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平成25年(2013年)7月15日 第39号(3) 八王子消化器病院ニュース

患者さまから

ドクターへ

39

万葉歌人

山上憶良の持病は

何だったか

八王子市内

みつい台在住

小野寛さん

一昨年の暮れも押し迫った12

月25日、経験したことのない猛

烈な腹痛に襲われ、この歳まで

78年病気知らずの私が、急遽近

くの病院に入院させられ、病院

で年越しということになりまし

た。原因は急性胆嚢炎で、絶飲

絶食からようやく重湯になり、

一分粥、三分粥、七分粥、本粥

になって一時退院しました。

その1月31日夜、また同じ激

痛に見舞われ、今度は私の万葉

教室のメンバー清水さんの紹介

で、2月2日から八王子消化器

病院に入院することになり、小

池伸定先生に診ていただくこと

になりました。そして2月21日、

小池先生の執刀で切腹、ひどい

炎症を起こしていた胆嚢を摘出

しました。以来、胆嚢なしのか

らだで1年5ヶ月、今は平常通

りの並の老人夫婦のくらしをし

ています。これもひとえに八王

子消化器病院のスタッフの皆様

のお蔭です。厚く御礼申し上げ

ます。

私は国文学者で『万葉集』研

究ひとすじに参りました。『万

葉集』にも病気の歌、病に痛み

苦しむ歌、病床から贈る歌など

がありますが、それがどんな病

気だったか、何という病気だっ

たかなどはなかなか分かりませ

ん。病に倒れ、床に臥し、日に

日に痛み苦しむなどと言うだけ

で、その病状まで歌いません。

その中で、老齢に病を重ねて苦

しんだことを漢文と漢詩と和歌

に作った人がいます。それが山

上憶良(やまのうえのおくら)

です。憶良は「子等を思ふ歌」

(「銀(しろがね)も金(くがね)

も玉も何せむにまされる宝子に

及(し)かめやも」)や「貧窮

問答歌」などでよく知られた、

奈良時代の万葉歌人です。その

学識と経験を買われて、68歳の

老齢で筑前守(今でいう福岡県

知事)に任命されて九州に赴任

しました。憶良の万葉集の歌は

75首あり、そのほとんどがそれ

以降の作品です。彼はそれから

6年、都に戻って、74歳で亡く

なります。天平五年(七三三年)

のことです。その年の作でした。

その漢文は「沈痾自哀(ちん

あじあい)の文」と題されてい

ます。「沈痾」とは重病に苦し

むことです。重病に苦しむ自ら

を哀れむ文です。漢字千二百数

十字に及ぶ長大なものです。そ

の第二段です。

初めて痾(やまい)に沈みし

より以来、年月稍(やや)に多

し(十余年を経ることをいふ)。

この時に齢七十有四、鬢(ひん)

髪(はつ)斑白にして、筋力尩

羸(わうるい)なり。

初めてこの病気にかかってか

ら年月はもう長く、十年以上た

ちました。いま齢は七十四歳で、

鬢(びん)も髪も白髪になり、

筋肉の力は衰え弱ってしまいま

した。そして、

四肢動かず、百節皆疼(いた)

み、身体太(はなは)だ重く、猶(な

ほ)し鈞石(きんせき)を負へ

るが如し。布に懸りて立たむと

すれば、翼折れたる鳥の如く、

杖に倚りて歩まむとすれば、足

跛(な)へたる驢(うさぎうま)

の比(ごと)し。

手足は思うように動かず、す

べての関節はどれも疼き痛み、

身体はとても重くておもりを背

負っているようです。垂らした

布をつかんで立とうとすると、

翼の折れた鳥のように倒れ、杖

にすがって歩こうとすると、足

の萎えたロバのようですと言う

のです。こういう症状はどんな

病気でしょうか。先生方のお見

立てはいかがでしょうか。通説

は慢性の関節リウマチだろうと

考えています。しかし、発病以

来十数年して九州筑前の国守と

して忠実に部内を巡行したりし

ていますし、このような長大な

漢文の文章を書き上げたり、漢

詩(長い序文付き)を作ったり、

和歌も長歌・短歌合せて六十首

も詠んだりしていますから、本

当は神経痛程度のものではな

かったかと言う研究者もいます。

それを受けて三年前、『万葉集』

の論文にリウマチとは別の病気

を考える試案が出されました。

それは座骨神経痛です。痛みが

ひどくなると、憶良の言うよう

に立ち居ふるまいが不便になり、

歩行も不自由になりますが、部

下の助けがあれば多少の外出は

出来たでしょう。更に、その原

因である腰部脊椎間狭窄症が進

行して椎間板ヘルニアに至ると、

疼痛は一層ひどくなり、坐臥も

ままならなくなるだろうという

のです。そしてその論者は、座

骨神経痛と関係のない他の関節

の疼痛はどうしたのかというと、

それは加齢による「老化性変形

関節炎」を併発していたと考え

るのです。こういう合併症で説

明しようというのです。これは

私の仲間の国文学者の素人の見

立てです。自分の患った体験か

ら考えたものだそうです。

憶良はこの病気を持って、死

の年まで文字通り重い病の床に

沈んでいましたが、そこへ政界

の重鎮参議藤原房前の子息八束

の見舞いが来ました。憶良は感

激し、涙をぬぐって歌いました。

をのこやも空しくあるべき

万代に語り継ぐべき

名は立てずして(巻六)

男子たる者、空しく終ってよ

いものか。自らの人生を思う、

憶良の辞世の歌になりました。

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