学校建築研究「複合化された小学校における、管理運営上の問題と交流実態に関する研究」東京23...

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■目次 第 一 章:序 1.1 調査背景 1.2 統計データ 1.3 研究目的 第二章:研究内容 2.1 対象事例 2.2 研究方法 2.3 データシート 第三章:研究事例集 3.1 ■千代田区 1和泉小学校 2昌平小学校 3千代田小学校 4麹町小学校 3.2 ■足立区 5千寿双葉小学校 3.3 ■中央区 6月島第三小学校 7晴海中学校 8日本橋小学校 3.4 ■新宿区 9牛込仲之小学校 10四谷小学校 3.5 ■台東区 11上野小学校 12千束小学校 3.6 ■大田区 13久原小学校 3.7 ■文京区 14昭和小学校 3.8 ■品川区 15第一日野小学校 16伊藤学園 第 四 章:考 察 カテゴライズ 区ごとの分類 図面パターン 個別エピソード 総合的結果 結果からのヒント 第 五 章:展 望 可能性について 継続調査の必要性 第六章:参考文献 参考既往研究・ 第 七 章:謝 辞 学校建築研究 「複合化された小学校における、管理運営上の問題と交流実態に関する研究」東京 23 区を事例として - "The possibility of complexed buildingtype, especially elementary school" 古谷誠章研究室 1X07A040-5 長 侑希 Example “how to choose” 小学校 複合施設 交流できると予測される場所 ] (全国市町村数 3,234 市町村) 学校施設以外の施設との複合施設 195 市町村 [ 6.03 % 内訳文教施設以外の施設との複合施設 74 市町村 [ 2.29 % (文部科学省最新調査 H8/05/01) ] (*全国学校複合施設 469 校中) 複合形態:同一敷地内建物 260 校 [ 55.4 % 複合形態:同一建物内 151校 [ 32.2 % ] 複合形態:余裕教室の転用 58校 2.1 対象事例 - 選定方法 - Choose exapmples (全国;小学校数 24,235 校) 複合施設となっている公立小学校数 367 校 [ 1.51 % ] 複合施設となっている公立中学校数 102 校 [ 0.97 % ] (全国;中学校数 10,537 校) 合計;複合施設となっている公立小中学校数 469 校 [ 1.35 % ] 区名称 小学校名称 複合化している機能 2.2研究方法 -Research method 先生 :施設・学校間の交流を聞き出す。 :背景/現状・交流頻度/展望・今後の希望 :プログラム的にくまれた交流を聞き出す。(七夕会/老人感謝デー) :プログラム的にくまれた交流を聞き出す。(七夕会/老人感謝デー) :背景/現状・交流頻度/展望・今後の希望 :偶発的におこっている交流を聞き出す。 (どこで/いつ/だれが/何人くらい) :背景/現状・交流頻度/展望・今後の希望 :偶発的におこっている交流を聞き出す。 (どこで/いつ/だれが/何人くらい) (なるべく長くいる先生にインタビュー) (なるべく長くいる人にヒアリング) 管理職の先生(校長/教頭) 現場の先生 ○○運営者 現地の人 :複合化の経緯と狙いを聞く。 :複合化に至る背景/現状/展望 :なぜ結成したのか・当時の状況/現状/展望 :学校と複合化した経緯/現状/展望 デイケア担当の人 図書館担当の人 社会教育館担当の人 幼稚園担当の人 区役所 教育委員会 部署間チーム ○○課の人 問題点 今後も増? 問題に対する策? プロセス (住民との議論?) まず東京23 区役所全て に電話による予備調査を 行い、都内の複合化された 小学校の母数を悉皆的に 調査した。その結果2010 年時点で115 校の複合化 小学校が確認された。その 後、直接区役所に行き、115 校分ほぼ全ての図面を入 手した。 115 校中30 校が余裕教 室転用による機能複合化 された小学校である。 (2000 年時点より13 校増 加) その為、予め、23 区内の複 合化小学校の図面を手に 入れて、その上で、複合化 内部での交流がある程度 意識された空間が、図面に 現れているものに限って、 事例を選定した。 合計17 校(23 区内)の小 学校に決定。 1.1 調査背景 - 複合化に求められるもの - 人口の自然減への転向、少子高齢化、人口動態の変化に 伴う社会構造の変化、または情報機器の発達による生活 パターンの変化、都市の高密度化、それらの変化は既存 の概念に対して変革を要求する。古くから存在した学校 もまた、近代に入って国家事業として整備・管理される ようになってから、全国一様に配置されるようになった が、社会の変化に伴い施設そのものが固定的に存在し続 けることが難しくなってきた。それは学校が、共有財産 であり皆に開かれるべきものだという市民意識の変化な どが理由の一つに挙げられる。このような意識変化など 質的な変化が伴って学校で行われる機能そのものも、見 直される局面にきている。 1.3 研究目的 Purpose of investigation 本研究は複合化された小学校もしくは小学校と 共に複合化された施設の間で行われている連携活 動や交流の実態を明らかにし、同時に複合化され た小学校がどのように計画されたかを分析し、複 郡司洋介著「学校建築研究~余裕教室転用による機能複合化に関する研究~」 2000 年度時点調査で計 17 校 (余裕教室転用型機能複合化のみ) 2010 年電話による調査 計 30 校 (余裕教室転用型機能複合化のみ) 13 校増加 25 校増加 2010 年電話による調査 計 80 校(幼稚園との複合を除く) 斉藤潔著「東京都における公立小中学校と地域公共施設との複合化事例にお ける建築概要に関する実態調査」 2003 年時点調査で計 55 校 (複合化された小学校) 1.4既往研究 -Recent Research ヒアリング・データシート(教育委員会向け) ヒアリング・データシート(他部署向け) Qa1. 複合化された、それぞれの小学校について、複合化した経緯をお話ください。 (例: 区役所内での方針決め、住民とのやり取りなど・・) (例: 他施設との複合によって齎されたメリット、もしくは問題点など・・) Qa2. 複合化された、それぞれの小学校について、現状をどう捉えているかお話しください。 Qa3. その(Qa2 から引き続き)現状は当初の計画通りですか?予想外なこと、いいこと、悪いこと 含めて教えてください。 Qa4. 複合化小学校が誕生した経緯を振り返って、いま、あなたが思う複合化小学校が児童に与える 良い影響とは何だと思いますか? (例: 新築、余裕教室利用含め今後、小学校複合化は増えるか、また、その場合は現状を踏まえ どう変化を加えたいなど・・) Qa5. 今後に対する展望をお聞かせください。 Qb1. 複合化された、それぞれの小学校に併設された施設ついて、複合化した経緯をお話ください。 (例: 部署間を超えたチームが結成されたなど・・) (例: 小学校との併設されたことによって齎されたメリット、もしくは問題点など・・) Qb2. 複合化された、それぞれの小学校に併設された施設について、現状をどう捉えていますか? Qb3. その(Qb2 から引き続き)現状は当初の計画通りですか?予想外なこと、いいこと、悪いこと 含めて教えてください。 Qb4. 小学校に併設された複合化施設が誕生した経緯を振り返って、いま、あなたが思う複合化小学校が 施設利用者(    )に与える良い影響とは何だと思いますか? (例: その施設(    )と小学校との複合化は増えるか、また、その場合に既存事例を踏まえた 希望など・・) Qb5. 今後に対する展望をお聞かせください。 他 . 教育委員会は、複合化された学校の先生や、施設の人から現状を聞いたりするのか?(頻度も) 複合化の際いっしょになる 施設を担当された方 ヒアリングシートサンプル 2.3 データシート-Hearing Sheet 平面分析シートサンプル Chiyoda Elemenntary School <各階平面図> 地上1階平面図 Scale: 1/700 14m 7 3.5 0 地上2階平面図 Scale: 1/700 14m 7 3.5 0 小学校諸室 小学校廊下 管理諸室 階段 EV 複合施設廊下 屋外 複合施設諸室 [Page. 065] 図書館入り口↑ 図書館↑ 図書館と小学校の接続部↑ 幼稚園と小学校を繋ぐ廊下↑ 6,7F へ行く為のエレベーター↑ 6,7F への入り口↑ 多目的ホール まちかど図書館 校庭 職員室 幼稚園 幼稚園 幼稚園 入り口 エントランス □複合用途 幼稚園 / こども園 / アフタースクール / 児童館 中学校 / 図書館 / 社会教育施設 / 文化センター 区民館 / 総合体育館 / プール貸し出し / 教育研 修所 / 教育センター / 障害者施設 / 高齢者施設 出張所 / 家庭支援センター ■基本的な建築に関する項目 05. 複合施設の利用者層 A) 地域の高齢者 /B) 親 /C) 会社員 /D) 中高生 E) 小学生でも利用可能 /F) 教師職員 G) 限定利用者(幼児など)/H) 地域以外の人 06. 複合施設の利用率 A) 良好に利用されている。 B) あまり利用されていない。 C) 限定的な利用がされている。 D) 全く利用されていない。 07. 複合施設の利用時間帯 A) 小学校の運営時間帯と同時間帯 B) 小学校の放課後時間帯 C) 小学校終了時間以降 D) 土日祝日 ■利用状況などソフト面に関する項目 08. 交流場所 A) 校庭 /B) 廊下 /C) 共用スペース(内部) D) 共用スペース(外部) 09. 交流場所の視線共有について A) あり /B) なし 10. 動線分離 A) 入り口が別であることにより動線が分離さ れている。 B) 入り口が一緒であるが、内部の動線が分離 されている。 C) 入り口が別であるが、内部の動線が一緒に なる場所がある。 D) 入り口が一緒であり、内部の動線も一緒で ある。 ■空間的な事に関する項目 11. 施設間交流について A) プログラム的な交流が盛んに行われている。 B) 自然な交流が盛んに行われている。 C) プログラム的交流且つ自然な交流、両方が 行われている。 D) 交流はあまり行われていない。 12. プログラム的な交流について 4.1 分析 - カテゴライズ Analysis categorize 5 つの項目について文責を行った。 ■建築の基本的情報 ■空間的な事に関する項目 ■利用状況などソフト面に関する項目 ■複合施設内、施設間交流に関する項目 ■立地に関する項目 A) 小学校の行事や授業として実行される。 B) 複合施設の企画やイベントとして実行され る。 C) 区役所の企画やイベントとして実行される。 13. プログラム的な交流の企画方法 A) 双方職員の打ち合わせにより企画 B) 片方の企画イベントの告知のみ(ポスター等) 14. プログラム的な交流の目的 A) 教育目的のため B) 文化活動のため 15. 職員同士の関係について A) 盛んな情報共有が行われている。B) 必要に応 じた情報共有が行われている。 C) 年に一回のみ情報を連絡している。 D) 全く連絡は取っていない。 ■複合施設内、施設間交流に関する 16. 周辺環境 A) 住宅街 /B) 高層マンション街 /C) 繁華街 D) ビジネス街 / 17. 地域住民の小学校に対する愛着 A) あり /B) なし 18. 地域住民の属性 A) 祖父母世代・父母世代両方が住んでいる。 B) 父母世代のみ住んでいる。 C) 小学校に関係のない人たちが多い。 19. 地域住民同士の関係 A) 絆が強い。 B) まあまあ関係がある。 C) 全く関係を保っていない。 ■立地に関する項目 A) 住宅街 /B) 高層マンション街 C) 繁華街 /D) ビジネス街 17. 地域住民の小学校に対する愛着 A) あり /B) なし 18. 地域住民の属性 A) 祖父母世代・父母世代両方が住んでいる。 B) 父母世代のみ住んでいる。 C) 小学校に関係のない人たちが多い。 19. 地域住民同士の関係 A) 絆が強い。 B) まあまあ関係がある。 予備調査 115 校  電話ヒアリング、平面図分析 ヒアリング調査 本調査 17 校 9 月上旬~10 月上旬 29日間 現地調査 ( 動線、交流実態 ) 6 月上旬 6日間 動線についてのシート <まとめ(複合形態/管理運営/交流実態)> [Page. 043] 複合化した際の特徴的な計画 小学校 幼稚園 区民図書室 複合化のデメリット 複合化した理由 文部科学省の「インテリジェント・スクール構想」→ 幼稚園の統廃合が重なった こども園と小学校→年間 10-15 時間の割合で交流 こども園の先生と小学校の先生→適宜相互連絡 年下の園児との交流で 世話をする大切さを学ぶ 次年度に小学生にあがる 年長にとって交流は経験 となる 子供を介して地域と繋が っていると感じる事がで きる 小学校の先生にも小さい 子供の事を知ってもらえる 校庭利用時に小学生の投 げるボールを気をつけな ければならない 小1プロブレムの解消 敷地が狭く校庭などを クラブ活動で分けて使う など不便が多い 特に新しいことは考えて いない(今の状態に満足) (読み聞かせなど) (交流授業や防災関係) 校庭利用のスケジュール 特に校長と園長の関係が良 同じこども園を卒業した児童が園の先生に 会いにくることがある 図書館では、一般の人が子供に声をかける等 こども園の職員室 図書館のロビー 教員同士バレーボールなど で交流をしている。 交流給食も実施 行事にこども園も参加 インテリジェント・スクール構想による地域生涯施設との複合化 01 和泉小学Izumi Elemenntary School *「高度の情報通信機能と快適な学習・生活空間を備えた本格的な環境として 施設を整備するとともに , 地域共通の生涯学習 , 情報活動の拠点として , その 機能を最大限有効に活用する方策を , 地域の状況や施設の特性に応じて進め ていく」 *(小1に挙るときのギャップ) (↑文部科学省 HP より ) <動線/ Circulation> 小学校諸室 小学校廊下 管理諸室 階段 EV 複合施設廊下 屋外 複合施設諸室 [Page. 044] 複合施設利用者 小学校 職員室 区民図書室 こども園 こども園職員室 校庭(中二階) スロープ Ground Level プール 01 和泉小学Izumi Elemenntary School <周辺地域> [Page. 045] 和泉小学校 (↑Google Earth より) JR 秋葉原駅 01 小学校Izumi ElemenntarySchool 3.1 調査集成 -Data base 建築の基礎情報シートサンプル 周辺環境シートサンプル ] (*全国学校複合施設 469 校中) (文部科学省最新調査 H8/05/01) 文教施設と複合化している学校数 施設種類:児童福祉 97校 [ 20.7 % ] 施設種類:高齢者福祉 13校 [ 2.8 % ] 施設種類:行政機関 45校 [ 9.6 % ] 施設種類:その他 20校 [ 4.3 % ] 他施設と複合化している学校数 174 施設種類:社会教育 236校 [ 50.3 % ] 施設種類:社会体育 88校 [ 18.3 % ] 施設種類:その他文教施設等 49校 [ 10.4 % ] 372*学校と複合化した機能種別 *複合形態 *複合化された小学校の数 合施設の空間性と交流との関係性を明らかにする ことを目的とする。

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The possibility of complexed buildingtype, especially elementary school 本研究は複合化された小学校もしくは小学校と共に複合化された施設の間で行われている連携活動や交流の実態を明らかにし、同時に複合化された小学校がどのように計画されたかを分析し、複合施設の空間性と交流との関係性を明らかにする ことを目的とする。

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Page 1: 学校建築研究「複合化された小学校における、管理運営上の問題と交流実態に関する研究」東京23 区を事例として」

■目次第 一 章:序 1.1 調査背景 1.2 統計データ 1.3 研究目的

第 二 章:研 究 内 容2.1 対象事例2.2 研究方法2.3 データシート

第 三 章:研 究 事 例 集3.1 ■千代田区 1和泉小学校 2昌平小学校 3千代田小学校 4麹町小学校3.2 ■足立区 5千寿双葉小学校3.3 ■中央区    6月島第三小学校    7晴海中学校    8日本橋小学校3.4 ■新宿区    9牛込仲之小学校    10四谷小学校3.5 ■台東区    11上野小学校    12千束小学校3.6 ■大田区    13久原小学校3.7 ■文京区    14昭和小学校3.8 ■品川区    15第一日野小学校    16伊藤学園

第 四 章:考 察    カテゴライズ    区ごとの分類    図面パターン    個別エピソード    総合的結果    結果からのヒント

第 五 章:展 望    可能性について    継続調査の必要性第 六 章:参 考 文 献    参考既往研究・第 七 章:謝 辞

学校建築研究「複合化された小学校における、管理運営上の問題と交流実態に関する研究」東京 23 区を事例として -"The possibility of complexed buildingtype, especially elementary school"

古谷誠章研究室1X07A040-5 長 侑希

Example “how to choose”

小学校

複合施設

交流できると予測される場所

]

]

(全国市町村数 3,234 市町村)

学校施設以外の施設との複合施設

195市町村 [ 6.03 %

内訳文教施設以外の施設との複合施設

74市町村 [ 2.29 %

(文部科学省最新調査H8/05/01)

]

(*全国学校複合施設 469 校中)

複合形態:同一敷地内建物260校 [ 55.4 % ]

複合形態:同一建物内151校 [ 32.2 % ]

複合形態:余裕教室の転用58校

2.1 対象事例 - 選定方法 - Choose exapmples

(全国;小学校数 24,235 校)

複合施設となっている公立小学校数

367校 [ 1.51 % ]

複合施設となっている公立中学校数

102校 [ 0.97 % ]

(全国;中学校数 10,537 校)

合計;複合施設となっている公立小中学校数

469校 [ 1.35 % ]

区名称 小学校名称 複合化している機能

2.2研究方法 -Research method

先生

:施設・学校間の交流を聞き出す。

:背景/現状・交流頻度/展望・今後の希望:プログラム的にくまれた交流を聞き出す。(七夕会/老人感謝デー)

:プログラム的にくまれた交流を聞き出す。(七夕会/老人感謝デー)

:背景/現状・交流頻度/展望・今後の希望:偶発的におこっている交流を聞き出す。 (どこで/いつ/だれが/何人くらい)

:背景/現状・交流頻度/展望・今後の希望

:偶発的におこっている交流を聞き出す。 (どこで/いつ/だれが/何人くらい)

(なるべく長くいる先生にインタビュー)

(なるべく長くいる人にヒアリング)

管理職の先生(校長/教頭)

現場の先生

○○運営者

現地の人

:複合化の経緯と狙いを聞く。

:複合化に至る背景/現状/展望

:なぜ結成したのか・当時の状況/現状/展望

:学校と複合化した経緯/現状/展望

デイケア担当の人図書館担当の人社会教育館担当の人幼稚園担当の人

区役所教育委員会

部署間チーム

○○課の人

問題点

今後も増?問題に対する策?プロセス

(住民との議論?)

 まず東京23 区役所全てに電話による予備調査を行い、都内の複合化された小学校の母数を悉皆的に調査した。その結果2010 年時点で115 校の複合化小学校が確認された。その後、直接区役所に行き、115 校分ほぼ全ての図面を入手した。 115 校中30 校が余裕教室転用による機能複合化された小学校である。(2000 年時点より13 校増加)

↓その為、予め、23 区内の複合化小学校の図面を手に入れて、その上で、複合化内部での交流がある程度意識された空間が、図面に現れているものに限って、事例を選定した。

↓合計17 校(23 区内)の小学校に決定。

1.1 調査背景 - 複合化に求められるもの - 人口の自然減への転向、少子高齢化、人口動態の変化に伴う社会構造の変化、または情報機器の発達による生活パターンの変化、都市の高密度化、それらの変化は既存の概念に対して変革を要求する。古くから存在した学校もまた、近代に入って国家事業として整備・管理されるようになってから、全国一様に配置されるようになったが、社会の変化に伴い施設そのものが固定的に存在し続けることが難しくなってきた。それは学校が、共有財産であり皆に開かれるべきものだという市民意識の変化などが理由の一つに挙げられる。このような意識変化など質的な変化が伴って学校で行われる機能そのものも、見直される局面にきている。

1.3 研究目的 Purpose of investigation 本研究は複合化された小学校もしくは小学校と共に複合化された施設の間で行われている連携活動や交流の実態を明らかにし、同時に複合化された小学校がどのように計画されたかを分析し、複

郡司洋介著「学校建築研究~余裕教室転用による機能複合化に関する研究~」

2000 年度時点調査で計 17 校(余裕教室転用型機能複合化のみ)

2010 年電話による調査計 30 校(余裕教室転用型機能複合化のみ)

13 校増加

25 校増加 2010 年電話による調査計 80 校(幼稚園との複合を除く)

斉藤潔著「東京都における公立小中学校と地域公共施設との複合化事例における建築概要に関する実態調査」

2003 年時点調査で計 55 校(複合化された小学校)

1.4既往研究 -Recent Research

ヒアリング・データシート(教育委員会向け))んさ         課        ()んさ         課        (

ヒアリング・データシート(他部署向け)

Qa1. 複合化された、それぞれの小学校について、複合化した経緯をお話ください。(例: 区役所内での方針決め、住民とのやり取りなど・・)

(例: 他施設との複合によって齎されたメリット、もしくは問題点など・・)Qa2. 複合化された、それぞれの小学校について、現状をどう捉えているかお話しください。

Qa3. その(Qa2 から引き続き)現状は当初の計画通りですか?予想外なこと、いいこと、悪いこと   含めて教えてください。

Qa4. 複合化小学校が誕生した経緯を振り返って、いま、あなたが思う複合化小学校が児童に与える   良い影響とは何だと思いますか?

(例: 新築、余裕教室利用含め今後、小学校複合化は増えるか、また、その場合は現状を踏まえ    どう変化を加えたいなど・・)

Qa5. 今後に対する展望をお聞かせください。

Qb1. 複合化された、それぞれの小学校に併設された施設ついて、複合化した経緯をお話ください。(例: 部署間を超えたチームが結成されたなど・・)

(例: 小学校との併設されたことによって齎されたメリット、もしくは問題点など・・)Qb2. 複合化された、それぞれの小学校に併設された施設について、現状をどう捉えていますか?

Qb3. その(Qb2 から引き続き)現状は当初の計画通りですか?予想外なこと、いいこと、悪いこと   含めて教えてください。

Qb4. 小学校に併設された複合化施設が誕生した経緯を振り返って、いま、あなたが思う複合化小学校が   施設利用者(    )に与える良い影響とは何だと思いますか?

(例: その施設(    )と小学校との複合化は増えるか、また、その場合に既存事例を踏まえた    希望など・・)

Qb5. 今後に対する展望をお聞かせください。

他 . 教育委員会は、複合化された学校の先生や、施設の人から現状を聞いたりするのか?(頻度も)

複合化の際いっしょになる施設を担当された方

ヒアリングシートサンプル

2.3 データシート-Hearing Sheet

平面分析シートサンプル

Chiyoda Elemenntary School

<各階平面図>

地上1階平面図

Scale: 1/70014m73.50

地上2階平面図

Scale: 1/70014m73.50

小学校諸室小学校廊下管理諸室階段EV複合施設廊下

屋外複合施設諸室

[Page. 065]

図書館入り口↑

図書館↑

図書館と小学校の接続部↑

幼稚園と小学校を繋ぐ廊下↑

6,7F へ行く為のエレベーター↑

6,7F への入り口↑

多目的ホール

まちかど図書館

校庭

職員室

幼稚園

幼稚園

幼稚園入り口

エントランス

□複合用途幼稚園 /こども園 /アフタースクール /児童館中学校 /図書館 /社会教育施設 /文化センター区民館 /総合体育館 /プール貸し出し /教育研修所 /教育センター /障害者施設 /高齢者施設出張所 /家庭支援センター

■基本的な建築に関する項目05. 複合施設の利用者層A) 地域の高齢者 /B) 親 /C) 会社員 /D) 中高生E) 小学生でも利用可能 /F) 教師職員G) 限定利用者(幼児など)/H) 地域以外の人06. 複合施設の利用率A) 良好に利用されている。B) あまり利用されていない。C) 限定的な利用がされている。D) 全く利用されていない。07. 複合施設の利用時間帯A) 小学校の運営時間帯と同時間帯B) 小学校の放課後時間帯C) 小学校終了時間以降D) 土日祝日

■利用状況などソフト面に関する項目08. 交流場所A) 校庭 /B) 廊下 /C) 共用スペース(内部)D) 共用スペース(外部)09. 交流場所の視線共有についてA) あり /B) なし10. 動線分離A) 入り口が別であることにより動線が分離されている。B) 入り口が一緒であるが、内部の動線が分離されている。C) 入り口が別であるが、内部の動線が一緒になる場所がある。D) 入り口が一緒であり、内部の動線も一緒である。■空間的な事に関する項目11. 施設間交流についてA) プログラム的な交流が盛んに行われている。B) 自然な交流が盛んに行われている。C) プログラム的交流且つ自然な交流、両方が行われている。D) 交流はあまり行われていない。12. プログラム的な交流について

4.1 分析 - カテゴライズ Analysis categorize5 つの項目について文責を行った。■建築の基本的情報■空間的な事に関する項目■利用状況などソフト面に関する項目■複合施設内、施設間交流に関する項目■立地に関する項目

A) 小学校の行事や授業として実行される。B) 複合施設の企画やイベントとして実行される。C) 区役所の企画やイベントとして実行される。13. プログラム的な交流の企画方法A) 双方職員の打ち合わせにより企画B) 片方の企画イベントの告知のみ(ポスター等)14. プログラム的な交流の目的A) 教育目的のためB) 文化活動のため15. 職員同士の関係についてA) 盛んな情報共有が行われている。B) 必要に応じた情報共有が行われている。C) 年に一回のみ情報を連絡している。D) 全く連絡は取っていない。

■複合施設内、施設間交流に関する16. 周辺環境A) 住宅街 /B) 高層マンション街 /C) 繁華街D) ビジネス街 /17. 地域住民の小学校に対する愛着A) あり /B) なし18. 地域住民の属性A) 祖父母世代・父母世代両方が住んでいる。B) 父母世代のみ住んでいる。C) 小学校に関係のない人たちが多い。19. 地域住民同士の関係A) 絆が強い。B) まあまあ関係がある。C) 全く関係を保っていない。

■立地に関する項目A) 住宅街 /B) 高層マンション街C) 繁華街 /D) ビジネス街17. 地域住民の小学校に対する愛着A) あり /B) なし18. 地域住民の属性A) 祖父母世代・父母世代両方が住んでいる。B) 父母世代のみ住んでいる。C) 小学校に関係のない人たちが多い。19. 地域住民同士の関係A) 絆が強い。B) まあまあ関係がある。

予備調査 115 校  電話ヒアリング、平面図分析

ヒアリング調査本調査 17 校9月上旬~10 月上旬 29日間 現地調査 ( 動線、交流実態 )

6月上旬 6日間

動線についてのシート

<まとめ(複合形態/管理運営/交流実態)>

[Page. 043]

複合化した際の特徴的な計画

態実流交な的生発然自態実流交な的ムラグロプ

複合化のメリット小学校 幼稚園 区民図書室

複合化のデメリット

今後の展望(交流に対する意識)

所場生発の流交度頻絡連の士同者理管

複合化した理由

文部科学省の「インテリジェント・スクール構想」→

幼稚園の統廃合が重なった

こども園と小学校→年間 10-15 時間の割合で交流

こども園の先生と小学校の先生→適宜相互連絡

年下の園児との交流で世話をする大切さを学ぶ

次年度に小学生にあがる年長にとって交流は経験となる

子供を介して地域と繋がっていると感じる事ができる

小学校の先生にも小さい子供の事を知ってもらえる

校庭利用時に小学生の投げるボールを気をつけなければならない

小1プロブレムの解消

敷地が狭く校庭などをクラブ活動で分けて使うなど不便が多い

特に新しいことは考えていない(今の状態に満足)

(読み聞かせなど)

(交流授業や防災関係)

校庭利用のスケジュール特に校長と園長の関係が良

同じこども園を卒業した児童が園の先生に会いにくることがある

図書館では、一般の人が子供に声をかける等

こども園の職員室

図書館のロビー

教員同士バレーボールなどで交流をしている。

交流給食も実施行事にこども園も参加

インテリジェント・スクール構想による地域生涯施設との複合化

01 和泉小学校Izumi Elemenntary School

*「高度の情報通信機能と快適な学習・生活空間を備えた本格的な環境として

施設を整備するとともに , 地域共通の生涯学習 , 情報活動の拠点として , その

機能を最大限有効に活用する方策を , 地域の状況や施設の特性に応じて進め

ていく」

*(小1に挙るときのギャップ)

(↑文部科学省HPより )

<動線/Circulation>

小学校諸室小学校廊下管理諸室階段EV複合施設廊下

屋外複合施設諸室

[Page. 044]

複合施設利用者

小学校

職員室

区民図書室

こども園

こども園職員室

校庭(中二階)

スロープ

Ground Level

プール

01 和泉小学校Izumi Elemenntary School

<周辺地域>

[Page. 045]

和泉小学校

(↑Google Earth より)

JR 秋葉原駅

01 和泉小学校Izumi Elemenntary School

3.1 調査集成 -Data base

建築の基礎情報シートサンプル 周辺環境シートサンプル

]

(*全国学校複合施設 469 校中)(文部科学省最新調査H8/05/01)

文教施設と複合化している学校数

施設種類:児童福祉

97校 [ 20.7 % ]

施設種類:高齢者福祉

13校 [ 2.8 % ]

施設種類:行政機関

45校 [ 9.6 % ]

施設種類:その他

20校 [ 4.3 % ]

他施設と複合化している学校数

174校

施設種類:社会教育

236校 [ 50.3 % ]

施設種類:社会体育

88校 [ 18.3 % ]

施設種類:その他文教施設等

49校 [ 10.4 % ]

372校

*学校と複合化した機能種別

*複合形態

*複合化された小学校の数

合施設の空間性と交流との関係性を明らかにすることを目的とする。

Page 2: 学校建築研究「複合化された小学校における、管理運営上の問題と交流実態に関する研究」東京23 区を事例として」

・異世代間の交流や、お互いの施設を上手に利用しているなど、複合化による互恵性が得られている地域では、交流が学校内に留まらず地域との連携が進んだり、町中での自然な会話を産んだり、と活動が地域へと展開されている。

事例 : 台東区立上野小学校

・交流はプログラム型交流と自然発生型交流の2種類に分けられる。・共通の校庭や中庭といった空間を介して自然発生的な交流を促していると言える。 設計時の共用空間の工夫によって交流を活発化させることが可能と考えられる。事例:新宿区立四谷小学校。

[ 考察 2] 複合化学校で作られる関係性が地域へと展開する

5. 考察 Anaryze[ 考察 1] 自然発生型の交流の発生に必要な共用空間

7. 展望 Prospsct管理動線について、今後、さらに詳しい複合化計画時の動線配置や共通空間に関する意図を、設計者にヒアリングすることができれば、本研究で調査した交流実態と比較することが可能となる。

6 結論 Conclusion・自然発生型交流には施設をつなぐ共通の空間が必要と言える。・複合化学校で作られる関係性が地域へと展開する可能性を持つ。・よりよい管理動線は設計時に、時間帯別利用も含め、深く考慮されるべきである。

[ 考察 3] 管理の課題点近年施設運営者は防犯の強化が求められる傾向にある。それにより調査事例の中にはオープンな学校として計画されたにも関わらず、一般利用者に動線を確保できないためにオープン化を中止した事例があった。交流が制限され、複合化された学校の持つ相乗効果を十分に得られていない。事例 : 千代田区立昌平小学校

2.1自然発生的な交流

同じ園を卒業した児童がいるから既に知り合い 。

校庭に面した保育室前のテラス

屋内の共用スペース

屋内の共用スペース 視線を共有する中庭中庭にある円形ベンチ共通の校庭

周辺地域にサラリーマンが多く 、自分たちの子供の世代ということで

優しく接しているようだ 。

①和泉 ②昌平 ③千代田 ④麹町 ⑤千寿双葉 ⑥月島第三 ⑦晴海 ⑧日本橋 ⑨牛込仲之 ⑩四谷 ⑪上野 ⑫千束 ⑬久原 ⑭昭和 ⑮第一日野 ⑯伊藤

2.2プログラム的な交流

2交流実態

10 年前複合された時には、交流が出来ていたが、特養ホームの

住人が高齢化した為に、交流が難しくなった 。

小学校とは別の、図書館スペースでの交流(読み聞かせ )

中学生と小学生は女の子同士の交流はあるが、

男同士の学年を超えた交流はあまりない 。地域の特色(祖父母世代が住んでいる 。)

地域を巻き込んだイベントの企画

空間 空間 空間 空間 空間空間

共通の校庭 共通の校庭