子どもの問題を科学する - gacco The Japan MOOC | 無 …どもの発達を科学する...
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子どもの発達を科学する 子どもの発達科学研究所
子どもの問題を科学する
子どもの発達科学研究所
子どもの発達を科学する 子どもの発達科学研究所
Week 3-1 今回のテーマ
問題行動はなぜ問題か?(復習を含む)
Week3-1
子どもの発達を科学する 子どもの発達科学研究所
問題がある犯罪・自殺・貧困
精神疾患・仕事がない
問題がない(幸せ)就労・結婚・友人がいる余暇がある・充実した毎日
危険因子
子どもの発達
保護因子
障がい、精神疾患、貧困、ひとり親家庭、孤立、スキル不足、外国人、虐待、いじめ被害、不適切な教育(体罰)、就学指導の失敗、悪い友達、保護者の精神疾患、保護者の不就労、
知的能力の高さ、スキルの高さ、得意な活動の存在、良い友達の存在、夢中になれる活動、母子関係の良さ、家族の仲の良さ世帯収入の高さ、特別支援教育の成功
Week3-1
子どもの発達を科学する 子どもの発達科学研究所
Week1「子どもの発達を科学する」から
• いじめは発達の危険因子
• 同様に、いわゆる問題行動と言われるものは
予後が良くない
Week3-1
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Week 3-2 今回のテーマ
いじめ問題の難しさ
Week3-2
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• 被害者• 加害者• 傍観者
いじめの経験がない人はいない(親も先生も・・・)
皆さんは、いじめを経験していますか?
Week3-2
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ほとんどの人が、いじめを経験している事実が、いじめ問題を難しくする。
Week3-2
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• 親、教師になった時点で、いじめの負の影響はあまり受けていないかもしれない
• つまり何らかの強さがあったため、耐えられた群である可能性が高い
• ところが、今の子どもたちは、そうではない可能性がある
• 特に最も困っている子どもたちは、既に多くのリスクを抱えている場合が多い
Week3-2
• いじめに限らず、子どもの問題には、経験則を当てはめない方が良い
• むしろ研究で見いだされた科学的事実を使うべき
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Week 3-3 今回のテーマ
いじめの定義
Week3-3
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いじめの定義(文部科学省・いじめ防止対策推進法)平成18年度より
「いじめ」とは、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
Week3-3
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(注1) 「いじめられた児童生徒の立場に立って」とは、いじめられたとする児童生徒の気持ちを重視することである。
(注2) 「一定の人間関係のある者」とは、学校の内外を問わず、例えば、同じ学校・学級や部活動の者、当該児童生徒が関わっている仲間や集団(グループ)など、当該児童生徒と何らかの人間関係のある者を指す。
(注3) 「攻撃」とは、「仲間はずれ」や「集団による無視」など直接的にかかわるものではないが、心理的な圧迫などで相手に苦痛を与えるものも含む。
(注4) 「物理的な攻撃」とは、身体的な攻撃のほか、金品をたかられたり、隠されたりすることなどを意味する。
(注5) けんか等を除く
Week3-3
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【それ以前の定義】
いじめとは、「(1) 自分より弱い者に対して一方的に、(2) 身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、(3) 相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。」とする。なお、個々の行為がいじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと。
【この定義に関する現場の声】• これでは、被害者が少しでも苦痛を感じて入れば、全ていじめになる?• 先生に言ったが勝ち?• 被害者が「苦痛」を自覚できないくらい痛めつけられていたら、どうなる?• 実際は、「いじめ」と「いじめでないこと」の境界線がわからなくなるのでは?
Week3-3
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いじめの定義
• いじめとは、「反復と力の不均衡によって特徴づけられる攻撃行動の一部」また「1人またはそれ以上の者のネガティブな行為に、連続して、長期的さらされること」と定義される。(Olweus,1991,1993)
Key Words (Bondsら 2001)
相手に被害を与える意図的な行為、 反復性、
力の不均衡、 不公平な影響
Week3-3
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Week 3-4 今回のテーマ
いじめの定義
~4つのキーワード~
Week3-4
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いじめの定義
• いじめとは、「反復と力の不均衡によって特徴づけられる攻撃行動の一部」また「1人またはそれ以上の者のネガティブな行為に、連続して、長期的さらされること」と定義される。(Olweus,1991,1993)
Key Words (Bondsら 2001)
相手に被害を与える意図的な行為、 反復性、
力の不均衡、 不公平な影響
Week3-4
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いじめを定義づける4つのキーワード
• 相手に被害を意図的に与える行為:いじめは被害者を意図的に傷つけたり脅したりする行動。
• 反復性:一定期間、繰り返されるネガティブな行動(ただし1回でも深刻な場合あり)
• 力の不均衡:肉体的、精神的、知的、社会性などの差
• 不公平な影響:被害者は通常、わめいたり泣いたり、うつになったり不安になったりいった感情的な反応を見せる。一方、加害者は苦悩や感情を見せることはほとんどない。加害者は共感性を失い、「被害者は虐められて当然だ」のように見てることが多い。つまり加害者は自分の行動が正義であるかのように思っている。
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Week 3-5 今回のテーマ
いじめの加害者
Week3-5
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いじめ加害者の特徴• いじめの加害者は間違った考え(共感性のなさに基づく)を持っている。例えば「私は私の欲しいものをいつでも手に入れられる」など。
• いじめの加害者には、攻撃行動について、親、もしくはその他の重要なモデルがいる。
※彼らは「集団の主導権を握りたい、支配したい」との欲求を持っているが、これを肯定的に捉えると「潜在的リーダー」と言える。
Week3-5
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いじめ加害者の予後• 小学校2年生でいじめの加害者だと認定された男子は24歳のとき、犯罪者になっている確率がそうでない男子の6倍だった。さらに30歳の時点では、そうでなかった人の2倍近くも深刻な犯罪をしていた。(Olweus,1987)
• 8歳のときに攻撃的な男子は、大人になってから何らかの犯罪者になる確率が高く、さらに大学を終えたり就労したりすることが困難である。(Eron, 1987)
• いじめの加害者だった女子は、母親になったときに虐待を行うことが多く、その子どももいじめの加害者になることが多い。(Eron, 1987)(いじめ加害の世代間連鎖)
• いじめ加害者は反社会的人格障害になるリスクがそうでない者の4倍。(Copeland,2013)
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Week 3-6 今回のテーマ
いじめの被害者
Week3-6
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いじめ被害者の3タイプ• 受け身型(孤立型)被害者:(Garrity et
al,2000)
受動的、静か、すぐに泣く、すぐに落ち込む、ユーモアがない、社会性に欠ける、友達が少ない
• 誘発型被害者:(Garrity et al,2000)
理屈っぽい、怒りやすい、パニックになる、反応がよい
• 捌け口型被害者:小学校高学年以降(Ross,1996)
弱い感じ、共感性や感性が中程度以上、いじめを怖がっている、失敗をする
Week3-6
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いじめ被害者の沈黙• いじめの被害者は助けを求めることなく、沈黙してしまうことが多い。
理由1:親や教員から、「いじめは誰もが経験すること」、
「成長の過程」と言われ、「自分で何とかするべき
こと」とされてきた。
理由2:友達から孤立して、助けを求められない状況にある
理由3:助けを求めることは格好が悪いことと思っている
この沈黙がいじめ被害を拡大させる。(Ross、1996)
Week3-6
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いじめ被害者の予後学校生活への影響
• いじめの被害者は不登校になったり欠席が増えたりする。例えばアメリカの中学2年生の7%がいじめを理由に1か月に1度以上の欠席をしている。(Banks,1997)
• いじめの被害者の17%が学業への影響をレポートしている。(Hazleret al,1996)
健康上の問題
• 不安、抑うつ、様々な身体症状(Rigby,2001)
• うつ病(Abebeら,2014) ・虐待よりメンタルヘルスに影響(Lereyaら、2015)
• 自殺念慮2.4倍、自殺企図2.5倍(Bhatta,2014)
養護教諭がこうした健康上の問題からいじめ被害に気づくことがある。
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Week 3-7 今回のテーマ
いじめの傍観者
Week3-7
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傍観者がいじめに関与しない3つ
の理由(Hazler,1996)
1 何をしていいか、わからない
2 報復を恐れている
3 何かをして、状況をさらに悪くす
ることを恐れている
Week3-7
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見ているだけでも被害• いじめの傍観者は、いじめを止められなかったことから罪意識や不安を感じ、結果として自己肯定感や自信を喪失する。(Hazler,1996)
• 最も深刻な影響は、いじめを目撃しているうちに、共感性を失い、他者の痛みを感じにくくなること。さらに進むと、いじめの加害者の影響を受けやすくなり、いじめの加害者に加わってしまう。
• いじめの被害者は当然、心理的な苦痛を受けるが、傍観者も同様であり、特にいじめの事実が起こっているときよりも、それが過ぎ去ってからになると、被害者と同じくらいの心理的苦痛を抱いている(Jansonら、2004)
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傍観者を変える• 傍観者は「いじめをやめさせたい」と思っているが行動を起こさない
• しかし、もしも彼らが少しでも行動を起こしたら、いじめ加害者は力を失ってしまう
※ 傍観者を力づけ、育てる!
※ ここにいじめ予防の可能性がある!
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Week 3-8 今回のテーマ
いじめを巡る大人の問題
Week3-8
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いくつかの重要な事実
• いじめの加害者には、モデルがいる
• いじめの被害者が、沈黙する理由
• 大人は、子どものいじめの傍観者である
Week3-8
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いじめ被害者の沈黙• いじめの被害者は助けを求めることなく、沈黙してしまうことが多い。
理由1:親や教員から、「いじめは誰もが経験すること」、
「成長の過程」と言われ、「自分で何とかするべき
こと」とされてきた。
理由2:友達から孤立して、助けを求められない状況にある
理由3:助けを求めることは格好が悪いことと思っている
この沈黙がいじめ被害を拡大させる。(Ross、1996)
Week3-8
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傍観者がいじめに関与しない3つ
の理由(Hazler,1996)
1 何をしていいか、わからない
2 報復を恐れている
3 何かをして、状況をさらに悪くす
ることを恐れている
Week3-8
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大人の問題
• 大人がいじめ加害者にモデルを提供していないか?
• 大人が「物言わぬ傍観者」になっていないか?
Week3-8
大人の世界にもいじめ(パワハラ等)がある子どものいじめは、大人の行動の鏡写しかもしれない
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Week 3-9 今回のテーマ
子どもの発達を科学する
講座全体のまとめ
Week3-9
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ここまで重視したこと
• 経験則や理念で語りがちな教育、子育てに関することを、「子どもの発達」に関する科学的知見から考える
• そのとき個ではなく、群を考える
• 正しい知識・方法は、強みになる
Week3-9
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正しい知識・方法
• 科学的に正しいと言われている知識、方法は、経験則と矛盾しない。
• むしろ経験則を支え、偽物を駆逐する。
• 子育て、教育に不安を抱える時代だからこそ、正しい知識・方法が必要。
Week3-9
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こころの発達アテンダント 講座
学びの発達アテンダント 講座
『いじめ予防プログラム』2Dayセミナー
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詳しくは、子どもの発達科学研究所のHPをご覧ください。
ご紹介
Week3-9
子どもの発達を科学する 子どもの発達科学研究所
これで全ての講座は終わりです。お疲れ様でした。
全ての子どもの健全な発達のために、一緒に頑張りましょう!
Week3-9