ロバート・M・エントマンの フレーム分析 「滝流れモデル」 …ロバート・M・エントマンの フレーム分析と 「滝流れモデル」についての検討
細かな表面粗さの分布から生成 した渦による流れ制 …流れの制御(Flow...
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細かな表面粗さの分布から生成
した渦による流れ制御技術
山口大学 大学院 理工学研究科
(工学部 機械工学科)
教授 望月 信介
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はく離抑制が抗力低減を導く例
• ゴルフボールのディンプル
• サメ肌
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パッシブ制御 追加動力が不要! (形状操作等)
アクティブ制御 追加動力が必要
リブレット
プラズマアクチュエータ
マイクロバブル
抗力低減を目的とした流れの制御手法
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抗力低減は空力騒音低減も導く
• 速度400[km/h](音速の1/3程度)以下で空気中を移動する物体から生じる空力騒音
流れのはく離が生成する二重極(Dipole)と呼ばれる音源
原因: 流体の壁面との干渉(間欠的な衝突)
対策: 間欠的な渦発生を生じさせるはく離をなくす
(例: 近年のドアミラーなど) ↑
抗力低減と共通
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従来技術とその問題点
渦発生器(Vortex Generator)
高さ10mm程度の板
障害物となる
流体抵抗を付加
要保守点検
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新技術: 粗滑面を左右に配置して渦流を生成
粗面
滑面
流れ
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今日まで不明瞭であった理由
• 1950年頃より、予想と期待は存在
(オランダ、Hinzeらの研究)
• 実験の困難さ、それにより理論的証明が不可能
米国の大学における研究(1970年代)
渦生成と機構証明に必要な成分を未計測
• 山口大学流体研究室にて実験(2008~2011)
渦流発生の直接的証拠の確認
生成機構を理論的に証明
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実験による確認
Flow
H=20
700
40
6000
x
y
x0
y
z
0
0
3580
200
Uc0
z0
粗面
流路幅: L=700mm
流路高さ:2H=40mm
アスペクト比:AR=17.5
…チャネルの二次元性確保(AR >7,Dean)
8 x
z
y
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渦流発生の確認
-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 20.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
z/H
y/H
0.04 Uco
V/Uco
W/Uco
粗面 滑面
-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 20.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
z/H
y/H
0.04 Uco
V/Uco
W/Uco
粗面 滑面
-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 20.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
z/H
y/H
0.04 Uco
V/Uco
W/Uco
粗面 滑面 流れ
プローブか何かで測定されたのですか??
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PS、P1、P21、P22、P23 が渦を作り出す役割を持つ
P22項: 最大の生成を行う → 次スライドで説明
渦度輸送方程式 (Townsend,Bradshaw)
PS P1
P21
渦流れの生成機構を論理的に説明
P22 P23
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渦流れの生成機構を証明
応力によるトルク
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新技術の特徴・従来技術との比較
従来型 新技術
装置の寸法 10mm程度 数十μm~1mm
持続性の維持 高さの10倍程度の間隔
で連続的に設置
粗面の状態を必要な範囲
で維持
設置方向 接着
リベット止め
サンドブラスト
サンドペーパー貼付
塗装
渦流の強度
流体抵抗
強い 弱い
(従来型の1/10程度)
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想定される用途
流れの制御によるはく離抑制
① 航空機、風車の翼面上の流れの制御により抗力低減(揚力増加)、騒音低減
② ディフューザにおける圧力回復係数の向上
混合促進
③ 流路において人工的な渦流発生により混合促進や反 応促進(燃料電池内など)
④ エアコンのルーバーやガイドベーン下流の流れの混合拡散の促進
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翼面上の流れの制御への応用
従来型渦発生器 新技術
想定される用途①
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ディフューザにおける圧力回復係数の向上
流れ
渦流によりはく離抑制 ⇒ 圧力回復係数の向上
想定される用途②
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ダクト流路内における渦流による混合制御
粗面
滑面
流れ
想定される用途③
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エアコンなどのルーバーやガイドベーン
表面粗さにより混合に有効な渦流の生成
想定される用途④
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技術により得られる効果
流れの制御(Flow Management)
混合および輸送の促進
流れのはく離の防止 輸送促進
空気抵抗の低減 伝熱促進
空力騒音の低減 反応促進
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期待される用途と定量的効果
• 抗力低減
航空機、自動車、移動物体
動力(=燃料費)低減(数~数十%)
• 揚力向上
風車翼など
出力上昇あるいは翼面積削減(数%)
• 混合・撹拌
流路内の混合、エアコンルーバーなど
必要距離(長さ)の短縮(1/10以上)
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実用化に向けた課題
• 粗度高さが流れの速度や流体に依存
粗度高さ > 30×動粘度/(流速/20)
航空機 30μm (ジェット機)
風車翼 1mm (風速10m/s程度)
船 舶 40μm (石油タンカーなど)
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企業への期待
• 粗面寸法や配置は適用場所により数μm程度でも有効であり、表面粗さを有する粘着テープといった製品開発が可能
• はく離防止を目的とした流れの制御の他、流路内において安定した混合を維持するための化学合成技術や燃料電池内などへの応用を考えた応用を希望
対応可能な事柄
• 最適な粗面寸法とその配置の設計指針の提案
• 効果の定量的把握に関する実験またはアドバイス
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称: 壁面上の流れに対する渦発生器
• 出願番号 : 特願2011-197618(特開2013-057390 )
• 出願人 : 山口大学
• 発明者 : 望月 信介
お問い合わせ先
山口大学 産学公連携センター
コーディネーター 森 健太郎
TEL:0836-85 - 9961 FAX:0836-85 - 9962
e-mail:[email protected]