精神分析の精神分析の　　長期化と短期　　長期化と短期化化

1

スーパーヴィジョンスーパーヴィジョン

経験のある、教育的な立場に立てる心経験のある、教育的な立場に立てる心理療法家が心理療法を学ぼうとする人理療法家が心理療法を学ぼうとする人に対して　　に対して　　一対一で一対一で

　　　　　　一定期間以上　　　　　　一定期間以上　　　　　　定期的に行う　　　　　　定期的に行う　指導的な分析および面接である　指導的な分析および面接である

コンサルテーションその他コンサルテーションその他 心理療法家が、心理療法の進めかたに困っ心理療法家が、心理療法の進めかたに困っ

たり、一度、長い経過についての見直したたり、一度、長い経過についての見直したりするために他の経験のある心理療法家にりするために他の経験のある心理療法家に指導を受けることを言う。指導を受けることを言う。

事例発表事例発表 事例検討会事例検討会　　それぞれの機能があり、これを使える　　それぞれの機能があり、これを使える

ようになることが臨床的な発達と関連するようになることが臨床的な発達と関連する

スーパーヴィジョンの問題点スーパーヴィジョンの問題点 学派や技法の問題学派や技法の問題 治療者の逆転移をどの程度扱うかと治療者の逆転移をどの程度扱うかと

いう問題（個人分析と指導分析の混いう問題（個人分析と指導分析の混同の問題）同の問題）

パラレル・プロセスという現象パラレル・プロセスという現象 ヴァイジーをどのように評価するヴァイジーをどのように評価する

かか 治療的な倫理に抵触する場合治療的な倫理に抵触する場合 ヴァイジーの発達の問題ヴァイジーの発達の問題 相性の問題相性の問題

ヴァイザーの発展ヴァイザーの発展 心の中のスーパーヴァイザー心の中のスーパーヴァイザー

（（ Casement)Casement) ＝自己モニタリング＝自己モニタリング 発達する三つの側面発達する三つの側面　　模倣的段階　　　模倣的段階　 imitative learningimitative learning

　　修正的段階 　　修正的段階 corrective learningcorrective learning

創造的段階　創造的段階　 creative learningcreative learning

訓練分析および個人分析訓練分析および個人分析

訓練分析訓練分析　　　　週四回以上、国際精神分析協会で週四回以上、国際精神分析協会で

決められた基準決められた基準 教育分析：教育分析：その一般通称その一般通称 個人分析：個人分析：週一回から二回の心理週一回から二回の心理

療法の基本としたもの療法の基本としたもの

候補生、あるいは研修生候補生、あるいは研修生

日本精神分析学会における特殊性（古日本精神分析学会における特殊性（古澤、小此木、西園、そして現代への流澤、小此木、西園、そして現代への流れ）れ）

　　　学会はスーパーヴィジョン中心　　　学会はスーパーヴィジョン中心　　　協会は訓練分析中心の二層性　　　協会は訓練分析中心の二層性 精神分析がしだいに性格分析的になっ精神分析がしだいに性格分析的になっ

ていった経緯と教育分析の意味の変化ていった経緯と教育分析の意味の変化

Balint(1949)Balint(1949) の分類の分類

第一期：第一期： 19181918 ブタペスト大ブタペスト大会、会、 19201920 年ベルリン研究所の開設年ベルリン研究所の開設

第二期　第二期　 19201920 からから 19381938 年ごろまで年ごろまで　精神分析の評判が高くなってから、　精神分析の評判が高くなってから、

フロイトの死まで：非医師問題フロイトの死まで：非医師問題第三期　第三期　 19371937 年米国研究所の独立か年米国研究所の独立か

ら今日までら今日まで

訓練分析の始まり訓練分析の始まり

フロイトがユングの前で倒れたことフロイトがユングの前で倒れたこと　　アメリカ講演の船の上でユングはフ　　アメリカ講演の船の上でユングはフ

ロイトに自分のことを他人に語らないロイトに自分のことを他人に語らないことを責めた。→フロイト発作ことを責めた。→フロイト発作

ユングの提案：すべての分析家は分析をユングの提案：すべての分析家は分析を受けること受けること

19181918 年の提案年の提案

19181918 年のブタペスト大会：ナンバー年のブタペスト大会：ナンバーグによって訓練分析の提案が行われ、グによって訓練分析の提案が行われ、オットー・ランクとタウスクの強力なオットー・ランクとタウスクの強力な反対にあって、否決された。反対にあって、否決された。

　　ランクとタウスクの反論の意図は不　　ランクとタウスクの反論の意図は不明であるが、提案が採択されるのは明であるが、提案が採択されるのは19261926 年になってからである。年になってからである。

19181918 からから 2626 年に起きたこ年に起きたことと

娘アンナの分析娘アンナの分析 19181918 、、 19241924 年年　　　　娘の心配をする父親娘の心配をする父親ガンの発見ガンの発見 19231923 年年　　　　誰が精神分析家になるかについての決定誰が精神分析家になるかについての決定弟子ランクの離反弟子ランクの離反 19251925 年年　　　　最愛の息子の離反最愛の息子の離反 メタ心理学の構築の失敗から新理論メタ心理学の構築の失敗から新理論

性格分析性格分析

普通の分析つまり神経症的な傾向の普通の分析つまり神経症的な傾向の分析ではなく、性格分析分析ではなく、性格分析「深層」（「深層」（ Heimann)Heimann) 、「超治療」、「超治療」

（バリント）（バリント）「性格分析」（ギテルソン）「性格分析」（ギテルソン）　　→転移の分析から人格の問題に　　→転移の分析から人格の問題に

訓練の姿＝信念と愛訓練の姿＝信念と愛R.EksteinR.Ekstein （１９５３）（１９５３） 1.1. 精神分析的トレーニングの歴史について精神分析的トレーニングの歴史について　　フロイト「自身も受けた人が集まる」　　フロイト「自身も受けた人が集まる」　　でも去っていく人も多い。　　でも去っていく人も多い。⇒⇒ の形成「リングを持つ人たち」ｻｰｸﾙの形成「リングを持つ人たち」ｻｰｸﾙ　　　　　　　　　　　→中央委員会　　　　　　　　　　　→中央委員会　１９２０年代　「分析を受ける」「健康なら　１９２０年代　「分析を受ける」「健康なら

受けなくてもよい」の間受けなくてもよい」の間　　例外：アメリカでの専門化⇒力動精神医学例外：アメリカでの専門化⇒力動精神医学　（１）優れた訓練形式を維持する　（１）優れた訓練形式を維持する　（２）研究方法と臨床技法との両立を守るための困難を回避する　（２）研究方法と臨床技法との両立を守るための困難を回避する　（３）他の社会科学や生物学と十分に密な関係を確立する　（３）他の社会科学や生物学と十分に密な関係を確立する

２．候補生の選択２．候補生の選択　　　　分析可能性ほかの議論と確立されてき分析可能性ほかの議論と確立されてき

た人格査定を含むメニンガーのようなシた人格査定を含むメニンガーのようなシステムステム

　　⇒精神的なものへの興味：客観的　　⇒精神的なものへの興味：客観的には人間理解、主観的には自分の病には人間理解、主観的には自分の病気⇒気⇒　　　①訓練分析　　　①訓練分析

　　　　　　　②統制分析　　　　　　　②統制分析　　　　　　　③セミナー　　　　　　　③セミナー

３．訓練分析：分析を通しておきるこ３．訓練分析：分析を通しておきること：自分の人生を振り返る⇒転移をと：自分の人生を振り返る⇒転移を体験する⇒逆転移を理解する体験する⇒逆転移を理解する

４．統制分析（指導分析）４．統制分析（指導分析）　　分析している人のスーパーヴィジ　　分析している人のスーパーヴィジ

ョンョン５．研究と応用のための精神分析的ト５．研究と応用のための精神分析的ト

レーニングレーニング６．研究所と伝統的学習センター６．研究所と伝統的学習センター７．訓練分析と精神分析の未来７．訓練分析と精神分析の未来　　：精神分析を長期の統制された訓　　：精神分析を長期の統制された訓

練と指導の結果生み出される特定の技練と指導の結果生み出される特定の技術と特定の人間理解の方法であると考術と特定の人間理解の方法であると考える。える。

訓練分析と心理療法訓練分析と心理療法 精神分析と精神療法は異なる精神分析と精神療法は異なる　　　　 Wallerstein(1982)Wallerstein(1982) のそれぞれの論考のそれぞれの論考　　　　　　 19791979 年のトレーニング会議年のトレーニング会議　　　　　　　　 SandlerSandler 　ｖｓ　　ｖｓ　 ZimmermanZimmerman 精神分析は治療と異なる何かをもたらすとい精神分析は治療と異なる何かをもたらすとい

う発想の根拠う発想の根拠　　＝自由連想法と毎日分析という枠組みと転　　＝自由連想法と毎日分析という枠組みと転

移の全体的分析（分析の長期化をもたらす結移の全体的分析（分析の長期化をもたらす結果）果）

逆転移の歴史的文脈から逆転移の歴史的文脈からa. S.Freud(1910)a. S.Freud(1910) → → 治療者の無意識の感情のクライエントへの悪影響治療者の無意識の感情のクライエントへの悪影響

b. M.Balintb. M.Balint,,A.ReichA.Reich らら → → 転移反応に対する逆転移を指摘転移反応に対する逆転移を指摘

D.W.Winnicott(1958)D.W.Winnicott(1958) 「逆転移のなかでの憎しみ」＝客観的な逆転移「逆転移のなかでの憎しみ」＝客観的な逆転移

c. P.Heimann(1950)c. P.Heimann(1950) → → 分析の道具としての逆転移の感情を指摘。分析の道具としての逆転移の感情を指摘。

d. B.Joseph,W.Biond. B.Joseph,W.Bion 以降以降 → → 投影同一化の受け皿としての逆転移投影同一化の受け皿としての逆転移

盲点と長期的な視点盲点と長期的な視点

訓練分析によって得られる自己分析訓練分析によって得られる自己分析　　　　　　　↓　　　　　　　↓　　自分の盲点の理解　　自分の盲点の理解　　　　　＝一生のもの（終わりなき分　　　　　＝一生のもの（終わりなき分

析）析） 訓練分析によって得られる情緒訓練分析によって得られる情緒　　　　　　　↓　　　　　　　↓　　人に依存し、相談することで生じる　　人に依存し、相談することで生じる

転移（退行）の姿転移（退行）の姿

逆転移と投影性同一視から相互投影と逆転移と投影性同一視から相互投影とスーパーヴァイザーとしての患者スーパーヴァイザーとしての患者

1.1.投影性同一視の問題点投影性同一視の問題点治療者の間違いを患者の病理に還元してしまう治療者の間違いを患者の病理に還元してしまう

＝医原病症候群＝医原病症候群2.2. 相互作用の場＝相互作用の場＝ bipersonal fieldbipersonal field

Little,M(1951)Little,M(1951) ｢｢逆転移」とそれへの反応逆転移」とそれへの反応Searles,H(1975)Searles,H(1975)「分析家のための治療者と「分析家のための治療者と

しての患者」しての患者」→→無意識的なコメンテーター＝修正する人＝ス無意識的なコメンテーター＝修正する人＝ス

ーパーヴァイザーとしての患者ーパーヴァイザーとしての患者

　　　解毒と相互作用　　　解毒と相互作用 訓練分析によって得られる経験訓練分析によって得られる経験　　　　　　　↓　　　　　　　↓　　　クライアントの境遇と立場＝枠組みの体験　　　クライアントの境遇と立場＝枠組みの体験 訓練分析によって得られる内省訓練分析によって得られる内省　　　　　　　↓　　　　　　　↓　　　投影の解毒＝相互作用の内在化　　　投影の解毒＝相互作用の内在化　　精神分析によって得られる理解が自分にと　　精神分析によって得られる理解が自分にと

っての精神分析の意義と重なるっての精神分析の意義と重なる

訓練分析および個人分析の意義訓練分析および個人分析の意義 心理療法が治療者のパーソナリテ心理療法が治療者のパーソナリテ

ィを道具として、クライエントとィを道具として、クライエントとの深い相互作用を認識することでの深い相互作用を認識することで成り立っているので、より良い理成り立っているので、より良い理解を治療者自身がすること解を治療者自身がすること

治療そのものの体験によって、自治療そのものの体験によって、自分の心的過程、転移、抵抗、洞察分の心的過程、転移、抵抗、洞察などの現象を理解し、体験的に学などの現象を理解し、体験的に学ぶぶ

治療を受けたことのない人が治療治療を受けたことのない人が治療をするべきではないをするべきではない

訓練分析の問題を指摘する人訓練分析の問題を指摘する人

米国の組織的な研究施設の訓練米国の組織的な研究施設の訓練 Bernfeld(1962Bernfeld(1962 ）、）、 Kernberg(2000)Kernberg(2000)

英国のクライン学派英国のクライン学派 Balint,GloverBalint,Glover の感じていた問題の感じていた問題　　　　 BalintBalint 　フェレンチィの後継者、独立　フェレンチィの後継者、独立

学派　　学派　　　　　　 GloverGlover 　教育委員会を辞める　教育委員会を辞める　　　　 Heimann(1955)Heimann(1955)

Balint(1948)Balint(1948)

クラインクライン――フロイト論争時にコメントフロイト論争時にコメントしてして

19471947 年年　　訓練組織における問題：あまりに自　　訓練組織における問題：あまりに自

分の訓練分析家を尊敬してしまう。そ分の訓練分析家を尊敬してしまう。そしてあまり異論なしに教義的で権威的してあまり異論なしに教義的で権威的な治療に従順である。な治療に従順である。

Bernfeld(Bernfeld(19521952 ）ら）ら ベルリンベルリン -- アイティンゴンモデルアイティンゴンモデル　　制度は思考を促進しない。　　制度は思考を促進しない。　　カーンバーグ（　　カーンバーグ（ 19961996 ）（）（ 20002000 ））　　　　　　 1.1. 候補生を子供化候補生を子供化　　　　　　 2.2.科学的孤立と無知科学的孤立と無知　　　　　　 3.3. 候補生の教育体験への無責任候補生の教育体験への無責任　　　　　　 4.4.権威主義と恣意性権威主義と恣意性　　　　　　 5.5.外的な体験とその影響の否認外的な体験とその影響の否認

Heimann(1954Heimann(1954 ））

1.1. 訓練分析は普通の分析と区別する分析家に訓練分析は普通の分析と区別する分析家にとって多くの問題が生じるとって多くの問題が生じる

2.2. 訓練のコースで受ける外的な障害を常に分訓練のコースで受ける外的な障害を常に分析し、問題を道具にすることで析し、問題を道具にすることで､､分析は深分析は深まるまる

3.3. 分析家は純粋に分析的手続きに依拠する必分析家は純粋に分析的手続きに依拠する必要がある要がある

4.4. 分析家は自分の問題を認識して統治し、自分析家は自分の問題を認識して統治し、自分の逆転移をあいまいにしてはならない分の逆転移をあいまいにしてはならない

　日本の力動的な精神療法は短時間療法である　日本の力動的な精神療法は短時間療法である Psychodynamic psychotherapy in Japan is a Short-time Psychodynamic psychotherapy in Japan is a Short-time psychotherapypsychotherapy．．

日本の精神分析導入の歴史（妙木＆安斉、日本の精神分析導入の歴史（妙木＆安斉、 20052005年）：古澤は通信分析をはじめ変法と短期の分析体年）：古澤は通信分析をはじめ変法と短期の分析体験を下に精神分析を導入した。先に心理を実践して験を下に精神分析を導入した。先に心理を実践していた、矢田部も大槻もみなそうだった。いた、矢田部も大槻もみなそうだった。

19701970年代、この実践は国際学会と遠いところにあり、年代、この実践は国際学会と遠いところにあり、学会では学会では SVSVだけの精神療法を認めるシンポジウムがだけの精神療法を認めるシンポジウムが開かれ、精神分析ではなくなり、それは今日の学会開かれ、精神分析ではなくなり、それは今日の学会資格に至るまで長い鎖国の歴史をもつ。資格に至るまで長い鎖国の歴史をもつ。

アムステルダムショックが黒船になり、ようやくそアムステルダムショックが黒船になり、ようやくその特殊性がの特殊性が LacanLacan同様に、見えてきている。同様に、見えてきている。

力動精神医学は定着せず、精神科の実践で精神分析力動精神医学は定着せず、精神科の実践で精神分析は一度も流布することなく、不可能なままであり続は一度も流布することなく、不可能なままであり続けている。ただ認識だけが理想化されて、行われてけている。ただ認識だけが理想化されて、行われているのは短期療法である。いるのは短期療法である。

それは週一回で終わりなきという実験的変法であるそれは週一回で終わりなきという実験的変法である

　短期療法から精神分析をみ　短期療法から精神分析をみるる

フロイトの事例：フロイトの事例：　カタリーナ　カタリーナ

AureliaAurelia KronichKronich

18931893 年に年に避暑地避暑地ホーホーエン・タウエルンのエン・タウエルンの山小屋で山小屋で　で出会っ　で出会った田舎の女性で、シた田舎の女性で、シングルセッションでングルセッションで、ヒステリー症状、、ヒステリー症状、息苦しいなどの症状息苦しいなどの症状が改善した事例が改善した事例

28

　ブルーノ・ワルター　　ブルーノ・ワルター　 1876-1876-19621962

指揮者、ピアニス指揮者、ピアニストとして活躍すトとして活躍する。：る。： 19061906 年年　右腕の局所麻痺　右腕の局所麻痺の症状をの症状を 66 セッセッションでフロイションでフロイトの治療を受けトの治療を受けて、治癒した。て、治癒した。

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　マーラー　　マーラー　 1860-19111860-1911

Ｇ．マーラー：夫婦関Ｇ．マーラー：夫婦関係の悩み、特にイン係の悩み、特にインポテンツのためにフポテンツのためにフロイトを訪れ、ロイトを訪れ、 44 時時間ほど（間ほど（ 44 セッショセッション）散歩をするセッン）散歩をするセッションをもち、精神ションをもち、精神分析への理解と動機分析への理解と動機の高さのため治癒しの高さのため治癒した、というた、という。。

30

狼男狼男　　SergejSergej KonstantionovichKonstantionovich

　　　　　　　　 PankejevPankejev （（ 1885-1885-19791979 ））

　　

　　フロイトのもっとも重　　フロイトのもっとも重要な要な

　しかも理論的に多くの問　しかも理論的に多くの問題題

　を残したクライアントと　を残したクライアントとしてして

　生きた。　生きた。

狼男の生育歴狼男の生育歴　　　生後三ヶ月　　　生後三ヶ月　肺炎に罹って死にかける．のちにそれ　肺炎に罹って死にかける．のちにそれを大人たちから聞き，死への不安から過食になった．を大人たちから聞き，死への不安から過食になった．（一番最初に現れた神経症的障害）（一番最初に現れた神経症的障害）

　幼児期　幼児期　両親が家を売って都会に引っ越した．（狼男に　両親が家を売って都会に引っ越した．（狼男にとって大きな変化）とって大きな変化）

　　　二歳半の夏　　　二歳半の夏　両親が数週間旅行に出かけたが，姉と　両親が数週間旅行に出かけたが，姉とともに留守番．英国人の女家庭教師が雇われた．狼男はともに留守番．英国人の女家庭教師が雇われた．狼男は優しく，おとなしい，静かな子供であったが，両親が旅優しく，おとなしい，静かな子供であったが，両親が旅行から帰ってみると，不平がちになり，敏感でいらいら行から帰ってみると，不平がちになり，敏感でいらいらし，暴れたり，泣き叫んだりする子に変わってしまった．し，暴れたり，泣き叫んだりする子に変わってしまった．母親は変化の原因を英国女のせいだと思い，彼女を解雇母親は変化の原因を英国女のせいだと思い，彼女を解雇するが，短気な性格は少しも治らなかった．するが，短気な性格は少しも治らなかった．

　　　（クリスマスの日に誕生日とクリスマスの二重の贈　　　（クリスマスの日に誕生日とクリスマスの二重の贈り物をもらえず，激怒）り物をもらえず，激怒）

　　　四歳誕生日前　　　四歳誕生日前　狼の夢を見，狼に食べられるの　狼の夢を見，狼に食べられるのではないかという不安に襲われて泣いた．それ以降，ではないかという不安に襲われて泣いた．それ以降，狼恐怖が続く．姉は，いつも彼をいじめ，怖がるこ狼恐怖が続く．姉は，いつも彼をいじめ，怖がることをしては面白がった．（狼の絵本を見るように仕とをしては面白がった．（狼の絵本を見るように仕向け，狼男が怖がるのを見て喜んでいた）狼男は，向け，狼男が怖がるのを見て喜んでいた）狼男は，狼だけでなく，他の動物や昆虫にも恐れや嫌悪を感狼だけでなく，他の動物や昆虫にも恐れや嫌悪を感じるようになった．同時に，それらに残酷な行為をじるようになった．同時に，それらに残酷な行為をするという矛盾した態度が起こった．するという矛盾した態度が起こった．

　　　　四歳半四歳半　母親は狼男を矯正させようと聖書の物語　母親は狼男を矯正させようと聖書の物語を読んで聞かせた．これによって狼恐怖は消失したを読んで聞かせた．これによって狼恐怖は消失したが，代わって，就寝前に長いお祈りをし際限なく十が，代わって，就寝前に長いお祈りをし際限なく十字を切ったり，夕方には部屋中の聖像に接吻して廻字を切ったり，夕方には部屋中の聖像に接吻して廻らねばならないという強迫観念に悩まされるようにらねばならないという強迫観念に悩まされるようになった．なった．

　　　　十歳十歳　ドイツ人男性の家庭教師が雇われ，狼男に　ドイツ人男性の家庭教師が雇われ，狼男に大きな影響を与えた．この人物は宗教に価値を認め大きな影響を与えた．この人物は宗教に価値を認めていなかったため，狼男の信仰心は薄れそれまで続ていなかったため，狼男の信仰心は薄れそれまで続いていた強迫症状は消失した．その代わり，路上にいていた強迫症状は消失した．その代わり，路上に大便が三つ転がっているのを見ると三位一体を連想大便が三つ転がっているのを見ると三位一体を連想するという強迫が新たに現れた．しかし思春期が近するという強迫が新たに現れた．しかし思春期が近づくにつれ，ドイツ人男性の影響下で，狼男の症状づくにつれ，ドイツ人男性の影響下で，狼男の症状は減じほぼ正常な状態を維持できるようになった．は減じほぼ正常な状態を維持できるようになった．

　　　　　　　　狼の夢（幼少時代にみ狼の夢（幼少時代にみた）た）

　　「私はこんな夢を見なした。「私はこんな夢を見なした。『『夜私はベッドに寝てしま夜私はベッドに寝てしました。した。 (( 私のベッドは足の方が窓を向いており、その窓の私のベッドは足の方が窓を向いており、その窓の向こうには古いくるみの木がずらりと並んでいました。向こうには古いくるみの木がずらりと並んでいました。その夢は冬のこと、確かに冬の夜のことだったと思いまその夢は冬のこと、確かに冬の夜のことだったと思います）。急に窓がひとりでに開きました。窓の向こうの大す）。急に窓がひとりでに開きました。窓の向こうの大きなくるみの木に幾匹かの白い狼が座っているのを見て、きなくるみの木に幾匹かの白い狼が座っているのを見て、私はびっくりしました。狼は六匹か七匹いました。彼ら私はびっくりしました。狼は六匹か七匹いました。彼らは真白で、どちらかといえば狐かシェパードのように見は真白で、どちらかといえば狐かシェパードのように見えました。というのは、それが狐みたいにおおきなしっえました。というのは、それが狐みたいにおおきなしっぽをもち、その耳は何かを狙う犬みたいにピンと立ってぽをもち、その耳は何かを狙う犬みたいにピンと立っていたからです。この狼たちに食べられるのではないかといたからです。この狼たちに食べられるのではないかという非常な不安に襲われて、私は大声をあげ、泣き出しいう非常な不安に襲われて、私は大声をあげ、泣き出し』』、、目が醒めました。目が醒めました。

狼男に関わった人々狼男に関わった人々 １９１８年に発表した１９１８年に発表した『『幼児神経症の病歴から幼児神経症の病歴から』』 １９１９年４ヶ月の間、フロイトの提案で、無料の１９１９年４ヶ月の間、フロイトの提案で、無料の

精神分析が行われた。精神分析が行われた。 フロイトが指導していたルース・ブルンスビックのフロイトが指導していたルース・ブルンスビックの

分析を受けることになる（分析を受けることになる（ 1926-19381926-1938 ）。）。 ブルンスビックの待合室で、ムリエル・ガーディブルンスビックの待合室で、ムリエル・ガーディ

ナーと出会い、ロシア語の家庭教師になる→　ナーと出会い、ロシア語の家庭教師になる→　 The The Wolf-Man by Wolf-Man(1971)Wolf-Man by Wolf-Man(1971) の編集が行われの編集が行われる。る。

１９５５年Ｆｒｅｄｅｒｉｃｋ　Ｗｅｉｌがロール１９５５年Ｆｒｅｄｅｒｉｃｋ　Ｗｅｉｌがロールシャッハをとる（強迫神経症と診断する）シャッハをとる（強迫神経症と診断する）

Ｋｕｒｔ　Ｅｉｓｓｌｅｒが１５年間一ヶ月ごとにＫｕｒｔ　Ｅｉｓｓｌｅｒが１５年間一ヶ月ごとに録音インタビュー録音インタビュー

Ｋａｒｉｎ　Ｏｂｈｏｌｚｅｒが亡くなるまでの間Ｋａｒｉｎ　Ｏｂｈｏｌｚｅｒが亡くなるまでの間インタビューインタビュー

　　　　→　　　　→『『Ｗ氏との対話Ｗ氏との対話』』（（ 1982)1982) の出版の出版

その後の狼男その後の狼男

市民戦争のために財産を失ってしまった。市民戦争のために財産を失ってしまった。 自分がフロイトの患者であったことが自分が父親か自分がフロイトの患者であったことが自分が父親か

ら愛されることになった。ら愛されることになった。 保険会社に勤めて、１９５０年保険会社に勤めて、１９５０年 (( ６５歳）に退職す６５歳）に退職す

るまでカフカのように過ごす。るまでカフカのように過ごす。 １９３８年ヒトラーの入都とともに妻が自殺する→１９３８年ヒトラーの入都とともに妻が自殺する→ガーディナーらが亡命させるガーディナーらが亡命させる

ブルンスヴィックの毎日分析をパリ、ロンドンでもブルンスヴィックの毎日分析をパリ、ロンドンでも受けている受けている

１９５３年まで母親と暮らしていた。１９５３年まで母親と暮らしていた。 狼男として最後まで生きる狼男として最後まで生きる

　狼男の問題　狼男の問題 精神病的症状精神病的症状　　　その後の経過：小此木の境界例論　　　その後の経過：小此木の境界例論 フロイトの原光景論フロイトの原光景論　　　夢と幻覚、そして認識　　　夢と幻覚、そして認識構成の現実性とは何か：事後性構成の現実性とは何か：事後性　　　精神分析にとって現実とは何か　　　精神分析にとって現実とは何か終わりある分析と終わりなき分析終わりある分析と終わりなき分析　　　精神療法技法論文の最後の修正　　　精神療法技法論文の最後の修正

　フロイトの「過去」の問題　フロイトの「過去」の問題

「歴史的真実」「歴史的真実」隠蔽記憶隠蔽記憶 事後性事後性 NachtraglichkeitNachtraglichkeit

　→ 過去は現実かどうか　→ 過去は現実かどうか特に初期フロイトの治療は短特に初期フロイトの治療は短

かった。かった。

フロイトの技法論文フロイトの技法論文

19101910 年代にほぼその全体像が完成する。年代にほぼその全体像が完成する。　　「自我とエス」に収束する治療モデ　　「自我とエス」に収束する治療モデ

ルが完成するルが完成する 19371937 年になって、二つの技法論文が登年になって、二つの技法論文が登

場する。これは前者の技法論文について場する。これは前者の技法論文についての帰納法的手法から異議のあるものでの帰納法的手法から異議のあるものであった。「終わりがない」「構成でああった。「終わりがない」「構成である」る」

　終わりなき精神分析　終わりなき精神分析晩年の技法論文の問題晩年の技法論文の問題　「終わりある分析と終わりなき分析」　「終わりある分析と終わりなき分析」

（（ 19371937 ））　「分析における構成の仕事」（　「分析における構成の仕事」（ 19381938 ））解釈学的、構成主義的、あるいは交流主義解釈学的、構成主義的、あるいは交流主義

的な転回点として精神分析を再構成する可的な転回点として精神分析を再構成する可能性能性

精神分析が独自の領域かどうかという問題精神分析が独自の領域かどうかという問題　　　　 long-term psychotherapy(Gabberd)long-term psychotherapy(Gabberd)

歴史的な経緯歴史的な経緯

FerencziFerenczi＆＆ RankRank『『精神分析の発展精神分析の発展』』 (1923)(1923)

　　・治療関係の情緒的な交流　　・治療関係の情緒的な交流　　・治療の短期化の試み　　・治療の短期化の試み　短期療法の流れ　　　短期療法の流れ　　　　→　　→ BalintBalint 、、 MalanMalan 　焦点化の心理療法　焦点化の心理療法　　→　　→ MannMann 　　　　　　　時間の操作的心　　　　　　　時間の操作的心

理療法理療法

ランク（ランク（ 1884-19391884-1939 ））

フロイトの若き秘書：大学に再入学フロイトの若き秘書：大学に再入学出生（出産）外傷理論出生（出産）外傷理論時間制限療法、中断療法時間制限療法、中断療法フロイト以後フロイト以後 パリ、米国へと亡命パリ、米国へと亡命 　アナエス・ニンの分析　アナエス・ニンの分析 意志療法意志療法 will therapywill therapy⇒⇒ロジャースロジャース

フェレンチィ（フェレンチィ（ 1873-1931873-19333 ））

積極技法の提唱積極技法の提唱前期：禁欲前期：禁欲後期：リラクセーション技法後期：リラクセーション技法　　⇒相互分析　　　⇒相互分析　　　　フロム、バリントらブタペストの　　　フロム、バリントらブタペストのハンガリー学派を形成した（晩年、フロハンガリー学派を形成した（晩年、フロイトとの関係が問題になり、長く隠蔽さイトとの関係が問題になり、長く隠蔽された）れた）

ライヒライヒ ,W,W （（ 1897-19571897-1957 ）） 19201920 年ウィーン精神分析協会会員年ウィーン精神分析協会会員 衝動性格論衝動性格論　　　衝動性格と衝動抑制型の神経症、　　　衝動性格と衝動抑制型の神経症、　　　　　　　　およびマゾヒズム的性格　　　　　　　　およびマゾヒズム的性格 性格分析、振る舞い分析性格分析、振る舞い分析 不安学説、→オーガズム体験による解放不安学説、→オーガズム体験による解放 19301930 年ベルリン研究所、ラドから分析を受ける年ベルリン研究所、ラドから分析を受ける 「ファシズムの大衆心理」（「ファシズムの大衆心理」（ 19341934 ）） 19341934 年除名年除名 Vegetotherapy→ orgonnboxVegetotherapy→ orgonnbox 19571957 年に刑務所に入る、精神分裂病と診断年に刑務所に入る、精神分裂病と診断　　　　　→ローエンら　　　　　→ローエンら bioenergeticsbioenergetics

19251925 年に起きたこと年に起きたこと

最後の弟子の離脱と創始者のガンから最後の弟子の離脱と創始者のガンから　　　教育・訓練分析のシステム化　　　教育・訓練分析のシステム化　　　　　→分析家の養成　　　　　→分析家の養成 分析研究所の基準設定分析研究所の基準設定　　　　セミナー・教育・分析体験の標準化　　　　セミナー・教育・分析体験の標準化　　　　　→研究方法の確立　　　　　→研究方法の確立　　　定点観察：観察者問題の標準化　　　定点観察：観察者問題の標準化

　長期化のなかで生み出された理論　長期化のなかで生み出された理論

対象関係理論対象関係理論　　人の心の布置をたんねんに探索して、　　人の心の布置をたんねんに探索して、

それを再構成していく作業それを再構成していく作業　→ウィニコットとビオン　→ウィニコットとビオン　　クライン学派における　　クライン学派における containmentcontainment

中間学派における中間学派における holdingholding

時間と転移と解釈は前提だとしても。時間と転移と解釈は前提だとしても。

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　　短期療法の歴史　　短期療法の歴史 フェレンチィ　　　積極技法 フェレンチィ　　　積極技法 active therapyactive therapy ランク　　　　　　意志療法 ランク　　　　　　意志療法 will therapywill therapy シュテーケル　焦点化療法シュテーケル　焦点化療法 focused therapyfocused therapy アレキサンダーとフレンチ　　修正感情体験アレキサンダーとフレンチ　　修正感情体験　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 corrective emotional experiencecorrective emotional experience シフニオス　　不安喚起療法　 シフニオス　　不安喚起療法　 anxiety provoking therapy anxiety provoking therapy

マン　　時間制限心理療法　マン　　時間制限心理療法　 time-limited psychotherapytime-limited psychotherapy バリント　焦点療法 バリント　焦点療法 focal therapyfocal therapy マラン　　マラン　　 scientific outcome researchscientific outcome research ダーバンルー　試行セラピー　ダーバンルー　試行セラピー　 trial therapytrial therapy

その後、その後、 APAAPA では力動的な心理療法が開発されるでは力動的な心理療法が開発される

　　アレキサンダーアレキサンダー Franz Alexander 1891-Franz Alexander 1891-19641964

米国の力動黄金時代にお米国の力動黄金時代における精神分析ける精神分析

　　　　 19501950 年代におけるシカ年代におけるシカゴ精神分析研究所のなかゴ精神分析研究所のなかでの闘争：での闘争： AlexanderAlexander＆＆French(1946)French(1946) のの short short forms of psychoanalytic forms of psychoanalytic psyochotherapypsyochotherapy

＝修正感情体験を重視する。＝修正感情体験を重視する。　　　　　　 1.1. 　自由連想の放棄　自由連想の放棄　　　　　　 2.2. 　期間短縮、回数　期間短縮、回数操作操作

　　　　　　 3.3. 　カウチの廃止な　カウチの廃止などど

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　バリント（　バリント（ 1896-19701896-1970 ））とマランとマラン

バリントはフェレンバリントはフェレンチィの伝統のなかでチィの伝統のなかで、タヴィストックク、タヴィストッククリニックで、焦点化心リニックで、焦点化心理療法を発展させた。理療法を発展させた。

GPGP らの一般医の心理らの一般医の心理療法のためのチーム療法のためのチームを組み、それを流布を組み、それを流布させる作業をした。させる作業をした。

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マランは、そのなかで科学的な研究マランは、そのなかで科学的な研究に従事して、動機、焦点づけ、転移に従事して、動機、焦点づけ、転移－親リンクといった概念を導入して－親リンクといった概念を導入して、「あらゆるセッションの瞬間の目、「あらゆるセッションの瞬間の目的は、患者が耐えられる限りで、本的は、患者が耐えられる限りで、本当の感情の多くに触れられるように当の感情の多くに触れられるようにすることである。」することである。」→→患者の基準患者の基準1.1. 精神医学的生育歴、精神医学的生育歴、 2.2. 心理力動的心理力動的生育歴、生育歴、 3.3. 対人関係の歴史、対人関係の歴史、 4.4. 現在現在の外的関係、の外的関係、 5.5. 治療者との関係、治療者との関係、 6.6.投影法投影法この六つから適格かどうかを判断すこの六つから適格かどうかを判断する。マランによれば、ひとつの焦点る。マランによれば、ひとつの焦点が明確なら、良い候補になるというが明確なら、良い候補になるという。。外的関係、転移、発生論的システム外的関係、転移、発生論的システム

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　マンの短期療法の世界　マンの短期療法の世界 19641964 年ボストン大学外来で愛着と分離を年ボストン大学外来で愛着と分離を

特化した技術に関心を持ち、特化した技術に関心を持ち、 1212 セッショセッションの実験的な治療を開始した。ンの実験的な治療を開始した。

時間を制限することの意義時間を制限することの意義 Ferentzi,RankFerentzi,Rank （出生＝中断療法）から（出生＝中断療法）から MannMann

　　　１．脱依存　１．脱依存 vsvs依存依存　　２．能動　　２．能動 vsvs 受動受動　　３．適切な自己評価　　３．適切な自己評価 vsvs 自己評価の減少や不在自己評価の減少や不在　　４．解消されていない遅延した悲哀　　４．解消されていない遅延した悲哀

　シフニオスの短期力動療法：不　シフニオスの短期力動療法：不安画期療法安画期療法ボストン、マサテューセッツ総ボストン、マサテューセッツ総

合病院における合病院における STAPPSTAPP→→ハーバードにおけるハーバードにおけるSifneos(1972)Sifneos(1972) の研究の研究

　アレクシシミアの概念化　アレクシシミアの概念化　　→心身症の基盤　　　→心身症の基盤　→→STAPPSTAPP short-term anxiety provoking short-term anxiety provoking

therapytherapy　　去勢不安の取扱　　去勢不安の取扱　　エディプスに限定した。　　エディプスに限定した。　　　　邦訳　　邦訳『『短期力動精神療法短期力動精神療法』』

この治療の候補者は、この治療の候補者は、1.1. 患者が主張できる主訴を持つ能力がある患者が主張できる主訴を持つ能力がある2.2. 子供時代におけるギブ・アンド・テイクの、あるいは子供時代におけるギブ・アンド・テイクの、あるいは

意味のある関係の証拠がある。意味のある関係の証拠がある。3.3. 面接の間、評価者に柔軟に関係をもつ、そして自由に感面接の間、評価者に柔軟に関係をもつ、そして自由に感情を表現できる能力を持つ情を表現できる能力を持つ

4.4. 心理的な洗練さをもち、平均以上の治世、心理的な心を心理的な洗練さをもち、平均以上の治世、心理的な心をもつもつ

5.5. 症状軽減ではなく、変化への動機症状軽減ではなく、変化への動機エディプス期に限定しているので、エディプス期に限定しているので、人格障害などの重い事例には、リミットを設けたため、ほ人格障害などの重い事例には、リミットを設けたため、ほ

とんどの事例は、当初からスクリーニングを受けていとんどの事例は、当初からスクリーニングを受けている。る。

　　（私見：日本に最初にこの技法が紹介されたことは不幸なこと）（私見：日本に最初にこの技法が紹介されたことは不幸なこと）

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　短期療法をしない理由　短期療法をしない理由　　　　（モルノス，　　　　（モルノス， 19951995 ））ⅠⅠ．主要因　①永遠の時間への回帰．主要因　①永遠の時間への回帰ⅡⅡ．精神分析の方法論に固有の問題．精神分析の方法論に固有の問題　　②自由連想の慣例、③分析家の受動性、　　②自由連想の慣例、③分析家の受動性、　　④徹底操作、⑤転移神経症と退行の促進　　④徹底操作、⑤転移神経症と退行の促進ⅢⅢ．患者側に働く要因．患者側に働く要因　　⑥変化に対する無意識の抵抗、⑦神経症の　　⑥変化に対する無意識の抵抗、⑦神経症の根本治癒、⑧過度の解決、⑨患者の依存、⑩根本治癒、⑧過度の解決、⑨患者の依存、⑩終結の困難終結の困難

ⅣⅣ ．セラピスト側に働く要因　．セラピスト側に働く要因　　　⑪治療の完全主義、⑫より深い、早期の体験　　⑪治療の完全主義、⑫より深い、早期の体験

を治癒しなければならない強迫の増大、⑬患者を治癒しなければならない強迫の増大、⑬患者の支援より無意識の科学的関心や好奇心が強くの支援より無意識の科学的関心や好奇心が強くなる、⑭患者の怒りの反応を恐れることや傷つなる、⑭患者の怒りの反応を恐れることや傷ついた患者が来なくなることへの恐れへの抵抗といた患者が来なくなることへの恐れへの抵抗と直面化への恐れ、⑮自信の喪失、⑯短期療法を直面化への恐れ、⑮自信の喪失、⑯短期療法を行うことへのプレッシャー、⑰同僚からのプ行うことへのプレッシャー、⑰同僚からのプレッシャーレッシャーⅤⅤ．開業に特有の要因．開業に特有の要因　　⑱終結したブリーフの患者を不完全なまま戻　　⑱終結したブリーフの患者を不完全なまま戻

して良いかという不安して良いかという不安　　⑲患者の回転が増えると、余計な事務的な仕　　⑲患者の回転が増えると、余計な事務的な仕

事が増える。事が増える。

　実際に行われる短期療法の理　実際に行われる短期療法の理由由

十分なモチベーションを持った患者がセラ十分なモチベーションを持った患者がセラピーの終結日時を決めてやってくる場合ピーの終結日時を決めてやってくる場合

公共領域のヘルスケア、その拘束のもとで公共領域のヘルスケア、その拘束のもとで心理療法をしている場合、心理療法をしている場合、

短期療法をしても、自分の名声が低くなる短期療法をしても、自分の名声が低くなることがない高い地位と名声を有する場合ことがない高い地位と名声を有する場合

　　　　→短期療法は、ひっそりと行われる！→短期療法は、ひっそりと行われる！

短期のなかでの三つ＋一つの流短期のなかでの三つ＋一つの流れれ

長時間、長期間の精神分析の流れに抗するために市民的な長時間、長期間の精神分析の流れに抗するために市民的な公的セクターの需給関係のなかで生じたもの＝経済システ公的セクターの需給関係のなかで生じたもの＝経済システムの違う地域ではシステムとしての導入は必ず失敗するが、ムの違う地域ではシステムとしての導入は必ず失敗するが、方法論的には精神分析の散種が行われ続けているために、方法論的には精神分析の散種が行われ続けているために、つねに変化している。　→短期、あるいは時間制限療法：つねに変化している。　→短期、あるいは時間制限療法：

　　　　　　　　　　　　患者のニード　　　　　　　　　　　　患者のニード //治療者のニード　治療者のニード　1.1. 時間の取り扱い時間の取り扱い2.2. 焦点化あるいは抵抗の取り扱い　焦点化あるいは抵抗の取り扱い　3.3. 抵抗と防衛の解除の技法抵抗と防衛の解除の技法　　　　＋４＋４．対面法のフルスロットルと描画法．対面法のフルスロットルと描画法

　　　　　　　　　　　　　　

　短期療法についての私見　短期療法についての私見１．心理マネージメントが必要な場合、１．心理マネージメントが必要な場合、　つまり精神病的な要素が強い、あるいは発達　つまり精神病的な要素が強い、あるいは発達障害が干渉しているような問題である場合、障害が干渉しているような問題である場合、心理療法は集中的に投与できない、だからと心理療法は集中的に投与できない、だからといって、すぐに治療をやめることは、患者をいって、すぐに治療をやめることは、患者を放り出すことになる、そうした葛藤の中で、放り出すことになる、そうした葛藤の中で、少しだけ心理療法をしてみるという場合、少しだけ心理療法をしてみるという場合、２．分離、去勢、別離、対象喪失などが必要な２．分離、去勢、別離、対象喪失などが必要な

場合、十分な体験として根付いていない場合場合、十分な体験として根付いていない場合で、しかも時間的な余裕がない場合、で、しかも時間的な余裕がない場合、３．時間的な余裕がない、つまりコンサルテー３．時間的な余裕がない、つまりコンサルテー

ションしか投与できない場合、ションしか投与できない場合、

現代の短期力動療法現代の短期力動療法

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H.DavanlooH.Davanloo のの ISTDPISTDP の開の開発発

ディバンローはディバンローは IntensiveIntensive Short-Short-term Dynamic Psychotherapyterm Dynamic Psychotherapy をモをモントリオールのマクギル大学でントリオールのマクギル大学で 2020 年にわ年にわたる体系的な研究の結果、報告する。たる体系的な研究の結果、報告する。

「無意識を解除する」技法：「無意識を解除する」技法： TCPTCP の技法の技法、および防衛を解除するための技法を開発、および防衛を解除するための技法を開発した。複雑な転移感情（した。複雑な転移感情（ CTF)CTF) の解除を取の解除を取り扱う→挑戦と圧力、正面から衝突するなり扱う→挑戦と圧力、正面から衝突するなど。試行治療の実践によって反応を見る。ど。試行治療の実践によって反応を見る。

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MalanMalan の研究ー実践モデの研究ー実践モデルル

BalintBalint のもとで研究者であったマランがのもとで研究者であったマランが精神分析の有効性をモデルの状態から整理精神分析の有効性をモデルの状態から整理した⇒二つの三角形した⇒二つの三角形

その結果、心理療法全般の研究者が登場しその結果、心理療法全般の研究者が登場した（た（ MacCalloughMacCallough ら）⇒プロセス研究ら）⇒プロセス研究

質的研究の科学的な手法がそろいつつあっ質的研究の科学的な手法がそろいつつあったという背景があり、心理療法が研究の主たという背景があり、心理療法が研究の主題になっていった。題になっていった。

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19701970 年代の三つのシンポジウ年代の三つのシンポジウムム

DavanlooDavanloo とと MalanMalan とのとの出会いによって活性化され出会いによって活性化された短期的な治療の文化た短期的な治療の文化

彼らが分かれる彼らが分かれる 19801980 年ま年までに三つのシンポジウム、でに三つのシンポジウム、交流が起き、研究者が行き交流が起き、研究者が行き来した。来した。

その参加者たちが短期力動その参加者たちが短期力動心理療法の理論的な基盤に心理療法の理論的な基盤になった。なった。

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　第三世代から第四世代　第三世代から第四世代 TLPTLP （時間制限療法）：（時間制限療法）： VanderbiltVanderbilt 大学におけ大学におけ

るる StruppStrupp BrieBrieｆ　ｆ　 AdaptiveAdaptive PsychotherapyPsychotherapy （（ BAP)BAP) ：：

Beth IsraelBeth Israel 医学センターにおける医学センターにおける PollackPollack らら Short-term SupportiveShort-term Supportive－－ Expressive Expressive

Psychoanalytic Psychotherapy Psychoanalytic Psychotherapy ペンシシルバニアペンシシルバニア大学における大学における LuborskyLuborsky

Accelated Empathic TherapyAccelated Empathic Therapy （（ AET)AET) 　　　　 6060 年代に年代に RyleRyle実践の中で開発した実践の中で開発した Cognitive-Cognitive-

Analytic therapyAnalytic therapy （（ CAT)CAT)

　　焦点化の方向性について　　焦点化の方向性について　修正感情体験のために、治療関係を特定して、　修正感情体験のために、治療関係を特定して、新しい体験の提供だけを焦点化する（新しい体験の提供だけを焦点化する（ SFPP)SFPP)

　不安を喚起して、葛藤場面を再現する（　不安を喚起して、葛藤場面を再現する（ APAPTT ））

　怒りや罪悪感を明確化する（　怒りや罪悪感を明確化する（ ISTPP)ISTPP)　話題を対人関係的な問題に焦点化する（　話題を対人関係的な問題に焦点化する（ FP)FP)　　　　　　 ex.ex.書き言葉を用いた特殊療法（書き言葉を用いた特殊療法（ CAT)CAT) いずれの場合にも、焦点化の方向に動くことでいずれの場合にも、焦点化の方向に動くことで

短期的な問題に対応しようとしている。短期的な問題に対応しようとしている。 普通の治療者：もし長期的に抱えるのが無理な普通の治療者：もし長期的に抱えるのが無理な状況なら参考になる。ただかなり操作困難だと状況なら参考になる。ただかなり操作困難だという前提が必要になる。いう前提が必要になる。

　　抵抗を除去して本当の感情に至る方抵抗を除去して本当の感情に至る方法法（Ｄａｖ（Ｄａｖ anlooanloo ら）ら）

問題と感情（ＸＣ）を徹底的に探究する問題と感情（ＸＣ）を徹底的に探究する どんな防衛的な働きに対してもチャレンジするどんな防衛的な働きに対してもチャレンジする 本当の感情や衝動が開放され、抑圧がとかれて、今ここ本当の感情や衝動が開放され、抑圧がとかれて、今ここ

での患者の不安が認識されるでの患者の不安が認識される 患者が自分の力で現在の人間関係において同じコンフリ患者が自分の力で現在の人間関係において同じコンフリ

クトが存在することを発見し認識できるように援助するクトが存在することを発見し認識できるように援助する 遠い過去において、親や他の重要な人物との間で、同じ遠い過去において、親や他の重要な人物との間で、同じ

コンフリクトが存在することを発見し認識できるようにコンフリクトが存在することを発見し認識できるように援助する援助する

患者が患者が TCPTCP リンクをできる限り十分に、生き生きと何回リンクをできる限り十分に、生き生きと何回も理解し、体験できるように援助する。→解決＝終結も理解し、体験できるように援助する。→解決＝終結

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　　防衛と不安と本当の感情　　防衛と不安と本当の感情

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DD

AA X(I-F)X(I-F)不安不安 本当の感情本当の感情

防衛防衛

防衛（防衛（ AA とと XX に対すに対する）：る）：不安（不安（ XX に対する）に対する）本当の感情は本当の感情は　ネガティブ（－　ネガティブ（－ X)X)とポジティブ（とポジティブ（ +X+X ）、）、そしてアンヴィバレンそしてアンヴィバレンツ（ツ（ ±X±X ））

　　今ここでと外とそこ　　今ここでと外とそこ

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ＰＰ

TT ＣＣ転移・セラピスト・転移・セラピスト・

今ここ今ここ現在の問題・葛藤現在の問題・葛藤

過去・患者過去・患者

1.1. 起源となる人間関起源となる人間関係係

2.2. 　現在の人間関係　現在の人間関係3.3. 　今のセラピストと　今のセラピストと

の治療関係の治療関係

　ディバンローの技法　ディバンローの技法抵抗を解除し、無意識の鍵を開ける技術として提示したも抵抗を解除し、無意識の鍵を開ける技術として提示したも

の→本当の感情への→本当の感情へ①①圧力：患者に症状を詳細に語ってもらって、それを共有圧力：患者に症状を詳細に語ってもらって、それを共有

して、正確な問題像を描く。して、正確な問題像を描く。②②挑戦：二つの段階のプロセスである。最初は明確化、治挑戦：二つの段階のプロセスである。最初は明確化、治

療者は抵抗があって、患者がやめるべき特定の防衛があ療者は抵抗があって、患者がやめるべき特定の防衛があることを知る。防衛が明確化されると、第二に患者と治ることを知る。防衛が明確化されると、第二に患者と治療者はそれに抗して、仕事をする。防衛への挑戦は、患療者はそれに抗して、仕事をする。防衛への挑戦は、患者が防衛を捨てることを奨励する。者が防衛を捨てることを奨励する。

③③正面衝突：単一の防衛に対するものではなく、全体的な正面衝突：単一の防衛に対するものではなく、全体的な防衛構造に対してのものである。緊急に患者に、抵抗を防衛構造に対してのものである。緊急に患者に、抵抗を克服する努力を求める。患者へのまとめの文書という形克服する努力を求める。患者へのまとめの文書という形をとるが。をとるが。

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　マッキャローやフォッシャ　マッキャローやフォッシャ

情動に対する防衛が感情の様々なあり方情動に対する防衛が感情の様々なあり方を決めている⇒情動恐怖症を決めている⇒情動恐怖症

　これを解除するには脱感作が重要であ　これを解除するには脱感作が重要であると考える。⇒マッキキャローると考える。⇒マッキキャロー

危険信号を適度に感じるための不安と防危険信号を適度に感じるための不安と防衛が組織される体験を増やす衛が組織される体験を増やす

　　⇒安全な自他関係のなかでの感情体　　⇒安全な自他関係のなかでの感情体験験

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guilt/shameguilt/shame sexualsexual

ragerage pain pain

感情と防衛の関係感情と防衛の関係

bondbond

griefgrief defensesdefenses

　力動的な変化の技法　力動的な変化の技法 Accelerated Experiential Dynamic Accelerated Experiential Dynamic

PsychotherapyPsychotherapy （（ Diana Fosha, PhDDiana Fosha, PhD ）） Affect-Focused Dynamic PsychotherapyAffect-Focused Dynamic Psychotherapy

（ （ Leigh McCullough, PhDLeigh McCullough, PhD ）） →彼らが目指している力動的な技法は、 →彼らが目指している力動的な技法は、

短期療法の成果を取り入れながら、より短期療法の成果を取り入れながら、より活動的なアプローチとなりつつある。活動的なアプローチとなりつつある。

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