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地域志向性ケア ポートフォリオ
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Health & Medicine
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青木拓也
日本医療福祉生活協同組合連合会 家庭医療学開発センター、東京ほくと医療生活協同組合 北足立生協診療所
地域におけるヘルスプロモーションのひとつに、住民から特定の疾患やハイリスクグループを拾い上げ、適切な指導やフォローアップを行うCase findingが挙げられる。家庭医は診療科横断的な介入が可能であるため、従来専門医間の連携が十分に行われてこなかった疾患についてのヘルスプロモーションに力を発揮することができる。今回その一例として、当地域で妊娠糖尿病についてのCase findingを実施し、その結果から自治体への政策提言を行った事例を報告する。
考察
妊娠糖尿病の既往を持つ者やそのハイリスクグループに対する産後管理が不十分であることについては、糖尿病リスクに関する患者への情報提供の不足や、産婦人科医から内科医・家庭医への情報伝達の手段が確立されていないことが要因として考えられた。母子手帳は診療科横断的なPersonal Health Recordとなり得るが、現在の母子手帳は産後フォローが必要な母体の健康状態が各ページに散乱しており、それらの情報を母親本人や医療者が一括して判別できるページを追加する必要があると考えた。
上記の内容について足立区衛生部保健予防課に文書で政策提言を行った。NEXT STEP
Case findingを行った後、いかにして定期的なフォローアップを個別に継続していくのか、行動変容の視点からも検討を重ねていく。参考文献 1)日本産婦人科学会 . 産婦人科診療ガイドライン-産科編 2011 2)安日一郎 . 妊娠糖尿病のスクリーニングから管理まで. 日本産婦人科学会誌 2004 ; 56 : 645-650
3)Metzger BE, Coustan DR. The Organizing Committee : Summary and Recommendations of the Fourth International Workshop-Conference on GestationalDiabetes Mellitus.Diabetes Care 1998 ; 21(Suppl2) : B161,
【背景】近年我が国においても糖尿病合併、あるいは糖代謝異常を示す妊婦の増加がみられ、妊婦管理上極めて重要な問題となっている。産後においても糖尿病への進展の早期発見対策として、長期にわたっての耐糖能の監視が必要である。
また妊娠糖尿病の既往はないが、妊婦の糖代謝異常ハイリスクグループに属する者も同様の監視が望ましいと考えられる。
ハイリスクグループ例(日本産婦人科学会)◇heavy for dates児(正期産では3800g以上)分娩の既往歴◇強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性
しかし現状では、妊娠糖尿病の既往を持つ者あるいはそのハイリスクグループに属する者に対する産後管理は不十分と考えられる。そこで母子双方をケアする家庭医の特性を活かし、当地域において妊娠糖尿病に関するCase findingおよび母親への情報提供を実施した。
【方法】対象は2012年8月1日から10月31日の期間に、予防接種あるいは乳児健診で当院を受診した小児の母親である。来院時に(1)妊娠糖尿病の既往、(2)妊婦健診で尿糖(+)
以上を複数回指摘、(3)子の出生体重が3800g以上のう
ち、いずれかのリスクファクターに該当するか問診と母子手帳を用いた調査を実施した。
同時にパンフレットを提示しながら、対象に妊娠糖尿病と産後管理についての情報提供を行った。
【結果】対象となった母親は計72人であった。うち27.8%(20/72人)がいずれかのリスクファクターに該当した。(1)妊娠糖尿病の既往があったのは1.4%(1/72人)であり、(2)妊娠中尿糖が複数回(+)以上であったのは23.6%(17/72人)、(3)子の出生体重が3800g以上だったのは2.8%(2/72人)であった。
なお該当者のうち、産後定期的なフォロー・アップを行っていたのは0%(0/20人)であった。
リスク該当なし
52人(72.2%)
尿糖
17人
出生体重2人
妊娠糖尿病
1人
リスク該当あり
20人(27.8%)
妊娠糖尿病に関するCase finding
参考:妊娠糖尿病産後管理の基本方針(日本産婦人科学会)分娩後1~3ヶ月後には必ず75g糖負荷試験を実施する。(1)糖負荷試験が糖尿病型⇒以後糖尿病として取り扱う。(2)糖負荷試験が境界型⇒3~6ヶ月ごとの反復検査を行う。(3)糖負荷試験が正常型⇒1年ごとの反復検査を行う。
使用した自作パンフレット