化処理に対する関心は非常に高い。 すでに、カナダやパラオに油化施設を納入し、さらに多くの国に展開しようとしている株式会社ブ レストを訪問し、お話を伺った。 (上段左)滝沢営業部長 (上段右)青山営業課長 (下段左)江戸課長代理 (下段右)永田紙業株式会社 近藤氏 株式会社 ブレスト 254-0014 神奈川県平塚市四之宮 7-3-1 Tel 0463-51-5604 Fax 0463-51-5607

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海外で注目される廃プラスチック油化技術

-株式会社ブレストの事例-

大澤正明

1990 年代に夢の技術の一つとして廃プラスチックの油化技術の実証試験が立川市や新潟市で開始

されたが、いずれも実用化に至ることなく終了している。焼却処理が主体のわが国では油化処理はコ

ストの面などから普及されにくい面があるのだが、焼却施設の建設が困難な開発途上国などの国々で

は、油化処理に対する関心は非常に高い。

すでに、カナダやパラオに油化施設を納入し、さらに多くの国に展開しようとしている株式会社ブ

レストを訪問し、お話を伺った。

(上段左)滝沢営業部長 (上段右)青山営業課長 (下段左)江戸課長代理

(下段右)永田紙業株式会社 近藤氏

株式会社 ブレスト

〒254-0014 神奈川県平塚市四之宮 7-3-1

Tel 0463-51-5604 Fax 0463-51-5607

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滝沢:当社のことはどのように知られましたか?

大澤:テレビで拝見しました。未来世紀ジパングです(平成 26年 5月 12日放送)

滝沢:あの時は 30分くらい放映されたので、ずいぶん反響がありました。

大澤:私はいまブータンで JICA の草の根技術移転事業をやっているんですが、ブータンに限らず途

上国は廃プラスチックの油化に興味を持っています。

滝沢:途上国に限りません。どこでも、ですよ。世界各国から問い合わせが来ます。毎日 15 件くら

い問い合わせが来ます。多いときでは 60件くらい来たことがあります。日曜日を挟んだ月曜日

は、その処理で大変でした。ごみ問題はどこでも大変ですよ。焼却炉を持てないのは途上国だ

けじゃないですよ。ヨーロッパでも、この間、デンマークから来ましたが、だんだん焼却炉が

作れなくなるそうです。

大澤:日本は焼却炉が普及していますから、プラスチックの処理はさほど深刻にはなりませんが、焼

却炉がない、特に開発途上国では、埋立処分場がプラスチックだらけです。タイではセメント

会社で受け入れてくれるというシステムがあるのですが、それだけではとても追いつかない。

滝沢:当社の油化装置の場合、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)であればいい油がでます。

普通のディーゼル油と違わない品質の油が得られます。それ以外のいわゆる複合プラスチック、

たとえば食品を入れる場合は、強度をだすためにナイロンを入れるとかペットを入れるとかし

ている場合があるのですが、それも処理できるようにしようと思っています。

青山:それでは、資料に沿って概要を説明します。処理可能なプラスチックは PP、PE と PS(ポリ

スチレン)ですが、PP とPE であれば、非常にいい油がとれます。日本では、プラスチックの

材質マークが付いていますので、見分けるのは簡単です。できた油は軽油 70%1と混ぜれば質の

良いディーゼルエンジンとして使うことができる軽油代替燃料になります。私たちは、質の良

い油を作りたいということを優先していますので、分別は大事です。燃料として使うのならば、

プラならなんでもいいよということになるのですが、私たちは生成物の品質にこだわります。

1 再生油の性状については、「軽油と比較して着火性がよいこと」「軽油に再生油 30%混ぜた場合、比重は

軽油とほぼ同等であること」が知られている。(プラスチック再生油のディーゼル燃料への適応性、久留

米工業大学、2012)

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青山:これは(下の写真)、ペットボトルのキャップから作った油です。お茶と見紛うばかりの油です。

大澤:ペットボトルのキャップの材質は?

青山:PP あるいは PE です。

大澤:そのどちらでも油化の対象になるということですね。ところで、ペットボトルのキャップを集

めようという運動がありますが、あれはどんな処理をしているのですか。

滝沢:あれは、質の良いプラスチックですからマテリアルリサイクルができるんです。だから、たと

えば中国に輸出して、またプラスチックに返してやるという処理をしていると思います。私た

ちも実験用のキャップを購入することがあります。

←ペットボトルキャップから作った油

日本プラスチック工業連盟の資料によると、2010年の種類

別プラスチック生産比率は以下のようになっている。PE と

PP で約 50%を占める。

低密度ポリエチレン 16%

高密度ポリエチレン 8%

ポリプロピレン 22%

ポリスチレン 7%

塩化ビニル樹脂 14%

その他 33%

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青山:PP、PE からできた油は、ガソリン、灯油、軽油、重油成分が混ざったものですから、分留す

れば、ガソリン相当、灯油相当、軽油相当の油に分離することができます。ガソリンですが、

試験的に私のオートバイに使用したことがありますが、問題なく動いていますし、私たちの会

社のディーゼル発電機で、軽油に 30%混ぜても問題なく使うことができます。PS(ポリスチレ

ン)は、他のプラスチックと違って、油にすると固まって内燃機関として使えなくなるので、

できれば 2種類のプラスチックで質の高い油を作っていただきたいと思っています。

大澤:見分けるのはどうしたらいいのでしょうか。日本は表示されているのですが。

青山:ブータンではどうなんですか。プラスチックの材質表示はあるのですか。

大澤:まったくありません。プラスチック製品は、インドやタイからの輸入品が多いので、表示を義

務付けるわけにもいきません。現在リサイクルされているのはペットボトルだけで、インドに

持っていきます。その他のプラスチックはすべて埋立処分されます。

滝沢:油化処理施設はいままで何件か見られていますか。

大澤:いえ、初めてです。ご存知のように市町村のごみ処理としての油化処理はうまくいっていませ

んし、私の興味の対象外でした。しかし、途上国では、非常にニーズが高いので、途上国の中

間処理方法を考える場合無視することはできません。

滝沢:当社は小さな会社ですが、すでに 13年経験しています。PP と PE に限りますが、使える油を

作ることに成功しています。

大澤:材質表示がない場合、PSと区別することは可能ですか。

青山:慣れてくるとある程度区別することは可能ですが、普通の人はちょっと難しいかもしれません。

滝沢:絶対ダメというわけではないんですが、何%までなら、ということも言いにくい面があります。

大澤:装置の概要を説明してください。

青山:基本的に熱分解といわれている原理です。徐々に熱していって気化させて、その後冷やして液

体に戻すということです。非常に単純な方法です。電気ヒーターで細かな温度管理をすること

で、いい油が作ることができます。私たちの機械の特徴は軽量コンパクトで装置もシンプルと

いうことです。動力部分というのは押出機だけで、あとはタンクがあるだけです。商品のライ

ンアップは、一日 200 キロ処理できるものから 8トン処理できるものまで揃えています。アメ

リカでは日量 100トンできるものをというご要望もあるのですが。

バッファタンク2 リアクター

分解ガス

冷却器

生成油タンク 制御盤遠隔地での制御可能

410℃昇温

投入ホッパ

フィーダー

モーター バッファタンク1

330℃まで昇温・油化

360℃昇温

390℃昇温

窒素ガス

オフガスフィルター

水・二酸化炭素

生成油取り出し

窒素ガス

廃プラスチックの状態・形状によって下記のオプションが必要な場合があります。1.破砕機 2.原料タンク 3.搬送コンベア 4.自動計量・自動充填装置

油化装置の概要第三世代

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大澤:メンテナンスはどうですか。

青山:操作はたいへん簡単です。タッチパネルを使っていますので、特別な技術を使う必要はありま

せん。イメージしていただきたいのは、JR の切符を買うような簡単な操作でパネルをタッチし

ていただくだけです。メンテナンスも、タンクの管理が中心で、不純物が入ったら残渣を取り

出すような ことが必要ですが、パラオの例から見ても、現地の人だけで十分できます。発電で

きないかというご相談があったので、ドイツの会社と共同開発して専用の発電機を開発してい

るところで、他の燃料と混ぜることなくこの油を 100%使うことも可能になりました。途上国

の用途に応じて、できた油をどのように使うかという用途提案もさせていただこうと思ってい

ます。

青山:二酸化炭素の削減ということについてご説明します。廃プラスチック1kgを燃やしますと2770g

の二酸化炭素が出るのですが、油化装置を使用した場合は、まず電気を使いますので 502g、そ

れからどうしても油に戻らない気体、メタン・ブタン・ブロパン、そういうものに含まれる二

酸化炭素の量が 194g、合計すると 700gの二酸化炭素が出ます。つまり廃プラスチック 1kgあ

たり約 2kgの二酸化炭素を削減できますということです。

大澤:どのような国に導入されていますか。

青山:卓上型油化装置は、世界各国に納入させていただいています。これは、小さなデモ機で、実験

用として、あるいは環境教育用として使っていただくのですが、タヒチ、デンマークなどのヨ

ーロッパ、アフリカ、グァテマラなどいろいろな国に納入させていただいています。連続式油

化装置は、200kg/日からなんですが、タンザニア、カナダ、スロバキア、パラオに納入してい

ますし、アイスランド、メキシコにもこれから納入する予定があります。タンザニアに納入し

たものは日系の化学メーカーの実験プラントです。カナダ、パラオは州政府のクリーンセンタ

現行処理方法(通常行われている方法)

①廃プラスチック焼却 ⇒ CO2 排出廃プラ1kgの焼却で2.77KgのCO2を排出

②ボイラー利用者a) 重 油 ⇒ CO2排出又は

b) 灯 油 ⇒ CO2排出

③その他の要因収集・運搬車など移動によって排出されるCO2

新しい処理方法 (プラスチックの油化)①廃プラスチック

油化機で油化するため 電気を消費する

東京電力の電気を1.2kWh/Kg使用した場合、502gのCO2を排出

油化時の排ガスに含まれるCO2の量:194g/Kg

(弊社試算)

2770-502-194 =2074g●プラスチック1kgで2074gのCO2削減になる。

この数字は参考値で保証するものではありません

②ボイラー利用者 省資源化

プラスチック油 ⇒ CO2排出

③その他の要因プラスチック油の利用にあたっては利用者までの運送が必要となり、その運送の工夫でCO2の削減を考えなければならない。

CO2排出量の削減量の考え方 (現行の方法と新しい方法との比較)

結論:②の排出量に大差がなくとも、①と③で大幅な削減が期待できます

502g/kg

2770g/kg

2.77KgCO2/Kg 及び502gCO2/Kg のデータは平成22年3月改正後の算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧を参考にしたものです

194g/kg

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ーに納入しました。スロバキアは自動車の部品の会社なのですが不良品が出た場合、油に戻し

てやろうということです。こことパラオでは、油に戻すだけではなく専用発電機も付けていま

す。発電機は今後も増えてくると見込んでいます。パラオは、日量 1 トンのものを導入する計

画です。メキシコでもリサイクル業者さんで導入計画が進んでいます。アイスランドにはやは

り 1 トン規模のものを納入するのですが、スロバキアで作ってもらっています。ヨーロッパで

は CE 規格を取らなければ売ることはできないのですが、スロバキアに納入した企業が自分の

ところなら CE 規格が取れるということで、そこを通して 12 月にアイスランドに出荷するこ

とになっているんです。

大澤:どのような機種を揃えていますか。

滝沢:標準タイプとして以下のような機種を揃えています。装置本体の参考価格として、卓上型のBe-h

で約 100万円、連続式の NVG220が 1400万円、NVG1000が 4000万円です。但し、お客さんのプ

ランによって仕様を変更したり、付属品が必要となりますので、あくまでも日本仕様の工場渡

し価格ということでご理解ください。

卓上型 Be-h 1kg/回、処理時間:3時間 30 分

NVG220 約 200kg/24h、連続運転

NVG1000 約 1,000kg/24h、連続運転

NVG2000 約 2,000kg/24h、連続運転

NVG4000 約 4,000kg/24h、連続運転

NVG6000 約 6,000kg/24h、連続運転

NVG8000 約 8,000kg/24h、連続運転

蒸留機BOR-20 約 20ℓ/回、処理時間 2時間 30分

蒸留機BOR-50 約 50ℓ/回、処理時間 2時間 30分

大澤:卓上型は教育用ですね。どんな方が買われるんですか。

青山:NPO であるとか環境団体が購入されて、啓発活動に利用されるというケースがありますし、

その他大学の研究室とか工業高校とかです。NPOでエコパーティーというところがあるのです

が、トラックにNVG220 の油化装置と蒸留機と発電機を載せてインド経由でネパールに行って

油田キャラバンをしています。ペットボトルキャップを集めてそれから油ができますよという

キャンペーンです。詳しくは、当社の HP からも入ることができます。

大澤:何台くらい出ているんですか。

滝沢:卓上型は全部で 100台以上出荷しており、そのうち日本には 70台くらいです。

大澤:卓上型以外の日本の実績はどうですか。

青山:永田紙業さんに入れていただいています。ですから、稼働状況の見学は永田紙業さんにお願い

しています。

大澤:永田紙業さんはいつ入れたんですか。

近藤:平成 24年からですから 2年です。

大澤:その 2年間の運転実績でまとまったものはないですか。

近藤:当社はもともと古紙回収業で、そのお客さんの方からプラスチックもやってくれという要望が

あるので入れてみたところです。プラスチックはまだ試験的にやってみようということで、詳

しいデーターは今後のことになると思います。

大澤:維持費はどうなりますか。

青山:ヒーターで加熱しますので、電気代はかかります。プラスチック 1kg で 1ℓの油が取れるので

すが、その電気使用量は 1.2kWh です。その他、油化に触媒を使っているわけではないので、

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電気代以外は必要ありません。

大澤:定期的に修理したり清掃したりすることが必要なことは?

青山:パッキンは消耗品ですから交換が必要ですし、押出機に異物がからむことがありますから、そ

の時は掃除が必要です。ただ、あらかじめ10mmくらいのチップになるまで破砕をしますから、

それほど頻度が多いわけではありません。

滝沢:あとは周辺機器のメンテが必要です。

大澤:周辺機器と言いますと。

滝沢:ベルトコンベア、計量装置、破砕機です。破砕機は 1軸で供給コンベアと合わせて 200万円く

らいです。

大澤:刃の痛みは。

滝沢:プラスチックですから、さほど摩耗することはありません。フィルム状のプラスチックが多い

場合は造粒機を使います。

大澤:定期清掃が必要な個所は?

青山:リアクターに残渣が溜まるので定期的な掃除が必要です。連続運転をした場合は、週に一度の

清掃を勧めていますが、実際は 1 か月に 1 回でいいようです。ただし、ペットボトルキャップ

や高密度ポリエチレンのオイルボトルを専用に油化している例ですと素材の純度が高いので 3

か月に 1回で十分です。

大澤:油化を売り出しているメーカーが少ないのは何故でしょうか。

滝沢:まずは市町村で入れたがらないので経営が難しい。当社は 13 年続いていますが、まだ営業利

益は上がっていないです。いろんな協力者に助けられてきました。ようやく、アイスランドで

NVG1000 という大型がとれましたし、その他アメリカからも何件か引き合いが来ています。

アメリカの場合はびっくりするくらいの規模です。アメリカの会社と連携することも考えてい

ます。アメリカの場合はUL 規格ですから、これはヨーロッパよりもハードルが高いので、UL

の得意な技術屋さんを連れてきて近々打合せをしようということになっています。こうした案

件が動けば、やっと利益が出るようになるかと思っているところです。

大澤:安全対策はどうなっていますか。

青山:電気を使っていますが、炎がでるというわけではありませんから、特に問題はないと思ってい

ます。もちろん、不注意でバルブを開けてしまったというようなことがあると問題ですが、ご

く普通の注意をしていただくだけで問題はないと思っています。

大澤:すでに埋め立てたごみの山からプラスチックを抜き取って油化するということは無理でしょう

ね。

青山:洗浄が必要になりますから難しいでしょうね。生成した油の質を問わなければできないことは

ないかもしれませんが、塩ビが入ると腐食の問題も出てきます。

大澤:医療廃棄物はどうですか。

近藤:材質によるでしょうが、できないことはないと思っています。400℃に加熱しますから、滅菌

という点では大丈夫かと思っていますが、これからの課題でしょう。

大澤:たいへん参考になりました。今後は、運転管理実績に関するデーターを整理していただいくと

買い手が評価しやすくなると思います。処理規模に対する実際の処理能力、処理実績別の電気

使用量、消耗品の取替え頻度、残渣の量、投入プラスチックの不純物の影響等などです。廃棄

物処理の場合は、予定どおりの廃棄物が入ってこないことを前提に設計することが大事ですし、

分別も完璧に行われないことを覚悟することが大切だと思います。ご検討を期待します。

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卓上型Be-h。右上の容器にプラを入れて、ヒーターで温めるとガスが気化されて出てくるので、

水で冷却すると右下のように油が生成される。1回で 1kg のプラを処理し、1リットルの油がで

きる。今回はペットボトルのキャップを原料にしている。処理時間は 3 時間で、電気使用量は

3kWh。操作はタッチパネルで簡単に行うことができる。

1 台の重さは約 50kg。2人がかりで持ち運びができるので、車で持ち運び、デモンストレーショ

ンや環境教育機材として利用するという。

大型の装置も原理は同じだという。

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工場には、メキシコ行きの一

日 24時間稼働で 1000kg 処

理可能な装置とタヒチ行き

の一日24時間稼働で200kg

処理可能な装置が組み立て

を完了し、出荷の時を待って

いた。上が投入部、下が加熱

ヒーター部。内部の温度は、

押し出し機の入口で 180℃、

過熱ヒーター部は 420℃。投

入部にはさらに破砕機と投

入コンベアが設置される。