1

地理情報システムを活用した地域エネルギー消費構造の評価に関する研究

　 　健康社会システム研究科 生活環境情報専攻 60412003　 　草刈 洋行

2

本研究の目的・位置づけ地域エネルギーを推計する研究報告の中で、地理情報システム（ GIS）を活用した研究事例が 1、 2例と少ないのが現状で、東北地方においては皆無である。

東北地方は暖房を中心とするエネルギー消費量の削減が重要な課題とされている。

「地域の特性や構造を定量的および視覚的な視点から理解することが重要な課題である。」

本研究では、東北地方県庁所在都市の各駅周辺地域を対象に、

①GIS 建物情報データベースの構築② 地域エネルギー消費量の推計③ 地域冷暖房システム（ DHC ）の導入可能性地域の選定

を行うものである。

3

時系列における建物エネルギー消費原単位の作成① 月別エネルギー消費原単位　東北６県別、エネルギー使用用途４種類別（電力・給湯・冷房・　暖房）の月別原単位を作成　

② 時刻別エネルギー消費原単位東京版原単位の変動割合を用いることによって東北６県別の時刻別原単位を作成

4

東北地方における建物用途別総エネルギー消費月別原単位

0

50

100

150

200

250

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

0

25

50

75

100

125

150

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

0

50

100

150

200

250

300

350

400

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

0

100

200

300

400

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

0

10

20

30

40

50

60

70

80

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

0

50

100

150

200

250

300

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

0

50

100

150

200

250

300

350

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

0

20

40

60

80

100120

140

160

180

４月 ６月 ８月 １０月 １２月 ２月

MJ/

［㎡

・月］

暖房冷房給湯電力

（a）事務所 （b） 　学 校 （c） 　店 舗

（d） 　娯 楽 （e） 　住 居 （f） 　宿 泊

（g） 　病 院 （h） 　文 化

5

東北地方における建物用途別暖房エネルギー消費時刻別原単位

（a）事務所 （b） 　学 校 （c） 　店 舗

（d） 　娯 楽 （e） 　住 居 （f） 　宿 泊

（g） 　病 院 （h） 　文 化

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

6

東北地方における建物用途別冷房エネルギー消費時刻別原単位

（a）事務所 （b） 　学 校 （c） 　店 舗

（d） 　娯 楽 （e） 　住 居 （f） 　宿 泊

（g） 　病 院 （h） 　文 化

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

１時 ５時 ９時 １３時 １７時 ２１時

MJ/

［㎡

・時］

電力給湯冷房暖房

7

GIS建物情報データベースの構築の概要電子・住宅地図を用いたベースマップ（基図）の作成

電子地図 ベクトルデータ

住宅地図 ベクトルデータラスターデータ

8

基本属性・基本項目の設定

建物の夏期（8月）及び冬期（2月）の時刻別冷暖房エネルギー消費量9

建物の月別総エネルギー消費量（電力・給湯・冷房・暖房）8

建物の年間総エネルギー消費量（電力・給湯・冷房・暖房）7

建物用途（用途毎に分類）6

延床面積5

建築面積4

建物階数3

建物名称2

建物番号（認識番号：SISの建物情報と同一番号である。）1

データベースの項目№

建物の夏期（8月）及び冬期（2月）の時刻別冷暖房エネルギー消費量9

建物の月別総エネルギー消費量（電力・給湯・冷房・暖房）8

建物の年間総エネルギー消費量（電力・給湯・冷房・暖房）7

建物用途（用途毎に分類）6

延床面積5

建築面積4

建物階数3

建物名称2

建物番号（認識番号：SISの建物情報と同一番号である。）1

データベースの項目№

9

GIS建物情報データベースの構築に伴う建物属性調査

建物規模の大きい場合には用途が複合されている場合が多い。このようの場合は、建物１フロアを最小単位として用途を割り振っている。

①調査地域東北地方県庁所在都市 6地域

②対象エリア東西 3km.南北 2km.（駅周辺地域）

③調査件数青森駅周辺地域： 732/1672件　　秋田駅周辺地域： 963/1346件　　山形駅周辺地域： 900/1360件　　盛岡駅周辺地域： 767/1376件仙台駅周辺地域： 225/7543件福島駅周辺地域： 098/1363件

10

東北地方 6 地域における地域エネルギー消費特性の評価年間総エネルギー消費分布およびメッシュ数（ 1 メッシュは２５０ｍ

× ２５０ｍ）

　 　

　 　

　 　

15

3

14

28

4

1

17

13

21

7

12

14

21

13

12

18

2

36

45

32

29

32

33

8

5

6

9

17

10

6

9

10

11

13

482

0 16 32 48 64 80 96

福島

山形

青森

盛岡

秋田

仙台

［メッシュ数］

0 2000～ 2000 5000～5000 10000～ 10000 50000～50000 100000～ >100000(GJ / Mesh)

11

総エネルギー消費の月別変動分布

0～500 500～1000 1000～1500 1500～2000 ＞2000（GJ/Mesh）

4月 5月 6月 7月

8月 9月 10月 11月

4月 5月 6月 7月

8月 9月 10月 11月

4月 5月 6月 7月

8月 9月 10月 11月

4月 5月 6月 7月

8月 9月 10月 11月

4月 5月 6月 7月

8月 9月 10月 11月

4月 5月 6月 7月

8月 9月 10月 11月

（a）青森駅周辺地域 （b）秋田駅周辺地域 （c）山形駅周辺地域

（d）盛岡駅周辺地域 （e）仙台駅周辺地域 （f）福島駅周辺地域

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　４月 ５月 ６月 ７月

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　８月 ９月 １０月 １１月

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　１２月 １月 ２月 ３月

12

暖房エネルギー消費の時刻別変動分布

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17 時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

　 　 　 　

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

（a）青森駅周辺地域 （b）秋田駅周辺地域 （c）山形駅周辺地域

（d）盛岡駅周辺地域 （e）仙台駅周辺地域 （f）福島駅周辺地域

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　１時 ２時 ３時 ４時 ５時 ６時

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　７時 ８時 ９時 １０時 １１時 １２時

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　１３時 １４時 １５時 １６時 １７時 １８時

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　１９時 ２０時 ２１時 ２２時 ２３時 ２４時

13

冷房エネルギー消費の時刻別変動分布

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

1時 2時 3時 4時 5 時 6時

7時 8時 9時 10時 11 時 12時

13時 14時 15 時 16時 17時 18時

（a）青森駅周辺地域 （b）秋田駅周辺地域 （c）山形駅周辺地域

（d）盛岡駅周辺地域 （e）仙台駅周辺地域 （f）福島駅周辺地域

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　１時 ２時 ３時 ４時 ５時 ６時

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　７時 ８時 ９時 １０時 １１時 １２時

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　１３時 １４時 １５時 １６時 １７時 １８時

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 　１９時 ２０時 ２１時 ２２時 ２３時 ２４時

14

東北地方 6 地域における地域エネルギー消費構造の分析各地域の高・中・低密度メッシュにおける用途別延床面積割合

0% 20% 40% 60% 80% 100%

青森

秋田

山形

盛岡

仙台

福島

事務所 学校 店舗 娯楽 住居 宿泊 病院 文化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

青森

秋田

山形

盛岡

仙台

福島

事務所 学校 店舗 娯楽 住居 宿泊 病院 文化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

青森

秋田

山形

盛岡

仙台

福島

事務所 学校 店舗 娯楽 住居 宿泊 病院 文化

（a）高密度 （b）中密度 （c）低密度

①高密度地域は事務所・用途混在型である。②中・低密度地域は住居中心型である。

メッシュ毎の年間総エネルギー消費分布より、低密度； 0 ～ 5000（ GJ/Mesh ）、中密度； 5000 ～ 50000 （ GJ/Mesh ）、高密度； 50000 以上（ GJ/Mesh ）に設定

15

本システムを利用した DHC 導入可能性の評価

暖房における各地域のメッシュ毎の負荷率と熱負荷密度の関係

（a）青森駅周辺地域 （b）秋田駅周辺地域 （c）山形駅周辺地域

（d）盛岡駅周辺地域 （e）仙台駅周辺地域 （f）福島駅周辺地域

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］ %負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

16

冷房における各地域のメッシュ毎の負荷率と熱負荷密度の関係

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

%負 荷 率 ［ ］

0

80

0.0 8.4MJ /熱 負 荷 密 度 ［ ㎡ ］

（a）青森駅周辺地域 （b）秋田駅周辺地域 （c）山形駅周辺地域

（d）盛岡駅周辺地域 （e）仙台駅周辺地域 （f）福島駅周辺地域

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ゾーン毎の用途構成分析とエネルギー消費パターン暖房における各地域のゾーン毎用途別延床面積の割合

（a）青森駅周辺地域 （b）秋田駅周辺地域 （c）山形駅周辺地域

（d）盛岡駅周辺地域 （e）仙台駅周辺地域 （f）福島駅周辺地域

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

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冷房における各地域のゾーン毎用途別延床面積の割合

（a）青森駅周辺地域 （b）秋田駅周辺地域 （c）山形駅周辺地域

（d）盛岡駅周辺地域 （e）仙台駅周辺地域 （f）福島駅周辺地域

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1第

2第

3第

4第

事 務 所 学 校 店 舗 娯 楽住 居 宿 泊 病 院 文 化

19

まとめ

地域冷暖房システム（ DHC ）導入可能性地域の選定を行い、可能性が高い地域や低い地域での特性や構造の分析を行った結果、

① メッシュ毎の負荷率と熱負荷密度の関係から、各駅周辺地域に共通して熱負荷密度が低く負荷率が高いという特性があることが分かった。

可能性が高い地域での用途構成は、

② 青森駅周辺地域が事務所・店舗型③ 秋田駅周辺地域が用途混在型④ 山形駅周辺地域が事務所・病院型⑤ 盛岡・仙台駅周辺地域が事務所・用途混在型⑥ 福島駅周辺地域が事務所・住居型