量子化学計算外伝 すごいよ!! FMO
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量子化学計算外伝すごいよ !! FMO
2015.07.25@fmkz___
Molecule略してモキュ!
自己紹介
• kzfm (@fmkz___)– blog.kzfmix.com
• 最近は FMOの普及に力を入れていますが、システム構築が仕事のメインではある– やる気枯渇継続中
• 親子でイカブーム– N-ZAP89使ってます– B-上位をウロウロ– これのために早く帰る毎日w
今日は PIEDA推しの話
ひげ≒ πだ
古典的な SBDDの限界
• 例えば 2つの水素結合が見られる場合にどちらが強いかというような定量的な議論が出来ない
• π-πスタッキングも同様(あるかどうかの可能性程度しか論じられない)
• 経験的に知られた相互作用でしか結合を解釈できない(これ重要)
ファーマコフォアはリガンドと蛋白質の強い相互作用の抽象化
シュールな分子設計
• 古典的な相互作用だけからのファーマコフォア推定はしばしば致命的なミスリーディングを引き起こす– 重要と考えている水素結合が実は著しく弱かったり
– 古典的ではない強い相互作用が結合に重要だったり
• そしてそれに気づかないと不幸になる– 特に分子設計のプレゼンスが無くなる…
実際の構造最適化で役立たず
• 活性を強くするために水素結合などを狙うデザインは動態面の不利を招くため、しばしば極性基を導入せずに活性を上げたくなる
• そういう難しいデザインを古典的な力場やスコア関数で評価するのはとても難しいのだ ( ー `д ー ´) wキリッ
ボス FMOでタスケテ
Fragment Moleculer Orbital Method (FMO)
• 分子をフラグメントに分割してMOを計算する方法
• 大抵アミノ酸ごとにフラグメント分割するので各アミノ酸とリガンドの相互作用がわかる
• 細かいことは気にせず使おう!
FMOの実装
• GAMESS– http://www.msg.ameslab.gov/gamess/– フリー– 汎用の量子化学計算ソフトウェア
• ABINIT-MP/BioStation– http://www.ciss.iis.u-tokyo.ac.jp/rss21/
result/download/– フリーと商用版あり– FMOに特化
どっち使えばいいの?
• サポートが受けられる方をチョイスしたほうがいい– 開発者につながれるのであればGAMESSがいいと思う
– GAMESSは計算が収束しないことが多いような感触
• ただ使いたいだけだったら商用版のMizuhoBiostationが楽– ただし、自分で手をいれられないので、痒いところに手が届かなくて SBDDのツールとして考えるとイライラさせられることもある
どっち使えばいいの? (2)
• インプットファイル作成のステップが面倒くさいので初心者はGUIで操作できるMizuhoBioStationがオススメ
• GAMESSだと fuというフロントエンドがあるらしい– http://www.slideshare.net/cms_initiative/fu-
37113751– http://cbi-society.org/taikai/taikai15/TS/TS-
1.html
どっち使えばいいの? (3)
• 分子設計としてやるなら、既存の製品(MOEとかMaestro)から直接インプットファイル作れると便利
• GAMESS使ってた時はmol2->inpの自作コンバーター作ってて仕事が捗った– (参考までに)– pygamessに実装しようかと思ってたけどモチベーションがw
どのくらいかかるの?
• セリンプロテーアゼで 6-31G/MP2をやる場合、 Xeon® E5-2600v2 40コア使って大体終夜 (8-13-h)くらい
• 頑張っている
FMOで何がわかるの?
間合いがわかるのだ!
Inter Fragment Interaction Energy(IFIE)
• あるフラグメント(大抵リガンド)とそれ以外のフラグメント(大抵アミノ酸残基)との相互作用エネルギー
• 安定な相互作用は負に、不安定な場合は正にでるhttp://www.mizuho-ir.co.jp/solution/research/semiconductor/nano/eri2/index.html
Inter Fragment Interaction Energy(IFIE)
え、それだけ…?
禁断の秘技あるで…
pair interaction energy decomposition analysis (PIEDA)
• IFIEのエネルギーを成分分割する方法–静電相互作用エネルギー (ES)–交換反発エネルギー (EX)–電荷移動相互作用エネルギー (CT+mix)–分散エネルギー (DI)
• その他–フラグメント間電荷移動 (⊿qI->J)
Q. MP2まで必要なの?
• A. 必要です• MP2までやらないと DIが計算されないので SBDDに使おうとする場合は絶対に必要
• やらないと見誤る(後で)
• 基底関数は 6-31G**でやればいいと思うけど 6-31Gで計算しています。(これはどうなんだろうか?わからない)
解釈してみる☆
セリンプロテアーゼ阻害剤
• P1の ASPとの相互作用が重要
• アミジン、グアニジンは動態がよろしくない
• Cl、MeOで相互作用– Cl-π?
幾つか削除した
FMOによって暴かれる真実
• Cl-πは少なくともファーマコフォアポイントではない ( ー`д ー ´) キリッ
• メインが分散力なのであっても弱い– http://
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2442010/
幾つか削除した
アミド基を水素に変換すると
• 活性減弱• 相互作用エネルギーも減弱、 S-Sとの相互作用も消失
• データも消失
PIEDAで静電相互作用の影響が強そうな場合
• 各原子にチャージを割り当てるオプションがあるので比較対象との電荷の移動量を確認するとより詳細な情報が得られる
DIや CT+mixに興味がある場合
• CAFI( Configuration Analysis for Fragment Interaction)
• FILM (Fragment interaction based on local MP2)
• といった方法を使うことで水素結合や分散相互作用を可視化できる
どこで使うの?
• 合成戦略立てる前とかに既存のターゲットの複合体結晶構造があれば計算しておくと有効だと思うよ
• インハウスで結晶構造解析したら積極的に計算したほうがいいね
ヘテロシャッフリングの解釈
dx.doi.org/10.1021/jm3001289 | J. Med. Chem. 2012, 55, 5151−5164
PDB-ID: 3NMW
FMOはより良い解析のためのツールなんやで
FMOはより良い解析のためのツールなんやで
より良い分析からより良い合成案を生み出すのが
真のメディシナルケミスト
煽ってみた
まとめ
イカよろしく〜