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ちゅうでんフォレスター育成プログラム第10回
間伐作業と安全
2016/12/9
山林作業は危険な仕事?
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ヒヤリ・ハット体験を発表してください
CF実習中体験した•小さなケガ
•痛かったこと
•危なかったこと
作業を見ていて・危ないと思ったこと
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林業の災害はどれくらい?
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5林災防HP、2016.12.6
6林災防HP、2016.12.6
資料4労働災害統計資料、労災保険率表
•労働者数、死傷者数は減少
•死亡者数は減っていない 平均39人/年※
•死傷年千人率は全産業の13倍以上 全産業2.2※林業30.1※
年千人率とは、労働者1,000人あたり1年間に発生する死傷者数を示すのもで、千人率=1年間の死傷者数/1年間の平均労働者数×1,000で表される。
•労災保険率(平成27年4月1日)はワースト3位1位 金属鉱業、非金属鉱業 88/1,0002位 水力発電施設、ずい道等新設事業 79/1,0003位 林業 60/1,000
※平成23年~平成27年の平均値
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どんな災害が多い?
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9林野庁HP、2016.12.6
資料5林業における作業別死亡災害(平成18年~平成27年)
伐木作業59.9%• 自己伐倒39.0%
•かかり木処理16.1%、隣接木に接触2.2%、倒れる方向が変わる5.6%、倒れる時期が早く0.7%、退避の誤り2.7%、その他11.7%
• 他人伐倒12.8%
• かかり木処理2.0%、隣接木に接触0.2%、倒れる方向が変わる4.0%、倒れる時期が早く0.4%、退避の誤り3.1%、その他2.9%
• 伐木作業(その他)8.1%• 物の飛来落下3.4%、歩行中1.6%、その他3.1%
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どうすれば災害は防げる?
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安全作業 3つのポイント
1. イメージする• 現場を下見し、作業完了までをイメージする• 一つの方法に固着しない
2. リスクアセスメント• 危険を洗い出す• 最悪を想定する
3. デザインする• リスクを許容した現場設計• 対処方法と必要な資機材の検討(バックアップ)
※出来ないことはやらない、やらせない• 技量、経験から判断する• 伐らないのも一つの選択肢(止める勇気)
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作業用具 3つのポイント
1. 目的外使用はしない、させない
✕トラロープでけん引する
2. 使用荷重、破断強度を把握する✕吊り荷の荷重、資機材の強度を無視した現場設計
3. 使用期限を過ぎたもの、破損したものは使用しない✕古いヘルメット・安全帯・繊維ロープ等の継続使用
チェンソーの使い方 3つのポイント
1. チェンソーは必ず両手で保持する
×トップハンドルなど小型チェンソーを右手だけで操作する
→キックバックしたとき安全装置が作動しない
2.刃の延長線上に体を置かない
×チェンソーを正面に構えて切る ×腕をクロスした姿勢
※キックバックした時、自身にチェンソーが跳ね返る
3.切らないときはブレーキをかける(またはエンジン停止)
×ガイドバーが回転しているときに体勢をかえる(歩く)
※切り終わりや惰性回転で足を切る
チェンソー使用時の基本姿勢
• 前後のハンドルを両手でしっかりと保持する
• キックバック方向の左側に立つ• 刃の延長線上に体を置かない• 足を前後に開き、膝を軽く曲げ、チェンソーと体の距離を近くする
• 過度に押しつけず、チェンソーの自重で切り下ろす
• 肩より高い位置では使用しない• 切らないときはチェンブレーキをかける
15ジェフ・ジェプソン『伐木造材術』(ジョン・ギャスライト、川尻秀樹訳)全国林業改良普及協会、2012、26ページ
チェンソーの反発力
キックバック(回転型)ガイドバー先端上部に物が当た
ると、ソーチェンの回転が突然止まる反動で、チェンソーが作業者の方向に円運動しながら跳ね返る現象
キックバック(直線型)チェンソーの押す力が強い時や、
ガイドバーが切り口で木に挟まれたときの反動を受け、チェンソーが勢いよく戻る現象
16ジェフ・ジェプソン『伐木造材術』(ジョン・ギャスライト、川尻秀樹訳)全国林業改良普及協会、2012、29ページ
注意)キックバックは一瞬の出来事。発生後は回避する時間はない。
樹木伐採 3つのポイント
1. 適切な伐倒方向を選定する•障害物、スペース、木の重心(風)、技量、後工程
2. 受け口を正確に作る•斜め切りと下切りの終わりを一致させる•伐倒方向に対して正確な向き
3. ツルを確実に残す•ツルの長さは、根張りを除いた直径の80%以上•追い口を切りすぎない
木の重心の見方
•樹冠の広がり•幹の傾き•樹高とのバランス•風向、風力
※広葉樹やマツ類、幹が反り返った樹は、重心が分かりにくい
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木の傾き測定
1. 木を横から見て、樹冠の中心点を垂直におろす
2. 1の視点から90度の位置に移動し、樹冠の中心点を垂直におろす
3. 1と2の中間地点が対象木の傾き方向
19ジェフ・ジェプソン『伐木造材術』(ジョン・ギャスライト、川尻秀樹訳)全国林業改良普及協会、2012、62ページ
受け口切り
•下切りと斜め切りの終わりの部分は必ず一致させる
※切違い(バイパスカット)があると、思いのほか早く倒れたり、食い違いの部分が支点になって、幹が裂け上がったりして大変危険
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『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、46ページ
バイパスカット
受け口の深さ(およびツルの長さ)
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ジェフ・ジェプソン『伐木造材術』(ジョン・ギャスライト、川尻秀樹訳)全国林業改良普及協会、2012、80ページ
受け口の深さ
•ツルの長さは伐根直径の80%以上幹断面が円い場合、受け口の深さは直径の1/5以上となる
•鋸断時間の短縮•辺材がツルになる(心材よりねばりがある)
•小径木伐倒でのクサビを入れる余地が増す
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水野雅夫『研修そして人財育成』、森林技術№888、日本森林技術協会、2016.3、30ページ
受け口の確認
バイパスカットになっていないか?
伐倒方向に対して正確な向きか?
ツルの長さは、根張りを除いた直径の80%以上あるか?
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追い口を切る前に受け口をよく確認する
追い口切り
•追い口は一気に切らない
•切り込みすぎれば、ツルの働きによる伐倒のコントロールを失う
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『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、47ページ
追い口を切り込みすぎないよう、追い口切りの途中で確認する
ツルの厚さ(世界共通)
•伐根直径の10%(1/10)
•小径木でも最低2㎝
25ジェフ・ジェプソン『伐木造材術』(ジョン・ギャスライト、川尻秀樹訳)全国林業改良普及協会、2012、86ページ
かかり木処理 3つのポイント
1. 危険エリアを見極める•斜面下方、滑車の内角、かかり木の下に入らない
2. 簡単な方法からトライする•けん引具で引く•フェリングレバーや木廻しベルトで木を回す•棒やトビ、けん引具で根元をずらす•幹の上部にロープ、けん引具をかけて引き落とす
3. 禁止事項をしない•かかられている木の伐倒、浴びせ倒し、元玉切り、かかられている木の枝切り、肩で担ぐ、かかり木の放置
かかり木処理方法
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『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、54ページ
『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、12ページ
かかり木処理方法
かかり木の下敷きにならない位置 内角は立入禁止
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『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、54ページ
『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、54ページ
かかり木処理の禁止事項
かかられている木の伐倒 浴びせ倒し
29
『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、55ページ
『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、56ページ
かかり木処理の禁止事項
元玉切り かかられている木の枝切り
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『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、56ページ
『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、57ページ
かかり木処理の禁止事項
肩で担ぐ かかり木の放置
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『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、57ページ
『チェーンソー作業の安全ナビ』林業・木材製造業労働災害防止協会、2016、53ページ
【災害事例】災害事例から学ぶもの
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チェンソーによる災害
• 造園業者 Aさん(経験20年)
• 枝おろし剪定作業を実施した
• 剪定した枝を集積した
• 集積した枝を小型チェンソーで細かく整理した
• チェンソーを片手(右手のみ)で使用していた
• キックバックした
• チェンソーが顔面へ向かって跳ね上がってきたため、とっさにもう一方の手(左手)でかばった
• 左手の指3本を切断した
(背景)年末にかけての繁忙期のため、毎日仕事は立て込んでいた。この日も次の現場があったので、急いで作業していた
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なぜ災害が起きたのか?
<原因・素因>
•チェンソーを片手で使用した
•キックバックした
•慣れや自己流による基本操作からの逸脱
•業務繁忙による気の焦り(推測)
•疲労蓄積による集中力の低下(推測)
•切創防止グローブの非装備
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基本操作の重要性
•安全管理、技術習得の根幹
•安全性の向上
•作業効率、生産性の向上
•疲労軽減
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所作安全性と生産性を兼ね備えた仕事
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例)チェンソーワーク
•立ち位置、体の向き、構え、体と機械の距離、歩み、チェンソーの向き・角度、アクセルワーク、ブレーキ操作など
一つのミスが重大災害に!!
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災害は必然
•偶然起こる(作業)災害はない
•偶然とは、「何の因果関係もなく、予期しないことが起こること」
•予知出来ない危険には、対処できない
•危険を予知していても、「見過ごし」、「何とかなるさ」、「一か八か」は、いつか必ず災害が起きる
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安全作業 7つの心得
1. 作業完了までをイメージし、チーム全員で共有する
2. 危険を予知することが大切である(ハザードの特定)
3. 最悪の事態を想定する(リスク評価)
4. リスクを許容し最も安全で簡素なシステムを検討する
5. 必要な資機材と保護具を用意する
6. エラーとトラブルはつきものである(バックアップ体制)
7. それでも災害は起こる(危機管理体制)
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言いかえると…
•予防することが最善策である•イメージできない、対処方法がない⇒技量・経験不足•危険を理解していないと安全を確保できない•「出来ません」も選択肢の一つとする•技術なくして、安全なシステムは構築できない•安全でないものは、技術とはいえない•お金で買える安全(安全コスト)•人間は必ずミスをするものである•リスクゼロにはできない
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安全にできること=技術
アクロバットな技≠技術
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ボランティア間伐では
安全重視 ・・・スピードを求めない
チームワーク ・・・分担・協力・アイディア
仲間を尊重 ・・・楽しむ
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安全は技術です
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参考文献
ジェフ・ジェプソン『伐木造材術』
(ジョン・ギャスライト、川尻秀樹訳)全国林業改良普及協会、2012
『チェーンソー作業の安全ナビ』
林業・木材製造業労働災害防止協会、2016
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