世界市場および世界価値に関する諸学説...

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大阪市大『季刊経済研究』 Vo l .22No.4 , March2000 , pp.61-102 ISSN0387-1789 世界市場および世界価値に関する諸学説 (Ⅱ) 問題提起 世界市場 に関す る諸学説 世界価値に関す る諸学説 (ス ミスまで) (以上 前号) 世界価値に関す る諸学説 (続き. トレンズか ら) マル クスの世界市場論 (表 3 世界市場 に関する諸学説 まで 〔テクス トⅢ〕 まで) (以上 本号) (以下 次号) マル クスの世界市場論 (続き) マル クスの世 界価値論 (表 4 世界価値 に関する諸学説 〔テクス ト Ⅳ〕) 国際価値論争再考 世界価値に関する諸学説 (続 き. トレンズから) 1806 年 にベル リソで 発 せ られたナポ レオソの大 陸封 鎖 令 (ベル リン勅 令 )は,当時 ,産 業 革 命 進 行 中 のイギ リスに一 大衝撃 を与 えた. この衝撃 と続 いて起 こった 国 内 の混 乱 は,多 くの時論 家 を群 出 させ,彼 らの政 治 および経 済 問題 への関心 をかき立 てた.か くして, フラソス革命 と革 命戦争 (国王処刑 , 対 仏 大 同盟 )とによってすでにひき起 こされていた 「人 口論 争(ゴドゥイソ 〔Godwin , Willia m〕やコン ドルセ 〔Condorcet , Ma rieJeanAntoineNicolasdbCa ritat〕 にたいする批 判 書 で あ る匿 名 ≪FirstEssaymPoJulatim. 1798. 『人 口論』初版52)〕が呼 び起 こした論争), 「地金論争(ホ-ナ- 〔F.Horner , Esq.〕 ,-スキソソ 〔W.Huskisson , Esq.〕, ソーン トソ 〔H.Thornton ,Esq.〕 三人の起草になる 《BullimRePo7 1 .1810. 『地 金報告』5 3)〕をめぐる「地金派」〔bullionist〕と「反地金派」〔anti-bullionist〕のあ いだの論 争 )に,さらに富 の源泉 および商 業 の役割 をめ ぐる論争 がつけ加 えられることになった . 〔キーワー ド〕 世界市場,世界価値,国際価値論争,古典派経済学,重農学派 52) この匿名氏はマルサスであった. 〔Malthus , ThomasRobert〕, Anessaymthe〆Tu:i〆e ofZx)勿Iati m,asitaffectsthefutureim L w ozJementofs∝iety ,un'thre〝∽rksm thes culati㈲ ルか. G dun'n ,M.Condwcetandotherwiters. London1798(マル サ ス 『初版 人 口の原理』 高野 岩三郎 ・大内兵衛訳,岩波文庫,1962 年). 53)Cannan , E. , The 如LW L xuyuiof1797-1821.London1919(田中生夫訳編『イソフレーショ の古典理論- 地金報告の翻訳 と解説』未来社,1961 年).

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大阪市大 『季刊経済研究』

Vol22No4March2000pp61-102

ISSN0387-1789

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ)

中 川 信 義

Ⅰ 問題提起

Ⅱ 世界市場に関する諸学説

Ⅲ 世界価値に関する諸学説 (スミスまで)

(以上 前号)

Ⅲ 世界価値に関する諸学説

(続き トレンズから)

Ⅳ マルクスの世界市場論 (表3 世界市場

に関する諸学説まで 〔テクストⅢ〕まで)

(以上 本号)

(以下 次号)

Ⅳ マルクスの世界市場論 (続き)

Ⅴ マルクスの世界価値論 (表4 世界価値

に関する諸学説 〔テクストⅣ〕)

Ⅵ 国際価値論争再考

Ⅷ 結 論

Ⅲ 世界価値に関する諸学説 (続 き トレンズから)

1806年にベルリソで発せられたナポレオソの大陸封鎖令 (ベルリン勅令)は当時産業革命

進行中のイギリスに一大衝撃を与えたこの衝撃と続いて起こった国内の混乱は多 くの時論

家を群出させ彼らの政治および経済問題への関心をかき立てたかくしてフラソス革命と革

命戦争 (国王処刑対仏大同盟)とによってすでにひき起 こされていた 「人口論争」 (ゴドゥイソ

〔GodwinWilliam 〕やコンドルセ 〔CondorcetMarieJeanAntoineNicolasdbCaritat〕

にたいする批判書である匿名 ≪FirstEssaym PoJulatim1798≫〔『人口論』初版52)〕が呼

び起こした論争) 「地金論争」 (ホ-ナ- 〔FHornerEsq〕-スキソソ 〔WHuskisson

Esq〕ソーントソ 〔HThorntonEsq〕三人の起草になる 《Bullim RePo711810≫〔『地金報告』53)〕をめぐる 「地金派」 〔bullionist〕と 「反地金派」 〔anti-bullionist〕のあ

いだの論争)にさらに富の源泉および商業の役割をめぐる論争がつけ加えられることになった

〔キーワー ド〕 世界市場世界価値国際価値論争古典派経済学重農学派

52)この匿名氏はマルサスであった 〔MalthusThomasRobert〕Anessaym the〆Tui〆e

ofZx)勿IatimasitaffectsthefutureimLwozJementofspropietyunthre〝∽rksm thesかculati

ルかGdunnMCondwcetandotherwitersLondon1798(マルサス 『初版人口の原理』高野

岩三郎 大内兵衛訳岩波文庫1962年)

53)CannanEThe如LW Lxuyuiof1797-1821London1919(田中生夫訳編 『イソフレーショ

ソの古典理論- 地金報告の翻訳と解説』未来社1961年)

62 季刊経済研究 第22巻 第4号

ナポレオソの封鎖によってイギリスはヨーロッパ大陸諸国との商業が断たれそれとと

もにようやく完成に向かいつつあったイギリス資本主義の再生産軌道の定置も延ばされるこ

とになったこうした状況を背景に論争はまず1807年スペソス (SpenceWilliam)の

writaindePeded ofCommerce1807≫(『商業に依存 しないイギ リス』)によって

火ぶたが切られたこの小冊子を特徴づ けていたのはつぎの二つの主張すなわち第一に

農業が富の唯一の源泉であるとしてエコノミス ト (重農主義者)の見解をイギリスに復活さ

せようとしたこと第二にイギリスの財宝と繁栄と力とはこの国に内在的なものであって

外国貿易とそれ らとは無関係であることを証明 しようとした ことであった コベ ッ ト

(cobbettWilliam)が 《PoliticalRegister≫ (『政治録』)誌のなかでもっと激烈 に

(perishCommerce)(「商業を絶滅せよ」)と書いてこれに続いた

しかしスペンスの主張はのちにマカロック (McCullochJohnRamsay)が言ったよ

うに 「再三再四論駁を受けまた実際矛盾 した事柄を述べて自らを反駁 しているところの

一連の皮相な論弁よりなるエコノミス ト (重農主義者)の論破された誤謬の単なる改作

であり誇張ですらあるということに尽きる」54)ものであったとはいえスペソスの主張は

ジェームズ ミル (父 ミルMillJames)の 『商業擁護論』 (CommerceDefeluledAn

Ansuw totheAgumeldsbyuAhichMrSか we凡かCobbettandαhersLondon1808)

および トレンズ (トラソズTorrensRobert)の 『ェコノミス ト (重農主義者)論駁』

(TheEcmomistsRefutedoranInquiryintotheNatureandExtendoftheAdZnniages

dmwdfrtm TradeLondon1808)という二つの有益な回答を生みだ した

父ミルもトレンズもスペソスの第一の主張にたいしては農業よりも製造業を重視する

立場からこれを否定 しまた第二の主張すなわち外国貿易の否定にたいしてはそれぞれ分

業の利益という点を挙げてこれを批判 した

父 ミルはその第 5章 「商業」においてつぎのように書いた

「一国と他国との商業 (thecommerceofonecountrywithanother)は実際人

類にたい して非常 に多 くの恩恵を与 えるかの分業 の拡張 (anextensionofthat

divisionoflabour)にすぎない同じ国もその地方相互間の取引によっていっそ う富

裕となりまたこうしてその国の労働はそうでなかった場合よりも無限に細かく分割

されいっそ う生産的となるそしてある地方が所有 し他の地方が望んでいるあらゆる

便宜晶 (accommodations)を互いに供給 し合うことも全体の便宜晶を増大させてその

国を驚 くほど富裕にし幸福にするこれらと同じような一連の美 しい結果は世界全体

(theworldatlarge)についても観察することができる」55)

54)McCullochJohnRamsayTheliteratureofZDliticalecwu)myLondon1845p5655)MillJamesCommerceDefendedAnAnsuJertotheAgumentsbyuJhichMrSPence

MrCobbettandOthershaveAttemptedtoPrαJethatCommerceisnotaSourceofNational

WealthLondon1808pp38-39(Jミル 『商業擁護論』岡茂男訳未来社1965年47頁)prime

世界市場および世界価値に関する諸学説(刀) 63

トレンズも表 2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に見 るようにその第 5章

〔外国貿易または商業について〕においてつぎのように書いた

「だから商業か ら引 きだされ る利益の額 (theamountofthebenefitderivedfrom

commerce)を確定する唯一の方法は対外的分業 (theforeigndivisionsoflabour)が

人間の勤労の生産性 (theproductivenessofhumanindustry)を増大 させた程度を確定

することであるか くてもしわた しがイギ リスがフラソスに100ポン ドの価値の広幅 ラシャ

を100ポン ドの価値の レースと引 き換えに与えることから生 じる利益の大 きさを知ろうと

望めばわた しはイギ リスがこの取引から得た レースの分量をとってイギ リスが同 じ労働

と資本の支出でもって国内で レースを製造 した ものを越えて残 った レースがイギ リスが

この交換 か ら引 きだす利益 の総額 (theamountoftheadvantagewhichEngland

derivesfrom theexchange)である」56)

さらに トレソズは彼の名 と結びついている 「地域的分業」 (theterritorialdivision

oflabour)厳密に言えば 「対外地域的分業」 (theforeignterritorialdivisionof

labour)でもって外国貿易を説明 した最初の人と言われている

「欲 しくない財貨を必要とする他の財貨と交換できるという期待 (eゆctatlm)は人々

を分業-と誘いいれる分業は驚 くべ き程度に勤労の生産性を増大 させる機械的分業によっ

て各人はその職業において他の方法では得ることのできない技能 (expertness)や熟

練 (skill)を得る地域的分業によって耕作は自然の過程 と協同させ られ土地の生産物

は増加するところで これ らの有益な分業は同 じ国の諸個人のあいだと同様に異なる

国の諸個人のあいだにも確立 されよう もしイギ リス国民が毛織物をつ くるのに隣国よりも

大 きな技巧 (greaterdexterity)を身につけてお り他方 フラソス国民がそのとき綿をつ く

るのに勝 っている (excel)とすれば二つの国民のあいだには互いに有利な機械的分業

(amechanicaldivisionoflabourmutuallyadvantageous)が確立 されるだろうイ

ギ リスは毛織物の製造に フラソスは網の製造に専念するので これ らの衣類は もし各国

がその資本と労働を他の職業で技巧で得ようと努めるのに費やす場合よりもず っと豊富に生

doCommerceDefendedSelectedEconomicWritingsofJamesMillIntroducedand

EditedbyDonaldWinchEdinburghandLondonOliverampBoyd1966pp10isinト10

56)TorrensRotxrtTheEcmomistsRefutedw anInquiryintotheNatureayuiExtentofthe

AdwniagesderiZMdfrom TradeLondon1808p53〔トレソズ 『ェコノミス ト論難(3)』中川信

義訳 『経済学雑誌』第72巻第 1号1975年 1月72-73貢〕)訳本を 『ェコノミス ト論駁』

としたのは書信粛 「比較生産説費の生成にかんする一考察- RTorrensのTheEconomists

Refutedを中心として」 (一橋大学 『経済研究』第11巻 1号1960年 1月)という研究論文のあ

る書信粛教授に従ったからであるなお本稿執筆にあたっては書信教授から比較生産費説

についてのご教示と日用本 (本書の写真版) と 「シ ドニー版」 (TorrensRobertThe

丘momistsRefuted1808andotherearlyecmomicwitingsReprintsofEconomicclassics

Series2no3EdbyPDGroenewegenProfessorofEconomicsUniversityof

Sydney1984)の二冊をお貸しいただいたここに記 して感謝申し上げたい

64 季刊経済研究 第22巻 第4号

産されるだろうさらにもしイギリスの牧場に飼われている羊がフラソスの羊よりも豊か

な羊毛を持っており他方フラソスのぶどうの木がイギリスに植えられているぶどうの木

よりも豊かに育 ってい るとすれば二国のあいだには互いに有益 な地域的分業 (a

territorialdivisionflabourmutuallybeneficial)が確立されるだろう羊をその牧草

地で飼い羊毛をフラソス人のぶどう園の産物と交換するイギリス人はもし彼らがぶどうを

国内の適さない土地で栽培するよりも多量のワイソを得るだろう自然と協同してワイ

ンをイギリスの牧場の産物と交換するフラソス人はもし彼が飼料や気候が羊毛にとって有

害な地方で羊を飼 うよりも多量の衣服の原料を得るだろうところで国内分業をもたらし

たものが国内貿易であったように対外分業 (theforeigndivisionsoflabour)をもたら

すものは外国貿易すなわち商業である外国貿易を禁止 してみよそうすれば対外分業は

機械的分業も地域的分業もともに停止されるに違いないそれを復活 してみよそうすれ

ばこれらの分業は再建されすべての利益が回復するだろう」57) (強調は トレソズ)

「われわれが消費しうる以上の錫をわが国の鉱山から掘 りだしそれを茶 (「イギ リス東

イソド会社 〔theEnglishEastIndiaCompany〕が一定量の 〔錫〕を中国人の茶と交換 し

たならば」- 引用者)と交換するときわれわれは茶をイギリスで栽培するより多くの

それを得る同様に勤労の他のすべての部門も対外地域的分業 (aforeignterritorial

divisionoflabour)の確立によってより生産的になる」58)

マルクスはつぎに見るシスモソデ ィ Wtudessurl6cmomieZx)litiqueT2≫(『経

済学研究』第 2巻)の抜粋が所収されている 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト

2のシーニア (SeniorNassauWilliam)の 《AnOutlineoftheScieyueofPolitical

及momyLodon1836≫のフランス語訳 《Pn1uXpesfbndamentauxdel6cmomieZx)litique

paris1836≫の第Ⅳ章 「分業について」の抜粋のなかでこの 「地域的分業」をすでにつぎ

のように確認 している 「諸国民のあいだの商業を地域的分業 (ladiwsim teTritmaledu

tra2ml) 〔でもって〕説明したのは トレソズ大佐が最初であった」 (強調はマルクス)59)

父 ミルおよび トレンズの外国貿易論は以上の点だけでも確かに見るべきものがある し

かし彼らは外国貿易を 「分業の拡張」 「機械的分業」と 「地域的分業」とくに 「対外地域

的分業」の 「確立」としてのみ捉え外国貿易の利益も分業の利益として述べているだけで

あってその理論は一般に価値の理論にもとづいてはいない したがって彼らの外国貿易論

は全体としてアダム スミスの分業論の国際的適用から大きく出ることはなかったと言えよ

ラ外国貿易を価値の理論との関連において考察するという研究に最初に取 り組んだのは

つぎに見るリカー ドゥであったただ しかしその理論は表 2の世界価値に関する諸学説

57)Ibidpp44-45(同上訳67-68貢)

58)Jbidp48(同上訳69貢)

59)Marx身ibselerHePe1845ExzerpteausNassauWilliam SeniorPrincipesfondamentauxdel6conomiepolitiqueParis1836MEGAⅣ3S171

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 65

(テクス トⅡ)からも明らかなように価値と富 (使用価値)との区別のうえに立って価

値量不変富 (使用価値)量増加という見解に留まっていて外国貿易と価値の理論との関

連については否定的であったいずれにせよナポレオソの大陸封鎖によってひき起こされ

た衝撃と混乱はこうして リカー ドウ経済学とくにその外国貿易論の生成を準備 した一過程

であったと言える

トレソズに続 くリカー ドゥの 『経済学および課税の原理』第 7章 「外国貿易について」の

なかに彼の外国貿易論のエッセソスがまた第20章 「価値と富それらの特性」のなかに

「それらの特性」がそれぞれつぎのように述べられている

「外国貿易の拡張は商品の数量 (massofcommodities) したがって享楽品の数量

(sum ofenjoiments)を増大させるにはきわめて有力に貢献するであろうが しかしけっ

してただちに一国の価値額 (amountofvalue)を増大させるものではないすべての外国

財貨の価値 (valueofforeigngoods)はそれらと引き換えに与えられるわが国の土地

と労働の生産物の分量によって測定される (ismeasuredbythequntityoftheproduce)

からわれわれはかりに新市場の発見によってわが国の財貨の一定量と引き換えに外

国財貨の二倍量を獲得する (obtaindoublethequntityofforeigngoods)としてもよ

り大なる価値を得ない (havenogreatervalue)であろう」

「一国における諸商品の相対的価値を規制するのと同 じ法則 (thesamerulewhich

regulatestherelativevalue)が二つあるいはそれ以上の国々のあいだで交換 される諸

商品の相対的価値を規制 しないのである」

このような価値量不変富 (使用価値)量増加および国際間における価値法則の否定だ

けがリカー ドウ外国貿易論のエッセンスではない 「一国における諸商品の相対的価値を規

制するのと同じ法則 - 」と 「完全な自由貿易制度 - - 」に続 く 「ワイソは

フラソスとポル トガルで醸造されるべきであり穀物はアメリカとポーラソドで栽培される

べきでありそして鉄器頬およびその他の財貨はイギリスで製造されもべきであるといっ

たことを決定するのはこの 「原理」である」というこの 「原理」がその外国貿易論のエッ

セソスであるこの 「原理」がのちに 「比較生産費」説と呼ばれるようになったものである

この 「比較生産費」をここで敷術すればつぎの通 りである

イギ リスはラシャを製造するのに一年間に100人の労働を必要としまたワイソを醸造す

れば120人の労働を必要とする他方ポル トガルはワイソを醸造するのに一年間に80

人の労働 しか必要とせずまたラシャを製造すれば90人の労働を必要とするこの設例の

もとではイギリスのラシャとポル トガルのワイソを交換するのが貿易両国にとって有利で

ありこの貿易はポル トガルの輸入する商品がそこではイギ リスにおけるよりも一層少

ない労働で生産されうるにもかかわらずなお行なわれるであろうと言 うのである

リカー ドゥの設例ではポル トガルの貿易両商品はイギリスにたいしてともに絶対優位に

66 季刊経済研究 第22巻 第4号

あるがとりわけワイソ醸造において比較優位を持つ他方イギリスの両商品はポル トガ

ルにたいしてともに絶対劣位にあるがそれでもラシャの製造においては比較優位を持つ

そこで貿易両国は比較優位を持つ商品のみを交換 し合えばともに利益を得るこの場合

イギリスのラシャ1単位にたいしてポル トガルのワイソ1単位が与えられるとしてイギ リ

スは220人の労働 (100人プラス120人の労働をラシャ製造に特化)でもって22単位のラシャ

をポル トガルは170人の労働 (80人プラス90人の労働をワイソ酸道に特化)をもって1125

単位のワイソをそれぞれ生産 し交換 し合えばイギリスでは02単位のワイソがポル トガ

ルでは0125単位のラシャが貿易の利益として得られるであろう しかしこの同じ条件のも

とでイギリスは二倍の200人の労働でもってラシャを製造 しポル トガルも同様に二倍の

160人の労働でもってワイソを醸造 してよいこの場合相変わらずイギリスの100人分のラ

シャがポル トガルの80人分のワイソと交換されるとすればこれによってイギリスでは220

人の労働が200人の労働にポル トガルでは170人の労働が160人の労働にすなわちイギ リ

スの側では20人分ポル トガルの側では10人分の労働がそれぞれ節約できるであろうこの

労働の節約はスミスの分業論をまつまでもなく分業すなわち国際分業の利益である

最後のリカー ドゥからの引用は彼の第20章 「価値と富それらの特性」からのものであ

りその主題は100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというものである

「「人は彼が人間生活の必需品 (necessaries)便宜品 (conveniences)および娯

楽品 (amusements)を享受 しうる程度に応 じて富んでいるかあるいは貧しいかである」と

アダム スミスは言っているそうしてみると価値 (value)は本質的に富 (riches)と

異なっているというのは価値は豊富 (abundance)に依存するのではなくて生産の難

易 (difficultyorfacility)に依存するからである製造業における100万人の労働はつね

に同一の価値を生産するであろう しかし必ず しもつねに同一の富を生産 しないであろう

機械の発明熟練の向上よりよい分業あるいはより有利な交換がなされうる新市場の発

見によって一つの社会状態において100万の人は彼らはある他の状態において生産 し

うるであろう富のすなわち 「必需品便宜品および娯楽品」の二倍または三倍の量

を生産するかもしれない しかしそれだからといって彼らは価値に少 しも付加 しないであ

ろうというのはあらゆる物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言

すればその生産に使用される労働量に比例 してであるからである」

世界価値論に関する諸学説の研究の目的は言うまでもなくペティケネーにはじまる

古典派経済学重農学派のなかから世界価値の理論構成にとって必要なできるだけ多くの

論材を博捜 しこれを分析 し総合することであるこの研究のなかで リカー ドゥの考察に

もっとも多く紙数を費やすのは彼が価値剰余価値 (彼にあっては利潤)および資本蓄積

の研究においてまた地代賃金および利潤の研究においてマルクス以前に最初に科学的

で厳密な理論をうち立てた経済学者であったことまた彼の名と結びついている有名な外国

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 67

貿易の理論をうち立てたことなどによる世界価値論に関する諸学説 (テクトトⅡ)のリカー

ドゥの学説を二つに分け考察することにしたい

第一はマルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋集とその批判である

マルクスはまず 「パリノー ト」すなわち 『歴史 経済学研究 (パ リノー ト) 1843

-45年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』FSコソスタンショ (フラソス語版)

訳パ リ1835年第 1第 2巻からの抜粋」の 「7〔第7章- 引用者〕)対外商業につ

いて (ducommerceetranger)」においてつぎのように簡潔にまとめている

「ポル トガルがイギリスの毛織物 (drap)と交換で与えるはずのワイソ (vim)の分量は

かりに両商品がイギリスで製造されるかまたはポル トガルで製造される場合に生 じるそ

のおのおのの生産に費やされるそれぞれの労働の分量によっては決定されない」60)

つぎに 『ロンドソノー ト 1850-1853年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』

第三版ロソドン1821年からの抜粋」は三つの部分に分けられている

(1)「対外商業と交換価値」のもとにつぎのように抜粋されている

「すべての外国商品の価値 (WeylhalleyfremdenWaaren)はそれと交換に与えられ

るわれわれの労働とわれわれの土地の分量によって測られる (gemessenistdurchdie

伽 ntitdtunsererAylbeitundunseresLandes)からわれわれはかりに新市場の発見に

によってわれわれの一定の分量にたいして外国商品の二倍量を受け取る (diedoppelte

QuantitatfremderWaarenerhalten)としてもより大 きな価値を手にいれない

であろう (Wむdenwirkeinengr6sserenWerthhaben)

外国商品の価値が国内の (einheimisch)土地と労働との分量とによって測られるというこ

とを証明するためにリカードゥはつぎのように言う 「外国商品の購入においてはたとえば

イギリスの土地と労働との同一あるいはより大きな部分またはより小 さな部分が用いられる

であろう同一部分であれば国内生産物にたいして同一の需要が存続 して資本の同一部

分がその生産に使用 されるであろうもし外国商品の価格が低廉でありより少ない部分が

当てられるならば国内需要にたいしてより大きな部分が自由に使えるであろうより大きな

部分であればより少ない資本が用いられ国内生産にたいするより少ない需要が当てられる

であろう資本が解放 されるならそれでもって外国商品が買われるそれゆえすべての場合

に外国生産物と国内生産物との合計にたいする需要は価値に関する限りその国の収入

と資本とによって制限される一方が上昇すれば他方は減少 しなければならない」」61)

60)MarxHistwisch-partkm ische(PariserHejie)1843-45ExzerpteausDavidRicardoDes

principesdel6conomiepolitiqueetdelimp6ttraduitdeConstancioetcParis

1835TIundⅡMEGAⅣ2S409

61)MarxLondonerHefte1850-1853HeftⅧExzerpteausRicardo(David)Onthe

principlesofpoliticaleconomyandtaxation3edLondon1821DerauswartigeHandel

undderTauschwerthMEGAⅣ8SS36ト70

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

62 季刊経済研究 第22巻 第4号

ナポレオソの封鎖によってイギリスはヨーロッパ大陸諸国との商業が断たれそれとと

もにようやく完成に向かいつつあったイギリス資本主義の再生産軌道の定置も延ばされるこ

とになったこうした状況を背景に論争はまず1807年スペソス (SpenceWilliam)の

writaindePeded ofCommerce1807≫(『商業に依存 しないイギ リス』)によって

火ぶたが切られたこの小冊子を特徴づ けていたのはつぎの二つの主張すなわち第一に

農業が富の唯一の源泉であるとしてエコノミス ト (重農主義者)の見解をイギリスに復活さ

せようとしたこと第二にイギリスの財宝と繁栄と力とはこの国に内在的なものであって

外国貿易とそれ らとは無関係であることを証明 しようとした ことであった コベ ッ ト

(cobbettWilliam)が 《PoliticalRegister≫ (『政治録』)誌のなかでもっと激烈 に

(perishCommerce)(「商業を絶滅せよ」)と書いてこれに続いた

しかしスペンスの主張はのちにマカロック (McCullochJohnRamsay)が言ったよ

うに 「再三再四論駁を受けまた実際矛盾 した事柄を述べて自らを反駁 しているところの

一連の皮相な論弁よりなるエコノミス ト (重農主義者)の論破された誤謬の単なる改作

であり誇張ですらあるということに尽きる」54)ものであったとはいえスペソスの主張は

ジェームズ ミル (父 ミルMillJames)の 『商業擁護論』 (CommerceDefeluledAn

Ansuw totheAgumeldsbyuAhichMrSか we凡かCobbettandαhersLondon1808)

および トレンズ (トラソズTorrensRobert)の 『ェコノミス ト (重農主義者)論駁』

(TheEcmomistsRefutedoranInquiryintotheNatureandExtendoftheAdZnniages

dmwdfrtm TradeLondon1808)という二つの有益な回答を生みだ した

父ミルもトレンズもスペソスの第一の主張にたいしては農業よりも製造業を重視する

立場からこれを否定 しまた第二の主張すなわち外国貿易の否定にたいしてはそれぞれ分

業の利益という点を挙げてこれを批判 した

父 ミルはその第 5章 「商業」においてつぎのように書いた

「一国と他国との商業 (thecommerceofonecountrywithanother)は実際人

類にたい して非常 に多 くの恩恵を与 えるかの分業 の拡張 (anextensionofthat

divisionoflabour)にすぎない同じ国もその地方相互間の取引によっていっそ う富

裕となりまたこうしてその国の労働はそうでなかった場合よりも無限に細かく分割

されいっそ う生産的となるそしてある地方が所有 し他の地方が望んでいるあらゆる

便宜晶 (accommodations)を互いに供給 し合うことも全体の便宜晶を増大させてその

国を驚 くほど富裕にし幸福にするこれらと同じような一連の美 しい結果は世界全体

(theworldatlarge)についても観察することができる」55)

54)McCullochJohnRamsayTheliteratureofZDliticalecwu)myLondon1845p5655)MillJamesCommerceDefendedAnAnsuJertotheAgumentsbyuJhichMrSPence

MrCobbettandOthershaveAttemptedtoPrαJethatCommerceisnotaSourceofNational

WealthLondon1808pp38-39(Jミル 『商業擁護論』岡茂男訳未来社1965年47頁)prime

世界市場および世界価値に関する諸学説(刀) 63

トレンズも表 2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に見 るようにその第 5章

〔外国貿易または商業について〕においてつぎのように書いた

「だから商業か ら引 きだされ る利益の額 (theamountofthebenefitderivedfrom

commerce)を確定する唯一の方法は対外的分業 (theforeigndivisionsoflabour)が

人間の勤労の生産性 (theproductivenessofhumanindustry)を増大 させた程度を確定

することであるか くてもしわた しがイギ リスがフラソスに100ポン ドの価値の広幅 ラシャ

を100ポン ドの価値の レースと引 き換えに与えることから生 じる利益の大 きさを知ろうと

望めばわた しはイギ リスがこの取引から得た レースの分量をとってイギ リスが同 じ労働

と資本の支出でもって国内で レースを製造 した ものを越えて残 った レースがイギ リスが

この交換 か ら引 きだす利益 の総額 (theamountoftheadvantagewhichEngland

derivesfrom theexchange)である」56)

さらに トレソズは彼の名 と結びついている 「地域的分業」 (theterritorialdivision

oflabour)厳密に言えば 「対外地域的分業」 (theforeignterritorialdivisionof

labour)でもって外国貿易を説明 した最初の人と言われている

「欲 しくない財貨を必要とする他の財貨と交換できるという期待 (eゆctatlm)は人々

を分業-と誘いいれる分業は驚 くべ き程度に勤労の生産性を増大 させる機械的分業によっ

て各人はその職業において他の方法では得ることのできない技能 (expertness)や熟

練 (skill)を得る地域的分業によって耕作は自然の過程 と協同させ られ土地の生産物

は増加するところで これ らの有益な分業は同 じ国の諸個人のあいだと同様に異なる

国の諸個人のあいだにも確立 されよう もしイギ リス国民が毛織物をつ くるのに隣国よりも

大 きな技巧 (greaterdexterity)を身につけてお り他方 フラソス国民がそのとき綿をつ く

るのに勝 っている (excel)とすれば二つの国民のあいだには互いに有利な機械的分業

(amechanicaldivisionoflabourmutuallyadvantageous)が確立 されるだろうイ

ギ リスは毛織物の製造に フラソスは網の製造に専念するので これ らの衣類は もし各国

がその資本と労働を他の職業で技巧で得ようと努めるのに費やす場合よりもず っと豊富に生

doCommerceDefendedSelectedEconomicWritingsofJamesMillIntroducedand

EditedbyDonaldWinchEdinburghandLondonOliverampBoyd1966pp10isinト10

56)TorrensRotxrtTheEcmomistsRefutedw anInquiryintotheNatureayuiExtentofthe

AdwniagesderiZMdfrom TradeLondon1808p53〔トレソズ 『ェコノミス ト論難(3)』中川信

義訳 『経済学雑誌』第72巻第 1号1975年 1月72-73貢〕)訳本を 『ェコノミス ト論駁』

としたのは書信粛 「比較生産説費の生成にかんする一考察- RTorrensのTheEconomists

Refutedを中心として」 (一橋大学 『経済研究』第11巻 1号1960年 1月)という研究論文のあ

る書信粛教授に従ったからであるなお本稿執筆にあたっては書信教授から比較生産費説

についてのご教示と日用本 (本書の写真版) と 「シ ドニー版」 (TorrensRobertThe

丘momistsRefuted1808andotherearlyecmomicwitingsReprintsofEconomicclassics

Series2no3EdbyPDGroenewegenProfessorofEconomicsUniversityof

Sydney1984)の二冊をお貸しいただいたここに記 して感謝申し上げたい

64 季刊経済研究 第22巻 第4号

産されるだろうさらにもしイギリスの牧場に飼われている羊がフラソスの羊よりも豊か

な羊毛を持っており他方フラソスのぶどうの木がイギリスに植えられているぶどうの木

よりも豊かに育 ってい るとすれば二国のあいだには互いに有益 な地域的分業 (a

territorialdivisionflabourmutuallybeneficial)が確立されるだろう羊をその牧草

地で飼い羊毛をフラソス人のぶどう園の産物と交換するイギリス人はもし彼らがぶどうを

国内の適さない土地で栽培するよりも多量のワイソを得るだろう自然と協同してワイ

ンをイギリスの牧場の産物と交換するフラソス人はもし彼が飼料や気候が羊毛にとって有

害な地方で羊を飼 うよりも多量の衣服の原料を得るだろうところで国内分業をもたらし

たものが国内貿易であったように対外分業 (theforeigndivisionsoflabour)をもたら

すものは外国貿易すなわち商業である外国貿易を禁止 してみよそうすれば対外分業は

機械的分業も地域的分業もともに停止されるに違いないそれを復活 してみよそうすれ

ばこれらの分業は再建されすべての利益が回復するだろう」57) (強調は トレソズ)

「われわれが消費しうる以上の錫をわが国の鉱山から掘 りだしそれを茶 (「イギ リス東

イソド会社 〔theEnglishEastIndiaCompany〕が一定量の 〔錫〕を中国人の茶と交換 し

たならば」- 引用者)と交換するときわれわれは茶をイギリスで栽培するより多くの

それを得る同様に勤労の他のすべての部門も対外地域的分業 (aforeignterritorial

divisionoflabour)の確立によってより生産的になる」58)

マルクスはつぎに見るシスモソデ ィ Wtudessurl6cmomieZx)litiqueT2≫(『経

済学研究』第 2巻)の抜粋が所収されている 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト

2のシーニア (SeniorNassauWilliam)の 《AnOutlineoftheScieyueofPolitical

及momyLodon1836≫のフランス語訳 《Pn1uXpesfbndamentauxdel6cmomieZx)litique

paris1836≫の第Ⅳ章 「分業について」の抜粋のなかでこの 「地域的分業」をすでにつぎ

のように確認 している 「諸国民のあいだの商業を地域的分業 (ladiwsim teTritmaledu

tra2ml) 〔でもって〕説明したのは トレソズ大佐が最初であった」 (強調はマルクス)59)

父 ミルおよび トレンズの外国貿易論は以上の点だけでも確かに見るべきものがある し

かし彼らは外国貿易を 「分業の拡張」 「機械的分業」と 「地域的分業」とくに 「対外地域

的分業」の 「確立」としてのみ捉え外国貿易の利益も分業の利益として述べているだけで

あってその理論は一般に価値の理論にもとづいてはいない したがって彼らの外国貿易論

は全体としてアダム スミスの分業論の国際的適用から大きく出ることはなかったと言えよ

ラ外国貿易を価値の理論との関連において考察するという研究に最初に取 り組んだのは

つぎに見るリカー ドゥであったただ しかしその理論は表 2の世界価値に関する諸学説

57)Ibidpp44-45(同上訳67-68貢)

58)Jbidp48(同上訳69貢)

59)Marx身ibselerHePe1845ExzerpteausNassauWilliam SeniorPrincipesfondamentauxdel6conomiepolitiqueParis1836MEGAⅣ3S171

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 65

(テクス トⅡ)からも明らかなように価値と富 (使用価値)との区別のうえに立って価

値量不変富 (使用価値)量増加という見解に留まっていて外国貿易と価値の理論との関

連については否定的であったいずれにせよナポレオソの大陸封鎖によってひき起こされ

た衝撃と混乱はこうして リカー ドウ経済学とくにその外国貿易論の生成を準備 した一過程

であったと言える

トレソズに続 くリカー ドゥの 『経済学および課税の原理』第 7章 「外国貿易について」の

なかに彼の外国貿易論のエッセソスがまた第20章 「価値と富それらの特性」のなかに

「それらの特性」がそれぞれつぎのように述べられている

「外国貿易の拡張は商品の数量 (massofcommodities) したがって享楽品の数量

(sum ofenjoiments)を増大させるにはきわめて有力に貢献するであろうが しかしけっ

してただちに一国の価値額 (amountofvalue)を増大させるものではないすべての外国

財貨の価値 (valueofforeigngoods)はそれらと引き換えに与えられるわが国の土地

と労働の生産物の分量によって測定される (ismeasuredbythequntityoftheproduce)

からわれわれはかりに新市場の発見によってわが国の財貨の一定量と引き換えに外

国財貨の二倍量を獲得する (obtaindoublethequntityofforeigngoods)としてもよ

り大なる価値を得ない (havenogreatervalue)であろう」

「一国における諸商品の相対的価値を規制するのと同 じ法則 (thesamerulewhich

regulatestherelativevalue)が二つあるいはそれ以上の国々のあいだで交換 される諸

商品の相対的価値を規制 しないのである」

このような価値量不変富 (使用価値)量増加および国際間における価値法則の否定だ

けがリカー ドウ外国貿易論のエッセンスではない 「一国における諸商品の相対的価値を規

制するのと同じ法則 - 」と 「完全な自由貿易制度 - - 」に続 く 「ワイソは

フラソスとポル トガルで醸造されるべきであり穀物はアメリカとポーラソドで栽培される

べきでありそして鉄器頬およびその他の財貨はイギリスで製造されもべきであるといっ

たことを決定するのはこの 「原理」である」というこの 「原理」がその外国貿易論のエッ

セソスであるこの 「原理」がのちに 「比較生産費」説と呼ばれるようになったものである

この 「比較生産費」をここで敷術すればつぎの通 りである

イギ リスはラシャを製造するのに一年間に100人の労働を必要としまたワイソを醸造す

れば120人の労働を必要とする他方ポル トガルはワイソを醸造するのに一年間に80

人の労働 しか必要とせずまたラシャを製造すれば90人の労働を必要とするこの設例の

もとではイギリスのラシャとポル トガルのワイソを交換するのが貿易両国にとって有利で

ありこの貿易はポル トガルの輸入する商品がそこではイギ リスにおけるよりも一層少

ない労働で生産されうるにもかかわらずなお行なわれるであろうと言 うのである

リカー ドゥの設例ではポル トガルの貿易両商品はイギリスにたいしてともに絶対優位に

66 季刊経済研究 第22巻 第4号

あるがとりわけワイソ醸造において比較優位を持つ他方イギリスの両商品はポル トガ

ルにたいしてともに絶対劣位にあるがそれでもラシャの製造においては比較優位を持つ

そこで貿易両国は比較優位を持つ商品のみを交換 し合えばともに利益を得るこの場合

イギリスのラシャ1単位にたいしてポル トガルのワイソ1単位が与えられるとしてイギ リ

スは220人の労働 (100人プラス120人の労働をラシャ製造に特化)でもって22単位のラシャ

をポル トガルは170人の労働 (80人プラス90人の労働をワイソ酸道に特化)をもって1125

単位のワイソをそれぞれ生産 し交換 し合えばイギリスでは02単位のワイソがポル トガ

ルでは0125単位のラシャが貿易の利益として得られるであろう しかしこの同じ条件のも

とでイギリスは二倍の200人の労働でもってラシャを製造 しポル トガルも同様に二倍の

160人の労働でもってワイソを醸造 してよいこの場合相変わらずイギリスの100人分のラ

シャがポル トガルの80人分のワイソと交換されるとすればこれによってイギリスでは220

人の労働が200人の労働にポル トガルでは170人の労働が160人の労働にすなわちイギ リ

スの側では20人分ポル トガルの側では10人分の労働がそれぞれ節約できるであろうこの

労働の節約はスミスの分業論をまつまでもなく分業すなわち国際分業の利益である

最後のリカー ドゥからの引用は彼の第20章 「価値と富それらの特性」からのものであ

りその主題は100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというものである

「「人は彼が人間生活の必需品 (necessaries)便宜品 (conveniences)および娯

楽品 (amusements)を享受 しうる程度に応 じて富んでいるかあるいは貧しいかである」と

アダム スミスは言っているそうしてみると価値 (value)は本質的に富 (riches)と

異なっているというのは価値は豊富 (abundance)に依存するのではなくて生産の難

易 (difficultyorfacility)に依存するからである製造業における100万人の労働はつね

に同一の価値を生産するであろう しかし必ず しもつねに同一の富を生産 しないであろう

機械の発明熟練の向上よりよい分業あるいはより有利な交換がなされうる新市場の発

見によって一つの社会状態において100万の人は彼らはある他の状態において生産 し

うるであろう富のすなわち 「必需品便宜品および娯楽品」の二倍または三倍の量

を生産するかもしれない しかしそれだからといって彼らは価値に少 しも付加 しないであ

ろうというのはあらゆる物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言

すればその生産に使用される労働量に比例 してであるからである」

世界価値論に関する諸学説の研究の目的は言うまでもなくペティケネーにはじまる

古典派経済学重農学派のなかから世界価値の理論構成にとって必要なできるだけ多くの

論材を博捜 しこれを分析 し総合することであるこの研究のなかで リカー ドゥの考察に

もっとも多く紙数を費やすのは彼が価値剰余価値 (彼にあっては利潤)および資本蓄積

の研究においてまた地代賃金および利潤の研究においてマルクス以前に最初に科学的

で厳密な理論をうち立てた経済学者であったことまた彼の名と結びついている有名な外国

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 67

貿易の理論をうち立てたことなどによる世界価値論に関する諸学説 (テクトトⅡ)のリカー

ドゥの学説を二つに分け考察することにしたい

第一はマルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋集とその批判である

マルクスはまず 「パリノー ト」すなわち 『歴史 経済学研究 (パ リノー ト) 1843

-45年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』FSコソスタンショ (フラソス語版)

訳パ リ1835年第 1第 2巻からの抜粋」の 「7〔第7章- 引用者〕)対外商業につ

いて (ducommerceetranger)」においてつぎのように簡潔にまとめている

「ポル トガルがイギリスの毛織物 (drap)と交換で与えるはずのワイソ (vim)の分量は

かりに両商品がイギリスで製造されるかまたはポル トガルで製造される場合に生 じるそ

のおのおのの生産に費やされるそれぞれの労働の分量によっては決定されない」60)

つぎに 『ロンドソノー ト 1850-1853年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』

第三版ロソドン1821年からの抜粋」は三つの部分に分けられている

(1)「対外商業と交換価値」のもとにつぎのように抜粋されている

「すべての外国商品の価値 (WeylhalleyfremdenWaaren)はそれと交換に与えられ

るわれわれの労働とわれわれの土地の分量によって測られる (gemessenistdurchdie

伽 ntitdtunsererAylbeitundunseresLandes)からわれわれはかりに新市場の発見に

によってわれわれの一定の分量にたいして外国商品の二倍量を受け取る (diedoppelte

QuantitatfremderWaarenerhalten)としてもより大 きな価値を手にいれない

であろう (Wむdenwirkeinengr6sserenWerthhaben)

外国商品の価値が国内の (einheimisch)土地と労働との分量とによって測られるというこ

とを証明するためにリカードゥはつぎのように言う 「外国商品の購入においてはたとえば

イギリスの土地と労働との同一あるいはより大きな部分またはより小 さな部分が用いられる

であろう同一部分であれば国内生産物にたいして同一の需要が存続 して資本の同一部

分がその生産に使用 されるであろうもし外国商品の価格が低廉でありより少ない部分が

当てられるならば国内需要にたいしてより大きな部分が自由に使えるであろうより大きな

部分であればより少ない資本が用いられ国内生産にたいするより少ない需要が当てられる

であろう資本が解放 されるならそれでもって外国商品が買われるそれゆえすべての場合

に外国生産物と国内生産物との合計にたいする需要は価値に関する限りその国の収入

と資本とによって制限される一方が上昇すれば他方は減少 しなければならない」」61)

60)MarxHistwisch-partkm ische(PariserHejie)1843-45ExzerpteausDavidRicardoDes

principesdel6conomiepolitiqueetdelimp6ttraduitdeConstancioetcParis

1835TIundⅡMEGAⅣ2S409

61)MarxLondonerHefte1850-1853HeftⅧExzerpteausRicardo(David)Onthe

principlesofpoliticaleconomyandtaxation3edLondon1821DerauswartigeHandel

undderTauschwerthMEGAⅣ8SS36ト70

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(刀) 63

トレンズも表 2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に見 るようにその第 5章

〔外国貿易または商業について〕においてつぎのように書いた

「だから商業か ら引 きだされ る利益の額 (theamountofthebenefitderivedfrom

commerce)を確定する唯一の方法は対外的分業 (theforeigndivisionsoflabour)が

人間の勤労の生産性 (theproductivenessofhumanindustry)を増大 させた程度を確定

することであるか くてもしわた しがイギ リスがフラソスに100ポン ドの価値の広幅 ラシャ

を100ポン ドの価値の レースと引 き換えに与えることから生 じる利益の大 きさを知ろうと

望めばわた しはイギ リスがこの取引から得た レースの分量をとってイギ リスが同 じ労働

と資本の支出でもって国内で レースを製造 した ものを越えて残 った レースがイギ リスが

この交換 か ら引 きだす利益 の総額 (theamountoftheadvantagewhichEngland

derivesfrom theexchange)である」56)

さらに トレソズは彼の名 と結びついている 「地域的分業」 (theterritorialdivision

oflabour)厳密に言えば 「対外地域的分業」 (theforeignterritorialdivisionof

labour)でもって外国貿易を説明 した最初の人と言われている

「欲 しくない財貨を必要とする他の財貨と交換できるという期待 (eゆctatlm)は人々

を分業-と誘いいれる分業は驚 くべ き程度に勤労の生産性を増大 させる機械的分業によっ

て各人はその職業において他の方法では得ることのできない技能 (expertness)や熟

練 (skill)を得る地域的分業によって耕作は自然の過程 と協同させ られ土地の生産物

は増加するところで これ らの有益な分業は同 じ国の諸個人のあいだと同様に異なる

国の諸個人のあいだにも確立 されよう もしイギ リス国民が毛織物をつ くるのに隣国よりも

大 きな技巧 (greaterdexterity)を身につけてお り他方 フラソス国民がそのとき綿をつ く

るのに勝 っている (excel)とすれば二つの国民のあいだには互いに有利な機械的分業

(amechanicaldivisionoflabourmutuallyadvantageous)が確立 されるだろうイ

ギ リスは毛織物の製造に フラソスは網の製造に専念するので これ らの衣類は もし各国

がその資本と労働を他の職業で技巧で得ようと努めるのに費やす場合よりもず っと豊富に生

doCommerceDefendedSelectedEconomicWritingsofJamesMillIntroducedand

EditedbyDonaldWinchEdinburghandLondonOliverampBoyd1966pp10isinト10

56)TorrensRotxrtTheEcmomistsRefutedw anInquiryintotheNatureayuiExtentofthe

AdwniagesderiZMdfrom TradeLondon1808p53〔トレソズ 『ェコノミス ト論難(3)』中川信

義訳 『経済学雑誌』第72巻第 1号1975年 1月72-73貢〕)訳本を 『ェコノミス ト論駁』

としたのは書信粛 「比較生産説費の生成にかんする一考察- RTorrensのTheEconomists

Refutedを中心として」 (一橋大学 『経済研究』第11巻 1号1960年 1月)という研究論文のあ

る書信粛教授に従ったからであるなお本稿執筆にあたっては書信教授から比較生産費説

についてのご教示と日用本 (本書の写真版) と 「シ ドニー版」 (TorrensRobertThe

丘momistsRefuted1808andotherearlyecmomicwitingsReprintsofEconomicclassics

Series2no3EdbyPDGroenewegenProfessorofEconomicsUniversityof

Sydney1984)の二冊をお貸しいただいたここに記 して感謝申し上げたい

64 季刊経済研究 第22巻 第4号

産されるだろうさらにもしイギリスの牧場に飼われている羊がフラソスの羊よりも豊か

な羊毛を持っており他方フラソスのぶどうの木がイギリスに植えられているぶどうの木

よりも豊かに育 ってい るとすれば二国のあいだには互いに有益 な地域的分業 (a

territorialdivisionflabourmutuallybeneficial)が確立されるだろう羊をその牧草

地で飼い羊毛をフラソス人のぶどう園の産物と交換するイギリス人はもし彼らがぶどうを

国内の適さない土地で栽培するよりも多量のワイソを得るだろう自然と協同してワイ

ンをイギリスの牧場の産物と交換するフラソス人はもし彼が飼料や気候が羊毛にとって有

害な地方で羊を飼 うよりも多量の衣服の原料を得るだろうところで国内分業をもたらし

たものが国内貿易であったように対外分業 (theforeigndivisionsoflabour)をもたら

すものは外国貿易すなわち商業である外国貿易を禁止 してみよそうすれば対外分業は

機械的分業も地域的分業もともに停止されるに違いないそれを復活 してみよそうすれ

ばこれらの分業は再建されすべての利益が回復するだろう」57) (強調は トレソズ)

「われわれが消費しうる以上の錫をわが国の鉱山から掘 りだしそれを茶 (「イギ リス東

イソド会社 〔theEnglishEastIndiaCompany〕が一定量の 〔錫〕を中国人の茶と交換 し

たならば」- 引用者)と交換するときわれわれは茶をイギリスで栽培するより多くの

それを得る同様に勤労の他のすべての部門も対外地域的分業 (aforeignterritorial

divisionoflabour)の確立によってより生産的になる」58)

マルクスはつぎに見るシスモソデ ィ Wtudessurl6cmomieZx)litiqueT2≫(『経

済学研究』第 2巻)の抜粋が所収されている 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト

2のシーニア (SeniorNassauWilliam)の 《AnOutlineoftheScieyueofPolitical

及momyLodon1836≫のフランス語訳 《Pn1uXpesfbndamentauxdel6cmomieZx)litique

paris1836≫の第Ⅳ章 「分業について」の抜粋のなかでこの 「地域的分業」をすでにつぎ

のように確認 している 「諸国民のあいだの商業を地域的分業 (ladiwsim teTritmaledu

tra2ml) 〔でもって〕説明したのは トレソズ大佐が最初であった」 (強調はマルクス)59)

父 ミルおよび トレンズの外国貿易論は以上の点だけでも確かに見るべきものがある し

かし彼らは外国貿易を 「分業の拡張」 「機械的分業」と 「地域的分業」とくに 「対外地域

的分業」の 「確立」としてのみ捉え外国貿易の利益も分業の利益として述べているだけで

あってその理論は一般に価値の理論にもとづいてはいない したがって彼らの外国貿易論

は全体としてアダム スミスの分業論の国際的適用から大きく出ることはなかったと言えよ

ラ外国貿易を価値の理論との関連において考察するという研究に最初に取 り組んだのは

つぎに見るリカー ドゥであったただ しかしその理論は表 2の世界価値に関する諸学説

57)Ibidpp44-45(同上訳67-68貢)

58)Jbidp48(同上訳69貢)

59)Marx身ibselerHePe1845ExzerpteausNassauWilliam SeniorPrincipesfondamentauxdel6conomiepolitiqueParis1836MEGAⅣ3S171

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 65

(テクス トⅡ)からも明らかなように価値と富 (使用価値)との区別のうえに立って価

値量不変富 (使用価値)量増加という見解に留まっていて外国貿易と価値の理論との関

連については否定的であったいずれにせよナポレオソの大陸封鎖によってひき起こされ

た衝撃と混乱はこうして リカー ドウ経済学とくにその外国貿易論の生成を準備 した一過程

であったと言える

トレソズに続 くリカー ドゥの 『経済学および課税の原理』第 7章 「外国貿易について」の

なかに彼の外国貿易論のエッセソスがまた第20章 「価値と富それらの特性」のなかに

「それらの特性」がそれぞれつぎのように述べられている

「外国貿易の拡張は商品の数量 (massofcommodities) したがって享楽品の数量

(sum ofenjoiments)を増大させるにはきわめて有力に貢献するであろうが しかしけっ

してただちに一国の価値額 (amountofvalue)を増大させるものではないすべての外国

財貨の価値 (valueofforeigngoods)はそれらと引き換えに与えられるわが国の土地

と労働の生産物の分量によって測定される (ismeasuredbythequntityoftheproduce)

からわれわれはかりに新市場の発見によってわが国の財貨の一定量と引き換えに外

国財貨の二倍量を獲得する (obtaindoublethequntityofforeigngoods)としてもよ

り大なる価値を得ない (havenogreatervalue)であろう」

「一国における諸商品の相対的価値を規制するのと同 じ法則 (thesamerulewhich

regulatestherelativevalue)が二つあるいはそれ以上の国々のあいだで交換 される諸

商品の相対的価値を規制 しないのである」

このような価値量不変富 (使用価値)量増加および国際間における価値法則の否定だ

けがリカー ドウ外国貿易論のエッセンスではない 「一国における諸商品の相対的価値を規

制するのと同じ法則 - 」と 「完全な自由貿易制度 - - 」に続 く 「ワイソは

フラソスとポル トガルで醸造されるべきであり穀物はアメリカとポーラソドで栽培される

べきでありそして鉄器頬およびその他の財貨はイギリスで製造されもべきであるといっ

たことを決定するのはこの 「原理」である」というこの 「原理」がその外国貿易論のエッ

セソスであるこの 「原理」がのちに 「比較生産費」説と呼ばれるようになったものである

この 「比較生産費」をここで敷術すればつぎの通 りである

イギ リスはラシャを製造するのに一年間に100人の労働を必要としまたワイソを醸造す

れば120人の労働を必要とする他方ポル トガルはワイソを醸造するのに一年間に80

人の労働 しか必要とせずまたラシャを製造すれば90人の労働を必要とするこの設例の

もとではイギリスのラシャとポル トガルのワイソを交換するのが貿易両国にとって有利で

ありこの貿易はポル トガルの輸入する商品がそこではイギ リスにおけるよりも一層少

ない労働で生産されうるにもかかわらずなお行なわれるであろうと言 うのである

リカー ドゥの設例ではポル トガルの貿易両商品はイギリスにたいしてともに絶対優位に

66 季刊経済研究 第22巻 第4号

あるがとりわけワイソ醸造において比較優位を持つ他方イギリスの両商品はポル トガ

ルにたいしてともに絶対劣位にあるがそれでもラシャの製造においては比較優位を持つ

そこで貿易両国は比較優位を持つ商品のみを交換 し合えばともに利益を得るこの場合

イギリスのラシャ1単位にたいしてポル トガルのワイソ1単位が与えられるとしてイギ リ

スは220人の労働 (100人プラス120人の労働をラシャ製造に特化)でもって22単位のラシャ

をポル トガルは170人の労働 (80人プラス90人の労働をワイソ酸道に特化)をもって1125

単位のワイソをそれぞれ生産 し交換 し合えばイギリスでは02単位のワイソがポル トガ

ルでは0125単位のラシャが貿易の利益として得られるであろう しかしこの同じ条件のも

とでイギリスは二倍の200人の労働でもってラシャを製造 しポル トガルも同様に二倍の

160人の労働でもってワイソを醸造 してよいこの場合相変わらずイギリスの100人分のラ

シャがポル トガルの80人分のワイソと交換されるとすればこれによってイギリスでは220

人の労働が200人の労働にポル トガルでは170人の労働が160人の労働にすなわちイギ リ

スの側では20人分ポル トガルの側では10人分の労働がそれぞれ節約できるであろうこの

労働の節約はスミスの分業論をまつまでもなく分業すなわち国際分業の利益である

最後のリカー ドゥからの引用は彼の第20章 「価値と富それらの特性」からのものであ

りその主題は100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというものである

「「人は彼が人間生活の必需品 (necessaries)便宜品 (conveniences)および娯

楽品 (amusements)を享受 しうる程度に応 じて富んでいるかあるいは貧しいかである」と

アダム スミスは言っているそうしてみると価値 (value)は本質的に富 (riches)と

異なっているというのは価値は豊富 (abundance)に依存するのではなくて生産の難

易 (difficultyorfacility)に依存するからである製造業における100万人の労働はつね

に同一の価値を生産するであろう しかし必ず しもつねに同一の富を生産 しないであろう

機械の発明熟練の向上よりよい分業あるいはより有利な交換がなされうる新市場の発

見によって一つの社会状態において100万の人は彼らはある他の状態において生産 し

うるであろう富のすなわち 「必需品便宜品および娯楽品」の二倍または三倍の量

を生産するかもしれない しかしそれだからといって彼らは価値に少 しも付加 しないであ

ろうというのはあらゆる物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言

すればその生産に使用される労働量に比例 してであるからである」

世界価値論に関する諸学説の研究の目的は言うまでもなくペティケネーにはじまる

古典派経済学重農学派のなかから世界価値の理論構成にとって必要なできるだけ多くの

論材を博捜 しこれを分析 し総合することであるこの研究のなかで リカー ドゥの考察に

もっとも多く紙数を費やすのは彼が価値剰余価値 (彼にあっては利潤)および資本蓄積

の研究においてまた地代賃金および利潤の研究においてマルクス以前に最初に科学的

で厳密な理論をうち立てた経済学者であったことまた彼の名と結びついている有名な外国

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 67

貿易の理論をうち立てたことなどによる世界価値論に関する諸学説 (テクトトⅡ)のリカー

ドゥの学説を二つに分け考察することにしたい

第一はマルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋集とその批判である

マルクスはまず 「パリノー ト」すなわち 『歴史 経済学研究 (パ リノー ト) 1843

-45年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』FSコソスタンショ (フラソス語版)

訳パ リ1835年第 1第 2巻からの抜粋」の 「7〔第7章- 引用者〕)対外商業につ

いて (ducommerceetranger)」においてつぎのように簡潔にまとめている

「ポル トガルがイギリスの毛織物 (drap)と交換で与えるはずのワイソ (vim)の分量は

かりに両商品がイギリスで製造されるかまたはポル トガルで製造される場合に生 じるそ

のおのおのの生産に費やされるそれぞれの労働の分量によっては決定されない」60)

つぎに 『ロンドソノー ト 1850-1853年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』

第三版ロソドン1821年からの抜粋」は三つの部分に分けられている

(1)「対外商業と交換価値」のもとにつぎのように抜粋されている

「すべての外国商品の価値 (WeylhalleyfremdenWaaren)はそれと交換に与えられ

るわれわれの労働とわれわれの土地の分量によって測られる (gemessenistdurchdie

伽 ntitdtunsererAylbeitundunseresLandes)からわれわれはかりに新市場の発見に

によってわれわれの一定の分量にたいして外国商品の二倍量を受け取る (diedoppelte

QuantitatfremderWaarenerhalten)としてもより大 きな価値を手にいれない

であろう (Wむdenwirkeinengr6sserenWerthhaben)

外国商品の価値が国内の (einheimisch)土地と労働との分量とによって測られるというこ

とを証明するためにリカードゥはつぎのように言う 「外国商品の購入においてはたとえば

イギリスの土地と労働との同一あるいはより大きな部分またはより小 さな部分が用いられる

であろう同一部分であれば国内生産物にたいして同一の需要が存続 して資本の同一部

分がその生産に使用 されるであろうもし外国商品の価格が低廉でありより少ない部分が

当てられるならば国内需要にたいしてより大きな部分が自由に使えるであろうより大きな

部分であればより少ない資本が用いられ国内生産にたいするより少ない需要が当てられる

であろう資本が解放 されるならそれでもって外国商品が買われるそれゆえすべての場合

に外国生産物と国内生産物との合計にたいする需要は価値に関する限りその国の収入

と資本とによって制限される一方が上昇すれば他方は減少 しなければならない」」61)

60)MarxHistwisch-partkm ische(PariserHejie)1843-45ExzerpteausDavidRicardoDes

principesdel6conomiepolitiqueetdelimp6ttraduitdeConstancioetcParis

1835TIundⅡMEGAⅣ2S409

61)MarxLondonerHefte1850-1853HeftⅧExzerpteausRicardo(David)Onthe

principlesofpoliticaleconomyandtaxation3edLondon1821DerauswartigeHandel

undderTauschwerthMEGAⅣ8SS36ト70

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

64 季刊経済研究 第22巻 第4号

産されるだろうさらにもしイギリスの牧場に飼われている羊がフラソスの羊よりも豊か

な羊毛を持っており他方フラソスのぶどうの木がイギリスに植えられているぶどうの木

よりも豊かに育 ってい るとすれば二国のあいだには互いに有益 な地域的分業 (a

territorialdivisionflabourmutuallybeneficial)が確立されるだろう羊をその牧草

地で飼い羊毛をフラソス人のぶどう園の産物と交換するイギリス人はもし彼らがぶどうを

国内の適さない土地で栽培するよりも多量のワイソを得るだろう自然と協同してワイ

ンをイギリスの牧場の産物と交換するフラソス人はもし彼が飼料や気候が羊毛にとって有

害な地方で羊を飼 うよりも多量の衣服の原料を得るだろうところで国内分業をもたらし

たものが国内貿易であったように対外分業 (theforeigndivisionsoflabour)をもたら

すものは外国貿易すなわち商業である外国貿易を禁止 してみよそうすれば対外分業は

機械的分業も地域的分業もともに停止されるに違いないそれを復活 してみよそうすれ

ばこれらの分業は再建されすべての利益が回復するだろう」57) (強調は トレソズ)

「われわれが消費しうる以上の錫をわが国の鉱山から掘 りだしそれを茶 (「イギ リス東

イソド会社 〔theEnglishEastIndiaCompany〕が一定量の 〔錫〕を中国人の茶と交換 し

たならば」- 引用者)と交換するときわれわれは茶をイギリスで栽培するより多くの

それを得る同様に勤労の他のすべての部門も対外地域的分業 (aforeignterritorial

divisionoflabour)の確立によってより生産的になる」58)

マルクスはつぎに見るシスモソデ ィ Wtudessurl6cmomieZx)litiqueT2≫(『経

済学研究』第 2巻)の抜粋が所収されている 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト

2のシーニア (SeniorNassauWilliam)の 《AnOutlineoftheScieyueofPolitical

及momyLodon1836≫のフランス語訳 《Pn1uXpesfbndamentauxdel6cmomieZx)litique

paris1836≫の第Ⅳ章 「分業について」の抜粋のなかでこの 「地域的分業」をすでにつぎ

のように確認 している 「諸国民のあいだの商業を地域的分業 (ladiwsim teTritmaledu

tra2ml) 〔でもって〕説明したのは トレソズ大佐が最初であった」 (強調はマルクス)59)

父 ミルおよび トレンズの外国貿易論は以上の点だけでも確かに見るべきものがある し

かし彼らは外国貿易を 「分業の拡張」 「機械的分業」と 「地域的分業」とくに 「対外地域

的分業」の 「確立」としてのみ捉え外国貿易の利益も分業の利益として述べているだけで

あってその理論は一般に価値の理論にもとづいてはいない したがって彼らの外国貿易論

は全体としてアダム スミスの分業論の国際的適用から大きく出ることはなかったと言えよ

ラ外国貿易を価値の理論との関連において考察するという研究に最初に取 り組んだのは

つぎに見るリカー ドゥであったただ しかしその理論は表 2の世界価値に関する諸学説

57)Ibidpp44-45(同上訳67-68貢)

58)Jbidp48(同上訳69貢)

59)Marx身ibselerHePe1845ExzerpteausNassauWilliam SeniorPrincipesfondamentauxdel6conomiepolitiqueParis1836MEGAⅣ3S171

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 65

(テクス トⅡ)からも明らかなように価値と富 (使用価値)との区別のうえに立って価

値量不変富 (使用価値)量増加という見解に留まっていて外国貿易と価値の理論との関

連については否定的であったいずれにせよナポレオソの大陸封鎖によってひき起こされ

た衝撃と混乱はこうして リカー ドウ経済学とくにその外国貿易論の生成を準備 した一過程

であったと言える

トレソズに続 くリカー ドゥの 『経済学および課税の原理』第 7章 「外国貿易について」の

なかに彼の外国貿易論のエッセソスがまた第20章 「価値と富それらの特性」のなかに

「それらの特性」がそれぞれつぎのように述べられている

「外国貿易の拡張は商品の数量 (massofcommodities) したがって享楽品の数量

(sum ofenjoiments)を増大させるにはきわめて有力に貢献するであろうが しかしけっ

してただちに一国の価値額 (amountofvalue)を増大させるものではないすべての外国

財貨の価値 (valueofforeigngoods)はそれらと引き換えに与えられるわが国の土地

と労働の生産物の分量によって測定される (ismeasuredbythequntityoftheproduce)

からわれわれはかりに新市場の発見によってわが国の財貨の一定量と引き換えに外

国財貨の二倍量を獲得する (obtaindoublethequntityofforeigngoods)としてもよ

り大なる価値を得ない (havenogreatervalue)であろう」

「一国における諸商品の相対的価値を規制するのと同 じ法則 (thesamerulewhich

regulatestherelativevalue)が二つあるいはそれ以上の国々のあいだで交換 される諸

商品の相対的価値を規制 しないのである」

このような価値量不変富 (使用価値)量増加および国際間における価値法則の否定だ

けがリカー ドウ外国貿易論のエッセンスではない 「一国における諸商品の相対的価値を規

制するのと同じ法則 - 」と 「完全な自由貿易制度 - - 」に続 く 「ワイソは

フラソスとポル トガルで醸造されるべきであり穀物はアメリカとポーラソドで栽培される

べきでありそして鉄器頬およびその他の財貨はイギリスで製造されもべきであるといっ

たことを決定するのはこの 「原理」である」というこの 「原理」がその外国貿易論のエッ

セソスであるこの 「原理」がのちに 「比較生産費」説と呼ばれるようになったものである

この 「比較生産費」をここで敷術すればつぎの通 りである

イギ リスはラシャを製造するのに一年間に100人の労働を必要としまたワイソを醸造す

れば120人の労働を必要とする他方ポル トガルはワイソを醸造するのに一年間に80

人の労働 しか必要とせずまたラシャを製造すれば90人の労働を必要とするこの設例の

もとではイギリスのラシャとポル トガルのワイソを交換するのが貿易両国にとって有利で

ありこの貿易はポル トガルの輸入する商品がそこではイギ リスにおけるよりも一層少

ない労働で生産されうるにもかかわらずなお行なわれるであろうと言 うのである

リカー ドゥの設例ではポル トガルの貿易両商品はイギリスにたいしてともに絶対優位に

66 季刊経済研究 第22巻 第4号

あるがとりわけワイソ醸造において比較優位を持つ他方イギリスの両商品はポル トガ

ルにたいしてともに絶対劣位にあるがそれでもラシャの製造においては比較優位を持つ

そこで貿易両国は比較優位を持つ商品のみを交換 し合えばともに利益を得るこの場合

イギリスのラシャ1単位にたいしてポル トガルのワイソ1単位が与えられるとしてイギ リ

スは220人の労働 (100人プラス120人の労働をラシャ製造に特化)でもって22単位のラシャ

をポル トガルは170人の労働 (80人プラス90人の労働をワイソ酸道に特化)をもって1125

単位のワイソをそれぞれ生産 し交換 し合えばイギリスでは02単位のワイソがポル トガ

ルでは0125単位のラシャが貿易の利益として得られるであろう しかしこの同じ条件のも

とでイギリスは二倍の200人の労働でもってラシャを製造 しポル トガルも同様に二倍の

160人の労働でもってワイソを醸造 してよいこの場合相変わらずイギリスの100人分のラ

シャがポル トガルの80人分のワイソと交換されるとすればこれによってイギリスでは220

人の労働が200人の労働にポル トガルでは170人の労働が160人の労働にすなわちイギ リ

スの側では20人分ポル トガルの側では10人分の労働がそれぞれ節約できるであろうこの

労働の節約はスミスの分業論をまつまでもなく分業すなわち国際分業の利益である

最後のリカー ドゥからの引用は彼の第20章 「価値と富それらの特性」からのものであ

りその主題は100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというものである

「「人は彼が人間生活の必需品 (necessaries)便宜品 (conveniences)および娯

楽品 (amusements)を享受 しうる程度に応 じて富んでいるかあるいは貧しいかである」と

アダム スミスは言っているそうしてみると価値 (value)は本質的に富 (riches)と

異なっているというのは価値は豊富 (abundance)に依存するのではなくて生産の難

易 (difficultyorfacility)に依存するからである製造業における100万人の労働はつね

に同一の価値を生産するであろう しかし必ず しもつねに同一の富を生産 しないであろう

機械の発明熟練の向上よりよい分業あるいはより有利な交換がなされうる新市場の発

見によって一つの社会状態において100万の人は彼らはある他の状態において生産 し

うるであろう富のすなわち 「必需品便宜品および娯楽品」の二倍または三倍の量

を生産するかもしれない しかしそれだからといって彼らは価値に少 しも付加 しないであ

ろうというのはあらゆる物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言

すればその生産に使用される労働量に比例 してであるからである」

世界価値論に関する諸学説の研究の目的は言うまでもなくペティケネーにはじまる

古典派経済学重農学派のなかから世界価値の理論構成にとって必要なできるだけ多くの

論材を博捜 しこれを分析 し総合することであるこの研究のなかで リカー ドゥの考察に

もっとも多く紙数を費やすのは彼が価値剰余価値 (彼にあっては利潤)および資本蓄積

の研究においてまた地代賃金および利潤の研究においてマルクス以前に最初に科学的

で厳密な理論をうち立てた経済学者であったことまた彼の名と結びついている有名な外国

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 67

貿易の理論をうち立てたことなどによる世界価値論に関する諸学説 (テクトトⅡ)のリカー

ドゥの学説を二つに分け考察することにしたい

第一はマルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋集とその批判である

マルクスはまず 「パリノー ト」すなわち 『歴史 経済学研究 (パ リノー ト) 1843

-45年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』FSコソスタンショ (フラソス語版)

訳パ リ1835年第 1第 2巻からの抜粋」の 「7〔第7章- 引用者〕)対外商業につ

いて (ducommerceetranger)」においてつぎのように簡潔にまとめている

「ポル トガルがイギリスの毛織物 (drap)と交換で与えるはずのワイソ (vim)の分量は

かりに両商品がイギリスで製造されるかまたはポル トガルで製造される場合に生 じるそ

のおのおのの生産に費やされるそれぞれの労働の分量によっては決定されない」60)

つぎに 『ロンドソノー ト 1850-1853年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』

第三版ロソドン1821年からの抜粋」は三つの部分に分けられている

(1)「対外商業と交換価値」のもとにつぎのように抜粋されている

「すべての外国商品の価値 (WeylhalleyfremdenWaaren)はそれと交換に与えられ

るわれわれの労働とわれわれの土地の分量によって測られる (gemessenistdurchdie

伽 ntitdtunsererAylbeitundunseresLandes)からわれわれはかりに新市場の発見に

によってわれわれの一定の分量にたいして外国商品の二倍量を受け取る (diedoppelte

QuantitatfremderWaarenerhalten)としてもより大 きな価値を手にいれない

であろう (Wむdenwirkeinengr6sserenWerthhaben)

外国商品の価値が国内の (einheimisch)土地と労働との分量とによって測られるというこ

とを証明するためにリカードゥはつぎのように言う 「外国商品の購入においてはたとえば

イギリスの土地と労働との同一あるいはより大きな部分またはより小 さな部分が用いられる

であろう同一部分であれば国内生産物にたいして同一の需要が存続 して資本の同一部

分がその生産に使用 されるであろうもし外国商品の価格が低廉でありより少ない部分が

当てられるならば国内需要にたいしてより大きな部分が自由に使えるであろうより大きな

部分であればより少ない資本が用いられ国内生産にたいするより少ない需要が当てられる

であろう資本が解放 されるならそれでもって外国商品が買われるそれゆえすべての場合

に外国生産物と国内生産物との合計にたいする需要は価値に関する限りその国の収入

と資本とによって制限される一方が上昇すれば他方は減少 しなければならない」」61)

60)MarxHistwisch-partkm ische(PariserHejie)1843-45ExzerpteausDavidRicardoDes

principesdel6conomiepolitiqueetdelimp6ttraduitdeConstancioetcParis

1835TIundⅡMEGAⅣ2S409

61)MarxLondonerHefte1850-1853HeftⅧExzerpteausRicardo(David)Onthe

principlesofpoliticaleconomyandtaxation3edLondon1821DerauswartigeHandel

undderTauschwerthMEGAⅣ8SS36ト70

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 65

(テクス トⅡ)からも明らかなように価値と富 (使用価値)との区別のうえに立って価

値量不変富 (使用価値)量増加という見解に留まっていて外国貿易と価値の理論との関

連については否定的であったいずれにせよナポレオソの大陸封鎖によってひき起こされ

た衝撃と混乱はこうして リカー ドウ経済学とくにその外国貿易論の生成を準備 した一過程

であったと言える

トレソズに続 くリカー ドゥの 『経済学および課税の原理』第 7章 「外国貿易について」の

なかに彼の外国貿易論のエッセソスがまた第20章 「価値と富それらの特性」のなかに

「それらの特性」がそれぞれつぎのように述べられている

「外国貿易の拡張は商品の数量 (massofcommodities) したがって享楽品の数量

(sum ofenjoiments)を増大させるにはきわめて有力に貢献するであろうが しかしけっ

してただちに一国の価値額 (amountofvalue)を増大させるものではないすべての外国

財貨の価値 (valueofforeigngoods)はそれらと引き換えに与えられるわが国の土地

と労働の生産物の分量によって測定される (ismeasuredbythequntityoftheproduce)

からわれわれはかりに新市場の発見によってわが国の財貨の一定量と引き換えに外

国財貨の二倍量を獲得する (obtaindoublethequntityofforeigngoods)としてもよ

り大なる価値を得ない (havenogreatervalue)であろう」

「一国における諸商品の相対的価値を規制するのと同 じ法則 (thesamerulewhich

regulatestherelativevalue)が二つあるいはそれ以上の国々のあいだで交換 される諸

商品の相対的価値を規制 しないのである」

このような価値量不変富 (使用価値)量増加および国際間における価値法則の否定だ

けがリカー ドウ外国貿易論のエッセンスではない 「一国における諸商品の相対的価値を規

制するのと同じ法則 - 」と 「完全な自由貿易制度 - - 」に続 く 「ワイソは

フラソスとポル トガルで醸造されるべきであり穀物はアメリカとポーラソドで栽培される

べきでありそして鉄器頬およびその他の財貨はイギリスで製造されもべきであるといっ

たことを決定するのはこの 「原理」である」というこの 「原理」がその外国貿易論のエッ

セソスであるこの 「原理」がのちに 「比較生産費」説と呼ばれるようになったものである

この 「比較生産費」をここで敷術すればつぎの通 りである

イギ リスはラシャを製造するのに一年間に100人の労働を必要としまたワイソを醸造す

れば120人の労働を必要とする他方ポル トガルはワイソを醸造するのに一年間に80

人の労働 しか必要とせずまたラシャを製造すれば90人の労働を必要とするこの設例の

もとではイギリスのラシャとポル トガルのワイソを交換するのが貿易両国にとって有利で

ありこの貿易はポル トガルの輸入する商品がそこではイギ リスにおけるよりも一層少

ない労働で生産されうるにもかかわらずなお行なわれるであろうと言 うのである

リカー ドゥの設例ではポル トガルの貿易両商品はイギリスにたいしてともに絶対優位に

66 季刊経済研究 第22巻 第4号

あるがとりわけワイソ醸造において比較優位を持つ他方イギリスの両商品はポル トガ

ルにたいしてともに絶対劣位にあるがそれでもラシャの製造においては比較優位を持つ

そこで貿易両国は比較優位を持つ商品のみを交換 し合えばともに利益を得るこの場合

イギリスのラシャ1単位にたいしてポル トガルのワイソ1単位が与えられるとしてイギ リ

スは220人の労働 (100人プラス120人の労働をラシャ製造に特化)でもって22単位のラシャ

をポル トガルは170人の労働 (80人プラス90人の労働をワイソ酸道に特化)をもって1125

単位のワイソをそれぞれ生産 し交換 し合えばイギリスでは02単位のワイソがポル トガ

ルでは0125単位のラシャが貿易の利益として得られるであろう しかしこの同じ条件のも

とでイギリスは二倍の200人の労働でもってラシャを製造 しポル トガルも同様に二倍の

160人の労働でもってワイソを醸造 してよいこの場合相変わらずイギリスの100人分のラ

シャがポル トガルの80人分のワイソと交換されるとすればこれによってイギリスでは220

人の労働が200人の労働にポル トガルでは170人の労働が160人の労働にすなわちイギ リ

スの側では20人分ポル トガルの側では10人分の労働がそれぞれ節約できるであろうこの

労働の節約はスミスの分業論をまつまでもなく分業すなわち国際分業の利益である

最後のリカー ドゥからの引用は彼の第20章 「価値と富それらの特性」からのものであ

りその主題は100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというものである

「「人は彼が人間生活の必需品 (necessaries)便宜品 (conveniences)および娯

楽品 (amusements)を享受 しうる程度に応 じて富んでいるかあるいは貧しいかである」と

アダム スミスは言っているそうしてみると価値 (value)は本質的に富 (riches)と

異なっているというのは価値は豊富 (abundance)に依存するのではなくて生産の難

易 (difficultyorfacility)に依存するからである製造業における100万人の労働はつね

に同一の価値を生産するであろう しかし必ず しもつねに同一の富を生産 しないであろう

機械の発明熟練の向上よりよい分業あるいはより有利な交換がなされうる新市場の発

見によって一つの社会状態において100万の人は彼らはある他の状態において生産 し

うるであろう富のすなわち 「必需品便宜品および娯楽品」の二倍または三倍の量

を生産するかもしれない しかしそれだからといって彼らは価値に少 しも付加 しないであ

ろうというのはあらゆる物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言

すればその生産に使用される労働量に比例 してであるからである」

世界価値論に関する諸学説の研究の目的は言うまでもなくペティケネーにはじまる

古典派経済学重農学派のなかから世界価値の理論構成にとって必要なできるだけ多くの

論材を博捜 しこれを分析 し総合することであるこの研究のなかで リカー ドゥの考察に

もっとも多く紙数を費やすのは彼が価値剰余価値 (彼にあっては利潤)および資本蓄積

の研究においてまた地代賃金および利潤の研究においてマルクス以前に最初に科学的

で厳密な理論をうち立てた経済学者であったことまた彼の名と結びついている有名な外国

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 67

貿易の理論をうち立てたことなどによる世界価値論に関する諸学説 (テクトトⅡ)のリカー

ドゥの学説を二つに分け考察することにしたい

第一はマルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋集とその批判である

マルクスはまず 「パリノー ト」すなわち 『歴史 経済学研究 (パ リノー ト) 1843

-45年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』FSコソスタンショ (フラソス語版)

訳パ リ1835年第 1第 2巻からの抜粋」の 「7〔第7章- 引用者〕)対外商業につ

いて (ducommerceetranger)」においてつぎのように簡潔にまとめている

「ポル トガルがイギリスの毛織物 (drap)と交換で与えるはずのワイソ (vim)の分量は

かりに両商品がイギリスで製造されるかまたはポル トガルで製造される場合に生 じるそ

のおのおのの生産に費やされるそれぞれの労働の分量によっては決定されない」60)

つぎに 『ロンドソノー ト 1850-1853年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』

第三版ロソドン1821年からの抜粋」は三つの部分に分けられている

(1)「対外商業と交換価値」のもとにつぎのように抜粋されている

「すべての外国商品の価値 (WeylhalleyfremdenWaaren)はそれと交換に与えられ

るわれわれの労働とわれわれの土地の分量によって測られる (gemessenistdurchdie

伽 ntitdtunsererAylbeitundunseresLandes)からわれわれはかりに新市場の発見に

によってわれわれの一定の分量にたいして外国商品の二倍量を受け取る (diedoppelte

QuantitatfremderWaarenerhalten)としてもより大 きな価値を手にいれない

であろう (Wむdenwirkeinengr6sserenWerthhaben)

外国商品の価値が国内の (einheimisch)土地と労働との分量とによって測られるというこ

とを証明するためにリカードゥはつぎのように言う 「外国商品の購入においてはたとえば

イギリスの土地と労働との同一あるいはより大きな部分またはより小 さな部分が用いられる

であろう同一部分であれば国内生産物にたいして同一の需要が存続 して資本の同一部

分がその生産に使用 されるであろうもし外国商品の価格が低廉でありより少ない部分が

当てられるならば国内需要にたいしてより大きな部分が自由に使えるであろうより大きな

部分であればより少ない資本が用いられ国内生産にたいするより少ない需要が当てられる

であろう資本が解放 されるならそれでもって外国商品が買われるそれゆえすべての場合

に外国生産物と国内生産物との合計にたいする需要は価値に関する限りその国の収入

と資本とによって制限される一方が上昇すれば他方は減少 しなければならない」」61)

60)MarxHistwisch-partkm ische(PariserHejie)1843-45ExzerpteausDavidRicardoDes

principesdel6conomiepolitiqueetdelimp6ttraduitdeConstancioetcParis

1835TIundⅡMEGAⅣ2S409

61)MarxLondonerHefte1850-1853HeftⅧExzerpteausRicardo(David)Onthe

principlesofpoliticaleconomyandtaxation3edLondon1821DerauswartigeHandel

undderTauschwerthMEGAⅣ8SS36ト70

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

66 季刊経済研究 第22巻 第4号

あるがとりわけワイソ醸造において比較優位を持つ他方イギリスの両商品はポル トガ

ルにたいしてともに絶対劣位にあるがそれでもラシャの製造においては比較優位を持つ

そこで貿易両国は比較優位を持つ商品のみを交換 し合えばともに利益を得るこの場合

イギリスのラシャ1単位にたいしてポル トガルのワイソ1単位が与えられるとしてイギ リ

スは220人の労働 (100人プラス120人の労働をラシャ製造に特化)でもって22単位のラシャ

をポル トガルは170人の労働 (80人プラス90人の労働をワイソ酸道に特化)をもって1125

単位のワイソをそれぞれ生産 し交換 し合えばイギリスでは02単位のワイソがポル トガ

ルでは0125単位のラシャが貿易の利益として得られるであろう しかしこの同じ条件のも

とでイギリスは二倍の200人の労働でもってラシャを製造 しポル トガルも同様に二倍の

160人の労働でもってワイソを醸造 してよいこの場合相変わらずイギリスの100人分のラ

シャがポル トガルの80人分のワイソと交換されるとすればこれによってイギリスでは220

人の労働が200人の労働にポル トガルでは170人の労働が160人の労働にすなわちイギ リ

スの側では20人分ポル トガルの側では10人分の労働がそれぞれ節約できるであろうこの

労働の節約はスミスの分業論をまつまでもなく分業すなわち国際分業の利益である

最後のリカー ドゥからの引用は彼の第20章 「価値と富それらの特性」からのものであ

りその主題は100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというものである

「「人は彼が人間生活の必需品 (necessaries)便宜品 (conveniences)および娯

楽品 (amusements)を享受 しうる程度に応 じて富んでいるかあるいは貧しいかである」と

アダム スミスは言っているそうしてみると価値 (value)は本質的に富 (riches)と

異なっているというのは価値は豊富 (abundance)に依存するのではなくて生産の難

易 (difficultyorfacility)に依存するからである製造業における100万人の労働はつね

に同一の価値を生産するであろう しかし必ず しもつねに同一の富を生産 しないであろう

機械の発明熟練の向上よりよい分業あるいはより有利な交換がなされうる新市場の発

見によって一つの社会状態において100万の人は彼らはある他の状態において生産 し

うるであろう富のすなわち 「必需品便宜品および娯楽品」の二倍または三倍の量

を生産するかもしれない しかしそれだからといって彼らは価値に少 しも付加 しないであ

ろうというのはあらゆる物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言

すればその生産に使用される労働量に比例 してであるからである」

世界価値論に関する諸学説の研究の目的は言うまでもなくペティケネーにはじまる

古典派経済学重農学派のなかから世界価値の理論構成にとって必要なできるだけ多くの

論材を博捜 しこれを分析 し総合することであるこの研究のなかで リカー ドゥの考察に

もっとも多く紙数を費やすのは彼が価値剰余価値 (彼にあっては利潤)および資本蓄積

の研究においてまた地代賃金および利潤の研究においてマルクス以前に最初に科学的

で厳密な理論をうち立てた経済学者であったことまた彼の名と結びついている有名な外国

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 67

貿易の理論をうち立てたことなどによる世界価値論に関する諸学説 (テクトトⅡ)のリカー

ドゥの学説を二つに分け考察することにしたい

第一はマルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋集とその批判である

マルクスはまず 「パリノー ト」すなわち 『歴史 経済学研究 (パ リノー ト) 1843

-45年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』FSコソスタンショ (フラソス語版)

訳パ リ1835年第 1第 2巻からの抜粋」の 「7〔第7章- 引用者〕)対外商業につ

いて (ducommerceetranger)」においてつぎのように簡潔にまとめている

「ポル トガルがイギリスの毛織物 (drap)と交換で与えるはずのワイソ (vim)の分量は

かりに両商品がイギリスで製造されるかまたはポル トガルで製造される場合に生 じるそ

のおのおのの生産に費やされるそれぞれの労働の分量によっては決定されない」60)

つぎに 『ロンドソノー ト 1850-1853年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』

第三版ロソドン1821年からの抜粋」は三つの部分に分けられている

(1)「対外商業と交換価値」のもとにつぎのように抜粋されている

「すべての外国商品の価値 (WeylhalleyfremdenWaaren)はそれと交換に与えられ

るわれわれの労働とわれわれの土地の分量によって測られる (gemessenistdurchdie

伽 ntitdtunsererAylbeitundunseresLandes)からわれわれはかりに新市場の発見に

によってわれわれの一定の分量にたいして外国商品の二倍量を受け取る (diedoppelte

QuantitatfremderWaarenerhalten)としてもより大 きな価値を手にいれない

であろう (Wむdenwirkeinengr6sserenWerthhaben)

外国商品の価値が国内の (einheimisch)土地と労働との分量とによって測られるというこ

とを証明するためにリカードゥはつぎのように言う 「外国商品の購入においてはたとえば

イギリスの土地と労働との同一あるいはより大きな部分またはより小 さな部分が用いられる

であろう同一部分であれば国内生産物にたいして同一の需要が存続 して資本の同一部

分がその生産に使用 されるであろうもし外国商品の価格が低廉でありより少ない部分が

当てられるならば国内需要にたいしてより大きな部分が自由に使えるであろうより大きな

部分であればより少ない資本が用いられ国内生産にたいするより少ない需要が当てられる

であろう資本が解放 されるならそれでもって外国商品が買われるそれゆえすべての場合

に外国生産物と国内生産物との合計にたいする需要は価値に関する限りその国の収入

と資本とによって制限される一方が上昇すれば他方は減少 しなければならない」」61)

60)MarxHistwisch-partkm ische(PariserHejie)1843-45ExzerpteausDavidRicardoDes

principesdel6conomiepolitiqueetdelimp6ttraduitdeConstancioetcParis

1835TIundⅡMEGAⅣ2S409

61)MarxLondonerHefte1850-1853HeftⅧExzerpteausRicardo(David)Onthe

principlesofpoliticaleconomyandtaxation3edLondon1821DerauswartigeHandel

undderTauschwerthMEGAⅣ8SS36ト70

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 67

貿易の理論をうち立てたことなどによる世界価値論に関する諸学説 (テクトトⅡ)のリカー

ドゥの学説を二つに分け考察することにしたい

第一はマルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋集とその批判である

マルクスはまず 「パリノー ト」すなわち 『歴史 経済学研究 (パ リノー ト) 1843

-45年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』FSコソスタンショ (フラソス語版)

訳パ リ1835年第 1第 2巻からの抜粋」の 「7〔第7章- 引用者〕)対外商業につ

いて (ducommerceetranger)」においてつぎのように簡潔にまとめている

「ポル トガルがイギリスの毛織物 (drap)と交換で与えるはずのワイソ (vim)の分量は

かりに両商品がイギリスで製造されるかまたはポル トガルで製造される場合に生 じるそ

のおのおのの生産に費やされるそれぞれの労働の分量によっては決定されない」60)

つぎに 『ロンドソノー ト 1850-1853年』の 「リカー ドウ 『経済学および課税の原理』

第三版ロソドン1821年からの抜粋」は三つの部分に分けられている

(1)「対外商業と交換価値」のもとにつぎのように抜粋されている

「すべての外国商品の価値 (WeylhalleyfremdenWaaren)はそれと交換に与えられ

るわれわれの労働とわれわれの土地の分量によって測られる (gemessenistdurchdie

伽 ntitdtunsererAylbeitundunseresLandes)からわれわれはかりに新市場の発見に

によってわれわれの一定の分量にたいして外国商品の二倍量を受け取る (diedoppelte

QuantitatfremderWaarenerhalten)としてもより大 きな価値を手にいれない

であろう (Wむdenwirkeinengr6sserenWerthhaben)

外国商品の価値が国内の (einheimisch)土地と労働との分量とによって測られるというこ

とを証明するためにリカードゥはつぎのように言う 「外国商品の購入においてはたとえば

イギリスの土地と労働との同一あるいはより大きな部分またはより小 さな部分が用いられる

であろう同一部分であれば国内生産物にたいして同一の需要が存続 して資本の同一部

分がその生産に使用 されるであろうもし外国商品の価格が低廉でありより少ない部分が

当てられるならば国内需要にたいしてより大きな部分が自由に使えるであろうより大きな

部分であればより少ない資本が用いられ国内生産にたいするより少ない需要が当てられる

であろう資本が解放 されるならそれでもって外国商品が買われるそれゆえすべての場合

に外国生産物と国内生産物との合計にたいする需要は価値に関する限りその国の収入

と資本とによって制限される一方が上昇すれば他方は減少 しなければならない」」61)

60)MarxHistwisch-partkm ische(PariserHejie)1843-45ExzerpteausDavidRicardoDes

principesdel6conomiepolitiqueetdelimp6ttraduitdeConstancioetcParis

1835TIundⅡMEGAⅣ2S409

61)MarxLondonerHefte1850-1853HeftⅧExzerpteausRicardo(David)Onthe

principlesofpoliticaleconomyandtaxation3edLondon1821DerauswartigeHandel

undderTauschwerthMEGAⅣ8SS36ト70

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

68 季刊経済研究 第22巻 第4号

(2)「相異なる諸国における交換価値の規定」

「一国における商品の相対的価値を規制する同じ規制 (dieselbeRegel)は相異なる

諸国のあいだで交換される商品の相対的価値を規制 しない完全な自由貿易制度(System

vllstandigerHandelsfreiheit)のもとでは各国はその資本と労働をそれぞれもっと

も有利な職業 (Beschaftigungen)に向ける - それによって労働をもっとも有

効にかつもっとも経済的に配分する他方生産の全般的数量 (generalmass)を増加

することによってそれは全般の利益(general benefit)を普及させそして利益と交通

とい う一つの共通 の紐帯によって文明世界全体 にわた る諸国民の世界社会(the

universalsocietyofnationsthroughoutthecivilizedworld)を結びあわせる」62

(3)「続き (相異なる諸国における交換価値の規定- 引用者)」

「同じ国内では利潤は一般に同一水準にあるかあるいはその相違は資本の使用の

安全と快適の多少にもとづくにすぎない相異なる諸国のあいだではそうではない刺

潤に万一違いがあれば資本は急速にロソドソからヨークシャへ移動するしかしかりに

資本と人口の増加の結果 〔生産率が低下賃金が〕上昇し利潤が低下 したとしても質

本と人口がイギリスから利潤が高いかもしれないオランダまたはスペイソまたはロ

シアへ必然的に移動することはない かりにポル トガルは一定分量の織物

(Tuch)を生産するのに90人また一定分量のワイソ (Wein)を生産するのに80人を必

要とし他方イギリスは織物に100人ワイソに120人を必要とすればポル トガルはワ

イソをイギリスは織物を輸出するであろう ポル トガルがイギリスの織物と

交換に与えるワインの分量はかりに両商品がイギリスまたはポル トガルにおいて生産さ

れたとしてもおのおのの生産に用いられる労働のそれぞれの諸分量によっては規定され

ない この交換はポル トガルによって輸入される商品がそこではイギリス

におけるよりも一層少ない労働で生産されうるとしても行なわれるポル トガルは織物

を90人の労働で製造 しうるとしてもその生産に100人を必要とする国からそれを輸入す

るであろうというのはポル トガルはその資本の一部分をワイソの生産から織物の

生産に転換するよりポル トガルはイギリスの多くの織物を受け取るワインの生産にその

資本を使用するほうが有利 (vortheilhaft)だからであるそ うだからイギリスは80

人の労働の生産物にたいして100人の労働の生産物を与えるであろうこのような交換

は同一国の個人のあいだでは行なわれえない 一国と多数国とのあいだのこ

の関係の差異は資本がより有利な職業(vortheilhaftereBeschaftigung)を求めて一国

から他国-移動する困難 (Schwierigkeit)と他方同一国では資本がつねに一地方か

ら他地方-移る活動 (Thatigkeit)との考察によって容易に説明される - 」63)

62)EbendaS372

63)EbendaSS381-82

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 69

マルクスの諸ノー トにおけるリカー ドウ外国貿易論抜粋から明らかになったのは社会的

に必要な労働時間による価値規定の法則すなわち価値法則が 「商品交換」から 「資本と労

働との交換」や 「国際的交換」などより複雑な課題に移行するさいにこの法則がどのよう

に貫かれるかというプロプレマーティ)ク (Problematik)であった

それゆえマルクスの リカー ドウ外国貿易論にたいする根本的批判は 「資本と労働との

交換」を課題とし価値法則にもとづいてこれを解決 した 『資本論』第-部第 2篇第4章

「貨幣の資本への転化」の第 2節 「一般的定式の矛盾」 (Widerspr故chederallgemeinen

Formel)のなかに集約されると思われるその論拠をいくつか列挙 してみよう

(1)「使用価値に関する限りでは交換者は両方とも利益を得ることができるということは

明らかである」叫(2)「交換価値のほうはそうではない」65 (3)「だから使用価値に関 し

ては交換者が両方とも得をすることがありうるとしても両方が交換価値で得をすることは

ありえないのであるここではむ しろ 「平等のあるところに利得はない」 (Dove6egualitanon61ucro) (ガ リアーニ 『貨幣について』 〔GalianiDellaMmeta〕- 引

用者)ということになるのである - その純粋な姿では商品交換は等価物の交換

(AustauschYonÅquivalenten)であり したがって価値を増やす手段ではないので

ある」66)(4)「商品流通を剰余価値の源泉として説明しようとする試みの背後にはたいて

い一つの取り違え (Quidproquo)がつまり使用価値と交換価値との混同 (Verwechselung)

が隠れているのである」67) (5)「とはいえものごとは現実には純粋には行なわれない

そこでわれわれは不等価物の交換 (AustauschYonNicht-Åquivalenten)を想定 して

みよう」68) (6)「なにか訳のわからない特権」69)(irgendeinunerklarlichesPrivilegium)

の仮定や 「売ることなしにただ買うだけの したがってまた生産することなしに消費する

だけの一つの階級」70)の想定をしてみても 「要するにどんなに言いくるめようとして

も結局はやはり同じことなのである等価物が交換されるとすれば剰余価値は生まれない

し不等価物が交換されるとしてもやはり剰余価値は生まれない流通または商品交換は価

値を創造 しないのである」71) (7)最後は 「ここがロドスだ さあ跳んでみろ 」 (Hic

Rhodushicsalta)72) この 「イソップ寓話」はひとり 「資本と労働との交換」だけ

でなく 「国際的交換」にも適用されるものであり第-の交換 も第二の交換も同じく価

64)MarxDasKaPitalIMEWBd23S171

65)EbeyuiaS171

66)EbepuiaS173

67)Ebenda

68)Ebenda

69)EbendaS175

70)EbendaS176

71)EbendaSS177-78

72)EbendaS181

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

70 季刊経済研究 第22巻 第 4号

値法則にもとづいて解き明かさなければならないものなのである

第二は リカー ドゥの第20章 「価値と富それらの特性」のなかの 「価値と富」の区別で

あるが世界価値論にとって重要なのはこの区別のほうではなく 「100万人の労働」論73

にたいするマルクスの批判に関連 しているものである

「製造業における100万人の労働はつねに同一の価値を生産するであろう しかし必ず

しもつねに同一の富を生産 しないであろう機械の発明熟練の向上よりよい分業ある

いはより有利な交換がなされうる新市場の発見によって一つの社会状態において100万

の人は彼らはある他の状態において生産しうる富のすなわち 「必需品便宜品およ

び娯楽品」 (アダム スミス- 引用者)の二倍三倍の量を生産するかもしれない し

かしそれだからといって彼らは価値に少しも付加 しないであろうというのはあらゆる

物の価値が騰落するのはそれを生産することの難易に換言すればその生産に使用され

る労働量に比例 してであるからである」

マルクスは100万人の労働はつねに同一の価値を生産するというリカー ドゥのこの 「100

万人の労働」論にたいする批判を通して国際価値論究極的には世界価値論をつくり上げ

ていったすなわち リカー ドゥの 「100万人の労働」論とそれをを支える 「それを生産す

ることの難易 (thefacilityordifficultyofproducing~lrt)」および 「その生産に使用 さ

れる労働量 (thequantityoflabouremployedonitsproduction)」論を解体 して

『資本論』第一部第6篇第20章 「労賃の国民的差異」における国際間における価値法則のモ

ディフイカツイオーソ (Modifikation修正部分的変更変容など)労働時間労働の

強度および生産性世界労働などのキイ概念をつぎつぎと導きいれ世界価値論を構想 した

のである

参考までに次号の表4「マルクスの世界価値論」 (テクス トⅣ)に掲載 しのちに検討

するように リカー ドゥの 「100万人の労働」論にたいするマルクスの批判は 『経済学批

判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本

-の再転化」のなかにつぎのように書かれているものである

「リカー ドゥがたとえば100万人の人間は ()労働の生産性の程度 (Grad

derProductivitatderArbeit)とは無関係に毎年つねに同一の価値 (derselberWedh)

を生みだすのだと言 うときそれは誤っているいるのである機械装置動物肥料痩

物運河鉄道等々を用いて労働する100万人はこの大量の対象化された労働の助けな

しに生きた労働を行なう100万人よりもはるかに高い価値 (ungleichhbhrerWeylh)を再生

産する たとえば綿糸工場で糸を紡いでいる一人のイギリス人労働者をとって

みよう彼は紡ぎ車 (Spinnrad)と紡錘 (Spindel)で糸を紡 ぐ200人のインド人紡ぎ工

73)中川信義 「世界価値論序説 (Ⅰ)」本誌17巻4号1995年 3月 同 「世界労働 世界価値

世界的市場価値 (Ⅱ)」本誌21巻 2号1998年 9月参照

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 71

(Spinner)あるいは中国人紡 ぎ工 〔よりも〕多 くの糸を紡 ぐそ してこのイギリス人労

働者がイン ドの綿花を紡いでいるとしよう労働 日の長 さと平均的強皮 (L左ngeund

durchschnittlichelntensivit益tderArbitstags)とが等 しいと想定 して相異なる国民の

労働日 (ArbitstageverschiednerNationen)を比較すると普遍的な価値法則の諸モディ

フイカツイオ-ソ (ModificationendesallgemeinenWerthgesetzes)が生 じるがこれ

らはここではどうでもよいものとして無視することにしよう この場合200人のイギリ

ス人労働者は200人のインド人労働者よりも多 くの価値を創造するわけではない付加され

るわけではないと言 うのは正 しいであろうそれにもかかわらず彼らの労働の生産物-

ここで生産物 と言 うのは総生産物の ことである- は きわめて異なった価値 (sehr

verschiednerWerth)を持つであろうそれはイギリス人紡績工が同一時間内にインド

人紡ぎ工の200倍の量の綿花を糸に転化させ したがってイギリス人紡績工の労働は200倍生

産的だというだけのことではないである - 」74(強調はマルクス)

周知の通 りマルクスは古典派経済学が容赦することなく最後の結論を引き出したイギ

リスの リカー ドゥとその古典派経済学にたいする疑惑を示すことによってその終結を補完

したフラソスのシスモソディの二人をペティボワギルベール (BoisguillebertPierre

lePesant)に始まる古典派経済学の終わりの代表者とした

シスモンディは さきに見たように世界市場 (lemarch6deluniverslemarch6

universel)に関 してはブローデル (BraudelF)が最初の名づけ親としての名誉を彼

に与えたものだが世界価値論- 世界価値論 (世界的市場価値論)の前提となるシスモン

ディの価値 価格論- についてはどうであろうか

その世界市場論や過少消費説に立つ恐慌論資本主義的生産様式にたいするプチ ブルジョ

ア的社会主義的批判資本の現実的運動 (競争 および信用)論 などを主内容 とす る

≪NouwauxZwi7WiPesdcconomieかJitique≫ (『経済学新原理』)にたいして ≪Etudes

surlccmomiePolitique≫ (『経済学研究』)第2巻第16試論 「通貨 流通資本 銀行につ

いて」のなかに価値 価格論- マルクスも 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のな

かで注 目したシスモンディの価値 価格論- に関するつぎの長文の一節が兄いだされる

この文章は前号の表2の世界価値に関する諸学説 (テクス トⅡ)に掲載 したものであり参

照されたいここでは長文なので全体を二つの部分に分けて論評することにしたい

第一の部分は 「富の本性」である効用と 「富の偶然的な性格」である交換価値との対立

それが商業の導入によって前者の後退と後者の優位につくり変えられていくことへの挽歌

とも言 うべき一節である

「商業は富の本性 (caract占reessentieldesrichesses)である効用 (1utilit6)を消 し

74)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII36

SS223(ト31

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

72 季刊経済研究 第22巻 第 4号

て しまうのだがそれはただ富の偶然的な性格(caractbreaccidentel)である交換価値

(valeur占Changeable)を存在させるためである商業が導入される以前人々が 自分で調

達することしか考えなかったときは生産物の量の増大は富の直接的増大であった当時は

個々の有用物がどれほどの量の労働と引 き換えに獲得されるかは問題ではなかった家長

(paredefamille)は彼の穀物倉庫が2倍になったとき2倍に豊かになったと感 じたた

とえこのたっぷりの収穫が不作の場合と同じ程度の労働 しか費やさなかったとしてもそうで

あった彼の妻は2倍の布地を所有 したとき 2倍豊かになったと感 じたたとえこの布

地が改良された織機(m6tierperfectionn占)で織られこれまでの半分の時間で(endeux

fo主smoinsdetemps)作られたとしてもこれを気にかけることはなかったなによりも

欲求されたものはそれを獲得するためにいっさい労働を必要としなかったときでもその

効用を失ったりはしない小麦と布地はその所有者たちがそれを道で拾ったりそれが空

から降ってきたとしても効用が小さくなったりはしないであろう疑いなく富の真の評

価(lavraieappr占ciationdelarichesse)は効用であり享楽(lajouissance)である」

第二の部分はこのようなシスモソディ的商業批判だけではなく 「効用にもとづく価値」

すなわち使用価値にたいする 「交換価値の評価」を 「全社会の欲求とこの欲求を満たすた

めに必要な労働量」あるいは 「むしろ将来それを満たすことのできる労働量との割合にも

とづく価値」と規定 した有名な一節である

「しかし人々が彼ら自身の欲求を自ら補給することをやめるやいなや彼の生計を彼ら

がはいりこむ交換すなわち商業に依存するようになるやいなや人々はもう一つの評価す

なわち交換価値の評価すなわち効用にもとづ く価値ではなく全社会の欲求 (1ebesoin

detoutelasoci占t6)とこの欲求を満たすために必要な労働量 (laquantit6detravail

quiasuffipoursatisfairecebesoin)あるいはむ しろ将来それを満たすことのできる

労働量との割合 (rapport)にもとづく価値と結びつくことをよぎなくされるこの交換価

格 (prix6Changeable)市場価格 (prixdumarch6)は経済科学という抽象性にお

いてかくも豊かな科学が提示する概念のなかでももっとも抽象的な概念である」

マルクスがその 『経済学批判』 「商品の分析の史的考察」のなかで 「アダムスミスとは

反対に 労働時間による商品の価値規定を純粋に仕上げこの法則がそれと表

面上もっとも矛盾するように見えるブルジョア的生産諸関係をも支配することを示 した」75)

リカー ドウその人よりもシスモソディを積極的に評価 したのはこの点であった 「シスモソディは リカー ドゥとの直接の論争で交換価値を生む労働の特有な社会的性格を強調す

るとともに (マルクスの注記 「商業はすべてのものを使用価値と交換価値との対立に帰着

させた」 〔『経済学研究』第 2巻162貢〕- 引用者)価値の大きさを必要な労働時間

75)MarxZurKritikderolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII2

S137

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 73

(nothuendigeArbeitszeit)に還元すること 「全社会の欲求 (Bedurfniadeganzen

Gesellschaft)とこの欲求を満たすに足 りる労働量 (QuantitatArbeitdiehimeicht

diesBedurfniBzubefriedigen)とのあいだの割合 (Verhaltni丘)」に還元することを

「われわれの経済的進歩の性格」と呼んでいる」 (強調はマルクス)と書き経済学史上もっ

とも有名なものの一つ 「リカー ドゥにおいて政治経済学 (diepolitischeOekonomie)

が容赦することなくその最後の結論を引き出しそれでもって終わりを告げたとすればシ

スモンディは政治経済学の自分自身にたいする疑惑 (Zweifel)を示すことによってこ

の終結を補完 しているのである」76)と結んでいる

しかしこの場合見落とされてはならないことだがシスモンディのこの 「交換価格」

「市場価格」論は単なる価値 価格論ではなく世界的市場価値論の展開に結びつく

『資本論』第三部第2篇第10章にある市場価格または市場価値が対象であるということであ

るなぜなら 「全社会の欲求」 (1ebesoindetoutelasoci6t6Bed血fniBderganzen

Gesellschaft)と 「この欲求を満たすために必要な労働量」 (laquantit6detravailquia

suffipoursatisfairecebesoinQuantitatArbeitdiehinreichtdiesBedurniBzu

befriedigen)とのあいだの 「割合」 (rapportVerhaltniB)に還元 してまず個別的価値と

社会的価値との関係を明らかにし 「このことを-部面全体の生産物として市場にある商

品大量 (Warenmasse)にあてはめ」77)市場価値を規定するのがマルクスが 採用 した

市場価値論の方法であったからである 「商品が使用価値を持っており したがってある社

会的欲求 (gesellschaftlichesBed血寸nis)を満たすということは売りの一方の前提だった

他方の前提は商品に含まれている労働量は社会的に必要な労働を表わしており したがっ

て商品の個別的価値 (お よび この前提の もとでは同 じものであるが販売価格

〔Verkaufspreis〕)は商品の社会的価値と一致するということだった」78)

市場価値の規定においてもっとも重要なことはそれが個々の商品についての社会的に必

要な労働時間による価値規定ではなくここに言う 「-部面全体の生産物として市場にある

商品大量」についての価値規定であるという基本的認識であるすなわち 「全商品量(die

ganzeWarenmasse)つまりさしあたり一つの生産部門のそれを一つの商品と考え多数

の同種商品の価格の一つの価格に合計されたものと考えてみる場合」(強調はマルクス)79)の

規定でありそうすれば個々の商品について言ったことがこんどはそっくりそのまま

市場にある一定の生産部門の商品量にあてはまり 「商品の個別的価値が商品の社会的価値

に一致するということはいまでは商品総量 (Gesamtquantum)はその生産に必要な社

会的労働を含んでいるということにそしてこの商品量の価値はその市場価値に等 しいとい

ーnH一Ei-EidEu一

6

7

8

9

7

7

7

7

血クY励

_+

prime血クY

S138

DasKaZdtalDMEWBd25S191

SS191-92

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

74 季刊経済研究 第22巻 第4号

ぅことに現実化されており言い換えればいっそう進んで規定されている」釦というこ

とである 「商品大量」 「商品総量」を考慮にいれなければならないことから最良また

は上位中位最悪または下位といった生産諸条件の差異というやっかいな問題が生 じる

しかしいずれにせよここではキイ概念であるシスモソディの 「全社会の欲求」マル

クスの 「社会的欲求」 (gesellschaftlichesBedurfnis)を確認することである

なおマルクスの 『ブリュッセル ノー ト 1845年』のノー ト2「ジャソシャルル レ

ォナル ドシモソドドシスモソディの 『経済学研究』第 2巻からの抜粋」には 「商業

はすべのものを使用価値と交換価値との対立に帰着させた」 「われわれの経済的進歩の性

格は商業が年々生産 される富の全体を分配する仕事を引き受けることその帰結として商

業は富の使用価値としての性格を完全に抑圧 して交換価値の性格だけを存続 させたと

いうことである」 (強調はマルクス)および 「全社会の欲求とこの欲求を満たすために必

要な労働量との割合」81)等々の文章が抜粋されていることは言 うまでもないマルクスは

この 『ブリュッセル ノー ト』をもとに14年後にさきの 「商品の分析の史的考察」のシス

モソディ論を書いているのである

最後にJSミルの 『経済学原理』第 3篇第18章 「国際価値 (IntePmti伽αlValues)につい

て」を取 り上げるが筆者はイギリスではぺティフランスではケネーに始まりスミス

やシスモソディなどを経てintSミルに終わるこの世界価値に関する諸学説という節を結

ぶにあたってintSミルの 「国際価値」論- 国際交換価値論- とマルクスの 「国際価値」

論- 世界価値論- とのあいだの落差のあまりの大きさに驚きを禁 じえない

「ラシャはすべてイギリスで作られワイソは全部スペイソで作られるのであるから こ

れらのものは生産費の法則 (law ofcostofproduction)は当てはまらないとさきにわ

たしたちが判定 したある事情のなかにある訳である したがってわたしたちは前に同

じような困惑に際会 したときになしたと同じようにそれに先行するところの法則にすな

わち需要供給の法則 (law ofsupplyanddemand)にたち帰 らなければならない」

しかしJSミルの数少ない独創的研究は主著 『経済学原理』 よりも1844年に出版された

『経済学の若干の末廃決の問題に関する試論』 (Essaysonsomeunsettledquestionsof

zx)liticalecmomy1844)のなかに全部含まれていると言われている とくにその第-試論

「諸国民間の交易の法則および商業世界の諸国民問への通商の利得の分配 について」

(OftheLawsofInterchangebetweenNationsandtheDistributionoftheGains

ofCommerceamongtheCountriesoftheCommercialWorld)はintSミルが リカー

ドゥの 「比較的生産量」説を批判的に継承 して 「相互需要」説をはじめて述べたものとし

80)EbendaS192

81)MarxBribselerHePe1845Heft2ExzerpteausJeanCharlesLeonardSimondede

Sismondi如udessurl6conomiepolitiqueT2MEGAⅣ3SS176191

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 75

て有名であるそこには こう書 きだされている

「政治経済学が リカー ドウ氏によって豊かならしめられた諸々の真理の うち諸国民がそ

の生産物の相互的交易 (mutualinterchange)から引 き出す利益 (advantage)について

彼が行なったより正確な分析以上に知識のこの部門が備えている比較的に精歓に して科学

的な性質をこれに与えることに貢献 したものはなかった彼の時代以前には外国貿易の利

益 (benefitsofforeigntrade)は もっとも哲学的な研究者たちによってす ら剰余生産

物のための捌け口 (aventforsurplusproduce)を供することにあるいは国民的資本

の一部をしてそれ自身を利潤を伴って代置することを得 しめることにあると考えられていた

日 日 けれども(リカー ドゥの- 引用者)「外国貿易について」の章ではじめて従来の

たとえ積極的に誤 ってはいないにしても暖味にして非科学的な貿易の利益に関する見解に代え

るにこの利益の性質を厳密な精撒 きをもって説明 しかつその分量の正確な尺度を供すると

ころの一つの哲学的説明をもってしたのはこの人であった彼の明らかにしたところによると

諸国民間の商品の交易の利益はひとえにこれによって各国が与 えられた分量の労働 と資本

とをもって全体 としてのあらゆる商品のより大なる数量を獲得 しうるという点 にあるそれはこ

れを各国をしてある分量の労働 と資本を要 したある数量の一商品をもってある数量の他の

商品のもしも国内で生産 されたならばより大 きい分量の労働と資本を必要 としたはずのものを

購買することを得 しめることによって成就する - 交易を決定するものは絶対的生産費

の較差 (differenceintheabsolutecostofproduction)ではなくて比較的費用 の較差

(differenceinthecomZwatiwcost)である」82) (強調はJSミル)

マル クスのJSミルの 「相互需要」説にたいす る論評はつぎの二点である第一点は

『マソチェスター ノー ト 1845年』のノー ト5「ジョソ ステユアー トミル 『経済学の

若干の未解決の問題に関する試論』 からの抜粋」において 「第一試論 諸国民のあいだの交

換の法則について」の冒頭の一文を抜粋 してマル クスはつぎの短評を加えている

「1)二国のあいだの 「交換 を決定す るのは絶対的生産費の差異 (Differenzinden

absoluten〔Productionskosten〕)ではな く相対的生産費の差異 (〔Differrenz〕inden

ylelatiuenProductionskosten)である」2ページ

「イソグラソドの鉱山がその製造工場 と同様にスウェーデソのそれより生産的であったと

して も綿製品 と交換 して スウェーデ ソか ら鉄 を手 にいれ るのがわが国 の利益 (our

advantage)であろう とい うのはわが国はもし綿製品にあって二分の一のまた鉄に

あってはただ四分の-だけの利益 (Vortheil)を持つとしかつスウェーデ ソ自ら生産 した

ならば支払わねばならない価格をもってわが国綿製品をスウェーデンに販売できるとしたな

82)MillJohn StuartEssayonsomeunsettledquestionsofPoliticaleconomyLondon

1844ppト2(intSミル 『経済学試論集』末永茂音訳岩波文庫1948年 7-9貢)do

EssayonsomeunsettledquestionsofPoliticalecmomyCollectedWorksofJohn Stuart

MillvolⅣUniversityofTorontPressRoutledgeamp KeganPaul1967pp232-33

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

76 季刊経済研究 第22巻 第4号

らばわが国綿製品と同じく鉄をも二分の一の利益をもって受け取るだろうからである」

2ページ 「この貿易 (Handel)は外国人たちにとっても有利 (vortheilhaft)であるそ

の訳は外国人が交換で受け取る商品はわが国にとって費用がより少なかったけれども外

国人にとってはより多 くの費用を要 しただろうからである」2 3ページご立派なナン

センス (SchanerUnsinn) 」83 (強調は本文がJSミルゴチックはマルクス)

第二点はintSミルの 「相互需要」説にたいしては 「ご立派なナソセソス 」だけでなく

対外商業の利潤と国内商業の利潤との区別についてのセ-- リカー ドウ論争に関する 「価値

の法則は本質的なモディフイカツイオ-ソを受ける」という一句に続 く富国による貴国の

「搾取」 (Exploitation)- 価値の点から見て- と貴国の 「利益」 (Gewinn)- 使

用価値の点から見て- とが両立するという一節のなかにJSミルが出て くる

「このような場合にはより富んでいる国がより貧乏な国を搾取する (exploitieren)

ことになりそれはたとえあとの国が交換によって利益を得る (gewinnen)としても

そ うである このことはintSミルの 『経済学の若干の未解決の問題に関す る試論』

(someunsettledquestimsetc)のなかで説明している通 りである」84)

Ⅳ マルクスの世界市場論

マルクスの世界市場論というマルクス経済学あるいは 「マルクス学」 (Marxology)最大

の課題に接近するためにまずそのテクス トについて大づかみな素描を与えることから始

めたいⅣ 「マルクスの世界市場論」 (本号)とⅤ「マルクスの世界価値論」 (次号)の両

節に分けて掲載 した (または掲載予定の)表 3 「マルクスの世界市場論 (テクス トⅢ)」

と表4 「マルクスの世界価値論 (テクストⅣ)」の作成にあたっては年末年始の短期間で

すべてマルクス執筆あるいはマルクスエンゲルス執筆の独仏英語のいわゆる原典にあた

ることをよぎなくされた

大月書店版 『マルクス エンゲルス全集』全52冊 (本巻45冊別巻 3冊および補巻4冊)

は ≪KarlMarxFriedrichEngelsWerke≫ (いわゆるヴェルケ版)の ドイツ語版をもと

にしているが翻訳のほうはすべてがそうではないフラソス語のものはフラソス語版から

英語のものは英語版から翻訳 してあるマルクスの世界市場論は 『フラソス語版資本論』

を含む 『資本論』全三部 『自由貿易問題についての演説』 (フランス語テクス ト)をは じ

めイソド論や中国論 (英語テクス ト)などが掲載されている 《NeltT-YwkDailyTn-bune≫

(『ニューヨークディリトリビューン』)などは独仏英の各国語で書かれている

83)MarxMayuhesterHefte1848Heft5ExzerpteausJohnStuartMillEssayonsome

unsettledquestionsofpoliticaleconomyMEGAⅣ4S329

84)MarxZurKritikderPolitischenOkonomie(ManuskriPt1861-1863)MEGAII34S1296

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(ⅠⅠ) 77

ここではそのうち以下の三点についてだけ簡単に解説 してお くことにしたい

第-は ≪βiedeutscheIdeologie≫ (『ドイツ イデオ ロギー』) と ≪肋 6edela

PhilosoZhie≫ (『哲学の貧困』)のテクス トをどうするかという点である前者は数年前

から使 っている虞松渉編訳の 『ドイツ イデオロギー 第 1巻第 1篇』 (河出書房新社

1974年)を用い本文では随時服部文男監訳の 『 〔新訳〕 ドイツ イデオロギー』 (新 日本

出版社1996年)を参考に した後者は 《加sElendderPhllosoPhieDeutschvn

EBernsteinundKKautskyMitVorwortundNotenYonFEngels≫ (「ベルソシュ

タインとカウツキーによる ドイツ語訳エンゲルスの序文と注をつけて」)ではもちろんな

く平田清明訳の1933年の旧MEGA第一部第 6巻所収のもので もな く大阪市立大学のゾ

ソバル ト (SombartWerner)文庫のフラソス語初版本すなわち 『哲学の貧困』 (パ リ

およびブリュッセル1847年)を用い翻訳は平田訳によった

第二は 《成stwisch-partkmomischeStudien(PanserHefte)1843-45≫ (『歴史 経済学研

究 (パ リノー ト)』)や ≪ManchesterHefte1845≫ (『マ ンチェスター ノー ト

1845』) 《励isselerHefte1845≫(『プルエッセル ノー ト 1845年』) ≪エondmer

Hefte1850-1853≫ (『ロソ ドソノー ト1850-1853』刊行中)などの リカー ドゥシス

モソディintSミルなどの世界市場および世界価値に関する抜粋 ノー トをどうするかという

点である全122巻の刊行が予定 されている新MEGA《Mam-Engels-Gesamtausgabeca122

Bde≫は全4部構成をとっていて第 Ⅰ部が著作 論文 草稿第Ⅱ部が 『資本論』 と

その手稿 (大月書店版 『資本論草稿集』全 9巻完結)第Ⅲ部が書簡および リカー ドゥ

をは じめこれらの抜粋 ノー ト類が収められている第Ⅳ部が抜 き書 き摘要覚え書 き欄外

注記その他になっている表4 「マルクスの世界価値論 (テクス トⅣ)」すなわちマル

クスの世界価値論形成史はこの新MEGAの第Ⅱ部 と第Ⅳ部を主 として用いた

第三 はマル クスのイソ ド論85)や 《CorresOndencerelativetotheEarlofElgins

SZecialMlssimstoChiM aruiJaZxm1857-1859≫(『中国および 日本-のエルギソ伯の特

派に関す る往復文書』)と題する青書(bluebook)のなかの有名な 「ミッチェル報告書」86)

造』 (東京大学出版会1969年所収)参照マルクスのイソ ド論だけでなくマルクスのアジ

ア論とくにアジア的生産様式論争批判については小谷江之 『マルクスとアジア- アジア的生

産様式論争批判』 (青木書店1979年)およびマルクスや大塚久雄の共同体論批判については

同 『共同体と近代』 (青木書店1979年)参照なお小谷氏にはイギリス植民地以前のイソ

ド社会についての優れた研究がある同 『イソドの中世社会- 村 カースト領主』 (岩波書

店1989年)参照

86) 「ミッチェル報告書」の成立事情およびその内容とくにミッチェルによる貿易の現状分析と清

国家内工業観についてはつぎの二つの論稿が詳しい衛藤津書 「ミッチェル報告書について」

(『東洋文化』第20号1956年のち同 『近代中国政治史研究』東京大学出版会1968年に収

録) 田中正俊 「西欧資本主義と旧中国社会の解体」 (『前近代アジアの社会と法』 〔仁井田陸

博士追悼論文集第一巻〕勤草書房1967年所収のち同 『近代中国経済史研究序説』東京

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

78 季刊経済研究 第22巻 第4号

に論評 を加えている 「中国 との貿易」などが掲載 されている 《New-YwkDailyTnbune≫87

(『ニュー ヨー ク デイ リトリビュー ソ』)のテクス トをどうす るかとい う点であるマ

ルクスの中国論 については従来は全17の論説が収め られている ドナ トー (DonaTorr)

編集の ≪Marxm Chi拘α1853-1860Auiclesfy10m TheNeuJYwkDairyTnbuheLondon

LawrenceampWishart1951≫ (『マル クスの中国論』)が用い られて きたがいまではマ

ル クスのイ ソ ド論 を含 む全論説 が収録 されてい る 《KwIMarxFrederickEngesCollected

WwksMECW≫(英語版 『マル クス エソゲルス著作集』)を用いることがで きる

表3 マルクスの世界市場論

年 代 マルクスの世界市場論 (テクストⅢ)

マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』 「〔緒論〕Ⅰフォイエルprimeくッ

bpl

「当の競争は最初のうちはかなり市民的 (biirge川ch)に堅実に行なわれていたがやがて

ドイツの市場が供給過剰になりどんなに努力しても商品が世界市場 (Weltmarkt)でなんらの

反響をも見出ださなくなると くの形をとった〉 く〉商売は く仮装的生 〔産〕

による〉いつもの ドイツ流儀に則って (nachgewbhr川cherdeutscherMainer)粗製濫造と

仮装生産 く材 〔料〕の〉晶質の粗悪化原料の くいんちき〉すりかえ空売空買手形交換

そして一切の く現物的〉実在的な く土 〔台〕〉基盤を欠く信用制度によって くいつものドイツ

流儀に則って〉不堅実にされた競争は戦争へと到った」 (KarlMarxFriedrichEngelsDie

deutscheldeologieINeuwrBjJTentlfchungdosAbschnittes1dosBandes1mitTex卜krttischen

AnmerkungenHrsgvonWataruHiromatsuKawadeshobo-ShinshaVerlagTokyo

1974S9マルクスェソゲルス 『ドイツイデオロギー 第 1巻第 1篇』虞松捗編訳河出

書房新社1974年9貢強調 〔ゴチック〕は本文)

同上書 「フォイエルノミッ- Alイデオロギー一般殊にドイツ哲学 A」

「- 財産がそもそも一つの歴史を持ちさまざまな姿態を取るということそして

大学出版会1973年第二篇第三章) 「イギリス綿布が中国に売れないという壁に直面 したの

ち中国自体の経済組織に着目したものに二人の人物がある一人はさきに見たマルクスであ

り他の一人は ミッチェルであった ミッチェルWHMitchellのいわゆる 「ミッチェル報

告書」は英中通商に成長の問題また一般に中国におけるイギリスの立場とその見通 しの問題

に関する香港総督ボナムSGBonhamの調査の一部に応えるため香港においてボナムに宛

てて1858年 3月15日付で書かれたがのち中国へ派遣 されていたエルギソ伯JBruce8th

EarlofElginによって1858年 3月はじめてイギリス外務省に送 られようやく1859年にい

たってエルギソ伯の中国派遣に関するブルーブックの収録文書として公刊されたものである」

(田中 『近代中国経済史研究序説』177貢) 「ミッチェルによる貿易の現状分析- かつて

アへソ戦争は 「人類の三分の一」と貿易がはじまるという気ちがいじみた空想をもたらし -

「ラソカシャーの全工場といえどもこの国の-省に十分なほども靴下の材料を製造すること

ができない」- - _しかし今や貿易の障擬となるようなものは取 りのぞかれ条約は十分

な役割を果たしてきたのにかえって本国製品の輸出は減っている」 (衛藤 『近代中国政治史研

究』228頁)

87) Weu-YwkDailyTribune≫ (『ニューヨークデイ リトリビューン』)のイギ リス恐慌

史に関するマルクス エソゲルスの論説とくに最初の世界市場恐慌の1857年恐慌についての記述

に関 しては三宅義夫 『マルクスエソゲルス イギリス恐慌史論 上下巻』 (大月書店1974年)を参照されたい

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 79

(たとえば)土地財産所有がそこに現前した相異なる前提に応じてフランスでは (大土地所

有)零細所有から少数者の手-の集中 (Zentralisation)が促進されイギリスでは少数者の手

への集中から零細所有化が進行するというような今日現に見られるような歴史的経過がどうし

て起こりえよう あるいはまたいったいどうしてそもそも (〔需要と供給の〕関 〔係〕)さまざまな諸個人ないし国々の (個々の)生産物の交換たるにすぎない商業が需要と供給の関

係を通じて全世界 (dieganzeWelt)を支配するというような事態が生ずるのか- 」

(EbedaS36同上訳36頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「この 「疎外」 (En的emdung)- - - - はもちろん二つの実践的な前提のも

とにおいてのみ止揚されうる つまり人々がそれに反抗して革命を起こすような威

力になるためにそのために必要なこととしてそれが 〈一つの〉人類の大衆をまったくの 「無

産者」として生みだしてしまっていること くこのことは〉しかも同時に 〔彼らを〕現前す

る宮と教養- これらの両者は生産力の高度の発展を前提する- の世界との矛盾において生

みだしてしまっていることそ して反面では生産力のこの発展 (これに伴って同時にすでに

く地方的なそれの代わりに世界史的な (WeltgeschichtHch)〉地方的な定在に代わって人間中里

界史的な定在において現前する経験的な実存が与えられている)が 〈すでに〉まさしくつぎの

理由からしても絶対的に必要な実践的な前提であるその理由というのは生産力の発展なしに

は旦量が普遍化される (verallgemeinert)にすぎずしたがって鹿追Iこ伴ってまたもや必要

物をめぐる抗争も再開され旧弊がことごとく再生されざるをえないということさらに言えば

生産力のこの世界的発展 (universelle Entwicklung)に伴 ってのみ人々の世界的交通

(universeJlerVerkehr)が定立されるのであってそれゆえ一方では 「無産」大衆という現

象をあらゆる国民中に同時に く現われ〉生 じしめ (くかの〉普遍的競争 (allgemeine

Konkurrenz)) くそして いまや〉それら諸国民のおのおのを他国民の変革に依存す

るようにさせ くるこのことなしには〉そして最後に世界史的 (Weltgeschichtlich)な経

験的に世界的諸個人 (universellelndividuen)を地方的な諸個人にとって代わらせてしまうとい

うことにあるこのことなしには 1)共産主義 (Kommunismus)は地方的なものとしてしか

実存Lえず くそして〉2)交通の く疎遠〉塵力そのものが世界的な (universell)それゆえ

耐え難い威力として発展してしまうこともありえずそれは局地的一因習的な 「厄介事」という

域にとどまることであろうしそして3)交通の拡大に伴って順次地方的共産主義が廃止される

ことになるであろう共産主義は経験的には主要な諸国民の営為として 「一挙的」かつ同時

的にのみ可能なのであってこのことは生産力の世界的発展およびそれと結びついて世界交通

(weltverkehr)を前提している」 (EbedaS37同上訳36-39貢強調 〔ゴチック下線〕

は本文)

「ちなみに素寒貧の労働者大衆- - - - はそしてそれゆえにまた確実な生活

源泉たる労働このまったく不安定な状態そのものが競争によってもはや一時的でなく

喪失されてしまうことは世界市場 (Wel廿markt)を前提するプロレタリアートは く- 〉

かくして世界史的にのみ実存しうるのであってそれはプロレタリアー トの営為たる共産主義が

「世界史的な」実存としてしかもそもそも現前しえないのと同様である 諸個人の世界史的な実

存すなわち く物質的に〉直接的に くあらゆる - の歴史〉世界史と結びついている諸

個人の実存」 (EbendaS39同上訳39頁強調 〔ゴチック下線〕は本文)

「さてこの発展の途上 相互に作用しあう個々の範域が拡大すればするほど個々の民族体

(einzelneNationalit益ten)の く閉 〔鎖性〕)原初的な閉鎖性が- より陶冶された く交 〔通形

態〕)生産様式や交通 く形態)によってそして (大衆的規模での)これらによって自然生的に

もたらされる相異なる諸国民間の分業 (TeilungderArbeitzunschenwschiedm Natiの好乃)

によって- (止揚)廃棄されればされるほどそれだけますます歴史は世界史になっていく次

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

80 季刊経済研究 第22巻 第 4号

第であってたとえばイギリスである棟枕が発明されそれがインドや中国で無数の労働者から

パソを奪いこれらの国々の生活形態全般を根底から変えるような場合当の発明は一つの世界史

的な事実 (weltgeschichtlichesFaktum)になるわけであるあるいはまた砂糖とコーヒー

は19世紀におけるその世界史的な意義 (weltgeschichtlicheBedeutung)をつぎのことによっ

て証示 したすなわちナポレオソの大陸封鋲 (dasnapoleonischeKontinentalsytem)によっ

て (もた 〔らされた〕) (必然的にな 〔った〕)生じたこれら生産物の欠乏が ドイツ人たちを

(反ナポレオソ)ナポレオソにたいして蕨起せしめかくして1813年の輝かしい解放戦争の実在

的土台となったことによってである以上からわかるように歴史の世界史-の く推 〔移〕)転

換は 「自己意識」世界精神 (Weltgeist)といった形而上的な幽霊のからきし抽象的な事績

というようなものではなくまったく物質的な経験的に追認 しうる事績 (なのであり)起居

し飲 (そして)食し衣服をまとう生身の各個人が現に証示しているような事績なのである」

(EbendaS40-42同上訳 40-42頁強調 〔イタリック-下線ゴチック〕は本文)

「革命を遂行する階級は - 全社会の代表者として登場 し唯一つの支配階級に対抗

する社会の全大衆として現われる- 【欄外につぎのマルクスの書込がある】 (普遍性

(AHgemeinheit)は 1身分にたいする階級に2競争世界交通 (Weltverkehr)等々

3支配階級に属する者が非常に多数であることに4共同的利害という幻想 (川usion

dgerTWinschaftlichenlnteresses)に照応する当初はこの幻想は真実であった5イデオ

ローゲどもの欺肺と分業に照応する)」 (EbenLhS68同上訳70貢強調は 〔ゴチック下

線〕はマルクス)

「マニュファクチュアとともに諸国民は競争関係商業戦にはいることになったそれは

戦争保護関税輸入禁止といった形で戦いぬかれた以前には諸国民は結びつきをもった

限り互いに底意なき交易を行なっていたのにいまやこの始末であって爾来商業は政治的な

意義を帯びるようになっている

マニュファクチュアおよび総 じて生産の運動 (Bb gungderfyductim)は (〔アメリ

カの〕発 〔見によって〕)アメリカおよび東イソ ド航路の発見に伴って生じた交通の拡張によっ

て大躍進を遂げた当の (新市場それは)新規のそこから輸入される生産物とりわけ大量

の金 銀- これらが流通にはいりこみ (そして)諸階級相互間の地位を全般的に変化させ

塑壁吐 く土地所有 〔著〕)土地所有と労働者に痛棒をくらわせた- -探険旅行 (At光nteure血ge)

(かの)植民そしてなかんずく日々ますます進展しているところの市場の世界市場への拡

大 (AusdehnungderMarktzumWeltmarkt)これが (欲求 (Bed山イni〔sse〕))歴史的

発展の新しい局面を喚び起こすにいたった 新 しく発見された諸国の植民地化によっ

て諸国民相互の (競争 〔戦〕)商業戦 (HandelskampfderNationengegeneinander)が新

たな糧を得ることになり一層大規模で一層激烈なものになった」 (EbendaSS102-04同上

訳 106-08貢強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「17世紀に (急速にによって)とめどなく進行した商業とマニュファクチュアの一

国への集積 (Konzentration)つまりイギリスへの集横がこの国にたいして次第に遡塑

塾生世界市場 (relatizw Weltmarkt)を (程にまで創出)つくり出しそのことに

よってこの国のマニュファクチュア生産物にたいする一大需要をつくり出したのであるがそ

れはもはや従来の工業生産力では充足できないような需要であった生産話力の大きさを上回っ

ていよいよ増大 してきたこの需要が駆動力になって中世以来の私的所有の第三期を喚び起こし

たけだしそれは大工業 (diegroBelndustrie)- 自然力の (〔利用〕)榛 〔械装置〕)工業目的への利用梯械装置拡充された分業- を産み出したからであるこの新しい局面の

その他の諸条件- 国内における競争の自由理論力学 (theoretischeMechanik)の形成

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 81

((18世 〔紀〕には)ニュー トン (Neudm)によって完成された力学はともかくも18世紀の英

仏におけるもっともポピュラーな学問であった)等々がイギリスにはそれに先立って存在して

いた (自国に内部における自由競争はどこでも革命によって勝ち取られ (た)ねばならなかった

- イギリスでの1648年と1688年フランスでの1789年)競争はやがて自己の歴史的役割を

保持 しようとする各国に自国のマニュファクチュアを新規の関税措置によって保護することを

よぎなくさせた大工業はこの保護策にもかかわらず競争を世界化 し (universalisieren)

(競争こそ実践上の商業自由であり保護関税はその埼内では爾縫策たるにすぎずたかだか___-___________perp_____iこ ~~~

商業自由の埼内での防錘である)そしてかの交流手段 (KommunikatimZSmittel)および近代的

世界市場 (modemerWeltmarkt)を創出し (そうして 〈資本の》迅速な流通 ≪依存 〔性〕》

《よってもって≫と 《集 〔中〕 (Zentral〔isation〕)》資本の集横 (Konzentration)を産み

出し)商業を支配下におきあらゆる資本を産業資本に転化しそのことによって資本の迅速な

流通 (貨幣制度の形成)と くかの)集中 (Zentralisation)を産み出した大工業は世界的競争

(uni-selleKbnkuwcnz)によってあらゆる個人に全精力をふりしぼるよう強制 したそれは

イデオロギー (〔を廃滅 し〕それが な場合には)宗教道徳等々をできる限り

廃滅しそれが不可能な場合にはそれらをみえすいた嘘にしてしまった大工業こそつぎの限

りでははじめて世界史 (Weltgeschichte)をつくりだしたのであるそれというのは大工業

がどの文明国もまたそこに住むどの個人も各自の欲求を充足するうえで全世界に依属す

るようにさせ諸国民のそれまでの自然生的な排他性を廃滅した限りにおいてである -

とどのつまりは各国のブルジョアジーが ()まだ別々の国民的利害 (nationale

lnteressen) く)を固持 しているのにたいして大工業はどの国民にあっても同一

の利害を持ち国民性などというものが彼らにあってはすでに廃滅されているような一階級を

く産み出す)産み出したこの階級たるや現実に旧套の世界全体から離脱 し同時にこの旧套

の世界全体と対立しているような一階級である大工業は労働者たちにとって資本家との関係

のみならず労働そのものを耐え難いものにする

- 大工業が発達 している国々は多かれ少なかれ非工業的な国々 (nichtindustnelle

Lゐnder)にたい して後者が世界交通 (Welt-kehr)によって世界的競争戦 (universeller

Kbnkuwenzkambf)に引きずりこまれている限り影響を及ぼす」 (EbendaSS108-12同上訳

114-19頁強調 〔イタリック-下線〕は本文)

「市民社会 (DieburgerlicheGesellschaft)は生産話力の一定の発展段階の内部での諸個

人の物質的交通の全体を包括するそれは一つの段階の商工業生活の全体を包括するのであって

その限りで国家や国民を越え出る (gehen臼berdenStaatunddieNationhinaus)もっ

とも他面では市民社会はこれはこれでまた外へ向かっては国民体 (Nationalitえー)とし

ておのれを認めさせるようにし内に向かっては国家として自らを編制せざるをえないのであ

るけれどもところで市民社会という言葉は18世紀に所有諸関係がすでに古典古代的

(antike)および中世的な共同体 (Gemeinwesen)から脱却し終えたときになって現われた

市民社会が市民社会として発展するのはブルジョアジーを供ってである どの時代にも国家なら

びにその他の観念論的上部構造 (idealistischeSuperstmktur)の土台 (Basis)をなしている

ところの生産と交通 (のうえに)から直接に発展する社会的組織は ()しかし

引き続き同じ名で指称されてきた- J (EbenLhS144同上訳152貢)

1847年 『哲学の貧困』第2章 「経済学の形而上学」第 1節 「方法」

「奴隷制度も他の経済的カテゴリーと同様な一つの経済的カテゴリーである こ

こで問題にするのは直接的奴隷制度 (1esclavagedirect)スリナムブラジル北アメリ

カ南部諸地方における黒人奴隷制度 (1esclavagedesnoirs)だけである

直接的奴隷制度は磯枕信用等々と同様 にブルジョア的産業の枢軸 (pivotde

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

82 季刊経済研究 第22巻 第4号

1industriebourgeoise)である奴隷制度なしには綿花はありえない綿花なしには近代産

業はありえない植民地を価値あるものにしたのは奴隷制度であり世界貿易 (commercede

lunivers)をつくりあげたのは植民地であり大産業を制約するものは世界貿易であるだか

ら奴隷制度こそはもっとも重要な経済的カテゴリーである

奴隷制度がなかったならばもっとも進歩的な国である北アメリカでさえ家父長制国家に変

わるであろう世界地図から北アメリカを消しされば貿易と近代文明との無政府状態それら

の完全な崩壊が現われでてくるであろう奴隷制度を消滅させれば諸国民の地図からアメリ

カが消 しさられるであろう」 (MarxMis~redelaPhilosoPhieParisampBruxelles1847

p102doDosElendderPhilosoLahieMEWBd4SS13ト32)

同上書第2章 「経済学の形而上学」第2節 「分業と枚枕」

「イギリスでの分業の大きな進歩 (lesgrandsprogr占sdeladivisiondutravail)は諸機

械の発明 (1inventiondesmachines)後に始まったのであるだから機械工と紡績工はそ

の大部分がいまでも後進国に見られるような農民だったのである機械の発明は製造業と農

業との分離を完了させたその少し前まではたった一つの家庭のなかで一緒になっていた織布

工と紡績工とが機械のためにちりぢりに引き離された機械のおかげで織布工が東イソド諸

島で暮らすのとときを同じくして紡績工はイギリスに住むことができたのである枚概が発明

されるまでは一国の工業は主として自国の土地の生産物である原料をもとにして営まれてい

たイギリスでの羊毛 ドイツでの亜麻フラソスでの網と亜麻東イソドと地中海沿岸地方と

における綿花がその例である擁概と蒸気との応用 (applicationdesmachinesetla

vapeur)のおかげで分業は大工業が本国の土地から離れてもっぱら世界市場 (lemarch6

delunivers)国際交換 (6changesinternationaux)国際分業 (divisiondetravail

internationale)に依存するほどの規模の大きさに達することができた要するに機械は分業

にたいしてきわめて大きな影響を及ぼすのであってなんらかの製品の製造において部分的にも

機械装置を導入する手段が見つかるとたちまちその製造が相互に独立した二つの経営に分割さ

れるほどなのである」 (LCp135EbendaS154)

1847年 手稿 「労賃」 (1847年12月ブリュッセル) 〔B〕 「Ⅷシュルビュリエ (Cherbuliez)」

「労賃の騰落について語る場合には世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)とさまざまな地方

における労働者の状態とをけっして見落としてはならない」 (MarxArbeitslohnMEW

Bd6S539)

同上書 〔C〕 「Ⅰ生産力の増大は労賃にどんな影響を及ぼすか」

「生産力の増大は一般につぎの結果を生むC)労賃はますます世界市場に依存

する (vom Weltmarktabhangig)ようになる労働者の状態 も浮動的になる」 (Ebepuia

S541)

同上書 〔C〕 「Ⅳ労賃の変動」

「恐慌の場合には part)労賃の上昇を語るとき注意すべきことはつねに世界市場

(Weltmarkt)を考えていなければならないことそして労賃の上昇は他国の労働者が職を奪

われることによって無効となるということである」 (EbendaS543)

同上書 〔C〕 「Ⅵ救済策」

「生産力が増大すれば労働の規模も一層大きくなるから一時的な過剰生産はますます必然

的となり世界市場 (Weltmarkt)は競争が一層世界的 (universellerer)となるためます

ます拡大するだから恐慌がますます激しくなる」 (EbedaS548)

同上書 〔C〕 「賃金制度 (Salariat)の積極面」

「終わりに先立ちなお賃金制度の積極面に注目しなければならない

a)賃金制度の積極面と言う場合は資本大工業自由競争世界市場の積極面 (positive

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 83

SeiteWeltmarktes)のことを言っているのである もしこれらの生産関係が

なかったらプロレタリアー トの解放と新 しい社会の建設のための物質的手段である生産手段も

つくりだされなかったであろうしまたプロレタリアー ト自身も古い社会と自分自身の変革を現実になしうるような団結 (Vereinigung)と発展を達成 しなかったであろう労賃の平準化

(Ausgleichung)」 (EbendaS555強調はマルクス)

1848年 『自由貿易問題についての演説』 (1848年2月ブリュッセル)

「諸君

イギリスにおける穀物法の廃止は19世紀に自由貿易がかちえた最大の勝利であるどこの国

でも工場主たちが自由貿易をうんぬんする場合彼らは主として穀物と一般原料との自由貿易

を考えている外国の穀物に保護関税をかけることは恥ずべきことであり民衆の飢餓につけ

こんで儲けようとすることである

安いパソ高い賃金 (cheapfoodhighwages)これこそイギリスの自由貿易論者のただ

一つの目的であり彼らはこのために巨万の富を使っているそして彼らの熱情ははやくも大陸

の仲間たちにまで波及 している 」 (MarxDiscourssurlaquestiondulibre

dchmqeManEngelsKleine6konomischeSchriftenDietzVerlagBerlin1955pp50011do

RedetiberdieFragedesFreihandelsMEWBd4S444)

「自由貿易が唯一かつ同一の国民の種々な階級のあいだに発生させる友愛なるものはどういう

ものであるかはすでに示した通りである自由貿易が地球上の種々なる国民のあいだに発生さ

せるべき友愛もこれよりたいして友愛的なものではないであろうコスモポリット的な状態で

の搾取 (lexploitationason6tatcosmopolitique)を普遍的友愛 (fraternit6universelle)

という名称で呼ぶようなことはこれこそブルジョアジーの胸中でなければ発生しえなかった考

えだ自由貿易が一国の内部に発生させるいっさいの破壊的現象はもっと巨大な規模で世界市

場 (lemarch6delunivers)に再現する」 (LCpp53ト32EbendaS456)

「もう一つけっして見落としてならぬ事情があるそれはすべてのものが独占になったと同

じように現今ではある種の産業部門が他のすべての産業部門を支配 しかつその産業部門

をもっぱら経営する国民は世界市場にたいする帝国 (1empiresurlemarch6deunivers)を

保証されるということだこうして国際貿易 (commerceinternational)において木綿

(cotton)はそれ一つだけで衣服の製造に使われる他のすべての原料を合わせたよりももっ

と大きな商業上の価値を持っているのである」 (iCp533EbendaS457)

「一国が他国を犠牲にして富むことができる様子を自由貿易論者が理解できないにしてもわ

れわれは驚 くにはあたらないなぜならこの当の諸君はどのように一国の内部で一階級が他

の一階級を犠牲にして富むことができるかもまた理解 しようとしないのだから」 (LC

pp533-54EbelulaS457)

「保護貿易制度は一国民内に大産業を樹立する言い換えればその国民を世界市場 (le

march6deunivers)に依存させる一手段であるにすぎないそして世界市場に依存するやい

なやすでに多かれ少なかれ自由貿易に依存するものである」 (iCp534EbendaS457)

「一般的には今日では保護貿易制度は保守的であるこれにたいして自由貿易制度は破壊的

であるそれは古い民族性を解消しブルジョアジーとプロレタリアー トのあいだの敵対関係を

極端にまで推 し進める一言で言えば通商自由の制度は社会革命を促進するこの革命的意義

においてのみ諸君わた しは自由貿易に賛成するのである」 (LCp535Ebenda

SS457-58)

1848年 マルクスェソゲルス 『共産党宣言』 Ⅰ「ブルジョアとプロレタリア」

「ァメリカの発見アフリカの回航は勃興しつつあったブルジョアジーのために新天地を拓

いた東イソドや中国の市場アメリカ-の植民植民地との交易交換手段と商品一般の増加

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

84 季刊経済研究 第22巻 第4号

これらは商業に航海に工業に空前の飛躍をもたらしこうして崩壊 しつつあった封建

社会の内部の革命的要素を急速に発展させた」 (MarxEngelsManifestderKommunistischen

ParteiMEWBd4S463)

「大工業は世界市場 (Weltmarkt)をつくりだしたこれはアメリカの発見によって準備さ

れたのであった世界市場は商業 (Handel)に航海 (Schiffart)に陸上交通 (Landkom

munikationen)にはかりしれない発展をもたらしたこの発展は逆に工業の拡大に反作用 し

たそして工業商業航海鉄道 (Eisenbahnen)が拡大するに程度に応じてブルジョア

ジーが発展しその資本を増大させ中世から受け継がれたあらゆる階級をうしろに押し退けた」

(Ebeluia S463-64)

「そしてついに大工業 (groBelndustrie)と世界市場 (Weltmarkt)とがっく

りだされてからは近代の代議制国家 (modernerReprasentativstaat)において独占的な政治

的支配を闘いとった近代の国家権力 (Staatswalt)はブ ルジョアジ階級全体の共同事務を処

理する委員会 (AusschuBdiegemeinschaftlichenGeschaftederganzenBourgeoisklasse

verwaltet)にすぎない」 (EbelulaS464)

「ブルジョアジーは世界市場の開発 (ExploitationdesWeltmarkts)を通じてあらゆる

国々の生産と消費をコスモポリーティシュ的 (kosmopolitisch)なものした産業の足もとから

国民的な基盤を取 りきって反動家どもをいたく嘆かせた古来の民族的な諸産業は滅ぼされて

しまいなおも日々に滅ぼされていくそれらの民族的産業は新 しい産業によって押 し退けられ

これらの新 しい産業を導入することがあらゆる文明国にとって死活の問題となるそれはもはや

国内産の原料でなくてはるか遠い地域で産する原料を加工する産業でありこれらの産業の製

品は自国内だけでなく同時にあらゆる大陸で消費される国産品で充足されていた昔の欲求

(alteBedurfnisse)に代わってはるかに遠い国々や風土の産物でなければ満たされない

新 しい欲求 (neue〔Bed缶rfnisse〕)が現われる昔の地方的 また国民的な自給 自足

(Selbstgenugsamkeit)や開銀に代わって諸国民の全面的な交通 (allseitigerVerkehr)そ

の全面的な依存関係 (allseitigeAbhangigkeit)が現われて くる 」 (Ebenda

S466)

「ブルジョアジーは農村を都市の支配に従わせた彼らは巨大な都市をつくりだした -

ブルジョアジーは農村を都市に依存させたようにまた未開国や半未開国を文明国に (die

barbarischenundhalbbarbatlischenLanderYonzivilsierten〔Lander〕)農民国をブル

ジョア国に東洋を西洋に (denOrientvom Okzident)依存させた」 (EbendaS466)

同上書Ⅲ 「プロレタリアと共産主義者」

「諸民族が国々に分かれて対立 している状態はブルジョアジーが発展するにつれてまた貿

易の自由がうちたてられ世界市場 (Weltmarkt)が生まれ工業生産やそれに照応する生活諸

関係が一様化するにつれて今日すでに次第に消滅 しつつある

一個人による他の個人の搾取が廃止されるにつれて一国民による他の国民の搾取も廃止され

一国民の内部の階級対立がなくなれば諸国民のあいだの敵対関係もなくなる」 (Ebenda

S479)

1849年 「革命運動」 (『ケルソ新聞』1849年 1月1日第184号)

「いくたの諸国民を自国のプロレタリアに転化しその巨腕をもって全世界を抱擁 しすでに

一度その貨幣をもってヨーロッパの復古の費用を支弁 したことのある国その自国内で階級対立

がもっとも明白もっともあからさまな形態にまで発展している国」 -つまりイギリスは革命

の大波にあたって砕ける大岩であるように見えるそれは新社会をすでにその母胎内で飢えに

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 85

よって苦 しめてい る イギ リスは世界市場 を支配 してい る (Englandbeherrschtden

Weltmarkt)ヨ- ロ ツパ大陸のいずれの国の国民経済諸関係 (national-6konomische

Verhaltnisse)の変革も全ヨーロッパ大陸上の変革もイギ リスを含まぬ限 りそれはコップ

のなかの嵐である各国民内部の商工業の諸関係はその国民と他の国民との交易によって支配

されその国民の世界市場にたいする関係によって制約されるところがイギ リスが世界市場を

支配 しておりそ してブルジョアジーがイギリスを支配 している

そこで ヨーロッパの解放はそれが被抑圧民族の独立獲得のための蜂起であろうとフラソ

スの労働者階級の勝利的蜂起に制約されているが しかしフランスの社会変革も必然的にイ

ギリスのブルジョアジーに グレー トプ リテソの工業的 商業的世界支配 (industrielleund

korrmerzielleWeltherrschaftGroBbritanniens)にぶつかって破砕するフラソスや一般にヨー

ロツパ大陸におけるどんな部分的な社会変革もそれを決定的なものたらしめようとする限 り

むなしいはかない願いであり今後 もそ うであろう」 (MarxDierewlutio7drcBewgung

NeueRheinischeZeitungNr184wm lJaMr1849MEWBd6SS149-50)

1849年1850年 「賃労働と資本」 (『ケルン新聞』1849年4月5日付第264号)

「われわれはつぎの三つの大きな部分に分けて述べよう 1)賃労働と資本との関係労働者

の奴隷状態資本家の支配 2)今日の制度のもとでは中間市民階級と農民身分の没落は不可避

であること 3)世界市場の専制的支配者であるイギリスによってヨーロッパ諸国のブルジョア

階級 が商業的 に隷属 させ られ搾取 されていること (diekommerzielleUnterjochungund

AusbeutungderBnrgeoisklassenderwschiedMneurO伸ischenNationendurchdenDesかiendes

Welt〝∽rkts- England)」 (MarxLohMrbeitundKaPitalMEWBd6S398強調はマル

クス)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月8日付第267号)

「最後に一国について見てもまた世界市場全体 (ganzerWeltmarkt)について見ても

資本家階級すなわちブルジョアジーが生産の純収益をどんな割合で自分たちのあいだで分配 しよ

うともこの純収益の総量はいつでもだいたいにおいて蓄積された労働が生きている労働に

よって増やされた量にすぎない したがってこの線量は労働が資本を増やすのに比例 してす

なわち利潤が賃金に比べて上がるのに比例 して増大するのである」 (EbendaS415)

同上書 (『ケルソ新聞』1849年4月11日付第269号)

「いまこの熱病的な運動が世界市場全体 (ganzerWelt〝∽Ykt)で同時に起こっていることを

考えるなら資本の増大と蓄積と集積 (AkkumulationundKonzentration)につれて分業

や新 しい機械の使用や古い榛概の改良がたえず息つ くひまもなくますます大規模に行な

われる結果となることは明らかである」 (EbendaS420強調はマルクス)

「恐慌はすでにつぎの理由で頻度と激 しさを加えてい くすなわち生産物の量が増大 し

したがって市場拡大の欲求が増大するのに比例 して世界市場 (Weltmarkt)はますます収縮 し

開発すべき市場はいよいよ残 り少なくなるという理由であるなぜならいつでも前回の恐慌に

よってこれまでは未征服のあるいは商業が表面的に搾取 してきただけの一市場が世界商業

に従属させられてきたからである」 (EbendaS423)

マルクスエソゲルス 『新ライソ新聞政治経済評論』 (1850年 1-2月)

「さてアメリカに移ろうここに生起 したもつとも重要な二月革命よりもさらに重要な事実

はカリフォルニアの金坑の発見である この発見がアメリカの発見そのものよりも

はるかに大がかりな結果をもたらすことが予見される カリフォルニア金坑が発見さ

れて18カ月というのにすでにヤソキ-紘一つの鉄道一つの国道メキシコ湾からの運河に

着手 しすでに汽船がニューヨーク-チャグレス間パナマ-サソフラソシスコ間の定期航行を

しておりすでに太平洋貿易はパナマに集中しておりホ-ソ岬回りの航路は時代遅れになって

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

86 季刊経済研究 第22巻 第4号

いる30緯度にわたり世界でもっとも美 しくまた豊能でこれまで無人といっていいほどの沿

岸が見る見るうちに富んだ文明化された国 (reicheszivilisiertesLand)にヤソキー

から中国人にいたるまで黒人からイソディアンとマ ラヤ人にいた るまで クレオール

(Kreolen)とメスティーゾ (Mestizen)からヨーロッパ人にいたるまでのすべての種族

(alleSt益mme)の人間が住んでいる国に変わりつつある」 (MarxEngelsNeueRheinischen

ZeitungPolitisch-bkw mischeRewLeJanuarFebruar 1850MEWBd7S220)

「カリフォルニアの金が奔流となってアメリカと太平洋のアジア沿岸にそそぎ込みもっとも

強情な野蛮民族をさえ世界貿易に文明にひきずり込んでいる世界貿易が新 しい方向を取るの

はこれで二度目である 世界交通の重心 (SchwerpunktdesWeltverkehrs)は中

世ではイタリア近世ではイギリスであったがいまや北アメリカ半島の南半部がそれである -

カリフォルニアの金とヤソキーの疲れを知らない精力とのおかげでまもなく太平洋の両

岸は現在のボス トンからニューオーリアソズにいたる沿岸と同じように人口が増え自由に貿

易ができるようになり工業的になるであろうそ うなれば太平洋は現在の大西洋古代

(Altertum)と中世の地中海と同じ役割- すなわち世界交通の大水路 (groBeWasserstraBe

desWeltverkehrs)としての役割を果たすであろう」 (EbendaS221)

「この国 (中国- 引用者)のゆっくりとではあるが規則的に増えている過剰人口はすで

に久しい以前から同地の社会関係を国民の大多数の者にとってひどく重苦しいものにしている

そこへイギリス人がやって来て五港で自由貿易を強要した何千というイギリスとアメリカの

船が中国に行 き ま もな くこの国はイギ リスとアメ リカの安価 な機械製品 (Wohlfeile

brititischeundamerikanischeMaschinenfabrikate)でいっぱいになった手労働にもとづ く

中国の工業 (chinesischeaufderHandarbeitberuhendelndustrie)は機械の競争に屈した

ゆるぎない中華帝国 (dasunerschutterlicheReichderMitte)は社会的危機を経験 した」

(EbendaSS221-22)

「暴動を起こした民衆のあいだに一方の貧困と他方の富を指摘 し財産の再分配それどこ

ろか私有財産の全廃 (ganzlicheAbschaffungdesPrivateigentums)を要求した人々いまな

お要求している人々が現われた

もちろんのことながら中国の社会主義とヨーロッパの社会主義の関係は中国哲学とヘーゲ

ル哲学の関係のようなものであろう しかし地上最古のそしてもっともゆるぎない帝国 (das

altesteundunersch批terlichsteReichderErde)がイギリスのブルジョアの更紗の梱のた

め8年のうちにいずれにせよ文明にとってもっとも重大な結果を持つにちがいない社会的変革

の前夜に追い込まれたことはともかくも喜ばせる事実であるわがヨーロッパの反動派がす

ぐ目の前に迫っているアジアへの逃亡のさいついに万里の長城 (diechinesischeMauer)に

たどりつき極反動と極保守主義の砦に通 じる門前に立ったとき門の上につぎの題字を見ない

と誰が知ろう-

中華共和国 (R6puliquechinoise)

自由平等友愛 (Lit光rt6虫galit占Fraternit6)

ロソドソ1850年 1月31日」 (EbendaS222)

1853年 「イギリスのイソド支配」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年6月25日付第

3804号)

「わたしが言っているのはイギリス東イソ ド会社がアジアの専制主義の上に接木 したヨーロッ

パの専制主義 (EuropeandespotismplanteduponAsiaticdespotismbytheBritish

EastlndiaCompany)が 奇妙な結びつきを示 しているというということではない

これはイギリスの植民地支配 (BritishColonialrule)に限られた特徴ではなくオラソダの植

民地支配の模倣にすぎないのであってそれもイギリス東イソ ド会社の活動の特徴を見るには

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 87

前にオラソダ東インド会社 (DutchEastlndiaCompany)についてイギリスのジャヴァ総

督サー スタンフォー ドラッフルズ (SirStamfordRames)が言ったつぎの言葉を文字通

り繰り返せば十分なほどである」 (MarxTheBritishRuleinldiaNeur-YwkDailyTribuM

No3804June251853MECWVol12p126MEWBd9S128)

「アジアでは一般に太古以来三つの政府部分 (threedepartmentsofGovernment)

しかなかった財務省すなわち国内略奪省 (Financeortheplunderoftheinterior)軍事

省すなわち国外略奪省 (Warortheplunderoftheexterior)最後に公共事業省 (the

depertmentofPublicWorks)である天候と地形上の条件とくにサ-ラからアラビアベ

ルシ7インドタタールを経てアジア最高の高原にまで広がっている広大な砂漠地帯のため

に運河と用水とによる人口潅概 (artificialirrigation)が東洋農業 (thebasisofOriental

agriculture)の基礎となった このように水を節約 して共同に使わなければならな

い根本的な必要から西洋では フラソドルやイタリアの例のように私的経営 (private

enterprise)が自発的な連合を結ぶのが促進されたが東洋では文明があまりにも低 くまた地

域があまりにも広大で自発的な連合を生みだきなかったため当然集中的に働 く政府権力が介

入することになったここからして一つの経済的機能すなわち公共事業を行なうという機能

があらゆるアジアの政府 (allAsiaticGovernment)に帰 した」 (Ibidp127Ebenda

S129)

「東イソドのイギリス人は前任者から財務省と軍事省は引き継いだが公共事業省のほうは I

まったくおろさかにしたそこからして農業は衰退 したイギ リス流の自由競争自由放任

(laissez-faireandlaissealler)の原則では嘗めない農業なのである インドではこ

れまでどんなに政府の姿が変わったように見えてもその社会的条件は最古の時代から変わる

ことなく19世紀の最初の10年代にまで及んだ無数の紡ぎ工 (spinners)と織布工 (weavers)

とを規則ただしくつくりだす手織機 (hand-loom)と紡車 (spinning-wheel)とはこの社会

構造の枢軸 (pivots)であった このイソドの手織枚を打ち壊 し紡車を破壊 したの

は侵入 したイギリス人であったイギリスはまずイソド綿製品 (theIndiancottons)をヨー

ロッパ市場から駆逐 した続いて撚糸 (twist)をヒソドゥスタソに持ち込みついにはこの木

綿の母国そのものに綿製品を氾濫させた ダカーの人口は15万人から2万人に減った

イギリスの蒸気力と科学とがヒソドゥスタソの全土にわたって農業と手工業との結

令 (theunionbetweenagricultureandmanufacturingindustⅣ)をくつがえしてしまった

のである」 (1bidpp127-28EbendaSS129-30)

「これら二つの事情- 一方ではインド人が東洋のすべての国民と同じく大公共事業の世

話という農業および商業の第一条件を中央政府にまかせたこと他方ではイソ ド人が国中に散ら

ばっていて農業と工業との家内的結合 (domesticunion)によって小さな中心を形づくって

いたこと- これら二つの事情は遠い昔から独特な特質を持った一つの社会制度- いわゆる

村落制度 (mllagesystem)を生みだしていたこの制度によってこれらの小結合体 (small

unions)はそれぞれ独立の組織と別個の生活を持っていたのである」 (Ibidp128Ebenda

S131)

「これらの小さな固定 した形の社会組織は イギリスの蒸気力やイギリスの自由貿

易の作用によって大部分解体されたし消滅しつつあるこれらの家族共同体 (familyてOrTmunities)

は家内工業 (domesticindustⅣ)に基礎を置いていたすなわち手織 り (hand-weaving)

手紡ぎ (hand-spinning)手耕農業 (hand-tillingagriculture)の独特な組合せがこれら

の共同体に自給自足の力を与えていたのだがそれに基礎を置いていたのであるイギリスの干

渉は紡績工をラソカシアに織布工をペソガルにと別け隔てたりあるいはイソド人の紡ぎ工

と織布工とをともに一掃 したりしてこの小さな半野蛮半文明の共同体 (smallsemi-barbarian

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

88 季刊経済研究 第22巻 第4号

semi-ciVilizedcommunities)の経済的基礎を爆破 して共同体を解体させこうすることによっ

てアジアでかつて見 られた最大の実は唯一の社会革命を生みだ したのである」 (Ibid

pp131-32EbendaS132)

1853年1858年 「イギリスのイソド支配の将来の結果」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1853年8月

8日付第3840号)

「イギリスはイソ ドで二重の使命 (doublemission)を果たさなければならない一つは

破壊 (destructive)の使命であ~り一つは再生 (regenerating)の使命である古いアジア社

会を滅ぼすことと西欧的社会の物質的基礎をアジアに据えることである」 (MarxThe

FuiureResultsofBritishRuleinlndiaNeれ卜YorkDailyTribuneNo3840August8

1853MECWVol12pp217-18MEWBd9S221)

「ザミ-ソダール制度 (theZamindari)とライ-ヤ 卜ワ- リー制度 (〔the〕Ryotwar)は

それ自体極悪のものではあるが土地私有 (priVatepropertyinland)- このアジア社会

がひどく渇望 しているもの- の二つの明確な形態を含んでいる 蒸気力はイソド

をヨーロッパとの規則的で迅速な交通にひきいれ イソドの主要港と東南の大洋全部の港とを結

びつけイソ ドの停滞の根本法則であった孤立の地位 (isolatedposition)からイソドをまぬか

れさせている」 (Ibidp218Ebenda SS221-22)

「全ヨ-ロツパほど広 く面積 1億5000万エーカ-もある国このイソドについて見るとき

イギリス工業が与えた破壊的影響は手に取るようでありまた深刻なものがある

資本の集中 (centralization)は資本の独立の権力として存在するのに不可欠のものである

この集中が世界市場 (themarketsoftheworld)に及ぼしている破壊的な影響はいまあら

ゆる文明都市で貫かれている経済学の固有の有機的な諸法則を-もっとも大規模に現わしたもの

にすぎない歴史のブルジョア時代は新世界の物質的基礎をつくりだきなければならない-

一一万では人類の相互依存にもとづく世界的交通 (uniVersalintercourse)とこの交通の手

段他方では人間の生産力の発展と物質的生産を自然力の科学的支配に転化することこれ

がその基礎である 将来偉大な社会革命がこのブルジョア時代の成果である世界

市場 (themarketoftheworld)と近代的生産力 (themodernpowersofproduction)と

をわがものとしこれらをもっとも先進的な諸国人民の共同管理者 (commoncontrol)のもと

においたときそのときはじめて人類の進歩はうま酒を死人の頭蓋骨からだけ飲もうとする

あのいとうべき異教の偶像に似ることをやめるであろう」 (Ibap222j迅eydaSS225-26)

「マノレクスからエソゲルスへの手紙」 (1858年10月8日ロソドソ)

「目下のところ世界貿易が好況に転 じているにもかかわらず ()ロシアで革命が始

一まつたことは少なくとも喜ばい ことだ 1854-55年のロシアの戦争は大変けちな

ものであったしその結果はロシア人に害を与えることはきわめてわずかであった (むしろ トル

コ人にだけ害を与えた)けれどもやはりロシアにおける事態の今度の転回を速めたことは明

白だ ロシアの事態がいま少し明白に発展 してくるとわれわれはけなげな政府顧

問官ハックス トハウゼソ (HaXthause牛 August)がおよそ諸 「官庁」によりそしてまた官

庁によって訓練された農民によりいかにまんまと欺されたかの証明 (『ロシアの国内情勢国

民生括 と くに農村の諸制度についての研究』 〔StudienilberdielnnernZustpartndedos

VolkslebenundinsbesonderedielandlichenEinrichtungenRuBlands〕 引用普)を入手するだ

ろう

ブルジョア社会 (dieburgerlicheGesellschaft)が二度目にその16世紀を経験 したことをわ

れわれは否定することはできないぼくはこの16世紀がブルジョア社会を第一の16世紀がそ

れをこの世に生まれさせたように墓場-送ることを期待 しているのだブルジョア社会の本来

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 89

りまた世界市場を土台とする生産をつくりだすことだ世界はまるいのだからこの任務はカ

リフォルニアやオース トラリアの植民地化と中国や日本の開国 (AufschluB)とをもって終決す

るように見える」 (MarxLmEngelsOktobr81858LodonMEWBd29SS35910)

『1857-58年の経済学草稿 第一分冊』 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅱ貨幣に関する章 貨幣

の成立と本質」_

「分業が密集 (Agglomeration)結合 (Combination)協業 (Cooperation)私的諸

利害の対立階級諸利害の対立競争資本の集積 (Conzentration)独占株式会社- こ

れらは対立そのものを呼び起こす統一の対立的諸形態にすぎない- を生みだすように私的交

換 (Privataustausch)は世界商業を生みだし私的独立性はいわゆる世界市場への完全な依存

性を生みだし分散 した交換の諸行為は銀行制度と信用制度とをを生みだすのでありこれらの

制度の簿記は少な くとも私的交換の貸借清算を確認 している」 (MarxOkonomische

MaluSkriPt185758MEGAⅡ11S92)

「世界市場 (各個人の活動がそこに包括されている)の自立化 (Verselbstst孟ndigung)につ

いてこのさい言わせてもらえばそれは貨幣諸関係 (交換価値)の発展とともに増大 しまたそ

の反対のことが言えるのであるから生産 と消費とにおける一般的連関 と全面的依存性

(allseitigeAbhangigkeit)とは消費者と生産者との相互の独立性と無関心性と同時に増大す

るこうした矛盾が恐慌に導くなどのことになるのであるからこうした疎外 (Entfremdung)

の発展と同時に疎外それ自身の地盤の上でこの疎外を止揚 しようとする試みがなされることに

なる」 (EbendaS93)

「商業の総体と生産の総体についての概観が相場表のなかに現実に現われてくる限りではいかに諸個人にたいして彼ら自身の生産とが物象的な (sachliches)彼らから独立 した関係として対立 しているかということの最良の証明を与えているということである世界市場では すべての人々の個人の連関 (Zusammenhang)紘他方では同時にまた諸個人それ自身からのこの連関の独立性はこの連関の形成が同時にそれ自身からの移行の条件をすでに含んでいるほど

の高さにまで発展を遂げているのである」 (EbeyuiaS94強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本の関する章 第一章 資本の生産過程 貨幣の資本

への転化」

「国内生産の組織 (OrganisationderinlandischenProduction)そのものがすでに流通

と交換価値とによってモディフイツイーレソされて (modificieren)いる しかしまだその全表

面 (ganzesOberflache)にわたってまたその奥行全体 (ganzeTiefe)にわたって流通によって捉えられているわけではないこれが対外貿易の文明化作用 (diecimlisirendem71kung

desauswartigenHandels)と呼ばれるものであるその場合交換価値を措定する運動 (die

TauschwerthsetzendeBewegung)がどの程度まで生産の全体を捉えるかは一部は外部から

のこの作用の強さに一部は国内的生産 (inlandischeProduction)の諸要素- 分業など-

がすでに発展を遂げている度合いにかかっているたとえば16世紀と17世紀初めのイソグラソ

ドではオラソダ商品の輸入のためにイソグラソ ドが 〔それと〕交換に捷供すべき羊毛の余剰

(surplus)が決定的に重要となる」 (EbendaSS178179強調はマルクス)

「由豪 (国家とブルジョア社会- 租税また不生産階級の存在- 国債- 人口

- 外側に向かっての国家 (Staatmachaussen)すなわち植民地外国貿易為替相場

国際的鋳貨としての貨幣 (GeldalsinternationaleM仏nze)- 最後に世界市場ブルジョ

ア社会が国家を乗 り越えて押 しひろがること (UebergreifenderburgerlichenGesellschaft

uberdenStaat)恐慌交換価値の上にうち立てられた生産様式と社会形態の解体個人的

労働を社会的労働としてまた反対に社会的労働を個人的労働として実在的に措定すること)」

(EbendaS187強調はマルクス)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

90 季刊経済研究 第22巻 第4号

同上書 「経済学批判要綱 第-分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 資本と労働

とのあいだの交換」

「ところで市場が大づかみにして国内市場 (homemarket)と外国市場 (foreignmarket)

とに分かれるように国内市場そのものもさらに国内株式内国債 (nationalfunds)等の市

場と外国債 (Foreignfunds)外国株式 (foreignshares)等の市場とに分かれている しか

しこのような展開は本来世界市場のところでなされるべきことであって世界市場は国外

に存在するすべての外国市場との関係での国内市場であるばかりでなく同時にまたすべての

外国市場- それはそれで自国の市場 (homemarket)の構成部分 (Bestandtheile)である一

一の国内 〔市場〕である」 (EbendaS203)

同上書 「経済学批判要綱 第一分冊 Ⅲ資本に関する章 第一章 資本の生産過程 労働過程と

価値増殖過程」 I

「したがって文明のあらゆる進歩言い換えるならば社会的生産諸力のあらゆる増大さらに言い方を換えれば (ifyouwant)労働そのものの生産諸力のあらゆる増大- それは科学

発明労働の分割 (分業)と結合 (TheilungundCombinationderArbeit)交通手段の改

善世界市場の創設 (SchaffendesWeltmarkts)戟械装置などから生 じるくる- は労働

者を富ませないで資本を富ませしたがってただ労働を支配するマハ ト (Macht)を増大させ

るだけでありただ資本の生産力を増大させるだけなのである資本は労働者の対立物であるか らそれらのものはただ労働にのしかかる客体的なマハ トを増大させるだけである労働 (生きた目的にかなった活動としての)の資本への転化はそれが資本家に労働生産物にたいする所

有権 (Eigenthumsrecht) (および労働にたいする支配権 〔Kommando〕)を与える限り那 時的には資本と労働との交換の結果であるこの転化は生産過程そのもののなかではじめて措定される」 (EbendaS227強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本主義的生産に先行する諸形態」「資本が最初は散在的または局地的に (sporadischoderlokal)もろもろの古い生産様

式と並んで しかし次第にそれらを破砕しつつ現われるときの本源的な歴史的諸形態は一方では本来のマニュファクチュア (まだ工場ではない)であるマニュファクチュアは輸出向 汁外国市場向けに大量生産が行なわれところで- つまり大規模な海上 陸上貿易を基礎に

それらの中心地で- 発生するたとえばイタリアの諸都市コソスタソティノーブルフラ

ソドルやオラソダの諸都市バルセロナのようなスペイソのいくつかの都市等々がそれであるマニュファクチュアが最初に掌撞するのはいわゆる都市手工業ではなく紡糸および織布という農村の副業的手工業つまりツソフト的熟練技芸的修業を必要とすることのもっとも少ない

労働である」 (ManOk抑 mischeMmLSkhpt185758MEGAII12S413強調はマルク

ス)

「アメリカのプラソテーショソ所有者 (Plantagenbesitzer)を今日われわれが資本家と呼

ぶだけではなく事実彼らが資本家であるのは彼らが変種 (Anomalie)として自由な労働

のにもとづく世界市場の内部に存在しているからである」 (EbendaS415強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項目 資本の流通過程

資本の循環」

「あらゆる産業の一般的基礎が一般的交換 (allgemeinerAustausch)そのものすなわち

世界市場となりそれゆえまた世界市場を構成する諸活劫交易諸欲求の全体となるので

ある曹惨とは自然的な必要性 (Natumothupndtg)に対立するもののことである必要な欲求とはそれ自身一個の自然的主体に還元された個人が持つ諸欲求のことである 欲 求の体系 (SystemderBedibfnisse)と労働の体系 (SystemderArbeiten)とに関するこれらの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 91

問題はどこで取 り扱われるべきであろうか それはさきに進むうちに明らかになるだろう」

(EbendaSS427-28強調はマルクス)

「資本は富の生産そのものをだからまた生産諸力の世界的発展 (uniVerse1-eEntwicklung)

を自己の現存の諸前提のたえまない変革を自己の再生産の前提として措定する

生産諸力 富一般 が土台としてこの形態の傾向と可能性から見て一般的に発展するこ

と同じくまた土台としての交易の世界性 (UniVersalitatdesVerkehrs)それゆえ世界

市場 (Weltmarkt)この土台が個人の世界的発展 (uniVerselleEntwicklung)の可能性とし

て 〔役立つこと〕そ してこの土台から生 じる諸個人の現実的発展が自分たちの制限

(Schanke) これは制限として意識されており犯すべからざる限界 (Grenze)とは見なさ

れていない- の不断の止揚として 〔行なわれること〕個人の世界性 (Universalitat)が頭

のなかで考えられたあるいは思い込まれた世界性ではなくて個人が持つ実在的諸連関および

観念的諸連関の世界性として 〔展開されること〕」 (EbendaSS439-40強調はマルクス)

同上書 「経済学批判要綱 第二分冊 Ⅲ資本に関する章 (続き) 第二の項 目 資本の流通過程

固定資本と流動資本」

「競争は歴史的には一国内部でのツソフト強制 (Zunftzwang)政府の取り締まり内国

関税等々の解体として現われ世界市場における交易閉鎖 (Absperrung)輸出入禁止

(Prohibition)あるいは保護政策 (Protection)の廃止として 要するに歴史的には質

本に先行する生産諸段階に特有の諸限界および諸制限の否定として現われたしまたそれは歴史

的には重農主義者たちによって自由放任主義 (laissez-fairelaissezpasser)としてまった

くただしく特徴づけられ弁護された」 (EbendaS532)

1858年1859年 『経済学批判原初稿』第二章 「貨幣 3 国際的な支払手段および購買手段としての世界鋳

貨としての貨幣」

「蓄蔵貨幣および一般的支払手段としては貨幣は世界市場の一般的交換手段 (allgemeines

TauschmitteldesWeltmarkts)となり単に概念の上から見てだけでなくその存在様式か

ら見ても一般的商品となる貨幣が鋳貨として機能するさいに受け取る特殊な国民的形態は

貨幣としての貨幣の定在において脱ぎ捨てられている貨幣はこういうものとしてはコスモ

ポリーティシユ的 (kosmopolitisch)である (貨幣のこのようなコスモポリーティシユ的性格

〔kosmopolitischerCharacter〕は古代人を驚かせた 「この人の生地はどこですか生まれは

どこですか 富み栄える所です」 本文の注〕金銀が致富欲求のための使用価値として

特殊的諸欲求から独立 した抽象的な富として介在 してくるようになればそのことによって

〔諸国民のあいだに〕一つの社会的素材変換 (einsocialerStoffwechsel)が行なわれうる

たとえ 〔取引しあう両国民のうち〕一方の国民しか相手方の国民の持つ使用価値にたいして直接

的欲求を持っていない場合でも- から金銀は世界市場の創造 (Sch8pfungdesWeltmarkts)

においてつまり社会的素材変換がありとあらゆる地域的宗教的政治的種族的な諸区別を

越えて拡大していくさいにこの上なく強力な作動困 (Agenten)となるのである

アメリカの銀は商品としてアメリカからヨーロッパに運ばれそこから交換手段としてアジア

とくにイソドに輸出され大部分はその地で蓄蔵貨幣の形態で沈殿 していくのでありこのよう

にしてアメリカの銀はアメリカと 〔ヨーロッパおよびアジア〕を結びつける接合剤 (Bindemittel)

として大きな役割を果たしてのである新しい金銀産出諸国の発見は世界市場がその

広がりと深さとにおいて発展 していく歴史のなかでこの上なく重要な役割を演ずるのである」

Marx ZurKritikderPolitischenOkonomieUrtextOkonomischeManuskPriPteundSchriften

1858-1861MEGAⅡ2SS23-24)

「中国との貿易」 (『ニューヨークデイリトリビューソ』1859年12月3日付第5808号)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

92 季刊経済研究 第22巻 第4号

確実に飛躍するだろうというきわめてはかばからしい見解が流布 していた頃われわれは今世紀

のはじめ以来の中国の貿易に若干精密な考察を加えてこのような誇張された予測がどのような

確かな根拠を持たないものであることを示そうとしたアへソ貿易- それについてわれわれは

西欧の工業製品の輸出とは逆比例的して増大 したことを論証 した- はまったく別としてもわ

れわれは中国への輸出の急激な増大をいっさい妨げている主要な障害は零細農業と家内工業と

の結合 (thecombinationofminuteagriculturewithdomesticindustⅣ)に基礎を置 く中

国社会の経済的構造 (theeconomicalstructureofChinesesociety)であることを兄いだし

たわれわれが以前に述べたことを確認するためにここで 『中国および日本へのエルギソ卿の

特派に関する往復文書』 (CowesPondeweRelatizcioLmdElginsSPecialMissimstoChina

andJaLkm)と題する青書を援用しよう

青書には広東におけるイギリスの代表者であるミッチェル氏 (MrMitchell)が

にあてた1852年の報告が載っているがそのなかからつぎの個所を引用しよう

「〔四つの〕新しい市場が生産地域のすぐそばにまた海岸のもっとも好都合な場所に開設さ

れたそれにもかかわらず見込まれていたわが国の工業製品の消費の増大についてはどういう

結果になっただろうか

1842年の条約 (「南京条約」- 引用者)がイギリスの対中国輸出貿易を促進するうえでまっ

たく効果がなかったことはつぎの統計から看取される (統計省略- 引用者)」 (MarxTrade

mthChinaNeれlarrYorkDailyTribuneNo5808December31859MECWVol16

pp536-37MEWBd13SS540-41)

「需要の欠如と衣服の因襲的様式への偏愛とは文明国の貿易があらゆる新市場でぶっからざ

るえない障害である太綾織地の厚さと強さの点でイギリスとアメリカの工業家たちはその製

品を特殊な要求に適合させることができないのだろうか だがわれわれはここで問題の真の核

心に到達する1844年にミッチェル氏はそれぞれ価格を表記 して各種の質のものを揃えて現地

産の布の若干の見本をイギリスに送った彼の取引相手はマンチェスターでそれを指定の値段

で生産することはできないしましてやそれを中国に輸送することはなおさらできないと彼に確

言したこのように世界でもっとも進歩 した工場制度 (themostadvancedfactoⅣ system

oftheworld)がもっとも原始的な織機 (themostprimitiveloom)で手織りされた布より

安い値段でその製品を売ることができないというのはなぜだろうか その謎を解 くものはわ

れわれがすでに指摘 した零細農業と家内工業との結合 (combination)である再びミッチェル

氏の言葉を引用しよう

「収穫が終わると農家においては老いも若きも皆がこの綿花を琉いたり紡いだり織った

りすることにかかる彼らはこの自家製の布すなわち2年か3年もの手荒い取扱いに適する重

いもちのよい生地を身にまとい余ったものは近 くの町に持っていく この国では

10人のうち9人までがこの自家製の布を身にまとっておりもっとも粗末なダソ グリー綿布

(thecoarsestdungaree)からもっとも上等の南京木綿 (thefinestnanking)にいたるまで

いろいろ質の違った製品がすべて農家で生産される生産者にとっては原料の価値を超えては文

字通 りなんの費用もかからないというよりは彼がその原料と引き換えに渡す自分の農業経

営の産物である砂糖の価値を超えてはなんの費用もかからないのであるわが国の製造業者た

ちが粗末な織物に関する限り競争者としてまったく勝ち目がないということをひと目で悟るに

はこの制度の驚嘆すべきつましさと農民のその他の生業とのいわば見事な接合 (dove-tailing)

とをちょっと考えてみさえすればよい裕福な農家にはすべて織機が備わっているということ

はおそらく世界中で中国だけの特徴であろう」

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 93

イギ リス商品の東イン ドへの輸出に長期にわたって抵抗 しいまなおこれを阻止 しているもの

もこれと同じ農業と手工業との結合 (samecombinationofhusbandrywithmanufacturing)

である しかし東イソドではこの結合は特殊な土地所有制度に基礎を置いていただがこの国

の最高の地主の地位についたイギリス人はこの土地所有制度を掘 りくずすことが可能であった

しこのようにしてヒソ ドゥ一人の自給自足的な共同体の一部を強制的にイギリスの織物と交

換にアへソ綿花藍大麻その他の原料を生産する単純な農場に変えることことが可能であっ

た中国ではイギリス人はまだこうした権力を振ってはいないしまたおそらく今後ともけつ

してそれに成功 しないだろう」 (1bidpp538-39EbendaS542-44)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第-分冊』 「経済学批判 第三章 資本一般 Ⅰ 資本の生

63年 産過程 2 絶対的剰余価値 追補」

「資本主義的生産が したがって工場制度が大陸で発展するのに応 じて政府 (フラソスプ

ロイセソオ-ス トリア等々)は労働時間の制限についてイギリスの前例をどうにかして見

ならうことを強いられていた各政府はたいていある程度の加減を行ないながらイギリスの

工場立法 (Factorylegislation)を模倣 してきたしまた模倣せざるをえなかった」 (Marx

ZurKritikderPolitischenOkmomie〔MaluSkriPt1861-1863〕MEGAⅡ31S198)

1861- 『経済学批判 (1861-63年草稿) 第三分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) h リ

63年 カー ドウ 蓄積論」

「リカー ドウ自身は恐慌に関 してはすなわち生産過程そのものから生ずる一般的な世界市

場恐慌に関 しては実際なにも知 らなかったのである彼は1800-1815年の諸恐慌を凶作の

結果としての穀物騰貴や紙幣の減価や植民地商品の減価などから説明することができたと

いうのは大陸封鎖の結果として市場は経済的理由からでなく政治的理由から暴力的に収縮 させ

られたからである1815年以後の諸恐慌 も彼は同様に一部は凶作の年の穀物不足から

また一部は彼自身の理論によれば戦争中と大陸からのイギリスの封鎖中に穀物価格を上昇させ

ていたはずの諸原因が作用することを止めるにいたったために穀物価格が低下 したことから さ

らにまた一部は戦争から平和-の移行とそれから生 じる 「貿易の経路における突然の変動」か

ら説明することができたのである その後の歴史的な諸現象とくに世界市場恐慌

のほとんど規則的な周期性 (diefastregelmassigePeriodicit益tderWeltmarktscrisen)は

リカ- ドゥの後継者たちにたいしてその事実を否定するかまたはそれを偶然的な事実とし

て解釈するということを もはや許すものではなかったそこで彼らはそうしたことをする

のではなくその代わ りに- すべてのことを信用から説明 して - 資本の過多

(lethwaofcaPital)と過剰生産 (仇材軸 tim)というまことに結構な区別を考えだしたの

である過剰生産にたい しては彼らは リカー ドゥやスミスの決まり文句や好都合な理由にLが

みついて反対 しながら一方資本の過多からそうでなければ彼らには説明がつかない諸現象

を演辞 しようとするたとえばウイルソソ (Wilson)は二三の恐慌を固定資本の過多から

説明し他の恐慌を流動資本の過多から説明している資本の過多そのものはもっとも優れた

経済学者たち (たとえば フラー トン 〔Fllarton〕)によって主張 されている 」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ33

SS112(ト21強調はマルクス)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrise)においてブルジョア的生産の諸矛盾と諸対立とは一挙

に暴露されるそのときには弁護論者たちは破局となって爆発する相争 う諸要素がどこにあ

るのかを研究するのではなくその代わりに破局そのものを否定 しそ して破局の規則的な周

期性に直面 しながらもし生産が教科書通 りに行なわれていたならばけっして恐慌にはならな

いであろうと主張 し続けることによって満足するのである」 (EbeluiaSS1122-23)

「世界市場恐慌 (Weltmarktscrisen)はブルジョア的経済のあらゆる矛盾の現実的総括お

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

94 季刊経済研究 第22巻 第4号

よび暴力的調整 (realeZusammenfassungundgewaltsameAusgleichungallerWidersprむhe)

として把撞されなければならないしたがってこの恐慌において総括される個々の諸契機は

ブルジョア的経済のどの部面にも現われ発展させられるものでなければならないそしてわれ

われがブルジョア的経済のなかにさらに突き進んで行けば行 くほど一方ではこの矛盾の新た

な諸規定が説明されなければならないし他方ではこの矛盾のより抽象的な諸形態がより具

体的な諸形態のなかに再現しそしてそれらのなかに含まれていることが証明されなければなら

ない」 (EbeyuiaS1131)

「ブルジョア的生産のすべての矛盾は一般的世界市場恐慌 (allgemeineWeltmarktkrisen)において集合的に爆発 し特殊な (besonder)恐慌 (内容と範囲から見て特殊な)においては

ただ散発的孤立的一面的に爆発するにすぎない」 (EbendaS1154強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第四分冊』 「5 剰余価値に関する諸学説 (続き) 収入と

その源泉」「商業資本はいろいろな形態で産業資本に従属させられるかまたは同じことであるが

産業資本の機能となり特殊な一機能を果たす産業資本となる商人は商品を買わないで隻

労働を買いこの賃労働で商品を生産してこの商品を商業のための販売用とする

第一の形態では商人が生産を支配し商業資本がそれによって動かされる手工業や農民的家

内工業を支配する産業は商人の従属物である第二の形態では生産は資本主義的生産に転化

する 産業資本はただ商品流通 しかも商業にまで発展させられる商品流通という

前提の上に形成されるにすぎないのだから商業はツソフト的生産や農村的一家内工業的生産

や封建的農業生産の資本主義的生産への転化 (Verwandlungderz血ftigen landlich-hauslichen

undfeudalenAgriculturproductionincapitalistische〔production〕)のための前提である

商業は生産物を商品の発展させるなぜならば商業は一つには生産物に市場をつくりだすから

であり一つには新たな商品等価物をつくってやるからであり一つには生産に新たな材料を供

給しこうしてはじめから商業にもとづいており市場のための生産にもとづくとともに世界

市場 (Weltmarkt)からくる諸生産要素にもとづいている生産様式を開始するからである16世

紀にはいろいろな発見やマーチャソ トアドヴェソチャラーズこそがマニュファクチュアを

引き起こしたものであるこのマニュファクチュアがいくらか強固になればそしてさらに大工

業としていっそう強固になればそれはそれ自身で市場を創造 しそれを征服し部分的には力ずくで自分のために諸市場を開くがそれらの市場を自分の商品そのものによって征服する -植民地制度によって (禁止的関税制度と同時に)最初の発展期における産業資本は暴力

的に一つの市場またはいくつかの市場を確保 しようとする産業資本は世界市場 (Weltmarkt)

に面 している産業資本はそれ自身の費用価格を単に国内の市場価格とだけではなく全世界市

場 (thewholemarketoftheworld)でのそれと比較するのであり したがってまた絶えず

それと比較 しななければならないのである彼は絶えずこのことを顧慮 しながら生産するこの

比較は初期にはただ商人階級だけの仕事でありしたがって商業資本のために生産的資本にたい

する支配権を保証するのである」 (MarxZurKritikder如IitischenOkOmie〔ManuskriPt

1861-1863〕MEGAII34SS1466-67強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第五分冊』 「第三章 資本と利潤 エピソー ド資本主義的

再生産における貨幣の還流運動」

「還流 (R屯ckstr6men)は時計仕掛けのように 〔まったく規則正 しく〕簡単にはいかないのであるといってもここで重要なのはただ本質的な運動を把撞 しておくだけであるこ

の運動がそれ以上にどのように媒介されるかは一般に信用制度においてはじめて説明されるこ

とであるだがそれの理解のためにこの本質的な運動をあらかじめ知っておくことが必要で

ある部類Ⅱの生産物のうちそれの剰余価値を表わす部分と生活手段の形で存在する部類 Ⅰの

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 95

不変資本との交換は世界市場では (aufden Weltmarkt)たとえばイギリスのキャラコと

綿花との交換またはイギリスの槻概や綿糸と他国の小麦などとの交換として明白に現われる」

(MarxZurKritikderolitischenOkonomie〔ManuskriPt1861-1863〕MEGAⅡ35

S1737)

同上書 「第三章 資本と利潤 エピソード資本主義的再生産における貨幣の還流運動 (続き)」

「これらの部頬とは別に貨幣として機能する商品すなわち貴金属の生産者は特種な (sui

generis)一部頬を形成する簡単にするためにわれわれはただ貨幣材料の生産者として金

生産者を資本主義的生産の国そのもののなかに移してみることにする (というのは貴金属を生

産する諸国に属する独自な事柄はこの一般的な考察には属さないからである)

ついてで言えばわれわれは同じ理由から外国貿易 (auswartigerHandel)を除外した

J (EbendaS1752)

同上書 「5 剰余価値に関する諸学説 (結び) o) リチャチ ドジョウソズ」

「J(ジョウソズ)は二つの主要形態を見落としている農業と工業とが一体をなしているア

ジア共同体 (dasasiatischeGemeinwesenmitseinerEinheitYonAgriculturund

lndustrie)第二に中世の都市のツソフト制度 (Zunftwesen)これは部分的には古代世界

にも見られる」 (EbeluiaS1850)

「労働者と労働条件との本源的統一 (ursprhglicheEinheit)には 〔労働者自身が客体的な

労働条件に属している奴隷関係を別とすれば〕二つの主要形態があるすなわちアジア共同体

(自然発生的共産主義 〔naturwuchsigerCommunismus〕)とあれこれの形態での小さな家

族農業 (それには家庭工業 〔Hausindustrie〕が結びついている)とがそれであるこの両形態

は小児形態 (Kinderformen)であって両方とも労働を社会的労働として発展させ社会的労

働の生産力として発展させるには適していないそれだからこそ労働と所有 (これは生産条件

の所有を意味する)との分離切断対立の必然性 (NothwendigkeitderTrennungder

zerreissungdesGegensatzes)があるのであるこの切断の極端な形態といってもそれに

よって同時に社会的労働の生産力がもっとも強力に発展させられる形態は資本の形態である

資本が創造する物質的な基礎の上でそしてこの創造の過程のうちで労働者階級および全社会が

経験す る諸革命によっては じめて本源的統一は再び回復 され うるのである」 (Ebenda

SS1854-55強調はマルクス)

『経済学批判 (1861-63年草稿) 第六分冊』 「3 相対的剰余価値 γ 分業と機械制作業場

道具と機械」

「(1617世紀当時のオラソ ダは世界で支配的な商業国民植民地支配者 〔herrschendes

HandelsundColonialvolk〕だった加えて穀物の輸入大規模な穀物取引国内では農耕

に替わる畜産水利工事プロテスタソト派の新教ブルジョア的発展共和制の自由)」

(MarxZurKritikderolitischenOkmomie〔Manuskrit1861-1863〕MEGAII36

SS192ト22)「アメリカ合衆国西イソド諸島向けの貿易 (穀物や小麦粉などの輸出)しかしわけても

革命戦争 (1793-1807年など)のあいだにイギリスフラソススペイソポル トガルその他

いくつかのヨーロッパ諸国に小麦粉の輸出が増大したアメリカの小麦粉にたいする需要 〔の

増大〕(平素アメリカが小麦粉を供給しなければならなかったのは西インド諸島にたいしてだ

けであったのだが)

火薬 (Pulwr)羅針盤 (Com如S)印刷術 (LhLChdmckerei)- 市民社会 (diebむgerliche

Gesellschaft)の前触れとなる三大発明火薬は騎士階級を吹 き飛ば し羅針盤は世界市場

(weltmarkt)を発見し植民地をつくりだすさらに印刷術はプロテスタンティズムの総 じ

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

96 季刊経済研究 第22巻 第4号

て科学の復興の手段精神的 に不可欠な諸前提のための最強の積杵である」 (Ebenda

SS1927-28強調はマルクス)

「さまざまな地質の諸層の順次的継起 (Reihenfolgederverschiednengeologischen

Fom ationen)について人は明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えては

ならないが さまざまな経済的社会構成体の形成 (Bildungverschiednen6konomischen

Gesellschaftsfom ationen)についても同様である もっとも偉大な発明- 火薬

羅針盤そして印刷術- はもっとも驚嘆すべき自動装置の一つである時計と同様に手工業の

時代に属しているそれはちょうど天文学におけるコペルニクス (Copernikus)とケプラー

(Keppler)の最高に天才的かつ革命的な発見が観測の機械的な補助用具がすべてまだその幼

年期にあった一時代に属 していたのと同じである同様に紡績機械 (Sppinmaschine)や蒸

気機関 (Dampfmaschine)も手工業とマニュファクチュア- そこで製造された- にもと

づいて同じくまたこの時代に発達 した機械学 (WissenschaftderMechanik)などにもとづ

いてつくられたのであるここに貫かれているのはより後の形態の物質的な可能性が- 技術

的諸条件もそれに対応する作業場の経済的な構造も- 先行する形態のなかでつくられるという

一般法則 (dasallgemeineGesetz)である革命的な要因としての機械労働は古い生産手段で

欲求を充足させる可能性を超えて欲求が増大することから直接に呼び起こされるのである しか

しこの欲求の超過そのものは手工業を基盤にして行なわれた発見とマニュファクチュアの支

配のもとで創設された植民地体制およびある程度までこの体制によってつ くりだされた世界市場

(Weltmarkt)とによって与え られ る ひとたび生産諸力 に革命 (Revolutioninden

Productivkraften)- それは技術的 (technologisch)な形で現われる- が起 これば生産

諸関係にもまた革命 (RevolutionindenProductionsverhaltnissen)が起こる」 (Ebenda

SS1972-73強調はマルクス)

同上書 「3 相対的剰余価値 蓄積」

「このマニュファクチュアが発生するのは需要が交換にはいってい く諸商品の量が外国

貿易 (実際には限定された世界市場 〔relatiwrWelt桝αrkt])が突如として巨大に拡大する時

期であるだけになおさらそうであるそれゆえこの時期に見られるのはもっぱら手工業経

営と闘争するマニュファクチュアであってこの生産様式とともに (都市において)はじめて広

範な存在となる賃労働そのものと闘争するマニュファクチュアではないのである」 (Ebenda

S2055強調はマルクス)

「18世紀にはイギリスでもフラソススウェーデン ドイツでも数学機械学化学の発達の度合いと発見の程度はほとんど同じだったたとえばフラソスにおける諸発明もそうだっ

た しかし当時それらが資本主義的に利用されたのはイギ リスだけであったそれは資本

による科学的進歩の徹底 した利用を可能にするほど経済状態が進んでいたのはひとりイギリス

だけであったからである (その場合とくに決定的であったのはイギリスの農業事情と植民

地領有 (Colonialbesitzungen)であった)」 (EbendaS2086強調はマルクス)

同上書 「4 剰余価値の資本への再転化 α 剰余価値の資本への再転化 再生産」

「もしも剰余生産物のうちの過大な一部分が不変資本ではなくて個人的消費用rr - -I- の資本となることができるよう形態で再生産されているとすれば流動資本のうち不変資本I

にはい らない部分の過剰生産 が生 じたはずであ る これ らの割合 は閉 ざされた一 国

(abgeschloBnesLand)でなら厳密に一定であろうけれども外国貿易 (auswdrtiger

Handel)によってある国では原材料半製品補助材料および機械装置という形態 (Form

YonRohmaterialienHalbfabrikatenHilfsstoffenundMaschinerie)にある剰余生産物の

うちの一部分が剰余生産物が消費可能な諸対象の形態で存在する他のある国の剰余生産物の形

態に転化されることができる外国貿易 (ausuBTligerlld el)はこうしてこの制限 (Schranke)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 97

を突破するだからこそそれは一定の与えられた欲求の充足を考慮して労働するのではなく自己の生産手段の規模に従って労働する資本主義的にとって必要なのである交換価値による生

産の支配は個々人にとっては彼の生産は(1)彼の欲求に合わせて行なわれるのではなく(2)直接に彼の欲求を充足するものではないというように現われ一言で言えば彼は諸商品を生産する- それらは貨幣に転化したのちにはじめて彼自身にとっての諸使用価値に転化されることがで きる- とい うよ うに現われ る しか しいまでは この ことが一国全体の生産

(productioneinesganzenLandes)はこの国の直接的な欲求によって測られているのでも

なければ生産のさまざまの部分の生産の利用 (Verwerthung)のために必要だというよう

な配分によって測られているのでもないというように現われるのである したがって再生産過程

は同じ一国での相互に対応 しあっている諸等価物の製造に依存するのではなく外国の諸市場

でのこれらの等価物の製造に世界市場の吸収力 (AbsorptionskraftdesWeltmarkts)と拡大

とに依存するこのことによって不照応の可能性 (M6glichkeitdesNichtentsprechens)の 増大が与えられておりそこから諸恐慌の可能性 (M6glichkeitYonCrisen)の増大が与えら

れている」 (EbendaSS2255-56強調はマルクス)

「かりにある国が閉ざされて (abgeschlossen)いるとするならこの国の剰余生産物はた

だこの剰余生産物の与えられた現物形態で消尽されるだけである剰余生産物の交換可能性の

領域はこの国におけるさまざまの生産部門の多様性によって制限されていることになる外国

貿易 (ausw益rtigerHandel)によってこの制限は取り払われている撚糸という任意の剰余生

産物がワイソ干ぶどう柄等々の形で表わされることができるこうして外国貿易は一

国の剰余生産物が転化されることができるまた消尽されることができるもろもろの形態を拡大

する しかしこの対外的形態にもかかわらず剰余生産物は依然としてその国の労働者の剰

余価値剰余労働以外のなにものをも表わしてはいない」 (EbendaS2256)「この制限 (Schlanke)はさきに述べたように外国貿易 (ausuiirtigerHandel)よって突

破される生産者たちは外国諸市場で彼らの生産物の一部を可変資本と収入の消尽諸対象とに

転換することができるのである

だが外国貿易を度外視 しよう 」 (EbeyuiaS2258)

同上書 「追補 諸著作」

「19世紀にはマルサス (Malthus)スペソス (WSpence)ローダディル (Lauderdale)

パーネル (Pamell) ら要するに穀物法 (com law)の全支持者がこれに賛成 しビュカナソ (Buchanan) ウェス ト (West) リカー ドウ (Ricardo) 『商業政策』 トレソ ズ(TweW)JDヒュ-ム (Hume)その他多くの者がこれに反対 した彼らの一部は

穀物法論争を扱うさいに再び言及されるべきである (30年以降になるとこの同じ自 由貿易論者が彼らに痛 くも痔 くもないこの自然法則 (Naturgesetz)を労働者たちに向かって主張 したのでありまた地主 〔連中〕が自由貿易論者に向かって主張 したのと同じことを部分的にではあれ労働者に向かって主張 したのである ) トレソズ氏はさらにこ

れが反ジャコバソ戦争 (Antijacobinerkrieg)の時期に進行 したことを認めているこの時期に

は(1)イギリスは機械の独占 (MonopolderMaschinerie)(2)世界市場の独占 (Monopol

desWeltmarkts)(3)さらになお労働者を通貨の減価によって保護 していた しかしこれが終わるやこれらは世界市場における競争 (CmZCum722aufdemWelt〝∽rkt)にとって破壊的になりさらに労賃は部分的にはすでにその自然価格の限界にまできわめて低く抑え込まれていたので一層の押 し下げは危険であった しかもまさにその当時すでに労働日の延長に 反対する労働者の闘争と反乱が始まりつつあったのである (原生産物が不変資本にはいり込む限りでは原生産物の騰貴によって利潤率は労賃からは独立に低下させられるし

世界市場における競争と独占の廃棄 (Aufh6rendesMonopols)という状況にさいして労

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

98 季刊経済研究 第22巻 第4号

働の価値の名 目的上昇は利潤率に深刻な打撃を与えるに違いない)」 (EbendaSS2261-も2強

調はマルクス)

同上書 「いわゆる本源的蓄積」「資本の発展は始原から (abow)世界の創造とともに始まるのではない世界を支配するも

のとしてまた経済的社会構成体全体 (dieganze6konomischeFomationderGesellschaft)

を掌撞するものとして資本の発展がようやく始まったのは実際には16世紀および17世紀になっ

てからのことである これがその幼年期 (Kindheit)である 実際には資本主義的

生産様式 (diecapitalistischeProductionsweise)は (た とえ まだかろ うじて散在的

〔sporadisch〕にしか展開 していないにせよ)大工業とともにはじめて完全なものとなるので

あり したがってその総体 (Totalit益t)では18世紀の最後の三分の一期に日付がつけられる

資本のもとへの労働の単なる形態的包摂 (fwmelleSubsumtim)- 労働 日の延長および労働 者階級の処分可能な全時間の資本に帰属するものとしての押収 (Beschlagnahme)は これ

i に基礎を置いている- でさえ資本主義的生産様式が現実に発展 してようやく展開したのであ

るそれ以前はせいぜいのところ奴隷制度 (近代の植民地に立脚 しているもの )の状

態にあったのが大量生産 したがってまた販売のための生産が行なわれるようになるや商品

生産は土地所有の集積 (Concentration)を通 じて農業をわがものとしたのである

1617世紀以前にたとえばイタリアスペイソ コソスタソティノーブルフラソドル地方等でマニュファクチュアが見られたがその場合それは(1)部分的に手工業的性格を有 しており

(たとえば鉱山労働や金属加工においては別であるが)(2)つねに商業や海運業の独占や当

時の世界市場のこうした独占者の手 (HandendieserMonoJDlistendesdam aligenWeltmarkts)

に貯め込まれた貨幣資本商業資本にその基礎を置いているのである」 (EbendaS2375)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第二部 (草稿 Ⅰ)』 「第 1章 資本の流通」

「つぎの範囲のことはすでに前 もって記 しておくことができる- 商品資本はWおよび

Wとして過程の前提およびその結果として前貸 し (advance)および回収 (reprise)とし

て二重に現われる労働過程の客体的要因を表わす諸商品Wの一部分は資本主義的生産過程

の生産物ではなくてなにかほかのある生産過程の結果 (たとえば奴隷を使って生産された綿

花自営農民 〔selfemployingpeasants〕や 〔イソ ドの〕ライオット〔Ryots〕や農奴 〔serfs〕

によって生産された穀物等々)として資本主義的生産過程にはいって くるということがありう

る しかしそのことはG-Wが遂行されてしまえばつまり資本家がこのイソドやロシア等々

を労働手段を買ってしまえばそれらはもう彼の資本の形態 〔になって〕いるということをい

ささかも変えるものではない簡単化のためにここではつねに資本主義的生産過程の契機はすべてがそれ自身資本主義的生産過程の結果であってなんらかのそれとは異なった仕方で規定さ

れた生産過程の結果ではないことを前提 しよう」 (MarxDasKaPital(OkmomischesMamLSkriPt

1863-1865)ZumtesBwh(ManuskriPtI)MEGAII41S147中峯照悦 大谷禎之介他訳

『資本の流通過程- 『資本論』第2部第 1稿』マルクスライブラリ③大月書店1982年

17-18貢強調はマルクス)

同上書 「第 1章 資本の流通」 「資本主義的生産様式はそれの 〔生産〕過程の規模にとって不可欠な流通過程を短縮する

形態を信用 (Credit)において手にいれるのでありそ して同時にこの生産様式が創造する世

界市場 (Welt〝∽rkt)は具体的などんな場合にも この形態の作用をおおい隠すのを助けそ

れと同時にこの形態の拡張に向けてそれに非常な活動の場を提供するのである恐慌を信用の濫用から説明するということは恐慌を資本の現象的な流通形態から説明することを意味する」

(EbeyuiaS174同上訳49貢強調はマルクス) 「市場に存在する商品の量と多様性は単に生産物の量と多様性だけに依存しているのではな

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 99

く部分的には生産物中のどれだけの大きさの部分が商品として生産され したがって商品と

して販売のために市場に投げ込まれなければならないかということによっても規定されている

このことはさらに生産物をもっぱら商品として生産する資本主義的生産様式が発展を遂げている度合い (gade)にかかっているまたこの生産様式があらゆる生産部面を征服 しているその度合いにかかっているそれゆえたとえばイギリスのような資本主義的に発達 した国民とイ

ソドや中国のような国々との交換には大きな不均衡 (MiBverhaltniB)が生 じるこれは恐慌

の諸根拠 (GribuiederCrisen)のうちの一つなのであるがばか者どもはそれをまったく見落と

している彼らは生産物対生産物の交換 (AustauschYonProductgegenProduct)の段階 で満足 しており しかもそのさい生産物はけっしてそれ自体として商品であるのではなくそれゆえそれ自体として (eoipso)他の諸生産物にたいして交換可能であるのではないとい

うことを忘れているのだ同時にこの不均衡はイギリス人等々を駆 り立てて中国イソド等々

における旧来の生産様式をなぎ倒 してそれを商品生産にそれも国際分業 (internationale Theilung)にもとづく商品生産 (つまり資本主義的生産 〔に〕適合する姿をとった 〔生産〕)

に変形 し変革させる拍車なのであるこのことは部分的にはたとえば羊毛あるいは木綿の紡

ぎ工たちを安売 り (underselling)で うち負か し資本主義的に生産 された商品の安価

(Wohlfeilheit)にたちうちできない旧来の生産様式を滅ぼすことによって達成されるのである」

(EbendaS190同上訳67頁強調はマルクス)

同上書 「第3章 流通と再生産」

「この種の過剰生産は以前の諸生産様式では資本主義的生産様式の基礎上での

それの大きさに比べればとるに足 りない大きさである

(4)資本主義的生産様式では巨大な自然的話力等々の応用と世界市場との関連 (Zusammenhang

mitden Weltmarkt)にもとづく生産とによって現存する資本を壊滅させかねないもろもろ

の危険が途方もなく増大するので旧来の規模での資本の再生産のためにさえ必要な予備ファソ

ド (Reservefonds)が増大 しなければならずそれに加えて生産様式のたえざる変革

(Umwalzung)- これは一方では生産規模をたえず拡大することを強制 し 〔他方では〕

まだ消尽されていない生産手段をより新 しくてより良い生産手段に置き換えることをたえず強制

し法則として各個の資本家を従わせる- によって以前の諸生産様式にはまったく知られて

いなかった予備ファソドが必要となるからであり

(5)資本主義の衝動 (TriebdesCaPitalismus)がこの生産様式の基礎上では じめて完全に発展

するからであり

(6)最後にここではじめてこの衝動を実現する手段が労働の生産諸力の発展大量の商品

資本を在庫の形態で市場で保存する手段もろもろの市場そのものの拡大すべての国民の生産

の絡み合い (derlneinanderschlingungderProductionallerV61ker)生産部門のたえざ

る累増あらゆる形態での固定資本の発展ある部面で生みだされた過剰資本を他の部面で機能

させること (総 じて貯蓄を資本化すること 〔Erspamngenzucapitalisieren〕)を容易にする

もの 〔すなわち信用制度〕の形成これらのことによって完全に発展するからである

したがって資本主義的生産様式が一国で発展するのに比例 して蓄積の必然性 (NothwendigkeitderAccumulation)その衝動がまたそれを実現するためのすなわち新たな資本を生産するための手段が増加する言い換えればたえず増大する規模でのたえざる過剰生産(- )が再生産過程の内在的-契機 (einimTYu21u加esMomentdesReZwdwtimsLwwesses)となるので

ある」 (EbendaSS357-58同上訳271-72貢強調はマルクス)

『資本論 (1863-1865年経済学草稿) 第三部 総過程の姿態』 「第3章 資本主義的生産の進

歩に伴う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

100 季刊経済研究 第22巻 第4号

「資本主義的生産様式が物質的生産力を発展させこれに対応する世界市場を創造する (den

ihrentsprechendenWeltmarktzuscha飽n)ための歴史的手段であるとすればそれは同時

に このようなその歴史的任務 とこれに対応する社会的生産諸関係とのあいだの恒常的矛盾

(stbestandigeWiderspruch)なのである」 (MarxDosKaPital(OkmomischesManuskriPt

1863-1865)aitiesLhLChMEGAII42S324)

同上書 「第 3章 資本主義的生産の進歩に伴 う一般的利潤率の傾向的低下の法則」

「資本主義的生産の主要事実-少数の手のなかでの生産手段の集積 (CmuenL和tim derPrdwtimwmitiel) 社会的労働としての労働そのものの組織- 協業分業および労働と自然科学との結合によっ

世界市場の形成 (HerstellungdosWeltmmkts)」 (EbendaS339強調はマルクス)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

-の転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場における貴金属の運動 (BewegungderedlenMetalleaufdem Weltmarkt)に

ついて言えば (ここでは貴金属の運動が一国の他国への資本の掛け売 り 〔VerpumpungYon

CapitaleinesLandesandasandre〕商品資本の形態ででも行なわれる掛け売 りを表現する

限 りこの運動を度外視する)それが国際的商品交換 (internationalerWaarenaustausch)

によって規定 されていることは国内の購買 支払手段としての貨幣の運動が国内の商品交換に

よって規定されていることとまったく同様である」 (EbendaS392)

同上書 「第4章 商品資本および貨幣資本の商品取扱資本および貨幣取扱資本または商人資本

への転化 4)貨幣取扱資本」

「世界市場の突然の拡張流通にはいる商品の増加アジアの生産物やアメリカの財宝を奪取

しようとするヨーロッパ諸国民のあいだの競争心手に手を取っての植民地制度これらのもの

が生産様式の封建的諸制限を粉砕するのに本質的に貢献 したそれにもかかわらずただ近代的

生産様式がその最初の時期- マニュファクチュア時代- に発展 したのは諸条件が中世の

内部で生みだされていたところだけであったたとえばオラソダをポル トガルと比較せよ16世

紀 に (また部分的 にはなお17世紀 に も)商業 の突然の拡張 と新 たな世界市場 の創造

(Sch6pfungeinesneuenWeltmarkts)とが旧来の生産様式の没落と資本主義的生産様式

の発生とに圧倒的な影響を及ぼ したとすれば 〔このことは〕逆にすでに創出されていた資本

主義的生産様式の基礎の上で 〔生 じたのである〕世界市場はそれ自身この生産様式の基礎

をなしている他方たえずより大きな規模で生産 しようとするこの生産様式の内在的必然性

(immanenteNothwendigkeit)は世界市場の不断の拡張に駆 り立てるのであ りその結果

ここでは商業が産業を変革す るのではな く産業が商業を変革す るのである商業の覇権

(Handelsherrschaft)もここでは大工業の諸条件の大なり小なりの優勢と結びついているた

とえばイギリスとオランダとを比較せよ」 (EbendaS406)

同上書 「第 5章 利子と企業者利得への利潤の分裂 (産業利潤または商業利潤)利子生み

資本 2)利潤の分割利子率自然利子率」

「1)貸 し手 と借 り手 とのあいだの競争やその結果 と しての貨幣市場の短期的諸変動

(Oscillationen)はわれわれの考察の範囲外となる 2)利子率が産業循環中に (during

theindustrialcycle)通過する循環 (Cirkel)はその叙述のためには産業循環の叙述か前提

となるがこの叙述もやはりここではできない同様に3)世界市場における利子率の多かれ少

なかれ大 きな均等化 (diemehrodermindergrosse-AusgleichungdesZinsesaufdem

Weltmarkt)など 〔についても言える〕ことは明らかである」 (EbendaS431)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

世界市場および世界価値に関する諸学説(Ⅱ) 101

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 a)緒論」

「たとえば1849年から1859年までにイギリスでは農業労働者の労賃は 〔第一に〕アイルラソ

ドからの農業労働者の供給を断ち切るアイルランドからのエクソダス (EXodus海外移住)

〔第二に〕イギリス製造工業 (englischeFabrikindustrie)による農業人口の異常な吸収

〔第三に〕戦争のための兵士需要 〔第四に〕オーストラリアカリフォルニアおよび合衆国-

の異常な移住および 〔第五に〕ここでは詳細に述べることはできない他の諸原因など圧倒的

な諸事情の合流の結果上昇した」 (EbedaS680)

同上書 「第6章 超過利潤の地代への転化 b)差額地代」

「第三に一一穀物をより安い価格で輸出できるたとえば植民地または一般に 〔アメリカ合衆

国の- 引用老〕新 しい諸州 (neueStaaten)の土地はそれだから必然的に自然的豊度がよ

り高いのだということは誤った前提である

このことが近代的世界市場 (modemerWeltmarkt)の基礎の上に建設された植

民地諸州 (Colonialstaaten)を以前のそれとはことに古典古代時代 (antikeZeit)のそれと

ははじめから区別しているのであるこれらの植民地諸州はこれらの諸州が別の事情のもと

では自力で作らなければならない生産物すなわち衣服道具などを (ただこの基礎の上でのみ

南部諸州はたとえば綿花をその主要生産物にすることができた)諸事情によって完成品とし

て受け取る世界市場における分業 (TheilungderArbeitaufdem Weltmarkt)1が南部諸州

にそれを許すのである」 (EbendaS782強調はマルクス)

1867年1872- 『初版資本論』 「第一巻 第-部 資本の生産過程 第5章 絶対的および相対的剰余価値の生

産に関する追加的研究 第一部の脚注-の補遺」

「Ⅶ)第 5章の注66-の追加イギリスの工場監督官アレクサソダ- -レッドグレ-プ

(AlexanderRedgraue)は前の前の工場報告書 (形の上では1866年10月31日までだが実際に

は1866年12月31日までのものが含まれている)のなかでヨーロッパ大陸諸国との統計比較にも

とづいて大陸の労働はイギリスの労働に比べて賃金が低く労働時間がはるかに長いにもか

かわらず生産物にたいする割合からするとイギリスの労働よりも高価であると指摘している -

レッドグレ-プ氏はロシアの綿工場 (dieyussischenBaumwllfabriken)について非常

に詳細に記述 している この資料はそこで最近まで働いていたイギ リス人マネージャー

(englischermanapger)が彼に提供 したものであるあらゆる恥ずべきことをあれほど豊かに

実らせているこのロシアの土地ではイギリスの工場 (englischefactories)の幼年期に見られ

た往年の残虐行為もまた真っ盛りであるマネ-ジヤ-はもちろんイギリス人であるという

のは土着のロシア人資本家 (dereingebornerussischeKapitalist)は工琴業務については無

知だからであるひどい過度労働 (allerUeberartxeit)絶え間ない昼夜労働 (fortlaufender

Tag-undNachtarbit)労働者たちにたいする破廉恥な過小賃金 (schmahlichsterUnterzahlung)

にもかかわらずロシア製品 (russischesFabrikat)は外国製品の禁止によってやつと息をつ

いている- 最後にもうーっヨ-ロツパ諸国の一工場当たりおよび-紡績工当たり平均紡錘

数についてのレッドグレープ氏の比較概観を示 しておこう レッドグレープ氏自身が語るところ

ではこの数字は彼が数年前に集めたものでそれ以来イギリスでは工場の大きさも労働者の-

人当たりの紡錘数も増大しているとのことであるしかし彼は列挙された大陸諸国でも同じ程

度の進歩があり したがって数字表は比較のための価値を失っていないものと想定 している」

(MarxDasKaPitalKriiikderolitischenOekonomieErsterBandBuch IHamburg

verlagVonOttoMeisser1867SS760-61マルクス 『初版資本論』江夏美千穂訳幻燈社

書店1983年875-86貢MEGAⅡ5S623強調はマルクス)

『フラソス語版資本論』 「第一部 資本主義的生産の発展 第2篇 貨幣の資本への転化 第4

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)

102 季刊経済研究 第22巻 第4号

「商品流通は資本の出発点である資本は販売のための生産と商業とがすでにある発展段階

に到達 した場合にはじめて現われる資本の近代史は16における両世界の商業と市場との創

造 (cr6ationducommerceetdumarch6desdeuxmondes)に始まる」 (MarxLe

capitalTraductiondeMJRoyEntibrementreviS6eparlauteurparis丘diteurs

MauriceLachatreetCIE1872-75p61マルクス 『フラソス語版資本論 上巻』江夏美千

穂上杉聴彦訳法政大学出版局1979年129貢MEGAⅢ7p117)

同上書 「第7篇 第24章 剰余価値の資本への転化」

「現代ではこの熱望は資本主義的生産の発展によって地球上のすべての労働者 (tousles

travailleursduglobe)が投げ込まれたコスモポリット的な競争 (concurrencecosmopolite)

のおかげではるかに時代遅れになって しまった問題はもはやイギリスの賃金 (salaires

anglais)を単にヨーロッパ大陸の賃金水準 (niveaudeceuxdelEuropecontinentale)に

引き下げることではなく多少とも近い将来にヨーロッパの水準 (niveaueupop6en)を中国

の水準 (niveauchinois)に引き下げることであるイギリスの国会議員であるステープル トソ

氏 (MStapleton)が将来の労働価格に関する演説のなかで選挙民に示 した見通 しはこうであ

る彼は言 う 「中国が一大工業国 (agreatmanufacturingcountryungrandpays

manufacturier)になれば ヨーロッパの産業人ロは競争者の水準まで下げることなしにど

のように して競争に耐えうるのかわた しにはわからない (Times9sept1873)」」

(LCp263同上訳下巻257貢Ebendapp522-23)

同上書 「第 7篇 第25章 資本主義的蓄横の一般的法則 第 3節 相対的過剰人口あるいは産

業予備軍の累進的生産」

「だが機械制工業 (industriem占chanique)が充分に深 く根を張って全国民生産 (toute

laproductionnationale)に優勢な影響を及ぼ した時代横械制工業のおかげで対外商業

(commerce6tranger)が国内商業 (commerceint6rieur)を追い越 し始めた時代世界市場

(lemarch6universel)が新世界で (auNouveau-Monde)アジアやオース トラリアで

(auAsieetAustralie)広大な地域を次々に併合 した時代最後に競争に参加する工業国

(nationsindustrielles)が充分多数になった時代にいたってはじめてその継起的諸局面

(phasessuccessives)が数年にまたがり しかもそれがつねに一般的恐慌 (criseg6n6rale)

- これは一つの循環の終わりでもあり他の循環の出発点である- に連するような再生的循

環 (cyclesrenaissants)が始 まるのであるいままでこの循環の周期の継続期間 (dur6e

piriodiquedecescycle)は10年か11年であるがこの年数を不変と見なす理由はまった くな

い反対にわれわれがいま Lがた述 べたような資本主義的生産 の諸法則 (lo主sdela

productioncapitaliste)からはこの数字が可変であり循環の周期が次第に短縮されるであ

ろうと推論 しなければならない」 (LCp280同上訳下巻298-99貢励endapp557)

(未 完)

(200033受理)