溶けにくく美味しいアイスをつくる -加えた米粉の...

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溶けにくく美味しいアイスをつくる -加えた米粉の量がアイスクリームの美味しさに及ぼす影響- 塚原なつ美 山田佳奈 海野悠花 神田美波 神奈川県立厚木高等学校 2 F 1 Abstract We read an article about ice cream that is difficult to melt on textbooks of communication english and wonder whether we can make ice creams like that with different material. Before we made ice creams with rice flour. This time we flavor the ice creams. We found the texture was the result of adding 0.3 g of rice flour to 30 g of ice cream, which was better than the one with 0.1 g of rice flour added. But the more rice flour we added the less taste the ice creams are. 背景 コミュニケーション英語の教科書で溶けにくいアイスクリームがあると知って, 違う材料でも作ることができるのか気に なった。さらに味をつけることで,お年寄りや子供が時間を気にせず,おいしいアイスを楽しむことができるのではない かと考えた。 目的 溶けにくいアイスクリームに味をつけておいしく食べられるか知る。 既知の知見及び先行研究 以前の研究で、三種類の米粉を使ったアイスクリーム (30 g)の中でそれぞれ米粉の含有量を変え,溶けるのに かかる時間を計測した。アイスクリームの作り方は下記の 方法と同じものとする。結果は Fig.1 のようになり,米粉の 種類ではタイ米,うるち米,もち米の順に,米粉の量では 0.3 g0.1 g0.5 g の順に溶けにくいことがわかった。こ の結果から比較的溶けにくいとされるタイ米を用い,その 含有量を 0.3 g 0.1 g に限定し,味をつける実験を行う こととする。 Fig.1 アイスクリームが溶けるのにかかる時間(単位は分) 仮説 米粉の量が少ないほうが,味や食感に影響をあたえないので美味しくなるのではないか。 ※今回の実験では“美味しい”とは,味,食感の二点が優れていることとする。 方法 1 準備 材料 牛乳:100 g 砂糖:50 g 卵:1 個 生クリーム:200 cc スキムミルク:10 g タイ米(米粉):1.2 g イチゴパウダー:8.0 g 抹茶パウダー:30 g ココアパウダー:40 g 道具 鍋 ボウル 泡だて器 ゴムベラ レードル プラコップ ガスコンロ 2 操作 ・牛乳と砂糖を鍋に入れてガスコンロで 2 分加熱する。… ① ・卵でメレンゲをつくる。… ② ・生クリームにスキムミルクを入れて 8 分立てに泡立てる。… ③ ・①②③をレードル 1 杯(30 g)分鍋に入れ、米粉 0.1 g、イチゴパウダー4.0 g を加え、熱湯で 1 分湯煎し、プラコップ に入れる。 ・①②③に加えるものを米粉 0.3 g とイチゴパウダー4.0 g、米粉 0.1 g と抹茶パウダー15 g米粉 0.3 g と抹茶パウダ 15 g米粉 0.1 g とココアパウダー20 g、米粉 0.3 g とココアパウダー20 g に変え、同じ様に熱湯で 1 分湯煎し、プ

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溶けにくく美味しいアイスをつくる

-加えた米粉の量がアイスクリームの美味しさに及ぼす影響-

塚原なつ美 山田佳奈 海野悠花 神田美波

神奈川県立厚木高等学校 2年 F組 1班

Abstract

We read an article about ice cream that is difficult to melt on textbooks of communication english and

wonder whether we can make ice creams like that with different material. Before we made ice creams

with rice flour. This time we flavor the ice creams. We found the texture was the result of adding 0.3 g of

rice flour to 30 g of ice cream, which was better than the one with 0.1 g of rice flour added. But the more

rice flour we added the less taste the ice creams are.

背景

コミュニケーション英語の教科書で溶けにくいアイスクリームがあると知って, 違う材料でも作ることができるのか気に

なった。さらに味をつけることで,お年寄りや子供が時間を気にせず,おいしいアイスを楽しむことができるのではない

かと考えた。

目的

溶けにくいアイスクリームに味をつけておいしく食べられるか知る。

既知の知見及び先行研究

以前の研究で、三種類の米粉を使ったアイスクリーム

(30 g)の中でそれぞれ米粉の含有量を変え,溶けるのに

かかる時間を計測した。アイスクリームの作り方は下記の

方法と同じものとする。結果は Fig.1のようになり,米粉の

種類ではタイ米,うるち米,もち米の順に,米粉の量では

0.3 g,0.1 g,0.5 gの順に溶けにくいことがわかった。こ

の結果から比較的溶けにくいとされるタイ米を用い,その

含有量を 0.3 g と 0.1 gに限定し,味をつける実験を行う

こととする。 Fig.1 アイスクリームが溶けるのにかかる時間(単位は分)

仮説

米粉の量が少ないほうが,味や食感に影響をあたえないので美味しくなるのではないか。

※今回の実験では“美味しい”とは,味,食感の二点が優れていることとする。

方法

1準備

材料 牛乳:100 g 砂糖:50 g 卵:1個 生クリーム:200 cc スキムミルク:10 g

タイ米(米粉):1.2 g イチゴパウダー:8.0 g 抹茶パウダー:30 g ココアパウダー:40 g

道具 鍋 ボウル 泡だて器 ゴムベラ レードル プラコップ ガスコンロ

2操作

・牛乳と砂糖を鍋に入れてガスコンロで 2分加熱する。… ①

・卵でメレンゲをつくる。… ②

・生クリームにスキムミルクを入れて 8分立てに泡立てる。… ③

・①②③をレードル 1杯(30 g)分鍋に入れ、米粉 0.1 g、イチゴパウダー4.0 g を加え、熱湯で 1分湯煎し、プラコップに入れる。 ・①②③に加えるものを米粉 0.3 g とイチゴパウダー4.0 g、米粉 0.1 g と抹茶パウダー15 g、米粉 0.3 g と抹茶パウダー15 g、米粉 0.1 g とココアパウダー20 g、米粉 0.3 g とココアパウダー20 gに変え、同じ様に熱湯で 1分湯煎し、プ

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ラコップに入れる。 ・一日以上冷やす。 ※途中で一度かき混ぜる。

結果

食感は三種類のパウダー全てにおいて米粉の含有量が 0.3 gのほうが 0.1 gよりもアイスクリームに近く,0.1 gの方

はシャーベット感が強く感じられた。味はココアパウダーのアイスを除いて、米粉の含有量が 0.1 gのアイスクリームの

方が 0.3 gのアイスクリームよりもおいしく感じられた。

班員四人で試食し味と食感についてそれぞれランキングをつけ,1位には 6点、2位には 5点、…、6位には 1点と

いうように点数を与えた所、Fig.2,Fig.3のようになった。縦軸はパウダーの味と加えた米粉の量、横軸は与えた点数

とする。Fig.2 と Fig.3の点数を足し合わせたものを、そのアイスクリームの総合的な美味しさの値とした。すると Fig.4

のようになった。

Fig.2 アイスクリームの味の良さ Fig.3 アイスクリームの食感の良さ

考察

米粉の量が多い方が水分以外の物質が多いため,水分が凝

固しにくくなる。それで米粉の含有量が 0.1 gのアイスクリームよ

りも 0.3 gのアイスクリームの方が水分が凝固しにくく,水分が凝

固しないということは固くならないということなので,0.3 gのアイス

クリームの方が食感がなめらかになったと考えられる。味につい

ては,仮説通り,米粉の量が少ない方がアイスクリームの味に影

響を与えないので,米粉の含有量が 0.1 gのアイスクリームの方

Fig.4 アイスクリームの総合的な美味しさ が美味しく感じられたと考えられる。ココアパウダーにおいては,

他のパウダーと比べて米粉に対する量が多かったため,米粉の味の影響が小さかったのだと考えられる。

結論

アイスクリームに対する米粉の量が多い方が食感はなめらかになる。(しかし先行研究より多すぎるとアイスクリームが

溶けやすくなってしまうことがわかっている。今回の研究では,その上限はアイスクリーム 30 gに対して,米粉 0.3 g~

0.5 gの間である。)しかし,米粉の量が多くなるほど米粉の味が混ざり味は悪くなっていくので,食感が良く味もいいア

イスクリームを作るためには,米粉の味を感じないほど濃い味をつける必要がある。

参考文献

・コミュニケーション英語教科書 POLESTAR1 Lesson7 数研出版

・『生活学Navi 資料+成分表 2012 家庭』 実教出版(2012)

・平成 29年度指定スーパーサイエンスハイスクール第 1年次 課題研究論文集 和歌山県立向陽高等学校

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画面が割れにくいスマートフォンケースを作る!

浅井爽 有川翔留 小山佳祐 崎谷俊太 鈴木悠汰 鈴木耀介

神奈川県立厚木高等学校 2年 F組 2班

Abstract

We did the research on how to make smart phones become more steady because smart phone’s users are

increasing. So we had two experiments for this topic. As a result of the first experiment, we found three

materials. Next, we had the second experiment. As a result of the second experiment, we found the best

combination of leather and sponge.

背景

スマートフォンを使ううえで,誰もが経験もしくは見たことがある画面が割れること。大切にしていても落

とす時はある。そこで割れないためにスマートフォンケースを強化しようと考えた。スマートフォンは日常

で最も扱うものである。だからこそ壊れないようにしたい!

目的

落としたときに衝撃を吸収しやすい素材を調べ,一番衝撃を吸収した組み合わせを見つける

既知の知見及び先行研究

スポンジ,ダンボール,発砲スチロールなど衝撃吸収に長けているとされる物質は密度が小さい。

仮説

先行研究より,密度が小さい物質は衝撃吸収に長けているのではないか。ここで,スポンジ,気泡緩衝材,段ボ

ール,発泡スチロールを密度が小さい物質とする。

方法

1準備

鉄球,木片,スポンジ,気泡緩衝材,段ボール,発泡スチロール,布,革,紙,風船,消しゴム

2操作

実験 1 各材料を等しい

高さから滑らせ,木片に当

て,移動距離を調べる。

Fig.1 実験方法 1

実験 2 ①で得た物質を 1メートルの高さか

ら落として跳ね返った距離(cm)を調べる。

最も衝撃を吸収した組み合わせを調べる。

Fig.2 実験方法 2

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結果

実験 1 実験 2

Fig.3 各材料が移動した距離の平均(cm) Fig.4 各材料が跳ね返った距離の平均(cm)

考察

密度が小さい物質(スポンジ,気泡緩衝材,段ボール,発泡スチロール)のうち,

・気泡緩衝材とスポンジは 10 cm以下

・段ボールと発砲スチロールは 15 cm以上

⇒ばらつきがある。

一番反発係数が小さかったのは,革上スポンジ下

ランドセル,一部の筆箱に使われている。

この組み合わせの有能性はすでに知られており実用化されている。しかし,スマホケースについては,存在は

するが広く知られているわけではない。

作ってみる価値はある。

結論

革とスポンジの組み合わせが一番よかった。衝撃吸収と密度の関係性については実証できなかった。

参考文献

https://ecoracy.com/1292.html

https://www.nihonkemi.co.jp/foaming/index.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/段ボール

http://gomu-navi.jp/spec/happou.html

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どんぐりで食品を作る

-どんぐりの有効活用-

江島聖人 小崎大耀 鈴木佑悟 髙野樹

神奈川県立厚木高等学校 2 年 F 組 3 班

Abstract

Currently acorn is simply thrown away, but its nutritional value is high and it discharges and

cleans harmful substances such as heavy metals. So I thought that if we could eat this deliciously

it could be used as a new food. As a method, experiment to make bread with grinded

groundbreaking (acorns). As a results, acorn powder is a substitute for wheat flour but bitterness

remains, but it will be alleviated by sugar and chocolate and it will be used as new edible.

背景

発展途上国などで食料不足が懸念される中、捨てられているものを有効活用したいと考えた。そこ

で身近に落ちていて使われることの少ないどんぐりを食料に用いてみようと思った。

目的

栄養価が高いが、その独特な香りと苦みでたくさん廃棄されてしまっているどんぐりをおいしく調

理することで、発展途上国などで見られる食糧不足や地球規模の食料供給の不均衡を改善すること。

既知の知見及び先行研究

世界の飢餓人口は 8億 2100 万人でこれは 9人に 1人の割合であり、世界にはこの飢餓人口を救う量

のどんぐりがあるので、どんぐりを食べられるように調理することができれば飢餓人口を減らすこと

ができる。また現在、苦みとパサつきはあるが、ある程度時間(発行や生地を休める為の時間)をかけ

ればパンを作ることはできている。

仮説

どんぐりを原料としたクッキーが作れれば同様に作ったパンよりも発酵などしなくてよい点で手軽

なので、より実用的などんぐりの使い方ができるようになる。

方法

1 準備

器具

・ボウル ・ゴムべら ・オーブン

試料

・バター 15 g ・どんぐり粉 30 g ・砂糖 10 g ・ココアパウダー 6 g

・ガーナポップジョイチョコレート 9 粒 (クッキーの枚数分準備する。)

2 操作

1. バター、どんぐり粉、砂糖、ココアパウダーをボウルに入れゴムべらで混ぜ、生地を作る。

2. それらを丸く形成して、それぞれに一粒チョコレートをのせる。

3. 170℃で予熱していたオーブンで 20分焼いて完成。

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結果

チョコレートとココアパウダーによってどんぐり特有の香りと苦みはある程度は緩和され、パンを

作る際に発酵や生地を休めるのに要した時間がいらない為手軽に作ることができたと言える。また下

のグラフはどんぐりで作ったパンとクッキーの両方を食べてもらった合計 10 人に「クッキーの方が美

味しかった」と「このクッキーは食料になる」の二つの質問を「はい」「いいえ」「どちらともいえ

ない」の三択で答えてもらった回答のものである。

グラフからも分かる通りほとんどの人が「クッキーの方がパンより美味しかった」に「はい」と回答

し、「このクッキーは食料になる」の質問においても半数以上が「はい」と回答していた。

考察

結果からどんぐりで作ったクッキーのほうが、同様に作ったパンよりも美味しくより実用的な食料

になるといえることが分かった。「このクッキーは食料になる」の質問で「いいえ」や「どちらとも

いえない」に回答した人が「苦みがあった。」と教えてくれたことから、どんぐりの苦みを完全に消

すことができなかったことが分かった。チョコレートの量を増やすなどで改善することは出来そう

だ。

結論

どんぐりでクッキーは作ることはでき、またチョコレートの量を増やし、ココアパウダーを入れる

ことでどんぐりの苦みや独特な香りを緩和できて、同様に作ったパンよりもよりも美味しく手軽に食

べられることが分かった。以上のことからどんぐりで作ったクッキーは実用的な食料であり、食糧不

足の改善や飢餓人口の減少に十分貢献できる食料である。

参考文献

どんぐりを食べてみませんか? デトックス効果抜群のスーパーフードは、縄文の味!

簡単やみつきクッキー卵なしでサクサクbyみるてぃ【クックパッド】

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オイルの種類による保湿力の違い

坂本玲奈 笹沼千夏 山田愛華

神奈川県立厚木高等学校 2 年 F 組 4 班

Abstract

I found that ingredient ratio to make the high moisturizing capacity lip balm the in a Ichikawa

high school’s research issued in 2014. Using it, we searched the difference of moisturizing level

according to the type of oil used. Jojoba oil is the most superior in both evaporation prevention level

and moisture retention on the skin.

背景

プチプラという言葉が流行する中、安く身近なもので化粧品を作るのが流行っている。そこで、普段使う

リップクリームに着目して調べた際、平成 26 年度の市川高校の課題研究より、保湿力の高いリップクリーム

を作るための材料の質量比がわかった。しかし、使われるオイルの種類による保湿力の違いには触れていな

かったため、各オイルの保湿力の違い及びオイルの種類によるリップクリームの保湿力の違いを調べた。

目的

手作りでリップクリームを作るのに適しているオイルを見つける。

既知の知見及び先行研究

最も保湿力のあるリップクリームの材料の質量の比率は蜜蝋:ココアバター:オイルが 1:5:1である。

予備の実験より脂肪酸の種類とその含有率と保湿力は関係は無いとの結果に至った。(Fig.1 参照)(Table1

参照)

それぞれのオイルの含有量の高い脂肪酸はホホバオイル→オレイン酸、オリーブオイル→オレイン酸、ゴ

マ油→リノール酸、アマニ油→αリノレン酸、牛脂→パルチミン酸、菜種油→オレイン酸である。脂肪酸は

それぞれ炭素原子の数の割合が大きいものが疎水基がよく働くと考え、保湿力が高いと考えた。なお、牛、

豚、菜種は他のいずれかのオイルと同じような値を出したため省略して良いとした。

オイル単体での保湿力とリップクリームにしたものでの違いも計測するべきとの考えに至った。ここで

は、水分の蒸発量が小さいことを保湿力が高いとした。

Table 1 脂肪酸の炭素の原子の数の割合(%)

仮説

融点が高いと分子間の結合が強くなり水分が蒸発しにくいと考えた。融点が高い順にホホバ(10~15℃)、

オリーブ(0~6℃)、ごま(-6~-5℃)、あまに(-19℃)、なので、蒸発量はこの順に少なくなる。なお、材

料に違いがないためオイル単体とリップクリームにしたもので保湿力に違いはでないと考えた。

パルチミン酸(牛脂) 32

ステアリン酸 32

オレイン酸(ホホバオイル、菜種油) 33

リノール酸(ごま油) 35

αリノレン酸(アマニ油) 36

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方法

実験材料 ホホバオイル、オリーブオイル、ごま油、あまに油

1 準備

①10 ml ビーカー10 g の水を入れその水面に 5 g の各オイルを入れたものと水 10 g のものを作る。

②蜜蝋:ココアバター:各オイル=1:5:1 の質量比で溶かして混ぜ、できたものを 1 g ずつ水につけてお

いたもちに塗る。水につけただけの餅も一つ作る。

2 操作

①放置し、質量を容器ごと量る。

②放置し、質量を容器ごと量る。

①②(質量減少量)/(最初の質量)*100 より、減少率として表す。

①と②で減少した質量は水が蒸発したものとする。

結果

Fig.2 よりオイル単体の状態で水分の蒸発量が少ないのはホホバ、あまに、ごま、オリーブ、なしと並び、

Fig.3 よりリップクリームの状態で質量の減少率が少ないのはオリーブ、ホホバ、ごま、あまに、なしと並ん

だ。

考察

ごま、あまにの結果は仮説通りになった。(Fig.2 ではほぼ同値のため誤差の範囲とした)

また、Fig.2(リップクリームの状態)では仮説と違いホホバオイルが最も保湿力が高くオリーブオイルが最

も低いとわかったが、Fig.3(オイル単体の状態)ではオリーブオイルがホホバオイルを上回り最も保湿力が高

いとわかった。よって、オリーブオイル以外のオイルは仮説通りの結果であった。

結論

仮説通り融点が高いほど水が蒸発しにくい、つまり保湿力に優れている。しかし、オリーブオイルは状態

により保湿力に違いが出てくる。

参考文献

[1]学校法人市川学園市川中学校・高等学校 平成 26年度スーパーサイエンスハイスクール生徒課題研究論

文集第 2年次

食材を用いたリップクリーム〜ココアバター・ミツロウ〜 P248~251

[2]https://www.kaneda.co.jp/jigyou/oils_composition.html カネダ株式会社 油脂の脂肪酸組成表

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ボルボックスで紐解く 5 千万年前

黒坂乃愛 高松あやめ 遠藤優花

神奈川県立厚木高等学校 2 年 F 組 5 班

Abstract

A volvox evolved that they can do asexual reproduction as well as sexual reproduction. We

observed the state of the environment that a volvox changes reproduction method, and tried in

order to know the environment of 50,000,000 years ago. We thought a volvox changed

reproduction method by the water temperature. We put a volvox in a machine with different

room temperatures and observed. Consequently, the volvox did asexual reproduction in the

warm water. In addition, volvox didn't asexual reproduction in the cold water, but we thought

that volvox in the cold water, as my expectation. In conclusion, the environment of 50,000,000

years ago was cold.

背景

ボルボックスは,5 千万年前までは無性生殖のみで生きていた。だが,5 千万年前に,有性生殖

も出来るようになった。なぜ 5 千万年前に生殖方法を変えたのか,その時に環境変化があったから

なのかと興味を持ったので調べようと思った。

目的

ボルボックスが,生殖方法を無性生殖から有性生殖に変えるときの環境条件を調べ,5 千万年前

の環境条件を考察する。

先行研究

ボルボックスは,群体を形成する微生物である。基本的に無性生殖をして

生きているが,環境が悪くなると,有性生殖で生きようとするため,日本で

は,冬に有性生殖をすることがある。ボルボックスの無性生殖では,体内の

生殖細胞を放出する。有性生殖では,オスが他の群体にフェロモンを出し,

オレンジ色の受精卵を作り,それが暖かくなると発芽する。 Fig.1 有性生殖の様子

仮説

有性生殖の特徴は,2 個体が環境に適応できる子どもを増やすことだ。無性生殖の特徴は,1 個

体がその個体と同じ遺伝子の子供を増やすことだ。気温によって生殖方法を変えるならば,気温が

低いと,ボルボックスはこの気温に耐えられる子供を作り,子孫を残そうとするため,有性生殖を

行うと考えられる。気温が高いと彼らは無性生殖で,親と同じ個体を作ると考えられる。つまり,

ボルボックスが有性生殖をするようになった約 5 千万年前は,寒冷だったと考える。実験では冷蔵

庫に入れたボルボックスに,オレンジ色の受精卵が見られればこの仮説は検証されたと示せる。

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方法

1.準備

(1)試料,材料

・ボルボックス

・LED 電球(電池) ×2

・箱 ×2

・カッター・ハサミ

・ガムテープ

・ボルビック(500 mL) ×2

・温度計 ×2

・顕微鏡・二穴スライドガラス

・カバーガラス

・ピペット(1 mL)

・インキュベーター(25℃設定)

・冷蔵庫(6℃設定)

・携帯のカメラ

(2)実験器具の製作

1. 箱の側部にカッターで穴を開ける。

2. 大きい穴に LED 電球をはめ込み,ガムテープで固定する。

3. 500 mL のペットボトルは横倒しにした状態で側部に水の採集用の穴を

開ける。

Fig.2 実験器具

2.実験方法

(ここでいうボルボックス 1 個体とは,1 つの群体を意味する。)

1. 1 つの箱を冷蔵庫に入れ,もう一方をインキュベーターに入れる。

2. 8:00 から 18:00 までライトをつける。

2-1.観察方法

1. 冷蔵庫,インキュベーターに入れたペットボトルそれぞれから,ピペットでボルボックスを

1 個体取る。

2. それを二穴スライドガラスに乗せて,カバーガラスをかける。

3. 顕微鏡でボルボックス,受精卵を観察する。

結果

どちらの温度でも,受精卵は見られず,目立った個体数の減少も見られなかった。

それぞれの温度での個体の様子を写真に撮った。

Fig.3 一般的な個体 Fig.4 25℃における個体 Fig.5 6℃における個体

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A. どちらの温度でも受精卵は見られなかった。

B. 一般的な個体には,親群体の内部に娘細胞がみられる。

C. 25℃における個体には,親群体の内部に外壁を構成する細胞よりも大きな細胞がみえる。

D. 6℃における個体には,親群体の内部に娘細胞がみられない。

※娘群体:細胞群体の中にある小さな細胞群体,成長してやがて外に出て親群体となる。

考察

結果 A より,確実に有性生殖をしたとは言えない。結果 C でみられた細胞は,いずれ娘群体に成

長すると考えられる。よって 25℃の個体は無性生殖の準備段階であると考えられる。結果 D よ

り,子孫を作り出せていないのでこの個体は衰弱して子孫を作る力もないと考えられる。しかし,

内部に娘細胞がみられない状態,つまり次世代に子孫を残さない状態で,個体として生存できてい

るのはおかしい。よって,6℃における個体は,有性生殖の準備段階だ,とも考えられる。

結論

6℃の冷蔵庫に入れた個体は,有性生殖の準備段階であったといえるため,ボルボックスが気温で

生殖方法を変えるならば,5 千万年前の気候は,6℃よりも低く,寒冷だったと考えられる。

参考文献

・My-AQUA

myaquashop.web.fc2.com

・Volvox carteri

http://www.clas.kitasato-u.ac.jp/bio/study/volvox.html

・微小藻の世界

https://www.kahaku.go.jp/special/past/bisyoso/ipix/mo/3/3_1e.html

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発泡スチロールの再利用

-ペットボトルケースを作る-

香川達哉 佐藤天裕 岩本大輝 隈井優至

神奈川県立厚木高等学校 2 年 F 組 6 班

Abstract

Recently, there is the problem which abandon styrofoam is to be marine debris. So, we make

the PET bottle case by recycling the abandon styrofoam. As a result, we success in PET

bottle case.

背景

近年、廃棄された発泡スチロールが海洋ごみ等になることが問題となっている。そこで,廃棄

される発泡スチロールを有効に再利用するために,多くの人が必要とするペットボトルケースを

廃棄される発泡スチロールから作成することにした。

目的

廃棄される発泡スチロールを利用して、ペットボトルケースを作成する

先行研究

・既知の知見及び先行研究 EPS(ビーズ法発泡スチロール)は.アセトン,リモネンに溶ける。

・工業用に発泡スチロールを再形成する際は,リモネンに溶かした発泡スチロールをヘキサンで

抽出し,高温高圧で熱し発泡させることが多い。

仮説

ペットボトルのケースに形成するために薄膜にする必要がある。

方法

1 準備

250 ml ビーカー 化学室のガスコンロ 金属製の鍋 ガラス棒 アセトン 50 ml「大伸化学」

使用済み発泡スチロール リモネン 50 ml「大伸化学」 500 ml のペットボトル

2 操作

リモネン 50 ml を入れたビーカー,アセトン 50 ml を入れたビー

カーに発泡スチロールを 500 g それぞれ溶かす。

リモネンにヘキサン 25 ml を加え,溶けた発泡スチロールを取り

出す。

空のペットボトルに溶けた発泡スチロールを薄く延ばし整形す

る。

溶けた発泡スチロールの上から布を巻きつける。

沸騰させたお湯に空のペットボトルを入れ、5 分間膨らませる。 Fig.1 発泡させる様子

ここで、2 つの方法を試した。

方法 1,一度にペットボトル全体を覆い形成する方法

方法 2,ペットボトルの 3 分の 1 の大きさずつ形成し、補強してから、積み上げていく方法

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結果

リモネンでは膨らまなかったが、アセトンを加えた発泡スチロールは膨らんだ。さらには、

方法 1 の発泡スチロールの使用量 200 g に比べて方法 2 は 2 倍以上の 420 g の発泡スチロール

を使用した。

Fig. 2 方法 2 で作られたペットボトルケース

考察

実験結果より,リモネンを用いての再発泡は今回の実験で用いた方法では出来ないが,アセト

ンを使用すれば再発泡させることが出来るといえる。また,発泡スチロールを再形成する方法に

ついては、階層のように積み上げることで形成する方法 2 が形成に向いているといえる。しか

し,使用する発泡スチロールの量は方法 1 よりも増加した。

結論

アセトンを用いれば大規模な設備がなくてもリサイクルを行うことができる。しかし,段階的

に再発泡することでペットボトルに合わせる形に形成したが,1つのケースを作るのに約 20 分

かかるため効率が悪かった。また,型に合わせた形成しかできないため、実用性が低い。しか

し,再形成する方法は更なる改善の余地があり,今後の課題として,リサイクルした発泡スチロー

ルをどのように再形成するかと断熱容器以外への活用方法を考えることがあがった。

参考文献

発泡スチロール-Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E6%B3%A1%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%

AD%E3%83%BC%E3%83%AB

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ヤモリの足の構造を利用したものづくり

-スタッドレスシューズを作る-

安部乃々佳 天野友海 大藤果歩 渡辺結衣

神奈川県立厚木高等学校 2年 F組 7班

Abstract

We thought we can make studless shoes by the structure of gecko’s feet. We experimented

with a hairbrush which has fiber as Gecko’s feet. As a result, we could find the friction force

of the hairbrush with fiber is stronger than the hairbrush without it. So, it will succeed to

make studless shoes by the structure of gecko’s feet.After this experiment, we investigated

the best condition for studless shoes.

背景

人は歩行時に「滑る」ことにより転倒してしまう事が多い。滑りやすさには靴底の素材や表

面の構造が影響を与える場合も少なくない。歩行時に滑りにくい構造をしている足裏を持つ生

物としてヤモリがいる。そこで,私たちはヤモリの足裏のように生態の持つ優れた機能や形状を

模倣し,工学分野などに応用する技術であるバイオミメティクス(生物模倣技術)に注目し,転倒事

故防止へ繋げられないか検討した。

目的

ヤモリの足の構造を利用したスタッドレスシューズの仕組みを開発する。

既知の知見及び先行研究

ヤモリの足の表面は微毛が生えている。微毛は2つの部分に分けられ,毛根に近いほうから

「seta」「spatula」と呼ばれている( Fig- 1)。ヤモリの足は spatulaによって対象物に近い距離

まで接近するため、原子や分子間に働くファンデルワールス力(電荷の偏りが原因の引力)によっ

て接着する。そして,ヤモリは微毛の角度を変えることで簡単に接着面から離れることができ

る。また,seta部分の役割は spatula部分の凝集を防ぐこと

である。事前に行った spatulaありの時となしの時の摩擦

力を測定する実験から,微毛があることで滑りにくくなるこ

とが立証された。その後,spatula部分の素材を変えて実験

を行ったところ素材によって滑りにくさが変わることがわ

かった。また,seta部分ありの時となしの時の摩擦力を測定

すると seta部分は滑りにくくするために必要であること,実

験で使用するヘアブラシとスズランテープが有効であるこ

とがわかった。

Fig-1 ヤモリの足裏の構造

仮説

① seta部分の役割は spatula部分の凝集を防ぐことなので,seta部分の素材が硬ければ spatula

部分は凝集しにくく,摩擦力は大きくなる。

② 静電気がたまっている状態であれば電荷の偏りによるファンデルワールス力より強く働き,摩

擦力が大きくなる。また,静電気がたまることによりスパチュラが広がり凝集しにくくなる。

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実験

① seta部分の素材による摩擦力の違いの有無を調べる。

② 静電気による滑りにくさの違いを調べる。

方法

使用する物は市販のヘアブラシ 2種,セロハンテープ,細かく裂いたスズランテープ,ボンド,ば

ねばかり(100g)。まず,各ヘアブラシの先に細かく裂いたスズランテープ(spatula部分)をボ

ンドで付けたものを実験器具として使用する。ヘアブラシ部分を seta部分とし,今回はヘアブラ

シ A(ポリエチレン 100%)と B(豚毛 40%ナイロン 60%)を比較する。ヘアブラシの先の部分が床

と垂直になるように置き,ばねばかりを床と平行になるように引き,ヘアブラシが動き出す直前の

ばねばかりの示した値から最大静止摩擦力を測定する。今回は α(setaのみ)と β(seta・spatula

共にあり)の 2つの場合でそれぞれ 5回ずつ施行した。実験は神奈川県立厚木高等学校の化学第

二実験室の長机の上で行った。

まず,テープを擦る回数とテープの広がりの長さの関係を調査する。スズランテープを裂いて

片端を結び,ティッシュペーパーで擦る。擦る回数を5回ずつ増やしていき最も広がった部分の

長さを測る。それぞれ5回ずつ施行した。次に,テープを擦る回数と静止摩擦力の関係を調査す

る。先述のものと同じスズランテープを机に置き,紐をつけて伸ばしその紐を滑車にたらす。ス

ズランテープをティッシュペーパーで擦り紐におもりを取り付けていき動き出した時点でつい

ていたおもりの重さを調べる。擦る回数を5回ずつ増やしていきそれぞれ5回施行する。

実験①②において滑りにくいということを摩擦力が大きいということであると定義した。

結果

数値は 5回施行した結果を平均化したものである。

Table-1 seta部分の素材による摩擦力の違い(単位:g)

α β

A 17.8 25.0

B 8.8 9.6

Fig-2 擦った回数と広がりの関係 Fig-3 擦った回数と摩擦力の関係

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考察・結論・今後の展望

実験結果①から, seta部分の素材により摩擦力に違いが生じることがわかった。また,seta部

分に豚毛より硬いポリエチレンを使用した数値の方が高かった。豚毛を使用したヘアブラシ B

での数値は seta,spatulaありが setaのみより 1.1倍,ポリエチレンを使用したヘアブラシ Aでは

1.4倍と,Bは Aに比べてスパチュラがあることで滑りにくくなっていなかった。この事か

ら,setaの素材は硬いものの方が滑りにくいと考えられる。また,setaがやわらかい場合だと

spatulaと setaが一体化してしまう可能性があると考えられる。しかし今回の実験では seta部

分の素材が2種のみだったので他の素材も調べる。また、重さを加味できなかったので今後は

測るようにする。

実験結果②の1つ目の実験よりこする回数が多いほど静電気は溜まることがわかった。また,

2つ目の実験よりこする回数が多いほど滑りにくくなることがわかった。これらの2つの結果

より静電気がたまるほど滑りにくくなると考えられる。しかし、今回は setaありでの実験がで

きなかったので今後は同じ結果が setaありでも得られるか調べる。また,動電気で実験し,静電気

と同じ結果が得られれば,動電気は簡単に強めたり弱めたりできるのでヤモリの足の自在にくっ

ついたり離れたりする機能を再現できると考えられる。

参考文献

Tshozo 「ヤモリの足のはなし」

http://www.huffingtonpost.jp/chemstation/gecko_b_5673797.html

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松葉の抗酸化作用の検証

福島うらん 麓穂花 本田玲美 和田遥奈

神奈川県立厚木高等学校 2 年 F 組 8 班

Abstract

We focused our attention on the antioxidant action of Quercetin. One research says that pine needles

contain quercetin. This time, we extract some quercetin and tried to the antioxidative effect. As a result,

we found quercetin has the antioxidative effect.

1.背景

秋,冬になると落ちているのをよく見かける松葉。厚木高校の校門付近にもたくさんの松葉が落ちている。

掃除するのも大変で,そのままにしておくと見栄えがあまりよくない。そこで私たちは,松葉を有効に使うこ

とができればよいのではないかと考え,そのときに松葉に含まれるケルセチンという物質に注目した。

2.目的

松葉からケルセチンを取り出し,日焼け止め作用があるか調べる。

3.先行研究

ケルセチンはポリフェノールの一種で,玉葱の皮に多く含まれる。抗酸化作用があり,動脈硬化や紫外線によ

る刺激から起こる活性酸素の細胞破壊活動を抑える働きがあるので破壊から身を守ろうとして生成される,メ

ラニンの生成を抑える。ケルセチンはアルコールによく溶ける黄色色素で,抽出する方法は 80%のアルコー

ル希釈液に漬けることである。

4.仮説

ケルセチンが持つ抗酸化作用によって,シミ等の原因となるメ

ラニンの生成を抑えられるため,日焼け止めとしての効果を発揮

できる。バナナの皮の褐変は酸化によるものなのでバナナの皮

にケルセチンを塗布した上で褐変を抑えることができれば,ケル

セチンの抗酸化作用によってメラニン生成を抑えられたといえ

る。

Fig.1 分光光度計によるケルセチン含量

5.方法

5.1.準備

・材料:松葉,バナナ,メタノール,日焼け止め,アルミホイル,サランラップ

・器具:ミキサー,すり鉢,分光光度計

5.2.操作

Ⅰ松葉からケルセチンを取り出す

①松葉を煮沸消毒する。

②ミキサーやすり鉢を用い松葉を粉末状にする。

④80%メタノールに松葉を 24 時間漬け込む(ケルセチンを抽出する)。

⑤分光光度計を用いメタノール溶液のケルセチン含量を簡易的に調べる。

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Ⅱケルセチンの日焼け止め効果の検証

①バナナの皮を用意し,以下の処理を行う。(各処理は,バナナ一本の皮を4つに分けたうちの一本目に

ⅰ,ⅱ,ⅶを境界を明確にして行い,二本目にⅲを,三本目にⅳを,四本目にⅴ,ⅵを境界を明確にして行

った。)

ⅰ 何もしない。

ⅱ 完全に紫外線をカットする。(アルミホイルでバナナを覆う)

ⅲ メタノールを表面にぬる。

ⅳ ケルセチンのメタノール溶液を表面にぬる。

ⅴ 日焼け止めをぬる。

ⅵ ケルセチンのメタノール溶液と日焼け止めをまぜた混合液を表面にぬる。

ⅶ 紫外線はカットしないが,酸素を減らす。(サランラップを巻く)

② ①のように用意したバナナを日当たりのよい場所に置き,半日ごとに 2 日間状態を観察し,記録する。

6.結果

Ⅰ分光光度計による試料中のケルセチン含量は以下の式で求められる。

含量(mg/100 g)=121.14×(簡易法による検出波長 360 nm での吸光度)-2.45

吸光度は約 0.395 だったので,松葉には 100 g あたり 45.4 mg のケルセチンが含まれていることが分か

った。

Ⅱバナナの皮の反応は、以下のようになった。

ⅰ 黒く変色し,少し縮んだ。

ⅱ 変化なし。

ⅲ 全体が黒く変色した。また,ⅰ~ⅶのなかで一番変色した。

ⅳ 外側から黒く変色した。変色速度はⅱ,ⅶを除いて一番遅かった。

ⅴ 外側が黒く変色した。早い段階で変色部分ができたが,その後それ以外の部分は変色しなかった。

ⅵ 外側が黒く変色した。時間が経過するごとに変色部分は増えていった。

ⅶ 変化なし。

Fig2.半日後の様子 Fig3.一日後の様子 Fig4.一日と半日後の様子 Fig5.二日後の様子

7.考察・結論

サランラップで覆い酸素との接触を防いだバナナの皮が褐変を起こさなかったことにより,やはり酸化反応に

よってバナナは褐変しているといえる。

メタノール希釈液を塗布したバナナの皮と,ケルセチンのメタノール溶液を塗布したバナナの皮の褐変の進度

を比べると,明らかに後者のほうが進度は遅い。よって,ケルセチンの抗酸化作用によって酸化によるメラニ

ン生成を抑えることができたといえる。

また,日焼け止めを塗布したバナナの皮と日焼け止めとケルセチンのメタノール溶液を塗布したバナナの皮の

褐変の進度を比べると,前者のほうが進行が遅かった。しかしこれはケルセチンに抗酸化作用がないわけでは

なく,後者に含まれるメタノールが揮発しバナナの皮の表面を覆うものがなくなったことにより,酸化を促進

したと考えられる。したがって松葉に含まれるケルセチンには抗酸化作用があり、それによってメラニンの

生成が抑えられるということが分かった。

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8.参考文献

平成 29 年度 厚木高等学校ヴェリタス研究 2 年 G 組 1 班 「タマネギ外皮が含むケルセチンの還元剤へ

の応用」

http://www.atsugi-h.pen-kanagawa.ed.jp/pdf/29_G.pdf

分光光度計を用いたタマネギのケルセチン含量の簡易評価法(農研機構)

http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2003/cryo03-35.html

バナナで紫外線の作用を調べる(実験観察館)

http://www2.tokai.or.jp/seed/seed/seibutsu13.htm

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パンから作るでんぷん糊

~安全で便利な糊を求めて~

阿部透世 高橋優輝 須山隼輔 寺田駿也

神奈川県立厚木高等学校 2 年 F 組 9 班

Abstract

We made a convenient and safe paste from the bread crumbs in the background of the idea

that we want to let children play in peace and the bread that is discarded was generally

successful

背景

日常の中でよく食べられるパンだが,家庭で食べ切れなかったり,飲食店で耳の部分だけが廃

棄されたりして無駄になることがある。そのため処分されることのあるパン(粉)を有効活用す

るために,パンから作ることが出来,かつ子供でも安全に食べられるでんぷん糊を作ろうと考え

た。

目的

廃棄されるパンの新しい利用方法を見つけると共に,子供のペーパークラフト等を通して創造

性の成長を促すこと。

既知の知見及び先行研究

・でんぷん糊は水にでんぷんを多く含むものを溶かして出来る

・でんぷん糊は全体に対するでんぷんの割合が大きい程粘着力が大きくなる

・砂糖には糊化したでんぷんの温度の低下による離水を防止する作用がある

仮説

パンをお湯で溶かし,蒸発させて水気を少なくすればでんぷん糊が出来,さらに砂糖を加えて

でんぷんの割合を下げることで粘着力を調節することで,付箋のように貼って剥せて食べても害

もなく,温度の低下による離水を起こしにくい糊ができるのではないか。

方法

1準備

試薬 :パン粉(日清製粉) 上白糖 (三井製糖)

器具 :鍋 ガスコンロ 木ベラ ルーズリーフ(キャンパス) ビーカー ガラス棒

摺り子木 すり鉢

2操作

①,パン粉をすり鉢で粉砕して鍋に入れる,そして水を入れてガスコンロで加熱しながら木ベラ

でかき混ぜてパン粉を溶かし,水を蒸発させてゲル状になったものをビーカーに 10 g ずつ入れ

たものを 6 個用意する。

②,①で作ったビーカー5 個にそれぞれ 0, 6, 7, 8, 9, 10 g の砂糖を加えてガラス棒でかき混ぜ

る。

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③,ルーズリーフを縦 5 cm 横 5 cm で切り取った紙片に,それぞれのビーカーに入った糊を一滴

ずつと二滴ずつガラス棒でのせて,1 日放置したものと 3 日放置したものを用意する。なお,ガ

ラス棒は操作の度に純水で洗い流す。

④,③で作ったルーズリーフを同じ人がゆっくりと剥がし,綺麗に剥がれたら〇,剥がれなかった

ら✕をつける。

結果

Table1 1 日放置した一滴の時と二滴の時の砂糖の量(g)ごとの粘着力の強さ

0 g 6 g 7 g 8 g 9 g 10 g

1 滴 ✕ ✕ ✕ ✕ 〇 〇

2 滴 ✕ ✕ ✕ ✕ 〇 〇

Table2 3 日放置した一滴の時と二滴の時の砂糖の量(g)ごとの粘着力の強さ

0 g 6 g 7 g 8 g 9 g 10 g

1 滴 ✕ ✕ ✕ ✕ 〇 〇

2 滴 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

表から,糊は砂糖を加える毎に粘着力が低下することがわかり,砂糖 9 g の時が適度な粘着力

を持っていた。しかし 10 g 加えたものはベタベタしていて使いにくかった。なお,3 日間放置

したものは✕のものが増えた

考察

結果からパン粉はのりを作るために十分なでんぷんを含んでいた。また,砂糖のもつ親水性によ

り,糊化したでんぷんの温度の低下による離水を抑えて糊化状態を保つことができた。

結論

考察から今回の実験の目的と合致するものはパン粉 10 g,砂糖 9 g で作れる糊を 1 日程の間で

剥がす場合である。

参考文献

“子どもにも安心して使わせることができる、でんぷんのりの作り方”

https://chiik.jp/articles/VIj1E

“知られざる砂糖の秘密と性質”https://www.fnsugar.co.jp/sugar/natured

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牛乳からプラスチックを作る

大岡 亘 荻原 涼太朗 奥園 倫太郎 綿貫 創太

神奈川県立厚木高等学校 2 年 F 組 10 班

Abstract

Today, it is a big problem that many garbage are thrown away in the nature. To solve this

problem, we tried to make plastic from milk, which is natural material. Pouring some acid to

milk, casein precipitates. We used vinegar as acid. We found that more milk can produce more

casein and if I pour acid too many, plastic has some impurities.

背景

近年、ごみを山や川、海などの自然にポイ捨てする人が多くいることが問題視されている。僕ら

は自然が分解できないものを捨てるのが問題だと考え、自然が分解できるような素材で様々な物を

作れば、今ほどのごみ問題は発生しなくなると考え、自然のものである牛乳を素材にプラスチック

を作ることにした。

目的

牛乳からプラスチックを作り、それに加え原料やその分量を変え、優れた製品を作る。

既知の知見及び先行研究

牛乳からプラスチックを作る方法は、

1, 牛乳に酸性の液体(基本は酢)を加え、牛乳の中のたんぱく質の一種であるカゼインを沈殿さ

せ、取り出す。

2, 取り出したカゼインをガーゼでろ過し、ガーゼごと流水で 3 分間洗う。

3, 洗ったカゼインの水分をしっかり取り、作りたいものの形に整える。

4, 加熱して固め、プラスチック状にする。

仮説

強い酸を使い、牛乳は低脂肪ではないものを使ったほうが、丈夫なプラスチックになる。

方法

1 準備

原料:米酢、塩酸、牛乳、低脂肪牛乳

器具:ビーカー(500 ml、100 ml)、ガラス棒、ガスコンロ、ガーゼ、キッチンペーパー、

電子レンジ

2 操作

1, 先行研究どおりの方法で作れるかどうか調べる(普通の牛乳 200 ml,酢 20 ml)。

2, 牛乳の量を 400 mlまで増やし、取れるカゼインも増えるか調べる。

3, 牛乳 200 ml に塩酸を 20 ml いれてどうなるか調べる。

4, 牛乳 200 ml に入れる酢か塩酸(結果の良好だったほう)の量を変えていく。今回は 10, 15, 20,

25 ml の範囲を調べた。

5, シャーレを型にして、4 で一番結果が良好だった組み合わせで小皿を作る。

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結果

1, カゼインを固めることはできたが、プラスチックのようにはならなかった。

2, 牛乳の量を増やせば、カゼインの量は増えた。製作過程でカゼインの量が減ることがあるので、

牛乳の量とカゼインの量の関係は調べられなかった。

3, 塩酸だと、加熱する前に粉状になってしまい整形が困難になった。

4, 酢 10 mlが一番きれいに、無駄なくできた。

考察

加える酸は、強すぎると固まらず、使うときに危険である可能性があるので、酢がもっとも適し

ていると考えた。また、酸を入れすぎると余計なものまで沈殿させてしまい、仕上がりが悪くなっ

ていると考えた。

結論

牛乳の中にあるたんぱく質からプラスチックを作ることは可能である。

参考文献

http://www.che.ichinoseki.ac.jp/sosei/hei27/hei27-01.html

H27 1 班 カゼインプラスチック susu