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23 Ⅰ.はじめに 東京成徳大学八千代キャンパスは、1993年 (平成5年)に開学した。開学当時、人文学部 3学科であった東京成徳大学八千代キャンパス は、2011年(平成23年)現在では人文学部3学 科、応用心理学部3学科と規模を広げ、多く の卒業生を社会に送り出している。そして、東 京成徳大学男子バスケットボール部(以下、本 学)は、最初の運動部として1997年(平成9 年)に創部、その年に関東男子学生バスケット ボール連盟(平成9年に関東大学バスケット ボール連盟に改称)に加盟した。当時の関東男 子学生バスケットボール連盟は、1部リーグか ら9部リーグで編成されていた。各ディビジョ ンの所属大学数は、1部8大学、2部8大学、3部8 大学、4部8大学、5部A・Bグループ16大学、6部A・ Bグループ16大学、7部A・Bグループ16大学、8部A・ Bグループ16大学、9部A・Bグループ18大学となって おり、本学は加盟大学の最下位114位から競技活 動を開始した。この本学が所属する関東大学バ スケットボール連盟(以下、関東学連)は、 1923年(大正12年)の発足以来、常に我が国の 学生バスケットボール界を牽引してきた。ま た、競技力という観点においても、国内で最も レベルの高い連盟といえる。平成24年度で第64 回大会となる全日本学生バスケットボール選手 権大会を例に挙げると、決勝戦は第1回大会、 大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に― A Study of the Competitive Improvement of a University Men , s Basketball Team : A Report of the Activities of the TOKYO SEITOKU UNIVERSITY Team in the Kanto Collegiate Basketball Federation 川 北  準 人 Hayato KAWAKITA Hayato KAWAKITA 健康・スポーツ心理学科(Department of Health and Sports Psychology)

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Ⅰ.はじめに

 東京成徳大学八千代キャンパスは、1993年

(平成5年)に開学した。開学当時、人文学部

3学科であった東京成徳大学八千代キャンパス

は、2011年(平成23年)現在では人文学部3学

科、応用心理学部3学科と規模を広げ、多く

の卒業生を社会に送り出している。そして、東

京成徳大学男子バスケットボール部(以下、本

学)は、最初の運動部として1997年(平成9

年)に創部、その年に関東男子学生バスケット

ボール連盟(平成9年に関東大学バスケット

ボール連盟に改称)に加盟した。当時の関東男

子学生バスケットボール連盟は、1部リーグか

ら9部リーグで編成されていた。各ディビジョ

ンの所属大学数は、1部8大学、2部8大学、3部8

大学、4部8大学、5部A・Bグループ16大学、6部A・

Bグループ16大学、7部A・Bグループ16大学、8部A・

Bグループ16大学、9部A・Bグループ18大学となって

おり、本学は加盟大学の最下位114位から競技活

動を開始した。この本学が所属する関東大学バ

スケットボール連盟(以下、関東学連)は、

1923年(大正12年)の発足以来、常に我が国の

学生バスケットボール界を牽引してきた。ま

た、競技力という観点においても、国内で最も

レベルの高い連盟といえる。平成24年度で第64

回大会となる全日本学生バスケットボール選手

権大会を例に挙げると、決勝戦は第1回大会、

大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

A Study of the Competitive Improvement of a University Men,s Basketball Team : A Report of the Activities of the TOKYO SEITOKU UNIVERSITY Team

in the Kanto Collegiate Basketball Federation

川 北  準 人*

Hayato KAWAKITA

*HayatoKAWAKITA 健康・スポーツ心理学科(DepartmentofHealthandSportsPsychology)

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 20 号(2013)

て重要な役割を担っていることは疑う余地はな

い。平成23年度現在、我が国最大の119大学が

登録している関東学連では、1部から3部を上

位リーグ、4部以下を下位リーグと位置づけて

組織運営を行っている。関東学連の上位リーグ

は、伝統のある総合大学が多く占めており、新

設の大学が入り込むには困難を極める。このよ

うな関東学連の中で、本学は表1に示すような

競技成績を残してきた。

そして第22回大会を除くすべての大会が関東学

連所属大学間で争われており、ベスト8以上を

関東学連所属大学で占めることも多い1)。ま

た、日本が12年ぶりのベスト4に入った「第24

回ユニバーシアード競技大会」(2007,バンコ

ク)のメンバー12人中10名が、そして2012年6

月に発表された男子日本代表の17人中13人が関

東学連所属大学在学、または卒業していること

からも、関東学連が我が国の競技力向上におい

表1 関東学連における本学の競技成績

 2010年(平成22年)には悲願の2部昇格を果

たした。新設大学が、強豪大学ひしめく関東学

連において、この位置につけた例は皆無に等し

い。特に本学においては、他の上位リーグ所属

大学と比較して全国大会経験者が少なく(図

1)、長身選手がいない(図2)というハン

ディを負っている。2

13 12 1214106

1411

20

02468101214161820

図1 全国大会経験者(2部リーグ)注1)

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

 また、各大会の登録人数が20人と決まってい

る中(ベンチ登録は15人)、本学では2011年現

在で70人の学生が競技者登録をしている。この

部員数は、多くの体育系大学にも引けを取らな

い。このような状況におかれている本学では、

4年間を通じた個々の競技力・人間力の向上

と、その年度を戦うためのプランニングが重要

となる。つまり、戦術・戦略のみならず、高等

教育における課外活動団体として、社会に貢献

できる人材育成を達成するための組織運営が求

められる。残念ながら2011年(平成23年)の入

替戦において、東洋大学に1勝2敗で負けたこ

とにより3部降格となった本学ではあるが、

2部リーグにおいて、4勝14敗、5点差以内4

ゲーム、10点差以内7ゲームという結果を残し

た。全勝チームがなく、優勝チームが最下位

チームに負けている状況から、この年の2部

リーグは混戦状態であったといえる。この混戦

状態の中で、身体能力、経験値など様々な要素

で劣る本学ではあるが、十分戦えることが確認

できた。今後2部リーグ以上に定着するために

は、2011年度の戦いを振り返り、分析・考察す

ることによって問題点を明らかにし、チームの

課題を明確に提示することが重要となる。

 そこで本研究は、上位リーグで戦う中で生じ

る様々な問題点を解決するための有用な知見

を得ることを目的とした。本研究で得られる知

見は、同じ境遇、また同じ問題点を抱えている

チームが上位リーグ進出を目指す際に有益にな

ると考えられる。

Ⅱ.研究の枠組みと方法

1.本研究の枠組み

 本研究の目的を達成するための、研究枠組み

を図3に示す。分析・考察の視点として「2011

年の試合構想」、「練習プラン」、及び「リー

グ戦のスタッツ」に着目した。そして、この得

られた資料をPDCAサイクルを基に分析・考察

することによって問題を抽出し、具体的な課題

を提示することを試みる。

図3 本研究の枠組み

2.研究の対象

 本研究は、2011年9月3日から10月30日まで

開催された「第87回関東大学バスケットボール

リーグ戦(2部)」における、10チーム2回戦

総当たりの結果、そしてこの大会の準備期間と

なる1月の第5週から8月の第4週までの31週

間を対象とした注2)。

図2 2部リーグの平均身長比較

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3.分析の方法

 スタッツの分析には、『CyberSports for

BasketballVer.5』を使用した。また、本研究

ではリーグ戦中のスカウティングで参考にする

ことが多かった以下の5領域21項目を対象とし

た。

(1)SCORING

①TotalPoints

②TotalOpponentsPoints

③GoalDifferential(得失点差)

④PtsoffTurnovers

⑤PtsoffTurnovers(Opp.)

⑥PtsoffBench

⑦3PtAttempt

⑧3PtPoint

⑨FreeThrowPts

(2)SHOOTING

①FieldGoal%

②2PtGoal%

③3PtGoal%

④FreeThrow%

(3)BALLHANDLING

①Assists

②Turnovers

③Steals

(4)REBOUNDING

①TotalRebounds

②Off.Rebounds

③Def.Rebounds

(5)OTHER

①Off.Possessions注3)

②PtsperPossession注4)

 また、フィジカル・コンディショニングの分

析においては、「体重」、「体脂肪」、そして

「20mシャトルラン」の第1回測定(平成23年

2月6日実施)と第2回測定(平成23年7月24

日)の測定結果を基に分析・考察した。平均値

の差の検定には対応のあるt検定を用い、有意

水準は5%未満とした。

 さらに、課題の提示には組織論・マネジメン

トの先行研究を参考に、得られた知見に考察を

加えながら『戦略課題』と『戦術課題』に分類

して提示した。

Ⅲ.結果と考察

1.2011年の試合構想

 バスケットボール競技は、対峙する2チーム

間による得点比で争われるゴール型のスポーツ

である。ゲームの構造上、常に攻防が繰り返し

展開されるため、「ボール所有権」の争奪が勝

敗に大きな影響を与える2)3)。即ち、「ボー

ル所有権」を多く得ることによって、攻撃回数

を増加させ、より多く得点する機会が作られる

こととなる。大神らは、この「ボール所有権」

の中核要素として「リバウンド獲得」を挙げ

ており4)、その他にも多くの研究者及び指導

者がリバウンドの重要性を認めている5)6)7)

8)9)。また、長身選手が有利であるという研

究も幾つか報告されている10)11)12)13)14)15)16)

17)18)19)。これらの先行研究を踏まえると、本

学の場合長身選手がいない現状から、リバウン

ドという要素において他チームより不利な状況

であるといえる。しかし、低身ではあるが中・

長距離のショット力のある学生を多く揃えてい

る本学は、ショットを積極的に狙っていくこと

が得点を増加させることに繋がっているとも考

えられる。一般的には、低身チームが長身チー

ムと戦う場合、「ディレイド・オフェンス」注5)

等の方法も考えられる。しかし、本学はトラン

ジション注6)を速くし、常に動きながら積極的

なショットを狙っていくことを戦術として選ん

だ。なぜならば、脚を動かし続け、平面で優位

な位置を占めることによってショットが失敗し

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

レーニングでは不十分と考え、トレーニング・

コーチをチーム・スタッフに招き、ストレング

ス・コンディショニングの質と量を向上させる

試みをした。

 ここまで、2011年の試合構想を述べてきた。

この構想の基、本学が掲げた2011年のリーグ戦

の目標は「2部残留」である。下部との入替戦

に出ることも念頭に置き、リーグ戦を通じて

チーム力の向上を目指した。改めて、2011年の

試合構想をまとめると以下のようになる。

(1)2011年の目標:「2部残留」

(2)2011年の試合構想

  ①速いトランジション・ゲーム

  ②チェンジング・ディフェンスの導入

  ③フィジカル・コンディショニングの向上

2.練習プラン

 表4に、2011年シーズンの練習プランを示し

た。この年のチーム練習は、1月の第5週目か

ら開始した。本学が参加する関東学連の年間行

事としては、5月の「関東大学バスケットボー

ル選手権」、6月の「関東大学バスケットボー

ル新人戦」、そして9月から10月に開催される

「関東大学バスケットボールリーグ戦」があ

る。そこで本学の練習プランは、この主要3大

会を中心に、マトヴェーエフ20)、村木21)のト

レーニング理論を参考に立案した。

た時に、オフェンス・リバウンドに行き易くな

ると考えたためである。

 また、ディフェンスでは状況によって変化す

る「チェンジング・ディフェンス(表2)」注7)

を導入した。さらには、外国人留学生が多い2

部リーグにおけるインサイド・ディフェンスと

して「トラップ・ルール(表3)」注8)を採用

し、対戦相手によってトラップを仕掛ける選

手・角度・場所を変える工夫もした。

表2 本学のチェンジング・ディフェンス

表3 本学のトラップ・ルール(インサイド)

 これらの戦術を機能させるためには、オフェ

ンス・ディフェンスに関わらず40分間動き続け

ることができる有気的及び無気的な持久力と、

コンタクト・プレイに耐えることができる強

い身体が必要となる。そのためには、現状のト

表4 2011年シーズンの練習プラン

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スでは相手のショットミスを確実に点に繋げる

ことができず、課題を残す結果となった。

(4)5月第3週から6月第1週(週№21〜№23)

 5月第3週から6月第1週(週№21〜№23)

の3週間は、新人戦に向けての練習が中心と

なった。そのため、3年生と4年生は5月の第

3週をマクロ周期構成の移行期、メゾ周期構成

の回復とした。1年生と2年生は、高強度の練

習を継続しつつ、新人戦の準備を行った。

(5)6月第2週(週№24)

 6月の第2週(週№24)、「第51回関東大学

バスケットボール新人戦」では、日本体育大学

に83-68で敗退した。この時期は、マクロ・メゾ

周期構成共に試合期となる。この大会でも、関

東大学バスケットボール選手権同様、これまで

の練習の成果を確認することに努めた。この結

果、同じ2部リーグの日本体育大学を相手に、

良い試合ができたと感じている。特に、100ディ

フェンスは有効に機能し、多くのターンオー

バー注10)を誘発した。しかし、流れを引き寄せる

重要なフリースローのミスが多く、60点台に終

わったオフェンスに課題を残す結果となった。

(6)6月第3週から7月第4週(週№25〜№31)

 6月第3週から第4週(週№25〜№26)の2週

間をマクロ周期構成の移行期、メゾ周期構成の回

復とした。そして、6月の第5週から7月の第4週

(週№27〜№31)の5週間をマクロ周期構成の一

般的準備期、メゾ周期構成では最初の2週間を

通常、残りの3週間を強化とした。この時期は、ス

トレングス・コンディショニングの強化を中心に考

え、年間の中で最も負荷の高い時期といえる。有

気的能力の向上を目的とした段階的なランニング・

トレーニングのメニューを表5に示す。また、バス

ケットボールの技術的練習に関しては、個人技術

の向上を再度強化する時期と捉えた。そのため、

ボールハンドリング、シューティング・ドリル、そして

1対1の攻防が練習の中心となった。さらにリー

(1)1月第1週から2月第4週(週№1〜№9)

 1月の第1週から第4週まで(週№1〜№4)

は、チーム練習は行わず、自主的な個人練習を

行った。この時期は、トレーニング期分けにお

けるマクロ周期構成の移行期、メゾ周期構成の

回復・導入にあたる。チーム練習が開始された

1月の第5週から2月の第4週(週№5〜№9)

の5週間をマクロ周期構成の一般的準備期、メゾ

周期構成の導入・通常とした。この時期では、

個人技術の向上を狙った基礎的な練習を多く行

うと共に、今シーズンを戦うための試合構想を

理解させるためのミーティングも積極的に行っ

た。

(2)3月第1週から5月第1週(週№10〜№19)

 3月第1週から5月の第1週(週№10〜№

19)の10週間をマクロ周期構成の専門的準備

期、メゾ周期構成の強化とした。この時期で

は、3月の中旬に1日3回の練習を実施する強

化合宿、そして後半には2泊3日で高校生を対

象にした試合合宿を行った。また、ストレング

ス・コンディショニングでは、より実践に即し

た内容にしつつ、負荷を高めていった。しか

し、4月の第1週に「千葉県一般選手権大会」

があるため、試合合宿終了後、トレーニング量

を少なくすると共に試合を想定したスクリメー

ジ注9)が多くなった。

(3)5月第2週(週№20) 

 5月の第2週(週№20)、「第60回関東大学

バスケットボール選手権大会」では、明治大

学に75-52で敗退した。この時期は、マクロ・

メゾ周期構成共に試合期となる。この大会で

は、これまでの練習の成果を確認することに努

めた。この結果、1部リーグの明治大学を相手

に第3クォーター以外は、内容の良い試合がで

きたと感じている。特に、チェンジング・ディ

フェンスは有効に機能し、相手を70点台に抑え

たことは大きな収穫となった。一方、オフェン

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表5 ランニング・メニュー(有気的)

表6 リーグ戦までのスケジュール

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(1994)はこのような状態を、「スポーツ・パフォー

マンスの向上は、多面的な個々のトレーニング課

題と取り組み、それぞれのトレーニング状態の発

展と要素間の有機的統合・改善によって実現され

るものである。スポーツ・パフォーマンスを実現す

るスポーツ選手の多面的で総合的なしかも周期的

に更新されるトレーニング状態は、一般にスポー

ツ・フォーム(競技的状態)と呼ぶ」21)と述べてい

る。また、マトヴェーエフ(2003)はこのスポーツ・

フォームを、「適切なトレーニングを通じて競技的

発達の新しい段階毎に到達する最高の力を備え

た状態」20)と定義している。本学では、このよう

な理論の基、合理的な練習プランの構築を試み

た。

3.各大学の分析

 表7に、「第87回関東大学バスケットボール

グ戦への意識を高めるために、表6に示すスケ

ジュール表を体育館に掲示した。

(7)8月第1週から8月第4週(週№32〜№35)

 リーグ戦前の最後の調整期間となる8月第1週

から8月第4週(週№32〜№35)の4週間は、マク

ロ周期構成の専門的準備期、メゾ周期構成の強

化とした。この時期は、10日間の強化合宿を中心

に、チーム戦術の完成を目指した。また、ストレン

グス・コンディショニングに関しては、より試合に即

した種目を多く取り入れた。特にストレングス関連

では、リーグ戦を通じて強化していく姿勢と意識

を学生達に求めた。

 ここまで、2011年シーズンの練習プランを7段

階に分けて概観してみた。スポーツ・トレーニング

では、多面的かつ専門的なトレーニング課題に取

り組むことが必要である。この結果によって、最

も良い状態で試合に臨むことが期待できる。村木

表7 第87回関東大学バスケットボールリーグ戦(2部リーグ)結果

表8 第87回関東大学バスケットボールリーグ戦(2部リーグ)スタッツ

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

バウンドにおいて不利な状況でディフェンスするこ

とが多く、そのため失点が多くなったと推察でき

る。

(3)白鷗大学(12勝6敗3位)

 12勝6敗で3位の白鷗大学(以下、白鷗大)

は、1部-2部間の入替戦に出場し、専修大学

を相手に2敗で2部残留となった。「Points off

bench」、「3PtPoint」、「FreeThrowPts.」、

「3PtGoal%」、「Total Rebounds」、そして

「Def.Rebounds」の6項目でリーグトップの成

績を残している。長身の留学生を有する白鷗大

は、確実にリバウンドを取り、早いトランジション

を仕掛けてノーマークの3Ptショット、更には先

手を取った状況で効果的な1対1で相手のファ

ウルを誘っていたと推察される。しかし、リーグ

10位の「Turnovers」、及びリーグ8位の「Ptsoff

Turnovers(Opp.)」から、ミスの失点が多かっ

たことが確認できる。このことから、白鷗大は厚

い選手層を持ち、速い攻撃を仕掛け、多くの得点

を得ている一方で、そのリスクとして多くのターン

オーバーから失点をしていたと推察できる。

(4)駒澤大学(11勝7敗4位)

 昨年度、本学と共に2部昇格を果たした駒

澤大学(以下、駒大)は、11勝7敗で4位と近

年で最も良い成績を残した。「Total Points」、

「Pts offTurnovers」、「Pts offTurnovers

(Opp.)」、「3PtAttempts」、「FreeThrow

Pts.」、「Steals」、「Total Rebounds」、そし

て「Off . Rebounds」の8項目においてリーグ

上位の成績を残している。また、リーグ1位の

「FreeThrow%」、「Turnovers」、そして「Off.

Possessions」から、ミスが少なく効率の良いオ

フェンスをしていたことが確認できる。しかし、

リーグ8位の「PtsoffBench」から、選手層の薄

さが確認できる。このことから、駒大は限られた

選手間による洗練されたチーム・プレイで、効率

の良いオフェンスを展開していたと推察できる。

リーグ戦(2部リーグ)」の結果(星取表)、

及び表8にスタッツを示す。

(1)日本体育大学(14勝4敗優勝)

 14勝4敗で優勝した日本体育大学(以下、日

体大)は、1部-2部間の入替戦に出場し、慶應

義塾大学を相手に2勝で1部昇格を果たした。

「FieldGoal%」、「2PtGoal%」、そして「3Pt

Goal%」においてリーグ上位の成績を残している。

また、リーグ1位の「PtsoffTurnovers」、そして

リーグ3位の「Steals」から、相手のミスを効果的

にポイントに繋げていることが確認できる。しか

し、リーグ8位の「TotalRebounds」、リーグ7位

の「Off.Rebounds」、そしてリーグ6位の「Def.

Rebounds」から、リーグを通じてリバウンドで苦

しんでいたことが確認できる。一般的に、リバウ

ンド獲得数は、試合の勝敗に大きな影響を与え

る。このことから、日体大は、リーグ8位の「3Pt

Attempts」からも、速いトランジションの中では

比較的にノーマークになり易い3Ptショットを安

易に狙わず、質の高い確実なショットを選択してリ

バウンドの弱さを補っていたと推察できる。

(2)中央大学(13勝5敗準優勝)

 13勝5敗で準優勝した中央大学(以下、中大)

は、1部-2部間の入替戦に出場し、明治大学を

相手に1勝2敗で2部残留となった。優勝した

日体大に2勝している中大は、「TotalPoints」、

「GoalDifferential」、「FieldGoal%」、「2Pt

Goal%」そして「Pts.perPossession」の5項目に

おいてリーグ1位の成績を残している。また、リー

グ1位の「Steals」から、積極的にボールを取りに

行くディフェンスが確認できる。しかし、リーグ6

位の「TotalOpponentsPoints」、及びリーグ5

位の「Turnovers」から、失点の多さ、特にミスか

らの失点が多かったことが確認できる。リバウン

ド能力を見ると、中大は他を圧倒するほどの結果

を残している訳ではない。このことから、中大はオ

フェンス能力が高く攻撃回数が増える一方で、リ

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 20 号(2013)

る。順大は、特に秀でた記録が残せていないこと

から、今シーズンはプラン通りの試合展開ができ

ず、苦しい試合を余儀なくされたと推察できる。

(8)関東学院大学(7勝11敗8位)

 7勝11敗で8位となった関東学院大学(以下、

関学)は、2部-3部間の入替戦に出場し、江戸

川大学を相手に2勝1敗で2部残留となった。

リーグ10位の「PtsoffTurnovers」、リーグ9位の

「Turnovers」など、多くの項目から今シーズンの

苦戦が確認できる。しかし、「PointsoffBench」、

「FreeThrow%」、そして「Def.Rebounds」の3

項目においてリーグ上位の成績を残している。この

ことから、関学は選手層が厚くリバウンドで有利と

なったが、ミスからの失点が多く苦しい試合を余

儀なくされたと推察できる。

(9)法政大学(2勝16敗10位)

 2勝16敗で10位となった法政大学(以下、法

政)は、2部-3部間の入替戦に出場し、玉川大

学を相手に2勝1敗で2部残留となった。「Total

Points」、「TotalOpponentsPoints」、「Goal

Differential」、「Pts off Turnovers」、「2Pt

Goal%」、「TotalRebounds」「Off.Re-bounds」、

そして「Off.Possessions」の8項目でリーグ最下

位となっていることから今シーズンの苦戦が確

認できる。しかし、「Points offBench」、「3Pt

Attempts」、「3PtPoint」、「3PtGoa1%」、

そして「Off.Possessions」の5項目でリーグ上位

の成績を残している。このことから、法政は3P

ショット中心で戦ったが、その他で多くの問題を抱

え、苦しい試合を余儀なくされたと推察できる。

4.本学の分析

(1)速いトランジション・ゲームについて

 リーグ8位の「TotalOpponentsPoints」、

そしてリーグ9位の「GoalDifferential」から

本学のディフェンスの問題が確認できる。ま

た、リーグ9位の「FreeThrowPts」、リー

(5)国士舘大学(10勝8敗5位)

 平成20年度の「第60回全日本学生バスケッ

トボール選手権大会(インカレ)」において準

優勝を経験した4年生を有する国士舘大学(以

下、国士)は、10勝8敗で5位となった。「Total

Opponents Points」、「Turnovers」、「Total

Rebounds」、そして「Def.Rebounds」の4項目に

おいてリーグ上位の成績を残している。また、リー

グ9位の「Off.Possessions」から、スローテンポ

のオフェンスをしていたことが確認できる。しか

し、リーグ8位の「TotalPoints」、及びリーグ8位

の「PtsPerPossession」から、得点力の問題が確

認できる。このことから、国士は相手のショット・

ミスを確実にリバウンドし、得点力の低さをオフェ

ンス回数のコントロールで補っていたと推察でき

る。

(6)神奈川大学(9勝9敗6位)

 近年、2部に定着した感のある神奈川大学(以

下、神大)は、9勝9敗で6位となった。「Total

Opponents Points」、「Pts off Turnovers

(Opp.)」、そして「Off.Rebounds」の3項目にお

いてリーグ1位の成績を残している。また、リーグ

3位の「PtsoffTurnovers」、及び「Turnovers」

からミスが少なく、相手のミスを得点に繋げてい

たことが確認できる。しかし、リーグ9位の「Total

Points」、リーグ10位の「FieldGoa1%」、そして

リーグ10位の「Off.Possessions」から、得点力の

問題が確認できる。このことから、神大は得点力

の低さを補うために、失点を抑えつつ相手のミス

を得点に繋げていたと推察できる。

(7)順天堂大学(8勝10敗7位)

 本学と同じ千葉県で、常に上位リーグに所属し

ている順天堂大学(以下、順大)は、8勝10敗で

7位となった。辛くも入替戦を回避した順大は、

リーグ10位の「Points offBench」、及び「3Pt

Point」、そしてリーグ9位の「Def.Rebounds」な

ど、多くの項目から今シーズンの苦戦が確認でき

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

を仕掛け、ディフェンスを引き付け得点する

チームプレイが機能していた事が確認できた。

前述のファウルをもらうプレイが少なかった事

を踏まえると、本学は速いトランジション・

ゲームの中で3Pショットを狙い、チェックが

遅れたディフェンスをドライブで攻撃していた

と推察できる。つまり、ファウルを得るような

強いドライブではなく、ディフェンスを引き付

け、1対2の状態を作るドライブが多かったと

考えられる。

(2)チェンジング・ディフェンスについて

 前述したが、本学のディフェンスはリーグ8

位の「TotalOpponentsPoints」、そしてリー

グ9位の「GoalDifferential」という結果を残

している。そもそも、チェンジング・ディフェ

ンスは相手のリズムを狂わせ、自分たちのプラ

ンを実行し易くするために用いる。この実現の

ためには、最低限備わっていなければならない

ディフェンス能力があると考えられる。本学に

おいて、最も基本的なディフェンスがマンツー

マン・ディフェンスとなる。このマンツーマ

ン・ディフェンスがある一定水準に達していな

ければ、チェンジング・ディフェンスの効果は

期待できない。スミス・ナイト(1992)は、

トラップ・ディフェンスを多用するチェンジン

グ・ディフェンスを導入すると、ベースとなる

マンツーマン・ディフェンスが悪くなることを

指摘している22)。さらに、ナイト・ニューエ

ル(1992)は、「チェンジング・ディフェンス

はシーズン開幕当初に最大の効果を発揮する。

シーズン開幕当初の段階では、大抵のチームの

オフェンスはまだ最高の状態とは言い難いの

で、チェンジング・ディフェンスは、相手チー

ムによって現実的にやっかいな問題となる。こ

れはディフェンスを変化させることによって不

意打ちをかけられるからである。しかし、シー

ズンの中盤に入ると、この効果は薄れてしま

グ1位の「3PtAttempts」、そしてリーグ10

位の「3PtGoal%」からは本学のオフェンス

の問題が確認できる。リーグ9位の「Ptsper

Possession」が示すように、最も多くの3P

ショットを放っていながら、その確率は最も低

く、さらにフリースローの得点が低かった本学

のオフェンスには多くの課題が残った。そもそ

もフリースローを得るということは、積極的

な1対1によってファウルが発生するというこ

とを意味する。比較的に接触の少ない外角の3

Pショットを多用していた本学は、ファウルを

得るようなプレイが少なかったと推察される。

また、リーグ9位の「TotalRebounds」、そ

してリーグ2位の「Off.Possession」を踏まえ

ると、多くの攻撃を仕掛けている一方で、リ

バウンドが取れていない現状が確認できる。本

学は、安易に3Pショットを放ち、リバウンド

が取れない現状を解決できないままリーグ戦を

戦っていたと推察できる。

 これらの分析を踏まえると、本学の試合構想

であった「速いトランジション・ゲーム」が、

効果的に機能していなかったと推察できる。速

いトランジション・ゲームを仕掛けたことに

よって攻撃の回数は増えたが、決して質の高い

攻撃ではなく、むしろディフェンスの回数を増

やして失点を増加させたと考えられる。さら

に、平均得失点差-8.3という結果は、効果的

なオフェンスが展開されていれば、勝利する可

能性があったことを示唆するものである。なぜ

ならば、「低い得点のゲームは、ディフェンス

の確実な成功というよりも、むしろボールコン

トロールしたオフェンスの成功によるもので

ある」22)とスミス(1992)が述べているよう

に、本学のオフェンスはディフェンスへ多大な

影響を与えていたと考えられるからである。

 しかし一方で、リーグ1位の「Assists」が

示すように、速いトランジションの中で1対1

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 20 号(2013)

定結果を示す。約25週のトレーニング期間で、

体脂肪、及び有気的能力の指標となるシャトル

ランの測定結果に差異が確認できた。

表9 フィジカル・コンディショニング測定結果

第1回測定 第2回測定体   重 74.2±8.2 74.6±7.4

体 脂 肪 12.3±2.8 7.6±1.3*

シャトルラン 123.4±16.3 150.4±10.9*

*第1回測定<第2回測定

 体重の増加、つまり除脂肪体重の増加に大き

な変化が見られなかったのは、現在の学生ス

ポーツ選手の抱える食の問題があると推察され

る。そもそもトレーニングの効果は、トレーニ

ング・栄養・休養のバランスが不可欠であり、

選手一人ひとりの質の高い日常生活によって期

待できるものである。例えば、スポーツ選手に

おける栄養に関しては、消費カロリー量と摂取

カロリー量のバランス、必要な栄養素に関する

基礎知識、さらには栄養素摂取のタイミングを

含めたアスリートに求められるライフ・マネジ

メントなど、競技種目毎の技術・戦術と変わら

ない綿密な計画が必要である。曽我部・丸山ら

(2008)は、男子学生の食生活に関する研究の

中で、若年成人の朝食の欠食率が20歳代男性で

は34.3%と、1999年(平成11年)以降増加して

おり、野菜類の摂取量は「健康日本21」の目標

である350gに達しない251.7gであると報告して

いる。また、脂質からのエネルギー摂取比率

においても「健康日本21」の目標値である25%

以下に達しない27.1%であることから、我が国

の若年者に対する栄養指導・食育の必要性を指

摘している24)。さらに五島・小田崎(2006)

は、「運動部・サークルに所属している学生に

とって、食事・栄養は重要なものであるが、運

動部に所属している学生は、部活動が夜遅くま

う。なぜなら、オフェンスはこれらの変化を経

験し、それに慣れてしまうからである。シーズ

ンが徐々に終盤にさしかかり、いよいよトーナ

メントが開始されるとき、ほとんどのオフェン

スがこの奇襲攻撃を何ヵ月も経験し、適応して

きているため、その効果ははるかに低いものと

なる。したがって、ディフェンスが基本的な確

固たる土台を有していないならば、チェンジン

グ・ディフェンスの効果はシーズンの最も大切

な時期に最も低くなってしまう」23)と、述べ

ている。これらのことからも、本学のチェンジ

ング・ディフェンスは、基礎となるマンツーマ

ン・ディフェンスのレベルが低かったため、効

果的な結果が得られなかったと推察される。し

かし、あくまで印象に基づく私論ではあるが、

勝ちゲームとなった4試合では、ディフェンス

が機能していたと考えている。特にハーフコー

トにおけるゾーン・ディフェンスは、相手の攻

撃のリズムを狂わせるのに有効であったと考え

ている。

 チェンジング・ディフェンスの効果を、デー

タ分析だけで述べるのは難しい。また、“ある

一定水準”のディフェンス能力を規定すること

も難しい。そこで、リーグ戦の印象に基づく私

論を交えて分析すると、本学のチェンジング・

ディフェンスは一部の試合では有効に機能して

いたが、リーグ全般を戦うレベルには達してい

なかったと推察される。その要因の一つとして

は、最も基本的なマンツーマン・ディフェンス

が、ある一定水準に達していなかったためであ

り、シーズンを通じて対戦チームはチェンジン

グ・ディフェンスに慣れ、そして対応してきた

ため、効果的なプランに至らなかったと推察さ

れる。

(3)フィジカル・コンディショニングの向上

について

 表9にフィジカル・コンディショニングの測

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

対戦相手であれば負ける可能性が高くなる。そ

れゆえ、戦略・戦術を計画することはチーム

にとって重要な課題となる27)。そもそも、戦

略・戦術とは戦争用語であり、近年では当たり

前のように競技スポーツで用いられている。ク

ラウゼビッツ(1965)は、『戦争論』のなかで

戦略を「ある目的を達成するために、いつ、ど

こで、どんな戦闘を行い、その結果を如何に利

用するかということを定め、その目的に沿う

ように軍隊の配置・移動・補給を統制するこ

と」、そして戦術を「戦場で軍隊や兵器を使っ

て如何に戦うかということ」28)と、定義して

いる。そこで本研究では、戦略・戦術を競技ス

ポーツの現場で用いるために、戦略を“複数の

敵(大学)が存在することを前提として、その

敵に勝つこと(立場的に有利になることも含

む)を目的とした総合的な目標、方針”、そし

て戦術を“その目標を達成するための具体的な

手段、方法”と、定義したい。

 また、ドラッガー(2001)は、「あらゆる組

織において、共通のものの見方、理解、方向付

け、努力を実現するためには、その組織の目的

と使命を定義する必要がある」29)と、述べて

いる。これは、高等教育における課外活動の一

環として展開される、様々な事業の根幹とな

る理念を明確にする必要性を示唆するもので

ある。そこで、高等教育における競技スポーツ

活動、そして甚だ浅い歴史ではあるが十数年の

活動実績から、本学の目的と使命を“バスケッ

トボール競技を通じた人間教育”と、定義した

い。この“人間教育”とは、高等教育機関で行

われる競技スポーツ組織の活動を実社会の縮

図と捉え、社会人基礎能力(コミュニケーショ

ン、実行力、積極性等)、そして人間性・基本

的な生活習慣(思いやり、公共心、倫理観、基

礎的なマナー、身の回りのことを自分でしっか

りやる等)を意味し、単に基礎学力だけを向上

であり、部活動の後にアルバイトを行うと夕食

時間が不規則になり、夜更かしや朝寝坊につな

がり、その結果、朝食が摂取できないことが考

えられる。このような生活習慣では、トレーニ

ングの効果を期待できない場合もあろう。学生

は、食事・栄養の重要性を知っていても実践が

伴いにくいといえる」25)と、述べている。学

生の生活習慣に関しては、大野ら(2003)も

「若者では健康・栄養に関する知識があり、健

康の大切さを認識していてもそのための実践が

伴わないものが多い」26)と、報告している。

本学の場合、技術・戦術・トレーニングに関す

るミーティングは多く行ったが、その一方で

栄養に関する指導が不十分であったと考えら

れる。そのため、トレーニング・栄養・休養の

均衡が崩れて、期待された効果が得られなかっ

たと推察される。また、フィジカルの測定にお

いては測定内容・測定種目が不充分であり、ト

レーニングの効果と競技力の向上を関連付ける

には充分な資料が得られていないのが現状であ

る。本来であればトレーニングの原則に基づ

き、様々な要素を全面的に測定する必要があ

る。以上のことから、平成23年度の「フィジカ

ル・コンディショニングの向上」は、スポー

ツ・ライフ・マネジメントの観点から今後さら

に検討する余地があるといえる。

5.課題の提示

 チーム・スポーツであるバスケットボールに

おいて、戦略・戦術の共通理解は、試合の勝敗

を左右する重要な問題といえる。バスケット

ボールにおける試合は、多くの要素から構成さ

れており、決して一義的な捉え方はできない。

また、前もってすべての対策を考慮できるもの

でもない。したがって、選手自身が戦術に関

する知識、戦術のバリエーションや選択肢を充

分に身につけていない場合には、同じレベルの

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 20 号(2013)

キャンパスが20周年を迎える2013年(平成25

年)を起点とした『戦略課題』を表10に示し

た。

表10 本学の戦略課題

(2)戦術課題として

①チーム状況を踏まえたゲームプランの構築

 学生が、適切な戦術行動ができるようになる

には、制約された時間の中で複合的な状況を単

純化し、さらにそこから重要な要素を識別して

自分のプレイの中にとりいれる必要がある。そ

のためには、試合に臨む前に、試合の中で現れ

る様々な戦術課題の合理的な解決方法を身につ

け、さらに課題を効果的に解決するために必要

な個々の能力を高めておかなければならない。

平成23年度の本学は、「速いトランジション・

ゲーム」を目指した。しかし、この戦術は中大

や白鷗のようなオフェンス能力に優れ、且つ

ディフェンス・リバウンドで不利にならない

チームに有効な戦術である。そもそも本学は、

長身選手がいない不利を平面で補うことを目的

とし、「速いトランジション・ゲーム」を目指

した。しかし結果は、守る回数が増えディフェ

ンスへの負担が大きくなった。失点を抑えるた

させるという意味ではない。

 ここまで、単に競技力向上のみを目的とした

戦略では、本学の目的を達成することはできな

いことを述べてきた。2011年(平成23年)現在

で70人の学生が競技者登録をしている本学で

は、バスケットボール競技を通じた人材育成と

いう観点も念頭に置いて戦略を構築していかな

ければならない。ドラッガー(2001)は、この

人材育成の基本は、「育てるのではなく、育つ

環境を提供する必要がある」29)と、述べてい

る。また、「チームの目的は、メンバーの強み

をフルに発揮させ、弱みを意味のないものにす

ることである。こうして一人ひとりが力を発揮

する。大事なことは一人ひとりの強みを共同の

働きに結びつけることである」30)と、述べて

「人は最大の資産である」29)ことを強調して

いる。

 これらのことを勘案し、先に述べた「平成

23年度の試合構想」、「練習プラン」、及び

「リーグ戦のスタッツ」に着目した分析・考察

から、今後本学が上位リーグ定着に必要と考え

られる課題を、『戦略課題』と『戦術課題』に

分類し、私論を加えながら提示したい。

(1)戦略課題として

 戦略課題を検討するためには、マネジメント

の観点を用いて長期的な視野で俯瞰する必要が

ある。そこで、ウィリアム・E・ピーコックの

『戦争の九原則』31)から、今日の大学競技ス

ポーツに活用できると考えられる、次の六原則

に着目した。

①目的の原則

②作戦行動の原則

③攻勢の原則

④奇襲の原則

⑤指揮系統一本化の原則

⑥簡潔の原則

 以上の六原則を基に、東京成徳大学八千代

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

 これらの理論は、一般論として学生に広く浸

透しているであろう。しかし、実際には理解は

できているが、実践が伴っていないのが現実で

ある。そこで、「スポーツ・ライフ・マネジメ

ント教育」の導入を試みる。この試みは、図5

が示すように導入期から始まり、発展期、そし

て成熟期の3段階で展開していく。図6は、導

入期における自己点検の記入用紙であり、毎回

の練習前後に学生が各々記入していく。皆の目

に触れることで、意識の向上を促す。この導入

期では、「生活の見直し」を狙う。

図5 �本学におけるスポーツ・ライフ・マネジメント�

教育の発展過程

 発展期では、定期的な「栄養講座」を開催し

てアスリートに必要な栄養知識を身につけ、実

践できる態度を育成する。特に、発展期では、

食事の内容と摂取時間、さらには積極的な休息

を理論的に理解する。この発展期では、「生活

の質の改善」を狙う。

東京成徳大学男子バスケットボール部スポーツ・ライフ・マネジメント自己点検表

平成 年 月 日

図6 �スポーツ・ライフ・マネジメント自己点検表

めには、意図的なボール・コントロールが必要

であると、多くの研究者及び指導者が認めて

いる。本学は、神大のようにオフェンスのテン

ポをコントロールし、ミスと失点を抑えるよう

な戦術をとる必要があったと考えられる。つま

り、ディビジョン内における相対的なオフェン

ス能力をシーズンの早い段階で見極めて、試合

構想に反映させることが上位リーグにおいては

求められると考えられる。孫子の兵法におい

て、「彼を知り己を知れば百戦して危うから

ず」32)とあるように対戦相手の分析はもとよ

り、自らのチームを客観的に分析することは、

毎年選手が入れ替わる学生競技スポーツにおい

て重要な課題といえる。表4の「2011年シーズ

ンの練習プラン」を鑑みて考察すると、シーズ

ン初期の段階で、本学が展開したいオフェン

ス・ディフェンスの戦術的なプランを構築しつ

つ、週№20、そして週№24で実施される二つの

大会から、競合する各大学の情報を収集しなけ

ればならない。そして、得られたデータによっ

てプランされた戦術が実行可能であるか判断

し、週№25〜週№35のリーグ戦に向けたトレー

ニング期を過ごす必要があると考えられる。

②スポーツ・ライフ・マネジメント教育の実践

 前述したが、現代社会における学生はライ

フ・マネジメントに様々な問題を抱えている。

合理的なトレーニングの効果は、図4が示す

「トレーニング」、「栄養」、そして「休養」

のバランスが重要である。

トレーニング(練習)

栄 養 休 養

図4 トレーニング効果に影響する三大要素

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 20 号(2013)

4)奇襲の原則

5)指揮系統一本化の原則

6)簡潔の原則

②戦術課題

1)チーム状況を踏まえたゲームプランの構築

2)スポーツ・ライフ・マネジメント教育の実践

Ⅴ.今後の課題

 今回の研究では、上位リーグで戦う中で生じ

る様々な問題点を解決するための有用な知見を

得ることを目的としたが、本質的な目的を達成

するためには継続的な研究が必要であると感じ

ている。特に、『戦略課題』と『戦術課題』は

現時点において机上の理論に過ぎない。引き続

きPDCAサイクルによる体系化を試みて、蓄積

されたデータを基に長期的展望で理論構築をす

る必要があると思われる。

注1)第87回関東大学バスケットボールリーグ戦

のパンフレットを参考に作成した。

注2)入替戦のプランはリーグ戦とは異なるので

本研究では、リーグ戦のみを対象とした。

注3)Off.Possessionsとは、18試合総攻撃回数

で、( )内は1試合平均の総攻撃回数を指

す。

注4)PtsperPossessionとは、そのチームが試合

を通じて1回のボール所有に対して平均何得

点したかを指し、次の公式で求められる。

  1試合の得点 ÷ 1試合の総攻撃回数

  = PtsperPossession

注5)ディレイドとは、意図的なボール・コントロー

ルによって、ショットまでの時間を遅らせる戦

術行動で、主にオフェンス能力の高い相手と

の試合や、クォーターまたはゲーム終盤に用

いる。

 そして成熟期では、自らの意志と知識で、ア

スリートとしての日常生活をマネジメントでき

る能力を身につけ、競技のパフォーマンスに繋

げていく。この成熟期では、「スポーツ・ライ

フ・マネジメント能力の習得」を狙う。

Ⅳ.まとめ

 本研究の目的は、2011年の2部リーグにおけ

る本学の「2011年の試合構想」、「練習プラ

ン」、及び「リーグ戦のスタッツ」に着目し、

そして、この得られた資料をPDCAサイクルに

よって分析・考察することによって問題を抽出

し、具体的な課題を提示することであった。

 結果をまとめると次の通りとなる。

(1)Plan

①速いトランジション・ゲーム

②チェンジング・ディフェンスの導入

③フィジカル・コンディショニングの向上

(2)Do

①第87回関東大学バスケットボールリーグ戦(2部)

 4勝14敗9位

②有気的能力の測定結果が向上

③体脂肪の測定結果が向上

④除脂肪体重の増加は確認できなかった

(3)Check

①ゲーム・プランに問題あり

②基礎的なディフェンスに問題あり

③有機的能力の向上は効果あり

④アスリートに必要なライフ・マネジメントに

 問題あり

(4)Action

①戦略課題

1)目的の原則

2)作戦行動の原則

3)攻勢の原則

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大学男子バスケットボールの競技力向上に関する一考察 ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を事例に―

注6)トランジションとは、攻撃と防御の変わり目

のことであり、オフェンスにとってはボール所

有権が自分たちに移り、チームが攻撃の態勢

に移るまでの対応の仕方を指す。

注7)チェンジング・ディフェンスとは、チームでの

一定の約束事に従ってディフェンスの方法を

変える戦術行動を指す。

注8)トラップ・ルールとは、特定の状況、場所そし

て人に対して罠を仕掛け、ボールを奪う戦術

行動を指す。

注9)スクリメージとは、アメリカンフットボールの

用語がバスケットボールに引用されたもので、

攻防の往復数、ゴール数、時間等の条件を決

めて習熟度合を確認する5対5形式の練習

を指す。

注10)ターンオーバーとは、オフェンス側がミスプ

レイやバイオレーションによってボールの保持

を失うことを指す。本研究では、オフェンス・

ファウルもターンオーバーとして数えた。

引用・参考文献1)全日本学生バスケットボール連盟(2010),60年のあゆみ全日本学生バスケットボール連盟,pp.351-389.

2)ベースボール・マガジン社編(2004),BasketballMAGAZINE,p.12.3)吉井四郎(1969),スポーツ作戦講座Ⅰ・バスケットボール,不眛堂書店,p.12.4)大神訓章,野寺和彦,長門智史(2007),バスケットボールゲームにおける高さとうまさがリバウンドボール獲得に及ぼす影響,山形大学紀要第14巻 第2号,pp.159-171.5)武井光彦,江田昌佑,日高明(1984)、バスケットボールのリバウンドボール獲得についての一考察,大学体育研究第6号,pp.21-28.6)武井光彦,笠原成元,畑誠之助,清水信行(1984),バスケットボールにおけるリバウンドポジションについて,筑波大学体育科学研究第1巻,pp.93-99.

7)ジェリー・クロウゼ(1997),バスケットボールコーチングバイブル,大修館書店,p.20.

8)倉石平(1996),ディフェンシブバスケットボール,ベースボール・マガジン社,pp.10-11.

9)Wooden,J.R.著,内山治樹他訳(2000),UCLAバスケットボール,大修館書店,p.236.

10)古川昌弘(1966),バスケットボール競技に於ける身長の位置,体育学研究Ⅵ-5,p.181.

11)古川昌弘(1970),バスケットボール競技に於ける身長の位置―東京・メキシコオリンピックより―,体育学研究ⅩⅤ-5,p.215.

12)鳴海寛,福田廣夫(1977),バスケットボール競技における身長差と勝敗について,日本体育学会第28回大会号,p.495.

13)鳴海寛,岩淵直作,佐藤光毅,渡辺弘,花田明彦,福田廣夫,三浦一雄(1979),オリンピック大会バスケットボール競技の身長と成績の関係についての研究―身長とオフェンス,ディフェンス別リバウンド獲得本数―,日本体育学会第30回大会号,p.492.

14)鳴海寛,岩淵直作,佐藤光毅,渡辺弘,花田明彦,福田廣夫,三浦一雄(1980),オリンピック大会バスケットボール競技の身長と成績との関係についての研究(第2報)―身長とオフェンス,ディフェンス別リバウンド獲得本数―,日本体育学会第31回大会号,p.544.

15)鳴海寛,岩淵直作,佐藤光毅,渡辺弘,花田明彦,福田廣夫,三浦一雄(1981),オリンピック大会バスケットボール競技の身長と成績との関係についての研究(第3報)―選手の身長の変遷並びに出場時間を考慮した場合の身長と成績―,日本体育学会第32回大会号,p.548.

16)鳴海寛,岩淵直作,佐藤光毅,渡辺弘,花田明彦,福田廣夫,三浦一雄(1983),オリンピック大会バスケットボール競技の身長と成績との関係についての研究(第4報)―出場時間を考慮した場合の高身長選手の有利性について―,日本体育学会第34回大会号,p.503.

17)大神訓章,佐々木桂二,児玉善廣,吉田健司(2006),バスケットボールゲームにおける高さとうまさによる分析的研究―アテネオリンピックにおけるアメリカ男子チームの戦力分析―,山形大学紀要(教育科学)第14巻第1号,pp.35-47.

18)吉井四郎(1987),現代スポーツコーチ全集・バスケットボールのコーチング・基礎技術編,大修館書店,pp.254-255.

19)吉井四郎(1977),現代スポーツコーチ全集・バスケットボールのコーチング・戦法作戦編,大修館書店,pp.306-311.

20)L.P.マトヴェーエフ(2003),スポーツ競技学,

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Page 18: ―関東大学バスケットボール連盟における東京成徳大学の活動を … · 023-040川北準人氏.indd 23 13/02/19 16:44 24 東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部―

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東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 20 号(2013)

NAPLimited,pp.221-253.21)村木征人(1994),スポーツ・トレーニング理論,ブックハウス・エイチディ,pp.62-83.22)ディーン・スミス(1992),マルティプルオフェンス&ディフェンス,日本文化出版,pp.13-15.pp.197-204.23)ボブ・ナイト,ピート・ニューエル(1992),ウィニング・バスケットボール―勝つための理論と練習方法―,大修館書店,pp.42-43.24)曽我部夏子,丸山里枝子,佐藤和人,五関(曽根)正江(2008),男子学生における喫煙と食生活状況および食生活に対する意識との関連性について,日本公衆衛生雑誌55(1),pp.30-36.25)五島淑子・小田崎正典(2006),運動習慣の有無からみた大学生の食生活,山口大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要第21号,pp.51-61.

26)大野佳美・大坪芳江・井澤美佐代・押谷奈緒子・岸本麻紀・長田久美子・田村俊秀・石津日出子・笠井八重子(2003),青年期男女の健康観と食生活に関する研究,日本食生活学会誌14(3),pp.177-184.

27)ヤーン・ケルン(1998),スポーツの戦術入門,大修館書店,pp.22-23.

28)クラウゼヴィツ(1965),戦争論,徳間書店,pp.117-118.

29)ドラッガー(2001),マネジメント,ダイヤモンド社,p.22,p.66,p.79.

30)ドラッガー(1991),非営利組織の経営,ダイヤモンド社,p.172.

31)ウィリアム・E・ピーコック(1985),企業指揮官のための戦争の原則,二見書房,pp.31-32.

32)守屋洋(1984),孫子の兵法,三笠書房,pp.61-63.

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