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http://www.unisys.co.jp ユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。 Eマーケットの本質は “顧客中心市場への進化” いま急激に進んでいるネット革命と IT革命は、「Eマーケット」と呼ばれる、 まったく新しい性質の市場を出現させ つつある。 では、このEマーケットの本質は何か? それは、単なる「市場の効率化」では ない。その本質は、これまでの企業中 心市場から顧客中心市場への「市場の進 化」である。 では、この「顧客中心市場」とは何か? それは、市場における「情報主権」が 企業の側から顧客の側へと移行し、そ のため、すべてのビジネス・モデルが顧 客中心に組み変わっていく市場のこと である。 では、この「顧客中心市場」において、 我々は何をなすべきか? まず何よりも「古い常識」を捨てるこ とである。そして、この進化した市場 において求められる「次なる常識」(Next Common Sense)を身につけることである。 例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし て自社の商品を顧客に売りつけること ができるか」という「企業中心」の発想の 言葉だからである。 では、この常識がどう変わるのか? それは、「購買支援」である。 これからは、それが次なる常識とな る。「いかにして顧客のショッピングを 手伝えるか」という発想、それこそが顧 客の支持を得る。 顧客中心市場が求める 三つの“ワン・サービス” では、それはどのようなサービスか? 三つの「ワン・サービス」である。 第一に、顧客の特定のニーズに関連 するさまざまな商品の情報をすべて取 り揃えて提供する「ワンストップ・サー ビス」。 第二に、顧客のために同じジャンル の競合商品を比較・評価してアドバイス する「ワンテーブル・サービス」。 第三に、顧客に対して一対一で懇切 丁寧にアドバイスする「ワンツーワン・ サービス」。そうしたサービスである。 例えば、顧客の「資産運用」という ニーズに対して、株式、投資信託、国 債、定期預金などのさまざまな金融商 品の長短や、各社の競合商品の特長な どを、一対一で懇切丁寧にアドバイス するファイナンシャル・プランナーなど のサービスである。 古い常識を捨てよ しかし、これらのサービスを提供す るためには、やはり古い常識を捨てな ければならない。 第一に、「ワンストップ・サービス」に おいては、企業は、自社の商品が属す る「商品セグメント」を見ているだけで はなく、特定ニーズを中心に異業種の さまざまな商品が集まって形成する「商 品生態系」を見る必要がある。 例えば「快適なシニアライフ」という ニーズに関連して、二世代住宅、バリ アフリー家具、介護人材派遣、健康食 品、生涯教育、医療サービスなどの商 品が形成する生態系である。そしてこ れからは、異業種連合によってパッ ケージ商品開発や提携マーケティングを 進める商品生態系の戦略が常識となる。 第二に、「ワンテーブル・サービス」に おいては、まず、さまざまな競合商品 を客観的に比較・評価した「評価情報」を 顧客に提供する必要がある。 しかし、これからはそれに加え、さ まざまな商品に対する顧客の主観的な 声や意見、すなわち「評判情報」をも提 供することが望まれる。企業は、顧客 に対して「企業の声」や「識者の声」だけ でなく「顧客の声」をも伝えることが必 要な時代なのである。そして、そのた めの一つの優れた方法は、ネット上で 顧客同士が自由に意見交換する「顧客コ ミュニティ」を生み出すことである。 そして、こうした顧客コミュニティ は、まもなく企業と顧客との対話と協 働の場になっていく。それは、かつて アルビン・トフラーが予言した「プロ シューマ型開発」が行われる場である。 生産者(プロデューサ)と 消費者(コンシューマ)が共同して商品 開発を行う。それが、これからの時代 の次なる常識となっていく。 第三に、「ワンツーワン・サービス」に おいては、「ナレッジ・サービス」の提供 が次なる常識となる。 すなわち、企業は商品を売るために は、これまでのような「マニュアル」に 基づく顧客サービスではなく、高度な 「ナレッジ(専門知識)」を持ったスタッフ が、顧客に対して細やかなアドバイス をする必要がある。そして、今後、ブ ロードバンドが普及すると、テレビ電 話など、対面でのサービスが一般的に なっていく。そのため、単に「ナレッ ジ」だけでなく、顧客に対する細やかな 気配りなどの「マインド・サービス」が求 められるようになっていくだろう。 次なる常識は コンシェルジェ・サービス こう考えていくと、Eマーケットにお ける次なる常識を象徴するキーワード が見えてくる。 「コンシェルジェ」である。 24時間いつでも、一対一で、細やか な気配りと専門的な知識で三つのワン・ サービスを提供してくれる「コンシェル ジェ」。その発想は、これからの時代の 企業にとって、必ず身につけるべき「次 なる常識」となっていくだろう。 「次なる常識」が求められる時代 多摩大学 大学院教授/シンクタンク・ソフィアバンク代表 田坂 広志本号の主な記事 本号の主な記事 対談「コンプライアンス経営」 新事業/新サービスへの取り組み ユーザ事例 b弁護士 畑中 鐵丸氏 日本ユニシス 白鳥 惠治 常務取締役 (2~4・11面) b日本ユニシス・ラーニング株式会社設立 (5面) bベネフィット・システムズ 「日本版401k運営管理/レコー ドキーピング・システム」を構築 (6面) bJA新潟電算センター XIS-WebNetを活用しWebオンライ ン・システム稼働 (8面) b住友電装 SAN対応ストレージ「SANARENA2800」を導入 し、ストレージ統合を実現 (9面) 田坂 広志(たさか ひろし):1951年生まれ。1974年東京大学工学部卒業。1990年日本総 合研究所の設立に参画。民間主導による新産業創造をめざす「産業インキュベーション」 のビジョンと戦略を掲げ、20のコンソーシアムを設立、運営。2000年4月多摩大学教 授に就任。6月シンクタンク・ソフィアバンクを設立。情報、流通、金融、教育、バイ オなど各分野の企業の社外取締役や顧問も務める。著書に、「複雑系の経営」(東洋経 済新報社)、「創発型ミドルの時代」(日本経済新聞社)ほか多数。 UN 7月26日(金) 赤坂プリンスホテルで開催

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Page 1: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

http://www.unisys.co.jpユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。

●Eマーケットの本質は

“顧客中心市場への進化”

いま急激に進んでいるネット革命とIT革命は、「Eマーケット」と呼ばれる、まったく新しい性質の市場を出現させつつある。では、このEマーケットの本質は何か?それは、単なる「市場の効率化」ではない。その本質は、これまでの企業中心市場から顧客中心市場への「市場の進化」である。では、この「顧客中心市場」とは何か?それは、市場における「情報主権」が企業の側から顧客の側へと移行し、そのため、すべてのビジネス・モデルが顧客中心に組み変わっていく市場のことである。では、この「顧客中心市場」において、我々は何をなすべきか?まず何よりも「古い常識」を捨てることである。そして、この進化した市場において求められる「次なる常識」(NextCommon Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促

進」という古い常識を捨てなければならない。なぜなら、この言葉は「いかにして自社の商品を顧客に売りつけることができるか」という「企業中心」の発想の言葉だからである。では、この常識がどう変わるのか?それは、「購買支援」である。

これからは、それが次なる常識となる。「いかにして顧客のショッピングを手伝えるか」という発想、それこそが顧客の支持を得る。●顧客中心市場が求める

三つの“ワン・サービス”

では、それはどのようなサービスか?三つの「ワン・サービス」である。第一に、顧客の特定のニーズに関連するさまざまな商品の情報をすべて取り揃えて提供する「ワンストップ・サービス」。第二に、顧客のために同じジャンルの競合商品を比較・評価してアドバイスする「ワンテーブル・サービス」。第三に、顧客に対して一対一で懇切丁寧にアドバイスする「ワンツーワン・サービス」。そうしたサービスである。例えば、顧客の「資産運用」という

ニーズに対して、株式、投資信託、国債、定期預金などのさまざまな金融商品の長短や、各社の競合商品の特長などを、一対一で懇切丁寧にアドバイスするファイナンシャル・プランナーなどのサービスである。●古い常識を捨てよ

しかし、これらのサービスを提供するためには、やはり古い常識を捨てなければならない。第一に、「ワンストップ・サービス」においては、企業は、自社の商品が属す

る「商品セグメント」を見ているだけではなく、特定ニーズを中心に異業種のさまざまな商品が集まって形成する「商品生態系」を見る必要がある。例えば「快適なシニアライフ」というニーズに関連して、二世代住宅、バリアフリー家具、介護人材派遣、健康食品、生涯教育、医療サービスなどの商品が形成する生態系である。そしてこれからは、異業種連合によってパッケージ商品開発や提携マーケティングを進める商品生態系の戦略が常識となる。第二に、「ワンテーブル・サービス」においては、まず、さまざまな競合商品を客観的に比較・評価した「評価情報」を顧客に提供する必要がある。しかし、これからはそれに加え、さまざまな商品に対する顧客の主観的な声や意見、すなわち「評判情報」をも提供することが望まれる。企業は、顧客に対して「企業の声」や「識者の声」だけでなく「顧客の声」をも伝えることが必要な時代なのである。そして、そのための一つの優れた方法は、ネット上で顧客同士が自由に意見交換する「顧客コミュニティ」を生み出すことである。そして、こうした顧客コミュニティは、まもなく企業と顧客との対話と協働の場になっていく。それは、かつてアルビン・トフラーが予言した「プロシューマ型開発」が行われる場である。

生産者(プロデューサ)と消費者(コンシューマ)が共同して商品開発を行う。それが、これからの時代の次なる常識となっていく。第三に、「ワンツーワン・サービス」においては、「ナレッジ・サービス」の提供が次なる常識となる。すなわち、企業は商品を売るためには、これまでのような「マニュアル」に基づく顧客サービスではなく、高度な「ナレッジ(専門知識)」を持ったスタッフが、顧客に対して細やかなアドバイスをする必要がある。そして、今後、ブロードバンドが普及すると、テレビ電話など、対面でのサービスが一般的になっていく。そのため、単に「ナレッジ」だけでなく、顧客に対する細やかな気配りなどの「マインド・サービス」が求められるようになっていくだろう。●次なる常識は

コンシェルジェ・サービス

こう考えていくと、Eマーケットにおける次なる常識を象徴するキーワードが見えてくる。「コンシェルジェ」である。24時間いつでも、一対一で、細やかな気配りと専門的な知識で三つのワン・サービスを提供してくれる「コンシェルジェ」。その発想は、これからの時代の企業にとって、必ず身につけるべき「次なる常識」となっていくだろう。

「次なる常識」が求められる時代多摩大学 大学院教授/シンクタンク・ソフィアバンク代表 田坂広志氏

本号の主な記事 本号の主な記事

対談「コンプライアンス経営」

新事業/新サービスへの取り組み

ユーザ事例

b弁護士畑中鐵丸氏 日本ユニシス白鳥惠治 常務取締役 (2~4・11面)

b日本ユニシス・ラーニング株式会社設立 (5面)

bベネフィット・システムズ 「日本版401k運営管理/レコードキーピング・システム」を構築 (6面)

bJA新潟電算センター XIS-WebNetを活用しWebオンライン・システム稼働 (8面)

b住友電装 SAN対応ストレージ「SANARENA2800」を導入し、ストレージ統合を実現 (9面)

田坂 広志(たさかひろし):1951年生まれ。1974年東京大学工学部卒業。1990年日本総合研究所の設立に参画。民間主導による新産業創造をめざす「産業インキュベーション」のビジョンと戦略を掲げ、20のコンソーシアムを設立、運営。2000年4月多摩大学教授に就任。6月シンクタンク・ソフィアバンクを設立。情報、流通、金融、教育、バイオなど各分野の企業の社外取締役や顧問も務める。著書に、「複雑系の経営」(東洋経済新報社)、「創発型ミドルの時代」(日本経済新聞社)ほか多数。

UN

   7月26日(金) 赤坂プリンスホテルで開催

Page 2: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

クが存在しますね。市場予測や顧客ニーズの見誤り、系列企業の事故、信用/市場リスク、さらにコンプライアンス・リスクなどがあります。弁護士のお立場から、企業を取り巻くリスクを整理していただけますか。畑中 リスクは、企業外で起こる外因的リスクと企業内で起こる内因的リスクに分けられます。(図1)この中で、災害リスクやカントリーリスクなど外因的リスクにおける非財務的リスクについては、多くの企業経営者は、「そんなことは起きないし、起きてから考えればいい」と考えるかもしれません。しかし、阪神大震災が起こり、昨年9月11日の同時多発テロが起こり、銀行や生命保険が次々と破綻に追い込まれたり、さらにはアメリカの自治体で経営破綻に陥ったことなど、つい最近までおよそ予想し得なかったことがいとも簡単に発生するような時代です。したがって、リスクの顕在化状況を具体的に想定し、それによる受けるべき影響を特定しておく必要があります。内因的リスクについては、企業自身が責任をもってきちんと管理しなければならないことはいうまでもありませんが、これさえも不十分な企業が実に多いです。◆ 企業の存亡に関わる法的リスク(コンプライアン

ス・リスク)

白鳥 コンプライアンスという観点からいうと、企業を取り巻く「法的リスク」が中心的課題になるわけですが、この法的リスクが具体化した場合、企業イメージダウンと競争力の低下を招き、そしてそれを回復するためのコストアップなど多大な負担を被ることになります。最近の一連の企業不祥事は企業の存亡に関わるほどになっており、今や法務体制の強化がますます重要であると認識しています。畑中 そもそも法的リスクとは、企業経営の過程において、「法律・規則・命令などの法律上のルールに違反することから生じる、損害賠償、債務不履行などの民事責任、刑事責任ないし行政責任を負う危

リスクの例�

企業のロス�

①総会屋・暴力団 ②製品の欠陥・事故 ③粉飾決算・違法配当�④検査妨害・談合 ⑤従業員の横領・インサイダー取引�など�

法 的 責 任 �

社会的責任�

①民事責任…被害者からの賠償請求、株主代表訴訟�      による取締役らの個人的な責任追及�②刑事責任…懲役、罰金など�③行政責任…営業停止、免許停止、課徴金納付命令�

④企業イメージの低下�⑤消費者による不買運動�⑥規制強化に伴うコストアップ�

法的リスク�法令遵守�

(コンプライアンス)経営�

企業経営の過程で、法律・規則・命令などの法律上のルールに違反することから生じる、損害賠償・債務不履行などの民事責任、刑事責任、行政処分を負う危険�

企業が法律上のルールを守り、また、関係者に守らせることで法的リスクを軽減する組織的な取り組みを経営課題にしていこうという姿勢�

2

昨今、企業の不祥事が相次ぎ、コンプライアンス

(法令遵守)の不徹底が巨大なリスクであることを改

めて社会に再認識させた。企業倫理の確立は以前か

ら重要な経営課題と認識されているが、企業による

法令違反などの法務関連不祥事は後を絶たず、コン

プライアンス体制の確立が容易でないことを物語っ

ている。以前にも増して、「コンプライアンス」は火

急に解決すべき経営課題として取り上げられ、「企

業生き残りのためのマストアイテム(必須条件)とし

て、法務体制を確立すべき」という指摘が多い。

一方で、規制緩和やビジネス環境が大きく変遷す

る中、リスクや従来の商慣行に積極的に挑む経営マ

インドや危機状況における管理の巧みさがビジネ

ス・チャンスをつかみ取り、勝ち組企業になるであ

ろうことも指摘されている。

本紙では、こうした視点に立って、コンプライア

ンス体制の確立に向けての課題と対応について、こ

の分野に詳しい弁護士 畑中 鐵丸氏と、日本ユニシ

スチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO) 白鳥

惠治常務取締役による対談を企画した。

企業経営とリスク・マネジメント

◆攻めの経営に必要なリスクテイク

白鳥 私は現在、財務、法務、経理などの部門を預かっていますが、その方針としてリスク・マネジメントの徹底を掲げています。リスク・マネジメントというと、いかにも消極的にとられがちですが、そうではなく、企業収益を上げるために、積極的にチャレンジするための方法であり、リスク・マネジメントの徹底如何がビジネスの巧拙を左右すると考えています。なぜなら、リスクの所在、度合いをしっかり認識すればこそ、攻めができるからです。「どんなリスクがあるか」、「もしリスクがあった場合、どれだけの損失を被るか」、その数字が見極められれば、それに見合うリターンの兼ね合いで、勝負に出て行けるというのが私の考えです。その際、事前にリスクの度合いを定量的に評価することが必要です。例えば、与信リスクと信用リスクを、取引先の格付けなどによって引き当てておく考えもあります。もし非常に格付けの低い会社と取り引きして、「損害を受けたらどうする」といって取引を断念するようでは先に進まない。100社、200社の取引相手の中で、そのうち2件ひっかかっても、残りのプラスαを合計すれば、収益を上げられます。したがって、その2社に対しては、一定のリスクの

度合いを設けて管理していけばよいわけです。◆経営者の仕事は“リスク判断業”

畑中 おっしゃるとおりです。ビジネス・チャンスとビジネス・リスクは常にコインの表裏の関係にあります。私は、リスクに対する認識が不足している企業、横並び意識が強く、リスクと聞けば途端に逃げ出すような企業、一旦危機が発生したらパニックに陥り適切な管理ができずに危機を「破滅」にまで増幅させてしまうような企業は、敗残の列に加わる時代がすでに到来していると思っています。他方で、リスクと上手に付き合うことのできる企業、すなわち、ビジネス・リスクを巧みにコントロールしつつ、避けるべき規制リスクを避け、避けなくてもいい規制リスクに潜むビジネス・チャンスを確実にモノできるような、積極経営のできる企業が勝ち組となるであろうことも事実であると思います。経営者の仕事は“リスク回避業”というこれまでのスタイルはすでに有効ではなく、“リスク判断業”であり“リスク管理業”であるといえます。リスクを精査した上で、事業を成長させるために取るべきリスクは、どんどんテイクしていかないと生き残れなくなってきています。◆企業を取り巻くさまざまなリスクの把握を

白鳥 企業を取り巻くリスクには、さまざまなリス

リスク�

外因的リスク�(企業外で起因)�

内因的リスク�(企業内で起因)�

財務的リスク� ストラテジー・リスク� オペレーショナル・リスク�非財務的リスク�

・クレジット� (信用リスク)�・マーケットリスク� (金利、通貨、� 物価の変動)�・流動性リスク�など�

・災害リスク�・政治リスク�・カントリーリスク�

・マーケティング� 競争戦略リスク�・商品企画リスク�

・操作ミスなどの� プロセス・リスク�・評判リスク�・ITリスク�・コンプライアンス・� リスク�

(参考:伊藤勝教著「インターナル・コントロール」(商事法務研究会刊)49ページ)

図1 リスクのカテゴリー 図3 法的リスクの例と企業のロス

図2 法的リスクとコンプライアンス

畑中鐵丸氏(左)と白鳥惠治常務取締役

対談「コンプライアンス体制の確立に向けて」

弁護士(日本国及び米国ニューヨーク州)中島・宮本・畑中法律事務所パートナー 畑中鐵丸氏日本ユニシス株式会社常務取締役

チーフ・コンプライアンス・オフィサー 白鳥惠治

2002年7月1日第495号

特集.コンプライアンス経営

Page 3: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

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◆コンプライアンスで力強い会社に切り替える

白鳥 法的リスクと合わせて、最近「コンプライアンス経営」ということが語られるようになってきました。これは、企業自ら、ルールを守り、あるいは企業関係者にルールを守らせ、法的リスクを軽減するような組織的取り組みであり、経営課題としていこうという経営姿勢だと思います。「法律を守るのは当たり前」といえばそうなのですが、実際、企業の法令違反に関する報道は後を絶たない状況で、また、特定企業によっては法令違反が複数回繰り返されているというのが最近の傾向であると言われています。世の中で起きている不祥事を見ると、コンプライアンス体制を、違反した際のプロテクションとして位置付ける意味合いもありますが、我々はコンプライアンスを力強い会社に切り替えていく一つの方法として位置付けています。短期的な利益を求めて、社会に反する、顧客の信頼を失うような行動は、結果的にはマイナスになることは明白です。企業というのは、やはり社会に付加価値を提供し、その見返りの対価として利潤を求めていくわけですから、社会に付加価値を提供できない会社というのは、存在価値がありません。私が、今年の2月にチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)を拝命したのも、コンプライアンスをさらなる企業活力とビジネス拡大に活かすという、当社方針の具体化の一つと認識しています。◆コンプライアンスを競争優位確立に活かす米国

畑中 御社の具体的な取り組みは、リスクに対する積極姿勢の現れと評価できますね。現在グローバル市場をリードしている米国では、潜在リスクに対応する点でも専門家と協同して徹底した調査の上、これを抑止する具体的なプログラムを構築し、確実に運用するというコンプライアンス実務を確立しておりますし、またこのような抑止体制にもかかわらず法的リスクが具体化した時にも、徹底した事実調査を行い、適切な有事対応を行っています。 (図4)

すなわち、法をよく知り、適法と違法のグレーゾーンを知悉した上で、たとえグレーゾーンであっても、解釈をめぐって裁判で争うことまで視野に入れた万全の体制を確立し、積極的に事業展開を行い、競争優位を築いていくというスタイルをとっているのがアメリカ流です。 (図5)

険」と定義できます。 (図2)

実際に法的リスクが具体化した場合、企業組織の体制上の不備に対するネガティブな評価が大きく、また、マスコミにおいても格好のニュース対象として取り上げられます。したがって法的リスクが現実化した場合の損失は、一般的な事業損失とは比較にならないほど企業に与える影響は大きい。 (図3)

アメリカ企業�

日本企業�

徹底した事実調査を早急に行う�調査中はノーコメントで通す(最短期間でコメントを出せるよう努力している旨を堂 と々アピールする)�判明した事実を適切かつ最終的な声明として発表�

事実調査の前に事実隠しを行う�調査はするものの、身内だけで行う�調査途中で、不確定情報も含めて情報をだらだら出す�「とりあえずの謝罪」を行い、事態の沈静化を図る�とにかく、ひたすら頭を下げて、嵐が過ぎるのを待つ�

図4 法的リスクが具体化した場合の日米企業の対応

リスクの�ない分野�

リスキー�な分野�

グレーゾーン�

規制のグレーゾーンにおける�

ビジネス・チャンス獲得の努力�

・リサーチ・分析の徹底�

・事業モデル変更による規制�

の可能性の検討回避�

・ノーアクションレター摂取�

グレーゾーンの排除・�グレーゾーンからの脱出�

図5 グレーゾーンでのビジネス・チャンス

白鳥 私の過去の経験からも、米国企業は、安易に行政に頼らず、自らの責任で法を解釈してリスク分析を行い、コンプライアンス・プログラムを駆使して自ら定めた遵法基準を末端の従業員にまで徹底させ、万全な体制でグレーな法領域に飛び込んでビジネス・チャンスをつかみ取る、そんな企業像を描くことができます。◆ 法律の解釈次第でビジネス領域拡

大が可能に

畑中 今まで、コンプライアンスが問題になっていなかったのに、なぜ今から法令遵守なのだという点があると思います。法律とは、「それは明瞭かつ画一的なルールであって、皆が守らないといけないもの」というと、話が前に進みません。そもそも「法律に書いてないことはやってよいこと」なのであり、その意味では、「法律」とは企業活動にとって有害な環境を設定しているものにほかなりません。「法律」というのは「読めば誰でもわかるように一義的に書かれてあるし、書いてあるとおり守ればいいのではないか」と考える向きもありますが、法の解釈には、行政当局の解釈もあれば司法の解釈も、また学説の解釈もある。これらがさらに時々刻々変わってくる

行 政� 一般社会�

企業(株式会社)

証券市場� 経済社会�

国際社会�

経営陣(代表取締役、取締役ほか)

監督官庁� 自治体� 消費者� 地域住民�公正取引�委員会�

各種規制法�

(株主)

条例など� 独占禁止法違反事件の審査、勧告、審判、刑事告発など(独占禁止法)

環境法(環境基本法、大気汚染防止法、水質汚染防止法、廃棄物処理法、容器包装リサイクル法、自治体条例)

消費者契約法、金融商品販売法、製造物責任法、個人情報保護基本など�

株主総会による監視、利益供与罪(商法)

証取法による企業情報開示・インサイダー取引規制�

不正競争防止法、知的財産権侵害など�

契約違反、�顧客データの�セキュリティ�

優越的地位の濫用の禁止など(独占禁止法)、下請代金支払遅延等防止法など�

株主代表訴訟�

委任関係�

忠実義務�善管注意義務�競業避止義務�

外国法規制�贈賄の禁止�(不正競争防�止法)

証券取引法�外国預託証�券の規制�

契約違反�国際仲裁�

外国政府�

株主� 一般投資家� 競合企業� 取引先� 下請企業�

外国企業�

外国人投資家�

図6 企業を取り巻くコンプライアンス環境

のです。法律の解釈如何によって経営活動の許容範囲も大きく変わってきます。抽象的に「法律をきちんと守りましょう」などとしか書かれていない企業倫理憲章だけのコンプライアンス運営では、これらの高度な価値判断を統一的に管理・運営することなく、現場任せにするに等しく、組織として機能させることは到底困難です。したがって、法律をいたずらに恐れることなく、専門的視点をもって適切に解釈して、企業のプレイング・フィールドを確保し、これを組織的機能的に実践する、という考えがないといけません。法律というのは基本的に経営の手足を縛る一方、それを上手に戦略的に使うことによって、企業活動のフィールドが、どんどん広がって、ビジネス領域を拡大することができるのです。◆企業を取り巻くコンプライアンス環境を描く

白鳥 そうすると、まず企業の業務内容の中に具体的にどんなリスクがあるかを明確にしておく必要があります。そのために、過去の事例や判例をキチッと整理するなど、情報集積が非常に重要になってくると思います。畑中 そうですね。企業を取り巻くコンプライアンス環境を明瞭に描く必要があります。 (図6)

規制環境を特定したうえで、過去の判例とか、当該企業が経験したような当局のやり方とか、クレームや法的紛争などに発生した具体的事例に基づき、訴訟リスクなどを洗い出します。これらのリスクに対してはどういう方針で、どう臨むのかということをルールとしてかためた上で、それを実際に守らせるためのプログラムを作り、「ルールやマニュアルと、現実のオペレーションの間に乖離がないかどうか」を、教育と監査によって検証する仕組をつくるのが次のステップになります。無論、これらの履歴(教育や監査の履歴)が、後に発生する可能性のある、法令違反やこれに基づく訴訟・当局からの指導などに対応するための強力なエビデンスとして機能するのです。◆反証材料としての位置付けも

白鳥 最近の事例では、個人ではなく、“会社ぐるみ”といわれるケースが多いようですが、実際はどうなのでしょうか。畑中 例えば総会屋や食品不当表示の例をみた場合、個人が「組織のためにやった」という弁解をしても、企業としてそれを反証できる材料がない故に、結局「企業は間接的、黙示的に許容していた(組織ぐるみ)」などと言われるわけです。権威ある社内のルール(代表取締役名義やしかるべき組織的権威を有するコンプライアンス委員会名義のルール)として、「社内ルールはこうです」、「消費者の信頼を裏切るような行為や規制を特定して、そういうものについては遵守する」体制を作り上げておき、「特に今まで、問題になりそうなところは、全部専門家が特定した上でマニュアルを作って、当該工場長も含めてきちんと教育、監査も受けていた」ということが仮に形として具体的に存在すれば、「たった一つの法令違反の影響が即企業崩壊リスクにまでつながる」ことにはならないのです。

ユニシス・ニュース

2002年7月1日第495号

コンプライアンス経営のすすめ

Page 4: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

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業としてどの解釈を採用し、あるいはビジネス構築の上でどういう照会手順(法律専門家の意見採取)で進めなさい」といった突っ込んだところまでルール化することが必要なものもあるのです。下請やアルバイトの管理に関しては、独占禁止法や労働法などの規範とスレスレのことをやっている企業はたくさんあります。実際どこが違反のボーダーラインかについて(あるいは個別の案件でボーダーラインを設定する上での専門家からの意見採取基準等を設定するなどの手順確立について)、きちんと社内の自主規範として決めておく必要があります。◆ナレッジの集積と共有化を

白鳥 自主規範やルールの作成には、情報集積が非常に重要だと思います。当社の場合でも、ノウハウが個人に帰属している部分がかなりあり、そのノウハウを吸い上げて、組織的なナレッジ・マネジメントが課題になると思っています。集積したノウハウを共有化し、さらに積み上げることによって、よりよいものに進化させることができるはずです。最初のうちはコストがかかっても、いろいろな事例を集積しながら徐々にモデルを増やしていくことで、より実のあるコンプライアンス・モデルに仕上げることができます。畑中 法律事務所などでも、弁護士がスター選手も含めて何人もいるところがありますが、かようなナレッジ・マネジメント上の課題は共通の悩みです。結局、ナレッジは属人的に、個々の弁護士の頭脳の、いわばローカル・ハードディスクの中に全部たまっていて、全然共有化されていないという状況が現実として存在します。私がかつて所属していたアメリカの有名な法律事務所では、個々の弁護士の知的成果たる各ドキュメント・ファイルを一定の分類項目に従って、すなわち、「クライアント別、分野別、契約類型別、訴訟類型別、準拠法別」、といった形で整理し、効率的に管理していました。ですから過去のドキュメント、知的成果については、サーチすれば手に入る体制になっています。その辺が米国の強さの源泉だと思います。これだと、人が変わっても、ある程度、デフォルトから起こす必要がなく、さらに積み上げていくことで、より高度なものになっていく。組織としての成果物蓄積・活用効率が上がっていきますね。コンプライアンス運営もまったく同じで、こういうナレッジのフローおよびストックが効率的に整備されていないと、「体制が変わったとたん、また法令違反が再発」といったことになりかねません。その意味では、「コンプライアンス云々の前に、ナレッジ・マネジメントを整備するのが先決」という企業も少なからずあります。実際、コンプライアンスの構築を依頼されたところ、ドキュメント・フロー(およびストック)のシステムがまったく整備されておらず、インプリメンテーションの前の運営調査が、いつのまにか、ドキュメント・フロー構築のコンサルテーションになっていた例もあるくらいです。◆組織づくりの課題

白鳥 日本では、社員のロイヤリティは身近な組織に強く出てしまう。各人は、大きな意味では社会に帰属し、会社にも帰属し、社内の事業部門の一員であり、部・室の一員でもあり、グループの一員でもあるというように重畳的に属していますが、自分の一番身近かな組織への従属性が高い。このため、一番近い組織のためにと思ってやった

行為が、一段と大きな組織である会社あるいは社会に対して、問題のある行為だったというようにミスマッチが起きるケースがあります。最終的に会社や組織のためにならない行為だと思いつつも、どうしても、身近かな見えるところの世界に注目しているというケースがあります。各人は決して自分のためにやったのではなくて、組織のためにやったのだという確信犯的に自らを納得せしめるわけです。直属の上司にしても、「彼も、自分のためではなくて、組織のためにやった行為だ」とカバーする。結局、どこにレポートするかの問題になってくるわけです。世の中一般に自分の身を処してまで組織を守ってしまう話もある。コンプライアンス・プログラム、コンプライアンス体制の中で、各人が直属

防止することもできると思うのですが。◆コンプライアンス委員会の位置付けがポイント

畑中 コンプライアンス委員会を作るところはありますが、これが当該コンプライアンス担当取締役個人にのみ責任を負うべき組織なのか、代表取締役に直接責任を負うべき組織なのか、あるいは、代表取締役も監視しうる取締役会全体に対する責任を負うべき組織なのか、さらには「株主総会から権限と責任を付与され、取締役全員を服せしめる規範を確立・運用しうる強力な権威を有する組織」なのか、いろいろなデザインが考えられます。特定の取締役や代表取締役に委員会が責任を負う場合だと、結局、「トップの不正やルール違反」を厳しく指摘することができず、コンプライアンスが機能しないこともあり得ます。他方で、株主総会から権限を付託されたコンプライアンス委員会というと、「所有と経営の分離」という株式会社制度の根本原理にそぐわず、また現実的にもあまりにもラディカルな組織デザインとなってしまい、導入への強い抵抗が予想されます。コンプライアンス委員会を組織的にどう位置付けるかということが、まずは大きな問題となります。◆経営に資するコンプライアンス体制へ

白鳥 私どもでは、コンプライアンスを基本的に経営戦略の一環として位置付けていますから、経営委員会へのレポートという形になると思います。もっと大きな意味での企業の正当性を確保するためのチェック機関としてのコンプライアンス委員会となると、総会に対してのレポートというのが1つの徹底した形であると思います。しかし、そこまでいくのが、正直いって現実的かどうかという気がします。当社の場合、今コンプライアンス委員の構成メンバーを想定すると、CCOの下に法務部門を中核に据えて、あとは現場のメンバーを据えるというのが基本的なスタンスになります。

(11面下段へ続く)Ç

2002年7月1日第495号

白鳥惠治常務取締役

◆CCOの下、全社的な取り組みを推進

白鳥 当社は、関係会社が子会社として18社、関連会社が7社と計25社あります。したがってグループ企業を含め、全社的な取り組みが必要だと実感しています。昨年、一昨年と、社内教育研修の一環として、コンプライアンスに関わるセミナーを何回も行って、なぜ今コンプライアンスが必要かという話をしてきました。今後はコンプライアンス体制の確立に向けて努力していくつもりです。体制を作ったら、まず全員が自分の問題として認識してもらわないといけない。フィールドの各現場のコンプライアンス・オフィサーを通じてやるだけでは、徹底していかない。そこで今、法務部が事例集ハンドブックを作成中で、社員が実感として、「コンプライアンスとは、こういうことを言っているのだ」ということを十分認識してもらうように啓蒙活動に取り組みつつあります。専門家の立場から、コンプライアンス体制を築く上でのポイントを伺えたらと思いますが。◆まず社内規程の整備から始めよ!

畑中 コンプライアンス・プログラムは2つの側面から考える必要があります。一つは、「コンプライアンス・プログラム」というのは基本的に手順書でありマニュアルに過ぎません。マニュアルは何かのルールを具体化したものであり、これを守らせるためのツールなのです。例えば、「基本書があって、はじめて参考書がある」、あるいは「法律があって、はじめて行政解釈や判例が存在する」という状況と同様に、マニュアルはルールの存在を必ず前提としています。したがって、何らルールがないところに、コンプライアンスのマニュアルだけが存在するというのは、「戦略を前提とせず、戦術のみが豊富にある」状況と同様、きわめて不自然かつ不条理な事態です。そもそも会社内の自主規範をどうするのかいう議論が先決課題として存在し、この自主規範を具体化したものとして、マニュアルがあるというのがしかるべき姿です。ところが、企業の中には、一度もそういうことは議論していないというケースが多い。さきほどの議論にも戻りますが、法律があり、法律を読めば分かるではないかといっても、会社と関係のある法律もあれば関係のない法律もあります。すなわち、民商法、訴訟法、労働法、知的財産権法等や独占禁止法、さらには関係業法等の特定のルールについては、普段あまり馴染みがなくても、会社や事業との関係が深く、社内的にもルールとして役員・従業員に十分告知させておく必要のある規範があります。さらに、特定のルールについては解釈・運用をめぐって激しい争いがあったり、ある程度の摩擦を前提としないとビジネスができない、といった類のものもあり、「この法律は重要なので、皆さんよく守りましょう」という社内規範だけでは不十分で、「企

コンプライアンス体制の確立に向けての課題

の上司にレポートして、意見が合わなかったとき、もう一段上の組織にレポートし、あるいは、会社に一定のコンプライアンス委員会を通じてレポートするという体制を作ることで、ミスマッチを

畑中鐵丸氏

Page 5: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

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ユニシス・ニュース

2002年7月1日第495号

UN

新会社・日本ユニシス・ラーニングの特徴を挙げてみる。① 30余年にわたり蓄積された研修ノ

ウハウの提供

◆多様な研修プログラムIT関連のみにとどまらず、ビジネ

ス・スキルやヒューマン・スキル分野など、日本ユニシスの社員研修を目的に開発してきた多様な研修プログラム(日本能率協会より能力開発優秀企業賞を受賞)をお客様にも提供する。Eラーニングでは、さまざまな顧客ニーズに応えるために、インターネットを利用した教育ソリューション・サービス「dot-Learning」をASPサービスでも提供する。

◆ 「インストラクショナル・デザイン(ID)技法」によるコンテンツ作成

教育企画設計の分野で高品質な学習コンテンツを作成するための技法として注目を浴びているID技法を集大成した方法論「UNIKIDS」により、教材作成の企画から、学習目標・内容の設計、教材作成、運用設計、評価、フィードバックという、すべてのライフサイクルを支援する。②豊富な人材育成スペシャリスト集団

新会社は、日本ユニシスの研修部門で、社内研修ならびにお客様への研修サービスで培われた経験と実績を持つ、人材育成に関するスペシャリスト集団で構成されている。

経済のグローバル化など経済環境の変化とともに、新規ビジネス分野への参入

などで企業が求める人材も大きく変わりつつある。こうした変革の時代に対応で

きる人材の育成は、企業の将来を左右する重要な経営課題となってきている。

日本ユニシスにおいて、長年にわたって蓄積してきた人材育成のノウハウや経

験を活かし、お客様の多様な人材育成ニーズに迅速に応えるため、日本ユニシス・

ラーニング株式会社を設立し、7月1日、営業を開始した。

日本ユニシス・ラーニングの事業内容は、以下のとおりである。①お客様に対する教育サービスの提供

不特定多数のお客様を対象とした公開コースの開催および人材育成コンサルテーションを含め、お客様のニーズに合わせたオーダーメードの研修を提供する。これらの教育サービスでは、お客様のニーズに応じて、IT分野の研修から、ヒューマン・スキル、セールス・スキル、プロジェクト・マネジメント、ビジネス・スキル教育まで、さまざまな分野の教育研修プログラムを提供する。さらにお客様のニーズに合わせて、研修管理システム、スキル管理システム、人材管理システムなどの人材育成支援のためのソリューションを開発し

提供していく。② Eラーニングを利用した研修サービ

スの提供

Eラーニングシステム、コンテンツの販売、コンテンツの受託開発、ASPサービス「dot-Learning」など、多様なサービスも提供する。特に、Eラーニングを利用したサービスの面では、高品質なコンテンツの開発・提供が重要となる。日本ユニシス・ラーニングでは、これまでのノウハウを集大成したID技法「UNIKIDS」を開発し、それを利用した、極めて高品質なコンテンツの開発・提供が可能である。PCリテラシ、IT関連、情報処理、コンピュータ言語、ビジネス・スキル関連など、現在約100種類提供しているコンテンツを、今年度中にビ

お客様の人材育成ニーズ

コンサルテーション (豊富なノウハウと経験)

教育サービス・インテグレーション (高品質な研修プログラムとシステム)

Eラーニング・システム 経験豊富なインストラクター

スキル管理システム コンテンツ

ファシリティ コンピテンシ管理システム 研修管理システム 研修プログラム

テキスト教材 到達度診断システム

パートナー企業

日本ユニシス・ラーニングのサービス概要図

30余年という経験と実績を踏まえて、これまでも日本ユニシスは幅広い教育サービスを提供してきた。昨年一年間のユニシス教育サービスの受講者数は、日本ユニシス・グループでの社員教育で4万3千人日、顧客企業向けが2万3千人日に上る。こうして蓄積されたノウハウや経験を活かし、お客様の多様な人材育成ニーズに対してこれまで以上に迅速に対応するために新会社を設立した。教育ビジネス分野はビジネス・

チャンスが多く、今後も成長が期待される。Eラーニング需要など我々が勝ち組となれる分野も多く、得意分野にターゲットを絞っていくことが重要と認識している。新会社の事業内容には、「教育

サービス」と「Eラーニング」という2つの大きな柱がある。「教育サービ

お客様の価値創造に役立つ高品質の人材育成サービスを提供

日本ユニシス・ラーニング株式会社代表取締役社長 斎藤哲郎

ス」では、新人研修やプロダクト研修はもとより、上流のマネジメント研修などにまで踏み込み、「Eラーニング」では、IT系に加えてビジネス系資格取得など、高品質で種類も豊富なコンテンツを提供する。さらに、お客様企業の人材育成をトータルにコンサルテーションするなど、他社と差別化できる質の高いサービスで、お客様の価値創造に寄与できる企業を目指していきたい。

ジネス・スキル関連を中心に拡充し、250種類にする予定。Eラーニングの長所は、受講者が業務スケジュールなど自分の都合に合わせて必要な勉強ができることにあるが、集合研修でしか効果の現われない領域もある。そこで、Eラーニングで学習した後に集合研修を行うEラーニングと集合研修を組み合わせた“ブレンディング研修”も行う。また、今年から汎用テスト・システム「UNILets」も開発し、サービスの提供も開始している。これは、各種資格取得を支援するための模擬試験システ

ムである。学習者にランダムに関連試験問題を提示し、そのテスト結果に基づき、弱点となっている部分を再出題して学ばせるという汎用的な能力診断システムである。今後、IT関連だけでなく、ビジネス分野での資格試験も視野に入れて提供していく予定である。こうしたサービスを提供するため

に、日本ユニシス・ラーニングでは、ノウハウと経験を活かした「コンサルテーション」と、ID技法とIT技術の活用による「教育サービスインテグレーション」をサービス基盤に据え、事業展開を図っていく方針である。 (図)

提供可能なソリューション群には以下のものがある。b研修プログラムbインストラクターbファシリティbEラーニングのインフラbEラーニングのコンテンツb教材b汎用テスト・システムb研修管理システムbインストラクショナル・デザイン技法bその他また、お客様の多様な人材育成ニーズに応えるため、それぞれの専門分野で豊富な経験と実績を持つパートナー

企業とのアライアンスにも積極的に取り組んでいく。 UN

日本ユニシス・ラーニング株式会社設立お客様の人材育成ベスト・パートナーを目指して

変革の時代に即した教育サービスを提供

蓄積された研修ノウハウと人材育成のスペシャリスト集団

主なサービス

提供可能なソリューション群

■日本ユニシス・ラーニング株式会社http://learning.unisys.co.jp/

◆これまで蓄積された教育に関する経験やノウハウを活かし、人材育成に関する多様なニーズへ迅速に対応することを目指して設立された。Eラーニングに代表される新規分野へ機動的に参入し、教育ビジネスの拡大を図る。

◆本社=江東区豊洲1-1-1(日本ユニシス本社内)

大阪事業所=大阪市北区中之島2-3-33(日本ユニシス関西支社内)

◆資本金=5,000万円(日本ユニシス100%出資)

◆代表者=斎藤哲郎代表取締役社長◆社員数=57名(設立時)

日本ユニシス新事業/新サービスへの取り組み

Page 6: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

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401kのスタートに照準を合わせて設立されたベネフィット・システムズ(株) 代表取締役社長 佐藤 宏和氏は、「確定拠出年金法において運営管理機関は、運用商品の選定・提示や加入者向けの情報提供を行う運用関連運営管理機関、加入者口座の管理や運用 佐藤宏和氏

指図の取りまとめを行う記録関連運営管理機関とに分けられているが、当社は制度運営全体にかかるコストをトータルで安くする狙いから、両方を手がける(図1)。401k市場の発展段階に応じて必要な規模のシステムを作っていくことにすれば、コストは大幅に削減できる。当社のサービスを一口にいうと、“ワンストップ、エニーサイズ(any size)、クイック&イージー”となる。制度運営に関して必要なものをまとめて提供し、企業規模は問わない。しかも企業の管理者に事務的負担をかけないのがモットー」と語っている。

同社では、事業戦略として以下の点を挙げている。① 401k運営管理機関として、制度導入企業からの業務受託、他の運営管理機関からの業務再受託を行う。② 日本では、運営管理機関は運用関連業務を行い、口座管理などの記録関連業務はアウトソーシングするのが一般的だが、同社では両業務を1社で行う。③今回構築したBenefit401kをパッケージ化し外販する。④ 提携各社との協業により、総合的な福利厚生サービスの提供を目指す。

日本ユニシスは、同社に資本参加(出資比率20%)し、ビジネス・パートナーとして、同社のビジネス基盤である業務システムの開発およびシステムインフラの構築を行った。また、本システムをパッケージ化した「BenefitKeeper」を、401k制度導入企業および金融機関を中心とした運営管理機関向けに販売する。(本紙7面参照)佐藤氏は、「我々はオンライン証券で培った証券業務やWebサービスのノウハウを持っている。また、日本ユニシスは、信託銀行の受託資産管理分野

でのシステム構築経験とノウハウを持っており、双方の強みを生かしたビジネス関係を築くことができると判断し た 」 と語っている。システム構築に当たっては、Web基盤としてWebアプリケーション・サーバ「COOLICE」、業務アプリケーション構築には「OpenMAPPER」をそれぞれコアプロダクトに採用し、要求定義から業務運用テストまで、わずか1年という短期開発を実現しており、今後の機能追加などにも迅速に対応できるよう考慮している。

同社のシステムサービスの仕組みを要約すると以下のようになる。(図2・7面)◇一般および会員向けWebサービス

同社の会社概要やサービス内容、また制度内容などの紹介や、将来の年金受取額の簡易シミュレーション機能などを提供する「一般サイト」、より詳細な情報提供を制度導入予定企業の管理者向けに提供する「会員サイト」から構成される。◇顧客向けWebサービス

制度導入企業において、制度運営に必要となるサービスは「顧客サイト」として提供。「管理者向けサイト」と「加入者向けサイト」から構成されている。①管理者向けサイト

制度の導入や保全のための加入者情報、掛金情報などの一括アップロードや、資産残高、運用指図推移など統計情報の照会を行うサイト。②加入者向けサイト

運用指図、資産残高や取引履歴の照会など加入者に必要な処理を行うとともに、制度や投資などに必要な知識を習得するためのサイト。なお、顧客はWebサイトだけでなく、コールセンターを利用した電話によるサービスも受けることができる。

商品の売買�

商品に関する�問い合わせなど�

個人別残高・運用�に関する情報提供�

運用指図/�残高・運用に関する�問い合わせなど�

情報提供など�従業員�

受給者�

掛金の拠出�

信託銀行�

銀行�証券会社�

生命保険会社�etc

etc

商品提供機関�

ベネフィット・システムズ社�企業�

商品提供機関�

給付�

運用指図�給付指図�

��

運用関連運営管理機関�

記録関連運営管理機関�

運用商品の選定�運用商品の提示�商品情報の提供�

加入者口座管理�運用指図のとりまとめ�給付に係る事務�

図1 確定拠出年金(企業型)のスキームとベネフィット・システムズ社の位置付け

◇レコードキーピング・システム

「顧客サイト」を通じて入力された照会情報や更新情報は、「仮受付」と呼ばれるサブシステムで内部処理し、蓄積された後、事前に指定されたタイミングで「バック」システムに確定データとして書き込まれる。このように「仮受付」システムを構えることにより安全性と運用の柔軟さを確保している。「バック」システムでは、加入者個人別の残高や異動をヒストリカルに管理するとともに、関連機関(商品提供機関、資産管理機関)とデータ交換を行うための運用指図の取りまとめや按分処理を行う。また加入者や当局向けの報告書データの作成・編集も実行される。

同社が提供するサービスの主な特徴は以下のとおり。◇バンドル・サービスによる利便性

運用関連と記録関連、双方を提供することで、顧客の窓口の一本化が可能となり、顧客の煩雑さを軽減。◇独自システムによる柔軟性

自社開発したレコードキーピング・システムの利用により劇的に低額な運営管理手数料の設定を実現するとともに顧客ニーズを反映したカスタマイズ対応やサービスレベルの個別設定が可能。◇パートナー企業との連携

制度設計、加入者教育など法定外業務に関しては、グループ内外の専門ベンダーと連携することにより顧客ニーズに合わせたさまざまなサービスの提供が可能。◇単独型から総合型まで

単独での制度導入が困難な中小、ベンチャー企業に対しては、導入負荷の低い総合型サービスを提供する。佐藤氏は今後の抱負として、「401k制度は始まったばかりであるが、導入目的や必要なサービスの多様化とともに、さまざまな参入業者が登場してくると思われる。当社ではオープンなスタンスでパートナー企業との提携を進め、お客様のニーズにマッチしたサービスを企画し、迅速かつ低料金で提供していきたい」と語っている。

2002年7月1日第495号

UN

システムの概要

ローコスト/ワンストップ・サービス/フレキシブルな対応で顧客の利便性向上を実現

日本ユニシスはビジネス・パートナーとして参画ビジネス基盤を短期に構築

制度運営に関わる全方位営業を展開顧客本位のサービスを提供

ベネフィット・システムズ確定拠出年金(日本版401k、以下401k)の運営管理機関であるベネフィット・

システムズでは、運営管理業務の基盤となる「401k運営管理/レコードキー

ピング・システム(Benefit401k)」を構築、ファーストユーザ向けの運営管理

サービスを7月1日からスタートした。

日本ユニシスは、同社のビジネス・パートナーとしてBenefit401kの受託開

発をはじめ、Webシステムやインフラ構築など全面的なシステム・インテグ

レーションに当たった。

◆確定拠出年金の運営管理会社としてソフトバンク・ファイナンス(株)、日本ユニシスの共同出資で2001年3月に設立。(株)あおぞら銀行、(株)リロ・ホールディングズ、(株)オービックビジネスコンサルタント、フィデリティ投信(株)など現在9社が出資。確定拠出年金に関わるサービスを「運用関連」、

■ベネフィット・システムズ株式会社 http://www.benefit401k.com/「記録関連」と分けることなく、“ワンストップ”サービスとして展開することにより、顧客の利便性向上に務めている。

◆所在地=東京都千代田区神田錦町3-23◆代表者=佐藤宏和代表取締役社長◆設立=2001年3月◆資本金=10億円

「日本版401k運営管理/レコードキーピング・システム」を構築

運営管理業務受託サービスを開始

日本版401kソリューション

Page 7: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

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ユニシス・ニュース

2002年7月1日第495号

毎月一定の掛け金を拠出し、その運用成績によって将来の年金受給額が変わる確定拠出年金(日本版401k、以下401k)が2001年10月からスタートした。401kの登場により、厚生年金など、あらかじめ将来の年金受給額を定める確定給付型年金と合わせ、企業年金の選択肢が広がる。加入者ごとに口座が設けられ、拠出金と投資収益が蓄積されるため、①現時点で自分の持ち分が明確に把握できる上に、②転職の場合に口座残高を一括で転職先に移せるといったメリットがある。401kでは、掛け金を運用する加入者(従業員)が確定拠出年金を効率的、安

この運営管理機関の代表的な業務がレコードキーピング(記録管理)業務であり、401k制度運営のための中心的業務となる。レコードキーピング業務は、加入者一人ひとりの月々の掛け金の連絡や、従業員データの登録・異動に伴う更新から給付などに必要な情報をヒストリカルに管理するもので、さまざまな事務処理業務が伴う。これまで日本国内においては、レ

コードキーピング・システムの構築には莫大なコストがかかると言われ、一部の大手専門会社のみにしか同業務は行えないものとされてきた。

このため401k制度を導入しようとする企業の多くは、外部の運営管理機関に業務委託しているのが現状である。一方、401k導入先進国の米国では、制度導入企業のうち25%は運営管理業務の一部を自営しており、また5%は、レコードキーピングも含めた全業務を自営しているほか、大小さまざまな運営管理業務用ソフトウェア・パッケージが存在する。日本においても、外部委託手数料が高額となる大企業を中心に、運営管理業務の選択肢の一つとして自営に対するニーズが高まるものと予想されている。

こうした現状を踏まえて、日本ユニシスは、401kを導入する事業会社向けに、企業自ら運用関連業務の一部(運用商品にかかる情報提供)と記録関連業務(レコードキーピング)を運営するためのソフトウェア・パッケージ

「Benefit Keeper for Company」(略称:BenefitKeeper)の販売を6月から開始した。BenefitKeeperは、401k運営管理機関であるベネフィット・システムズ社(本紙6面参照)で利用されているシステムをパッケージ化したもので、従来、

制度導入企業

管理者

顧客サイト 仮受付システム バックシステム

COOLICE etc

OpenMAPPER etc OpenMAPPER etc

SQL Server

従業員

ベネフィット・システムズ社 顧客向けWebシステム レコードキーピング業務システム

更新系

照会系

認証システム

会員サイト

一般サイト コールセンター バックオフィス

照会用DB

仮受付DB レコードキーピング DB

認証用DB

■拠出割合更新 ■スイッチング ■加入者属性変更        etc

■資産残高照会 ■取引内容/履歴照会 ■商品情報        etc

登録情報の 仮受付更新

登録情報の バック更新

照会用データ の提供

Webからの登録の仮受付

仮受付からのデータの更新 企業/従業員情報管理 拠出金管理 運用指図管理 納定管理

統計資料管理 利子/分配金管理 外部接続管理

RKバックへの登録

各種照会

コールセンターからの登録の仮受付 資産管理機関 (金融機関)

商品提供機関 (金融機関)

商品提供機関 (金融機関)

図2 Benefit401kシステム概要

受託運営管理業務を営む金融機関を販売対象としていたが、米国事例や市場調査、事業会社および厚生年金基金からの問い合わせ結果を受け、このたび事業会社向け商品を設定した。これまで日本ユニシスは、確定給付

型年金分野においてはⅠ型基金向け厚生年金基金管理システム「NENKIN7」を約100基金に導入しているが、401k分野においては、「BenefitKeeper」を企業の年金管理業務向けソリューションとして位置付けている。

BenefitKeeperは、Windows2000サーバをプラットフォームとし、また約100ライセンスの出荷実績を持つ信託銀行向け業務ソリューションパ ッ ケ ー ジ「TRUST21」をア プ リ ケ ーション基盤として利用している。システム構成は上図のとおり。①BFKフロント

管理者・従業員からの資産残高、商品情報、各種属性などの照会/残高スイッチング、拠出割合登録・変更などを受け付けるWebベースのシステムで、加入者個人認証機能も持つ。②BFKミドル

Webシステムを通じて従業員から入力された情報を内部処理し、一時的に蓄積し、一定期間後にバックシステムに引き渡す「仮受付」システム。③BFKバック

レコードキーピング・データベース

◆大企業においては、自社で運営することにより、制度運営費用の大幅な削減が可能となる。◆制度導入・保全に必要な従業員属性情報や拠出金情報を自社の人事システムや給与システムから自動的にアップロードすることにより、外部委託した場合に比べて大幅な事業主の事務負荷の軽減が図れる。BenefitKeeperでは、運営管理事務の大部分について自動処理と一斉処理を実現しているため、事業主事務負荷は外部委託の場合に比べて微増。◆自社専用システムとして管理できることから、秘匿性の高い従業員一人ひとりの個人別資産に関する万全なセキュリティ体制のもとに管理するこが可能となる。◆BenefitKeeperの販売価格は、5万口座まで、ライセンス使用権許諾料

を保持し、従業員個人別の残高情報や異動情報をヒストリカルに管理し、運用指図の取りまとめや按分処理を実行する。さらに、資産管理機関、商品提供機関などの関連機関とのデータ交換、帳票/報告書用データの編集処理などを行う。これらの機能は

b企業内管理者向け(事業主事務)bバックオフィス向け(運営管理機関事務)

b電話問い合わせ対応要員向けb従業員(制度加入者)向けに分化されており、認証機能/権限設定により使用できる機能が特定される。

3,000万円(初期)および年間利用料金300万円からとなっている。例えば、預金と投資信託を運用商品に組み入れた構成の場合は、初期5,000万円および年間500万円の使用料となり、1万人企業(単体または連結)または厚生年金基金の場合、一人当たりの年間ライセンス利用料は、500円、2万人企業では250円となり、一つのプランに参加する加入者が多いほど、または制度を長く運営するほど大きな経済的メリットを享受できる。◆また、日本ユニシスのシステム・アウトソーシング環境を利用することにより、企業はサーバ機器などの導入や維持管理などシステム運用負荷をかけずに、短期間・低コストで業務を開始することができる。 UN

制度運営のコアとなるレコードキーピング

運営管理業務の自営を低コストで可能に

BenefitKeeperのシステム概要

BenefitKeeper導入によるメリット

企業年金の選択肢を広げる401k

日本版401k導入企業向け「レコードキーピング・システム」販売開始

自営化による運営管理コストの削減を可能に

新製品/新サービス

制度導入企業

資産管理機関用端末

商品提供機関用端末

商品提供機関用端末

従業員 更新系処理

照会用 DB

認証用 DB

レコード キーピング DB

照会系処理

商品情報閲覧

管理部門

ヘルプデスク

イントラネット

Webからの登録の受付/更新 拠出データ作成 指図データ作成

残高情報作成 帳票データ作成 従業員情報更新

BenefitKeeper

BFKフロントサーバ BFKミドル/バックサーバ

G/W

Windows2000

関連システム (人事システムなど)

Windows2000

データ交換

BenefitKeeperシステム構成

定的に利用できるように、運営管理機関、資産管理機関(信託銀行など)、商品提供機関(銀行、証券会社、生命保険会社など)など、さまざまな機関が協力して業務を遂行する。このうち、加入者にとっての窓口となるのが、「運営管理機関」である。その役割は、①個別の運用商品を提示する、②個別の運用商品に関する情報を提供する、③加入者の運用指図を取りまとめて資産運用管理機関に指図する、④加入者ごとの持ち分などの記録管理を行う、⑤給付関係の事務などを行う、などである。

Page 8: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

DEPCON�サーバ�

WebRepo�サーバ�

DNS�サーバ�

PDF(帳票)�

JA

PC�(ブラウザ)�

管理経済系取引�

統合�ネットワーク�

TCP/IP�(HTTP)

データ集信�

メール(PDF)�

帳票作成依頼�

ES7320DD LAN HMP IX6802-52

ES701�・Webサーバ�・メールサーバ�・JP1

ES702�・Webサーバ�・OS1-TP/GW�・JP1

ES703�・購買CS��・JP1

ES704�・SQLサーバ��・JP1

MSCS�

MSCS�

CPComm

cpJOINT

cpFTPDEPCON

WebCS

WebTS管理系�経済系�AP�

(TRITON)

XIS_WebNet

既存�データベース�

C/C�入力ファイル�

XIS_WebNet:Web連携対応オンライン基盤ソフトウェア�MSCS:Microsoftクラスタリング・サービス�OSI-TP/GW:OSI-TP分散トランザクションプロトコル・�       ゲートウェイ�CPComm:TCP/IP対応通信制御ソフトウェア �cpJOINT:基幹LAN化ミドルウェア�cpFTP:ファイル転送ミドルウェア�WebCS:Web Commerce Server�WebTS:Web Transaction Server�DEPCON/WebRepo:電子帳票システム�

8

JA新潟電算センターは、県下JAにおける信用業務、管理業務、経済業務などのシステム運用および開発業務を担っている。1994年5月には、Unisys2200/900をホストに、勘定系ソリューション「TRITON」をベースとして構築した第3次農協総合オンラインを稼働させ、JAグループ新潟の事業展開を総合的に支援してきた。しかし、全国のJA信用業務はJASTEM (全国信用システム)システムに統合化されることになり、JAグループ新潟も2003年10月のJASTEMシステムへの移行を決定した。

「信用業務はJASTEMシステムに移行するが管理・経済系業務は継続して運用する。このため、移行後のシステムを、いかにコスト・パフォーマンスが高く、かつ新たな時代に対応し 宮嶋 護氏

た構成にしていくかが大きな命題となった。検討の結果、管理経済系の新ホストはHMP IX6800、フロント・システム(多目的サーバ)にはUnisys EnterpriseServer ES7000(以下ES7000)、端末には

PCを採用した構成で、Webオンライン・システムを指向することにした」(同電算センター運用部部長宮嶋 護氏)という。その理由は、時代の流れはインターネットを中心にWeb化の方向に進んでおり、それにいち早く対応可能なシステムとすることにあった。新ホストにIX6800、フロント・システムにES7000を選んだ理由として、①IX6800はUnisys 2200/900のアーキテクチャを引き継ぐ製品で、既存のプログラム資産をそのまま有効活用できる②Webテクノロジ(XIS-WebNet)など最新ITを採用しており、Web対応オンラインの構築が可能③ES7000は世界最高水準の処理性能を持つ最新サーバであり、多目的サーバに最適であること④処理量が増えてもES7000に負荷分担することで、ホストの作業負荷を軽減できるなどを挙げている。

これまで、「各JAで使用の端末は、信用、管理、経済業務を1台で兼用できる共用端末だったが、JASTEMシステム移行後は、信用業務のみに使う専用端末となるため、管理経済系の端末はすべてPCに切り替えることにした。そこで、新ホストとPCを連携したJASTEMシステム移行後のシステム環

境を前倒しで作ってしまおうということで、Webオンライン・システムの構築に取り組んできた」(同電算

そして、IX6800と、PCとを連携し、WebブラウザからIX6800の2200ノード上のトランザクション処理を起動させるツールとしてXIS-WebNetが採用された。このXIS-WebNetの採用で実現したWebオンライン・システムは、これまで共用端末で処理していた管理・経済業務をPC上のWebブラウザを使用して処理できるようにしたもの。その仕組みは、WebブラウザからのリクエストをIX6800上のプログラムが直接受信し、業務処理を行った結果をHTMLに編集して直接Webブラウザに返す。その際、HTML上で使用するスクリプトや画像、スタイル情報などは多目的サーバとして使用のES7000上のIIS(インターネット・インフォメーション・サーバ)からダウンロードし、最終的な画面がクライアントのWebブラウザ上に表示される仕組みとなっている。(図)Webオンラインの特徴としては、①XIS-WebNetの活用で、既存のデータベースやプログラム資産をそのまま最大限に活用できるため、少工数でWebオンラインを実現②クライアントPCに業務APなどを搭載せず、Webブラウザで運用するため専用端末が不要となり、運用負荷の軽減と低コストでの運用が可能③今後のIT活用の主流であるオープンなWeb対応システム基盤が構築でき、電子商取引など今後のEビジネスを優位に展開可能④XISの高度な堅牢性、信頼性を確保しながらIX6800上のトランザクション処理とオープン系とのシームレスな結合を実現などが挙げられる。

センター運用部次長山内由則氏)。

Webオンライン・システムの全体構成図

6月末現在、45台の共用端末をPCに切り替え、Webオンラインによる業務を開始している。今後、2002年12月までに、県下40JA(428店舗)に設置した全端末(約500台)を、順次PCに切り替えていく。また、JAではWindows NTサーバを使用してクライアント/サーバ型の購買システムを運用しているが、これらのサーバ機も、本年7月から順次ES7000に統合し、TCOの削減を図っていく予定。

JA新潟電算センター

JA新潟電算センターでは、Webオンラインなどの業務処理系以外に、JAグループ内でのEメールやグループウェアによる事務効率化、営業活動の拡大を支援することを目的に、イントラネット「JAN-TIS」を提供している。JA新潟中央会と開設したインターネット・ショッピングモール「ごちそう市場」(http://www.ja-ichiba.com/)には、現在県内10JAが出店し、コシヒカリ、特産野菜、果物、漬物など、新潟県の特産品を全国に販売している。

*[注] XIS-WebNet:XIS-WebNetは、HMP IXシリーズの2200ノード上、あるいはシリーズ2200上のトランザクション処理をオープン・システムと連動させ、ミッションクリティカルな総合オンライン・システムを実現させるミドルウェア。・HMP IXシリーズ、またはシリーズ2200上の閉じたシステムを、Webを介したB to BやB toCなど最新のビジネス形態に即応する戦略的業務システムに“進化”することができる。・既存のデータベースやプログラム資産を最大限に活用できるため、低コスト・短期間で対応することができる。

2002年7月1日第495号

UN

信用業務はJASTEMシステムに移行

管理経済系の新ホストとして「HMP IX6800」を導入

JASTEMシステム移行後のシステム環境を前倒しで構築

Webオンライン・システムの仕組みと特徴

本年末までに全端末をPCに移行

イントラネット「JAN-TIS」でグループ内の事務効率化も支援

JA 新潟電算センター(株)新潟県農協電算センター(通称:JA新潟電算センター)では、5月7日から

XIS-WebNet*(Web連携対応オンライン基盤ソフトウェア)を使用して、新ホ

ストのClear Pathサーバ「HMP IX6800」とWindows PCを連携させたWebオン

ライン・システムを構築、稼働を開始した。

TRITONシステム(勘定系ソリューション・システム)ベースでのXIS-WebNet

の適用は初のケースで、その効果が注目される。

◆1975年10月、新潟県下JAグループの総意として、JA経営の安定を命題に、電算化による事務処理の効率化・合理化を図る共同利用施設として設立。以来、急速に進展する高度情報化社会と農業・農村を取り巻く構造的な経営環

■株式会社新潟県農協電算センター http://www.jainfo-niigata.co.jp/ndc/境の変化に対応しながら着実にその使命を果たしている。

◆所在地=新潟市新光町6-5◆代表者=◆売上高=38億円◆従業員数=87人

XIS-WebNetを活用しWebオンライン・システム稼働新ホストに「HMP IX6800」

多目的サーバに「ES7000」を採用

Webオンライン・システム導入事例

山内由則氏

Page 9: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

9

ユニシス・ニュース

2002年7月1日第495号

住友電装は、日本国内はもとより、北米、南米、ヨーロッパ、アジアに生産拠点および関係会社(約50社)を擁しているが、ワイヤーハーネス(組電線)などの主力製品は国内生産から海外生産へとシフトしている。「これに伴い、各生産拠点の設計、

製造、部品などに関する情報を共有化

(同社情報システム部 情報技術・OAグループ長田中勝幸氏)という。例えば、各生産拠点をオンライン化し、生産効率の向上を図ってきたハーネス設計システムは、従来の汎用機からUNIXサーバ「USファミリモデルU10000(以下、U10000)」上に再構築、また製造情報を共有化した製造BM(ビル・オブ・マテリアル)も「U10000」上に作り込み稼働させた。

グローバル対応用に構築したシステムは、世界各国の生産拠点とデータ交

することで、納期短縮や在庫削減を図るため、グローバル化に対応した情報システムの再構築を進めている」

換を行うため、24時間無停止稼働が前提となる。しかし、「データのバックアップは、システムを一旦停止して静的にバックアップをとる仕組みにしていたので、その影響をいかに少なくして24時間無停止稼働を実現するかが課題であった。また、UNIX機へのホスト・ダウンサイジングを進めても、受発注などに使用しているホストとU10000との異機種間のデータ交換が不可欠で、それにどう対処するかにも悩んでいた。これらの問題を解決するのが、SAN(Storage Area Network)の導入ということで、その検討を開始した」(田中氏)。

SANによるストレージ統合の狙いは、①Unisysホストと、UNIXサーバ(U10000)とのデータ連動を大前提に、②増加するディスク・コストの低減、③バックアップの並列運用による24時間無停止稼働業務の実現などに置いた。同社では、これらの条件に沿って、各社のSAN対応ストレージ製品を比較検討した結果、日本ユニシスが提供する「SANARENA2800」の導入を決めた。その理由として、①Unisysホストと、UNIXサーバ間のディスク内データ交換を高速で確実に行える、②24時間稼働業務に対して、バックアップによる影響を最小限に抑えられる点を挙げている。

同社ではホストのダウンサイジングに伴い、ホストで保有していた大量データをUNIXサーバへ移行するなど、次のような構成と手順でストレージ統合に向けた移行を進めた。 (図)

(1)SANARENA2800と接続するプラットフォームは、ビジネス系ホスト(HMP IX R5800)、ハーネス設計系ホスト(ITASCA3800)、UNIXサーバ(U10000)とバックアップ・サーバ。

(2)SANARENA2800のホスト・エリアには、Unisysホスト専用ディスクの全データを格納。

(3)UNIXエリアには、U10000専用ディスクの全データを格納。

(4)U10000専用ディスクには更新が少ないデータを格納。

(5)SANARENA2800の実データエリア(ホストエリア、UNIXエリア、UHMDEエリア)は、効率を優先してRAID1で構成。また、バックアップ用エリアであるレプリカは、容量を優先してRAID5で構成。

(6)レプリカからテープ媒体(LTO)へのバックアップは、専用のバックアップ・サーバを採用しLTOにセーブ。

ワイヤーハーネス製品

その機能・特徴は次のとおり。(1)「UHMDE (Unisys/High-qualityMultiplatform Data Exchange)」によるUnisysホストとUNIXサーバ間のディスク内での高速データ交換、自動コード変換の実現。UHMDEとは、汎用機、UNIXサーバ、PCサーバのデータ共有によるサーバ間のデータ引継ぎの高速化を図

バックアップ装置 Unisysホスト�

SANARENA2800 ホストエリア�

UNIXエリア�

JPP5036

JPP5036

CLU1000

LT0

L1000�(DLT)

L1000�(DLT)

ビジネス系�ホスト�

U10000

設計系�ホスト�

キャッシュ�

RAID1

RAID5ホストエリア�

レプリカ�UNIXエリア�

UHMDEエリア�

スプリット�

ビジネス系ホスト�

設計系ホスト�

設計系�

製造BM

中間VOL.

daily設計系�ドメイン�

製造BM�ドメイン�

バックアップ�サーバ�

FC:Fiber Channel

SBCON チ

ャネル・

アダプタ�

チャネル・

アダプタ�

SBCONSBC

ON

FCFC

FCFC

SANARENA2800によるストレージ統合構成図

るもので、①汎用機データ、オープン・システムの相互アクセスが可能、②異なるプラットフォーム間におけるデータを、LANを経由せずに高速で変換、③汎用機データをオープン・システムからアクセス可能、などの機能を有している。(2)レプリカ生成機能「HOMRCF (High-quality Open Multiple RAID CouplingFeature)」による大容量データの高速バックアップを実現。24時間稼働業務を一瞬停止させ、レプリカを高速作成。その後、バックアップ・サーバより、テープ媒体(LTO)へバックアップ。これにより利用者の業務に影響を与えない稼働環境を実現。

運用面から見たメリットとしては、(1)グローバル対応に向けて、増加し続けるサーバを統合することで、ストレージ関連のTCO削減が可能

(2)主要コンポーネントはすべて二重化された完全冗長構造。ハードウェア増設/交換はもとより、マイクロコードの無停止交換が可能など、高い安全性・信頼性を確保

(3)ホスト・ダウンサイジング時の大量データの移行が、ネットワークに負荷をかけずに実行できる

(4)今後のサーバ増加にもフレキシブルに拡張可能などが挙げられる。

「UnisysホストとUNIXサーバをSANARENAで連携し、ディスクの中で、高速なデータの交換やコード自動変換を開始したが、それにより24時間稼働環境を実現するなど、グローバル対応に向けての大きな課題がクリアできた。今回は、設計系を対象にストレージ統合を図ったが、近々他のシステムも稼働する予定。そのデータベース・サーバもSANARENA2800に接続し、統合を図る形で構築を進めている」(田中氏)。 UN

UnisysホストとUNIXサーバ間のデータ連動が前提

今後稼働予定の他のシステムもSANARENA 2800に統合

運用面でのメリット

グローバル化に対応した情報システムの再構築を推進

24時間無停止稼働のためにバックアップによる影響を最小限にすることが課題

SANARENA 2800で異機種プラットフォーム間の高速データ交換、自動コード変換を実現

SANARENA2800によるストレージ統合に向けた移行内容と構成

住友電装日々大量に発生する企業データを安全かつ効率的に格納するストレージ・

システムの重要性は高まる一方である。住友電装では、日本ユニシスが提供

するSAN(Storage Area Network)対応ストレージ「SANARENA2800」を導入し

て、Unisysホスト(汎用機)とUNIXサーバとのデータ連携を図るなど一元的で

効率的なストレージ統合を実現。先進的事例としてその取り組みが注目され

ている。

◆自動車用・機器用ワイヤーハーネスの製造販売、ワイヤーハーネス用・電気機器用部品の製造販売、各種電線・ケーブルなどの事業を展開している。

■住友電装株式会社 http://www.sws.co.jp/

◆所在地=三重県四日市市西末広町1-14◆代表者=下川 忠代表取締役社長◆売上高=2,302億円(2002年3月期)◆従業員数=4,543人(2002年3月末)

SAN対応ストレージ「SANARENA2800」を導入し、Unisysホストとオープン系サーバとの一元的で効率的なストレージ統合を実現

SAN対応ストレージ導入事例

田中勝幸氏

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10 2002年7月1日第495号

電子自治体のその先 ITが切り拓く地域の未来e-Japan戦略における地域活性化に向けて取り組むべき課題と解決策を考察

第2回「e-Japanフォーラム」開催

必要であることに閣僚が合意している。

電子政府の導入に成功すれば、サービス

の向上、社会基盤の強化、生産性と福祉

の改善、民主主義の強化が可能になる」と

強調した。

講演するヨウニ・バックマン氏

EUでは、電子政府プロジェクト「e

ヨーロッパ2002アクション・プラン」を

推進中で、次の点を目標においている。

① 重要な行政データのオンライン化

(2002年)

②基本的な行政サービスの実現(2003年)

③ 企業管理手続きのオンライン化

(2002年)

④公共部門の情報化(2000年に完了)

⑤ インタラクティブな行政サービスを提

供する汎欧州ポータルの開設

(2001年)

⑥ 公共部門でオープンソースのソフトを

利用(2001年に完了)

⑦ 欧州委員会との基本的なトランザク

ションをすべてオンライン化(2001年

完了)

このアクション・プランは、EUにおけ

る意思決定のスピードアップ、国家政策

の調整と監視に大きく寄与しており、イ

ンターネットが全加盟国で最大の政策課

題になっているという。

一方、フィンランドでは、新しいミレ

ニアムの行政サービスとして「フィンラン

ド政府プログラム2002-2003」を掲げ、

さらなる進化を目指している。

そのビジョンは、セキュアでユーザフ

レンドリーなネットワーク・サービスを提

供し、行政は、①顧客とのトラブルおよ

び対顧客コストを削減する、②意思決定

プロセスへの市民参加を可能にする、③

企業の競争力をサポートする、などの点

を挙げている。

続いて、コンガス氏から、「フィンラン

ドの電子政府および欧州の電子政府イニ

シアチブ」と題し、フィンランド政府の情

報管理、電子サービスの提供、欧州の電

子政府サービス、欧州における

ICT(Information and Communication

Technology)サポートなどを紹介。

まず、フィンランド政府の情報管理に

ついて、中央政府職員は12万5,000人、

全部局がネットワークに接続している。

去る5月27日(月)、東京・大手町の経団

連会館において「第2回e-Japanフォーラ

ム」(米スタンフォード大学、日本ユニシ

ス共催)が開催された。

今回は、IT先進国のフィンランド議会

議員・元国務大臣 ヨウニ・バックマン氏、

フィンランド財務省 公共管理局CIO オラ

ヴィ・コンガス氏(同国環境大臣に就任)、

三重県知事 北川 正恭氏、東京大学 大学

院情報学環教授 須藤 修氏、スタン

フォード大学 教授 ハンス・ビヨルンソン

氏、(株)日本総合研究所 創発戦略セン

ター 理事 新谷 文夫氏を招き、先進事例

の紹介や活力ある地域社会を実現するIT

活用についての講演、パネル・ディスカッ

ションが行われた。

会場には在日フィンランド大使をはじ

め、自治体・官公庁・公営法人の電子政府・

電子自治体、地域活性化推進の担当者、

ITを活用した地域の活性化施策に取り組

む学識経験者・民間企業の担当者など、当

初募集の300名を大きく上回る約400

名が参加する盛況ぶりであった。

開催に当たり、日本ユニシス 島田 精

一社長から、「昨年3月発足した政府のIT

戦略本部が、e-Government構想を発表

し、その実現に向けて官民一体となって

積極的に取り組んでいる。DSL、CATV、

無線通信、FTTHなど高速・広帯域のブ

ロードバンド環境が急速に普及しつつあ

り、これまでの民間主導のB to B 、B

to Cの世界が、G to B、G to C、ある

いはG to Gの世界へと広がっていくもの

と期待されている。このフォーラムを通

じて、先進諸国の現状を認識し、電子政

府実現に向けた課題の解決策の一助とな

れば幸いである」と挨拶。

続いて、以下のような充実した内容の

フォーラムとなった。

フィンランドは、ITを積極的に活用し

て90年代の不況を抜け出し、IT先進国と

して国際競争力、潜在成長力とも世界

トップクラスと評価されている。

まずバックマン氏から、「行政における

E戦略」と題し、EUおよびフィンランド

のe-Governmentの推進状況について紹

介。冒頭で、EUの電子政府樹立の意義に

ついて、「力強く生産的な経済を持った、

ダイナミックで民主的な欧州社会を構築

するためには、サービス指向で、信頼が

おけ、革新的な政府があらゆるレベルで

■ IT先進国フィンランド/欧州のIT政策などを発表約400名が参加する盛況ぶり

■基調講演“フィンランドと欧州のIT政策”

PC普及率は100%、外部との

電子メールおよびインターネッ

トを90%が利用している。ま

た、ICT機能を持つサービス・プ

ロバイダ利用は拡大しており、

政府職員で情報管理業務を行っ

ているのは、わずか2.6%と

いう。

また、電子サービスにおいて

は、フィンランドでは人・不動

産・企業・自動車登録のデータ

ベースを全国民がシェアしてお

り、一度更新すればすべてのデータベー

スに反映される仕組みになっている。ま

た、国内すべての政府・自治体へアクセス

可能な市民向けポータルの開設、電子ID

カード、モバイル・サービスなど、先進的

な取り組みが行われている。

同氏は、電子サービスの提供は、利用

者の利便性向上、行政の発展、コスト削

減、そして情報社会の発達をもたらす。

事実、フィンランドのGDP(国民総生産)

に占める企業の管理コストは他国と比較

して著しく低く、これは企業成長力・競争

力向上に大きく寄与していると指摘して

いる。

パネル・ディスカッションは、新谷氏を

司会に、パネラーとしてフィンランドか

らの2氏に加え、北川知事、須藤教授、

ビヨルンソン教授が参加して行われた。

まず、パネラー3氏から、それぞれの

立場で以下のプレゼンテーションが行わ

れた。

◆三重県の情報化政策

北川知事から、電子自治体の先進県と

いわれる三重県の情報化施策について紹

介。三重県では、本庁、地域機関、市町

村とを結ぶ行政ネットワークを構築して

おり、CATV網はほぼ全域にゆきわたり、

2003年春には全69市町村がケーブル・

インターネット・サービスエリアとなる。

現在、本庁および地域機関の職員に一人

1台のパソコン(約6,000台)を配備して

おり、グループウェアによる情報の共有

化が進んでいる。

また、CATVネットワークによるビジ

ネス・プラットフォームにより、G to

では、公開提供型GISを目指して、

2000年に策定したGISマスタープラン

の具体化を進めている。その一環として、

本年6月からイントラネット版GISで

日々登録した空間コンテンツを、イン

ターネット版GISで広く県民、企業など

に公開し、地域に根ざした行政情報の提

供を進めており、ブロードバンド上で空

間コンテンツを流通させ、市町村連携、

産業振興、地域情報化などを視野に入れ

ている。

こうしたIT基盤の整備を進めるととも

に、現行の制度や仕事に仕組みをそのま

まに、ITツールによる業務や事務の省力

化のみを実施しても改善効果は少ないと

の考えから、BPRを積極的に推進している。

現在推進中の電子申請・届出のオンライ

ン化(2003年度に国の手続きの95%を、

地方自治体の手続きの95%の条件整備

を完了予定)、また、総合行政ネットワー

ク(国―県―市町村)も2003年度に完成

させる計画で、BPRの推進とあいまって、

最終的にすべての行政文書を電子化した

行政自治体を完成させる方針である。

さらに、三重県志摩地域に国際海底

ケーブルを敷設し、志摩サイバーベース・

プロジェクトを推進しているほか、ビジ

ネス・プラットフォームにおける実験事業

などを計画しており、最終的にEデモク

ラシーをコンセプトに掲げている。

◆電子自治体構想に取り組む自治体の

課題

須藤教授からは、電子自治体構想に向

けたさまざまなプロジェクトに参画して

いる立場から現状と課題について語った。

B(電子入札)、

B to C(電子決

済)、B to Bな

ど、電子商取引

の普及を目指し

ている。

また、三重県 北川正恭氏

■パネル・ディスカッション“官民協働で電子政府・電子自治体を推進する際の障壁と対応策”

講演するオラヴィ・コンガス氏

参加者400余名と大盛況の「第2回e-Japanフォーラム」

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ユニシス・ニュース

2002年7月1日第495号

その観点から、「情報公開と市民参画」が

これからの行政のキーワードであると指

摘した。

これに応える電子政府の新たなコンセ

プトは、ICTを利用した政策立案・決定・

執行過程への市民参画を可能にするEデ

モクラシーであると提案した。

◆電子政府:米国の課題

ビヨルンソン教授は、e-Government

の先進国の一つである米国での現状と今

後の課題について触れた。

まず、電子政府のビジョンは、市民に

とっての連邦、州、地方政府の価値の大

幅な向上にあり、電子政府とは、デジタ

ル技術を用いて行政の運営を変革し、効

果、効率、サービスの提供を改善するこ

とであると述べた。その原則は、市民中

心、結果主義、

市場ベース、そ

して簡素化と統

合にあると指摘

した。

電子政府の実

現に当たって

は、市民中心の戦略を優先すべきである

とし、その原則として4つのポイントを

指摘した。

① 個人:簡単に見つかる市民向けワンス

トップ・ショップの構築、質の高い行政

サービスへの容易なアクセス

② 企業:インターネットの利用および重

複する多くの報告要件の集約による業

務負荷の軽減

③ 政府間:州および地方政府に報告要件

の遵守を容易にすると同時に、行政評

価の改善を特に補助金・奨学金などの交

付に関して可能にする

村が共同でできるASP方式によるシステ

ムを構築し、申請・届出手続きのオンライ

ン化を実施する旨の発言があった。

また、地方公共団体における個人認証

サービスにも言及し、そのあるべき制度

の仕組みとして以下に点を指摘した。

◇非対象鍵暗号方式による電子署名

◇ 本人確認機構を市町村に、電子証明書

発行機関を都道府県とする

◇ 電子証明書発行を受けることのできる

者は住民基本台帳に記録されている者

とする

◇ 署名検証者は、行政機関などのほか、

特定認証業務を行う民間認証事業者と

する

さらに、電子地域コミュニティの創造

に向けて、ASPを基盤に、①地方行政シ

ステムの官民による共同整備・共同運営

(ASPなど)、②IT人材の養成とEラーニ

ングの実施、③地域ポータルサイトの構

築など、Web Based Communityの創

出が提案された。

須藤氏は、オープンな場ですべての利

害関係者と専門家が検討・議論の上、政策

を立案・計画・執行することが求められ、

まず、電子自治体推進パイロット事業

として、①2001年度から全国市町村の

協力を得て、インターネットを活用した

申請・届出など手続きのための汎用システ

ムを構築し、その利便性・有効性に関する

検討を行う、②

地方自治体が規

模・能力などに

かかわらず、住

民サービスを行

うことができる

よう、参加市町

④ 内部の効率及び効果:サプライチェー

ン・マネジメント、財務管理、ナレッ

ジ・マネジメントなどの分野におけるベ

スト・プラクティスを利用し、連邦・州・

地方の行政コストを削減する

また、米国の電子政府の今後の計画と

して、

◇連邦・州政府・地方政府は全手数料/税

のうちの15%(約6,020億ドル)をオン

ラインで徴収する

◇政府は3億3,300万件の申請をオンラ

インで受領する

◇政府は、約1万4,000のアプリケー

ションを全米に配布する

点を挙げており、これらを2006年まで

に実施するとしている。

電子政府が大きな変革をもたらす(成

功)要因として次の点を指摘した。

① 政治と行政におけるビジョンを持った

リーダーシップの存在

②組織全体の戦略とコミットメント

③効果的なプログラム管理

④ 明確なゴールと具体的なパフォーマン

ス目標

⑤ 市民によるインプットと市民中心主義

へのコミットメント

⑥テクノロジーの専門知識

⑦2カ月~4カ月ごとの成果物の確認

⑧パートナーシップ

⑨資金の確保

◆官民協働による推進策を探る

続いてパネル・ディスカッションに移

り、まずコーディネーターの新谷氏から、

本年2月に開催された「第1回e-Japan

フォーラム」では、①情報基盤の整備、②

住民視点での情報化推進、③民間ノウハ

ウの積極的導入などの重要性を確認した

不足、②地域住民、産業の情報リテラ

シー不足、③地域、政府間の無駄な競争

(連携不足)、④官民協働事業へのトラウ

マ(第三セクターの破綻など)、⑤課題の

優先順位づけの難しさなどが指摘され、

それぞれの単体の問題として捉えるので

はなく、連携して問題解決に取り組んで

いくことが重要であると議論された。

◆総括:

確実に段階的に進めるための環境

―地域ASP実証実験センター構想

最後に日本ユニシスの平岡 昭良ビジネ

スアグリゲーション事業部長が、電子自

治体の構築、地域IT化政策は、「今後の経

済モデルがどう変わっていくのか」、「や

るべきことは何か」を見極め、確実に、そ

して段階的に実用性と課題を検証してい

くことの重要性を指摘。その検証ができ

る環境として、パートナー企業とともに、

「地域ASP実証実験センター」を提供して

いくと語った。

日本ユニシスでは、フォーラムでの講

演内容のダイジェストを、「ユニシスe-

Japanポータルサイト(http://e-Japan.

unisys.co.jp/)でストリーミング・ビデオ配

信している。

その対応策」を

テーマに活発な

意見交換が行わ

れた。

そのキーワー

ドとして、①行

政における人材

ことが述べられ、「官民協働で電子政府・

電子自治体を推進していく際の障壁と、

新谷文夫氏

須藤修氏

ハンス・ビヨルンソン氏

Ç対談―コンプライアンス経営(4面から続く)

もちろん、プログラム体制から運用、個別対応については、案件によって顧問弁護士の協力も仰ぎながら進めていきます。基本的な位置付けは、あくまでも経営に資するコンプライアンスに置いています。◆企業規模に照らして適切な体制作りを

畑中 コンプライアンス体制確立には、唯一絶対の基準があるわけではありません。資金の潤沢な大企業で、外部から招聘した有識者のみで構成する委員会を立ち上げ、事務局を社内のコンプライアンス担当部門とするような形で運用する場合もあるでしょう。また、顧問弁護士一人に総務担当の役職者一人の二人三脚で、簡単なプログラムを作るケースも考えられます。要は、企業規模に照らして適切な体制を作り、重要なところがカバーされていればよいわけです。コンプライアンス体制確立とは、試行錯誤のプロセスを繰り返してマイナーなものをカバーして、チューンナップしていく、という継続的な営みとこれを支える地味な努力がなにより必要です。

◆普段からの情報発信も有事対応へのインフラに

白鳥 有事の時の対応となると相当なシミュレー

ションをしないと、いざ起きた場合の対応は難しい。ただ当社においても普段から広報部門を通じてマーケットに対し、社会に対し、いろいろ情報発信をしています。これは有事の際の対応のインフラ作りになっていると思います。積極的に会社の数字を含めた活動内容をディスクローズし、正しい情報として伝わっていくことが大切です。何かことが起きても、普段そういう情報が流れていることによって、社会の目も違ってくるはずです。有事の際には、まず弁護士の先生のところに駆け込んでいって相談するのが通例でしょうが、まずは、マスコミや社会に事実を正確に、迅速に発表することが肝心です。ただ発表するときに、まず「その中身は何だ」、「原因は何だ」と聞かれるわけですが、Q&Aを詰めてからでは当然遅くなってしまう。そこで、とりあえず事実のみを発表し、「原因は、今、詰めていることを毅然として発表する」心構えが必要だと思っているのですが。◆まずは事実を公表する

畑中 極めて適切な対応です。社内で議論しているうちに何時間もたってしまうというようなことがありますが、かような対応では危機が即時に増幅します。平時と有事はまったく違う分野であり、乗り切るために必要なタレントも異なります。有事の専門家である顧問弁護士にすぐに連絡をとり、調査を直ちに開始するという体制の整備が必要です。

有事対応力を高めるためのポイントは、①事前の有事体制作り、②有事訓練、③日常のコンプライアンス活動、④他社の危機管理体制の収集分析です。そして、有事発生時には、「調査の遂行→広報戦略を定めた上で調査結果のリリース→訴訟・官庁・マスコミ対策の実施」という流れで対処していきます。

(図7)

危機状況における外部担当者とのリレーション・マネジメントにおいては、①法務と広報の連携による対取引先・顧客、対マスコミへの対応、②法務―総務・外部弁護士との連携による対株主総会、対監督官庁、対被害者への対応を行う必要があります。白鳥 コンプラアイアンス経営については、まだまだ語るべき事項が山ほどあります。紙面の都合で、今回はフレームワークの部分にとどまりましたが、いろいろ貴重なご意見をありがとうございました。

有事における危機管理体制

有事発生

法令違反になるか どうかの調査

調査結果の 正確な開示

訴訟対策

官庁対策

マスコミ対策

図7 有事の発生

UN

UN

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12 2002年7月1日第495号

ホワイトカラーの生産性向上を実現させるものとして、組織内または組織をまたがる一連の業務の流れを電子化するワークフロー管理システムが登場して久しい。その応用例は、各種申請、届け出、文書の回覧、稟議、決裁など多

新経営方針「Re-Enterprising」のもとに「新生日本ユニシス」を目指す日本ユニシスでは、BPRの一環として、① 稟議プロセスを電子化することにより、意思決定のスピード化を図る②回議状況・決裁状況の即時照会や稟議に関するデータの共有化などにより、稟議決裁の迅速化を促進する

③稟議に関する事務作業(コピー、配布、持ち回りなど)を電子化し、ペーパーレス化を推進することで業務の省力化を図るなどを狙いに、本格的な新電子稟議システム「e-Ringiシステム」を構築し活用している。

日本ユニシスが提供するワークフロー・ソフトウェア「Staffware2000」のSEO(後述)を使って構築されたe-Ringiシステムは、Eメール機能とのシームレスな連動により、稟議書起案、受付、回議先照査、決裁、決裁通知までの、すべての稟議プロセスを電子化したもので、その特徴は次のとおり。①Web処理によるペーパーレス化

稟議の決裁順序、回議先の指定、コメント付けなど、稟議の基本的なルールはすべてシステム内に組み込んでおり、原則として各プロセスともペーパーレスで、Web画面により運用する。②案件のフォロー・システムの装備

稟議が申請されると、回議先や決裁役員は照査・承認に当たってコメント・決裁条件を付して承認行為を行うケー

これらの特徴のほかに次のような機能も実現している。① 購入、経費支出など標準的な稟議書式のテンプレートを提供し、誰でも容易に起案できる仕組みを実現。

② 回議先など同一レベルの関係者に対して同報発信し、同時照査、同時決裁を行う。③ 発議者、回議先などでは、システム上で1つのステップが終了すると、

稟議書 起案 (発議部長)

保管 処理

決裁通知

稟議書 受付

回議先 照査

決裁 (役員)

e-Ringiシステムのワークフロー

以上のような機能を持つ本格的な電子稟議システムを構築している事例は少なく、ワークフロー・システムの典型例として注目される。このe-Ringiシ

ステムの活用により、稟議の決裁業務が素早く確実に処理することが可能となるとともに、決裁後のフォローを容易にしている。

e-Ringiシステムは、強力なワークフロー・エンジンを持つワークフロー・ソフトウェア「Staffware2000」で構築された。Staffware2000は、グループウェア、データベース・ソフトに依存しない独立型ワークフロー・ソフトで、独立性を保つために、他ソフトとの連携機能が充実しているのが特徴。Staffware2000では、従来のクライアント/サーバ型の機能に加え、Windows DNA( Distributed Networkapplication Architecture)サービスに対応した「Staffware Enterprise Objects(SEO)」を提供している。e-Ringiシステムは、このSEOを使用して構築された。クライアント/サーバ版では、業務の分析、要件のとりまとめを行った後に、グラフィカル・ワークフロー・デファイナー(GWD)を使用してワークフローのルート定義、処理ステップの定義を行い、テストモード*でのテスト実施後に、作成された処理手続きを公開し業務に使用していく。利用者は、

クライアント側にインストールされている専用ソフトのワークキュー・マネジャーを使ってワークキュー・リスト(案件一覧)を表示し、それぞれのワークキューを処理していく。SEOを使ったWebワークフローで

は、クライアント/サーバ版の処理でネックとなっていた、①専用ソフトのクライアントPCへのインストール、②Staffware主体となっていた連携、から完全に解放されシンクライアントが実現される。日本ユニシスのe-Ringiシステムで

は、クライアント/サーバ版よりきめ細かなユーザインタフェースがとれるよう、案件や承認などの処理単位に表示を行う。処理状況についても、クライアント/サーバ版より詳細にまた見やすく表示する機能も実現している。これらはSEOを使用して作られており、ユーザ単位、処理単位、承認単位ごとにカスタマイズすることが可能である。

日本ユニシスでは、基幹系業務としてのワークフロー・システムを開発/納入してきた実績を生かして次のようなワークフロー・システム構築のための各種サービスを提供している。bワークフロー・ツール導入サービスbワークフロー教育サービス(個別客先教育)

bStaffware本体の電子メールなどによるサポート

bワークフロー関連アプリケーションの受託開発

bワークフロー関連アプリケーションのシステム・コンサルタント

bその他ワークフロー・アウトソーシング全般

*テストモード:伝票回覧系のワークフローでは次処理者に伝票を依頼することになるが、テストモードのもとで伝票を処理すると、伝票が操作している人に本来の処理者のデータとして回覧されてくる。本来の処理者としてログインをし直す必要がなく、また、本番影響を与えることなく開発、テストが行える。

◆Staffwareのお問い合わせ:staffware-info@unisys.co.jp

UN

新電子稟議システム(e-Ringi)を構築

電子稟議システムの現状

e-Ringiシステムの特徴

稟議の決裁期間を短縮し、効率化を実現

ワークフロー・ソフトウェア「Staffware2000」のWeb版で構築

e-Ringiシステムの主な機能

日本ユニシスのワークフロー関連サービス

日本ユニシス「Staffware2000」ワークフロー・ソフトウェア

ですべての稟議プロセスを電子化意思決定スピード化を目指し、新電子稟議システム「e-Ringi」を活用

新製品/新サービス

岐に及んでいる。比較的単純な流れの申請系は電子化されつつあるが、企業の意思決定において重要な役割を果す、稟議システムなど合議を必要とするような複雑なプロセスを伴うものは普及が遅れているというのが実態である。

スが多い。それらのコメントは、フォロー・システムの中に自動的に登録。同時に発議者にもフォロー報告が必要なことをメールで送信。③外国人役員には稟議の翻訳文を提供

外国人役員に対しては、回議開始時に通訳宛に英訳作成依頼を送信。英訳作成後は、通訳のみがシステム内に英訳を添付できるように設定。英訳の添付とともに外国人役員宛に照査、決裁依頼メールを発信するシステムを実現。④相談機能の追加

決裁者が照査・承認に当たり、回議されてきた案件について部下(回議先ルートに載ってない)に意見を聞きたい場合、部下の意見を聞き、その結果を判断に活かしていく機能も付加。

ログイン画面

自動的に次の関係者宛にメールで通知するステータス通知。④ 関係者には過去の稟議データも検索・照会できる機能を提供。ただし、確認者に関係のある稟議だけを表示し、セキュリティを確保している。⑤ 本人確認などは、稟議システムへのログイン時に、IDとパスワードを入力することにより行う。したがって、社内のどの端末からでもアクセス可能。⑥ 長期間、決裁者が不在のときは、予め、または新たに代行者を指定す

ることができる。⑦ 受付からの照査・決裁の履歴を保存できる。

e-Ringiシステムのトップメニュー画面

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13

ユニシス・ニュース

2002年7月1日第495号

「情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度」の認証を取得

「BS7799」認証とダブル取得で、セキュリティをさらに強化

e-Japan構想に対する取り組みを強化ブロードバンドとの融合「e-Japanフォーラム」の模様を

ストリーミング・ビデオ配信

有識者らを招いて、講演やパネルディス

カッションを行う意見交換の場として「e-

Japanフォーラム」を開催するなど、積

極的な取り組みを進めてきた。またブ

ロードバンドの有効性を検証するため、

各種の実証実験を行い、各企業・各自治体

にその活用を提案している。

e-Japan重点計画の重点政策5分野の

一つが「世界最高水準の高度情報通信ネッ

トワークの形成」であり、今後e-Japan分

野においてブロードバンドをいかに有効

に活用していくかが、e-Japan成功への

大きな鍵となる。今回は日本ユニシスの

e-Japanに対する取り組みと、ブロード

バンドへの取り組みを融合させ、「e-

ンダード規格に基づく高いセキュリティ

のアウトソーシング・サービスを提供して

きた。そしてこの度、国内においても、

官公庁の電子政府実現に向けた“e-

Japan”などで情報セキュリティの確保

が強く求められ、本年4月から国内のセ

キュリティ管理制度が本格運用されたこ

とを背景に、「ISMS適合性評価制度」の

認証を取得するに至った。

日本ユニシス アウトソーシング事業部

では、今回の認証を受け、すでに株式会

社殖産銀行、株式会社福島銀行に提供し

ている「ハイ・セキュリティ・アウトソーシ

ング・サービス」を、国際標準にも国内標

準にも準拠した高いセキュリティ管理に

基づくサービスとして強化し、アウト

ソーシング事業全体で2004年度、500

億円の売り上げを目指す。

また日本ユニシスは、全社的なセキュ

リティ・ビジネス体制の強化を図るため、

本年2月にセキュリティの専任組織

「iSECURE(アイセキュア)トラストセン

ター」を新設している。同センターはコン

サルテーションを行う技術営業、サービ

スおよびサポートを担当するシステム・エ

ンジニア、マーケティング担当者で構成

される専任組織で、顧客企業全体の情報

リスク管理システム構築のサービスやサ

ポートを提供している。今後も日本ユニ

シスは、情報セキュリティに対する取り

組みを徹底し、ユーザの信頼に応えられ

る製品、サービスを提供していく。

日本ユニシスは、5月27日に米国スタ

ンフォード大学と共同開催した「第2回e-

Japanフォーラム」の模様を、ユニシスe-

Japanポータル(http://e-japan.unisys.co.jp/)

にて、ストリーミング・ビデオ配信する。

日本ユニシスでは、行政サービスと民間

サービスを結ぶ官民協働型ASP事業構想

に加え、ブロードバンド技術を積極的に

活用することでITによる地域活性化の提

案を行い、政府(IT戦略本部)のe-Japan

重点計画への取り組み強化を図っている。

今回のストリーミング・ビデオ配信は、そ

の取り組みを広く紹介するもの。

日本ユニシスは、日・米・欧の電子政府・

電子自治体の推進者や、地域IT化政策の

日本ユニシスは5月28日、アウトソー

シング事業において「情報セキュリティマ

ネジメントシステム(以下ISMS)適合性評

価制度」の認証を株式会社KPMG審査登

録機構より取得した。すでに取得してい

る情報セキュリティ管理の国際的な規格

「BS7799」認証とあわせ、正式な認定を

受けている審査機関からのダブル取得は、

当社が国内で初めてとなる。

インターネットの利用が一般的になっ

た昨今、企業間電子商取引に参加する企

業にとって、コンピュータ・システム上の

個人情報の保護など、情報セキュリティ

管理の強化が重要な課題になっている。

さらに、アウトソーシングの普及により

企業内、企業間だけでなくアウトソー

サーにも、情報セキュリティ管理への取

り組みの透明性、継続性が求められてい

る。このような動向の中、情報セキュリ

ティ管理の標準規格準拠の重要性が強く

叫ばれるようになってきた。

日本ユニシス アウトソーシング事業部

は、アウトソーシングの最重要項目に情

報セキュリティ管理を掲げ、昨年4月に

同事業部としての情報セキュリティ・ポリ

シーを策定、その後も情報セキュリティ

管理の強化に努めてきた。

日本ユニシスはこれらアウトソーシン

グ事業部の実績を評価され、昨年10月1

日、フルアウトソーシング事業を展開す

る企業として世界で初めて、「BS7799」

認証を取得し、国際的なデファクト・スタ

東京大学大学院教授 須藤氏、スタン

フォード大学教授 ビヨルンソン氏、日

本総合研究所理事新谷氏)

配信は、ユーザの好きな時間に視聴す

ることができるオンデマンド配信を行い、

視聴は無料。なお希望する自治体・官公庁

関係の方には、フォーラムの模様を完全

収録したCD-ROMを無償にて提供する。

申し込み先:[email protected]

ム「CyberGovernment Square」(東京都

港区)では、これまでに1万人以上の行政

関係者が見学に訪れるなど、本分野にお

いて先行した事業を展開してきた。

一方、日本ユニシスは、電子行政化向

けソリューションおよびサービス「Open

Government21」のコンセプトのもと、

電子政府における開発サポート実績を

ベースに、電子自治体ソリューションお

よびシステム・インテグレーション・サー

ビス、アウトソーシング・サービス、

ASP/iDCサービスなどを提供しており、

今後とも顧客の変革への対応に対して迅

速な支援を提供していく。

【今回合意の内容】

① 電子自治体分野におけるアプリケー

ションパッケージの相互供給

日立の「Solutionmax for Cyber

Government」と日本ユニシスの「Open

Government21」において、両社がそれ

ぞれ有する製品の相互供給を推進する。

その第一弾として、日立の「電子行政窓口

基盤ソフト アプリポーター」と「財務会計

システム」を日本ユニシスへ供給する。今

後は、日本ユニシスの「建築行政ソリュー

ション」を日立へ供給することなどを検討

し、相互供給する対象製品を順次拡大し、

共同開発も視野に入れた製品ラインアッ

プ強化を図る。

② 両社共同でのシステム・インテグレー

ションの実施

自治体のニーズに応じて両社の技術・ノ

ウハウを組み合わせ、最適なソリュー

ションの共同提案を推進していく。

③新規市場に対する共同マーケティング

電子自治体の推進に伴い、新たに立ち

上がるビジネス分野に対して、共同に取

り組む領域を定め、検討を行っていく。

日立と日本ユニシスは、すでに金融分

野のソリューション事業で提携しており、

自治体分野を含め両社のソリューション

事業の提携が大きく前進するもの。

Japanフォーラム」のストリーミング・ビ

デオを配信する。

配信するコンテンツは、以下の通り。

◆ フィンランド環境大臣バックマン氏、

財務省CIOコンガス氏による講演ダイ

ジェスト

◆ 日・米・欧の有識者によるパネルディス

カッションダイジェスト(上記フィンラ

ンド政府高官2名、三重県知事北川氏、

株式会社日立製作所 情報・通信グルー

プ(本社:東京都千代田区、グループ長&

CEO:小野 功氏 以下:日立)と日本ユニ

シスは、このほど自治体分野における電

子行政ソリューションの相互供給や新規

ビジネスの共同検討など幅広い提携関係

を結ぶことで合意した。

その第一弾として、日立の「電子行政窓

口基盤ソフト アプリポーター」と「財務会

計システム」を日本ユニシスへ供給する。

今後は、日本ユニシスの「建築行政ソ

リューション」を日立へ供給することなど

の検討を行って、相互供給する対象製品

を順次拡大し、共同開発も視野に入れた

製品ラインアップの強化を図る。

政府は、2001年6月に発表した「e-

Japan2002プログラム」の中で、

2003年度での電子政府実現と電子自治

体の構築に向け、2002年度中に必要な

基盤整備を進めることを掲げている。そ

の中では、申請・届出等手続きの電子化や

調達手続きの電子化などのシステム整備

が挙げられており、今後関連システムの

構築や基盤整備が急務とされている。

こうした自治体のニーズに迅速に対応

する最適なソリューションの提供を目指

し、今回の業務提携では両社の持つ製品

やサービスなどの経営資源を相互に活用

することにより、自治体向けソリュー

ションにおける提案力、サービス力の強

化を図る。両社はソリューションやシス

テム・インテグレーション、新規市場など

幅広い範囲にて提携することにより、両

社の電子自治体分野におけるビジネスの

拡大を目指す。

日立は、1999年より電子行政ソ

リューション「Solutionmax for Cyber

Government」を提供しており、自治体

業務アプリケーション・パッケージの開発

や、認証、セキュリティなどの基盤技術

を応用した電子自治体システムの構築に

おいて、豊富な実績とノウハウがある。

また、日本初の電子行政専用ショールー

日立と日本ユニシス電子自治体向けソリューション分野で包括提携ソリューションの相互供給や新規ビジネスの共同検討を開始

http://www.unisys.co.jp 日本ユニシス・グループのニュースリリースは、日本ユニシスのホームページ新着情報に掲載されています。

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14 2002年7月1日第495号

「Unisys Enterprise Server ES7000/200」を販売開始サーバ管理ソフトウェア「サーバナビゲーション・ツール」により

信頼性と可用性を向上

ユニシス研究会 全国カンファレンス開催

平成14年度エッカート賞発表

800MHz(2MB / 4MB L3キャッ

シュ)

また、搭載メモリは最大64GBまで。

② 「Windows 2000 Datacenter

Server」または「Windows 2000

Advanced Server」がプリインストー

ル。また「Windows .NET Datacenter

Server」および 「Windows .NET

Enterprise Server」にも今後対応予定。

③ 独自のサーバ管理ソフトウェアである

「サーバ ナビゲーション・ツール」を標

エッカート賞とは、商用コンピュータ

育ての親であるエッカート博士に因み創

設された賞で、応募論文、研究部会活動、

事例発表などの研究成果の中で特に優秀

と認められたもの、および研究会活動に

多大な貢献をした個人に対し授与される

伝統のある賞。今回は、応募論文(26編)

から1編、研究部会活動(35グループ)か

ら2グループに栄誉あるエッカート賞が

授与された(以下順不同、敬称略)。

■応募論文「EC活用をベースに推進した東京電力の業務改革」

東京電力(株) 北村裕嗣

■グループ研究活動

●情報技術部会第8グループ

「ビジネスモデル特許と情報システム-情報システム部門の大切な役割-」

住友電装コンピュータシステム(株) 沼田 裕史、全日空システム企画(株) 田中 竜夫、(株)テプコシステムズ笠井利春、東京電力(株) 齋藤敦、

日本ユニシスは、「Unisys Enterprise

Server ES7000/200(以下ES7000/

200)」の販売を開始した。「ES7000/

200」は、「Windows 2000 Datacenter

Server」による大規模エンタープライズ・

サーバの領域を確立した「Un isys

Enterprise Server ES7000(以下

ES7000)」を機能向上させたシリーズ。

「ES7000/200」は、最新のインテル

Xeon™プロセッサMPの搭載に

加え、自己診断/自己修復機能を持つ独

自のサーバ管理ソフトウェア「サーバ ナ

ビゲーション・ツール」を搭載することに

より、従来の「ES7000」と比べて、シス

テムの信頼性と可用性、および価格性能

比を向上させた。

◇今回提供する「ES7000/200」の特徴

① 以下のインテル プロセッサを、最大

32CPUまで搭載可能(パーティション

単位での混在も可)。

b インテル Xeon™プロセッサ

MP 1.6GHz(1MB L3キャッシュ)、

1.4GHz(512KB L3キャッシュ)・

b インテル Pentium III Xeon™

900MHz

(2MB L2

キャッシュ)、

700MHz

(2MB L2

キャッシュ)

b インテル

Itanium&

t r a d e:

平成14年度のユニシス研究会全国カ

ンファレンスが、6月6日、7日の両日、

名古屋マリオットアソシアホテルにおい

て開催され、全国から778名の会員が参

集、盛会となった。全国カンファレンス

は例年東京で開催されているが、4年に

1度、大阪または名古屋で開催されてお

り、今回は名古屋での開催となった。

日本ユニシスの島田社長に加え、欧州

ユニシスユーザ会(UAA)のドロシー・フラ

ンクランド会長も来賓として出席し挨拶。

総会では、平成14年度エッカート賞の

発表と表彰が行われた。

引き続き、経済産業研究所 コンサル

ティングフェロー 安延 申氏による「IT技

術と企業構造改革:日米比較を踏まえて」

と題した基調講演をはじめ、優秀論文発

表、研究部会のグループ研究活動発表、

特別講演、ユニシスからの技術講演など、

多彩なセッションで構成された。

プロジェクトを運営していくことで、こ

れまでCADだけでは成し得なかった新住

宅ビジネスの構築・支援を行う。まず、第

1のプロジェクトとしては、最近これま

での住宅のコストを大きく下回る「低価

格・高品質住宅」が注目を集め、インター

ネット世代が今後の住宅建築・購入のメイ

ンターゲットとなってくることから、住

宅メーカーや工務店が営業戦略・営業手法

の転換を行い、これからの受注競争に対

応するために、新しい見込み客獲得シス

テムの構築を行っていく。

“見込み客獲得システム”はインター

ネット上のポータルサイトとして展開す

る計画で、このシステムを採用したASP

サイトサービスを2003年4月に開始、

共同運営することを予定している。

また、包括提携によるその他のプロ

ジェクトとしては、大きく4つあり、以

下のようになっている。

① インターネット時代における住宅ビジ

ネス構築を目的とした相互ソリュー

ションの共有

② 各段階におけるコスト削減による競争

力強化を目的とした住宅建築データ

ベース標準化への取り組み

③ 住宅建築情報、企業内情報の標準化に

よる効率化支援を目的とした住宅施策

標準化の推進

④ 建築現場におけるIT化促進を目的とし

た業務系システムの研究・開発

福井コンピュータと日本ユニシス、日

本ユニシス・エクセリューションズの3社

は、今回の包括提携を基に、これまで設

計・積算などの限られた分野でしか利用さ

れてこなかったITツールの住宅業務全般

への普及を目指し将来的には住宅各社の

経営全般のサポートを行っていく。

日本ユニシス役員人事

6月26日に開催された第58回定時株主

総会および取締役会で以下の役員人事

が承認、決定されました。

【新任】

監査役(非常勤) 清塚勝久

執行役員 稲泉成彦

執行役員 鈴木 正

執行役員 入部 泰

執行役員 平岡昭良

【退任】

代表取締役常務取締役

ツピックニュー・ニキエル

常務取締役 鈴木貴士

取締役 日高大稔

取締役 松森正憲

(引き続き執行役員に就任)

取締役 福永 努

(引き続き執行役員に就任)

【昇任】

代表取締役常務取締役

ニコラス・ジェイ・ライター

している。このような状況の中、住宅業

界は再編の時代を迎え、生き残りをかけ

た競争がさらに激化することが予想され

る。この状況は建材メーカーでも同様で

あり、総合住設建材メーカーにおいても

この動きに対応するための業務提携が盛

んとなっている。

このような厳しい時代にあって、販売

拡大とコスト削減の両面の課題を同時に

解決する方法の一つとしてビジネス・スタ

イルのIT化、デジタル化推進が挙げられ

る。この課題を解決するため、福井コン

ピュータと日本ユニシス、日本ユニシス・

エクセリューションズの3社は、住宅取

得スタイルを変革する“見込み客獲得シ

ステム(仮称)”の構築を含む、5つの共同

準装備。「サーバ ナビゲーション・ツー

ル」のWebベース・ナビゲーションによ

り、管理の操作性が簡素化し、ハード

ウェアおよびオペレーティング・システ

ムを一画面から集中管理することが可

能。また、「サーバ ナビゲーション・

ツール」の自己診断/自己修復機能によ

り、ハードウェアおよびオペレーティ

ング・システムの性能を向上させ、可用

性を改善させることも可能。

「ES7000/200」は、ユーザニーズ

に柔軟に対応するため、搭載するCPU、

メモリ、パーティション数により標準構成

8モデルから選択できる商品構成。本年

6月下旬から順次出荷を予定している。

福井コンピュータ株式会社(本社:福井

県福井市 社長:小林 眞氏)、日本ユニシ

スおよび日本ユニシス・エクセリューショ

ンズ株式会社(本社:東京都新宿区社長:

河村 元樹)の3社は住宅業界においてこれ

まで培ってきた実績・ノウハウをベースに

住宅業界に向けて、より一層の業界支援・

新ビジネス構築を行うことを目指し、業

務提携を締結した。

住宅産業では国内景気動向の悪化や少

子化などの社会的要因による住宅着工件

数の減少から危機感が増しつつある。ま

た、瑕疵担保責任・性能表示制度といった

消費者保護の法律への対応、低価格で高

品質な住宅供給システムの再構築など、

これまでになかった新しい課題が山積み

ユニアデックス(株) 関根直継、(株)リテイル・インフォーメーション・サービス川嶋繁良

●人材育成部会第2グループ

「情報システム部門に求められる役割とその能力開発」

(株)イデア・システムズ 小林 智子、西部ガス情報システム(株) 川口 剛、セイコーエプソン(株)恩田耕司、(株)テプコシステムズ 風間久仁子、東京電力(株) 伊東 博之、(株)南王 佐藤 崇、(株)ニッセン 安田 学、日本化学工業(株) 上林守、(株)北越銀行佐藤 匠、北海道電力(株) 三品勝美、北海道電力(株) 後藤秀樹

なお、今年度のユニシス研究会全国

フォーラムは、10月24日~26日に静

岡で開催される。

福井コンピュータ、日本ユニシス、日本ユニシス・エクセリューションズ

住宅業界の新ビジネス構築のために包括提携

エッカート賞表彰式と会場風景

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ユニシス・ニュース

2002年7月1日第495号

 ユニシス・ニュースに関する�ご意見・ご感想をお寄せください。�また、送付先の変更などのご連絡�お問い合わせにもご利用ください。�Eメール [email protected]

■マニュアル● ClearPath MCP*ClearPath MCP FormRunner-MCP Windows操作(解) 運用 [433322715-0] 3,900円154頁*ClearPath MCP FormRunner-MCP Windows操作(解) 導入[433322716-0] 1,800円 70頁

ユニシス・セミナーのご案内

資料発刊のご案内

8月19日(月)~23日(金) 東京8月26日(月)~30日(金) 大阪

[料金]240,000円●『BCMSN-スイッチング・ネットワークの

構築』

[開催日]8月26日(月)~30日(金) 東京[料金]250,000円

●『CIT-インターネット・トラブル・シュー

ティング』

[開催日]8月26日(月)~30日(金) 東京[料金]250,000円

■インターネット技術研修

<インターネット関連コース>●『HTML基礎』

[開催日]8月22日(木) 名古屋[料金]30,000円

●『VBScriptプログラミング基礎』

[開催日]8月27日(火) 大阪8月29日(木) 中国

[料金]30,000円●『COOLICEを使用したWebシステムの構築』

[開催日]8月20日(火) 東京[料金]15,000円

●『インターネットサーバ構築』

[開催日]8月27日(火)~29日(木) 東京[料金]84,000円

●『iモードホームページ作成入門』

[開催日]8月28日(水) 大阪[料金]30,000円

●『iモードホームページ作成

-インタラクティブ処理Perl編』

[開催日]8月30日(金) 大阪[料金]30,000円

●『iモードホームページ作成

-インタラクティブ処理ASP編』

[開催日]8月29日(木) 大阪[料金]30,000円

●『XML基礎』

[開催日]8月21日(水) 東京[料金]30,000円

●『XMLを使用したWebアプリケーション開

発-ASP編』

[開催日]8月22日(木)~23日(金) 東京[料金]57,000円

●『PKIによる電子商取引のセキュリティ確保』

[開催日]8月21日(水)~23日(金) 東京[料金]270,000円

●『ベリサイン認定管理者(VCA)養成コース』

[開催日]8月19日(月)~20日(火) 東京8月26日(月)~27日(火) 東京

[料金]240,000円●『ベリサイン認定エンジニア(VCE)養成

コース』

[開催日]8月28日(水)~29日(木) 東京[料金]240,000円

<CIW関連コース>●『ファンデーションインターネット基礎』

[開催日]8月 5日(月) 東京8月19日(月)大阪

[料金]30,000円

*ClearPath MCP FormRunner-MCP 導入・操作解説書[431322703-0] 2,400円 94頁●オープン系ソフトウェア *EnConneコマンド解説書 運用管理編[432802721-0] 1,200円 48頁● CAD/CAM*CADCEUS V6 トレーニング パラメト

●『ファンデーションウェブページ制作基礎』

[開催日]8月 6日(火)~ 7日(水) 東京8月20日(火)~21日(水) 大阪

[料金]60,000円●『ファンデーションネットワーク基礎』

[開催日]8月 8日(木)~ 9日(金) 東京8月22日(木)~23日(金) 大阪

[料金]60,000円●『ウェブ言語 JavaScript基礎』

[開催日]8月19日(月)~20日(火) 東京[料金]100,000円

●『ウェブ言語 Perl基礎』

[開催日]8月21日(水)~23日(金) 東京[料金]150,000円

■システム利用技術研修

<Windows2000(MSU)関連コース>●『Microsoft Windows2000 インプリメン

テーション』

[開催日]8月 5日(月)~ 9日(金) 東京8月12日(月)~16日(金) 大阪

[料金]210,000円●『Microsoft Windows2000 ネットワークイ

ンプリメンテーション』

[開催日]8月19日(月)~23日(金) 大阪8月26日(月)~30日(金) 東京

[料金]210,000円●『Microsoft Windows2000 アップグレード』

[開催日]8月5日(月)~9日(金) 大阪[料金]210,000円

●『Microsoft Windows2000 マイグレーショ

ン設計』

[開催日]8月8日(木)~9日(金) 大阪[料金]84,000円

●『Windows2000 運用管理者短期養成セミ

ナー』

(オリジナルコース)[開催日]8月29日(木)~30日(金) 大阪[料金]84,000円

●『Microsoft SQL Server2000システム管理』

[開催日]8月19日(月)~23日(金) 大阪8月26日(月)~30日(金) 東京

[料金]225,000円

<Oracle関連コース>●『Oracle入門 SQL編』

[開催日]8月5日(月)~6日(火) 大阪[料金]57,000円

●『Oracle入門 データベース編』

[開催日]8月7日(水)~8日(木) 大阪[料金]57,000円

●『Oracle PL/SQL編』

[開催日]8月26日(月)~27日(火) 大阪[料金]57,000円

●『Oracleデータベース管理Ⅰ前編』

[開催日]8月19日(月)~20日(火) 九州[料金]57,000円

●『Oracleデータベース管理Ⅱ後編』

[開催日]8月21日(水)~23日(金) 九州[料金]84,000円

●『Oracleデータベース管理Ⅱ パフォーマン

ス・チューニング編』

[開催日]8月 5日(月)~ 9日(金) 東京8月26日(月)~30日(金) 名古屋

[料金]136,000円

リックモデリング [432802714-0] 7,200円288頁* CADCEUS V6 ト レ ー ニ ン グ   製 図[432802690-0] 3,900円 156頁● CASE/4GL*LINC2000 Builder解説書 リリース3.2[431102709-0] 7,600円 302頁*LINC2000 Developer解説書 開発・テスト編リリース3.2 [431102708-0] 9,000円 358頁●その他*IOF-DSAdmin連携 解説書 [432802669-0]

2,400円 96頁

■新規商品カタログ*Unisys Storage System SANARENA3000シリーズ[081821119-0] 4頁*情報セキュリティ・アセスメントドックサービス[010901226-0] 2頁*Unisys Enterprise Server ES7000/200[081841368-6] 12頁

■言語/開発ツール研修

<Java関連コース>

コースにより講習会会場が異なります。ご受講の際は受講票をご確認ください。

●『Javaプログラミング入門forビギナーズ』

[開催日]8月8日(木)~9日(金) 大阪[料金]80,000円

●『JavaプログラミングⅠ』

[開催日]8月19日(月)~21日(水) 大阪[料金]128,000円

●『JavaプログラミングⅡ』

[開催日]8月22日(木)~23日(水) 大阪[料金]88,000円

●『Javaプログラミング-GUI』

[開催日]8月29日(木)~30日(金) 大阪[料金]90,000円

●『Advanced Javaプログラミング』

[開催日]8月7日(水)~9日(金) 東京8月14日(水)~16日(金) 東京

[料金]150,000円●『分散環境プログラミングWith Javaテク

ノロジ』

[開催日]8月12日(月)~14日(水) 東京[料金]165,000円

●『JavaBeansコンポーネント開発』

[開催日]8月5日(月)~7日(水) 大阪[料金]150,000円

●『Enterprise JavaBeansプログラミング』

[開催日]8月21日(水)~23日(金) 東京[料金]150,000円

●『Java上でのXML処理』

[開催日]8月29日(木)~30日(金) 東京[料金]120,000円

●『オブジェクト指向概要for Javaテクノロジ』

[開催日]8月19日(月) 東京[料金]50,000円

●『UMLを使用したオブジェクト指向分析・

設計for Javaテクノロジ』

[開催日]8月20日(火)~22日(木) 東京[料金]135,000円

■システム開発/管理技術研修●『プロジェクト・マネジメント入門』

[開催日]8月21日(水) 大阪[料金]30,000円

●『プロジェクト・マネジメントの実践』

[開催日]8月1日(木)~2日(金) 北海道[料金]57,000円

●『SEのための提案とコミュニケーションの

技術』

[開催日]8月22日(木)~23日(金) 大阪[料金]57,000円

■ネットワーク技術研修

<ネットワーク基礎技術関連コース>●『LAN基礎』

[開催日]8月23日(金) 北海道[料金]15,000円<CISCO関連コース>

●『ICND-ネットワーク機器のコンフィグ

レーション』

[開催日]8月 5日(月)~ 9日(金) 東京

●『Oracleデータベース管理Ⅱネットワーク編』

[開催日]8月22日(木) 東京[料金]30,000円<UNIX関連コース>

コースにより講習会会場が異なります。ご受講の際は受講票をご確認ください。

●『UNIX(Solaris8)入門』

[開催日]8月 5日(月)~ 7日(水) 東京8月19日(月)~21日(水) 東京8月26日(月)~28日(金) 東京

[料金]90,000円●『Solaris8システム管理Ⅰ』

[開催日]8月 1日(木)~ 2日(金) 東京8月 8日(木)~ 9日(金) 東京8月22日(木)~23日(金) 東京8月29日(木)~30日(金) 東京

[料金]80,000円●『Solaris8システム管理Ⅱ』

[開催日]8月 5日(月)~ 6日(火) 東京8月12日(月)~13日(火) 東京8月26日(月)~27日(火) 東京

[料金]80,000円●『Solaris8システム管理』

[開催日]8月 7日(水)~ 9日(金) 東京8月14日(水)~16日(金) 東京8月28日(水)~30日(金) 東京

[料金]150,000円●『NIS for Solaris』

[開催日]8月5日(月) 東京[料金]50,000円

●『Solaris8ネットワーク管理Ⅰ』

[開催日]8月26日(月)~28日(水) 東京[料金]150,000円

●『Solaris8ネットワーク管理Ⅱ』

[開催日]8月29日(木)~30日(金) 東京[料金]100,000円※上記の料金には消費税は含まれていません。

■ 日本ユニシス(株)教育センターは、このた

びお客様の多様な企業内教育ニーズへの迅速

な対応を目的に、日本ユニシス・ラーニング

株式会社として7月1日より独立することとな

りました。引き続き高品質なサービスをご提

供させていただく所存です。今後ともよろし

くお願いいたします。

教育サービスについては次のホームページでもご覧いただけますのでご利用ください。http://learning.unisys.co.jp/

◇教育サービスについてのお問い合わせ先◇

日本ユニシス・ラーニング(株)

本社(東京) TEL(03)5546-4230大阪事業所 TEL(06)6232-7100日本ユニシス(株)

名古屋教育センター TEL(052)586-8261北海道教育センター TEL(011)898-9008東北教育センター  TEL(022)261-7231新潟教育センター  TEL(025)247-7321北陸教育センター TEL(076)233-9800中国教育センター TEL(082)242-5109九州教育センター TEL(092)473-3079

Page 16: 16-01 (Page 1)Common Sense)を身につけることである。例えば、これからの企業は「販売促 進」という古い常識を捨てなければなら ない。なぜなら、この言葉は「いかにし

16

発行日本ユニシス株式会社コーポレートコミュニケーション部 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人龍岡慎一 編集人岡本哲夫 制作ピー・アールセブン 発行日 2002年7月1日 

2002年7月1日 第495号*社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。*本紙記載の社名、製品名、およびシステム名は各社の登録商標または商標です。*掲載記事の無断転載を禁じます。

ISSN 0915-051X

Re-En te rp r i s ing~価値創造を実現するユビキタス・イノベーション~�

休憩(15分)�

※定員になり次第、締め切らせていただきます。 ※講師、講演内容は都合により変更させていただく場合があります。�

休憩(25分)�

Breakout Session 16:10 • • • 17:00

Panel Discussion�16:10 • • • 17:40ビジネス開始後わずかな期間で飛躍的に売上を伸ばしている(株)QVCジャパン様のダイレクトマーケティング

ビジネスにおけるメディア戦略と先進IT活用事例をご紹介します。�

世界最大のテレビショッピングQVC ジャパンのメディア戦略とIT活用�A1

ビジネスアグリゲーションの基盤であるビジネスポータルを実現する"ショーケース"の具体例を(株)ベイテックシステムズ様よりご紹介します。続いて、異業種企業が持つ各々の価値を結びつけて新たな顧客価値を創造するビジネスプロデュースとそれに関わるIT支援への日本ユニシスの取組みをご紹介します。�

ビジネスアグリゲーションによる新しい顧客価値創造�―異業種企業を結ぶ"ビジネスプロデュース"×"IT支援"―�A2

日本ユニシスではミノルタ(株)様における「ES7000」2台による世界最大規模のSAPシステムの構築、ITテンプレートを適用した日本ユニシス・ソフトウェアの新社内情報システムの構築などのSAPビジネスを推進してきました。このたびSAPジャパンの次世代ソフトウェアの体系の発表にあたり日本ユニシスは本格的なアプリケーション構築サービスに参入します。より一層強化される両社の協業関係と次世代ERPについてご紹介します。�

SAP Japan Next Strategy with UnisysA3

ITが市場に浸透し続ける現在、顧客との新しい関係構築が重要なテーマになっています。企業戦略とIT戦略の連携を強化することで顧客価値創造を早急に実現する必要があります。このためには、短期間で企業の戦略を理解しITに変換しソリューションに組み立てる方法論の必要性が高まっています。本セッションでは、"E志向"をビジョンとして掲げる(株)am/pm様でのITグランドデザイン策定事例を日本ユニシスの方法論も交えてご紹介します。�

顧客視点でITのグランドデザインを描く―am/pm様の"E志向"を実現するグランドデザイン事例―�A4

ブロードバンド時代/ユビキタス時代には、安価で高速な有線/無線ネットワークを介してあらゆる機器(デバイス)が接続され、ネットワークを通じてあらゆる事象のセンシングやデバイスのコントロールが可能となります。このようなマシンとマシンとの間で通信されるダイナミックデータやサービスのやりとりを可能とする次世代のコミュニケーション・モデル-M2M-をご紹介します。�

M2M。次世代コミュニケーション・モデル�A5

Breakout Session 17:10 • • • 18:00

インターネット社会のICカード適応について、ICカードの最新技術動向、ネットワーク上のICカードセキュリティ、NTTコミュニケーションズ(株)が提供するインターネット認証/決済プラットフォームサービス「セーフティパス」を紹介の上、ジュビロ磐田を先駆けとしてぴあ(株)様共同実施中の電子チケットサービステスト等の導入事例をあわせて紹介します。�

インターネット社会のICカード適用について―ジュビロ磐田を先駆けとする電子チケット等の導入事例紹介―�B1

近年のインターネットの普及とその上でのサービスの多様化により、企業情報システムに対する要望は大きく変化しています。他企業と連携した新たなEビジネスの実現などの新たな要望に対し、asaban.comがどのように対応していくのか、日本最大級のビジネスポータルasabanBusinessParkでの具体的な取り組みを通して考察します。�

日本最大級のビジネス・ポータル asaban Business ParkB2

Re-Enterprisingの下、進められている次世代に向けての日本ユニシスの業務改革を具現化するため、システムインテグレータとしての日本ユニシスがOracle EBSを使用して自ら構築した会計システムと購買~物流のSCMシステムについてご紹介します。このシステムはOracle EBSを使用した大規模事例でもあります。�

Oracle EBSによる次世代業務改革―Re-Enterprising―の事例 (仮題)�B3

情報ネットワークへの依存が高まる中、多くの企業にとってセキュリティを確保したITシステムの構築が課題となっています。本セッションではKPMGビジネスアシュアランス(株)様によるセキュリティ認証取得のご紹介と、情報セキュリティ管理の国際的な規格「BS7799」認証と「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」の認証を国内で初めてダブルで取得したアウトソーシングサービス―PowerRental®―をご紹介します。�

PowerRental®―BS7799、ISMSが支えるハイセキュリティ・アウトソーシングサービス―�B4

金融機関では、経営環境が激変する中、経営ニーズに迅速に対応する為には、低コスト/短期間でのシステム構築、堅牢性/対障害性を備えたシステム基盤構築の要求が急速に高まっています。一方、IT革命が急速に進展する中、短いサイクルでのソフトウェア・バージョンアップに伴う保守負荷の増大等の課題が表面化しています。日本ユニシスはこれらの要求、課題に対応し、経営ニーズに即応できる情報システムで在り続けるために必要不可欠な金融オープンミドルウェアを提供します。�

日本ユニシス株式会社�金融システム開発部�開発一室長 向井 丞�開発三室長 林  尊�

日本ユニシス株式会社�asaban.com事業部�プロフェッショナルサービス一課長��遠藤 英幸�

NTTコミュニケーションズ株式会社��eスマートトラストサービス部��電子チケットプロジェクトチーム��マネージャ 矢吹 幸介 氏�

株式会社am/pmジャパン��常務取締役 野村 和夫 氏��

日本ユニシス株式会社�Eコンサルティング部長��四居 雅章�

株式会社 ベイテックシステムズ��代表取締役 原口 豊 氏��

日本ユニシス株式会社�ビジネスアグリゲーション事業部長��平岡 昭良�

株式会社 QVC ジャパン �代表取締役社長 佐々木 迅 氏�

SAPジャパン株式会社��アライアンス マネージメント本部��バイス・プレジデント 竹田 邦雄 氏�

日本ユニシス株式会社�ブロードバンドビジネス事業部�BBコンサルティング室��担当部長 富田 孝志�

KPMGビジネスアシュアランス株式会社�マネージャー 山本 直樹 氏��

日本ユニシス株式会社�アウトソーシング事業部事業推進室��担当部長 津村 正彦�

パートナー 様��

日本ユニシス株式会社�情報システム部長��庭山 宣幸�

ミッションクリティカル99.999%を支える金融オープンミドルウェア�B5

休憩(10分)�

P1

ユビキタス�コンピューティング�社会への期待�“ユビキタスコンピューティング”従来のコンピューティングモデルでの様々な制限が解消される新たなユビキタスコンピューティングモデルの実現が近づきつつあります。そして、これを構成する多くの新技術要素の開発が進行中です。�本パネルディスカッションでは先見的活動を行っているフロントランナーの方々から『ユビキタスコンピューティング社会への期待』をテーマとしてお話し頂き、後半では『ユビキタスで何が変るか』を討論致します。���[パネラー]�

株式会社NTTドコモ�MM事業部  ITS事業推進室 ��ビジネス企画担当課長 松本 直樹 氏��

株式会社野村総合研究所 ��情報・通信コンサルティング二部 ��上級コンサルタント 中島 久雄 氏����[モデレーター]�

日本ユニシス株式会社�Eマーケティング部��ユビキタスビジネスセンター長 府中 由昭��

General Session Ⅰ�13:30 • • • 14:30

G1

東京大学大学院情報学環教授�

工学博士�

坂村 健 氏�

ユビキタスコンピュータ革命�~ポストPC時代の価値創造~�『どこでもコンピュータ(ユビキタスコン

ピューティング)の環境実現のために』

これは全ての人がネットワークに接続で

きるチップが組み込まれた情報端末を

携帯し、生活環境を構成するすべての

ものにコンピュータが組み込まれ、それら

が全てネットワークで接続されるという

世界だ。ユビキタスコンピューティング

環境実現のためにはOSの規定だけで

は限界があり、ハードウェアから開発環

境まで含めたトータルなオープンプラット

フォームを規定することが重要である。

本講演ではポストPC時代の新しい価値

を創造するユビキタスコンピューティング

がもたらす最新の技術動向と社会的

影響について語っていただく。�

General Session Ⅱ�14:45 • • • 15:45

G2

商業開発研究所レゾン所長 �マーケティングコンサルタント�

西川 りゅうじん 氏�

勝つための変化即応型�ユビキタスビジネス戦略�先んずれば人を制す、遅るれば即ち人の

制する所となる。ビジネスの勝敗を決する

のは、パワー&スピードである。価値の

創造とは、人・物・金・情報の変化を、

ユビキタスに捕えて生かすことに他なら

ない。そんな“価値組”こそが勝ち組と

なる時代に必要となる戦略・戦術・戦法を

具体的ケースに基づき説き明かす。�

Opening Message�13:00 • • • 13:30

日本ユニシス株式会社�

代表取締役社長�

島田 精一�

顧客価値創造企業を�目指して�~日本ユニシスの�Re-Enterprising2002への�取組み~�

﹇会場﹈ クリスタルパレス�

﹇会場﹈ クリスタルパレス�

﹇会場﹈ 五色の間�

■会場のご案内�

プリンス通り� 永田町駅�(9-b口)�

永田町駅�(9-a口)�

永田町駅�(7番口)�

旧館�

五色の間�

新館�

弁慶橋�清水�

弁慶橋�

濠�新館側入口�

国道 号線�

246

紀尾井町通り� 赤坂見附駅�

(赤坂地下歩道[D]�紀尾井町方面口)�

別館��

赤坂見附交差点�

クリスタル�パレス�

日 時 : 2002年 7月 26日(金)� 13:00~18:00(12:00受付開始)�会 場 : 赤坂プリンスホテル(クリスタルパレス、五色の間)�主 催 : 日本ユニシス株式会社�協 賛 : 日本ユニシスグループ�

お申込み先 : http://www.unisys.co.jp/event/forum/ FAXでお申込みの場合は同封の[お申込み案内]をご利用下さい。�

お問合わせ先 : Unisys Forum 2002 事務局� Eメール : [email protected]� 電話 : 03-5546-5344(平日 9:00~17:00)�

今、ブロードバンド、ユビキタス・コンピューティングの進展により、�

様々な社会の変革がおきています。�

このような現状を踏まえ、日本ユニシスでは本フォーラムを�

開催することにより、「価値創造」企業として�

お客さまのビジネスに貢献できる先進のテクノロジーや�

ビジネス戦略そして具体的な事例をご紹介して参ります。�

この機会を有効にご活用いただき、�

皆様のお役に立てていただければ幸いです。

事前登録制(無料)�