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2015.7 vol. 1149 2015 年 7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年 4 回)通巻1149 号 昭和 26 年11月24日 第三種郵便認可 ISSN1340-6442 世界の遺産を守るために 2015年6月28日~7月8日、ドイツ・ボンで開催された第39回世界 遺産委員会でイリーナ・ボコバ事務局長は、“Global Coalition Unite for Heritage” を発足させた。これは、とくに中東地域における文化遺産の 意図的な破壊に対し、各国の政府や遺産に関わる全ての関係者の動員を 強化することを目的としている。ボコバ事務局長は、「私たちの任務は、 警察、税関、博物館、政府、市民社会、メディアなどを巻き込み、立ち向 かい、暴力的過激主義の挑発に対抗する新たな同盟関係の構築にある」 と語った。 また同委員会では、近年の「IS(イスラミックステート)」による世界 遺産「ハトラ」や「パルミラの遺跡」を含む文化遺産に対する攻撃など を非難する “ボン宣言” が採択された。 ※「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」については P1~2で紹介しています。 2013年、危機遺産リストに登録されたシリア・アラブ共和国「パルミラの遺跡」 明治日本の産業革命遺産の 世界遺産登録について ネパール地震 被災者支援 活動報告 ユネスコ協会 ESD パスポート 東日本大震災支援 世界寺子屋運動 世界教育フォーラム 天空の杜プロジェクト 世界遺産活動 未来遺産運動 ユネスコ活動の広場 第 66 回定時総会報告 ブロック別ユネスコ活動研究会 第 71 回日本ユネスコ運動全国大会 in 和歌山 お知らせ・募集 1 3 5 10 15 CONTENTS © UNESCO

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2015年7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年4回)通巻1149号 昭和26年11月24日 第三種郵便認可 ISSN1340-6442

世界の遺産を守るために2015 年 6 月 28 日~ 7 月 8 日、ドイツ・ボンで開催された第 39 回世界

遺産委員会でイリーナ・ボコバ事務局長は、“Global Coalition Unite for

Heritage” を発足させた。これは、とくに中東地域における文化遺産の

意図的な破壊に対し、各国の政府や遺産に関わる全ての関係者の動員を

強化することを目的としている。ボコバ事務局長は、「私たちの任務は、

警察、税関、博物館、政府、市民社会、メディアなどを巻き込み、立ち向

かい、暴力的過激主義の挑発に対抗する新たな同盟関係の構築にある」

と語った。

また同委員会では、近年の「IS(イスラミックステート)」による世界

遺産「ハトラ」や「パルミラの遺跡」を含む文化遺産に対する攻撃など

を非難する “ボン宣言” が採択された。

※「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」についてはP1 ~ 2 で紹介しています。

2013年、危機遺産リストに登録されたシリア・アラブ共和国「パルミラの遺跡」

明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録についてネパール地震 被災者支援活動報告●ユネスコ協会ESDパスポート●東日本大震災支援●世界寺子屋運動●世界教育フォーラム●天空の杜プロジェクト●世界遺産活動●未来遺産運動ユネスコ活動の広場●第66回定時総会報告●ブロック別ユネスコ活動研究会●第71回日本ユネスコ運動全国大会 in 和歌山お知らせ・募集

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 6月28日(日)~7月8日(水)、ドイツのボンで第39回世界遺産委員会が開催され、九州や山口県など8県11市にまたがる「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(23の資産で構成)が世界遺産に登録された。この遺産の内容、評価された点などについて紹介する。 (協力:内閣官房 産業遺産の世界遺産登録推進室)

明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録について

 「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、西洋から非西洋への産業化の移転が成功したことを証言する産業遺産群により構成されている。19世紀後半から20世紀の初頭にかけ、日本は工業立国の土台を構築し、後に日本の基幹産業となる造船、製鉄・製鋼、石炭と重工業において急

速な産業化を成し遂げた。一連の遺産群は造船、製鉄・製鋼、石炭と重工業分野において1850年代から1910年の半世紀で西洋の技術が移転され、実践と応用を経て産業システムとして構築される産業国家形成への道程を時系列に沿って証言している。

構成資産リスト

エリア 所在地 構成資産番号 構成資産名

1 萩(山口県)

1-1 萩反射炉1-2 恵美須ヶ鼻造船所跡1-3 大板山たたら製鉄遺跡 1-4 萩城下町1-5 松下村塾

2 鹿児島(鹿児島県)

2-1 旧集成館2-2 寺山炭窯跡2-3 関吉の疎水溝

3 韮山(静岡県) 3-1 韮山反射炉

4 釜石(岩手県) 4-1 橋野鉄鉱山・高炉跡

5 佐賀(佐賀県) 5-1 三重津海軍所跡

6 長崎(長崎県)

6-1 小菅修船場跡6-2 三菱長崎造船所第三船渠

6-3 三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン

6-4 三菱長崎造船所旧木型場6-5 三菱長崎造船所占勝閣6-6 高島炭坑6-7 端島炭坑6-8 旧グラバー住宅

7三池

(福岡県・熊本県)

7-1 三池炭鉱、三池港

7-2 三角西(旧)港

8 八幡(福岡県)

8-1 官営八幡製鐵所8-2 遠賀川水源地ポンプ室

[エリア 2]鹿児島県鹿児島市、旧集成館(機械工場)

エリア6

エリア5

エリア8

エリア1エリア4

エリア3

エリア7エリア2

ユネスコ 2015.71

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■評価された点 「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、世界遺産登録の評価基準(ii)および(iv)に基づき、世界遺産に登録された。それぞれの評価基準への適合性については、世界遺産委員会から以下の点が評価された。評価基準(ii) 明治日本の産業革命遺産は、19世紀半ば以降、封建社会の日本が欧米からの技術移転を模索し、導入した技術を徐々に国内のニーズや社会的伝統に適合するよう改良し、20世紀初頭までに日本が世界に名だたる産業国家となったプロセスを物語る遺産群である。本遺産群は、全体として、極めて短期間における産業に関する発想、知見および設備の他に類を見ない交流が、重工業分野でのかつてない自力での産業発展として結実し、東アジアに強い影響を与えたことを示すものだ。評価基準(iv) 製鉄・製鋼、造船、石炭産業という基幹産業のサイトからなる技術の集合体は、非西洋国家で初めて産業化に成功した世界史上特筆すべき偉業の証左である。西洋の産業的価値観へのアジアの文化的対応として見ても、産業のサイトから成る傑出した技術の集合体であり、地場のイノベーションと西洋技術への適応を基礎とする急速かつ独特な日本の産業化を反映している。 また、資産の管理保全については、日本がパートナーシップに基づく新たな枠組みを構築したことが評価された。 これは、稼働資産を含む遺産群を一体的に管理保全するための「一般方針および戦略的枠組み」であり、実施には内閣官房が責任を負うこととされている。この戦略的枠組みの下で、関係省庁・地方公共団体・民間企業を含む多様な関係者(ステークホルダー)が密接に連携し、資産の保護管理に努めることとなっている。 このほか、端島炭坑の保全措置の計画を優先的に策定することや、資産についての説明戦略は、各構成資産がどのように全体としての世界遺産価値に貢献し、産業化のどの段階を反映しているかにとくに重点を置いた上で、各サイトの歴史全体についても理解できるものとすることなどが求められた。 なお、これらについては、第42回世界遺産委員会(2018年)による審査に付すため、2017年12月1日までに世界遺産センターに進捗状況を報告するよう要請されたところである。

 6 月 28 日(日)~ 7 月 8 日(水)にドイツのボンで開催された第 39 回世界遺産委員会では、文化遺産 23 件、自然遺産 0 件、複合遺産 1 件、合計 24 件の

世界遺産が新たに登録された。世界遺産の登録数としては、1031 件(文化遺産 802 件、自然遺産 197 件、複合遺産 32 件)となった。 2009 年に森林伐採や不法な漁獲や狩猟などの理由により、危機遺産リストに登録されていたコロンビア共和国の「ロス・カティオス国立公園」は、不法な伐採や乱獲が減少したと評価され、危機遺産リストから削除された。一方、武装グループによる被害を受けたイラク共和国の「ハトラ」をはじめ、イエメン共和国の「シバームの旧城壁都市」「サナア旧市街」の 3 件がリストに登録され、危機遺産は合計 48 件となった。 また、ジャマイカとシンガポール共和国は、これまで世界遺産を保有していなかったが、今年初めて「Blue and John Crow Mountains」(ジャマイカ・複合遺産)、「Singapore Botanic Garden」(シンガポール共和国・文化遺産)が登録され、世界遺産条約を締結している 191 ヵ国のうち、世界遺産を保有する国は 163 ヵ国となった。 (海外事業部:青山 由仁子)

第39回世界遺産委員会情報

[エリア 4]岩手県釜石市、橋野鉄鉱山・高炉跡

[エリア 7]福岡県大牟田市、三池港

[エリア 6]長崎県長崎市、端島炭坑

ユネスコ 2015.7 2

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● 被災状況 日ユ協連は、地震直後すぐに NRC −NFE と連絡を取り合い、被害状況の把握に努めた。寺子屋はインドと国境を接するルンビニと首都カトマンズ近郊で展開しているが、ルンビニについては、ほぼ被災は免れたものの、カトマンズ近郊の寺子屋が被災しているとの報告が入った。NRC −NFEのスタッフや寺子屋関係者は無事だったが、被害が大きかった 4 ヵ所の寺子屋地域を救援するために、NRC−NFE のスタッフが調査を開始した。

 5 月 19 日(火)、NRC −NFE は、カトマンズ周辺の 4 つの寺子屋(アマラプール寺子屋、シディプール寺子屋、 クベスワール寺子屋、チッタポール寺子屋)の関係者とともに、寺子屋の再構築に向けたミーティングを実施。以下チェックリストに基づき、各寺子屋に聞き取り調査を実施した。

1. 寺子屋地域の状況 2. 寺子屋の建物の状況  3. 寺子屋運営委員会メンバーや学習者の家の状況4. 家屋の被災状況 5. これまでに援助物資を提供した団体数とその内容 6. 支援に向けた VDC(村落開発委員会/地方政府)の役割7. 現在の食糧、シェルター、飲み水、健康衛生状況  8. 寺子屋と地域住民の緊急ニーズ9. 寺子屋と地域住民の中長期的ニーズ

10. ボランティア導入の実現可能性

 4月25日(土)にネパール中部で発生した大地震では、約8000人以上の死傷者が出ており、多くの人びとがいまも避難生活を送っている。とくにカトマンズ周辺は深刻な被害を受けた。日本ユネスコ協会連盟は、世界寺子屋運動の支援先団体であるノンフォーマル教育ナショナルリソースセンター(NRC−NFE:カトマンズとルンビニに事務所)をパートナーに、緊急支援を行うべく、「ネパール大地震募金」を立ち上げた。この間に展開した活動を報告する。�(海外事業部:本間 雅子)

ネ パ ー ル 地 震  被 災 者 支 援カトマンズ周辺ラリットプールの被害のようす

ネパール連邦民主主義共和国

ラリットプール郡バクタプール郡

シディプール寺子屋に避難した住民たち

チッタポール寺子屋の収入向上クラス学習者の自宅も倒壊した

ユネスコ 2015.73

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た。続いて、仮住居(シェルター)用の屋根を葺くトタン板の配布も開始。地域によって、微妙に異なるニーズに基づいて、引き続き NRC−NFE とともに支援活動を行っていく。

※支援状況については、随時、日ユ協連のホームページで報告していますので、そちらをご覧ください。

● 支援活動 ~現地のニーズを第一に~ ヒアリング調査をもとに、緊急ニーズとしては、れんがづくりの家が倒壊しているので、瓦礫を処理するための道具や、家に住めなくなった方々のためのシェルターを提供。5 月 26 日(火)には、カトマンズ近郊の4つの寺子屋の人たちに、スコップなど崩れたものを取り除く道具を配布し

NRC―NFEスタッフからのメッセージ 即座に支援の手を差し伸べることを表明してくれた日本の皆さまに心から感謝します。また、現在建物の崩壊が著しい 4 つの地域で被災状況の調査を行っていますが、建物の再建のみならず、コミュニティにおける健康や日々の暮らしの安定に努めます。現在、シェルター、食糧、衛生、医療支援などのニーズがあり、詳細についてはその都度情報提供をしていく所存です。

※日本ユネスコ協会連盟への寄附金は、寄附金控除などの対象となります。

【募金先】郵便局の下記口座にお振り込みいただけます。口座番号:00190-4-84705口座名義:公益社団法人日本ユネスコ協会連盟※振替用紙の通信欄に「ネパール地震」とご記入ください。※窓口でのお振り込みの場合は、振り込み手数料が免除さ

れます。(ATM をご利用の場合は、所定の振り込み手数料がかか

ることがあります)

◆クレジットカード決済http://www.unesco.or.jp/support/上記ホームページより、クレジットカード決済で募金していただけます。

※ネパール地震が指定できるのは一回限りの募金となりますので、予めご了承ください。

トタン板の配布が始まったチッタポール寺子屋近郊の住民に対するヒアリング調査

寺子屋/地域 緊急ニーズ 中長期ニーズ

アマラプール寺子屋(ラリットプール郡)

● 倒壊した家のがれき処理の機材● 緊急避難用シェルター● キレイなトイレ● 飲み水

● 地震に強い家● 家屋再建へのサポート

シディプール寺子屋(ラリットプール郡)

● ヘルメット、グローブ、ジャケット、マスク、シャベル、がれき処理のための水、炊き出し用の設備

● 一部倒壊やヒビが入った家を覆うテント● 緊急避難用シェルター

● 地震に関するトレーニングプログラム● 地震に強いシェルター● 家屋再建とそのための金銭的支援● 減災やリスクマネージメント教育● 寺子屋へのマルチメディア設備

クベスワール寺子屋(ラリットプール郡)

● 貧困家庭に対する家屋再建のサポート ● 家屋再建のサポート

チッタポール寺子屋( バ ク タ プ ー ル 郡 )

● 寺子屋オフィスの再構築● 緊急措置のためのテントやアルミの屋根

● 新しい寺子屋の建設● 地域住民の家屋建築● 地域の安全スペースの確保/将来、学校をシェルター

として使えるようにすべき

ユネスコ 2015.7 4

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学校教育が取り組む「持続可能な開発のための教育(ESD)」との相乗効果を高めるため、ユネスコ協会が児童・生徒のボランティア活動を促進する目的で始まったのが、ユネスコ協会 ESDパスポート。学校と地域が協働して持続可能な社会づくりの人材育成を目指すものだ。2013 年度に始まり、今年で3 年目となる。

昨年度は 25 ユネスコ協会が参加し、

96 校約 1 万 6000 人の児童・生徒が ESDパスポートを手にしたが、今年度は 30ユ協 130 校 2 万 3000 人の参加を目指してユネスコ協会を募集。参加協会を対象に 6 月 20 日(土)、今年度の ESD パスポートのキックオフ会議が開催された。

会議には、協賛企業のあいおいニッセイ同和損害保険株式会社 CSR 推進室長の宮崎智恵さんも出席。大津和子日ユ協連理事(北海道教育大学副学長)

が「ESD パスポートで育みたい力」と題して講演を行い、富山ユネスコ協会と名古屋ユネスコ協会は実践事例を発表。その後、取り組みにあたっての不明点を皆で話し合った。参加ユ協からは「実践例を知ることができ、悩みの共有や情報交換ができ有意義な会だった」との感想が寄せられた。

日ユ協連では、本事業をグ

ロ ー バ ル・ ア ク シ ョ ン・ プ ロ グ ラ ム(GAP)の一環と位置づけ、今後は参加

ユ協間のメーリングリストを作成し、情報交換を行いながら実施していく予定だ。また、より多くの学校が参加できるよう、実践事例を紹介するリーフレットなどの作成も検討している。今年度もボランティア活動を通して、多くの子どもたちの学びが期待される。

(国内事業部:古澤 真理子)

活 動 報 告

キックオフ会議は充実した情報交換の場となった

ユネスコ協会ESDパスポート 2015年度スタート

ESDパスポートとは?各地ユ協が発行した ESD パスポート

を手に、児童・生徒がユ協・地域の市民団体などのボランティア活動に参加し、活動時間に応じてパスポートに認定単位(ボラン)が記される。一定ボランに達するとユ協が「活動認定証」を発行。ユ協が年 1 回行う「ESD パスポート体験発表会」は、ボランティア経験による学びを同世代と共有し、地域に発信する重要なものと位置づけられる。

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活 動 報 告

2015 年度の奨学生の進級・進学状況を確認し、5 月に第 1 四半期分の奨学金の給付を行った。奨学金は、子どもたちの家庭の口座に直接送金し、各家庭で教育のために役立てられている。

このたび、3 年間の受給を終えた宮城県名取市の奨学生の保護者よりお手紙が寄せられた。一部を紹介する。大人でさえも受け入れられず…

「空爆でも落ちたときのような変わり果てた町の姿にショックは大きく、無力な自分に情けなくなる想いの日々でした。大人でさえも受け入れられず、何度も悪い夢なんじゃないか…と変な錯覚に陥る日もありました。そんな中、

娘が持ち帰った奨学金のプリントには、大変心強い支援の内容が書かれていました。背中を押してもらったように、頑張らなくては…と前向きに考えるきっかけとなり、一日一日を大切に生きなければと思うようになりました。町はまだまだ復興途中のため、毎日大型トラックが走る中、細いでこぼこの道を娘は自転車で駅まで通っています。近所にはコンビニが 2 つあるだけで、病院も学校もスーパーも銀行も郵便局もありません。現実はまだまだ時間がかかるようです。で

も娘は一生懸命頑張っています。」同事業では、2015 年度も募金の受

付を継続しており、原資が集まり次第、新たな奨学生の支援も行う。

(国内事業部:上岡 あい)

社員ボランティアが被災地を訪問し、現地の状況に即した活動を通じて、子どもたちの心のケアを目的に活動を行っている。

写真は岩手県宮古市立宮古小学校での花壇修復作業のようす。学校の要望に応じて子どもたちや保護者、先生方と協力し、花壇の修復やペンキ塗りな

どの作業を行った。また同時刻、宮古市立鍬

く わ が さ き

ヶ崎小学校ではペンキ塗りや紙飛行機大会などを行い、地域の子どもたちと交流した。対象:被災地の児童協働していただいた企業:三菱 UFJ ニコス株式会社

(国内事業部:渡辺 大修)

昨今、日本各地でさまざまな自然災害が多発しており、防災・減災に向けた教育の必要性、重要性が高まっている。日ユ協連では、ESD の重要なテーマのひとつでもある減災・防災分野の推進を図るため、昨年度に引き続き、アクサ生命保険株式会社の協力を得て、学校の減災教育を対象にした助成事業を実施している。

このたび、28 都道府県から 51 校の応募があり、審査の結果、今年度の助成校 21 校を決定した。採用校には 10 万

円を助成する。また、東日本大震災の記憶を東北の被災地の中だけにとどめず、日本各地の学校がその経験と教訓を学び、多様化・多発化する各地の自然災害に備えるための教員研修会なども実施する。 (国内事業部:上岡 あい)■協力

アクサ生命保険株式会社■プログラム・コーディネーター

及川 幸彦 日本ユネスコ国内委員会委員、宮城教育大学国際理解教育研究センター協力研究員

■教員研修会協力気仙沼市教育委員会、宮城教育大学国際理解教育研究センター、京都大学大学院地球環境学堂、特定非営利活動法人 SEEDS Asia、気仙沼市立階上小学校、気仙沼市立階上中学校

東日本大震災支援●ユネスコ協会就学支援奨学金

●お助けボランティア

●アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラム2015年度助成校決定 ~震災の経験を日本各地の学校防災につなげる~

2015年度 助成校一覧北 海 道 北海道教育大学附属札幌小学校福 島 県 只見町立朝日小学校新 潟 県 新潟県立柏崎工業高等学校茨 城 県 つくば市立吾妻中学校千 葉 県 市川市立行徳小学校愛 知 県 岡崎市立常磐東小学校愛 知 県 豊田市立藤岡南中学校愛 知 県 名古屋国際中学校・高等学校三 重 県 鳥羽市立安楽島(あらしま)小学校滋 賀 県 彦根市立城陽小学校大 阪 府 箕面(みのお)こどもの森学園奈 良 県 奈良県立法隆寺国際高等学校和歌山県 印南町立印南中学校兵 庫 県 神戸大学附属中等教育学校岡 山 県 岡山県立岡山南支援学校広 島 県 広島大学附属福山中・高等学校徳 島 県 阿南市立桑野小学校高 知 県 高知県立須崎高等学校福 岡 県 大牟田市立みなと小学校宮 崎 県 綾町立綾中学校沖 縄 県 沖縄県立宜野座高等学校 

この研修から全国に減災教育が広がっていく

ユネスコ 2015.7 6

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アフガニスタン寺子屋プロジェクトでは、15 軒目の新しい寺子屋を、カブール市の西側に隣接するパグマン郡バボ村に建設中。パグマン郡にはカルガ湖が広がり、乾燥したアフガニスタンの生活に涼をもたらしている。夏場にはカブール市民が避暑に訪れ、家族でバーベキューを楽しむ地域である。

一方この地域は、ソ連がアフガニスタンを占領した時期に家々が焼き払わ れ、ま た タリバン時代は紛争はなかった も の の、人びとは再びの戦 渦 を 恐 れて、家 の 再 建をしないまま

でいた。いまでもその後遺症が残り、カブール市にほど近いにもかかわらず、開発から取り残されてきた。

日本ユネスコ協会連盟では、カブール市内とカブール県内諸郡に寺子屋を建設してきたが、パグマン郡にはこれまで寺子屋がなく、このたび建設の運びとなった。2014 年 10 月から建築が始まり、冬季数ヵ月は厳寒で工事が中断されたものの、3 月から工事が再開し、ようやく 7 割程度が出来上がった。そして、完成を待ちきれない村の人たちは、識字クラスを寺子屋建設地周辺 7 ヵ所で開始。うち 6 ヵ所が女性用の識字クラスである。現在、学んでいる人の数は約 175 人(うち150 人が女性)となっている。

この周辺の人びとは非常に保守的で、女性の識字クラスのようすは、まだ写真に撮らせてもらえないが、今後クラスのようすを皆さんにお届けできることを願っている。

(カブール事務所所長:ヤマ・フェロジ)

カンボジアでは小学校 6 年間、中学校 3 年間は義務教育にもかかわらず、貧困をはじめさまざまな理由から中途退学してしまう子どもたちが後を絶たない。UNESCO Institute for Statistics のデータによると、小学校就学率は 98%(2012 年)である一方、中学校になると45% 未満となる。そして農村部であるほど小学校での退学率は高く、中学校に進学できる子どもはごく一部にとどまっている。

日ユ協連では2012 年度から、小学校を退学してしまった10~16 歳の子どもたちのために、2 年間で小学校課程を学べる

「復学支援クラス(Equivalency Class)」を実施している。修了試験に合格すれば、中学進学の資格を得ることができる仕組みで、実施を希望する寺子屋が年々増えている。今年は10クラス250 人の参加が見込まれる。(昨年は6クラス150 人)

2012 ~ 14 年度までの 3 年間で延べ 350 人(実数 250 人)が学び、卒業者の約 6~7 割が中学校に進学している。復学支援クラスは月収 30ドル以下の世帯など、とくに貧しい家庭の子どもを対象とするため、卒業後も経済的に困難であることに

変わりない。やっとの思いで中学校に進学した子どもたちが安心して学び続けられるよう、学用品や制服などを支援する「進学支援プログラム」を今年から予定している。昨年から子どもたちや保護者、中学校校長へのヒアリングを始めた。その結果をもとに、具体的なプログラムを構築し、支援を開始する。

昨年度から継続している2 年次の子どもたちが、いままさに、今秋の中学入学を目指して日々勉強している。「進学支援プログラム」の初年度は、この子どもたちを含む約100 名が対象となる予定だ。 (海外事業部:宍戸 亮子)

活 動 報 告

バボ村に建設が進む寺子屋

バボ村に建設が進む寺子屋

まもなく完成! カブール市バボ村の新しい寺子屋

寺子屋から中学校へ ~進学支援プログラム~

世界寺子屋運動

fromアフガニスタン

fromカンボジア

リエンダイ寺子屋復学クラスで学ぶソーム君(14)より

5年生で小学校を退学してしまいましたが、寺子屋の復学支援クラスに入れて嬉しいです。初日に、自転車とバッグと文房具をもらったことを覚えています。僕を助けてくださった皆さんによいことがありますように。

ユネスコ 2015.77

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2015 年 5 月 19 日( 火 )~ 21 日( 木 )の 3 日 間、韓 国・ 仁 川( イ ン チ ョ ン )で世界教育フォーラムが開催された。UNESCO と韓国政府教育省による主催、UNDP、UNFPA、UNICEF、UN Women、UNHCR、World Bank Group に よ る 共催のもとに開催されたこの会議には約130 ヵ国の教育大臣をはじめとする閣僚、政府関係者、NGO など約 1500 人が参加した。1990 年にタイ・ジョムティエンで開催された「万人のための教育

(Education for All:EFA)世 界 会 議 」、2000 年のセネガル・ダカールにおける

「世界教育フォーラム」に続き、3 回目の政府間会合となる。

UNESCO EFA グローバル・モニタリング報告書によると、2000 年以降世界の基礎教育にはさまざまな改善が認められた一方、世界の15 歳以上のうち約 7億 8100 万人が依然非識字者であり、そのうち 2 / 3 が女性であるというジェンダー格差は改善されていない。また、約5800 万人の子どもたちが小学校に行くことができず、その多くが紛争地帯などに暮らしている。

こ う し た 課 題 を 踏 ま え、今 後 15 年間の世界の教育目標をまとめた「インチョン宣言」が採択された。「Education

2030:Towards inclusive and equitable quality education and lifelong learning for all(すべての人びとのための包括的かつ公平な質の高い教育と生涯学習)」のタイトルのもと、「教育予算の数値目標の明記」「12 年間の公教育の保障、うち 9 年間の無償義務教育化の保障」「紛争・災害下における緊急・復旧・復興時を通した教育の保障」などが盛り込まれた。また、従来 EFA で念頭に置かれた途上国における課題のみならず、持続可能な世界のため先進国や新興国も含むすべての国々が、教育を通して責任を負うことが確認された。

ここで掲げられた目標は、9 月の国連特別サミットで採択される 2030 年まで

の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の17 のゴールのうちの 1 つに統合され採択される予定である。また、11月のユネスコ総会に合わせて開催されるハイレベル会議で、この宣言のより具体的な内容を盛り込んだ 2030 年までの「行動枠組み

(Framework for Action)」の採択が予定されている。

なお、本会合に先立ち5 月18日(月)・19 日(火)に世界の主要な NGO、研究者など約 250 人による NGO フォーラムが開催された。日ユ協連からは野口理事長らが UNESCO の招待を受け、NGOフォーラム、世界教育フォーラム本会合に参加した。 (海外事業部:宍戸 亮子)

活 動 報 告

開会式では、世界の子どもたちの通学のようすが流された

「手をよく洗いましょう」と子どもたちに教えるのも大事な仕事

2013 年に始まった、カンボジア・シェムリアップ州の 15 村の寺子屋と 4 軒の病院に安全な水を届ける「天空の杜」プロジェクトが、最終年を迎える。今年は安全な水に関する教材をつくり、寺子屋と病院で活用する研修会を実施する。

電気や水道のないカンボジアの農村では、安全とは言い難い井戸水でも飲

み水とすることが珍しくなく、下痢や感染症などの原因となっている。これまでの 2 年間で「ペットボトル水『天空の杜』を届ける」「15 村の寺子屋と 4 つの病院にろ過浄水設備を設置する」ことを実施してきたが、継続的に安全な水を届けるには、現地の人たち自身が正しい知識を持つことが欠かせない。

日本ユネスコ協会連盟カンボジア事務所では、対象となる村々で、現在どれくらいの人たちが正しく保健衛生に関する知識を持っている か を 調 査 し、現 地 の保健局担当官や NGO などとも協議しながら教材 を 企 画 し て い る。子どもからお年寄りまで、

字の読めない人も、誰もが理解できる教材になるよう、図や写真を多用する方針だ。

また、今年 4 月には 2014 年度に寺子屋と病院に設置されたろ過浄水設備のメンテナンス研修が、寺子屋・病院スタッフを対象に行われた。機材メーカー職員による詳しい説明と、保守作業の実習が行われた。受講者からは「昔、設置された浄水機があるが、一度壊れて誰も直せなかったので、我々が研修を受けることはとても大切」という感想が聞かれた。この研修の結果、今後は全ての寺子屋と病院で、基本的な保守メンテナンスは現地スタッフの手で可能となる。 (海外事業部:宍戸 亮子)

事業協力:株式会社富山環境整備輸送協力:日本郵船株式会社

●世界教育フォーラム 2030年までの世界の教育に向けた宣言を採択

●天空の杜プロジェクト −寺子屋と公立病院で衛生教育を−

ユネスコ 2015.7 8

Page 10: 2015年7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年4回)通 … · 2019-07-01 · 2015.7 vol. 1149 2015年7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年4回)通巻1149号

活 動 報 告

『バイヨン寺院「シンハ像・ナーガ像」修復プロジェクト』では、現在、バイヨン寺院参道北側の中央エリアでの修復が進められている。

修復の工程では、部材の解体と修理が終了した後、最終段階の仮組み作業と再構築作業を行うが、実はこの前にもうひとつ重要な作業が行われている。それは、欄干を再設置する基壇の整備だ。

欄干を安定して再設置するには、その下の土台、つまり基壇の床面をなるべく平らで安定した状態にする必要がある。しかし、長い年月の中で、多くの場所では床面端の石が外側にずれ落ち、できた隙間に土や植物が入り込み、その結果、欄干を載せる部分の床面が凸

凹になり、場合によっては隙間が空いてしまっていることがある。

こうした場所では、ずれている床面端の石をいったん取り外し、中に入り込んでしまった土や植物を取り除いて、なるべく隙間をなくし、水平になるように積み直す作業が行われている。修復後は欄干の下になってしまうため、目立たない場所だが、これも修復工事には欠かせない重要な仕事のひとつである。

このエリアの修復工事は 2015 年 5 月に完了。基壇の周辺に散乱していた多くの欄干部材を設置することができ、バイヨン寺院の正面参道の景観向上に大きく寄与することができた。

(海外事業部:青山 由仁子)

 プロジェクト未来遺産は 7 年目を迎え、活動の輪が広がっている。 2年目を迎える住友ゴム工業株式会社(ダンロップ)との協働事業「チーム エナセーブ 未来プロジェクト」では、昨年に続き 10 ヵ所のプロジェクト未来遺産活動地で、社員ボランティアによる環境保護活動を実施する。6 月末までに「ムサシトミヨを守る会」(埼玉県)、「久保川イーハトーブ自然協議会」

(岩手県)、「孟子不動谷生物多様性活性化プロジェクト」(和歌山県)、「未来遺産・見沼田んぼプロジェクト」(埼玉県)、「英田上山棚田再生プロジェクト」

(岡山県)の協力を得、5 ヵ所で実施した。受け入れたプロジェクト未来遺産登録団体からは、「人手はいくらあって

も足りない。こうして毎年多くの方々に献身的にご協力いただき大変助かっている」と歓迎されている。 また、UNESCO 公式サポーターである ANA の社員による社会貢献活動として、「葵プロジェクト」(京都府)の協力のもと、世界遺産の構成資産のひとつ上賀茂神社で文化・環境保護活動を実施した。ほかにも、三菱 UFJ ニコス株式会社の社員による環境保護活動を実施する予定となっている。 日本の豊かな自然や文化を次世代に継承していく活動に多くの人に参加していただき、未来遺産運動が広がりをみせている。

(国内事業部:尼子 美博)

未来遺産運動

世界遺産活動欄干や彫像を設置する前の重要な仕事とは?

広がる未来遺産の輪 ~企業との協働事業~

修復前の欄干の基壇部分 修復後、美しく整えられた正面参道

「未来遺産・見沼田んぼプロジェクト」では子どもたちも一緒に水田の草取りを体験

「葵プロジェクト」の協力により上賀茂神社で葵の苗を植えた

銘板台に2014年の支援者名バイヨン寺院の南側に建つバイヨ

ン・ハットでは、修復のようすや最新の調査結果を紹介している。そのすぐ側に本プロジェクトの銘板台が設置されており、2014 年にご支援いただいた皆さまのお名前が新たに加わった。バイヨン寺院にいらした際にはぜひご覧ください。

●『プロジェクト未来遺産2015』募集中5 月 18 日(月)~ 7 月 31 日(金)まで「プロジェクト未来遺産 2015」の応募を受け付け中。詳しくはホームページをご覧ください。

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ユネスコ 2015.79

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Open space for UNESCO activities

ユネスコ活動の広場 皆さまからのお便りをお待ちしています。

 6 月 20 日(土)に開催された第 66 回定時総会で役員改選が行われ、新理事、監事、評議員が選任された。また、2014 年度事業報告・計算書類等(案)が、原案の通り承認可決された。第 66 回定時総会および第 503 回理事会で選任された役員、評議員は以下の通りです。 (敬称略)

● 2015−2016年度 役員� 役職は 2015 年 6 月 20 日現在

会 長 松 田  昌 士 東日本旅客鉄道(株)顧問 

副 会 長 加 藤  玲 子 公財)目黒区国際交流協会理事長

副 会 長 太 田 原  弘 盛岡ユネスコ協会会長 

副 会 長 林  美 紀 子 杉並ユネスコ協会顧問

理 事 長 野 口  昇 文京学院大学名誉教授 

副 理 事 長 鈴 木  佑 司 法政大学特任教授

理事29名■ 構成団体会員代表理事 10 名北海道ブロック 土 谷  二 朗 函館ユネスコ協会会長

東 北 ブ ロ ッ ク 太 田 原  弘 盛岡ユネスコ協会会長 

関 東 ブ ロ ッ ク 相 良  憲 昭 目黒ユネスコ協会会長 

関 東 ブ ロ ッ ク 西 山  末 弘 柏ユネスコ協会会長 

中部東ブロック 石 田  喬 也 鎌倉ユネスコ協会理事長 

中部西ブロック 松 波  孝 之 富山ユネスコ協会顧問

近 畿 ブ ロ ッ ク 芝 本  和 己 和歌山ユネスコ協会会長 

中 国 ブ ロ ッ ク 池 本  和 人 萩ユネスコ協会副会長 

四 国 ブ ロ ッ ク 野 本  武 男 松山ユネスコ協会会長 

九 州 ブ ロ ッ ク 橋 村  隆 介 熊本ユネスコ協会副会長 

■ 青年代表理事 2 名石 川  郁 香 柏ユネスコ協会青年理事

横 田   創 松山ユネスコ協会青年代表 ■ 個人会員代表理事 6 名大 津  和 子 北海道ユネスコ連絡協議会会長

鈴 木  佑 司 法政大学特任教授 

野 口   昇 文京学院大学名誉教授 

林  美 紀 子 杉並ユネスコ協会顧問

引 地  瑠 美 子 白石ユネスコ協会会長

米 田  伸 次 帝塚山学院大学国際理解研究所顧問

■ 維持会員代表理事 4 名野 島  嘉 之 三菱商事(株)環境・CSR 推進部長 

野 村  朗 子(株)電通総務局社会貢献部専任部長

樋 口  達 夫 大塚ホールディングス(株)代表取締役社長兼CEO

松 田  昌 士 東日本旅客鉄道(株)顧問 

■ 賛助団体会員代表理事 1 名間 瀬  雅 晴 一社)日本の伝統を守る会理事

■ 会長推薦理事 6 名 大 木  一 夫(株)エヌ・ティ・ティ エムイー顧問

加 藤  玲 子 公財)目黒区国際交流協会理事長

坂 口  一 美 箕面ユネスコ協会会長

笹 井  宏 益 国立教育政策研究所生涯学習政策研究部部長

永 野   博 元文部科学省国際統括官

二 瓶  和 敏 二瓶総合法律事務所弁護士

■ 監事 3 名小 出  寛 治 元 NTT ファイナンス(株)代表取締役社長

増 田  正 志 増田公認会計士事務所公認会計士

松 代  隆 子 前公益財団法人吉田秀雄記念事業財団専務理事

○構成団体会員代表■ 北海道ブロック

旭川ユネスコ協会札幌ユネスコ協会知床ユネスコ協会函館ユネスコ協会北海道ユネスコ連絡協議会室蘭ユネスコ協会

■ 東北ブロック一般社団法人青森県ユネスコ協会秋田県ユネスコ連絡協議会秋田ユネスコ協会岩手県ユネスコ協会連盟大船渡ユネスコ協会盛岡ユネスコ協会宮城県ユネスコ連絡協議会公社)仙台ユネスコ協会酒田ユネスコ協会須賀川地方ユネスコ協会福島ユネスコ協会新潟市ユネスコ協会

■ 関東ブロック足利ユネスコ協会開倫ユネスコ協会佐野ユネスコ協会日光ユネスコ協会大泉ユネスコ協会太田ユネスコ協会高崎ユネスコ協会藤岡地方ユネスコ協会前橋ユネスコ協会越谷ユネスコ協会寄居地方ユネスコ協会土浦ユネスコ協会ひたちなかユネスコ協会水戸ユネスコ協会市川市ユネスコ協会柏ユネスコ協会千葉ユネスコ協会成田ユネスコ協会杉並ユネスコ協会港ユネスコ協会特活)目黒ユネスコ協会

■ 中部東ブロック厚木ユネスコ協会鎌倉ユネスコ協会山梨県ユネスコ連絡協議会長野ユネスコ協会静岡ユネスコ協会沼津ユネスコ協会浜松ユネスコ協会

■中部西ブロック富山ユネスコ協会氷見ユネスコ協会石川県ユネスコ協会岐阜県ユネスコ協会名古屋ユネスコ協会三重県ユネスコ連絡協議会ふくいユネスコ協会

■ 近畿ブロック長浜ユネスコ協会京都ユネスコ協会舞鶴ユネスコ協会特活)大阪ユネスコ協会奈良ユネスコ協会橋本ユネスコ協会和歌山ユネスコ協会芦屋ユネスコ協会伊丹ユネスコ協会川西ユネスコ協会姫路ユネスコ協会

■ 中国ブロック岡山ユネスコ協会広島ユネスコ協会宮島ユネスコ協会徳山ユネスコ協会萩ユネスコ協会防府ユネスコ協会山口ユネスコ協会鳥取ユネスコ協会石見地区ユネスコ協会

■ 四国ブロック丸亀ユネスコ協会新居浜ユネスコ協会松山ユネスコ協会徳島ユネスコ協会

■ 九州ブロック久留米ユネスコ協会佐賀ユネスコ協会熊本ユネスコ協会鹿児島ユネスコ協会沖縄県ユネスコ協会

○青年代表伊藤 健人 及川 美聡 石川 郁香  竹本 肇 石川 航中田 敦也 黒田 咲穂 横田 創 佐藤 隆士

○個人会員代表荒田 明夫   大津 和子   岡田 茂 岡村 進  加藤 玲子   木曽 功    畔柳 信雄   郷農 彬子   小暮 強志   後藤 徹    小林 亮    坂口 一美   笹井 宏益   鈴木 佑司   竹尾 徳治   田中 正人   千葉 杲弘   永野 博    西村 幸夫   二瓶 和敏   野口 昇    服部 英二   林 美紀子   原田 明夫   引地 瑠美子  前田 耕作   牧野 健太郎  松波 孝之   米田 伸次   

○維持会員代表あいおいニッセイ同和損害保険(株)大塚ホールディングス(株)キヤノン(株)

(株)紀伊國屋書店(株)クレディセゾン(株)講談社

全日本空輸(株)(株)電通

日本電信電話(株)(株)バウコミュニケーションズ

東日本旅客鉄道(株) (株)日立製作所

富士急行(株)三菱商事(株)

○賛助団体会員代表一社)日本の伝統を守る会公社)日本空手協会公社)日本図書館協会公社)野村生涯教育センター

○日本ユネスコ国内委員会委員大津 和子及川 幸彦横山 恵里子金原 祥子井原 正登中西 正人岡田 元子河内 順子  東 良和

● 2015~2016年度 評議員� (2015 年 6 月 20 日現在)

ユネスコ 2015.7 10

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Open space for UNESCO activities

ユネスコ活動の広場

 6 月 20 日(土)、第 66 回定時総会が東京で開催された。議事に先立ち、松田会長より、寺尾事務局長療養に関連し、第 502 回理事会の承認を経て 7 月 1 日付で川上事務局次長を事務局長とし、長倉組織部長を事務局次長に任命する旨報告があった。また、

「第 71 回日本ユネスコ運動全国大会 in 和歌山」への謝意として感謝状が和歌山県ユネスコ連絡協議会と和歌山ユネスコ協会に贈呈された。 議事は第1号議案「2014 年度事業報告書(案)および計算書類等(案)」を野口理事長らが説明、松代監事が業務執行および監査報告を行った後、事業報告書(案)と計算書類等(案)が全会一致で承認された。なお 2015 年度事業計画書と予算書については、3 月の第 501 回理事会で承認を得、定款の規程に則り、既に内閣府に提出済みである旨が報告された。 第 2 号議案「理事・監事および評議員の選出」については原案通り承認(P 10 参照)。第 3 号議案「構成団体会員(ユネスコ協会・クラブ)の構成員が 25 人未満の場合、会費は人数にかかわらず構成団体会員一律年 2 万 5000 円とすること(案)」については、組織活動委員会(小部会長)の林理事が資料に基づき説明。質疑応答後、全会一致で承認された。 本議案の資料(抜粋)とともに、総会での質問内容と回答を以下に一部記載する。

【提案項目/議案資料の結論のみ抜粋】(1)25 人未満の会員からなる構成団体の会

費 と し て 最 低 会 費 2 万 5000 円 を 設 定し、日ユ協連を支え、これを機会に各協会・クラブが相互に一層協力を強め、それぞれの活動を再活性化に向けようではないか。日ユ協連も、活性化に努力をする協会に対して大いに支援をすることが求められる。無論、この提案を実施できたからといって、財政状況が大きく改善するものではない。しかし、構成団体が今後も民間ユネスコ運動を日本国内はもとより世界に向けて維持、発展させていこうとする決意をこれによって示すものにしたい。

(2)構成団体のうち、大学ユネスコクラブなどは本提案の対象外とし、従来通り人数による会費納入とする。

(3)本提案は総会決定事項である。総会で承認を得られた場合、2015 年度および2016 年度は猶予期間とし、2017 年度から実施する。

最低会費を2万5000円とした根拠は。

個人会員は、一人で 1 万 2000 円を負担し、

議決権 1 票を有する。仮に 2 名以上が組織だと仮定した場合、2 万4000 円となる。団体と称する以上、この額を超える負担が望ましいということで 2 万 5000 円となった。

25名以下および10人以下の団体数を知りたい。本提案は収入増になるのか。

25 名以下のユ協は 49 あり、10 人以下のユ協は 10 存在する。小規模ユ協への対策を実施していくためにも基準を決めないと進められないため、このルールが策定された。これをすすめる主な目的は、ユネスコ活動の活性化である。

少子高齢化が進む中、小規模な協会を潰さない努力と対応策が必要であると思うがどうか。

少子高齢化の影響は民間ユネスコ運動にもきている。いくつかの協会が連携し、場合によっては合併するという道も今後は探っていかなければならない。連盟としてはできる限りブロック担当理事らが、ユ協・クラブと協働して課題の解決を図っていく。また現在行っている助成金、書きそんじハガキ・キャンペーンへの支援、グッズなどの活用も提案しながら小規模協会への応援をしていきたいと考える。

第66回定時総会報告(抄録)

質 問 と 回 答

ユネスコ 2015.711

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皆さまからのお便りをお待ちしています。

■北海道ブロック・ユネスコ活動研究会北海道室蘭市 10月17・18日 主管:室蘭ユネスコ協会

 全体テーマを「ESD のさらなる推進『あなたの毎日が、未来になる』」と設定。1 日目は「いつまでも続く未来ある社会の実現をめざして」をテーマに、ワークショップ形式で、参加者間でともに考え、学び合う。また 2 日目は「持続する平和、希望の未来推進のために」と題し、地元のユネスコスクール3校やユネスコ協力校によるミニフォーラムや道内ユ協の活動発表を行う。地域ユネスコ活動を会員はもとより多くの市民にも理解していただくことを目指す。

■東北ブロック・ユネスコ活動研究会秋田県秋田市 7月25・26日 主管:秋田ユネスコ協会

 昨年、ESD の 10 年が終了し、ポスト「ESD の 10 年」は各協会の大きな課題となっている。とくに今年は、さらなるESD 推進のために全体会・分科会の協議を通してその方策を探っていく。3 つの分科会のテーマはそれぞれ 「 ユネスコスクールの普及の方策を探る 」「 平和の心を育む青少年活動 」「ユネスコ協会と連盟事務局のさらなる連携のために 」。学校や地域での事例発表をもとに、活発な議論が起こることを期待している。

■関東ブロック・ユネスコ活動研究会栃木県佐野市 10月24日 主管:佐野ユネスコ協会

 「世界遺産・地域遺産と民間ユネスコ活動」「ユネスコスクールと民間ユネスコ活動の役割」「ユネスコと青少年活動」「ユネスコ活動の活性化と情報化(仮)」をテーマに分科会を実施。その中の実践報告および提案が、各協会の活動の方向性のヒントになるのではないかと考えている。

■中部東ブロック・ユネスコ活動研究会静岡県静岡市 9月12・13日 主管:静岡ユネスコ協会

 地域振興の上で、さまざまな遺産やユネスコの事業に対する機運が高まっている。中部東ブロック内では、2012年に富士山・三保の松原が世界遺産に登録され、2014 年には南アルプスがユネスコエコパークに登録された。ESDの観点から「富士山の世界遺産と次世代へ引き継ぐユネスコの心(仮)」をテーマに、川勝平太静岡県知事に記念講演をしていただく。また、静岡県内のユネスコスクールの生徒たちが取組事例を発表する。

■中部西ブロック・ユネスコ活動研究会岐阜県大垣市 10月31・11月1日 主管:大垣ユネスコ協会

 2014 年に名古屋で ESD に関するユネスコ世界会議が開

催され、今後の方針として GAP(グローバル・アクション・プログラム)が打ち出された。これまでブロ研で ESD の理解を進めてきたが、今年は GAP の理解も深めながら、地域活動で ESD をどう実践していくのか、「ESD のさらなる推進~ユネスコ協会と地域の連携」をテーマにポイントを学んでいく。とくに全体会では、好事例のポイントを取り入れるためワークショップ形式での勉強会を開く予定。

■近畿ブロック・ユネスコ活動研究会京都府福知山市 10月24日 主管:福知山ユネスコ協会

 「 地域に根ざしたユネスコ運動と ESD のさらなる推進を求めて 」 をテーマに、開催地・福知山市の中学生たちの活動とプロジェクト未来遺産を目指す活動を紹介。UNESCOの理想実現に向け、各ユネスコ協会とともに学ぶ。記念講演では、福知山を拓いた明智光秀公の子孫を講師に、歴史のまち、そして発展し続ける北近畿の中核都市・福知山を力強く発信する。

■中国ブロック・ユネスコ活動研究会鳥取県米子市 11月21・22日 主管:米子ユネスコ協会

 中国山脈の主峰・大山の開山 1300 年にあたり、この山の計り知れない価値をいろいろな角度から解明し、ユネスコ活動の中で国立公園をとらえる試みを、基調講演やシンポジウムを通じて伝える。また、当地ユネスコスクールの発表や日ユ協連講師による講話「ESD の今後について」を、ユネスコ活動への理解を深める機会としたい。

■四国ブロック・ユネスコ活動研究会香川県丸亀市 11月14・15日 主管:丸亀ユネスコ協会

 「未来につなげよう、ひろげよう、ユネスコの心-地域ユネスコ協会として、今、何ができるかを考える-」をテーマに、基調講演には鈴木佑司氏(日ユ協連理事・法政大学特任教授)を迎えて「ESD と地域ユネスコ活動」について講演していただく。また、香川県内ユネスコスクール3校に活動発表と報告をしてもらい、地域ユネスコ協会として何ができるか考える機会とする。

■九州ブロック・ユネスコ活動研究会大分県大分市 11月14・15日 主管:大分県ユネスコ協会連盟

 今年の開催県大分では 「 青少年のユネスコ活動と次世代の育成~ ESD のさらなる推進~ 」 を主なテーマとして研究会を実施する。大分県内の高校生による活動報告のほか、留学生たちとの交流などを通じて、フレッシュな若い世代のユネスコ精神を育むとともに、地域ユネスコ協会相互の連携・発展の場となることを期待する。

 今年も7月から全国9ブロックで、ブロック別ユネスコ活動研究会が開催される。昨年に引き続き研究テーマを「ESDとユネスコスクール」とし、一般市民や次世代を担う青少年に地域ユネスコ活動を広める方策などについて研究する。ESD推進拠点であるユネスコスクールの実践発表など、開催地域の特徴を生かしたプログラムを紹介する。

2015年度 ブロック別ユネスコ活動研究会 ...................

ユネスコ 2015.7 12

Page 14: 2015年7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年4回)通 … · 2019-07-01 · 2015.7 vol. 1149 2015年7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年4回)通巻1149号

Open space for UNESCO activities

ユネスコ活動の広場第71回 日本ユネスコ運動全国大会 in 和歌山

 6月6日(土)・7日(日)、標記大会が和歌山市の和歌山市民会館大ホールで開催され、一般を含め延べ1900人が参加した。テーマは「持続可能な平和のために!」~“会話”を広げるユネスコ~。戦後70周年であり、UNESCO創設70周年という節目でもある今年、人と人との会話によって平和を築いていこうとの思いが込められている。大会の概要をお知らせします。 (文責:編集部)

 ユネスコスクールである和歌山市率伏ふ っ こ

虎中学校の吹奏楽部による演奏で幕を開けた今大会。開会宣言に続き、日ユ協連の松田昌士会長が「世界の安定には、日本・中国・韓国が手を取り合い、ユネスコの交流を広げていくことが大事だ」と述べ、中国ユネスコ協会クラブセンター連盟会長の陶

タオシーピン

西平氏、韓国ユネスコ協会連盟前会長の李

リ ピ ョ ン ウ

平宇氏とともに手を携えようとメッセージを寄せ、満場の拍手を受けた。 1日目のパネルディスカッションは「え~これもESD? 2015 GAPがスタート!」というテーマ。北海道教育大学副学長の大津和子氏をコーディネーターに、さまざまな切り口でESDにつながる活動を紹介した。文部科学省国際統括官の山脇良雄氏は昨年、日本で開催されたユネスコESD世界会議の内容を中心に、子どもたちが主体的・自主的に考え、自分で問題を解決する力を高めることの重要性を強調した。和歌山大学宇宙教育研究所教授の秋山演

ひろあき

亮氏は、宇宙教育という観点から、知的好奇心を高めることや、チームで物事を進めること、持続可能な宇宙のためには技術共有することも大切だと語った。また、ラグビーW杯2019組織委員会事務局長の徳増浩司氏は、2019年に日本で開かれるラグビーのワールドカップを通じてフェアプレーの精神を伝え、全国各地で国際交流をしながら盛り上げていきたいと語った。 続く事例発表「子どもたちによるESD活動発表」では、和歌山大学産学連携・研究支援センター教授の湯崎真梨子氏をコーディネーターに、和歌山県立江陽中学校理科部の生徒たちが、第1回プロジェクト未来遺産「ビオトープ孟子」での生き物調査について発表。昨年度はチョウについて観察し、とくにテングチョウが大発生したことで習性を学ぶことができ

たと述べた。一方、宇宙少年団和歌山分団からは、67名中5名の子どもたちが登壇。四つ切りの画用紙を使い、卵を割らずに落とすエッグドロップ・コンテストや、星の形をした砂を探した体験などを発表した。そして、公益財団法人日本宇宙少年団理事長であり漫画家の松本零士氏による特別講演

(次ページ参照)、全国大会10回出席者表彰で1日目は終了。レセプションでは、りら創造芸術高等専修学校の生徒たちによる歌とダンスのパフォーマンスで会場は大いに湧いた。 2日目は、和歌山大学観光学部特任教授のサイモン・ワーン氏が「和歌山の伝統文化」と題し、太地町に古くから伝わる捕鯨は守るべき大切な文化であり、UNESCOの産業遺産に登録されるべきだと力説した。 続くパネルディスカッションのテーマは「歩きましょう! 紀伊山地の霊場と参詣道」。和歌山大学経済学部教授の足立基浩氏をコーディネーターに、立場の違う3人がそれぞれ発表。日本イコモス国内委員会委員長の西村幸夫氏は、熊野古道は自然との関係の中で歩くことそのものが目的となり、このような文化の多様性をお互いに知ることが、それぞれの文化を豊かにしていくと述べた。和歌山県世界遺産マスターの小野田真弓氏は、熊野には古代から何でも受け入れる寛容精神があり、それが世界遺産の理念と合致すると語った。また、速水林業代表の速水亨氏は、熊野古道は人の生業と自然との調和があって初めて文化的景観となるため、熊野古道にふさわしい人工林をつくっていきたいと述べた。最後に大会宣言を採択して、2日間の全国大会は幕を閉じた。

※大会宣言については、日ユ協連ホームページをご覧ください。

主催:日本ユネスコ協会連盟、和歌山県ユネスコ連絡協議会、和歌山ユネスコ協会

ユネスコ 2015.713

Page 15: 2015年7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年4回)通 … · 2019-07-01 · 2015.7 vol. 1149 2015年7月1日発行(1、4、7、10月の1日発行・年4回)通巻1149号

皆さまからのお便りをお待ちしています。

● 子どものころ戦争があった 私は今年で77歳になります。子どものころは兵庫県の明石にいました。父は戦闘機のパイロットでしたので、明石の工場にも連れて行ってもらい、最新型の飛行機を見たりしていました。その前から星空に心惹かれるタイプで、本当はいまごろ火星に住んでいる予定だったんです(笑)。 昭和19年に父が南方戦線へ行ったので、愛媛県大津市の母の実家に移り、そこで小学1年生になりました。我々は特異な時代に生きた世代です。実際に戦闘機から爆撃されたこともあります。とても低い高度で飛行してきて、アメリカ人のパイロットが私を見てニヤッと笑ったのが見えました。広島に原爆を落とした飛行機は、私の頭上を飛んでいったのかもしれません。現実の戦争を体験して、正確に記憶している最後の世代です。駅から出た列車が爆撃されたこともあります。父や息子が帰ってこなかった家庭が、どんなに悲惨だったかも知っています。● 自然と触れ合った少年時代 川で魚を獲り、山に登り、木に登りしているうちに、7歳で戦争が終わりました。8月15日の12時に玉音放送が流れたとき、私は肱川で魚獲りをしていました。すると、どこかのおじさんが「戦争が終わったぞー」と叫んでいました。家に帰って玄関を開けると、おばあさんが正座して刀を磨いていたのを覚えています。「敵が来たら、この刀で皆して死のう」と、しばらくは抜き身のまま枕元に置いて寝ていました。 ある日、木の上で友だちが「学校を卒業しても、おらのことを忘れるなよ」というから「絶対忘れん」といったら、枝が折れて一緒に落ちたんです。だから、落ち方は上手になりましたよ。それから、折れやすい木、折れにくい木を全部覚えていったんです。向かってくる蛇がいたので殺して帰ったら、ヤマカガシという毒蛇だったこともあります。うなぎをとっ

たと思ったら青大将だったり(笑)。でも、亀をつかまえたときは、甲羅がとれると思い、首を引っ張ったら血が出て死んでしまい、そのときは心の底から謝りました。自分で墓をつくり、毎日学校の行き帰りに花を供えていました。蜂の子やハチミツが食べたい一心で、スズメバチの巣を襲ったこともあります。こんなふうに、存分に自然と触れ合って暴れまわりました。 終戦直後からは北九州の小倉に移ったので、今度は関門海峡で泳ぎまくっていました。これも魚が獲りたい一心です。だから、絶対おぼれないようになりました。どんな荒波がきても大丈夫(笑)。● 父から聞いた「星の海」の話 戦争中、四国では大気が澄んでいて、オリオン座がすごくきれいでした。その3つ星がいまも胸に刻み込まれています。父は南方で行方不明となり、2年後に帰ってきました。イギリス軍と空中戦をやった結果、マレー半島の小島に抑留されていたそうです。戦後は公職から追放されて、家は極貧になりました。それで、父は炭焼きをやっていのですが、仕事の合間に「南方の夜空はきれいだ。飛行機で飛ぶと、どっちが上か下かわからなくなる。まるで星の海を飛んでいるみたいなんだ」と話してくれました。その「星の海」という言葉が、私の心に残りました。 漫画は小さいときから好きで、いちばん最初に描いたのが

「潜水艦13号」というもの。昭和18年、5歳の頃のことです。昭和13年生まれだから、13号。その次に「潜水艦スーパー99」というのを描いて、それが「999」につながっていくんです。戦争中には、アメリカ兵が捨てた「スーパーマン」などの漫画を拾って売っているおばちゃんがいて、それを何冊も買っていました。また、父が映写機を持っていたので、家で「ミッキーマウス」や「ふくちゃん」などのアニメを観ていました。戦後は、火星に行くつもりでしたから(笑)、ウェルズの「生命の科学」全16巻など、天文学の本をいっぱい読んで育ちました。 人間はいま、地球に穴を開けたり汚染したりしています。人間同士でも争っている。だけど、そんな暇はないんです。このままでいくと人間が地球を滅ぼします。何のために知的生命体として生まれたのかと思います。人間は、この星の地球環境の防御と、全生命体の維持に責任があります。主義主張とか思想とかの問題ではないのです。この地球の未来のために、皆さんも一緒に頑張りましょう。

「宇宙と子どもと平和」(抄録)

公益財団法人日本宇宙少年団理事長、漫画家 松本 零士

特別講演

まつもと・れいじ1938年、福岡県生まれ。'74年「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」で小学館漫画賞を受賞。'02年、紫綬褒章受章。'10年、旭日小綬章受章。'12年、フランス共和国より藝術文学勲章シュヴァリエを受章、公益財団法人日本宇宙少年団理事長に就任。モットーは「時間は夢を裏切らない」。

PROFILE

ユネスコ 2015.7 14

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公益社団法人日本ユネスコ協会連盟は、UNESCO憲章の精神に共鳴した人びとによって1947年、世界にさきがけ仙台で始まった、民間ユネスコ運動の日本における連合体です。現在全国に約280のユネスコ協会があります。

2015年7月1日発行 通巻第1149号 第3種郵便物認可(1、4、7、10月の1日発行・年4回) ●発行/公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟 東京00150-9-56030 ●購読料1000円(1年・送料込)〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-3-1 朝日生命恵比寿ビル12階 TEL 03(5424)1121 FAX 03(5424)1126� 再生紙を利用しています

日本ユネスコ協会連盟からのお知らせ

2014年度「ユネスコ寺子屋プロジェクト」リーフレットコンテスト受賞作品決定 標記コンテストに全国から 19 校が参加し、約 2000 名の生徒が識字や教育について学び、リーフレットづくりに取り組みました。最優秀賞「日本ユネスコ協会連盟賞」には富山市立蜷

にながわ川小学校6年(当

時)の津田 桜香(つだ さくらこ)さんの作品が選ばれました。

子どもたちの呼びかけで、支援の輪が広がる 世界寺子屋運動について学んだ西町インターナショナルスクールの生徒たちの呼びかけに応えた企業に

より、未使用のまま眠っていたハガキを通して、世界寺子屋運動に多大なご協力をいただきました。寺子屋支援への活用とともに、一部は現地訪問のための相互理解の活動に使わせていただきます。生徒の皆さんに感謝状を贈呈しました。

2014年度「活動レポート」完成 2014 年度の日ユ協連の活動をまとめた

「活動レポート」ができました。下記のホームページでご覧ください。http://www.unesco.or.jp/kikanshi/

三菱アジア子ども絵日記フェスタ作品募集中 日本を含むアジア 24 ヵ国・地域の 6 ~12 歳の子どもたちが、絵日記を通じてお互いの暮らしや文化を知り、理解を深めることを目指して、1990 年から行われてきた標記事業(主催:三菱広報委員会・アジア太平洋ユネスコ協会クラブ連盟・公益社団法人日本ユネスコ協会連盟)。第12 回目の作品募集が始まりました。 5 日間の生活を絵日記で表現するこのフェスタには毎回力作がそろいます。受賞者の子どもたちは、来年 7 月末横浜で開かれる表彰式に出席していただきます。ふるってご応募ください。募集要項など詳細は下記を参照してください。http://enikki.mitsubishi.or.jp/oubo/index.html

「民間ユネスコ運動〜夏のキャンペーン」参加ユネスコ協会募集 今年も 7 月 19 日(日)に「民間ユネスコ運動の日」がやってきます。全国各地のユネスコ協会が夏の 2 ヵ月間に「平和の鐘を鳴らそう」や独自の平和学習会、チャリティコンサート、講演会などを実施。さまざまな活動によって平和を祈り、平和について考える機会を社会に投げかけます。今年は「ネパール大地震募金」にもご協力をお願いいたします。広報グッズも準備しており、民間ユネスコ運動を一緒に盛り上げていきましょう。○問合せ:国内事業部

「みどりの絵コンクール」作品募集  標記コンクールは「守ろう地球のたからもの」プロジェクトの一環として、三菱UFJ 環境財団との共催で実施しています。絵を描くことを通じて子どもたちが自然に親しみ、自然の美しさ・大切さを知ることを趣旨としています。第 40 回となる本コンクールの作品を募集中です。応募先は三菱 UFJ 環境財団。詳細は 6 月分ユネスコ協会便に封入の募集要項で。○締切:9 月 11 日(金)消印有効○問合せ:国内事業部「みどりの絵コン

クール」係

事務局人事(7月1日現在)事務局長:川上 千春事務局次長:長倉 義信[海外事業部]

副部長・海外事業部長代理:関口 広隆主任:本間 雅子、青山 由仁子職員:鴨志田 智也、宍戸 亮子[国内事業部]

国内事業部長(兼):長倉 義信総務部長・国内事業部補佐 織田 勝美副部長:古澤 真理子、根本 清美主任:尼子 美博、上岡 あい職員:間辺 初夏、杉田 研一、渡辺 大修、

小澤 万里アシスタント:仁藤 里香

お知らせ

事 務 局 だ よ り

「日本ユネスコ協会連盟賞」受賞作

今後の主要事業日程

2015

7月19日 民間ユネスコ運動の日7月21日~25日 第9回 WFUCA 世界大会(中国、北京)7 月 24 日~ 29 日 日中韓青年文化フェスティバル(中国、北京)7 月 25 日・26 日 東北ブロック・ユネスコ活動研究会(秋田県秋田市)8 月 2 日~ 5 日 第 47 回ユネスコ子どもキャンプ in 千葉8 月 12 日~ 16 日 教員対象カンボジアスタディツアー8 月 12 日~ 21 日 第2回高校生カンボジアスタディツアー

8 月 20 日~ 23 日 東日本大震災を心と記憶にとどめるユネスコ・ボランティア交流ツアー

9 月 12 日 第 504 回理事会9 月 12 日・13 日 中部東ブロック・ユネスコ活動研究会(静岡県静岡市)10 月 17 日・18 日 北海道ブロック・ユネスコ活動研究会(北海道室蘭市)

10 月 24 日 近畿ブロック・ユネスコ活動研究会(京都府福知山市)関東ブロック・ユネスコ活動研究会(栃木県佐野市)

10 月31日・11 月1日 中部西ブロック・ユネスコ活動研究会(岐阜県大垣市)11 月 7 日 第 505 回理事会、第 37 回評議員会、理事・評議員情報交換会

11 月 14 日・15 日 九州ブロック・ユネスコ活動研究会(大分県大分市)四国ブロック・ユネスコ活動研究会(香川県丸亀市)

11 月 21 日・22 日 中国ブロック・ユネスコ活動研究会(鳥取県米子市)

2016 1 月 16 日 第 506 回理事会、第 38 回評議員会、情報交換会、新年懇親会3 月 12 日 第 507 回理事会

募集

訃報 7月12日、前事務局長 寺尾明人氏が享年57歳にて永眠いたしました。日本ユネスコ協会連盟に1993年入局し、世界寺子屋運動の基盤構築に貢献し、民間ユネスコ運動の推進に力を注ぎました。ここに故人のご冥福をお祈りし、謹んでお知らせ申し上げます。