豊かな自然を未来につなぐ “イオン ふるさとの森イオン ... · 2020. 6. 3. · 豊かな自然を未来につなぐ “イオン ふるさとの森イオン
2章 細胞の分子mail2.nara-edu.ac.jp/~masaki/CBL-SITE/Other_files/2章...2. 無機イオン...
Transcript of 2章 細胞の分子mail2.nara-edu.ac.jp/~masaki/CBL-SITE/Other_files/2章...2. 無機イオン...
-
2章 細胞の分子
-
細胞の組成
化学物質�
水�
無機イオン�
リン脂質�
タンパク質�
炭水化物�
核酸�
-
1. 水 H2O water
細胞に最も豊富に存在する物質は水で、細胞重量の70%〜90%を占める。
水分子は電気的極性を持つ
共有結合(電子対を共有する)
水素結合 hydrogen bond 水の電気的極性により別の極性分子とくっつく事ができる
-
化学反応と水
有機分子は水の付加によって分解される 2つの有機分子が脱水されることで、水分子が抜けて共有結合が生じる
2糖類のスクロースは分解されてフルクトースとグルコースになる
アミノ酸同士のペプチド結合がこれにあたる
脱水—縮合反応dehydration-condensation
reaction
加水分解hydrolytic cleavage
-
水分子のイオン化と pH 水は可逆的にイオン化して H+ と OH- イオンを生じる
H20 ⇆ H+ + OH- これはごく一部の水分子におこる(純水109分子中 2 分子)
ほとんどが H20 分子である
H+ イオン濃度は pH で表現する ・・・(1)
水の中の H+ のイオン濃度は、25℃ で 10-7 M この式から計算すると pH = 7.0 となる
H+イオンとOH-イオンの比は 25℃ で、 1:1であり 酸と塩基が等しい状態で中性である
H+イオンとOH-イオンの濃度をかけたものを
水のイオン積 ion product (Kw)とよぶこれは、下の式に示すように、10-14である
Kw = [H+] [OH-] = 10-7 x 10-7 = 10-14
つまり、pHの最大値は、pH 14 である
因に最低値は?
H2O の分子量は18、1L の質量を1000 とすると、H2Oは、1000/18 = 55.6 mol あることになります。つまり、H2O が全て解離すると(そんなこ
とはまずありませんが)、 [H+]は55.6 mol/L 存在します。
pH は(1)の式で与えられますので、この式にこの値を代入すると、
pH = Log (18/1000) = -1.74 と理論上では計算できます。
しかしながら,pH メーター等を用いた計測では、正確に測定出来る限界は 1 までとなる。
-
pH
HCl (H+とCl-) のような酸性物質を加えると、H+イオン濃度が増加し, (1)式の分母がふえる ので、pHは小さくなり、酸性に傾く
NaOH (Na+とOH-) が加わると、加えられた OH- イオンにより、 H+ と OH- イオンがすぐさま 結合して水を作る反応が進み、
やがて H+ イオンが取られて減少し、(1)式の分母がへるので、pHは大きくなり、アルカリ性に 傾くのである
H+ イオン濃度は pH で表現する ・・・(1)
OH- + H+ → H20
-
生物系の pH
pH 7.2〜7.3
pH は、細胞質とは異なりミトコンドリアに関しては低いと考えられる
血漿のpHはわずかにアルカリ性 pH 7.4
胃では、H+ イオンと Cl- イオンの分泌 酸性 pH 1.3〜3.0
-
2. 無機イオン inorganic ions
陰イオン anion
陽イオン cation
生物に見つかる元素�
K+イオン
Na+イオン細胞の膜電位等に関係�
Mg2+イオン
Ca2+イオン筋肉の収縮等に関係�
Mn2+イオン
Fe2+イオン
Co2+イオン
Cu2+イオン
Zn2+イオン
酵素活性等に関係�
Cl-イオン
PO43-イオン
HCO3-イオン
陽イオンと同等な量存在
膜電位
浸透圧調節
pH�調節等
に関係�
-
細胞の有機分子 cellular organic molecules
「有機物の定義」 本来 「生物由来」とか、「生物の構成要素となる もの」現在 「炭素を含む化合物で、CO2 や炭酸カルシウムなどを含まないもの」
タンパク質 アミノ酸 protein amino acid核酸 ヌクレオチド nucleic acid nucleotide
炭水化物 糖 carbohydrate sugar脂質 脂肪酸 lipid fatty acid
-
アミノ酸の基本骨格�
3. タンパク質 protein
タンパク質は、アミノ酸により構成されている
protein
amino acid
アミノ基 カルボキシル基
側鎖アミノ酸の性質を決める
中性ではイオン化している
アミノ酸は、ペプチド結合により鎖を形成する�������������������������������������これをタンパク質の1次構造という�
アミノ酸 =�ペプチド�peptide
2つのアミノ酸 �=�ジペプチド�peptide
多数のペプチド�=�ポリペプチド polypeptide
アミノ酸には光学異性体、L型 と D型 が存在する ただし、生体内では、L型 のみが合成されている
dextro-rotatory(右旋性)、levo-rotatory(左旋性)に由来!dextro、levoはそれぞれギリシャ語の右、左を意味する�
-
アミノ酸の種類
酸性�
塩基性�
非電荷性�
非極性�
分子内で正負の電荷が不均等な分布を示すため、電気的極性をもつ分子
-
2次構造�
水素結合�NH-OC
タンパク質の構造
1次構造�
α-helix" β-sheet"
3次構造�
疎水性相互作用�
4次構造�
ファンデルワールス力
イオン結合
ジスフィルド結合�
-
変性
denature
熱処理
pH変化
界面活性剤�機能を失う�
・細胞内で化学反応を触媒するほとんどすべての酵素 enzyme はタンパク質から出来ている・細胞の形を形作る細胞骨格とよばれるものは、そのほとんどがタンパク質から出来ている・膜では、チャンネルやポンプといったイオンの透過やエネルギー生成に関与しているものもある・リボソームは核からの遺伝情報を翻訳する機械であるが、これもタンパク質である・核の中にもタンパク質は存在し、染色体をまとめているヒストンなどがある・また、タンパク質を分解するタンパク質も存在し、プロテアーゼ protease とよばれる酵素である
タンパク質の機能
-
細胞の有機分子 cellular organic molecules
タンパク質 アミノ酸 protein amino acid核酸 ヌクレオチド nucleic acid nucleotide炭水化物 糖 carbohydrate sugar脂質 脂肪酸 lipid fatty acid
-
RNA
AGUC
+ P +
DNA
AGTC
+ P +
塩基
4. 核酸とヌクレオチド nucleic acid and nucleic acid
核酸はヌクレオチド から構成される
ヌクレオチド nucleotide の基本構造�
リボース
ribose
デオキシリボース
deoxyribose
糖
リン酸
尿酸�
-
核酸 nucleic acid
糖の3位と5位の炭素の位置でリン酸ジエステル結合がおこり、
ヌクレオチドが連結されたものが核酸である
5’端�����������3’端の方向に合成される
5’ A-G-C-T-T-A-C-A 3’
�
リン酸
ジエステル結合�
-
DNAの構造
DNA では、2本の核酸の鎖が螺旋状になって存在する
これは、塩基の間で水素結合が生じているからである
水素結合はピリミジン環とプリン環
の間でおこる
水素結合�
ピリミジン
TC
プリン
AG
T は A とC は G と 組になる相補的関係
-
細胞の有機分子 cellular organic molecules
タンパク質 アミノ酸 protein amino acid核酸 ヌクレオチド nucleic acid nucleotide炭水化物 糖 carbohydrate sugar脂質 脂肪酸 lipid fatty acid
-
5. 炭水化物 carbohydrate
炭水化物は、糖から構成される�
細胞においてもっとも重要な糖は、なんといってもグルコース glucose である グルコースはエネルギー代謝の中心的位置におり、核酸のリボースやデオキシリボースもグルコースに由来する
グルコースは α と β の立体配置をとるため、グルコ ース同士の結合方式が 2 種類できる
グルコース分子は幾つかの異なった方法で結合し、多糖と呼ばれる長鎖をつくるグリコーゲン glycogen 動物細胞での糖貯蔵に関わるデンプン starch 植物細胞での糖貯蔵に関わるセルロース cellulose 植物細胞の細胞壁の主成分
-
デンプンやグリコーゲンα 立体配置をとる1位の炭素ととなりの糖の4位の炭素間で
酸素原子を介して結合をおこす
これを α1-4 結合という
また、1位の炭素と隣の6位の炭素間で炭素原子を介した結合を起こす
これを α1-6 結合という
セルロース グルコース分子が β 立体配置をとるので、 1位の炭素がとなりの4位の炭素と結合を起
こす
これを β1-4 結合とよぶ
糖鎖の結合様式
炭水化物は、糖が連結した鎖状になったものである�
-
細胞の有機分子 cellular organic molecules
タンパク質 アミノ酸 protein amino acid核酸 ヌクレオチド nucleic acid nucleotide炭水化物 糖 carbohydrate sugar脂質 脂肪酸 lipid fatty acid
-
6. 脂質 lipid 脂質とは、脂肪酸や、グリセロールリン酸や極性基から構成される
�����fatty acid glycerol phosphate polar group
極性基�
グリセロールリン酸�
脂肪酸�
飽和脂肪酸� 不飽和脂肪酸�
飽和脂肪酸�
不飽和脂肪酸�
コリンCholine
エタノールアミンEthanolamine
疎水性
親水性
2重結合
炭素の手が
水素で飽和
していない
�
ねじれる�
-
疎水性
親水性
脂質の集まり
ミセル
親水性
親水性
疎水性水�水�
水�
-
7. 細胞の構造体を構成する高分子の集合
フェリチン ferritin肝細胞の中で鉄を貯蔵しているタンパク質
アクチン繊維 actin filament 無数のアクチンタンパク質分子が結合して長い繊維状の構造になる
細胞の骨格として働くフラジェリン flagellin
細菌の鞭毛は、フラジェリンと云うタンパク質の分子集合によって作られる
チューブリン tubulinこれも球状のタンパク質であるが、数珠つなぎの繊維が、13本リング状に結合し管状構造をつくり出している。
タンパク質のそのほとんどは、多くの場合複数のポリペプチド鎖が、組み合わさってより4次構造を形づくり、一つの機能的構造体として存在する
この構造体を構成するそれぞれのポリペプチド鎖を亜単位 subunit(サブユニット)とよぶ