CCPSプロセス安全メトリックス - 化学工学会産学官...
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20120316
化学産業技術フォーラム
CCPSプロセス安全メトリックス
ー 作成とその後の経緯 ー
化学工学会 SCE-Net安全研究会 化学工学会 SCE-Net安全研究会
AIChE Senior Member [Emeritus] 幹事
小谷卓也 牛山 啓
本日の講演内容
1. CCPSとSCE-Net安全研究会の関係
2. CCPSメトリック作成のきっかけ
3. CCPSメトリックと他のメトリックの比較
4.メトリックの第1回改訂
5. 今後の動き
20120316化学産業技術フォーラム
小谷卓也 ・ 牛山 啓
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CCPS とは
正式名称: Center for Chemical Process Safety AIChE(アメリカケミカルエンジニア協会)の一部門
設 立: 1985年 ― 印度Bohpalの事故の翌年
目的と方法:
プロセス事故(による災害)の防止 ・プロセス安全に関する最先端技術や手法の開発改善
・プロス安全情報の提供
・関係者の安全知識と意欲の向上 等
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日本からの メンバーは 現在1社のみ
CCPSとSCE-Net安全研究会
~2005年 個人的接触(小谷)
2006年 CCPSの依頼を受けProcess Safety Beaconの日本語版作成開始
2008~2009年 メトリックス要約および全訳発表
2009年11月 OPCW(化学兵器禁止機関) と MOFA(外務省)共催
「プロセス安全」に関するセミナーで
CCPS代表として東アジア10カ国代表にメトリックを
紹介(小谷)・ 討論出席(小谷・牛山)
2010年5月 石油化学工業協会(石化協)保安講演会で
メンバー会社31社にメトリックを紹介(小谷・牛山)
2011年4月 石化協 Working Groupが詳細検討開始
レベル5(0.3ポイント)を追加して評価中
2012年1月 メトリックス 1 改 全訳公表
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用語の意味 Metric(= standard of measurement)
⇒ メトリック、測定(評価)基準 Process safety metric ⇒ PSメトリック、プロセス安全メトリック
Lagging metric ⇒ 遅行メトリック、実際に起こった事故の強度を示す
Leading metric ⇒ 先行メトリック、事故前の安全対策の実施状況の健全性を示す
Nearmiss ⇒ 遅行メトリックの一種、同時に先行基準的な面もある
Process safety incident ⇒ PSI、 プロセス安全事故
= Tier 1 PSE (API用語)
Tier 2 process safety event ⇒ プロセス安全小事故
= Tier 2 PSE (API用語)
Severity rate ⇒ SR、 事故強度
事故の結果に応じて算出される数値
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performance indicator ともいう
プロセス安全パフォーマンスについて
あなたの答えは yes or no?
Q1 あなたの会社(国)には、 比較評価するための基準がありますか?
Q2 あなたの会社(国)は、 他より優れていると言えますか?
Q3 あなたの会社(国)では、 年々よくなっていると言えますか?
Q4 あなた国では、 向上していると言えますか?
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メトリック作成のきっかけ 1/3
CCPSがプロジェクトを
始めたのは?
BP Texas Refinery の
爆発事故・・・
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メトリック作成のきっかけ 2/3
2005年3月 BP Texas Cityの事故
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[出典:CSB 報告書]
ラフィネート
気
液
噴
出
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ディスプレーサー
78%
アラーム
拡 散 → ← 拡 散
トレーラー
直接原因: 異性化装置の塔内に液が充満、噴出、蒸気雲が発生、 トレーラーハウスの傍で着火、爆発
メトリック作成のきっかけ 3/3
2005年3月 BP Texas Cityの事故
遠因: 安全文化不在
●ー経営者と現場従業員の意思疎通不十分
⇒ 改善意欲減退
●ー極端な生産優先と経費削減
⇒ 人員削減 ⇒ 疲労・集中力低下
⇒ 判断ミス
●ー設備問題点長期間放置
⇒ 設備劣化・危険増大
[例: HAZOP study結果軽視・
ブローダウン系古い設計・教育訓練不足]
ー事故前夜と当日のシフトの勤務状態
----手順不順守および連絡不十分(警報無視/警報不発の申送りなし)
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小谷卓也 ・ 牛山 啓
出典: CSB報告書
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不安全行為オンパレード
メトリックプロジェクトの発足 1/3
2006年 CCPS
メトリック検討プロジェクト立上げ
2007年1月 Baker Panel* (石油・石化業界を対象とした)
多数の関係者によるメトリック作成を勧告
2007年3月 CSB** (石油業界を対象とした?)
APIとUAWによる”メトリック作成を勧告
* The BP US Refineries Independent Safety Review Panel ** US Chemical Safety and Hazard Investigation Board
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CCPS の
後押し
ひとつの国に 二つのメトリック ・・・ややこしくした Slide 10
メトリックプロジェクトの発足 2/3
目 的:
● 共通して使用できる
先行および遅行メトリックの開発
・ パフォーマンス改善への貢献
・ 有意義なトレンドデータの提供
・ 比較融合可能な共通フォーマットの確立
● グローバルに受け入れられる基準の確立
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メトリックプロジェクトの発足 3/3
参加団体
3M Company ABS Consulting ACC AcuTech Consulting Air Products & Chemicals Albemarle API Bayer Material Science * BP * Braskem * CCPS Chevron Phillips Chemical CONCAWE* Contra Costa County HD Dow Chemical
DuPont
Eli Lilly
OSHA PPG Reliance Industries * Rhom & Haas
Shell Downstream *
SIS-Tech Solutions
Solutia
Suncor
UK HSE *
US Chemical
Safety Board
United Steelworkers
Valero
Wharton
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EPA EPSC * ExxonMobil Henkel * Honeywell Specialty Material Husky Oil INEOS Olefins JLM Consulting Lyondell Basell * MKOCPSC Monsanto Nalco NOVA Chemicals NPRA OGP *
Chair: Tim Overton
日本からの参加はなかった!
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* 米国外の企業・団体
三つのメトリックの比較 (2009 年以前)
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CCPS API/ANSI CEFIC
Process Safety Incident の定義に合う事故
PSIの定義に合わない事故
ニアミス
不安全行為または規律不十分
Tier 1 Process safety Event CCPSの遅行メトリック
の考えに近いがseverityの区別がない
Tier 2 PSE
Tier1 以外のLOPC
Tier 3 PSE 安全運転からの逸脱
Tier 4 PSE 不安全行為または規律不十分
Process Safety Incident 負傷やしきい値
CCPSメトリックに類似 但し、しきい値は大幅に違う
・Cefic内の発表? ・分類がおおまか
・水やポリエチレン
ペレットのしきい 値の規定がある
・要報告件数が多
くなる
公 表
なるべく 公表?表
考え方に大差はない すり合わせできるであろう
Slide 13 2010年5月のKTNコメント
安全ピラミッドの共通概念 (2011年夏)
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プラントの安全が
損なわれた状態
(遅行基準)
Tier 1 PSI: 大事故 強度しきい値以上の事故 [LOPC放出量・火災・爆発・死傷・ 資産被害( > 25 k$/25 k€) (環境被害)
Tier 2 PSE: 〔小〕事故 しきい値に満たない事故
事故に至らな かった不具合 (ニアミス)
Tier 3 ; 軽微なLOPC 安全システムの問題 検査結果検討不十分
不安全行為・規律不徹底防止のための安全対策 (先行基準)
プロセス危険分析・計画的査・変更管理・作業許可制・訓練等
要 報 告 範囲
CC PS
C EFIC
日 本
事故 強度
CCPSメトリックス
2011年1月 第 1 回改訂の要点
1. CCPSとANSI/API RP-754
何れでも計算結果が同じになるようにする
2. 遅行基準の書き直しが大部分
・ 51 の事例を68に増加
・ 記述を変えていない事例は10%程度
・ ケミカル以外のユーティリティによる事故を追加
・ 室内放出のしきい値やシェルターインプレイス追加
3. Tier 2の公表を奨励 20120316化学産業技術フォーラム
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CCPSメトリックス
問題点と今後の展開 1/2
1. SCE-Net安全研究会内の意見あれこれ
11 事故を数字化して比較する考えは画期的・・・紹介に踏切った理由
12 事故強度ポイントにレベル5(0.3 pt),6(0.1)があってもよいので
はないか・・・CCPSには指摘済み
13 事故防止に役立つのはBOP・・・ニアミス/先行基準について大雑把
な分類があってもよいのではないか
14 しきい値の定義: UNDGベースから、貯蔵・輸送を含むあらゆる
取扱状況を想定したGHSをベースにするのが好ましい
15 マスメディアの報道はカウントに値するかどうか?
16 PSI判定チャートではカバーされない追加事例がある
・・・CCPSには指摘済
6
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CCPSメトリックス
問題点と今後の展開 2/2
17 ストラクチャーの定義・・・再検討??
18 屋内放出しきい値(オプショナル)過大・・・CCPSには指摘済み
2. 今後の展開
21 予想された事例と現実に起こる事例とのギャップの発見・・・実用上
の問題点の発見・・・時間がかかる・・・検討は未だ石化協のみ実施
22 第2回改正版の発行(UNDG ⇒ GHS採用 他)
23 Ceficとの摺り合わせ・・・記述はAPI的?・・・強度計算はCCPS
24 先行基準の細分化・・・事故防止に役立つ真の指標はこれ・・・ただし、
25 化学プロセスプラント以外への応用 等
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CCPS プロセス安全メトリック
ご静聴ありがとう ございました
PSI判定チャート例 1/2
出典: CCPS Process Safety Metrics
YES
YES YES
m
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化学プロセスが直接関係?
プラントの製造・輸送・貯蔵・用役・パイロット等の設備で?
計画外あるいは予想外の物質の放出?
報告すべきPSI
直接コスト $25,000 以上?
PSI
の条件に 適合 しない
一次防護設備 からの
引火/可燃性物や 毒物の
急激な放出?
従業員/請負の 休業/死亡災害?
または 第三者の
入院/死亡?
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yes
yes
yes
yes
yes yes yes
no
no
no
1改正
地域避難 宣言 または
シェルターイン
プレイス?
PSI判定チャート例 2/2 出典: Cefic-Guidance on Process Safety Performance Indicators
201203化学産業技術フォーラム 小谷卓也
化学品またはプロセスが直接関与?
会社の施設境界内の生産・分配・貯蔵・用役・ パイロットプラント実験室で起こったか?
プロセスからの物質または エネルギー(火災、爆発、内破)
の放出があったか?
シェルター イン
プレイス
報告すべきPSI
直接 損害
25k€超
休業災害 または 死亡 または
24時間超 の入院?
PSIの 条件に適合 しない
no
no
no no no
no
yes
yes
yes
yes
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GHS
健康ハザード
GHSで分類 されて いない 物質
急性毒性 1 2 その他のカテゴリー
癌・生殖・突然変異 1
STOT単一暴露
フィジカルハザード 全部
環境ハザード 全部
しきい値(8時間) kg 5 100 2000