アーティスト/クリエイターとTPPの関係 〜TPPの知的財産分野を考える〜

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アーティスト/クリエイターとTPPの関係 TPPの知的財産分野を考える 2013.6.24(月)@ティン・パン・バレー・タウンホール https://www.facebook.com/events/277993789010640/permalink/279440548865964/

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アーティスト/クリエイターとTPPの関係TPPの知的財産分野を考える

一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)事務局長香月 啓佑(@kskktk)

2013.6.24(月)@ティン・パン・バレー・タウンホール

自己紹介

1983年生まれ。福岡県出身。有限会社ネオローグ企画制作部所属。一般社団法人インターネットユーザー(MIAU)協会事務局長。

ネオローグでの仕事・ライター・編集者・インターネット生放送コーディネート・放送作家、番組制作J-WAVE TOKYO MORNING RADIOMIAU Presents ネットの羅針盤津田ブロマガeXtremeその他デジタル・ガジェット・著作権に関する番組を各種担当

・電子書籍オーサリング・エヴァンジェリストePub

一般社団法人インターネットユーザー協会Movements for the Internet Active Users

MIAUの目的

インターネットやデジタル機器等の技術発展や利用者の利便性に関わる分野における意見の表明・知識の普及などの活動

MIAUのめざすもの

利用者がより創造的に活動できそして技術自身が発展できるような環境

既存のシステムを守るための制度が技術の発展を制限しない環境

TPP

TPPTrans Pacific Partnership

TPPTrans Pacific Partnership

TPPTrans Pacific Partnership

TPPTrans Pacific Partnership

環太平洋パートナーシップ

TPPTrans Pacific Partnership

環太平洋パートナーシップ「環太平洋戦略的経済連携協定」とも

環太平洋戦略的経済連携協定(2006年発効)Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement(TPSEP)

環太平洋戦略的経済連携協定(2006年発効)Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement(TPSEP)

Pacific-4 (P4)

P4協定

日本

P4協定TPP

日本

P4協定TPP

オーストラリアカナダ

マレーシアメキシコぺルーアメリカベトナム

日本

P4協定TPP

オーストラリアカナダ

マレーシアメキシコぺルーアメリカベトナム

日本

まだだ!まだ終わらんよっ!

TPP2010年交渉開始

ASEAN2015年域内関税撤廃

RCEP2013年5月交渉開始

日中韓FTA2013年5月交渉開始

TPP2010年交渉開始

ASEAN2015年域内関税撤廃

RCEP2013年5月交渉開始

日中韓FTA2013年5月交渉開始

TPP2010年交渉開始

ASEAN2015年域内関税撤廃

RCEP2013年5月交渉開始

日中韓FTA2013年5月交渉開始

アジア太平洋自由貿易圏構想(FTAAP)

ここで素朴な疑問

ここで素朴な疑問

国際的な経済連携ってなんで必要あるの?

A国 B国

A国 B国

関税・規制

A国 B国

関税・規制

ヒト・モノ・カネの動きが制限される動くときには関税が科される

A国 B国

関税・規制

A国 B国

A国 B国

A国 B国FTA = Free Trade Agreement

A国 B国FTA = Free Trade Agreement

ヒト・モノ・カネを

自由に移動できるよう

にしよう

高い水準の自由化が目標アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた道筋の中で実際に交渉が開始されておりアジア太平洋地域における高い水準の自由化が目標。

非関税分野や新しい分野を含む包括的な協定FTAの基本的な構成要素である物品市場アクセス(物品の関税の撤廃・削減)やサービス貿易のみではなく非関税分野(投資、競争、知的財産、政府調達等)のルール作りのほか新しい分野(環境、労働、「分野横断的事項」等)を含む包括的協定として交渉されている。

出典:内閣官房TPP対策本部「TPP協定交渉について(平成25年6月17日)」

出典:内閣官房TPP対策本部「TPP協定交渉について(平成25年6月17日)」

出典:内閣官房TPP対策本部「TPP協定交渉について(平成25年6月17日)」

高い水準の自由化が目標アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた道筋の中で実際に交渉が開始されておりアジア太平洋地域における高い水準の自由化が目標。

非関税分野や新しい分野を含む包括的な協定FTAの基本的な構成要素である物品市場アクセス(物品の関税の撤廃・削減)やサービス貿易のみではなく非関税分野(投資、競争、知的財産、政府調達等)のルール作りのほか新しい分野(環境、労働、「分野横断的事項」等)を含む包括的協定として交渉されている。

出典:内閣官房TPP対策本部「TPP協定交渉について(平成25年6月17日)」

出典:特許庁「知的財産権入門(平成24年度)」

出典:特許庁「知的財産権入門(平成24年度)」

アーティストやクリエーターも関係がありそうだ!TPPではどんな知的財産権制度が話されているのだろう?

アーティストやクリエーターも関係がありそうだ!TPPではどんな知的財産権制度が話されているのだろう?

何が話されているのか全くわかりません!交渉に参加したとしても話せません!

アーティストやクリエーターも関係がありそうだ!TPPではどんな知的財産権制度が話されているのだろう?

何が話されているのか全くわかりません!交渉に参加したとしても話せません!

え?どーゆーこと?

TPP Text

TPP Text

政府当局者政府の国内協議参加者文書の情報を検討する者情報を知る必要のある者

TPP Text

政府当局者政府の国内協議参加者文書の情報を検討する者情報を知る必要のある者

もちろんNDA(機密保持義務)

TPP Text

政府当局者政府の国内協議参加者文書の情報を検討する者情報を知る必要のある者

もちろんNDA(機密保持義務)

しかも交渉妥結後4年間は非公表!(成立しなくても!!!!)

しかし…

TPPの知的財産分野の条文のリークが公開された

出典:「TPP米国知的財産条文案(2011年2月10日版)を抄訳してみた」(骨董通り法律事務所コラム)

URL:http://www.kottolaw.com/column/000438.html著者:福井健策(骨董通り法律事務所 for the Arts)

ライセンス:CC BY-SA 2.1 JP

・音、匂いにも商標(2.1項)・電子的な一時的記録も複製権の対象に(4.1項)・真正品の並行輸入に広範な禁止権(4.2項)・著作権保護期間の大幅延長(4.5項)・アクセスガードなど、DRMの単純回避規制(4.9項)・診断、治療方法の特許対象化(8.2項)・ジェネリック医薬品規制(医薬品データの保護)(9.2項)・法定損害賠償金の導入、特許侵害における3倍額賠償金の導入(12.4項)・著作権・商標権侵害の非親告罪化(15.5(g)項)・「ノーティス・アンド・テイクダウン」 「反復侵害者のアカウントの終了(いわゆる3ストライク・ルール)」を含んだ 米国型のプロバイダーの義務・責任の導入(16.3項)

出典:「TPP米国知的財産条文案(2011年2月10日版)を抄訳してみた」(骨董通り法律事務所コラム)

URL:http://www.kottolaw.com/column/000438.html著者:福井健策(骨董通り法律事務所 for the Arts)

ライセンス:CC BY-SA 2.1 JP

・音、匂いにも商標(2.1項)・電子的な一時的記録も複製権の対象に(4.1項)・真正品の並行輸入に広範な禁止権(4.2項)・著作権保護期間の大幅延長(4.5項)・アクセスガードなど、DRMの単純回避規制(4.9項)・診断、治療方法の特許対象化(8.2項)・ジェネリック医薬品規制(医薬品データの保護)(9.2項)・法定損害賠償金の導入、特許侵害における3倍額賠償金の導入(12.4項)・著作権・商標権侵害の非親告罪化(15.5(g)項)・「ノーティス・アンド・テイクダウン」 「反復侵害者のアカウントの終了(いわゆる3ストライク・ルール)」を含んだ 米国型のプロバイダーの義務・責任の導入(16.3項)

米韓FTAの知的財産条項と言い回しを含めてほぼ同じ日米経済調和対話の内容とほぼ同じ

出典:「TPP米国知的財産条文案(2011年2月10日版)を抄訳してみた」(骨董通り法律事務所コラム)

URL:http://www.kottolaw.com/column/000438.html著者:福井健策(骨董通り法律事務所 for the Arts)

ライセンス:CC BY-SA 2.1 JP

・音、匂いにも商標(2.1項)・電子的な一時的記録も複製権の対象に(4.1項)・真正品の並行輸入に広範な禁止権(4.2項)・著作権保護期間の大幅延長(4.5項)・アクセスガードなど、DRMの単純回避規制(4.9項)・診断、治療方法の特許対象化(8.2項)・ジェネリック医薬品規制(医薬品データの保護)(9.2項)・法定損害賠償金の導入、特許侵害における3倍額賠償金の導入(12.4項)・著作権・商標権侵害の非親告罪化(15.5(g)項)・「ノーティス・アンド・テイクダウン」 「反復侵害者のアカウントの終了(いわゆる3ストライク・ルール)」を含んだ 米国型のプロバイダーの義務・責任の導入(16.3項)

米韓FTAの知的財産条項と言い回しを含めてほぼ同じ日米経済調和対話の内容とほぼ同じ

ほぼ真正なものではないかと言われている(ただ時間が経過しているので変化している可能性はあり)

出典:「TPP米国知的財産条文案(2011年2月10日版)を抄訳してみた」(骨董通り法律事務所コラム)

URL:http://www.kottolaw.com/column/000438.html著者:福井健策(骨董通り法律事務所 for the Arts)

ライセンス:CC BY-SA 2.1 JP

・音、匂いにも商標(2.1項)・電子的な一時的記録も複製権の対象に(4.1項)・真正品の並行輸入に広範な禁止権(4.2項)・著作権保護期間の大幅延長(4.5項)・アクセスガードなど、DRMの単純回避規制(4.9項)・診断、治療方法の特許対象化(8.2項)・ジェネリック医薬品規制(医薬品データの保護)(9.2項)・法定損害賠償金の導入、特許侵害における3倍額賠償金の導入(12.4項)・著作権・商標権侵害の非親告罪化(15.5(g)項)・「ノーティス・アンド・テイクダウン」 「反復侵害者のアカウントの終了(いわゆる3ストライク・ルール)」を含んだ 米国型のプロバイダーの義務・責任の導入(16.3項)

著作権保護期間の延長

著作権保護期間

著作権保護 著作権保護

作品が生まれる 作者死亡

Public Domain

50年

著作権保護期間(TPPで協議されているもの)

著作権保護 著作権保護

作品が生まれる 作者死亡

Public Domain

70年

著作権保護期間70年は世界標準か?WTO TRIPs協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)では著作者の死後50年と定められている。70年の国より50年の国のほうが実はまだ多い。

パランテ発言米国著作権局長のマリア・パランテが米下院委員会の公聴会で「デジタル時代の新しい著作権法改正が必要だ」と主張。

Orphan Works(孤児作品)問題著作者不明の著作物の利用が問題となっている

保護期間が伸びることで創作のモチベーションは本当にあがるか?著作権保護期間を伸ばすことで収益は増えるか?

伸び続ける著作権保護期間をどう考える?(ミッキーマウス保護法)

アクセス・コントロール回避規制

DRM破りを違法化する・DVDレコーダーがなくなったらどうしたら?・正当な私的複製に制限を?・LinuxでDVDが見られなくなる?・iPadでDVDの映像を見るにはどうしたら?・障害者の方などが電子書籍を読む時にどうすれば?

非親告罪化

著作者自身の申し立てなく、著作権法違反を摘発できるようにする・コミケ的な2次創作が実質的に不能になる・グレーゾーンをどうするか?・警察の別件逮捕に使われるようになる?

法定賠償金の導入

実際の被害額の算定ではなく懲罰的な賠償金を科す・現在米国では下限750ドル、上限15万ドル・著作権侵害訴訟の実効性が増す・「振り込め詐欺」的な訴訟が乱立する可能性がある ドイツでは30万円以下の訴訟は拒否 韓国では自殺者

ノーティス・アンド・テイクダウン

著作者からの申し立てがあればISPは著作権侵害のコンテンツを削除する・申し立てに従えばISPは著作権侵害を疑われない・侵害をどう判定するか?・侵害判定がbotプログラムで行われている現実をどう考えるか?

スリーストライクルール

繰り返し著作権侵害を犯したユーザーに対して、ネット接続を遮断することができる・3回の侵害でアウト!・韓国やフランスではすでに導入済み。・インターネットに接続することはすでに人権に近い権利

著作権法第1条

文化的所産の公正な利用に留意しつつ著作者等の権利の保護を図りもって文化の発展に寄与することを目的とする

日本にもフェアユースの導入を

アメリカ著作権法107条:批評、解説、ニュース報道、教授(教室における使用のために複数のコピーを作成する行為を含む)、研究または調査等を目的とする著作権のある著作物のフェアユースは著作権の侵害とならない。

利用の目的および性格は?どれだけ改変する? 教育目的? 非営利目的?新しい表現か? 単なるコピーか?

著作物の性格は?利用する著作物はフィクション? ノンフィクション?

利用する部分の量は? 引用する必要はある?利用される著作物の分量はどれくらい? そこに引用する意味がある?

著作物の潜在的な市場や価値に影響を与える?オリジナルが売れなくなったり、価値が毀損されるようなことがある?

TPPの知的財産権条項

あなたはどう考える?あなたはどう動く?

一般社団法人インターネットユーザー協会Movements for the Internet Active Users

MIAUの活動内容

インターネットおよびデジタル技術に関わる法制度に関する正確な知識の供給

インターネットおよびデジタル技術について技術発展や利用者の利便性に関わるような法制度への対応

関連する政府報告書のパブリックコメントに対する意見提出活動および政策提言活動

インターネット利用者の情報リテラシー向上の支援

MIAUの最近の主な活動(国内)一般社団法人インターネットユーザー協会Movements for the Internet Active Users

著作権法改正への動き:•改正著作権法における「違法ダウンロード刑事罰化」「アクセスコントロール回避規制」へ反対•国会議員に向けてのロビー活動、院内勉強会の開催•参議院文教科学委員会にて参考人として意見表明

医薬品のネット販売規制への動き:•「一般用医薬品の通信販売の再開を求める要望書」を提出

- 楽天三木谷社長、ケンコーコム後藤社長と共同

東京都知事選への動き:•都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート実施

-都知事選候補者へ向けて都政におけるネット活用やインターネット規制についてアンケート

MIAUの最近の主な活動(国内)一般社団法人インターネットユーザー協会Movements for the Internet Active Users

ACTA(模倣品海賊版拡散防止条約)への動き:•秘密交渉へ反対し、公開された英語条文を独自に日本語翻訳し公開•ニコニコ生放送を用いて解説番組を放送•ACTA東京ラウンドの非公式協議に参加。•国会による承認前に民主党議員グループの求めで院内勉強会を開催

TPPへの動き:•「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」(thinkTPPIP)を立ち上げ

- TPP交渉の透明化及びIP Chapterへの反対(TPP全体への反対ではない)•ニュージランドで開催された「NZ Digital Rights Camp」に参加

-海外との国際連携を深める-TPP交渉ニュージランドラウンドの取材

MIAUの最近の話題一般社団法人インターネットユーザー協会Movements for the Internet Active Users

TPPPRISM 米国NSAのインターネット通信傍受問題個人情報保護法とプライバシー 個人情報の共同利用問題・マイナンバー制度児童ポルノ禁止法改正問題・都条例問題 表現規制・ブロッキング出版社への権利付与問題 電子出版権・出版社へ著作隣接権を付与?ネットリテラシー教育 高校生・大学生・オトナに向けてのリテラシー教育

Access to Knowledge

ご清聴、ありがとうございました!