わが国の脳梗塞(急性期 ... - mt-pharma.co.jp · わが国の脳梗塞(急性期~慢性期) の治療実態と当社戦略について 田辺三菱製薬株式会社
急性期脳梗塞の治療 - 日本赤十字社 松山赤十字病院長径 26mm)...
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非心原性脳梗塞
①小深部穿通枝梗塞であるラクナ梗塞
② Branch atheromatous disease(=BAD)
③頭蓋外又は頭蓋内主幹動脈のアテローム硬化性病変に起因する動脈原性塞栓症(A-to-A embolism)
=アテローム血栓性脳梗塞
心原性塞栓症
心房細動などにより、頭蓋外血管内に形成された塞栓によ る脳梗塞
脳梗塞の病型
Branch atheromatous disease(=BAD)
• ラクナ梗塞:1本の穿通枝末梢の高血圧性血管病変(リポヒアリノーシスとフィブリノイド変成) 1本の穿通枝の灌流域は大脳半球では最大15mm程度。
• BAD:主幹動脈から分岐する穿通枝の入口部に起こるアテローム硬化性病変による狭窄または閉塞 複数の穿通枝領域のため梗塞巣は15mm以上となる。
非心原性脳梗塞
①小深部穿通枝梗塞であるラクナ梗塞
② Branch atheromatous disease(=BAD)
③頭蓋外又は頭蓋内主幹動脈のアテローム硬化性病変に起因する動脈原性塞栓症(A-to-A embolism)
=アテローム血栓性脳梗塞
心原性塞栓症
心房細動などにより、頭蓋外血管内に形成された塞栓による脳梗塞
脳梗塞の病型
→血栓療法の適応は低い
→血栓療法の適応は低い
日本の血栓溶解剤
• 以前より使用されていたウロキナーゼは血栓を溶かす効果が弱い。
• また1993年に、わが国で世界に先駆けて血栓溶解剤(デュテプラーゼ)の有効性が確認されましたが、海外メーカーとの特許権をめぐる問題で開発が頓挫。
新たな血栓溶解剤t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)
• 1995年に米国で脳梗塞急性期の3時間以内に投与することでt-PA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)の有効性が確認され1996年より米国にて認可された。
• 2002~2003年にかけての国内の治験でt-PA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)の有効性が確認され米国に遅れること9年目の2005年10月より、わが国でも承認、認可され、発症3時間以内の脳梗塞の超急性期の患者に動脈注入用カテーテルなど特殊な医療行為なく、1時間の点滴で投与可能となった。
2012年8月31日厚労省薬事審議会で発症4.5時間までのt-PA療法の投与が認可された。
血栓溶解剤t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)一般名:アルテプラーゼとは
• 血液中には、プラスミンという血栓溶解作用を持った物質があり、
通常はプラスミノゲンという形で
存在し、選択性の高い
t-PAによって血栓に存在するプラスミノゲンだけをプラスミン
に活性化させ、血栓を溶かし
血管を再開通させる。 血栓溶解剤t-PA(一般名:アルテプラーゼ)
t-PAを使用した血栓溶解療法の重要なこと
• 治療開始は脳梗塞が発症4.5時間以内(ゴールデンタイム)に開始することが重要。
❶虚血になり脳神経細胞が死に至る経過は早く、
4.5時間以上経過してしまうとt-PAで血栓を溶解し 血流を再開通させても、多くの脳神経細胞は回復 する可能性が低い。
❷時間が経過してから血栓溶解することで、血流再 開で脆弱となった閉塞血管が破綻し、いわゆる出 血性梗塞を引き起こし、さらに症状を悪くする可 能性が高くなる。
1.初期対応(ABC);意識障害患者が来院したら
• 1.意識レベルをチェックし、気道の確保の有無を。• 2.自発呼吸の有無、酸素投与の必要性の検討。• 3.血圧、脈拍、体温の確認。血管確保が必要か?自発呼吸なければ直ちにCPR。自発呼吸を認めても意識障害高度であれば、気管内挿管による気道確保の検討が必要。
• Vital signを確認したら、意識レベルを再確認し救急隊、家族から病歴や状況を簡素に、場合により繰り替えし聴取し、原因の的を絞ってゆく。
• 4.血糖チェックし低血糖が確認出来れば50%ブドウ糖2A静注。• 5.低栄養、アルコール関連疾患の存在を考えアリナミンF(50mg)[=Vitamin B1]1A~2Aを緩徐に静注。
問診及び診察のポイント
注意点① 発症時刻から4.5時間以内に投与を開始すること。搬入後の検査時間を考慮すると発症時刻から最低
3時間から3.5時間以内が限界。
超急性期脳梗塞は、緊急疾患であり、時間との勝負!
最初に対応した医師が、それを意識しながら診察し可能な限り早く、専門医(神経内科、脳外科)に相談!
注意点② 発症時刻とは以下の時刻のことで発見時間とは違う。
●患者本人或は発症を目撃した人が報告した時刻●患者が無症状であることが最後に確認された時刻
禁 忌 (既往症) 非常に最近の出血疾患と手術例
(臨床所見)●発症時にけいれん発作●出血の合併
*胸部大動脈瘤、胸部大動脈解離症例:全国で10症例に投与され、全員死亡。
(疑い例) 血圧が低い症例。上肢の血圧に左右差のある症例。左半身麻痺の症例。総頸動脈閉塞例。
Early CT sign=早期虚血性変化広範囲脳梗塞では、細胞傷害性浮腫による早期虚血性変化(early CT sign)を認める。
①レンズ核の不明瞭化
②島皮質の不明瞭化
③脳溝の消失
④皮髄境界の不明瞭化
血栓溶解療法(t-PA)の実際③頭部CTにて脳梗塞の可能性が高いと判断すれば緊急頭部MRIとMRA(=MR血管撮影)検査を行う。同時に心電図、胸部レントゲン、血液検査を行い、すべての結果をもとにt-PAによる血栓溶解療法が可能かを検討し、患者或は家族に説明の上同意をとる。
来院後からt-PAを投与開始するまで平均30分~40分間を要する。
頭部MRIとMRA
心電図、胸部レントゲン血液検査
t-PAの投与の実際
t-PA(アクチバシン)を総投与量(0.6mg/kg)※欧米は0.9mg/kgで日本は2/3の量
まず総投与量の10%を1分間かけて急速投与し、残りの90%を60分かけて持続静脈投与する。
時にt-PA投与前にエダラボン(ラジカット®)を事前投与(ペナンブラ部位の虚血障害の緩和目的)
● 診療所
● 病 院
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● 脳卒中・脳神経 センター
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脳卒中疑い脳卒中疑い
頭部CT頭部CT
頭部MRI(DWI)
脳血管MRA
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脳血管MRA
脳出血 脳出血
脳梗塞脳梗塞
その他の 疾患
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各科の専門医各科の専門医
神経学的診察神経学的診察
神経内科医
脳外科医
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脳外科医当番医当番医
●主治医からの電話に
当番医が24 時間応対
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脳卒中ホットライン
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● 松山赤十字病院 脳卒中・脳神経センターは 24時間 "脳卒中患者 " の受け入れに対応● 松山赤十字病院 脳卒中・脳神経センターは 24時間 "脳卒中患者 " の受け入れに対応
受診受診
往診往診
●救急車コール●救急車コール
可能な限り 早急に !!可能な限り 早急に !!(2 時間以内 )(2 時間以内 )
約 35 分約 35 分
約 15 分約 15 分
主治医より主治医より
入院入院
t-PA 適応の判断t-PA 適応の判断