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広がる食料の輸出規制

2008/04/25

農政ジャーナリストの会

穀物高騰と自給率に関する研究会

山田優(会員)

食料輸出規制との「出会い」

2004年、ミャンマー、ベトナム、インド、中国

訪問

「米は政治そのものなんだよ」

昨年夏からぼちぼち。埋もれた外電報道

07/11/03穀物輸出規制広がる報道

食料報道の激増

「FOOD PRICE」

でグーグルのニュースサイトを検索したら47340件

(08/04/20)

基準=物差しを何に置くのか

さまざまな「相場」が共存

1. 米国農務省

2. 国連食糧農業機関(FAO)

3. CBOTの価格

4. タイ米バンコク港渡し価格

5. 国際穀物理事会(IGC)

6. IMF Primary Commodity Prices

7. OECD,民間

USDAの統計

多くの作物で、デファクト・スタンダード

FASネットワークで資料を収集

過去数年で大リストラ

「USDA ERS Briefing room」で検索

米国版「めぐる情勢」のブリーフィングルーム

PSDが基本http://www.fas.usda.gov/psdonline/psdhome.aspx

伊東正一研究室(九州大学 農政学 食料)

Apr 11 2008 | Thailand | Weekly Rice Price UpdateTH8055 | View the Acrobat version | Download the MS Word version Highlight:Domestic and export prices increased by around 20 percent as exportablesupplies remain tight. This week the government decided not to releaseintervention stocks into the domestic market, and is expected to wait untilthe second-crop harvest is nearly complete by June or July.

Apr 4 2008 | Thailand | Weekly Rice Price UpdateTH8052 |

Mar 28 2008 | Thailand | Weekly Rice Price UpdateTH8050 |

Mar 25 2008 | Thailand | AnnualTH8048 |

Mar 21 2008 | Thailand | Weekly Rice Price UpdateTH8046 |

Mar 18 2008 | Thailand | Soybean Meal Tariff Reduction ProposedTH8042 |

Mar 14 2008 | Thailand | Weekly Rice Price UpdateTH8038 |

Mar 7 2008 | Thailand | Weekly Rice Price UpdateTH8036 |

在バンコク米大使館農務官報告

主要国における穀物等(コメを除く)のナショナリズムの動き 2008年4月22日

国 種類 措置の内容 適用期間 備考 国 種類 措置の内容 適用期間 備考

穀物・製粉(84品目:小麦、トウモロコシ、大豆等)

輸出税還付(VAT export rebate)の廃止

07/12月~ 小麦、トウモロコシ 輸出禁止 07/8月~08/3月

穀物・製粉(57品目:小麦、トウモロコシ、大豆、でん粉等)

輸出税(小麦20%、トウモロコシ・大豆5%、でん粉25%)

08/1月~12月 小麦粉、ひき割りトウモロコシ 輸出割当(22.3万トン) 07/11月~08/3月

穀物・製粉 輸出割当 08/1月~ サウジアラビア 大麦 輸入補助金の引上げ 08/3月~水の問題から小麦の購入価格の

韓国 小麦、トウモロコシ、大豆 輸入関税(1~2%)の引下げ 08/1月~6月 小麦 関税の引下げ(130%→8%) 07/12月~

台湾 小麦・小麦粉 関税撤廃(08/4月に実施見込み) 07/8月~08/8月 トウモロコシ、大豆、大麦、ソルガムは実施済み トウモロコシ 関税の引下げ(130%→35%) 07/12月~

モンゴル 小麦・小麦粉 輸入付加価値税の撤廃 08/1月~ 大麦 関税の引下げ(100%→0%) 07/12月~

小麦 関税(5%)の撤廃 ブラジル 小麦 関税(10%)撤廃 08/6月までメルコスール原産(0%)以外の小麦

大豆 関税(10%)の停止 アルゼンチン 小麦、トウモロコシ、大豆 輸出税 07/11月~ 小麦28%、トウモロコシ

小麦・小麦製品 輸出禁止 07/2月~(無期限) メキシコ トウモロコシ、豆類、砂糖、生乳 NAFTA下での完全自由化 08/1月~

小麦 最低生産者価格の引上げ 08/08年度の小麦 小麦・小麦製品、トウモロコシ、食肉等 関税撤廃 08/5月まで

小麦 民間輸入分の関税撤廃 無期限 穀物、食肉 輸出禁止

パキスタン 小麦・小麦粉 輸出税(35%) 07/9月~・民間によるアフガニスタン輸出を禁止中・小麦の支持価格を23%引上げ

ペルー 小麦、トウモロコシ、すべての穀物粉 輸入関税(17~25%)の撤廃

豪州 飼料穀物 輸入許可(緊急措置) 07/11月に公表 出展:FAO,Crop Prospects and Food Situation, April 2008; IGC, Grain Market Report, 20 March 2008 等

EU 穀物(オート麦、蕎麦、雑穀を除く) 関税停止 08/1月~6月

輸出税(小麦10%、大麦30%) 07/11月~08/6月

輸出税(小麦40%、大麦30%) 08/1月~4月

小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦 07/11月~08/3月

小麦、大麦 07/11月~08/4月(延長)

トウモロコシ 輸出割当から除外 08/3月~08/6月まで

輸出量の2割を国内販売に 07/10月~

輸出禁止 08/4月~08/9月まで

小麦等の最低買入価格の引き上げ、農業資材補助金を創設

セルビア

トルコ

ボリビア

中国

インド

ウクライナ

小麦

インドネシア

・割当数量を2008年3月から240~290万トンに拡大することを検討中(IGCによれば、割当枠は拡大され、2008年6月1日まで再延長)・小麦、ライ麦粉については、価格管理品目に追加

することを検討中

輸出割当(120万トン)

カザフスタン

ロシア 小麦、大麦

主要国の食料輸出入コントロール

ウクライナの輸出規制1

ウクライナの輸出規制2 2007年9月の小麦相場急騰の立役者

旧ソ連の小麦生産量は9600万㌧

ウクライナは1500万㌧、ロシアは4500万㌧

07年7月1日、輸出割当制度を導入

10月1日まで小麦輸出を3000㌧に制限

「事実上の輸出ストップ」とUSDA(07/07/04)

副首相は「近日中に解禁」。しかし…

9月30日の繰り上げ最高議会選挙

「肉や野菜ならばOK、しかし穀物は別」

アジアの米 世界の米生産の9割はアジア

世界の米消費の9割もアジア

資料は2008年2月にフィリピンで開催した米政策フォーラムで配布されたもの

米の占める摂取カロリーの割合

IRRI http://www.irri.org/science/ricestat/

第2次大戦後に自給色強める米

近年拡大する米貿易

緑の革命の天井感?

ハイブリッドライスの挫折

中国で1990年代に開発普及

アジア各国でも政府主導で導入

中国では5割、ベトナム9%、フィリピン6%

種苗代の補助で増産呼びかけ

しかし、現場は...

90年代後半から米政策の転換

おいしくないと敬遠

GM米の展望

インドの米政策

インドの米配給制度は世界最大

FCIが米、小麦を買い上げる=PDS

1997年に貧困層に焦点=TPDS

貧困家庭は35キロの米か小麦を配給 8200万世帯

最貧困層を対象に2000年に発足

2000万世帯でさらに割安な米配給

インドの米輸出規制の変遷19881988--9191米輸出は許可制

19971997--9797原則自由、最低輸出価格制度と数量制限も

19971997--自由

米輸出振興MEPの撤廃在庫義務の緩和輸出課徴金の停止2000年以降は輸出補助金

バングラディシュ国境で混乱

2月インド西ベンガル州の都市でトラックが渋滞

300台が税関前で待機

インド通産省の公告

輸出規制は公式には存在しないはず

「国民に配給するのに十分な在庫がなければ、輸出を規制するのは当然のことだ」

インドの禁輸がアフリカのバイヤーを直撃

パーボイル米の暴騰

インドが米輸出禁止を発動

1)バスマチ米は$9002)非バスマチ米は$6503)次の4つの港に限定

3月7日に商務省が公告

ベトナムの輸出規制 2007年夏から輸出契約にブレーキ

「輸出契約したものを禁じてはいない」

計画数量を上回らないように「依頼」

「年明けに解禁の見通し」

「ベトナムはWTO加盟し規制緩和しているが、米は特別」「食料安全保障が大切」

輸出業者は「輸出をしたい」

400万トンの上限(首相)

カンボジア、インドネシア、エジプト...

カンボジア、エジプトは3月から輸出規制

インドネシアも4月から

パキスタンでも議論が進行中

オーストラリアは事実上の規制かつて160万トンを輸出していたのが1.5万トン「120万トン体制は可能」と地元

タイは大丈夫なのか

世界の米貿易の3分の1を支える

「記録的高騰の中でタイは輸出を抑制するつもりはない。もし規制したら、タイは世界の台所という地位を失うだろう」。4月22日の記者会見で、タイのスントラウェート首相は輸出規制の可能性を否定

「タイが米輸出を絞ったらたいへんなことに」

しかし、現実には輸出が急減している

タイ米輸出減のメカニズム

輸出契約時期輸出契約時期輸出価格$500 国内手当て$400=$100の儲けで契約

国際相場の高騰、国内相場の高騰国際相場の高騰、国内相場の高騰輸出価格$600 国内手当て$600=儲けなし国内需給逼迫+ドル安国内業者の売り渋り

事実上のデフォルトが進行事実上のデフォルトが進行中小輸出業者は船積みの遅れ、再交渉も

様子見モードに突入様子見モードに突入「6月ぐらいまでは手当てはしているが、その後は国内

需給によってはゼロの可能性?」

予測される事態

米生産は拡大するカンボジア、ミャンマーなど増産可能

需要は減少するすでにアフリカが買い負けモード

在庫の積み増しに時間根本的な原因の在庫率を上げる

消費量の長期的な動向むしろ、過剰?トウモロコシ、小麦高なら代替需要

日本???????????????