情 366 「情報社会と情報倫理 」 ( 5 ) EngineeringEthics2

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情 366 「情報社会と情報倫理 」 ( 5 ) EngineeringEthics2. ファイヤー和田 [email protected] 琉球大学工学部情報工学科. 技術倫理のケーススタディ - スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故 -. - PowerPoint PPT Presentation

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情 366 「情報社会と情報倫理 」

( 5 ) EngineeringEthics2ファイヤー和田

[email protected]

琉球大学工学部情報工学科

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技術倫理のケーススタディ- スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故 -

スペースシャトル・プログラムとは、廉価(部品はできるだけ再利用)に、頻繁(年間数回の頻度)に、機材(軍事衛星、通信衛星など)を大気圏外に送り出すための計画です。1986年1月28日、チャレンジャー号が発射後、73秒で炎上爆破発して乗員7名(民間人1名を含む)全員が死亡するという事故がありました。アメリカの国家的な惨事であり、はじめてシャトルに乗り込んだ一般市民である、高校教師クリスター・マコーリフ (Christra McAuliffe)さんも亡くなりました。気温 2.2℃ での打ち上げは、それ以前の打ち上げの時の最低気温よりも約 10℃ も低かったという特異な条件下の打ち上げでした。

NASA とモートン・サイオコール社(以下 MT 社)は、ロケット・ブースターのフィールド・ジョイントを密閉する O- リングが低温下では期待される機能を果たさないという問題を打ち上げ前に知っていました。現場のエンジニアであるロジャー・ボジョレーらが危険性を指摘していたため、 MT 社は打ち上げ前日に発射の延期を提案しました。しかし、さまざまな理由から予定どおりの打ち上げを望んでいた NASA から、打ち上げの延期するだけの根拠が不明確であるとの指摘を受けて、会社としての意思決定を変えます。最後まで決断を躊躇していた技術担当副社長に向かって、経営責任者がいった言葉、「技術者としての帽子を脱いで、経営者としての帽子をかぶりたまえ」は、技術倫理の世界ではもっとも有名な言葉になりました。

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スペースシャトルとフィールドジョイント

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関係者関係者 役職

NASA

Larry Mulloy 固体燃料ロケット・ブースター( SRB )プロジェクトの責任者

Morton Thiokol (MT社 )Roger Boisjoly SRB 開発計画を担当したエンジニア

Arnie Thompson 同上

Joe Kilminster SRB 開発計画の責任者

Alan McDonald SRB プロジェクトの責任者

Bob Lund 技術担当副社長

Jerald Mason General Manager (経営責任者)

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背景背景

1974 年 NASA, MT 社と固形燃料ブースター・ロケット( SRB )の設計・製造について契約。MT 社が提案した設計は、タイタン型ミサイルの改良型。

1976 年 NASA 、 MT 社の設計を承認。

1977 年 NASA 、フィールド・ジョイントの問題点( O- リングと Joint Rotation )を認識

1981 年 NASA 、 2 回目のスペース・シャトル打ち上げ後の調査で問題点を確認。

1985 年 NASA 、 1 月 24 日の打ち上げ後の調査で、ススとグリースを確認。 MT 社はプロジェクトチームを作り検討( Boisjoly らがメンバー)

1985 年 7 月 MT 社、フィールド・ジョイントを O- リングなしのものに設計変更。しかし、チャレンジャーには間に合わず。

1986 年 1 月 27日

低い気温の打ち上げについて、 NASA と MT 社の関係者間で打ち上げに関する電話会議。

政治的背景

•NASA は、打ち上げ実施の方向へ政治的な圧力下にあった。

•スペース・シャトル計画全体の遅れ。当初の計画では、利益もでる可能性があった。

•The European Space Agency もおなじような計画を進めていた。

•議会が NASA の予算に対して疑問視しはじめていた。

•1986 年の過密な打ち上げ計画(ハレー彗星観測機の打ち上げを含む)。これは議会に対するアピールのため。

•レーガン大統領の年頭教書。教育政策に対する批判をかわすため、「宇宙に出た先生」 McAuliffe さんを搭乗させる。

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打ち上げ前夜の電話会議打ち上げ前夜の電話会議

•寒冷前線の通過により、異常な低温が予想されていた。

•打ち上げ場所に駐在する McDonald が予想される低い気温下での懸念を表明して、会議が開かれる。

•Boisjolyや Thomson などの現場のエンジニアたちは打ち上げに反対した。

•Lund は、予想されるような低温でのはっきりとしたデータがないことを理由に、打ち上げ延期を提案する。

•NASA の Mulloyや他のエンジニアは、確実な証拠がないことを理由に、 MT 社の意見に反対。 MT 社Kilminster に意見を求める。

•Kilminster がオフラインでの会議を提案。 Boisjoly たちは、打ち上げに反対。

•社内会議で再検討。気温と Blow-by の間にはっきりとした相関関係がないことを理由に打ち上げを承認する方向に会議が進む。

•反対していた Lund に対して、 Mason が” Take off your engineering hat and put on your management hat.” と発言。 Lund は意見を変え、 MT 社は打ち上げ賛成の結論。

•フロリダの McDonald は結果に驚く。

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解答シート• 技術者の判断と経営者の判断の関係、組織としての意思決定の問題、NASA と仕事を請け負う契約会社との関係、NASA が予定どおりの打ち上げを強く望んだ理由、などを「価値」を切り口にして考えてみてください。ボジョレーをはじめ現場技術者の判断が尊重され、技術者が「元気に」仕事ができるようにするためには、 MT 社や NASA はどのようなシステムやプログラムを持っていればよかったのでしょうか。

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倫理的な意思決定のための方法

• 普遍化テスト– 「みんながそれをしたらどうなるか」 

• 可逆性テスト– 「自分が影響を受ける立場でも、同じような意思決

定をするか」

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ロッキードマーチンの自己診断• 貴方の行為は合法ですか?• 貴方は正直ですか、公平ですか?• 貴方の行為は時間の試験に耐えられますか?• 自分に対してどんな気持ちでいられますか?• 新聞はどうとりあげますか?• 子供が同じことをしたら親としてどうですか?• 貴方の行為を家族が知ったらどうですか?

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テキサスインスツルメント社のエシック・テスト

• 「それ」は法律に触れないだろうか?• 「それ」はTIの価値基準にあっているのだろ

か?• 「それ」をすると良くないと感じないだろうか?

• 「それ」が新聞に載ったらどう映るだろうか?• 「それ」を正しくないとわかっているのにやっ

ていないだろうか?

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倫理的な意志決定を妨げる要因と促進要因

促進要因 阻害要因利他主義 私利私欲(利己主義)

希望・勇気 おそれ

正直・誠実自己欺瞞 (今回だけだから、みんながやっ

ているから )(自分の良心に反する行動すること)

知識・専門能力 無知

自己相対化(公共性) 自己中心的

巨視的視野 微視的視野

権威に対する批判精神 権威の無批判な受け入れ

自立的思考 集団思考

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HW5webclass 情報工学科 情報倫理に用意したHW 5 に以下の課題に対する記述式回答を入力せよ。

• 内容:スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事件 宿題①: 技術者の判断と経営者の関係、組織としての意思決定の問題、NASA と仕事を請け負う契約会社との関係、NASA が予定どおりの打ち上げを強く望んだ理由、などを「価値」を切り口に議論せよ。

• 1.仕方がないか、努力不足か?2.優先した価値観は何か?3.会社組織をどうするべきか?

•  宿題②:ボジョレーをはじめ現場技術者の判断が尊重され、技術者が「元気に」仕事ができるようにするためには、MT 社や NASA はどのようなシステムやプログラムを持っていればよかったか?

•  締切: 5/26 日(月  )17:00まで それ以降は無効とする。• http://webclass.cc.u-ryukyu.ac.jp/