川崎病について...はじめに...

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20151214日モーニングセミナー 研修医 丸尾菜奈 川崎病について

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2015年12月14日モーニングセミナー

研修医 丸尾菜奈

川崎病について

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はじめに

川崎病は1967年に川崎富作先生が報告した小児期に好発する原因不明の血管炎症候群である

1970年以降、2年毎に川崎病全国実態調査が実施され2015年9月に第23回の調査成績が報告がされた

近年患者数は増加傾向にあり、心障害例も少なからずみられている

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本日の内容

1. 川崎病の疫学

2.川崎病の病態・病因

3.川崎病の診断

4.川崎病の治療

5.症例例示

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本日の内容

1. 川崎病の疫学

2.川崎病の病態・病因

3.川崎病の診断

4.川崎病の治療

5.症例例示

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疫学 -罹患率・男女比-

第23回川崎病全国調査成績 川崎病全国調査担当グループ 2015年9月

2014年罹患率:15,979人

罹患率:0-4歳人口10万人対305.3(0.3%)

男/女=1.34

男児に多い

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疫学 -年齢分布-

4歳未満:80%以上

ピークは9-11か月

成長するにつれ罹患率は下がる

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疫学 -季節性-

1月がピーク

秋に少ない

近年春~夏に増加傾向

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世界における川崎病

60以上の国・地域から報告されている

日本人>アジア系>黒人>白人

流行時期は国や地域によって大きく異なる

国(地域) 観察年 罹患率(/0-4歳人口10万人/年)

日本 2006 188.1

韓国 2003~2005 104.6

台湾 2003~2006 69

中国(北京) 2004 55.1

アメリカ 2003 19.6

フランス 1983~2007 5.5

第9回国際川崎病シンポジウム 2008年

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本日の内容

1. 川崎病の疫学

2.川崎病の病態・病因

3.川崎病の診断

4.川崎病の治療

5.症例例示

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病態生理

Jennette JC et al. Arthritis Rheum 2012 より改変

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原因 -遺伝的素因ー

家族内発生がみられる、アジア人に多い

約1%・同胞に川崎病患児がいると川崎病発症リスクは約10倍・同胞間の川崎病発症間隔は同時発症と7~10

日程度にピークがある

両親いずれかの川崎病既往がある患児は0.89%

罹患感受性関連遺伝子や重症化関連遺伝子(ITPKC、CASP3など)の関与が報告されている

根拠:

同胞例:

親子例:

関連遺伝子:

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原因 -微生物感染ー

過去に3回大流行があった(1979年、1982年、1986年)発症の季節性がある流行の地域集積性がある

細菌 (A群β溶連菌、sanguis菌、緑色連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、エルシニア菌、腸内細菌など)

ウイルス(ロタウイルス、RSウイルス、EBウイルス、レトロウイルス、コロナウイルス、HHV-6、アデノウイルスなど)

真菌 (リケッチア、カンジダなど)マイコプラズマ など

根拠:

原因:

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本日の内容

1. 川崎病の疫学

2.川崎病の病態・病因

3.川崎病の診断

4.川崎病の治療

5.症例例示

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診断

A 主要症状

1.5日以上続く発熱(ただし、治療により5日未満で解熱した場合も含む)

2.両側眼球結膜の充血

3.口唇、口腔所見:口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤

4.不定形発疹

5.四肢末端の変化:(急性期) 手足の硬性浮腫、掌蹠ないしは指趾先端の紅斑(回復期) 指先からの膜様落屑

6.急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹

(川崎病診断の手引き 2002年2月改訂5版より抜粋)

・6つの主要症状のうち5つ以上の症状を伴うもの・4つの症状+冠動脈瘤(拡大含む)、他の疾患が除外されたもの

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主要症状

眼球結膜充血 98%

頸部リンパ節腫脹73%

口唇紅潮 94%

いちご舌 71%

不定形発疹 94%

掌蹠の発赤 87%

硬性浮腫 73%

膜様落屑 94%“grape sign”

川崎病Q&A 第5版鮎沢ら 2014年6月

5日以上の発熱 99%

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診断

B 参考条項1. 心血管:

2. 消化器:

3. 血液:

4. 尿:5. 皮膚:6. 呼吸器:7. 関節:8. 神経:

聴診所見(心雑音、奔馬調律、微弱心音)心電図変化(PR・QTの延長、異常Q波、低電位差、ST-Tの変化、不整脈)、胸部X線所見(心陰影拡大)、断層心エコー図所見(心膜液貯留、冠動脈瘤)、狭心症状、末梢動脈瘤(腋下など)

下痢、嘔吐、腹痛、胆嚢腫大、麻痺性イレウス、軽度の黄疸、血清トランスアミナーゼ上昇

核左方移動を伴う白血球増多、血小板増多、赤沈値の促進、CRP陽性、低アルブミン血症、α2グロブリンの増加、軽度の貧血、

蛋白尿、沈渣の白血球増多BCG接種部位の発赤・痂皮形成、小膿瘍、爪の横溝咳嗽、鼻汁、肺野の異常陰影疼痛、腫脹髄液の単核球増多、けいれん、意識障害、顔面神経麻痺、四肢麻痺

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川崎病の不全型とは?:主要症状のうち5つ以上を伴うもの

:4つの症状と冠動脈瘤をもつもの

:上記のいずれにも該当しないもの2歳未満と年長児に多い

定型例

不定型例

不全型

定型例

78.5%

不定型例

1.9%

不全型

19.5%

・第23回川崎病全国調査成績 川崎病全国調査担当グループ 2015年9月

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症状が揃わなくても川崎病を疑うケース

6か月未満の乳児または8歳以上の年長児の不明熱(症状が揃いにくく不全型が多いとされる)

抗生剤に反応しない発熱

血液検査で低Na血症や低Alb血症、トランスアミナーゼやBNPの上昇など

BCG接種後1年以内の乳児の接種部の発赤

年長児の頸部リンパ節炎 など

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最も怖いのは心血管病変を作ること

・川崎病診断の手引き厚生労働省川崎病研究班改訂5版

・第23回川崎病全国調査成績 川崎病全国調査担当グループ 2015年9月

急性期の異常(冠動脈拡大・弁膜異常・巨大瘤):8.5%

後遺症(冠動脈拡大・瘤・弁膜病変・巨大瘤・狭窄・心筋梗塞):2.6%

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0

5

10

15

20

25

30

6 5 4 3 2 1

巨大瘤

中動脈瘤

冠動脈拡張・小動脈瘤

不全型でも冠動脈障害の合併は少なくない

主要症状の数(個)

(%)

Sonobe T, et al. Prevalence of coronary artery abnormalities in incomplete Kawasaki disease. Pediatr Int 2007 ;

49 : 421-6.

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冠動脈障害をきたす前に診断し治療開始しなければならない

第6-8病日

第8-10病日

第12病日

第26-40病日

第40病日以降

:中膜の浮腫性変化

:汎血管炎

:動脈瘤形成

:炎症細胞の消退

:瘢痕治癒

診断・治療開始

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本日の内容

1. 川崎病の疫学

2.川崎病の病態・病因

3.川崎病の診断

4.川崎病の治療

5.症例例示

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急性期治療

急性期)抗炎症効果 30~50mg/kg/day 分3 p.o

解熱後)血小板凝集抑制効果3~5mg/kg/day 分1 p.o

○副作用:消化性潰瘍、肝機能障害、出血など

※肝機能障害出現時(AST≧200IU/L)は代わりにフルルビプロフェン 3~5mg/kg/day 分3 p.o

冠動脈病変の発生率を抑える2g/kg 単回投与○副作用:ショック、アナフィラキシー様反応

川崎病急性期治療のガイドライン 平成24年改訂版

アスピリン

免疫グロブリン療法(IVIG) IVIG : intravenous immunoglobulin

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IVIG不応予測例

IVIG不応例:17.1%

PSL 2mg/kg/day

またはIVMP 30mg/kg の併用を考慮

PSL : prednisolone IVMP : intravenous methylprednisolone

リスクスコアで層別化

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IVIG不応予測例 RAISE Study

しきい値 点数

Na 133 mmol/L以下 2点

AST 100 IU/L以上 2点

治療開始(診断)病日 4病日以前 2点

好中球% 80 %以上 2点

CRP 10 mg/dl以上 1点

月齢 12か月以下 1点

血小板数 30 万/mm以下 1点

リスクスコア

PSL 2mg/kg/day 分3 iv を併用5点以上で

重症川崎病患者に対する免疫グロブリンと免疫グロブリン・プレドニゾロン初期併用投与のランダム化比較試験実施計画書RAISE研究班

(感度74%、特異度80%)

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バイオマーカーとしてのNTproBNP

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2008 2009 2010 2011 2012 2013

(人)

平均患者数:31.8人/年

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

4個以下

5個以上

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川崎病と対照群との比較

心障害を認めた例と認めなかった例との比較

初回IVIG不応例と反応例の比較

定型例と不定型例・不全型と対照群の比較

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〈診断的特異性〉 〈初回IVIG不応例予測〉 〈心障害発症予測〉

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急性期治療のアルゴリズム1

1st line

2nd lineへ川崎病急性期治療のガイドライン 平成24年改訂版

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急性期治療のアルゴリズム2

2nd line

3rd lineへ

川崎病急性期治療のガイドライン 平成24年改訂版

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急性期治療のアルゴリズム3

3rd line

川崎病急性期治療のガイドライン 平成24年改訂版

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川崎病急性期カード

日本川崎病学会HPより抜粋

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本日の内容

1. 川崎病の疫学

2.川崎病の病態・病因

3.川崎病の診断

4.川崎病の治療

5.症例例示

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3歳 男児

【主訴】

【現病歴】

【既往歴】【アレルギー】

【家族歴】

発熱5日目、発疹

入院4日前、夕方より発熱あり前医を受診し、AMPCを処方された。その後解熱認めず、入院前日より発疹が出現しAMPC/CVAを処方された。入院当日、発疹が増強し前医を再受診し、精査加療目的に当院紹介となった。

扁桃腺摘出特記事項なし

家族内に川崎病の既往なし

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【現症】

身長 90.0 cm 体重 13.0 ㎏BT 38.1 度 HR 126 /分 BP 92/58 mmHg SpO2 97 %(RA)

:眼球結膜充血軽度あり口唇紅潮、口腔粘膜発赤あり、いちご舌なし

:両側リンパ節腫大:呼吸音清、心音整・雑音なし:軟、肝脾触知せず、腸蠕動音亢進減弱なし:体幹に地図状の紅斑あり、四肢・顔面にも紅斑あり四肢末端の発赤や腫脹なしBCG接種部位に発赤なし

頭部

頸部胸部腹部皮膚

川崎病の主要症状 6つのうち5つ満たす→ 川崎病定型例と診断

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検査所見1

TP

Alb

T-bil

D-bil

AST

ALT

γ-GTP

LDH

CPK

Na

K

Cl

Ca

P

CRP

PCT

ESR

g/dL

g/dL

mg/dL

mg/dL

IU/L

IU/L

IU/L

IU/L

IU/L

mmol/L

mmol/L

mmol/L

mg/dL

mg/dL

mg/dL

ng/mL

mm/h

6.9

3.9

2.9

1.9

356

578

132

378

66

132

4.1

94

9.1

3.9

12.81

2.31

53

【生化】

PT

PT-INR

APTT

ATⅢFib

D-dimer

FDP

%

sec.

%

mg/dL

μg/mL

μg/mL

83

1.08

33.1

102

663

2.7

9.2

【凝固】

WBC

Stab

Seg

Lym

RBC

Hb

Plt

/uL

%

%

%

×104/uL

g/dL

×104/uL

【血算】

9770

5.5

71.5

20.0

450

12.4

42.2

WBC

亜硝酸ケトン体比重

(1+)

(-)

(2+)

1.013

【尿検査】

BS

NTproBNP

IL-6

98

1058

136

mg/dL

pg/mL

pg/mL

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検査所見2

【胸部レントゲン】

【超音波検査】

【心電図】

【心臓超音波検査】

CTR 46% 肺野に明らかな浸潤影なし

両側頸部リンパ節腫大肝脾腫なし胆嚢問題なし

問題なし

冠動脈やや輝度亢進冠動脈瘤なし心嚢液貯留なし

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しきい値 本症例 点数

Na 133 mmol/L以下 132 mmol/L 2点

AST 100 IU/L以上 356 IU/L 2点

治療開始(診断)病日

4病日以前 第5病日 2点

好中球% 80 %以上 77.3 % 2点

CRP 10 mg/dl以上 12.81 mg/dl 1点

月齢 12か月以下 3歳 1点

血小板数 30 万/mm以下 42.2万/mm 1点

RAISEスコア

合計 5点

1st lineとして IVIG+フルルビプロフェン+PSL を選択

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治療経過

0

200

400

600

800

1000

1200

0

2

4

6

8

10

12

14

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31

CRP

NTproBNP

(病日)

NTp

roB

NP

(pg

/mL)

CR

P (m

g/ d

L)

フルルビプロフェン3mg/kg/d

アスピリン 5mg/kg/d

PSL 2mg/kg/d

iv po 1mg/kg/d 0.5mg/kg/d

IVIG 2mg/kg

発熱皮疹

眼球結膜充血

手指の膜様落屑

口唇紅潮頸部LN腫脹

退院入院

心エコー

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結語

川崎病は報告より50年近くたつが、原因は解明されておらず、2nd line以降の治療方法はまだ確立されていない

当院での後方視的検討の結果からNTproBNPは診断や予後予測のひとつとして有用であると考えられる

症状の揃わない不全型が20%程度みられるが、冠動脈障害をきたさないように適切なタイミングで診断・治療をすすめることが大切である