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FUJITSU. 62, 3, p. 297-303 05, 2011297 あらまし 近年,高齢化社会に突入し,平均寿命も延びており,その長い人生の中で健康な生活 を送りたいというのは皆の願いである。一方,生活習慣病の受診率は,40歳代から大幅 に上昇し,高齢者医療制度の拠出金とともに,国民全体の医療費を圧迫している。その 対策として,個人の健康情報であるPHR Personal Health Record)を活用した,予防医 療が着目されている。しかし,PHRは,診断情報は医療機関,健診情報は健診機関や保 険者(会社の健康保険組合など),運動情報はフィットネスクラブ,体重などの情報は家 庭という具合に,様々な場所に散在している。したがって,これらの情報を「いつでも, どこでも,どの端末でも」利用できることが必要であり,クラウド環境を利用したPHR連サービスの実現が期待される。富士通では,PHRを活用する健康情報基盤を,富士通 クラウド上に構築し,従業員を対象とした実証プロジェクトを実施している。本稿では, その実証プロジェクトの概要と,富士通のPHR活用サービスの取組みについて述べる。 Abstract As society has been aging and average life expectancy increasing in recent years, everybody wishes to live healthily and for a long time. Meanwhile, the rate at which people consult their doctors about lifestyle-related diseases rises significantly when they reach their 40s. This, together with contributions to the medical system for the elderly, takes up a large portion of the medical care expenses of the entire nation. To address this problem, preventive medicine that makes use of personal health records (PHRs) containing personal health information is attracting attention. However, PHRs are scattered in various places: diagnostic information is kept at medical institutions, medical examination information at medical examination institutions or insurers (corporate health insurance associations, etc.), exercise information at fitness clubs and information such as weight at home. Accordingly, it is important to make these different types of information available at anytime, anywhere and on any terminal, and there are hopes that this will be possible with PHR services in a cloud environment. Fujitsu has built a health information platform that makes use of PHRs on the Fujitsu cloud and been working on a demonstration project targeting employees. This paper outlines the project and describes Fujitsus approach to services that use PHRs. 梅川竜一   石塚博司   大嶋 徹 PHR を活用したサービスへの取組み Approach to Services Making Use of PHRs

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FUJITSU. 62, 3, p. 297-303 (05, 2011) 297

あ ら ま し

近年,高齢化社会に突入し,平均寿命も延びており,その長い人生の中で健康な生活

を送りたいというのは皆の願いである。一方,生活習慣病の受診率は,40歳代から大幅に上昇し,高齢者医療制度の拠出金とともに,国民全体の医療費を圧迫している。その

対策として,個人の健康情報であるPHR(Personal Health Record)を活用した,予防医療が着目されている。しかし,PHRは,診断情報は医療機関,健診情報は健診機関や保険者(会社の健康保険組合など),運動情報はフィットネスクラブ,体重などの情報は家

庭という具合に,様々な場所に散在している。したがって,これらの情報を「いつでも,

どこでも,どの端末でも」利用できることが必要であり,クラウド環境を利用したPHR関連サービスの実現が期待される。富士通では,PHRを活用する健康情報基盤を,富士通クラウド上に構築し,従業員を対象とした実証プロジェクトを実施している。本稿では,

その実証プロジェクトの概要と,富士通のPHR活用サービスの取組みについて述べる。

Abstract

As society has been aging and average life expectancy increasing in recent years, everybody wishes to live healthily and for a long time. Meanwhile, the rate at which people consult their doctors about lifestyle-related diseases rises significantly when they reach their 40s. This, together with contributions to the medical system for the elderly, takes up a large portion of the medical care expenses of the entire nation. To address this problem, preventive medicine that makes use of personal health records (PHRs) containing personal health information is attracting attention. However, PHRs are scattered in various places: diagnostic information is kept at medical institutions, medical examination information at medical examination institutions or insurers (corporate health insurance associations, etc.), exercise information at fitness clubs and information such as weight at home. Accordingly, it is important to make these different types of information available at anytime, anywhere and on any terminal, and there are hopes that this will be possible with PHR services in a cloud environment. Fujitsu has built a health information platform that makes use of PHRs on the Fujitsu cloud and been working on a demonstration project targeting employees. This paper outlines the project and describes Fujitsu’s approach to services that use PHRs.

● 梅川竜一   ● 石塚博司   ● 大嶋 徹

PHRを活用したサービスへの取組み

Approach to Services Making Use of PHRs

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PHRを活用したサービスへの取組み

がると期待されている。さらに,PHRは,生活に密着した情報として利用しやすいため,例えば,携帯電話で写した食事写真と体重とを関係付けて記録するライフログとして利用されるなど,様々なPHR関連サービスとしての可能性が広がっている。一方,PHRが現状どのように管理されているかを自分たちの生活に目を向けて見ると,診断情報は医療機関,健診情報は健診機関や保険者(会社の健康保険組合など),運動情報はフィットネスクラブ,体重などの情報は家庭という具合に,様々な場所に散在している。したがって,これらの情報を「いつでも,どこでも,どの端末でも」利用できることが必要であり,クラウド環境を利用したPHR関連サービスの実現が期待される。実現するに当たり,PHRの活用シーンを広げるための多様な機器との連携や,個人情報をセキュアに管理できる環境やガイドライン(3)の整備などが課題として挙げられる。さらに,サービスの普及のための,ビジネスモデルの明確化も大きな課題となる。これらの課題に対処するためには,実際にPHRを収集し,その活用方法を模索しなければ分からない。富士通では,従業員を対象に,PHRの収集・蓄積・活用を検証するための実証プロジェクトを積極的に推進している。

PHR活用実証プロジェクト

PHRを具体的に活用するためには,個々人のバイタルデータ(体重,血圧,活動量など)や健診結果などを含めた継続的なPHRの収集・蓄積をする仕組みの検証が必要である。さらに,蓄積された情報をどのように利用すれば,個々人の健康増進につながるかを検討していく必要がある。以下,富士通のPHR活用実証プロジェクトについて述べる。● 目的(1) 多様な健康機器(センサ機器)との連携を可能とした健康情報基盤の整備と健康アプリケーションとの連携(図-1)

(2) 実証プロジェクトを通じたPHRの活用方法の検証(保健指導効果の評価・検証)

(3) PHRを活用した新たなサービスの検討

PHR活用実証プロジェクト

ま え が き

近年,高齢化社会に突入し,平均寿命も延びており,その長い人生の中で健康な生活を送りたいというのは皆の願いである。一方で,糖尿病や高血圧性疾患などの生活習慣病の受診率は,40歳代から大幅に上昇し,高齢者医療制度の拠出金とともに,国民全体の医療費を圧迫している。(1) このような状況の中では,一人一人が主体となって健康の大切さを認識し,予防医療を積極的に行っていくことが重要となってきている。予防医療を積極的に実施していくためには,個々人の健康状態に応じた,適切な指導が必要であり,それに基づいた継続的な健康管理を行っていくことが望ましい。このような個々人の健康管理を支える情報がPHR(Personal Health Record:健康情報)である。言い換えると,「個人が自らの生活の質(QOL:Quality of Life)の維持向上を目的として,個人が自らの健康情報を収集・保存・活用する」ことと言える。(2)

富士通では,クラウド技術を使いPHRの収集・保存・活用を積極的に支援していく。本稿では,PHRの活用を支援するための,富士通の取組みについて述べる。

PHR活用への期待と課題

増え続ける医療費の抑制のため生活習慣病予防の観点から2008年度より医療保険者に対し,特定健診・特定保健指導が義務付けられた。しかし,各検査の数値や健康への取組み度など行動科学的な評価は多いが,PHRと,実際の医療費,保健レセプトなどを複合して分析し,具体的な施策につなげるまでには至っていない。今後,社会全体で「誰もがよりよい健康・医療サービスを選択し,受けることができる」ためには,一人一人のPHRを,個々人の許諾のもと,適切な場所に提供する仕組みが必要であり,それを実現できるPHR提供システムおよびサービスが求められている。そして,結果的には,このようなサービスを通して,個人が,病院や薬を適切に選択することなどによる医療費削減につながり,また,蓄積されたPHRを製薬会社や研究機関などにフィードバックすることで,長期的には医療の質の向上につな

ま え が き

PHR活用への期待と課題

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PHRを活用したサービスへの取組み

量計)が測定データを自動的にデータセンターに送付する(図-2)。

(2) ゲートウェイを自宅のインターネットに接続し,体組成計,血圧計,歩数計の測定データを自動的に収集し,データセンターに送付する(図-3)。今回の健康サポートでは,以下のサービスを用意し,体重や血圧の変化や,歩数による活動量の変化を分析する。・従業員が日々の変化を確認できるシステムを提供・保健指導員による個人の状態に合ったアドバイスを実施(実施する/しないは従業員が選択できる)さらに,健康保険組合が保有する健診データおよびレセプトデータを統合し,専門家の知見を組み合わせ,総合的に従業員の健康状態や医療費との関係性を検証し,健康情報基盤の整備へフィードバックをしていく。

PHRから見えるもの

本章では,実証プロジェクトにより収集されたPHRを通して見えるいくつかの傾向について述べる。● PHRの収集から見える傾向多様な健康機器との連携の実証以外にも,より効果的に,保健指導するための基礎情報が機器から収集される。ここでは,収集したデータを比較し,そこから表れる利用の傾向を紹介する。

PHRから見えるもの

● 実施内容公募した富士通従業員の健康保険加入者約

2500人に対して,健康機器を配布し,日々のバイタルデータを収集した。この測定データを手動,または自動的にデータセンターに送付し,蓄積されたデータを基に従業員の健康づくりをサポートした(期間:2010年10月~ 2011年4月)。健康サポートの実施に当たり,以下の二つの方法によってデータ収集を行った。(1) 手持ちの携帯電話に内蔵される歩数計(活動

歩数のみ

実証プロジェクトコース(7コース)

深体創工房+体重・血圧

A社製(歩数,体組成,血圧)

深体創工房

元気くん

T社製(歩数,体組成,血圧)

O社製(歩数,体組成,血圧)

保健指導あり

保健指導なし

保健指導あり保健指導なし

保健指導あり

保健指導なし保健指導あり

保健指導なし

保健指導あり保健指導なし

保健指導あり保健指導なし

保健指導あり

携帯電話

専用ゲートウェイ

富士通のアプリ

ケーション

Aコース

Eコース

Fコース

Gコース

Bコース

Cコース

Dコース

※深体創工房:iアプリで活動量データを自動収集※元気くん :携帯から,食事,体重,腹囲,歩数などを入力

図-1 多様な健康機器との連携Fig.1-Linkage with various types of healthcare

equipment.

★対応機種:F-01B,02B,03B,F-08A,09A

パケット通信インターネット

自宅/職場

インターネット

指 導 員

健康情報確認Web

携帯電話内蔵歩数計★

保健指導

図-2 携帯を利用した活動量の蓄積と健康作りサポートFig.2-Storage of activity amount data and fi tness support using mobile phone.

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PHRを活用したサービスへの取組み

(1) コース別・健康機器別による測定頻度比較的よく利用する体重測定で測定頻度を,体重計に乗ると自動的にデータを転送するB,C,Dコース,および自分で体重を手入力するAコースで比較する。図-4に表すように,自動的にデータ転送する利用回数が手入力に比べて4,5倍高くなる。また,データ転送者の比率で見てみると,歩数計(40%前後),体重(体組成)計(40%前後),血圧計(30%前後)となっている。全員が平均的に測定していると仮定すると,歩数,体重は,約2日に1回,血圧は3日に1回の頻度で計測していると考えられる。

さらに,歩数を携帯のみを使ってデータ転送するAコースのデータ転送者比は,30%前後となっており,より複数の健康機器を同時に利用する方が,意識も高くなり利用率は上がると推測される。(2) 地域別の測定時間帯つぎに,測定した時間帯に着目して見ると

(図-5),以下のような傾向が見える(平日・休日は同じ傾向)。・データ送信時間帯の夜ピークは首都圏と中部で

23時台。・東北や首都圏を除く関東では,やや早くそれぞれ

21,22時台。

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10

20

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100

データ送信者比(%)

Aコース Bコース

Cコース Dコース

1週 2週 3週 4週 5週 6週 7週 8週

指 導 員

体組成計

歩数計

血圧計

ゲートウェイ

★自宅にインターネット環境が整っており,ルータに専用ゲートウェイ用のLANケーブル差込み口の空きが必要。

無線・赤外線通信

インターネット

自 宅

インターネット

センサ機器

保健指導

健康情報確認Web

インターネット

図-4 コース別データ送信者比Fig.4-Rates of data senders by course.

図-3 ゲートウェイを利用した蓄積と健康作りサポートFig.3-Storage and fi tness support using gateway.

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PHRを活用したサービスへの取組み

とれる。● PHRの複合分析健康機器から収集した日々のバイタルデータだけでなく,健診データ,生活環境などを個人から入手することにより,よりきめの細かい保健指導が可能となる。

図-6は,居住空間やBMI値(注)と体重減少率の関係を表したものである。ワンルームマンションに

(注) Body Mass Indexの略。体重と身長の関係から割り出される肥満度を表す数値。

・近畿では,19時台をピークに23時台まで微減。・夜ピークが最も遅い地域は中国で0時台。首都圏を除く関東では,朝ピーク時の送信者比が夜と比較して非常に高い(約3倍)。

・中国や九州では朝ピークが5時台と他地域と比較して早い。これらの傾向は,一例に過ぎないが,職種別(営業,開発職など)や,性別などと組み合わせることによって,機器からのデータ収集状況からでも,個々人に最適な保健指導を考慮する基礎データが

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5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 0 1 2 3 4時

利用人数比(%)

首都圏関東(首都圏除く)北海道東北中部近畿中国四国九州

-0.27-0.07

-0.64

-0.23

-1.20

-0.11

-1.31

-0.31

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1

タイプ

体重増減(

kg)

20代30代40代50代以上

ワンルームマンション居住高BMI参加者群

非ワンルームマンション居住平均BMI参加者群

図-5 地域別/全日測定時間Fig.5-Measurement time of day by region.

図-6 居住タイプ・BMI別体重増減Fig.6-Weight increase or decrease by type of housing and BMI.

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PHRを活用したサービスへの取組み

奨対象者や生活習慣病の患者をレセプトでモニタリングし,適正受診から逸脱した場合は,注意喚起を促すようなアルゴリズムの開発を進めている。また,実証プロジェクトを通して,主に従業員の生活習慣病予防の観点で述べてきたが,将来的にPHR活用の範囲は,人の生活のあらゆるところにかかわる。富士通では,これらの活用に備えるプラット

フォームとしての健康情報基盤を富士通クラウド上に実装・提供していく。図-7にPHRを核にした健康情報サービスの提供イメージを示す。ここでは,大きく二つの視点でまとめている。(1) 個人の健康増進への取組み支援(2) 医療機関などでのより質の高いサービス提供個人の健康増進への取組み支援という切り口では,フィットネスクラブへの情報提供といった基本的なものから,飲食店や薬局など身近な生活にかかわる場所とのデータ連携の可能性を積極的に模索していく。医療機関などでのより質の高いサービス提供という観点では,身近なかかりつけの診療所での日々

居住している高BMIの参加者と,そうでない参加者の初期1箇月での体重の変化を年代別に比べたものである。ここからは,比較的年代が高い,高BMIのワンルームマンションの住居者は,本プロジェクトのような健康指導を実施することで体重を減少させる可能性が高いことを示している。今後,様々なデータを複合的に分析することで,効果的な指標を見つけ,事前に考慮することで,計画的かつ効果的な保健指導を実施することができると考える。

富士通が取り組むPHR活用サービス

例えば生活習慣病は,不健康な生活習慣の継続が虚血性心疾患や脳卒中などの重症化,合併症を引き起こし,ついには要介護状態になるなど病状の悪化とともに医療費の急増にもつながる。これらを抑制するためには,保険者自らが医療費分析を行い,生活習慣病を進行させない保健事業を実施する必要がある。富士通では,データ力を生かした発症予防と重症化予防のビジネスモデル構築を検討しており,とくに重症化予防では,受診勧

富士通が取り組むPHR活用サービス

ネットワーク社会の発達に伴い,新たなサービスの創出

個人

サービス企業

データの流れ

データ管理

病院

PHR

スポーツ施設

周辺住民

他医療施設小売業

通院/診断

個人の行動

・食材ビジネス(食材デリバリ)

・健康な生活・コミュニティ形成

・ターゲティング広告・効果的な体力づくり(健康状態に応じたトレーニングプラン)

・病診連携

飲食業

・健康状態に応じたメニュー提供

ダイエットサービス

フィットネスサービス

保険会社

・健康状態に応じた,きめ細やかな保険サービス

ドラッグストア

・健康状態に応じたサプリメント提供

PHRを核にした①個人の健康増進への取組み支援②医療機関などでより質の高いサービス提供

健康情報サービス基盤

体組成計 歩数計 血圧計

無線・赤外線通信

ゲートウェイゲーウェイ

図-7 PHRを核にした健康情報サービスFig.7-Health information service centered on PHRs.

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PHRを活用したサービスへの取組み

の水平・垂直統合によるサービス向上を目指し,業種を越えたサービスの連携が始まっている。このような動きの中,まさに人にかかわる「健康・生活」は重要なキーワードである。今後,人にやさしく,より暮らしやすい社会づくりを目指し,富士通クラウドを通して様々な健康情報サービスを提供していきたい。

参 考 文 献

(1) 健康保険組合連合会:平成22年度健保組合予算早期集計結果の概要.

http://www.kenporen.com/include/press/2010/ 20100407182058-0.pdf(2) 日本版PHRを活用した新たな健康サービス研究会:個人が健康情報を管理・活用する時代に向けて.

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/ service/downloadfi les/phr_houkoku_honbun.pdf(3) 厚生労働省:医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン.

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/ kojin/dl/170805-11a.pdf

の健康指導から,専門病院へのスムーズな連携や,医療機関内での日々の健康管理などを充実していく。また,これらのサービスにより蓄積したデータを,提供者の合意の上,研究機関などから利用できるようにし,社会全体がより良くなるような仕組みを実現していく。

む  す  び

冒頭に述べたようにPHRの定義は,個人が自らの生活の質(QOL)の維持・向上を目的として,個人が自らの健康情報を収集・保存・活用することである。この定義から分かるように,情報の保持者は消費者であり,自分の責任において,情報を開示し,サービスを享受する構造を想定している。まず,身近な所では,個々人の健康管理という側面で,蓄積したPHRから様々な知見を入れた複合分析を利用し,個々人の予防医療を支えるサービスを企業向けに提供していく。さらに,昨今スマートシティ構想に始まる

「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」が注目されており,様々な生活インフラ

む  す  び

梅川竜一(うめかわ りゅういち)

テレマティクスサービス本部サービスビジネス統括部 所属現在,健康・生活基盤サービスの企画・開発に従事。

石塚博司(いしづか ひろし)

コンバージェンスサービスビジネスグループ 所属現在,健康・生活基盤サービスの事業企画・マーケティングに従事。

大嶋 徹(おおしま とおる)

テレマティクスサービス本部サービスビジネス統括部 所属現在,健康・生活基盤サービスの開発に従事。

著 者 紹 介