第1学年の実際- 20 - 第1学年の実際 1 単元 ¡...

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- 20 - 第1学年の実際 1 単元名 ボール投げゲーム(シュートゲーム) 2 単元設定の理由 (1)児童の実態 第1学年の児童は、ボール遊びに関しては、男子はドッジボールをしたり、少人数でキャッチボー ルをしたりして遊んでいるが、女子はボール遊びをしている姿はあまり見られない。 ボール遊びについてのアンケートでは、「ボール遊びが好き」と答えた児童は70%、「ボール遊び があまり好きではない」と答えた児童は30%、「ボール遊びが嫌い」と答えた児童はいなかった。 ボール遊びが好きな理由として、「ボールを転がして的に当てると気持ちいい。」「手打ちをしたとき、 ボールが飛んでいくのが楽しい。」「サッカーで点数が入って勝つとうれしい。」「友達から『すごいね』 と言われるとうれしい。」が挙げられた。あまり好きではない理由として、「あまりしたことがない。」 「投げるのが弱くてキャッチされそう。」が挙げられた。 ゲームの学習は、多くの児童が楽しみにしており、意欲は高い。1学期のボールを転がしての的あ てでは、きまりを守って学習を進めることができた。また、 どのように転がすと的に当たるかを考えて学習している姿 も見られた。 体力、運動技能については、個人差が大きい。投げる、捕 る技能が身についている児童がいる一方で、遊びの中でボールを投げたことがほとんどない児童もい る。新体力テストのソフトボール投げの結果は、北九州市の平均と比較すると、あまり差はなかった。 事前にボールを投げることに関する実態調査を行ったところ、利き手と反対の足を出して投げること ができる児童は68%、利き手と同じ方の足を出して投げる児童は28%、足を出さずに投げている 児童は4%だった。また、片手で投げる児童は90%、両手で投げる児童は10%だった。そのため、 利き手と反対の足を踏み込み、投げる腕を大きく振ってボールを押し出すように投げるように、練習 を重ねてきた。 本単元では、ボールを投げる技能を伸ばし、「きまりを守って、仲良く楽しく活動しよう。」と運動 を楽しむ児童の姿を目指したい。 (2)単元のとらえ 本単元は、ボール運動の基礎になる学習である。そのため、ゲームを通して投げる、捕るという基 礎的な運動を十分に体験させ、ボールを力いっぱい投げたり、捕ったりすることの楽しさを味わわせ るとともに、ボールを使った運動への関心と技能を高めたい。 前半の「的当てゲーム」は、ボールを投げて的に当てたり、的を台から落としたりして得点を競い 合うゲームである。得点することや相手チームに勝つことが楽しい運動である。後半の「シュートゲ ーム」は、2つのチームが攻守を交代しながら的をめがけてボールを投げ、得点を競うゲームである。 守りをかわしながら得点し、攻め方や守り方を工夫しながら相手チームに勝つことが楽しい運動であ る。まず、「的当てゲーム」を通して、友達のよい動きを見付け、様々なボールの投げ方を知り、自 分がねらったところにボールを投げることができるようにする。次に、攻守交代の「シュートゲーム」 を通して、攻め方を決めながら活動し、徐々にボール操作に慣れるようにしていきたい。そして、き 男子 女子 1年 9.18 5.5 北九州市 9.0 5.0

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Page 1: 第1学年の実際- 20 - 第1学年の実際 1 単元 ¡ ボール投げゲーム(シュートゲーム) 2 単元設定の理由 (1)児童の実態 第1学年の児童は、ボール遊びに関しては、男子はドッジボールをしたり、少人数でキャッチボー

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第1学年の実際

1 単元名 ボール投げゲーム(シュートゲーム)

2 単元設定の理由

(1)児童の実態

第1学年の児童は、ボール遊びに関しては、男子はドッジボールをしたり、少人数でキャッチボー

ルをしたりして遊んでいるが、女子はボール遊びをしている姿はあまり見られない。

ボール遊びについてのアンケートでは、「ボール遊びが好き」と答えた児童は70%、「ボール遊び

があまり好きではない」と答えた児童は30%、「ボール遊びが嫌い」と答えた児童はいなかった。

ボール遊びが好きな理由として、「ボールを転がして的に当てると気持ちいい。」「手打ちをしたとき、

ボールが飛んでいくのが楽しい。」「サッカーで点数が入って勝つとうれしい。」「友達から『すごいね』

と言われるとうれしい。」が挙げられた。あまり好きではない理由として、「あまりしたことがない。」

「投げるのが弱くてキャッチされそう。」が挙げられた。

ゲームの学習は、多くの児童が楽しみにしており、意欲は高い。1学期のボールを転がしての的あ

てでは、きまりを守って学習を進めることができた。また、

どのように転がすと的に当たるかを考えて学習している姿

も見られた。

体力、運動技能については、個人差が大きい。投げる、捕

る技能が身についている児童がいる一方で、遊びの中でボールを投げたことがほとんどない児童もい

る。新体力テストのソフトボール投げの結果は、北九州市の平均と比較すると、あまり差はなかった。

事前にボールを投げることに関する実態調査を行ったところ、利き手と反対の足を出して投げること

ができる児童は68%、利き手と同じ方の足を出して投げる児童は28%、足を出さずに投げている

児童は4%だった。また、片手で投げる児童は90%、両手で投げる児童は10%だった。そのため、

利き手と反対の足を踏み込み、投げる腕を大きく振ってボールを押し出すように投げるように、練習

を重ねてきた。

本単元では、ボールを投げる技能を伸ばし、「きまりを守って、仲良く楽しく活動しよう。」と運動

を楽しむ児童の姿を目指したい。

(2)単元のとらえ

本単元は、ボール運動の基礎になる学習である。そのため、ゲームを通して投げる、捕るという基

礎的な運動を十分に体験させ、ボールを力いっぱい投げたり、捕ったりすることの楽しさを味わわせ

るとともに、ボールを使った運動への関心と技能を高めたい。

前半の「的当てゲーム」は、ボールを投げて的に当てたり、的を台から落としたりして得点を競い

合うゲームである。得点することや相手チームに勝つことが楽しい運動である。後半の「シュートゲ

ーム」は、2つのチームが攻守を交代しながら的をめがけてボールを投げ、得点を競うゲームである。

守りをかわしながら得点し、攻め方や守り方を工夫しながら相手チームに勝つことが楽しい運動であ

る。まず、「的当てゲーム」を通して、友達のよい動きを見付け、様々なボールの投げ方を知り、自

分がねらったところにボールを投げることができるようにする。次に、攻守交代の「シュートゲーム」

を通して、攻め方を決めながら活動し、徐々にボール操作に慣れるようにしていきたい。そして、き

男子 女子

1年 9.18 5.5

北九州市 9.0 5.0

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まりを守って仲良く活動する態度を身に付けたり、集団で競い合う楽しさを十分に味わわせたりする

ようにしていきたい。

3 指導の手立て

(1)指導内容の明確化を図る

① 本単元における指導内容

ア 投げたい方向に、足を踏み出して投げる。

・ 利き手と反対の足を踏み出して、腕を振って投げることができる。

イ 守りの薄いところを見つけて的に当てる。

・ 的をねらいやすい位置に動きながら、守りの薄いところを

見付け、的をよくねらってボールを投げる。

ウ 相手と的の間に移動して守る。

② 本単元での目指す動き

③ 児童の実態に応じたゲームの設定

児童の実態から、投げる・捕るの経験や技能の個人差が大きいため、一人に1個ずつボール持た

せ、操作する機会を多く設定する。

ボールゲームの経験の差や安全面を考慮して、ボールはスポンジ製のソフトフォームボール

(大・小の2種類)を用いる。自分の投げやすいボールを選ぶことによって、ボールが扱いやすく、

ボールゲームの楽しさを味わうことができる。また、シュートゲームで守りになった時、ソフトフ

ォームボールだと当たっても痛くない程度の硬さなので、ボールに対する恐怖心が生まれにくい。

コートは、外側が直径8m、内側が直径2.5mの円にする。外側の

円には、コートの広さや形を変えることができる綱を用いる。そして、

外円に2カ所、的からの距離が近い所にフープを置く。投げることが

苦手な児童(チームから一人)はそこから投げてもよいという規則を

つくり、どの児童も進んでゲームに取り組むことができるようにする。

単元の前半では、攻めのみの的あてゲームを十分に行い、単元の後半では、守りのあるシュートゲ

ボール操作

投げる 捕る 移動する

○ 投げたい方向に利

き手と反対の足を踏

み出して投げること

ができる。

○ 正面から来たボ

ールを捕ったり止

めたりすることが

できる。

○ 的をねらいやすい位置に

動くことができる。(攻)

○ 相手と的の間に移動する

ことができる。(守)

・ ボールを捕ったり止めたりするこ

とができる。

・ 攻める人が的をねらって動いたら、的

と攻める人の間に移動し、的がくずれない

ように守る。

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ームを行う。ゲームをする中で規則を理解しながら、ボールを投げたり、捕ったりする動きに気付か

せる。ボール操作に慣れさせるために、毎時間、初めにボールを投げたり捕ったりするドリルゲーム

を行う。

(2)目指す動きの具体的な姿を見せ、学び合いの活性化を図る

本単元における望ましい学び合いの姿を以下のように設定する。

そして①~④の目指す動きの具体的な姿を見せるための手立てをとり、学び合いの活性化を図

る。

① 本単元の指導内容となる動きの提示

本単元の指導内容となる動きを図で表したものを提示することで、友達の投げ方、捕り方、移

動の仕方のよい動きを見つけ、まねることができるようにする。

② 教師による即時評価

ゲーム中に目指す動きが見られた場合はすぐに称賛し、動きの意識付けを図る。何がよかった

のかを端的な言葉でコートの全員に聞こえるように伝える。守りについては、コート外から動く

べき場所に関する声かけをしたり、コート内で一緒に動いたりする。

③ まねっこタイムの設定

ゲームとゲームの間にまねっこタイムを設定する。自分や友達のうまくいった攻め方や守り方

を紹介したり話し合ったりする中で、よい動きに気付くことができるようにする。

④ 学習カードの活用

学習カードに、友達のよい動きを見つけたときに記入する欄を設け、友達の投げ方、捕り方、

移動の仕方のよい動きを見つけ、動きのイメージを持ち、まねができるようにする。

4 目標および評価規準

運動への関心・意欲・態度 運動についての思考・判断 運動の技能

単元の目標

○ 的当てゲームやシュート

ゲームに進んで取り組もうと

する。

○ 運動の順番や規則を守り、

勝敗の結果を受け入れ、友達

と仲良く運動をしようとす

る。

○ ゲームを行う場や用具の

使い方などの安全に気を付

け、友達と協力して、用具の

準備や片付けをしようとす

る。

○ ゲームの行い方を知る

とともに、得点の方法など

の規則を選ぶことができ

る。

○ ゲームの動き方を知る

とともに、攻め方を選んだ

り見付けたりすることがで

きる。

○ 的に当てるゲームや攻

めと守りのあるゲームに

おいて、簡単なボール操

作やボールを持たない動

きができる。

○ ねらったところにボー

ルを転がしたり投げた

り、ボールを操作できる

位置に動いたりすること

ができる。

友達の動きをよく見たり、友達の動きのまねをしたりしながら、仲間と励まし合い

仲良くゲームを楽しむ姿。

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5 指導と評価の計画(総時数5時間)

学習活動における評価規準

① ボールを使った運動に進ん

で取り組もうとする。

② 規則を守り、勝敗を素直に

認め、友達と仲良く運動しよ

うとしている。

③ 安全に気を付けながら役割

分担して、ゲームの準備や片

付けをしようとしている。

① ゲームの行い方を理解し

ている。

② 友達のよい動きを見付け

て、攻め方や守り方を決め

ている。

① ねらった所にボールを

投げて、的に当てることが

できる。

② 守りが薄いところに動

いて、的にボールを当てる

ことができる。

③ 相手と的の間に移動し

て、ボールを捕ったり止め

たりすることができる。

時 10分 20分 30分 40分 45分 評価の観点

関 思 技

1 ○ 試しのゲームを行い、学習のめあてと見通しをつかむ。 ①

めあての確認

ドリルゲーム

学習準備・準備運動

・ 投げたい方向に利き手と

反対の足を踏み出して投げる

ことができる。

○ 的当てゲームをする。

・ボール投げコーン落としゲーム

・ボール投げ的くずしゲーム

ためしのゲーム→ふりかえり→ゲーム①→

まねっこタイム→ゲーム②

整理運動と用具の片付け

学習を振り返る

③ ①

○ 守りを入れたゲームの仕方を知る。

○ シュートゲームをする。

・攻め5人対守り2人か3人で行う。

・攻め側は全員ボールを持つ。

ためしのゲーム→ふりかえり→ルール作り→ゲーム

ねらい①

的をねらって当てることができる。

ねらい②

相手のいない所をねらって攻めたり、相手と的

の間で守ったりすることができる。

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○シュートゲームをする。

・攻め5人対守り2人か3人で行う。

・攻め側は全員ボールを持つ。

ゲーム①→まねっこタイム→ゲーム②→まとめ

守りの薄いところを見つけて的に当てる。

・ 的をねらいやすい位置に動き

ながら、守りの薄いところを見付け、

的をよくねらってボールを投げる。

② ②

めあての確認

ドリルゲーム

学習準備・準備運動

○シュートゲームをする。

・攻め5人対守り2人か3人で行う。

・攻め側は全員ボールを持つ。

ゲーム①→まねっこタイム→ゲーム②→まとめ

相手と的の間に移動して守る。

・ 攻める人が的をねらって

動いたら、的と攻める人の間に

移動し、的がくずれないように

守る。

整理運動と用具の片付け

学習を振り返る

② ③

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6 具体的な展開

⑴ C研(1組:授業者 田中 満利子)

① シュートゲームをしてよい動きを取り出し、まねっこタイムで広げることを通して、守りが

薄い所で的をねらってボールを投げるよさに気付かせ、ボールを的に当てることができるよう

にする。

② 準備 CDプレイヤー、ポートボール台、的、ボール、得点表、デジタルタイマー、

ゼッケン、学習カード

③ 展開

子どもの活動の実際 指導・支援上の実際

1 準備運動を行う。

・ダンス

・真上に投げてキャッチ

・二人でキャッチボール

・的あて&キャッチ

2 シュートゲームの行い方を知る。

・ ゲームは攻め5人対守り3人で行う。

・ ゲーム時間は3分間。1分30秒で守り

をローテーションする。

・ 攻めは1人1個ボールを持つ。

・ 的を落としたら1点。

・ 円の外からボールを投げる。

・ 守りは、円の内側に入らない。

・ 的を全部落としたら、攻めているチーム

が的を元に戻す。

○ キッズダンスロングバージョンで、本時学習につな

がる、投げる、捕る、的当てを入れて準備運動を行う

ようにした。

○ 軽快な音楽に合わせ、心身をリラックスさせ、リズ

ミカルに行うようにした。

○ ルールがよく分かるように、絵を使って説明した。

的にボールを当て

て落とすのは、この前

と同じ。

相手チームは、的を落さ

れないように守ります。 C,ゴールキーパーみたい。

的あて&キャッチ。

的をしっかりねらって当てるよ。

何回当てることができるかな。

投げる手と反対の足を踏み出して。

投げるよ

みんなでキッズダンス。

弾んで踊りましょう。

真上に投げてキャッチ。

ボールをよく見て、両手

でがっしり取るよ。

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3 本時のめあてを確認する。

4 シュートゲームをする。

(1) 兄弟チームでためしのゲームをする。

(2分×2)

○ ためしのゲームのふりかえりをする。

・ 守りをしない児童は得点係をし、的を落としたら

得点表に○をかいていくようにした。

○ 綱の中に入って投げてはいけないことを確認した。

○ ゲーム中は、友達へのアドバイス集、励ましの言葉

かけの例を参考に、声をかけ合いながらプレーができる

ようにした。

○ 各チームのためしのゲームの様子を見て、ふりかえ

りでゲームの行い方や規則について助言できるよう

に準備した。

○ 守りの交代がうまくできるように声かけをした。

○ ルールの確認をした。

めあて

まもりをかわす方法を考えて ボールを的に たくさんあてよう。

綱ごと中に入ってもだめ。

綱から離れて投げよう。

「こんな方法でかわしたらいいよ。」

と教えてください。

上から投げてもい

いですか。 みんな一斉に投げた

らいいと思う。

今守った人は、点つけです。

T、ためしのゲームをして、ルールのことで分からなかったことがありますか。

C、本番ゲームでは、守りのメンバーを替えてもいいですか。

C、いい。

T、それもチームの作戦ですね。

C、守る時、ボールを蹴ってもいいですか。

T、今日は、なしにしよう。じょうずになったら、足で守ってもいいにしましょう。

C、守っている時、赤いテープの中に入ったら反則ですか。

T、入ってしまったら、急いで出ましょう。

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(2)本番ゲーム①をする。

(3分×2)

○ ゲーム①のふりかえりをする。

(まねっこタイム)

5 整理運動と片付けをする。

○ うまく攻めたり守ったりできない児童には、コート

に入って支援した。

○ よい動きを行っている児童は、その都度称賛した。

○ ゲーム①を通して、児童や教師が見付けたよい攻め

方や守り方を出し合い、紹介した。

○ 次時の活動を知らせる。

T、「こんな方法だったら守りをかわせたよ。」というのがある人。

C、右に行くふりをして左に行って投げたら、当たりました。

C、右左作戦。

T、名前をつけたらいいね。

C、攻める人の近くにいたら、守りやすい。

C、足を挙げて投げたらいい。

C、手を大きく動かしたら、的に当たる。

C、投げるふりをして守りをかわしてから投げたら、いい。

C、だまし作戦。

C、3 人が投げて守りをひきつけて、もう 1 人が投げたらいい。

次の時間は、今日したチームとゲーム②をします。

まねっこタイムで友達が発表した投げ方や守り方を、

まねしてみましょう。

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④ 結果と考察

ア、【着眼1】

○ 投げたい方向に、足を踏み出して投げるについて

ボールに慣れるために、毎時間、準備運動のキッズダンスで、投げ上げて取る、二人でキャッチ

ボールをする、的に当てて取るを行った。音楽に合わせながら基本的なボール操作を継続して行っ

たため、リズミカルに、基本的なボール操作が行えるようになっていった。

利き手と同じ足を出して投げる児童が 8 人いたので、その児童を中心に声かけをした。「利き手

と反対の足を踏み出して投げる」ことを重点的に声をかけた。児童が利き手と反対の足を出すこと

を意識して投げるようになり、本時では、全員できるようになった。しかし、足を踏み出すまでに

はなっていない。

イ、【着眼2】

○ まねっこタイムの設定について

まねっこタイムで、うまくいった攻め方や守り方を紹介した。発表するだけでなく実際に動作

化しながら発表した。そうすることで、動きのイメージをもつことができ、まねしようとする様子

が見られるようになった。また、「右左作戦」「だまし作戦」など、動きに名前をつけることもした。

そして、チームの話し合いで、勝つためにはどの作戦をつかうか熱心に話し合う姿が見られるよう

になった。

時間が足らず、ゲーム②ができなかった。まねっこタイムでうまくいった攻め方や守り方が紹介

されたのに、その動きをまねする時間がなかった。次時にまたがらずに、ゲーム①→まねっこタイ

ム→ゲーム②と続く学習にする工夫が必要であると考える。

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2)B研(2組:授業者 島津いなみ)

① 主眼

シュートゲームをしてよい動きを取り出し、まねっこタイムで広げることを通して、守りが薄

い所で的をねらってボールを投げるよさに気付かせ、ボールを的に当てることができるようにす

る。

② 準備

CDプレイヤー、ポートボール台、的、ボール、得点表、デジタルタイマー、ゼッケン、

学習カード

③ 展開

子どもの活動の実際 指導・支援の実際

1 準備体操を行う。

・キッズダンス

・真上に投げてキャッチ

・二人でキャッチボール

・的あて&キャッチ

2 シュートゲームの行い方

を知る。

3 本時のめあてを確認する。

4 シュートゲームをする。

(1)兄弟チームでためしのゲ

ームをする。(2分×2)

○ ふりかえりタイム

(2)本番ゲーム①をする。

(2分×2)

○ キッズダンスロングバージョンで、投げる、捕る、的当て

を入れて準備運動を行わせた。

○ 軽快な音楽に合わせ、心身をリラックスさせ、リズミカル

に行うようにさせた。

○ 絵やルール表を使って、ルールがよく分かるように説明し

た。

○ ゲーム中は、友達へのアドバイス集、励ましの言葉かけの

例を参考に、声をかけ合いながらプレーができるようにした。

○ 各チームのためしのゲームの様子を見て、ふりかえりでゲ

ームの行い方やルールについて助言できるようにした。

○ 守りの交代がうまくできるように声かけをした。

○ F児には、守りや攻めの順番や場所を個別に教えた。

○ ゲームをして、分からなかったことや困ったことを確認し

た。

○ うまく攻めたり守ったりできない児童には、コートに入っ

て支援した。

○ よい動きをしている児童には、その都度称賛した。

めあて

まもりをかわすやりかたを考えて、ボールを的にたくさんあてよう。

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○ まねっこタイム

(3) 本番ゲーム②をする。

(2分×2)

5 学習を振り返り、まとめ

る。

6 整理運動と片付けをする。

○ ゲーム①を通して、児童や教師が見付けたよい攻め方や守

り方を出し合い、紹介した。

○ ゲーム①と同じ対戦チームとゲームを行うようにした。

○ うまくいった攻め方や守り方、良いプレーを称賛した。

○ 次時の活動を知らせた。

<まねっこタイム>

T 守りをかわす方法を、発見しましたか。

C スローイン投げ

C まわりを走って投げたら、守りの人がつかれたみたいです。

C ぐるぐる投げと同じだね。

C 油断させたら、よかったです。

T ○君は、他の人が投げてとったら、その間に投げていたよ。

C あっちいったり、こっちいったりして、守りが向こうをむいているときに投げました。

C 後ろあてです。

C ダブルプレー。 C トリプルプレー C さむらいなげ

T 守りの人がどういうときに、投げたらいいのかな。

C 後ろを向いているとき。

C 2人一緒に投げたら、当たるよ。

C 守りの人がいなかったらいいです。

T 守りがいないところを探さないといけないね。

では、みんながみつけた守りをかわすやり方に、挑戦してみましょう。

まねっこタイムで、みんなで考え

たやり方を使って、点をたくさん入

れよう。

こんなふうに、投

げました。

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④ 結果と考察

ア.【着眼1】指導内容の明確化

○ 児童の実態に応じたゲームの設定について

毎時間、初めに行っているドリルゲームでボールを投げる練習をすることにより、意識して

利き手を反対の足を踏み出して、押し上げるようにボールを投げるようになってきた。さらに、

ゲーム中にも常にできるように練習を積んでいかなくてはいけない。

本時は、守りをかわす方法に重点を置き、教師の声かけを多くするように心がけた。

また、投げることが苦手な児童のために、外円に1カ所、的からの距離が近い所にフープを

置き、そこから投げてもよいというルールを作ったことにより、的を当てたという成就感を多

くの児童がもつことができた。しかし、そのフープにとどまっていることが多く見られたので、

フープの場所や数を検討する必要があると考える。さらに、より楽しくするために、クラスの

ルールをみんなで考えていかなければならない。

イ.【着眼2】「目指す動き」の具体的な姿を見せるための手立てをとり、学び合いの活性化を図

る。

○ まねっこタイムの設定について

ゲーム1の後の「まねっこタイム」では、守りをかわす方法を児童や教師がみんなに紹介し

たり話し合ったりすることにより、守りをかわすよい動きをみんなが共有できた。

そして、その方法を使ってみたいという意欲が高まり、ゲーム2では、みんなで見つけた守

りをかわす方法を積極的に使ってみようという姿が見られた。

守りをかわす方法を話し合った後、その方法をゲームですぐ使い役立てることが大切である。

そのため、本時では、まねっこタイムの後のゲーム2やその後のふりかえりの時間を確保する

ことを心がけた。その結果、友達の動きをよく見たり、友達の動きのまねをしたりしながら、

仲間と励まし合い仲良くゲームを楽しむ学び合いの姿が多く見られた。

学び合いや実践の時間を充分確保するためには、守りを入れたゲームの仕方やルールの説明

は、前時に行っていた方がよいと考える。

フープの中から投げると、

的にあてやすいな。

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(3)A研(3組:授業者 和田 京子)

① 主眼

シュートゲームをしてよい動きを取り出し、まねっこタイムで広げることを通して、守りが薄

い所で的をねらってボールを投げるよさに気付かせ、ボールを的に当てることができるようにす

る。

② 準備 CDプレイヤー、ポートボール台、的、ボール、得点表、デジタルタイマー、ゼッケン、

学習カード

③ 展開

学習活動・内容 指導・支援上の留意点

1 準備運動を行う。

・キッズダンス

・真上に投げてキャッチ

・二人でキャッチボール

・的あて

&キャッチ

2 シュートゲームの行い方を確

かめる。

・ ゲームは攻め5人対守り2人

か3人で行う。

・ 守りをしない児童は得点係を

する。

・ 円の外からボールを投げる。

・ 守りは円の内側に入らない。

・ 的を全部落としたら、攻めて

いるチームが的を元に戻す。

・ チームで一人、フープの中か

ら投げてよい。

・ ゲームの始めと終わりに、あ

いさつをする。

3 本時のめあてを確認する。

4 シュートゲームをする。

(1)ゲーム①をする。(2分×2)

○ キッズダンスロングバージョンで、投げる、捕る、的当て

を入れて準備運動を行った。

○ 軽快な音楽に合わせ、心身をリラックスさせ、リズミカル

に行うようにした。

○ 絵やきまりの表を使って、1年3組のシュートゲームの規

則を確認した。

○ ゲーム中は、友達へのアドバイス集、励ましの言葉かけの

例を参考に、声をかけ合いながらプレーができるようにし

た。

めあて

ボールを的に当てるやりかたを見つけて、たくさん点を取ろう。

この前、守りの人がいたら点が減ったけど、たくさん

点が取れるようにしよう。

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○ まねっこタイム

○ 守りの交代がうまくできるように声かけをした。

○ S児には、フープの中から投げてよいことや、ボールの投

げ方について声掛けをした。

○ うまく攻めたり守ったりできない児童には、コートに入っ

て支援した。

○ よい動きをしている児童には、その都度称賛した。

◇「よい動き」とは

・ 守りがいない所を見付けて投げる。

・ 一人が守りを引き付け、もう一人が別の場所から投げる。

○ ゲーム①を通して、児童や教師が

見付けたうまくいった攻め方を出し

合った。

・ 教師が絵を動かして紹介した。

がんばれ! ファイト!

フープの中に入っていいし、

動いて投げていいよ。

足を前に出して投げるんだよ。

人がいないときに投げて

いるね。

他の人を守っているときに

投げているね。

どちらのフープを使っても

いいよ。

フープのない所で投げても

いいよ。

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(2)ゲーム②をする。(2分×2)

5 学習を振り返り、まとめる。

6 整理運動と片付けをする。

・ 児童に実際の動きをさせた。

○ ゲーム①と同じ対戦チームとゲームを行うようにした。

○ 守りがうすい所に動いて投げるように声掛けをした。

○ まねっこタイムで紹介された動きをゲーム②の中で生か

すことができたかどうかを振り返り、次時への意欲を持たせ

た。

守りがいないところに動こう。 今だ!

守りがいたら、動いて

すきまをねらうぞ。

どんなやり方をしたら、守りがい

てもたくさん的に当てることが

できた?

守りの人がいない所

に投げるといい。

気付かれたら止められる。

違うところに動いて投

げたらいい。

まねっこタイムで教えてもらったやり方をしてみてどうだった?

守りがいないときに投

げたら当たりました。

守りがいたら、すき

間から投げました。

すき間があいていた

ので、今だ、と思っ

て投げたら当たりま

した。

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④ 結果と考察

ア.【着眼1】指導内容の明確化

○ 児童の実態に応じたゲームづくりについて

段階的に学習を行ったので、シュートゲームの時は「守りがいない所に投げる。」「守りが前

に来たら、動いて投げる。」という意識が子どもたちの中にあった。どのチームも守りをかわし

てボールを投げていた。

○ ゲームのきまりについて

ゲームのきまりは、児童の実態に応じて人数や時間を設定した。また、児童に困ったことはな

かったかを聞き、それを解決するためにはどうすればいいかをみんなで考え、きまりのなかに加

えていった。例えば、「的が倒れたら、守っている人が立てていた。その間に投げている人がい

て困った。」という児童の意見から、「的を落としたら、攻めているチームが的を元に戻す。」と

いうきまりができた。児童は、自分たちの意見できまりを作っていったので、きまりを守って楽

しく活動することができた。

イ.【着眼2】「目指す動き」の具体的な姿を見せるための手立てをとり、学び合いの活性化を図る。

○ 学習カードの工夫について

毎時間、学習カードに振り返りと感想を書いた。児童が記入しやすいよう、振り返りは4段階

でにこにこマークに○を付けていくようにした。書くことが苦手な児童も、○を付けることで簡

単に振り返りができるので、進んで書くことができた。

児童が自分で記入する欄は、「ともだちのがんばりみいつけた」と「おもったこと、かんがえ

たこと」と2つの項目を設定した。「ともだちのがんばりみいつけた」では、たくさん的に当て

ていた友達や、守りを頑張っていた友達の良さがたくさん書かれていた。その中には、本単元で

目指す動きである投げる、捕る、移動することもたくさん書かれていて、児童が目指す動きを意

識して学習していたことが分かった。

○ 守るときに、きまった児童にだけ守りがついていた。守るときは、他の児童にも付くように

声かけする必要があった。

○ シュートゲームでは、守りをかわすために相手をフェイントでかわし、守りがいなくなった

ときに投げる「いない投げ」、守りが来る前に早く投げる「スピード投げ」が紹介された。守り

では、ボールを持っている人に付く「人守り」、ボールを手ではじいて止める「ガードマン」が

出た。これらの動きは、ゲーム②で試し、ほとんどの投げ方がうまくいった。

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8 成果と課題

(1)成果

【着眼1】

① ボール操作についての目指す動き

○ 投げる

投げたい方向に利き手と反対の足を踏み出して投げることができるように、毎回ドリル

ゲームの的当てをしたり教師が師範を示したりしたことで、動きを身に付けることができ

た。また、紙鉄砲を使って動きを身に付ける活動を行ったが、これも有効であった。

○ 捕る

ドリルゲームのときに「二人でキャッチ」コーナーを作ったり、ゲームの中でボールを

捕ったり止めたりすることができた。

○ 移動する

攻めのときは的をねらいやすい位置に動くこと、守るときは相手と的の間に移動するよ

うになった。

② 児童の実態に応じたゲームづくり

○ ドリルゲーム

ボールに慣れるために、毎時間キッズダンスの音楽に合わせてドリルゲームを行った。

真上に投げてキャッチする、二人でキャッチする、的当てを行う、の3つのコーナーに分

け、音楽が鳴っている間に移動して行ったので、リズミカルに基本的なボール操作を行う

ことができた。

また、どの児童も的にボールを当てることができるように、ドリルゲームの中で的当て

コーナーを作った。毎時間、的に当てる活動を全員が行うことで、目指す動きを身に付け

ると同時に的に当てる楽しさを味わわせることもできた。

○ シュートゲーム

攻め5人に対し、守り2人または3人で行った。守りの人数を攻めの人数より少なくす

ることで、「どうしたら守りをかわして、的をくずすことができるか」ということを考え

て活動することができた。また、守りは「どうしたら相手に的をくずされずに、守ること

ができるか」ということを考えることができた。

児童の実態に応じて、守りのいない的あてゲームから守りを入れたシュートゲームへ段

階的に行う学習過程の工夫をしたことで、児童にとっては分かりやすく、目指す動きを身

に付けることができた。

③ 場の設定

攻めのときに、児童がラインから出たことを意識するように綱を使用した。綱を踏んだときに、

児童は「線から出てしまった。」と自分で言っている場面がたくさんあった。また、投げること

に慣れていない児童や支援が必要な児童も、的に当てる楽しさを味わわせるために、コートの内

側にフープを2か所入れた。チームの中で一人、フープの中から投げてもよいこととし、フープ

間は移動してよいことにした。児童の実態に応じた場の設定をすることにより、どの児童も楽し

んでゲームを行うことができた。

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【着眼2】

① まねっこタイムの設定

ゲーム①で見つけた守りをかわすよい方法を全体に広げるために、ゲーム①とゲーム②の間に

「まねっこタイム」を設定した。児童が実際にその動きをコートでしてみたり、教師が絵を動か

して動きを紹介してみたりすることにより、児童が目指す動きを意識することができると考えた

からである。「まねっこタイム」で紹介された動きには、分かりやすいように各クラスでネーミ

ングも考えた。

まねっこタイムの設定により、目指す動きの投げ方や攻め方、守り方が全員に広まり、ゲーム

②を通してその動きが有効であることを実感することができた。

② 学習カードの工夫

学習カードの「おもったこと、かんがえたこと」

では、「まねっこタイム」で出てきた攻め方や守り

方をしてうまくいったことがたくさん書かれてい

た。また、よいプレーがあったときには、「ナイス」

「うまくいったね」など、学習カードに載せていた

励ましの言葉かけをたくさんしていたことも分か

った。このような言葉かけにより、児童がお互いの

良さを認め合い、勝負にこだわらずに楽しく学習を

進めることができた。

(2)課題

【着眼1】

○ ボールを投げるときに、利き手と反対の足を出して投げることはできていたが、踏み出して

投げていないため、的に届かない児童がいた。綱から下がって踏み出すことをもっと意識させ

る必要があった。

○ 守りをかわして投げるとき、どのタイミングで投げるといいのか分からない児童がいた。投

げるタイミングがいつなのかを「まねっこタイム」で教え合ったり、ゲームの中で教師が声を

かけて習得させたりする必要があった。

○ 学習後も休み時間などで経験を重ねることで、ボール操作の目指す動きを定着させていきた

い。

【着眼2】

○ 児童の思いや考えを見取るために、学習カードや児童の発言をしっかり聞いておくことを大

切にしていかなければならない。それが目指す動きや次時のまねっこタイムにつながり、学び

合いを活性化させると考える。