国内電子書籍に関する状況整理 Jagat20131206

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国内「電⼦書籍」に関する状況整理 鎌⽥博樹 E-Book 2.0 Forum主宰 [email protected] JAGATセミナー 12/06/2013

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2013年12月6日 日本印刷技術協会(JAGAT)での講演資料

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国内「電⼦書籍」に関する状況整理

鎌⽥博樹E-Book 2.0 Forum主宰

[email protected]

JAGATセミナー12/06/2013

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本⽇のお話:状況認識

• 変化の本質• 変化への抵抗• ⽇本的エコシステムの解体• 出版の再⽣シナリオについて

2000年のアマゾンe-Bookのロゴ

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マクロ認識:ITによる出版の再構築

• デジタル出版へのステップ:出版社は鈍感だった– 1990年代〜:⽣産(活字・ページの電⼦化) – 2000年代〜:流通・販売(インターネット)– 2010年代〜:読書(クラウドと端末)

• ⽣産・流通・読書がデジタルに再編=デジタル出版– 歴史上初めて出版が紙から独⽴。変化はこれから本格化– ITを使ったプロセスのコントロール(サービスの最適化)– 印刷本が消えることではない(フォーマットとして重要)

• コミュニケーション、メディアの再編の⼀部– メディアビジネスの主導権をめぐるレース– ⽇本の出版「業界」は変化に抵抗することで消耗・衰退

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幻の「電⼦書籍」とデジタル出版前夜

• 「電⼦書籍」は勘違い– 書籍は実体。「電⼦書籍」は、ある環境の中にあってはじめて本となる。– 商業的にはオンラインストアと読書端末からなるクラウド環境。– オンライン・マーケティング(顧客データ)と⼀体。

• 読者が読みたいのは本であって、「電⼦…」ではない。– 本の形態:新書、古書、電書– 購⼊判断:話題性、内容、価格、⼊⼿性、装幀、スペース…– ニーズは多様で、選択肢は合理的範囲で多いほど良い。– 現実には市場は硬直している。書店離れが本離れを促す。

• 本が本であるためには、社会的な仕組みが前提となる。– 商業出版社の印刷本(本屋の集客⼒に依存)– 出版者のマーケティング、メディアの書評、書店の販促– 本/著者と読者との関係づけ

■デジタル革命第1期(2008~2013年)でわかったこと

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⽇本的エコシステム崩壊の予感

出版社

印刷会社

取次

広告代理店

書店

KodanshaShogakukan

Dai NipponToppan

NippanTohan Maruzen

Kinokuniya

古書店

DentsuHakuhodo

著者 読者

図書館

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変化への最後の抵抗• 「⽇本的電書」への挑戦

– 電⼦辞書、ガラケー出版:世界に先駆け商業ベースで成功– 書籍端末プロジェクト:業界+メーカー– 独⾃の「標準」フォーマット:ここから公的資⾦– さらに公的資⾦:デジ機構、緊デジ、クールジャパン…

• 海賊退治と電⼦出版権– 「版元」優位の法制化の試み– 「版⾯権」の再現:デジタル時代の法制として破綻– 著者、読者の版元離れを促進

• アマゾン課税?– これもグローバル時代の法制として破綻– 払うのはアマゾンではない– 消費者に⾒放され、権⼒にすがる業界に未来はない

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⽇本的業界エコシステムの崩壊• 産業として空洞化

– 知識情報ビジネスとして成⽴・発展させる仕組みを喪失– 先⼈の遺産:商売、教育、冒険(ビジネスモデル)– 職業として:魅⼒がなければ出版ではない

• 出版不況という幻想– 「再販制」という思考停⽌– 読書離れ、本離れという幻想– 遠ざけているのは社会、何もしないのが出版社

• 市場の⽇本的衰退:横並び– ⽂明社会がある限り出版へのニーズは存在するが– 本に接する機会が減っている。去る本は⽇々に疎し

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相互依存性の崩壊

• 誰も儲からない→⾚字のサプライチェーン– 著者⇔出版⇔印刷⇔取次⇔書店– ⽅向性なき膨張:DNP、凸版、楽天、東⽇販– メディアとしての消滅:広告主⇔代理店⇔クリエイター

• ⽀えきれない– マンガ・雑誌不振→書店減少→出版社減少– 現場:マンガ家、編集者、制作者、著者

• 崩落から離れて⽣き残る– ⾓川の独⾃エコシステム– ⾃主出版

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出版の再⽣シナリオ:ヒント

• 崩壊=再建へのカウントダウンが始まった。– 衰退が⽌まらないと「メディア」として成⽴しなくなる。– ⼼理的には新聞+雑誌で1兆円だが底が⾒えないことには

• 2兆円市場復活へ別のアプローチが始まる。– マーケティング:著者・読者をオーガナイズする「ワールド」– オープンなデジタル・プラットフォームをベースとする。– モノ指向よりサービス指向:マーケティング主導– 雑誌+書籍の⼀体的展開:著者、読者、編集者を育てる– 広告、⾮商業出版との融合:ビジネスモデル主導– 版権ビジネスとグローバリゼーション

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