Post on 11-Aug-2020
39
ここでは、年齢層別での比較や乳幼児、就学区分、成人、高齢者などの年齢区分ごとに
事故の傾向や事故の要因等を取り上げています。
平成29年中の救急搬送人員を年齢層別にみると、70代が 2 万人、80代が3万人を
超え、多く救急搬送されています。また、若い年代をみると9歳以下が12,415人と
多く救急搬送されています(図3ー1)。
第3部 年齢からみた事故
図 3-1 年齢層別救急搬送人員
40
1 年齢層別での比較
(1) 年別搬送人員での比較
過去5年間の救急搬送人員を比較すると、9 歳以下から70代はほぼ横ばいで推移している
一方で、80代、90歳以上では増加傾向にあります。80代については毎年1,000人以
上のペースで増加しています(図3-2から図3-11)。
11,828 12,210 12,342 12,726 12,415
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=61,521
6,027 6,133 6,106 6,063 5,940
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=30,269
8,692 8,821 8,564 8,436 8,284
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=42,797
8,342 7,979 7,843 7,378 7,058
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=38,600
9,311 9,746 9,574 9,238 9,123
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=46,992
9,538 10,055 10,154 10,411 10,801
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成28年2
救急搬送人員(人)
n=50,959
図 3-2 9歳以下 図 3-3 10代
図 3-4 20代 図 3-5 30代
図 3-6 40代 図 3-7 50代
41
20,80322,003 21,672 22,044
22,917
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=109,439
25,001
27,07328,517
30,294
32,935
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=143,820
8,4709,101
9,72911,051
12,408
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=50,759
14,505 14,242 14,246 14,515 14,332
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=71,840
図 3-9 70代
図 3-10 80代 図 3-11 90歳以上
図 3-8 60代
42
(2) 事故種別(その他、不明を除く)ごとの比較
事故種別(その他、不明を除く)ごとに比較すると、「ころぶ」事故の割合は年齢層が上が
るにつれて増加しており、50代から全体の6割以上を占めています。「落ちる」事故では9
歳以下が約3割を占めています。「切る・刺さる」事故では20代と30代が1割以上を占め
ています。「ものがつまる等」の事故については、9歳以下では1割以上を占めています(図
3-12から図3-21)。
ころぶ
2,060人
38.5%
落ちる
952人
17.7%
ぶつかる
925人
17.2%
ものがつまる等
125人
2.3%
切る・刺さる
741人
13.8%
はさむ・はさまれる
321人
6.0%
やけど
172人
3.2%
かまれる・刺される
67人
1.2% おぼれる
5人
0.1%
n=5,368
ころぶ
2,216人
46.4%
落ちる
884人
18.5%
ぶつかる
641人
13.4%
ものがつまる等
86人
1.8%
切る・刺さる
500人
10.5%
はさむ・はさまれる
268人
5.6%
やけど
111人
2.3%
かまれる・刺される
68人
1.4% おぼれる
7人
0.1%
n=4,781
ころぶ
3,617人
54.0%落ちる
1,289人
19.3%
ぶつかる
670人
10.0%
ものがつまる等
136人
2.0%
切る・刺さる
515人
7.7%
はさむ・はさまれる
259人
3.9%
やけど
112人
1.7%
かまれる・刺される
88人
1.3%
おぼれる
5人
0.1%
n=6,691
ころぶ
5,647人
63.7%
落ちる
1,654人
18.6%
ぶつかる
605人
6.8%
ものがつまる等
163人
1.8%
切る・刺さる
344人
3.9%
はさむ・はさまれる
254人
2.9%
やけど
99人
1.1%
かまれる・刺される
96人
1.1%
おぼれる
13人
0.1%
n=8,875
ころぶ
1,610人
37.3%
落ちる
623人
14.5%
ぶつかる
1,468人
34.1%
ものがつまる等
66人
1.5%
切る・刺さる
296人
6.9%
はさむ・はさまれる
122人
2.8%
やけど
69人
1.6%
かまれる・刺される
51人
1.2%
おぼれる
5人
0.1%
n=4,310
ころぶ
3,314人
31.4%
落ちる
3,092人
29.2%
ぶつかる
1,481人
14.0%
ものがつまる等
1,287人
12.1%
やけど
522人
4.9%
はさむ・はさまれる
511人
4.8%
切る・刺さる
278人
2.6%
かまれる・刺される
78人
0.7%おぼれる
33人
0.3%
n=10,596
図 3-17 50代
図 3-12 9歳以下 図 3-13 10代
図 3-14 20代 図 3-15 30代
図 3-16 40代
43
ころぶ
9,392人
86.0%
落ちる
911人
8.3%
ぶつかる
125人
1.1%
ものがつまる等
360人
3.3%
切る・刺さる
19人
0.2%
はさむ・はさまれる
24人
0.2%
やけど
11人
0.1%かまれる・
刺される
11人
0.1%おぼれる
81人
0.7%
n=10,934人
ころぶ
24,703人
84.9%
落ちる
2,541人
8.7%
ぶつかる
464人
1.6%
ものがつまる等
747人
2.6%
切る・刺さる
137人
0.5%
はさむ・はさまれる
118人
0.4%
やけど
51人
0.2%
かまれる・
刺される
48人
0.2%おぼれる
250人
0.9%
n=29,059
ころぶ
8,859人
72.2%
落ちる
1,975人
16.1%
ぶつかる
517人
4.2%
ものがつまる等
234人
1.9%
切る・刺さる
261人
2.1%
はさむ・はさまれる
188人
1.5%
やけど
82人
0.7%
かまれる・刺される
111人
0.9%
おぼれる
46人
0.4%
n=12,273
ころぶ
15,951人
79.7%
落ちる
2,347人
11.7%
ぶつかる
487人
2.4%
ものがつまる等
476人
2.4%
切る・刺さる
224人
1.1%
はさむ・はさまれる
154人
0.8%
やけど
81人
0.4%
かまれる・刺される
91人
0.5%
おぼれる
167人
0.8%
n=19,978
図 3-18 60代 図 3-19 70代
図 3-20 80代 図 3-21 90歳以上
44
(3) 時間帯別での比較
時間帯別に比較すると、9歳以下では17時から20時までの時間帯で1,000人以上が
救急搬送されています。10代では日中が多くなっており、20代から50代にかけては夜間
に増加しています。60代では夜間に加えて、日中でも多く救急搬送されています。70代か
らは60代と比較して夜間の救急搬送が減少し、日中に多く救急搬送されています(図3-2
2から図3-31)。
10768
37 26 20 3070
227
334397
497571
683
829 845 866
9721,038
1,108
1,186
1,062
791
439
212
0
200
400
600
800
1,000
1,200
n=12,415
7652 41 33 30 29 36
94
139
215
364402
449
532494 498
515 526
378
306 297
182151
101
0
100
200
300
400
500
600
救急搬送人員(人)
n=5,940
図 3-23 10代
図 3-22 9歳以下
45
473
358
237217 207 221
171
223
275308 314
351 360341
372339 349 353
337
451476
513 516 522
0
100
200
300
400
500
600
救急搬送人員(人)
n=8,284
358
296
214191
146 156 147
198
255 269 277 278303 294
327 315 311 317 313
364383
443 452 451
0
100
200
300
400
500
600
救急搬送人員(人)
n=7,058
528
356
225203
135158
216
326
436 440 457492 498
448
511484 499
458
516
585628
760 745
697
0
100
200
300
400
500
600
700
800
救急搬送人員(人)
n=10,801
464
343
249221
157 156197
261
363 343393
424382 401 395 400 405
372421
451
552 574604 595
0
100
200
300
400
500
600
700
800
救急搬送人員(人)
n=9,123
図 3-24 20代
図 3-25 30代
図 3-26 40代
図 3-27 50代
46
511
321
259
191 185209
275
382
560
671
739712
756781
758 753 740 720
813
738
800
895860
703
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1,000
救急搬送人員(人)
n=14,332
490
374
269 242 243
334
448
692
996
1,329
1,4571,489
1,3881,419
1,348
1,421 1,396
1,3801,307
1,195
1,0641,041
842
753
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
n=22,917
191 177 160 155190 216
326
535
761
1,120
985916
777
683 676 663 679 667 658
549
401365
310248
0
200
400
600
800
1,000
1,200
救急搬送人員(人)
n=12,408
538375 374 344 393
515
876
1,152
1,780
2,4612,489
2,297
2,1272,116
2,1272,117 2,038
2,001
1,6661,515
1,185
981858
610
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
救急搬送人員(人)
n=32,935
図 3-28 60代
図 3-29 70代
図 3-30 80代
図 3-31 90歳以上
47
2 年齢区分からみた事故
⑴ 0歳~5歳(乳幼児)の事故
① 0歳~5歳
ア 年別搬送人員
0歳から5歳の乳幼児の事故で、平成25年から平成29年までの5年間に48,
396人が救急搬送されています。平成29年は、昨年より減少し9,642人が
救急搬送されています(図 3-32)。
イ 年齢別搬送人員
平成29年中の乳幼児の事故を年齢別にみると、1歳児の救急搬送人員が2,
486人と最も多く、次いで2歳児が2,000人となっています(図 3-3
3)。
9,306 9,629 9,829 9,990 9,642
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=48,396
1,675
2,486
2,000
1,510
1,103
868
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
0歳 1歳 2歳 3歳 4歳 5歳
救急搬送人員(人)
n=9,642
図 3-32 年別の救急搬送人員
図 3-33 年齢別救急搬送人員
48
ウ 時間帯別搬送人員
時間帯別では、18時台から20時台に多く救急搬送されています(図 3-34)。
エ 発生場所別搬送人員
乳幼児の事故の発生場所の約7割は、住宅等居住場所となっています(図 3-35)。
9154 33 22 20 25
56
179
274
340 363
440
526
616 603 608 622
775
873
1,010
886
675
372
179
0
200
400
600
800
1,000
1,200
救急搬送人員(人)
n=9,642
住宅等居住場所
6,766人
70.2%
道路・交通施設
1,068人
11.1%
店舗・遊技施設等
669人
6.9%
公園・遊園地・運動場等
617人
6.4%
学校・児童施設等
305人
3.2%
会社・公共施設等
66人
0.7%
医療施設
50人
0.5%
その他(不明含む)
101人
1.0%
n=9,642
図 3-34 時間帯別救急搬送人員
(人)
図3-35 発生場所別救急搬送人員
49
オ 事故種別ごとの搬送人員
乳幼児の事故でもっとも多いのは「落ちる」事故で、2,519人が救急搬送
されています。初診時程度で中等症以上の割合が最も高いのは「おぼれる」事故
で、5割と突出して高くなっています。また、「やけど」でも約2割が中等症以上
と診断されています(図 3-36)。
事故種別 落ちる ころぶものがつまる等
ぶつかる やけどはさむ・はさまれる
切る・刺さる
かまれる・刺される
おぼれる
救急搬送人員 2,519人 2,371人 1,214人 956人 452人 386人 209人 46人 28人
中等症以上の割合 12.1% 7.7% 9.5% 7.3% 19.0% 9.1% 7.2% 4.3% 50.0%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
図 3-36 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
50
カ 年齢ごとにみる特徴的な事故の変化
乳幼児は日々成長し、昨日出来なかったことが、今日は出来るようになってい
るかもしれません。子供の発達を知り、その時期に起こりやすい事故を知り対策
をとることで、重大な事故を防ぐことが出来ます。
階段(86人)や道路(62人)で「ころぶ」事故が多く発生しています。また、2歳児と同
じく、自転車の補助イス(58人)から「落ちる」事故も多く発生しています。ビー玉類(3
1人)やアメ玉類(30人)など「誤って飲み込む」事故が発生しており、誤飲にはまだ注意
が必要です。自転車(42人)のスポークなどに足や手指などを「はさむ・はさまれる」事故
も多く発生しているのも、特的徴です。
ベッド(153人)やソファ(52人)といった家具や、人(66人)などから「落ちる」事
故が多く発生しています。また、包み・袋(122人)やタバコ(69人)、玩具(31人)
を「誤って飲み込む」事故も多く発生しており、なんでも口に入れてしまう特徴がみてとれま
す。また、乳幼児用のミルク(14人)でも、窒息してしまう事故が発生しています。
一人歩きを始める頃で、階段(164人)、椅子(126人)やベッド(49人)などの家具
から「落ちる」事故やその他の家具(49人)、机・テーブル(36人)に起因する「ころぶ」
事故、「ぶつかる」事故が多く発生しています。
その他にも、手動ドア(50人)に「はさむ・はさまれる」事故、タバコ(52人)、薬剤等
(28人)を「誤って飲み込む」事故、熱湯(53人)などによる「やけど」事故など、様々
な事故が発生しています。
「ころぶ」事故が多く発生しており、1歳児と同じくその他の家具(47人)、机・テーブル
(44人)などの家具類に起因する「ころぶ事故」が多く発生しているのが特徴的です。「落
ちる」事故では、自転車の補助イス(52人)も多く発生しています。また、「ぶつかる」事
故、手動ドア(31人)に「はさむ・はさまれる」事故も多く発生しています。歯ブラシ(1
3人)に起因する「切る・刺さる」事故も発生しており、注意が必要です。
3歳
|
5歳
2歳
1歳
0歳
51
② 0歳
ア 事故種別ごとの搬送人員
0歳児に最も多いのは「落ちる」事故で513人が救急搬送されています。「おぼれ
る」事故は、中等症以上となる割合が3割以上と最も高く、「やけど」事故、「ころぶ」
事故、「はさむ・はさまれる」事故、「かまれる・刺される」事故でも1割以上が中等
症以上と診断されています(図 3-37)。
イ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
0歳児に最も多い事故は、ベッドから落ちる事故で153人が救急搬送されていま
す。「ものがつまる」等の事故ではお菓子の袋やペットボトルのラベルなどの「包み・
袋」の誤飲による事故が多く発生しています。また、「タバコ」の誤飲も上位となっ
ています(表1)。
事故種別 落ちるものがつまる等
やけど ころぶ ぶつかるはさむ・はさまれる
切る・刺さる
かまれる・刺される
おぼれる
救急搬送人員 513人 471人 131人 97人 63人 15人 17人 10人 9人
中等症以上の割合 11.7% 7.6% 19.1% 10.3% 4.8% 13.3% 5.9% 20.0% 33.3%
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
0
100
200
300
400
500
600
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
種別
順位落ちる
ものがつまる等
やけど ころぶ ぶつかるはさむ・はさまれる
切る・刺さる
かまれる・刺される
おぼれる
ベッド 包み・袋 ポット・魔法瓶 その他の家具 人 手動ドア ハサミ・爪切り 動物等 浴槽
153人 122人 27人 10人 9人 4人 7人 9人 9人
人 タバコ 熱湯 椅子 机・テーブル ベッド ガラス瓶 虫
66人 69人 26人 7人 8人 3人 2人 1人
ソファ その他の玩具 味噌汁・スープ 机・テーブル その他の家具 鉄道車両のドア ガラス片
52人 31人 23人 6人 7人 1人 1人
椅子 ミルク(乳児用) お茶・コーヒー類 その他の玩具 椅子 椅子 フォーク
48人 14人 20人 4人 4人 1人 1人
階段 薬剤等 メン類 ベビーカー 手動ドア その他の玩具 耳掻き・綿棒
47人 9人 5人 3人 2人 1人 1人
4位
5位
1位
2位
3位
図 3-37 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
表1 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
52
ウ 0歳の事故事例
【事例1 ベビーベッドから転落】
音がしたので親が駆け付けたところベビーベッドから落ちて泣いていた。
(6か月 中等症)
【事例2 タバコを誤って飲み込む】
テーブルの上に置いてあった電子タバコを誤飲し、その後嘔吐した。
(7か月 中等症)
【事例3 目を離した隙に浴槽でおぼれる】
親が子供を浴槽のフタに置き、その場を離れた隙に浴槽内で溺れた。
(6か月 重症)
【事故防止ポイント】
ベッドやソファ、階段などから「落ちる」事故は、0歳児に多く発生しています。
昨日まで出来なかった寝返りが、今日出来るかもしれません。目を離すときはベビ
ーベッドの柵を上げましょう。また、高い所に寝かせないようにしましょう。
階段の上下には、転落防止用の柵等をつけましょう。
【事故防止ポイント】
子供が飲み込めそうなものが子供の手の届くところにないように、日頃から整理
整頓をこころがけましょう。早い子では、5か月頃から「物をつかむ」、つかんだら
「口に入れる」行動が見られます。乳幼児は、トイレットペーパーの芯(39mm)
を通る大きさのものなら、口に入れてしまい飲み込む危険性があります。
【事故防止ポイント】
おぼれの事故は重症化しやすいため、十分気を付けましょう。また、幼児は水深が
浅くてもおぼれる可能性があるため、わずかな時間でも目を離さないようにしまし
ょう。
53
③ 1歳
ア 事故種別ごとの搬送人員
1歳になると、歩く、走る、といった行動が出来るようになる時期なので、0歳に
比べ、「ころぶ」事故が多くなります。「おぼれる」事故は、中等症以上となる割合が
最も高く、「やけど」事故でも2割以上が中等症以上と診断されています(図3-38)。
イ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
階段から「落ちる」事故が多く発生しています。また、熱湯による「やけど」事故
も多く発生しています(表2)。
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
40.0%
45.0%
0
100
200
300
400
500
600
700
800
総計 中等症以上の割合
事故種別 落ちる ころぶものがつまる等
ぶつかる やけどはさむ・はさまれる
切る・刺さる
かまれる・刺される
おぼれる
救急搬送人員 676人 537人 349人 198人 178人 121人 76人 5人 5人
中等症以上の割合 9.2% 7.1% 7.7% 6.6% 20.8% 9.9% 9.2% 0.0% 40.0%
種別
順位落ちる ころぶ
ものがつまる等
ぶつかる やけどはさむ・はさまれる
切る・刺さる
かまれる・刺される
おぼれる
階段 その他の家具 タバコ 机・テーブル 熱湯 手動ドア 歯ブラシ 動物等 浴槽
164人 49人 52人 38人 53人 50人 19人 5人 5人
椅子 机・テーブル その他の玩具 その他の家具 味噌汁・スープ エレベーター ナイフ
126人 36人 37人 22人 33人 18人 17人
ベッド 椅子 薬剤等 椅子 ポット・魔法瓶 鉄道車両の戸袋 ハサミ・爪切り
49人 31人 28人 17人 22人 8人 13人
ベビーカー 階段 包み・袋 手動ドア お茶・コーヒー類 自転車 耳掻き・綿棒
49人 29人 21人 14人 22人 7人 8人
ソファ 道路 電池 ベッド カップ麺 椅子 食器類
47人 23人 21人 10人 13人 5人 5人
4位
5位
1位
2位
3位
図 3-38 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
表2 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
54
ウ 1歳の事故事例
【事例1 椅子からおちる事故】
高さ約60センチメートルの椅子からフローリングの床に転落し、嘔吐が継続した。
(1歳 中等症)
【事例2 ボタン電池の誤飲】
親が片付けをしていたところ電池のカバーが外れたおもちゃを発見し、ボタン電池
が 1 つ見当たらなかった。(1歳 中等症)
【事例3 歯ブラシが刺さった事故】
歯ブラシを口に咥えたまま布団の上で転倒し、口と鼻から出血した。(1歳 中等症)
【事例4 電車の戸袋にはさまれる事故】
電車乗車中にドアを触っていたところ、ドアが開き左腕が戸袋に挟まれた。
(1歳 中等症)
【事故防止ポイント】
子供が飲み込めそうなものは、子供の手の届くところに置かないようにしましょう。
ボタン電池は食道にとどまると大変危険です。分の単位で食道の粘膜がただれはじ
め、中には大動脈まで穴が開いて死亡することもあります。
【事故防止ポイント】
1 歳児は 0 歳児と比べ、活発に動くようになります。椅子に座らせる時は、チェア
ベルト等を活用するなどし、大きな事故にならないように工夫しましょう。
【事故防止ポイント】
歯ブラシを口に入れたまま、歩いたり走ったりさせないようにしましょう。過去に
は口腔内に刺さる事例も発生しています。
不安定な場所で歯みがきをしていて、転落した事例もあることから、椅子や踏み台
等に乗った状態で歯みがきさせないようにしましょう。
歯みがき中に人や物と接触し、受傷するケースも多くあるため、歯みがき中は保護
者が付き添い、周囲にも注意を払いましょう。
【事故防止ポイント】
電車のドアが開く際に子供がドアに触れないようにするため、ドアから離れた所に
立つなど十分注意しましょう。保護者が抱っこしている時に子供の手や足が戸袋に引
き込まれる事故も発生しています。骨折などの大きな事故につながっている事例もあ
ります。
55
④ 2歳
ア 事故種別ごとの搬送人員
「ころぶ」事故、「落ちる」事故に次いで、「ぶつかる」事故が多く発生しています。
「おぼれる」事故は、中等症以上となる割合が最も高く、「落ちる」事故、「ものがつ
まる等」の事故、「やけど」事故でも1割以上が中等症以上と診断されています(図3
-39)。
イ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
2歳児では、1歳児と同様に、階段から「落ちる」事故が多く発生しています。運
動機能が発達し、自由に動き回れるようになってくるため、家の中を走り回って、家
具等に「ぶつかる」事故も発生しています(表3)。
種別
順位ころぶ 落ちる ぶつかる
ものがつまる等
はさむ・はさまれる
やけど切る・刺さる
おぼれるかまれる・刺される
その他の家具 階段 机・テーブル その他の玩具 手動ドア 熱湯 歯ブラシ 浴槽 動物等
47人 132人 28人 20人 31人 13人 13人 6人 3人
机・テーブル 椅子 その他の家具 薬剤等 鉄道車両の戸袋 味噌汁・スープ ハサミ・爪切り
44人 66人 26人 15人 7人 11人 11人
階段 自転車の補助イス ベッド 菓子 椅子 カップ麺 ナイフ
42人 52人 14人 13人 6人 11人 10人
椅子 ソファ 手動ドア 魚等の骨 エレベーター ポット・魔法瓶 耳掻き・綿棒
26人 40人 13人 12人 6人 5人 5人
道路 人 椅子 ビー玉類 自転車 お茶・コーヒー類 食器類
21人 34人 11人 9人 4人 4人 2人
4位
5位
1位
2位
3位
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
0
100
200
300
400
500
600
700
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
事故種別 ころぶ 落ちる ぶつかるものがつまる等
はさむ・はさまれる
やけど切る・刺さる
おぼれるかまれる・刺される
救急搬送人員 573人 538人 223人 154人 86人 59人 55人 6人 3人
中等症以上の割合 5.8% 11.0% 5.4% 16.9% 7.0% 18.6% 5.5% 50.0% 0.0%
図 3-39 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
表3 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
56
ウ 2歳の事故事例
【事例1 ころぶ事故】
椅子につまづいて前のめりに転倒し、テーブルの角に前額部をぶつけ、額から出血し
た。(2歳 中等症)
【事例2 薬の誤飲】
親の鞄の中をいじっており、気付いた親が確認したところ、鞄の中に入っていた薬を
子供が誤って飲んでしまった。(2歳 中等症)
【事例3 ドア開閉時のはさまれる事故】
自宅の鉄製扉の蝶番部分に右手の小指を挟んで指を切断した。(2歳 中等症)
【事故防止ポイント】
医薬品は、子供の手の届くところに置かないようにしましょう。
医薬品は、薬理作用があるため、保管や管理には細心の注意を払いましょう。
シロップ等、子供が飲みやすいように味付けしてあるものは、冷蔵庫に入れておい
ても、自ら取り出して飲んでしまうことがあるため、保管・管理には十分注意しまし
ょう。
【事故防止ポイント】
子供がころぶことは自然なことです。机の角等の尖った部分は保護しておくなど、
大きな事故につながらないように工夫しましょう。
【事故防止ポイント】
子供の「はさまれ」の原因で一番多いのは「手動ドア」です。子供の手や足は大人
より小さく、狭い隙間でも入ってしまいます。指の切断に至ることもあるのでドアの
開閉時は、注意しましょう。
ドアの蝶番側は、指はさみを防止するグッズなどでカバーすることも事故防止に効
果的です。
57
⑤ 3歳~5歳
ア 事故種別ごとの搬送人員
3歳から5歳では、「ころぶ」事故が最も多くなっています。「おぼれる」事故、「落
ちる」事故、「ものがつまる等」の事故、「やけど」事故は、1割以上が中等症以上と
診断されています(図3-39)。
イ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
3~5歳児では、ビー玉がつまる事故が多く発生しています(表4)。
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
種別
順位ころぶ 落ちる ぶつかる
ものがつまる等
はさむ・はさまれる
切る・刺さる
やけどかまれる・刺される
おぼれる
階段 階段 その他の家具 ビー玉類 手動ドア ハサミ・爪切り 味噌汁・スープ 虫 浴槽
86人 134人 55人 31人 51人 16人 19人 22人 6人
机・テーブル 椅子 机・テーブル その他の玩具 自転車 ナイフ 熱湯 動物等 プール
79人 72人 51人 30人 30人 11人 16人 6人 2人
道路 ソファ 手動ドア アメ玉類 鉄道車両の戸袋 耳掻き・綿棒 お茶・コーヒー類
62人 58人 26人 30人 11人 9人 10人
椅子 自転車の補助イス 壁・天井 魚等の骨 エレベーター 歯ブラシ カップ麺
61人 58人 26人 28人 7人 7人 9人
その他の家具 ベッド ぶらんこ 薬剤等 自動車のドア ガラス片 メン類
53人 44人 19人 14人 5人 3人 6人
4位
5位
1位
2位
3位
事故種別 ころぶ 落ちる ぶつかるものがつまる等
はさむ・はさまれる
やけど切る・刺さる
かまれる・刺される
おぼれる
救急搬送人員 1,164人 792人 472人 240人 164人 84人 61人 28人 8人
中等症以上の割合 8.8% 15.8% 8.9% 10.8% 9.1% 15.5% 6.6% 0.0% 75.0%
図 3-40 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
表4 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
58
ウ 3歳~5歳の事故事例
【事例1 つまづいてころぶ】
自宅内で走っていたところ、掃除機につまづいて転倒しソファに額をぶつけた。
(5歳 中等症)
【事例2 窓からの墜落】
窓下部のベッドに乗っていたところ、網戸と共に地上へ墜落した。(3歳 中等症)
【事例3 熱湯でやけど】
テーブルの上のラーメンに手をかけ、どんぶり半分程の熱湯をかぶった。
(3歳 重篤)
【事故防止ポイント】
墜落事故は重大事故につながる可能性が高い事故の一つです。
窓からの墜落のほか、ベランダに置いてあったイスや室外機にのぼり、誤って墜落
する事故も発生しています。
ベランダや窓の近くには子供がよじのぼれるものを置かないようにしましょう。
【事故防止ポイント】
3歳になると運動能力も高くなり行動範囲が広がっています。危険や安全の判断が
まだ十分にできていませんので、危険な行動は繰り返し教えてあげましょう。
【事故防止ポイント】
やけどの恐れのあるものは、子供の手の届くところに置かないようにしましょう。
テーブル上に置かれた熱いものが入った容器を乳幼児が引き寄せ、やけどを負う事故
が多く発生しています。テーブルの隅など、乳幼児の手の届きやすいところに熱いもの
は絶対に置かないようにしましょう。
59
⑵ 6歳~12歳(小学生)の事故
ア 年別搬送人員
小学生の年代では、平成29年中に4,398人が救急搬送されています(図 3-
41)。
イ 月別搬送人員
月別では、4月から7月に多く搬送されています(図 3-42)。
690 730 723 806 831
688 664 676 718 752
585 601 618663 590
559 586 496549 600
540 556 536592 561
596 579 572525 530
553 608 591554 534
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
5,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
12歳
11歳
10歳
9歳
8歳
7歳
6歳
4,211 4,3984,324 4,2124,407
265290
356
433455
488507
275
339 335 340315
0
100
200
300
400
500
600
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
救急搬送人員(人)
n=4,398
図 3-42 月別救急搬送人員
図 3-41 年別救急搬送人員(6歳~12歳)
n=21,552
60
ウ 発生場所別搬送人員
住宅等居住場所の他に学校・児童施設等が多くなっています。また、公園・遊園地・
運動場等での事故も多く発生しています(図 3-43)。
エ 事故種別ごとの搬送人員
小学生は「ころぶ」事故の次に、「ぶつかる」事故が多く発生しています。「おぼれ
る」事故の全てで中等症以上となっています。また、「落ちる」事故、「やけど」事故
は2割以上が中等症以上となっています(図 3-44)。
住宅等居住場所
1,338人
30.4%
学校・児童施設等
1,131人
25.7%
公園・遊園地・
運動場等
1,086人
24.7%
道路・交通施設
549人
12.5%
店舗・遊技施設等
157人
3.6%
会社・公共施設等
41人
0.9%
医療施設
23人
0.5%その他(不明含む)
73人
1.7%
n=4,398
事故種別 ころぶ ぶつかる 落ちるはさむ・はさまれる
切る・刺さる
ものがつまる等
やけどかまれる・刺される
おぼれる
救急搬送人員 1,460人 918人 845人 153人 132人 96人 89人 48人 7人
中等症以上の割合 16.4% 11.2% 28.3% 8.5% 8.3% 7.3% 22.5% 8.3% 100.0%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
図 3-44 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
図 3-43 発生場所別救急搬送人員
※ 事故種別が「その他」、「不明」なものを除く
61
オ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
体育館や校庭などの運動施設で転倒する事故が最も多く発生しています。子供同士
で「ぶつかる」事故も多く発生しています(表5)。
カ 6歳~12歳の事故事例
【事例1 ドライアイスの事故】
ペットボトルにドライアイスと水を入れて破裂させる遊びをしていた際、左手に持
っていたペットボトルが破裂し指を怪我した。(10代 軽症)
【事例2 滑り台から落ちる】
友達と鬼ごっこをして遊んでいた際、滑り台を降りようとし誤って約1mほど転落
し、左腕を骨折した(7歳 中等症)
種別
順位ころぶ ぶつかる 落ちる
はさむ・はさまれる
切る・刺さる
ものがつまる等
やけどかまれる・刺される
おぼれる
運動施設 人 階段 自転車 ナイフ 魚等の骨 カップ麺 虫 浴槽
267人 137人 94人 51人 33人 12人 18人 28人 7人
道路 ボール 滑り台 手動ドア 手動ドア その他の玩具 味噌汁・スープ 動物等
146人 81人 80人 21人 14人 10人 17人 20人
階段 柱 雲梯 鉄道車両の戸袋 ハサミ・爪切り アメ玉類 熱湯
87人 42人 79人 7人 9人 9人 16人
人 その他の家具 その他の遊具 植物 食器類 硬貨 ポット・魔法瓶
72人 41人 54人 6人 8人 9人 10人
公園 壁・天井 フェンス・柵・塀 自動車のドア 針・ヘアピン・釘等 菓子 お茶・コーヒー類
64人 38人 53人 3人 7人 5人 5人
4位
5位
1位
2位
3位
【事故防止ポイント】
高所からの墜落は、生命に危険を及ぼす重大な事故となることから、保護者等は、
危険性を子供に教え、理解させましょう。
小学生の年代は、運動能力の発達に加え、身長、体重、運動量、俊敏性、冒険心の
増大が事故につながっていると考えられます。危険が予測される行動も多く見られる
ことから、安全教育による事故防止も不可欠です。
表5 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
【事故防止ポイント】
ドライアイスをペットボトルに入れて遊ばないようにしましょう。
ドライアイスをペットボトルや瓶などの容器に入れて密閉することにより、容器が
破裂し破片が身体に刺さるなどのけがを負うことがあります。
62
⑶ 13歳~18歳(中学生・高校生)の事故
ア 年別搬送人員
平成29年中は、3,546人が救急搬送されています(図3-45)。
イ 月別搬送人員
月別にみると、7月が最も多く、次いで 6月、5月に多く搬送されています(図3
-46)。
593 686 687 664 637
695 667 684 645 609
514 528 517 518 541
615 621 556 605 624
545 562 604 564 569
607 528 570 566 566
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
18歳
17歳
16歳
15歳
14歳
13歳
3,5463,569 3,618 3,562
n=17,887
3,592
194214
239
316
374 377
423
338
301 292
244 234
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
救急搬送人員(人)
n=3,546
図3-45 年別救急搬送人員(13歳~18 歳)
図3-46 月別救急搬送人員
63
ウ 発生場所別搬送人員
学校・児童施設等が最も多く、次いで公園・遊園地・運動場等が多くなっていま
す(図 3-47)。
エ 事故種別ごとの搬送人員
事故種別ごとにみると、「ぶつかる」事故が最も多くなっています。「おぼれる」事
故の全てで中等症以上となっています。また、「ころぶ」事故、「落ちる」事故、「はさ
む・はさまれる」事故、「ものがつまる等」の事故は 2 割以上が中等症以上となって
います(図 3-48)。
学校・児童施設等
1,424人
40.1%
公園・遊園地・運動場等
844人
23.8%
住宅等居住場所
648人
18.3%
道路・交通施設
360人
10.2%
店舗・遊技施設等
135人
3.8%
会社・公共施設等
49人
1.4%
医療施設
22人
0.6%その他(不明含む)
64人
1.8%
n=3,546
事故種別 ぶつかる ころぶ 落ちる切る・刺さる
はさむ・はさまれる
ものがつまる等
かまれる・刺される
やけど おぼれる
救急搬送人員 936人 935人 268人 152人 75人 32人 30人 28人 2人
中等症以上の割合 18.5% 23.4% 34.0% 15.1% 24.0% 25.0% 3.3% 7.1% 100.0%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1,000
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
図 3-48 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
図 3-47 発生場所別救急搬送人員
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
64
オ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
この年代では、人と「ぶつかる」事故が多く発生しています。また、スポーツで
ボールにぶつかる等の事故が多くなっています(表6)。
カ 13歳~18歳の事故事例
【事例1 人とぶつかる】
サッカーの試合中に相手選手と接触し、右足を骨折した。(10代 中等症)
【事例2 運動中に落ちる】
クライミング中に約3mの高さから墜落し、左足を骨折した。(10代 中等症)
種別
順位ぶつかる ころぶ 落ちる
切る・刺さる
はさむ・はさまれる
ものがつまる等
かまれる・刺される
やけど おぼれる
人 運動施設 階段 ナイフ 手動ドア 野菜・果物 虫 天プラ油 浴槽
290人 287人 94人 57人 11人 3人 17人 4人 1人
ボール 人 運動施設 手動ドア(ガラス戸) 自転車 薬剤等 動物等 ポット・魔法瓶 河川
225人 96人 44人 12人 6人 3人 13人 4人 1人
手動ドア 道路 屋根 食器類 ホーム 洗剤等 熱湯
22人 49人 8人 12人 4人 2人 3人
壁・天井 階段 跳び箱 針・ヘアピン・釘等 その他の遊具 菓子 カップ麺
21人 45人 7人 8人 2人 2人 2人
バット スケートボード フェンス・柵・塀 ガラス片 鉄道車両の戸袋 アメ玉類 花火
19人 25人 7人 6人 2人 2人 2人
4位
5位
1位
2位
3位
表6 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
【事故防止ポイント】
中学生、高校生の年代では、運動中の事故が多く発生しています。
ウォーミングアップやストレッチは入念に行い、けがの予防に努めましょう。
指導者や保護者等は、普段の練習や競技の前には事故防止の注意喚起を行うととも
に、不測の事態に備え、応急手当、AED(自動体外式除細動器)の使用方法等を身
につけましょう。
65
⑷ 19歳~64歳の事故
ア 年別搬送人員
19歳から64歳まででは、平成29年中に41,738人が救急搬送され、過去
5年間で最少となっています(図 3-49)。
イ 月別搬送人員
平成29年を月別にみると、7月に最も多く搬送され、次いで12月、10月が多
くなっています(図3-50)。
43,632 43,539 42,838 41,768 41,738
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
45,000
50,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=213,515
3,2343,004
3,2693,441 3,442 3,422
4,153
3,703
3,197
3,649
3,326
3,898
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
救急搬送人員(人)
n=41,738
図 3-49 年別の救急搬送人員
図 3-50 月別の救急搬送人員
66
ウ 発生場所別搬送人員
住宅等居住場所、道路・交通施設での事故が多く発生しています。(図 3-51)。
エ 事故種別ごとの搬送人員
19歳から64歳では、「ころぶ」事故が最も多く発生しています。「おぼれる」事
故は中等症以上の割合が最も高く、「ころぶ」事故、「落ちる」事故、「はさむ・はさ
まれる」事故、「ものがつまる等」の事故についても2割が中等症以上となっていま
す(図 3-52)。
住宅等居住場所
14,328人
34.3%
道路・交通施設
13,379人
32.1%
店舗・遊技施設等
5,669人
13.6%
会社・公共施設等
3,148人
7.5%
公園・遊園地・運動場等
2,921人
7.0%
学校・児童施設等
847人
2.0%
医療施設
294人
0.7%
その他(不明含む)
1,152人
2.8%
n=41,738
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
事故種別 ころぶ 落ちる ぶつかる切る・刺さる
はさむ・はさまれる
ものがつまる等
やけどかまれる・刺される
おぼれる
救急搬送人員 16,989人 5,704人 3,232人 2,297人 1,205人 616人 555人 372人 48人
中等症以上の割合 21.9% 38.3% 17.0% 13.0% 36.5% 25.5% 18.0% 9.9% 91.7%
図 3-52 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
図3-51 発生場所別救急搬送人員
67
オ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
「落ちる」事故では、階段が最も多く、駅のホームから線路へ「落ちる」事故も多
く発生しています(表7)。
カ 19歳~64歳の事故事例
【事例1 ホームから落ちる】
飲酒後の帰宅途中に駅のホームから線路上に転落した。(20代 中等症)
【事例2 プレス機に指をはさむ】
機械の設定を誤ってしまい左手の中指と環指がプレス機にはさまれ、指を切断した。
(50代 中等症)
種別
順位ころぶ 落ちる ぶつかる
切る・刺さる
はさむ・はさまれる
やけどものがつまる等
かまれる・刺される
おぼれる
道路 階段 人 ナイフ 手動ドア 熱湯 洗剤等 動物等 浴槽
4,458人 2,985人 409人 892人 109人 139人 64人 231人 35人
階段 脚立・踏み台・足場 ボール 食器類 その他の機械 天プラ油 肉 虫 河川
1,500人 391人 222人 307人 92人 88人 49人 141人 12人
店内 ホーム 壁・天井 電気のこぎり 自動車 ポット・魔法瓶 食物 プール
992人 367人 142人 102人 65人 43人 48人 1人
段差 自動車 手動ドア スライサー プレス機 味噌汁・スープ 包み・袋
670人 154人 140人 86人 51人 42人 36人
ホーム 椅子 柱 ガラス瓶 荷車 お茶・コーヒー類 薬剤等
666人 147人 98人 74人 43人 22人 36人
4位
5位
1位
2位
3位
表7 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
【事故防止ポイント】
機械による挟まれ事故は重症化しやすいことを認識しましょう。
機械を稼働させたまま詰まりを除去しようとして受傷する事故も発生しています。
機械の点検、掃除、修理をする場合には、機械のスイッチを切断し、コンセントを抜
くなど、誤って電源が入ることがないことを確認してから作業しましょう。
【事故防止ポイント】
飲酒後に駅のホームから転落する事故が多く発生しています。ホームの線路側を歩
かないようにし転落防止をしましょう。
68
⑸ 65歳以上(高齢者)の事故
① 65歳以上(高齢者)
ア 年別搬送人員
高齢者の事故は年々増加しています。平成29年中の救急搬送人員は76,88
9人で平成25年と比較すると 14,961人増加しています(図 3-53)。
イ 初診時程度別搬送人員
高齢者は、入院を必要とする中等症以上となる割合が高く、4割を超えていま
す(図 3-54)。
61,92866,022 68,122
72,19876,889
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
90,000
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人)
n=345,159
軽症
45,139人
58.7%
中等症
29,725人
38.7%
重症
789人
1.0%
重篤
751人
1.0%
死亡
485人
0.6%
n=76,889
図 3-54 初診時程度別救急搬送人員
図 3-53 年別の救急搬送人員
69
ウ 発生場所別搬送人員
住宅等居住場所での事故が6割を超え、道路・交通施設での事故と合わせると
約9割を占めています(図 3-55)。
エ 事故種別ごとの搬送人員
高齢者の「おぼれる」事故は、98.7%が中等症以上と最も高く、「ころぶ」事
故、「落ちる」事故、「ものがつまる等」の事故、「はさむ・はさまれる」事故は 3
割を超える人が中等症以上となっており、高齢者は他の年代と比べ、重症化しやす
くなっています(図 3-56)。
住宅等居住場所
47,131人
61.3%
道路・交通施設
22,008人
28.6%
店舗・遊技施設等
4,118人
5.4%
会社・公共施設等
1,203人
1.6%
公園・遊園地・運動場等
946人
1.2%
医療施設
290人
0.4%
学校・児童施設等
189人
0.2%
その他(不明含む)
1,004人
1.3%
n=76,889
事故種別 ころぶ 落ちるものがつまる等
ぶつかる おぼれる切る・刺さる
はさむ・はさまれる
かまれる・刺される
やけど
救急搬送人員 55,614人 6,932人 1,722人 1,341人 527人 525人 400人 213人 186人
中等症以上の割合 39.4% 45.3% 52.0% 20.6% 98.7% 16.0% 40.3% 9.9% 18.3%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
図 3-56 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
図 3-55 発生場所別救急搬送人員
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
70
オ 事故種別ごとの事故発生の多かった要因(上位5)
「ころぶ」事故は道路、段差、廊下で多く発生しています。また、「落ちる」事故
は、階段、ベッド、椅子が多くなっており、「おぼれる」事故は、そのほとんどが浴
槽で発生しています(表8)。
カ 65歳以上(高齢者)の事故事例
【事例1 餅を詰まらせる】
雑煮を食べていたところ、餅をのどに詰まらせて、顔色が悪くなり意識がなくなっ
た。(70代 重症)
種別
順位ころぶ 落ちる
ものがつまる等
ぶつかる おぼれる切る・刺さる
はさむ・はさまれる
かまれる・刺される
やけど
道路 階段 食物 柱 浴槽 ナイフ 手動ドア 動物等 熱湯
14,307人 3,349人 360人 102人 520人 139人 49人 123人 56人
段差 ベッド おかゆ類 その他の家具 河川 電気のこぎり ベッド 虫 ヤカン
2,387人 1,075人 125人 99人 4人 75人 28人 90人 29人
廊下 椅子 御飯 手動ドア プール 食器類 プレス機 ポット・魔法瓶
2,006人 460人 100人 97人 3人 39人 26人 17人
階段 脚立・踏み台・足場 肉 人 ハサミ・爪切り その他の機械 天プラ油
2,002人 400人 99人 80人 33人 21人 12人
玄関 エスカレーター 包み・袋 壁・天井 スライサー 自動車のドア 味噌汁・スープ
1,616人 254人 97人 72人 18人 14人 11人
4位
5位
1位
2位
3位
表8 事故種別ごとの事故発生の多かった要因上位5
【事故防止ポイント】
高齢者の「ものがつまる等」の事故は約5割が中等症以上と診断されています。
食べ物は小さく切ってよく噛んで食べましょう。
71
【事例2 包みの誤飲】
薬を飲もうとした際に、誤って薬の空包を飲み込んでしまった。(70代 中等症)
【事例3 階段から落ちる】
自宅の階段2~3段目から1階廊下に転落し、左太ももを受傷した。
(80代 中等症)
【事例4 脚立から落ちる】
高さ約 2mの脚立を使用し庭木の剪定中に、誤って転落した。(70代 重篤)
【事故防止ポイント】
高齢者と一緒に食事する際は、適時食事の様子を見るなど注意を払うように心がけま
しょう。
【事故防止ポイント】
脚立や踏み台に上がって作業や清掃をしていて転落する事故が多く発生しています。
〇 脚立の天板の上、脚立・はしごの上方に乗って作業しないようにしましょう。
〇 安定した足場を選び、バランスを崩さないようにしましょう。
〇 使用時は補助者に支えてもらいましょう。
〇 年齢や個々の体力を勘案し、無理な作業は控えましょう。
事業者の場合、法令では、2m以上の高所作業については、墜落等の危険を防止する措
置(安全帯使用等)をとることが事業者に義務付けられ、労働者も指示に従う義務があり
ます。
【事故防止ポイント】
階段から転落する事故が多く発生しています。
〇 階段がある家庭では、階段には握りやすく滑りにくい手すりを設置しましょう。
〇 滑り止めマットを敷くなど事故防止対策をとりましょう。
72
② 65歳~74歳(前期高齢者)と75歳以上(後期高齢者)
ア 年別搬送人員
前期高齢者と後期高齢者の救急搬送人員は年々増加しています。特に後期高齢者の
増加ペースは前期高齢者に比べて早く、毎年2千人から4千人のペースで増加してい
ます(図3-57、図3-58)。
イ 初診時程度別搬送人員
初診時程度別にみると、前期高齢者では中等症以上の割合が約3割ですが、後期高
齢者になると、さらに増加して4割以上を占めています(図 3-59、図3-60)。
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人) 16,907 17,752 17,853 18,297 18,553
前年比 105.0% 100.6% 102.5% 101.4%
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
救急搬送人員(人)
n=89,362
軽症
12,625人
67.9%
中等症
5,375人
29.0%
重症
252人
1.4%
重篤
216人
1.2%
死亡
85人
0.5%
n18,553
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
救急搬送人員(人) 45,021 48,270 50,269 53,901 58,336
前年比 107.2% 104.1% 107.2% 108.2%
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
救急搬送人員(人)
n=255,797
軽症
32,514人
55.8%
中等症
24,350人
41.7%
重症
537人
0.9%
重篤
535人
0.9%死亡
400人
0.7%
n=58,336
図 3-59 初診時程度別(前期高齢者)
図 3-58 年別の救急搬送人員(後期高齢者) 図 3-57 年別の救急搬送人員(前期高齢者)
図 3-60 初診時程度別(後期高齢者)
73
ウ 発生場所別搬送人員
前期高齢者では住宅等居住場所での事故が最も多く43.7%となっています。次
いで多いのが道路・交通施設で39.0%となっています。一方で後期高齢者になる
と、外出する機会や運動量がさらに減少するため、住宅等居住場所での割合が66.
9%に増加しています(図 3-61、図3-62)。
住宅等居住場所
8,114人
43.7%道路・交通施設
7,236人
39.0%
店舗・遊技施設等
1,593人
8.6%
会社・公共施設等
592人
3.2%
公園・遊園地・運動場等
443人
2.4%
学校・児童施設等
93人
0.5%
医療施設
71人
0.4%その他(不明含む)
411人
2.2%
n=18,553
住宅等居住場所
39,017人
66.9%
道路・交通施設
14,772人
25.3%
店舗・遊技施設等
2,525人
4.3%
会社・公共施設等
611人
1.0%
公園・遊園地・運動場等
503人
0.9%
医療施設
219人
0.4%
学校・児童施設等
96人
0.2%
その他(不明含む)
593人
1.0%
n=58,336
図 3-61 発生場所別救急搬送人員(前期高齢者)
図 3-62 発生場所別救急搬送人員(後期高齢者)
74
エ 事故種別ごとの搬送人員
「ころぶ」、「落ちる」、「ものがつまる等」、「ぶつかる」、「切る・刺さる」事故では
前期高齢者に比べて後期高齢者の方が中等症以上の割合が多く、重症化しやくなって
います(図 3-63、図3-64)。
事故種別 ころぶ 落ちる ぶつかるものがつまる等
切る・刺さる
はさむ・はさまれる
かまれる・刺される
おぼれる やけど
救急搬送人員 12,198人 2,272人 514人 355人 274人 188人 111人 92人 80人
中等症以上の割合 29.0% 39.3% 16.1% 44.8% 15.0% 41.0% 11.7% 98.9% 21.3%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
事故種別 ころぶ 落ちるものがつまる等
ぶつかる おぼれる切る・刺さる
はさむ・はさまれる
やけどかまれる・刺される
救急搬送人員 43,416人 4,660人 1,367人 827人 435人 251人 212人 106人 102人
中等症以上の割合 42.3% 48.3% 53.8% 23.3% 98.6% 17.1% 39.6% 16.0% 7.8%
0.0%10.0%20.0%30.0%40.0%50.0%60.0%70.0%80.0%90.0%100.0%
05,000
10,00015,00020,00025,00030,00035,00040,00045,00050,000
救急搬送人員(人) 中等症以上の割合
図 3-63 事故種別ごとの救急搬送人員(前期高齢者)
図 3-64 事故種別ごとの救急搬送人員(後期高齢者)
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く
※ 事故種別が「その他」、「不明」を除く