shinji@andrew.ac.jpMicroeconomics 競争市場と公共政策

B5 下限価格規制の功罪 <N12 章 pp.123-29>1　 <12 章 > 最低賃金制度の功罪 2　日本の労働市場と弱者の失業3　要点下限価格規制

<13> 下限価格規制～ <B5> 最低賃金制度の功罪～

課題

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第 12 章 (pp.123-29) の主旨 用語を理解した･ ?1.賃上げかクビ，いずれを好む ? p.1２３ (トレードオフ )

2.最初の最低賃金は製造業平均の何 %? p.124 (40%)

3.最低賃金で50万人，それ以下の労働者数は ?　なぜ?　どうすべき? p.124 (250万人，法適用除外，対立点Q2)

4.最近の最低賃金引き上げ（ $7.25）の雇用への効果は? p.124 ( 最大100万人の失業 )

5.最低賃金制度の雇用者数以外への主な副作用は? p.127 (差別の拡大，付加給付&労働者訓練の削減 )

Q 読解力チェック PP.123-29

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発端は 1938 年 but 自治体にも浸透1. 賃金の下限価格 PH ＞ 自由な労働市場の均衡価格 P*2. <B4> 競争市場の供給 需要 配分機能を･ ･ 歪曲

賃金の下限価格規制の主な副作用1. 労働需要の減少，若年失業者の増加による社会不安2. 超過供給，差別拡大・付加給付 & 教育訓練の削減3. 社会余剰の減少，当局の規制費用の増加

1 <12 章 > 最低賃金制度の功罪

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下限価格規制を図を使って説明すると ?1. 競争市場の均衡 E ，価格 P* と数量 Q* は ?2. 下限価格規制均衡 A ，価格 PH と数量 QH は ?3. 結局，規制による超過供給 AB ・雇用 ( 数 ) 量

Q ・社会余剰 S の変化は ?4. 米国の場合，失業しやすいのはどんな人 ?

Q1 賃金 P の下限価格規制

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A1 下限価格規制の非効率性

PPH

QQH

E

A

超過供給

BP*

Q*

C

1. 競争市場均衡 E ＜ B> 最大の社会余剰 S2. 下限価格規制均衡 A3. 雇用 Q↓ & 社会余剰 S↓

1. S↓ 死荷重 ACE 非効率性

2. Q↓ 超過供給 AB 副作用 ( 次々頁 )

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消費者余剰は必ず減少 買い手（企業）

生産者余剰は ???1. 右図は，最大値2. 第２次死荷重の可能性

いずれにせよ社会余剰↓非効率な死荷重 ACE

再論　 <★B4> 第２次死荷重

PPH

QQH

E

A B

P*

Q*

C

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超過供給 ( 前頁 AB) 買い手市場の割当1. 熟練労働者を優先 若年者の失業↑2. 未熟練労働者への職場内訓練の削減3. 付加給付（フリンジ・ベネフィット）の削減4. 人種や性別による差別の拡大 マイノリティ

∴ 最低賃金制度の犠牲者　 Q1 の問 4 若年のマイノリティ 低所得者

超過供給（失業）の発生と副作用

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2.マイノリティの若者の雇用を減らすことなく所得を増やす方法は ?勤労所得の税額控除（還付） 負の所得税

3.なぜ労働組合は最低賃金制度を支持 ?1. 組合員は高賃金だが，未熟練労働者とも競合2. ∴ 最低賃金の上昇はその代替関係を弱め，3. 組合員の労働条件の改善を有利にする

Q演習問題 (P.129)2-3

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1. 零細企業や農業 (p.128) こそ低賃金が問題なのに，適用除外になりがちな理由は ?

2. 仮に零細企業や農業に $9.5 (p.127) の最低賃金を適用すれば，状況は改善する ?

3. ★日本では需要の高い保育所が不足し，公立病院が閉鎖されている，主因は ?

Q2 　統制はザルの方が快適 ?

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労働市場を理解する重要性 労働経済学1. 無理解による悲惨な結果 N 第３部：男女・貧富

2. 各国（日米）・職種（官民）の制度の相違 人生

日本も高失業率時代（若年失業・所得格差）1. But 米国のような最低賃金制度の悪影響よりも2. 時代遅れの日本特有の法律・制度が先決問題

2 　日本の労働市場と弱者の失業

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H(08, p.53) によれば，日本の最低賃金は，大都市では当該地域の均衡賃金以下，地方では以上に決まってきたという。 Q51. そうした政策を採用した意図・考え方は ?2. 実際の結果は ? 　意図は実現できたか ?3. 最近上昇しつつある最低賃金の効果は ?

Q3 　ザルだった日本の最低賃金制

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戦後日本の高度成長と三種の神器1. 終身雇用・年功（序列）賃金・企業別組合2. 新卒一括採用 ＋ 定年制 （ 年金）　3. 積極的な技術導入 ＋ 企業内訓練

９０年代以降の長期停滞と制度改革の必要性1. 成長鈍化 ＋ 少子高齢化 ＋ 専門化 ＋ IT革命2. 雇用調整 ＋ 雇用制度改革　　 年金破綻

日本の労働市場の特徴と課題

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派遣問題に学ぶ経済学の重要性： Y(11, p.105-8)

1. 日本の人材ビジネスは未だに政府許可が必要職業紹介・人材派遣は中間搾取 ? 労働基準法６条

2. 世界は民間有料職業紹介・派遣を原則自由化ILO181号条約 高失業への雇用機会の増加

3. ∴99&04 年：労働者派遣法の規制緩和But Why? 12 年： 30 日以内の日雇い派遣禁止

間接雇用：世界の常識・日本の非常識

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• 派遣は増加 but 少数なのになぜ騒ぐ ? Y(11)

非正社員の 87％はパート &契約 政治 ?

規制強化の論拠は「根拠のない論理」派遣を禁止すれば，正社員が増える ? No

∴「誤った論理」の時代錯誤の規制強化派遣を禁止すれば，所得格差が減る ? No

「首切り自由の派遣」は深刻 & 重要 ?

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非正社員比率の増加： ２９％ ３４％正社員：3489 万 3355 万，非正社員：1451 万 1755 万

派遣は増加 but 比率は小： ３％ ５％ ( 大半はパート )

1. パート：1053 万 1192 万，契約 嘱託･ ： 230 万 330 万

2. 他：125 万 137 万，派遣：43 万 96 万

Y(11, p.106)：派遣法緩和への３つの誤解

非正社員の雇用形態： 2002 年 -10 年

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1. なぜ，日雇い派遣を禁止するのか ?派遣・日雇いという労働形態を当局が否定

2. この禁止によって，損失を受けるのは ?供給したい労働者，需要したい企業消費者

3. なぜ，派遣禁止は格差を縮小しない ?禁止により失業者（所得ゼロ）になるから

Q4 日雇い禁止は弱者を保護するか ? 　

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日本の労働市場改革の課題 Y(11,7 章 )

1. 年功賃金（終身雇用・一括採用・定年制）の改革 40 代以上の正社員の賃金改革

2. 金銭賠償を前提とした解雇ルールの策定 正・非正社員，大・中小企業の格差縮小

注意点： 労働者保護の名目で弱者困窮化 例： 定年延長 & 再雇用義務化 年金破綻

では，どうすれば良いのか ?

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確認： 下限価格規制とは ? <B4> 上限価格規制市場均衡価格を上回る水準に下限価格を設定

下限価格規制への政治的誘因低い価格（例：賃金）の保護 ポピュリズム

他例： 農産物価格 下限 ( 生産者 ) 価格と超過供給

結果は ? 数量・効率性↓ & 副作用

3 　要点 下限価格規制

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競争市場の均衡 E1 での価格が 1000円1. 下限価格＝ 500円の場合の均衡は ? E1

Q3: 従来の日本の大都市の最低賃金2. 下限価格＝ 1500円の場合の均衡は ? E2

Q3: 米国 or 従来の日本の地方の最低賃金3. ☆農産物の生産者価格を 1500円とする規制均衡

E3の超過供給を解消するには，消費者価格 P4 をどう規制する ? 食糧管理政策

Q5 　有効・無効な下限価格規制

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1. E1： 500円より下がらず上昇 超過需要2. 価格規制均衡： E2

超過供給（失業）・死荷重

3. 消費者価格 P4 Q3

1. ∵生産者価格 E3

2. ★社会余剰は ? 補助金

A5 　生産者価格・消費者価格・補助金

E2

P

Q

D S

E11000

Q1

P4

Q2

1500

500

E3

E4

超過供給

Q3

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下限価格規制の愚行1. 均衡価格を上回る水準に下限を設定すると2. 超過供給が発生し，数量も社会余剰も減少3. 日本では最低賃金制より根本改革が必要

次回は Exam-1： Review-1同様に 80%目標時間厳守，学生証・黒ペン・黒鉛筆& 消しゴム

本日のポイント要点

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M(05): マンキュー 『経済学 <1> ミクロ編』第６章 2節 下限価格規制と最低賃金制

Y(11): 八代『新自由主義の復権』中公新書第７章 労働市場改革， pp.105-8 派遣法

H(08): 八田 『ミクロ経済学 <1>』第 1&4 章 価格規制， p.52-4 最低賃金制度

下限価格規制と最低賃金の参照文獻