自己評価レポート
2006
日本企業のCSR:
進捗と展望
社団法人 経 済 同 友 会
2006年5月
要約
1.着実に進展したCSR体制づくり
CSR推進体制、60%の企業が築く。2年でほぼ倍増。
持続可能性報告書ないし環境報告書の発行、上場かつ従業員5,000名以上の
製造業で95%に達したが、非製造業は43%にとどまる。
多様なステークホルダーとの対話、60%の企業が何らかの形で実施。
CSR調達基準、31%の企業が策定。12%は取引先に適切な助言・指導。
2.急がれる規律ある組織・風土の構築
「十分である」と仕組みに自信を持つ企業は半数以下。
・品質・安全性の保証体制 47% ・事故・トラブル対応 44%
・公正取引・競争の徹底 39% ・個人情報保護体制 52%
行動規範の周知徹底、55%の企業が「十分である」。自信を持つ企業は、社長
の率先垂範で行動規範を体現。
内部通報窓口、84%の企業が設置。「十分機能している」は41%にとどまる。
業績評価におけるコンプライアンス考慮、導入進むも「十分機能している」は
11%に過ぎず。
要約
3.優れた経営の継続に向けたガバナンスの確立
株主総会活性化の努力、「十分な成果をあげている」25%にとどまる。
社外の視点(社外取締役、経営諮問委員会等)、70%の企業が導入しているが、
「十分な成果をあげている」は25%。
経営トップの評価・交代プロセスに客観的な視点を取り入れた仕組み、仕組み
はあっても「十分機能している」は少ない。
4.CSRを意識したイノベーションの推進
CSRを意識した新製品・サービスの開発や新事業創造、「十分な成果をあげ
ている」は25%。求められる優良事例の蓄積。
CSR配慮製品・サービスの選択を促す消費者啓発も、「十分な成果をあげて
いる」は23%。
SRIの動きが広がっているが、「投資家」として資金運用で考慮する企業は
まだ5%。「考慮したい」38%。
温室効果ガス削減、3年後目標平均▲2.8%(1990年比)。
女性役員「いない」86%、女性管理職「増加した」42%。女性管理職が増加し
ている企業では育児支援が「十分な内容」。
目次
はじめに...................................................1
1.着実に進展したCSR体制づくり.........................3
(1)CSR推進体制の構築 ........................................ 3
(2)持続可能性報告書の発行 ...................................... 5
(3)多様なステークホルダーとの対話 .............................. 8
(4)CSR調達基準の策定 ........................................ 9
2.急がれる規律ある組織・風土の構築......................11
(1)昨今の企業不祥事と企業の対応度 ............................. 11
(2)コンプライアンス体制の確立 ................................. 14
3.優れた経営の継続に向けたガバナンスの確立..............18
(1)資本市場が企業や経営者を育てる ............................. 18
(2)社外の視点の導入 ........................................... 19
(3)経営トップの評価・交代のプロセス ........................... 20
4.CSRを意識したイノベーションの推進..................23
(1)CSRを意識した新製品・サービスの開発 ..................... 23
(2)SRI:金融分野におけるイノベーション ..................... 24
(3)環境と経済の両立:CSRイノベーションの先例 ............... 25
(4)人材活用のイノベーション:ダイバーシティの推進 ............. 27
おわりに――フラット化する世界とCSR....................32
資料1:「自己評価」の実施概要.............................33
資料2:2004~05年度の委員会活動のハイライト..............34
資料3:『経済同友』(2006年3月号)特集記事.................37
ははじじめめにに
経済同友会が第15回企業白書『「市場の進化」と社会的責任経営』(2003年3
月)を発表し、21世紀における「企業の社会的責任(CSR)」の意味合いと
その重要性を提起してから3年余が経過した。その間、「CSR」という言葉
は企業経営の日常用語となり、各社においてさまざまな取り組みが進展してい
る。
しかし、あいかわらず企業不祥事が後を絶たず、本来は企業と社会の相乗発
展をめざすべきCSRが、依然として不祥事防止を中心に語られている現状は
きわめて遺憾である。企業経営者は、「信頼なくして企業の持続的な発展は不
可能である」ことを常に肝に銘じ、自らのリーダーシップとコミットメントに
よって、規律ある組織を築いていかなければならない。
一方、我々が提唱してきたCSRの本質から言えば、法令遵守は企業が果た
すべき最低限の責任に過ぎず、志ある経営者としては「企業が事業活動を通じ
て社会に好影響をもたらし、そのような企業の取り組みが市場から評価される
ことによって、企業と社会が相乗的に発展する」という高い次元をめざしてい
くことが必要である。
こうした高い次元の取り組みは、各企業の独自の理念や戦略に基づく創意工
夫から生まれるものである。したがって、画一的な基準やルールを設けたり、
広範囲にわたる取り組みを総合点でランキングしてもあまり意味はないという
観点から、本会では「自己評価シート」(全110項目)に基づくセルフチェック
を提唱してきた。このツールの開発には数多くの企業経営者が参画し、「自社
の強みと弱みについて自ら気づくことによって、将来に向けた戦略や仕組みづ
くりに役立てたい」という思いが反映されたものとなっている。
2003年度において、本会の会員所属企業有志229社がこのツールを用いた自
己評価を実施し、その分析は『日本企業のCSR:現状と課題――自己評価レ
ポート2003』(2004年1月)として公表されている。その後、2004年度の社会的
責任経営推進委員会(原良也委員長)を中心に「自己評価シート」の改訂作業
が行われ、評価項目の数や内容を再検討した上で、120項目から成る改訂版を
1
作成した。この「自己評価(改訂版)」を使い、2005年度においては会員所属
企業に加え、東証1部・2部上場企業も対象に含め、第2回目となる自己評価
が実施された。
本報告書は、この第2回自己評価の回答を集計・分析し、日本企業のCSR
に関する取り組みの進捗状況と将来に向けた課題を明らかにしたものである。
分析では、日本企業が直面している課題を最新の自己評価結果から導き出して
おり、過去に本会が発表したCSR関連の提言・報告書と併せ、CSRを推進
していく上でのガイドブックとして活用していただければ幸いである。
現在、各企業ではすでにCSRの具体的取り組みを拡大・深化させていく段
階を迎えている。環境経営、人材活用、コンプライアンス、コーポレート・ガ
バナンスなどCSRに関連する分野において、制度設計などの個別具体的な議
論は各々の専門家の手に委ねたいと思うが、本会としては引き続き企業経営者
自身の啓発と実践に重点を置き、今回の自己評価結果の更なる分析とフィード
バック、CSRの推進に向けた新たな課題設定や問題提起を続けていきたいと
考えている。
おわりに、今回の自己評価の取り組みにご参加いただいた527社の関係各位
をはじめ、ご協力いただいたすべての関係者の皆様に対し、この場を借りて深
甚なる謝意を表したい。
2006年5月
2
11..着着実実にに進進展展ししたたCCSSRR体体制制づづくくりり
((11))CCSSRR推推進進体体制制のの構構築築
◆◆6600%%のの企企業業ががCCSSRR推推進進体体制制築築くく。。22年年ででほほぼぼ倍倍増増。。
CSRに関する広範な取り組みを一元的に把握し、経営トップに直結する形
で戦略を策定、実行するためには、CSR担当部署の設置など推進体制の構築
が望ましい。その形態は多様であるが、
事務局型:少人数で構成され、CSRに関する企画立案、情報収集・
共有・発信、関連部門間の調整、社内横断委員会の事務局などを担当。
組織再編型:既存の環境、コンプライアンス、社会貢献など関連部門
を再編したもの。
によるものが多い。また、推進体制の責任者には社長自身ないし担当役員を任
命しているケースが目立つ。
自己評価では、59.6%の企業がCSRの推進体制を構築しており、2年前に
比べてほぼ倍増した。また、その多くが役員以上を責任者として任命している。
図1-1:CSR推進体制の構築
23.6%
53.9%
50.2%
8.6%
9.4%
8.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
設置しており、責任者は役員以上である 設置しているが、責任者は役員以上ではない
3
◆◆従従業業員員330000名名未未満満のの企企業業ででもも3322%%、、22年年前前のの全全体体平平均均レレベベルル。。
推進体制構築の有無は、従業員規模や社歴年数で大きな差が見られた。ただ
し、従業員数300人未満の企業においても、すでに32.1%がすでに何らかの体
制を構築しており、これは2年前の全体平均(31.9%)とほぼ同じレベルであ
る。企業規模の大小にかかわらず、自社の取り組みをCSRという観点から捉
え直し、戦略的に推進する体制が必要であるとの認識は広がっている。
図1-2:CSR推進体制の構築(従業員数による比較)
25.0%
37.4%
48.9%
70.6%
7.1%
14.3%
9.6%
7.6%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
従業員300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
設置しており、責任者は役員以上である 設置しているが、責任者は役員以上ではない
図1-3:CSR推進体制の構築(社歴年数による比較)
57.5%
46.2%
45.2%
31.6%
15.0%
8.0%
11.1%
3.2%
26.3%
10.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
創立:戦前
1945~69年
1970~79年
1980~89年
1990年以降
設置しており、責任者は役員以上である 設置しているが、責任者は役員以上ではない
4
((22))持持続続可可能能性性報報告告書書のの発発行行
◆◆「「環環境境報報告告書書」」かからら「「持持続続可可能能性性報報告告書書」」へへののシシフフトト進進むむ。。
企業により高い透明性が求められる今日、財務情報のみならず非財務面(環
境・社会的側面)についても事業活動のプロセスや成果を積極的に情報公開し、
社会からの評価を受けることが重要である。そのツールの一つが、「環境報告
書」や「持続可能性報告書」(「サステナビリティ・レポート」「社会・環境報
告書」「CSR報告書」と称する企業もある)である。
自己評価によると、報告書発行企業の割合は2年間で大きな変化はないもの
の、持続可能性報告書発行企業の割合が増え、環境報告書から持続可能性報告
書へのシフトが進んでいる。
図2-1:持続可能性報告書の発行
23.3%
39.1%
34.7%
33.4%
19.7%
20.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
持続可能性報告書を発行している 環境報告書を発行している
◆◆報報告告書書発発行行率率、、従従業業員員55千千名名以以上上のの製製造造業業9955%%にに。。
従従業業員員55千千名名以以上上ででもも非非製製造造業業はは4433%%ににととどどままるる。。
報告書発行企業の割合は業種、従業員規模、上場の有無によって大きな差が
見られ、①製造業・運輸・エネルギー、②大企業、③上場企業において割合が
高い。また、上場企業かつ従業員5,000名以上の企業でも、製造業・運輸・エ
ネルギーとその他の非製造業では大きな差が見られた。
5
図2-2:持続可能性報告書の発行(業種・規模・上場による比較)
34.7%
44.2%
22.4%
7.1%
8.7%
32.3%
70.3%
35.9%
18.5%
81.8%
36.7%
20.3%
25.8%
13.2%
7.1%
18.5%
29.1%
12.7%
20.5%
16.7%
13.0%
6.7%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
製造業・運輸・エネルギー
非製造業・その他
従業員300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
上場
非上場
製造業・運輸・エネルギー
(上場かつ従業員5000人以上)
非製造業
(上場かつ従業員5000人以上)
持続可能性報告書を発行している 環境報告書を発行している
◆◆持持続続可可能能性性報報告告書書発発行行企企業業、、第第三三者者レレビビュューーをを「「役役立立つつ」」とと高高評評価価。。
報告書作成にあたっては、都合の良いデータや事実を並べてPRしても、社
会から真の信頼を得ることはできない。したがって、専門家などの第三者が記
載情報や取り組みの内容について意見を述べる「第三者レビュー」や、企業に
とってマイナス・イメージにつながるデータや事実であっても積極的に公開す
る「ネガティブ情報の公開」が必要である。
6
自己評価によると、環境報告書発行企業の29.6%、持続可能性報告書発行企
業の70.1%が第三者レビューを受けていた。また、持続可能性報告書発行企業
の54.9%が、第三者レビューを「内容の向上に役立っている」と高く評価して
いることがわかった。
図3:報告書の第三者レビュー
9.9%
54.9%
19.8%
15.2%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
環境報告書発行企業
持続可能性報告書発行企業
受けており、内容の向上に役立っている 受けている
◆◆持持続続可可能能性性報報告告書書発発行行企企業業、、ネネガガテティィブブ情情報報もも積積極極公公開開。。
ネガティブ情報の公開についても、環境報告書発行企業の79.3%、持続可能
性報告書発行企業の95.0%が公開しており、報告書未発行の企業に比べて積極
的である。特に、持続可能性報告書発行企業の69.4%が「積極的に公開してい
る」と回答しており、高い意識がうかがえる。
図4:ネガティブ情報の公開
24.4%
69.4%
16.7%
54.9%
25.6%
30.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
環境報告書発行企業
持続可能性報告書発行企業
(参考)報告書未発行企業
積極的に公開している 公開しているが、あまり積極的ではない
7
((33))多多様様ななスステテーーククホホルルダダーーととのの対対話話
◆◆スステテーーククホホルルダダーーととのの対対話話、、何何ららかかのの形形でで6600%%のの企企業業がが実実施施。。
持続可能性報告の目的の一つは、企業をとりまく多様なステークホルダーか
らの評価を受けることにある。その意味で、ステークホルダーとの対話の機会
は、これまで株主とはIRや株主総会など、業員とは労働組合や職場懇談会な
どの場があったが、CSRの体制整備の一環として、NPO関係者、専門家、
消費者など複数のステークホルダー代表者を集めた「ステークホルダー・ダイ
アローグ」を開催し、企業のCSRに関する取り組みについて率直な意見を聴
く企業が増えている。
自己評価では、厳密な意味での「ステークホルダー・ダイアローグ」ではな
いが、59.6%の企業が何らかの形で多様なステークホルダーとの対話(株主総
会、労働組合との協議などは除く)を実施していると回答した。こうした仕組
みは形式的なものとなっては意味がないが、19.4%が「十分な成果をあげてい
る」としており、今後も各社においてさまざまな創意工夫が行われ、双方向の
コミュニケーションが活発になることによって、CSR推進の有効なツールと
なることが期待される。
図5:多様なステークホルダーとの対話
40.2%19.4%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
あり、十分な成果をあげている ある
8
((44))CCSSRR調調達達基基準準のの策策定定
◆◆3311%%のの企企業業ががCCSSRR調調達達基基準準をを策策定定。。電電気気機機器器業業界界はは5500%%。。
グローバル化の進展に伴い、企業のサプライチェーンは世界各国の隅々まで
拡大している。こうした中で、特に発展途上国の取引先を中心に、環境、労働、
人権面で問題のある企業も少なくない。そこで、「CSR調達基準」(注)を策
定し、基準をクリアしなければ取引しない、あるいは改善を求めて協力・指導
していくことがリスク管理の上で重要となっている。
図6:CSR調達基準の策定
11.9%
22.5%
5.6%
24.2%
7.7%
3.7%
12.5%
3.7%
19.4%
27.5%
22.2%
21.2%
23.1%
3.7%
12.5%
18.5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
全体
(業種別・例)電気機器(40社)
化学(36社)
建設(33社)
食品(26社)
小売(27社)
小売(従業員5000名以上の8社)
卸売(27社)
策定しており、取引先に適切な助言・指導を行っている 策定している
――――― (注) 「CSR調達基準」の定義について、前回は環境面でのグリーン調達だけであっても「策定して
いる」という回答が多く見られた。そこで、今回は環境・社会的側面を網羅したものと厳密に定義し、こ
の設問で「策定している」と回答した企業であっても、「グリーン購入・調達を実施している」「サプライ
チェーンにおいて人権・労働に関する国際的規範を尊重し、その遵守を確認している」のいずれかの設問
に回答がない場合は、集計から除外した。
9
自己評価によると、31.3%の企業がCSR調達基準を策定している。業種別
に見ると、海外取引先からの部品調達が多い「電気機器」、資材調達における
環境配慮が求められている「建設」などにおいて、平均より高い割合であった。
◆◆取取引引先先にに適適切切なな助助言言・・指指導導をを行行うう企企業業1122%%。。CCSSRR推推進進図図るる。。
CSR調達基準の導入に際しては、基準をクリアしていない取引先を排除す
るだけでは、問題解決にはつながらない。したがって、問題のある取引先があ
れば、環境配慮や労働環境の改善などについてサポートしていくことが望まし
い。
自己評価では、11.9%の企業が「必要があれば取引先に対して適切な助言・
指導を行うことによって、CSRの推進を図っている」と回答した。
10
22..急急ががれれるる規規律律ああるる組組織織・・風風土土のの構構築築
((11))昨昨今今のの企企業業不不祥祥事事とと企企業業のの対対応応度度
ここでは、まず昨今の企業不祥事をめぐる以下のキーワードについて、自己
評価の中から企業の対応状況を探った。
◆◆【【品品質質・・安安全全性性】】
保保証証体体制制がが十十分分機機能能ししてていいるる企企業業はは4477%%。。
「品質・安全性」は、時に人の生命にかかわる重大問題であり、企業として
最も重視すべき課題の一つである。自己評価では、93.8%の企業が製品・サー
ビスの品質や安全性を保証する体制を整備していたが、「十分機能している体
制である」という回答は47.3%にとどまり、万全の体制と自信を持つ企業は半
数以下という結果であった。
図7:製品・サービスの品質や安全性を保証する体制
46.7%
51.4%
69.0%
64.3%
41.2%
39.1%
33.3%
47.1%
48.6%
31.0%
35.7%
58.8%
52.2%
60.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
業種別(例):建設(35社)
食品(29社)
電気機器(42社)
輸送用機器(17社)
小売(23社)
輸送(15社)
十分機能している体制がある 体制がある
11
◆◆【【事事故故・・トトララブブルル対対応応】】
迅迅速速かかつつ適適切切なな対対応応十十分分ととれれるる企企業業、、4444%%ににととどどままるる。。
製品・サービス欠陥など事故やトラブルが発生した際、迅速かつ適切な対応
をとり、信頼回復に努めなければならない。自己評価では、91.2%の企業が基
本方針や対応マニュアルを作成していたが、「迅速かつ適切な対応が十分とれ
る体制である」という回答は43.9%にとどまった。
図8:事故・トラブルが発生した際の対応方針・マニュアルの作成
43.9%
58.6%
66.7%
35.3%
34.8%
40.0%
47.3%
37.9%
26.2%
58.8%
60.9%
53.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
業種別(例):食品(29社)
電気機器(42社)
輸送用機器(17社)
小売(23社)
輸送(15社)
基本方針や対応マニュアルを作成しており、迅速かつ適切な対応が十分とれる体制である
基本方針や対応マニュアルを作成している
12
◆◆【【公公正正取取引引・・競競争争】】
「「十十分分徹徹底底さされれてていいるる」」自自信信持持つつ企企業業はは3399%%にに過過ぎぎずず。。
公正な取引・競争は、市場参加者として当然の責務である。自己評価では、
95.1%の企業が公正取引・競争に関連する法令を遵守するための体制を整備し
ていたが、「遵守は十分徹底されている(問題は生じていない)」は39.3%にと
どまった。業種別では、入札談合の問題が相次いでいる建設業界において、
「問題は生じていない」という回答の割合が高かった。
図9:公正取引・競争に関連する法令の遵守体制の整備
39.3%
42.9%
23.8%
20.0%
55.8%
54.3%
76.2%
80.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
業種別(例):建設(35社)
鉄鋼・非鉄金属・金属製品(21社)
機械(20社)
取り組んでおり、遵守は十分徹底されている(問題は生じていない) 取り組んでいる
◆◆【【個個人人情情報報保保護護】】
4455%%のの企企業業「「社社内内体体制制整整備備ににままだだ不不十十分分なな面面」」
個人情報保護法の施行に伴い、顧客管理データなど数多くの個人情報を抱え
る企業は、個人情報保護に向けた万全の体制構築が求められる。また、個人情
報の漏洩・改ざんを防ぐセキュリティ強化も図らなければならない。自己評価
では、個人情報保護に関する基本方針の策定・公表および必要な社内体制の整
備(安全管理措置、教育研修など)について、51.8%の企業が「十分である」
と回答した一方、44.8%が「まだ不十分な面がある」として不安を残した。
13
図10:個人情報保護に関する基本方針の策定と社内体制の整備
51.8%
56.5%
52.9%
85.7%
100.0%
100.0%
74.1%
28.6%
34.1%
51.1%
74.8%
44.8%
43.5%
47.1%
14.3%
25.9%
58.9%
61.5%
46.3%
25.2%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
業種別(例):小売(21社)
銀行(17社)
その他金融(14社)
証券(7社)
保険(4社)
情報サービス(27社)
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
方針を策定しており、社内体制の整備も十分である
方針を策定しているが、社内体制の整備はまだ不十分な面がある
((22))ココンンププラライイアアンンスス体体制制のの確確立立
◆◆行行動動規規範範のの周周知知徹徹底底、、5555%%のの企企業業がが「「周周知知徹徹底底十十分分」」。。
健全な組織体制・風土を築くためには、まず企業としての行動規範/倫理綱
領を策定するとともに、あらゆる手段・機会を通じて従業員一人ひとりに周知
徹底する努力が必要である。
14
自己評価では、91.9%の企業が行動規範(ないし倫理綱領)を策定しており、
55.4%が「周知徹底も十分である」と回答した。2年前に比較すると、「周知
徹底も十分である」という回答は約28ポイント上昇した。
図11-1:企業行動規範(倫理綱領)の策定と周知徹底
32.7%
60.8%
55.4%
30.4%
31.9%
59.8%
77.1%
52.3%
31.3%
36.5%
37.5%
56.0%
37.0%
20.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
策定しており、周知徹底も十分である 策定している
◆◆「「周周知知徹徹底底もも十十分分」」なな企企業業、、社社長長のの率率先先垂垂範範でで行行動動規規範範をを体体現現。。
周知徹底のプロセスでは、経営トップ自らが行動規範(倫理綱領)の内容を
率先垂範し、自らの行動で体現していくことが必要であり、それがなければ
「建前と本音が違う」ということで従業員への徹底は難しい。
自己評価では、「周知徹底も十分」と回答企業は、社長の率先垂範について
も「十分な成果を挙げている」と評価している割合が高かった。
15
図11-2:企業行動規範の周知徹底とトップの率先垂範
19.8%
52.1%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
「行動規範を策定している」と回答した企業
「行動規範を策定し、周知徹底も十分」と回答した企業
「社長の率先垂範、自らの行動で体現」が「十分である」と回答した割合
◆◆内内部部通通報報窓窓口口「「十十分分機機能能ししてていいるる」」4411%%。。企企業業規規模模でで差差。。
組織内に生じている問題を早期に発見するためには、内部通報・相談窓口の
設置が必要である。2006年4月に「公益通報者保護法」が施行されるなど、そ
の重要性に対する理解が進んでいる。
自己評価では、84.1%の企業が設置していたが、「十分機能している」とい
う回答は41.3%にとどまった。なお、従業員5000名以上の企業では、68.6%が
「十分機能している」と回答し、仕組みの整備と理解が進んでいることがうか
がえる。
図12:内部通報・相談窓口の設置
27.7%
48.4%
41.3%
12.5%
16.3%
42.9%
68.6%
35.7%
37.3%
42.8%
44.6%
62.0%
45.0%
26.3%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
設置しており、十分機能している 設置している
16
◆◆業業績績評評価価ででののココンンププラライイアアンンスス考考慮慮、、導導入入進進むむもも「「十十分分機機能能」」1111%%。。
健全な組織風土を築いていくためには、「不正な手段で業績をあげても認め
ない」「不正行為に関与しなければ受注できない仕事なら、受注しないほうが
いい」という明確なメッセージを発信する必要がある。その意味で、社内の各
部門や個人の業績を評価するにあたり、コンプライアンスの観点から妥当なも
のであることを判断する仕組みの導入が必要である。
自己評価では、55.8%の企業が業績評価においてコンプライアンアスの観点
から妥当なものであることを判断する仕組みを整備していたが、それが「十分
機能している」という回答は11.4%に過ぎなかった。2年前に比べると導入は
進んだが、まだ十分機能する仕組みとしては定着していない。
図13:業績評価でのコンプライアンス考慮
9.1%
12.0%
11.4%
27.7%
47.8%
44.4%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
仕組みがあり、十分機能している 仕組みがある
17
33..優優れれたた経経営営のの継継続続にに向向けけたたガガババナナンンススのの確確立立
((11))資資本本市市場場がが企企業業やや経経営営者者をを育育ててるる
◆◆株株主主総総会会活活性性化化のの努努力力「「十十分分なな成成果果」」2255%%。。
企業のガバナンスと経営者を育てていくのは、資本市場の役割である。投資
家の厳しい視線があり、それに応える企業努力という循環の中で、経営者は成
長し、企業の競争力もついてくるのである。
昨今、個人投資家の拡大や「モノを言う株主」の増加に伴い、株主・投資家
からの理解を得るための取り組みが重要となっている。機関投資家を対象にし
たIRはかなり活発に行われているが、株主総会の活性化も課題となっている。
自己評価では、株主総会の開催に際し、開催日の集中日回避や議事以外に株
主の意見を聴く時間の設定など、その活性化に取り組んでいる企業は77.9%で
あったが、「十分な成果をあげている」と評価したのは25.3%にとどまった。
図14:株主総会の活性化
26.2%
25.3%
43.7%
52.0%
52.6%
24.9%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
取り組んでおり、十分な成果をあげている 取り組んでいる
18
((22))社社外外のの視視点点のの導導入入
◆◆7700%%のの企企業業がが社社外外のの視視点点導導入入。。課課題題はは「「十十分分なな成成果果」」のの実実感感。。
図15:社外の視点(社外取締役、経営諮問委員会等)の導入
24.9%
29.1%
26.2%
21.8%
20.7%
20.2%
40.3%
31.0%
21.1%
25.8%
21.1%
15.8%
26.8%
20.8%
38.9%
43.2%
43.3%
49.1%
38.0%
46.8%
39.5%
37.6%
44.4%
51.6%
47.4%
78.9%
42.3%
49.1%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
創立:戦前
1945~69年
1970~79年
1980~89年
1990年以降
上場
非上場
取り組んでおり、十分な成果をあげている 取り組んでいる
優れた経営を継続するためには、経営に外部の視点を取り入れることによっ
て、客観的な立場からの意見や内部では気づかなかった知見を得ることが有効
である。
自己評価では、69.5%の企業において社外の視点(社外取締役の導入、経営
諮問委員会の設置など)が導入されており、2年前と比較すると若干「仕組み
19
づくり」は進捗した。しかし、「十分に成果をあげている」という回答はまだ
26.2%にとどまり、「仕組みを機能させる」ことに課題を残している。
((33))経経営営トトッッププのの評評価価・・交交代代ののププロロセセスス
◆◆社社長長選選任任、、客客観観的的なな視視点点導導入入「「十十分分機機能能」」1122%%。。
さらに、優れた経営の継続のためには、社長の評価・交代のプロセスをより
透明にすることが望ましい(※2005年度企業改革委員会提言「CEO交代のプロセス――『企
業イノベーション』の継続的な遂行を目指して」<2005年4月発表>参照)。次期社長候補者の選
考にもできるだけ客観的な視点を取り入れ、誰の目から見ても最もふさわしい
人物を選ぶことがその手段の一つである。
自己評価では、45.7%の企業が現社長および社長経験者以外が次期社長候補
者の選考に関与する仕組みを持っていたが、それが「十分機能している」と評
価している企業は11.8%に過ぎなかった。
図16:現社長(および社長経験者)以外が次期社長候補者の選考に関与する仕組み
8.5%
13.6%
11.8%
32.7%
30.9%
33.9%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
仕組みがあり、十分機能している 仕組みがある
20
◆◆現現社社長長のの業業績績評評価価、、客客観観的的なな視視点点導導入入「「十十分分機機能能」」1122%%。。
現時点で優れた業績をあげている社長であっても、将来にわたって優れた経
営を持続できる保証はない。その意味で、社長の業績についても客観的な視点
を入れて評価し、場合によっては解任できる仕組みを有することが必要となる。
委員会等設置会社もこうした仕組みの一つの形態であるが、重要なのは形式で
はなく機能である。
自己評価によると、49.2%の企業において社長経験者以外が現社長の業績を
評価し、場合によっては解任できる仕組みを導入しているが、「十分機能して
いる」としたのは12.0%に過ぎなかった。
図17:社長経験者以外が現社長の業績を評価し、場合によっては解任できる仕組み
8.8%
12.7%
12.0%
37.3%
36.3%
37.2%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
仕組みがあり、十分機能している 仕組みがある
◆◆社社長長のの報報酬酬額額決決定定、、客客観観的的なな視視点点導導入入「「十十分分機機能能」」1199%%。。
社長の報酬額決定については、自己評価では61.4%の企業が「本人および社
長経験者以外の意見を反映させる仕組みがある」と回答しており、「十分機能
している」とした企業は18.9%であった。
こうした自己評価の結果を見る限り、日本企業においては客観的な観点から
経営トップに対するチェック機能が働く仕組みはまだ不十分であると言える。
ビジネス環境の変化に的確に対応しながら、持続的に企業価値を向上させてい
くためには、経営者個人の資質に過度に依存するのではなく、経営者が健全な
プレッシャーの下で適切な意思決定を行う環境を整えることが必要である。
21
図18:本人および社長経験者以外の意見を現社長の報酬額決定に反映する仕組み
8.8%
20.8%
18.9%
33.2%
39.2%
42.5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
仕組みがあり、十分機能している 仕組みがある
22
44..CCSSRRをを意意識識ししたたイイノノベベーーシショョンンのの推推進進
((11))CCSSRRをを意意識識ししたた新新製製品品・・ササーービビススのの開開発発
◆◆CCSSRRをを意意識識ししたた新新製製品品・・ササーービビスス//新新事事業業、、「「十十分分なな成成果果」」2255%%。。
たえざるイノベーションは、企業の持続的成長の源泉である。「攻めのCS
R」という観点から見れば、環境・社会面に配慮した新製品・サービスの開発
や新規事業の起ち上げを行ったり、新たな社会ニーズをいち早く事業化してい
くことは、CSRを原動力としたイノベーションと言える。
自己評価では、89.2%の企業が何らかの形で取り組んでいたが、その取り組
みが「十分な成果をあげている」と評価した企業は25.0%であり、この分野で
の優良事例の蓄積が課題である。
図19:CSRを意識した新製品・サービスの開発/新事業創造
25.0% 64.2%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
取り組んでおり、十分な成果をあげている 取り組んでいる
◆◆CCSSRR配配慮慮製製品品・・ササーービビススのの選選択択促促すす啓啓発発、、「「十十分分なな成成果果」」2233%%。。
企業がCSRを意識した新製品・サービスを積極的に開発しても、消費者サ
イドでそれを受け入れる価値観が醸成されなければ、市場拡大には結び付かな
い。環境配慮型製品も、国民の間に環境配慮への意識が高まったからこそ、受
け入れらつつあるである。
自己評価によると、69.0%の企業が消費者に対して環境・社会面に配慮した
製品・サービスの選択を積極的に薦めるような啓発活動に取り組んでいたが、
「十分な成果をあげている」と回答した企業はまだ22.6%にとどまった。
23
図20:環境・社会面に配慮した製品・サービスの選択を薦める消費者啓発活動
22.6% 46.5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
取り組んでおり、十分な成果をあげている 取り組んでいる
((22))SSRRII::金金融融分分野野ににおおけけるるイイノノベベーーシショョンン
◆◆資資金金運運用用ににおおけけるるSSRRII考考慮慮55%%、、「「考考慮慮ししたたいい」」3388%%
欧米を中心に、SRI(社会的責任投資)の動きが広がっている。その象徴
的出来事として、環境・社会・企業統治の観点を投資の決定プロセスに組み込
むことを目的に、国連を中心に作成された「責任投資諸原則(Principles for Responsible Investment)」が挙げられる。本年5月には、世界各国の機関投資家が署名し、日本からも金融機関や企業年金基金などの機関投資家が参画して注
目されている。こうしたSRIは、企業の成長と社会の持続可能性を両立させ
る手段という意味で、金融分野においてCSRを意識したイノベーションの一
つと言える。
SRIは、金融機関を中心に進んでいるが、金融機関に限らず企業は投資対
象であると同時に、企業自身が「投資家」という側面も持つ。自己評価による
と、自社の資金運用(年金基金の運用を含む)においてSRIを考慮している
企業はまだ21社(有効回答418社の5.0%)に過ぎなかったが、158社(同
37.8%)が「考慮したい」と回答した。
図21:資金運用におけるSRI考慮
37.8%5.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
考慮している 考慮したいが、実際には運用していない
24
((33))環環境境とと経経済済のの両両立立::CCSSRRイイノノベベーーシショョンンのの先先例例
「攻めのCSR」という観点では、環境分野はそれを象徴し、かつ最も企業
の取り組みが進んでいる分野である。前回の自己評価分析でも、この分野が日
本企業の競争優位として海外でも高く評価されていることを指摘した。
京都議定書において、わが国は2008年から2012年までの約束期間において、
温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減することを国際的に公約している。
しかし、約束期間の開始年度が迫る中、公約達成が危ぶまれている。産業部門
では、日本経団連「環境自主行動計画」などが着実な進展したが、国民生活に
密接にかかわる企業の責任として、国民の意識啓発に向けたさらなる役割が期
待されている。
◆◆温温暖暖化化防防止止「「十十分分なな成成果果」」4433%%、、業業種種やや規規模模にによよっってて差差。。
自己評価によると、91.9%の企業が事業活動(オフィスや事業所を含む)に
おいて省エネルギーや温暖化防止対策に取り組んでいたが、「十分な成果をあ
げている」という評価は42.6%であった。特に、業種や規模による差が見られ、
温暖化効果ガスの定量的把握が難しい中小企業や非製造業において、「十分」
という実感が得られていないという現状である。
図22:省エネルギー・温暖化防止に向けた取り組み
30.5%
14.3%
18.7%
44.4%
49.4%
45.3%
54.7%
57.1%
73.6%
49.7%
27.7%70.6%
51.7%
42.6%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
製造業・輸送・電気・ガス
非製造業
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
取り組んでおり、十分な成果をあげている 取り組んでいる
25
◆◆温温室室効効果果ガガスス削削減減、、33年年後後目目標標平平均均▲▲22..88%%((11999900年年比比))。。
温暖化ガス排出量については、事業活動の拡大に伴い、22.0%の企業が過去
3年間に増加傾向にあった。3年後の目標については、1990年数値の記入があ
った企業114社の平均で1990年比マイナス2.8%、1990年数値を把握していない
企業84社の平均で現在比マイナス0.2%であった。
図23-1:温室効果ガス排出量:過去3年間の傾向
横ばい18.9%増加傾向
22.0%
把握していない31.7%
減少傾向27.4%
図23-2:温室効果ガス排出量:3年後目標(対1990年比)の分布
(1990年数値を把握しているとの回答があった114社)
19.3%
5.3% 6.1%
1.8%
15.8% 15.8%
23.7%
12.3%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
+10%以上 +5-9% +1-4% 0% ▲1-4% ▲5-9% ▲10-30% ▲30%以上
平均▲2.8%
26
図23-3:温室効果ガス排出量:3年後目標(現在比)の分布
(1990年数値を把握していないと回答があった84社)
11.9%
6.0% 4.8% 4.8%
38.1%
21.4%
11.9%
1.2%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
+10%以上 +5-9% +1-4% 0% ▲1-4% ▲5-9% ▲10-30% ▲30%以上
平均▲0.2%
((44))人人材材活活用用ののイイノノベベーーシショョンン::ダダイイババーーシシテティィのの推推進進
これからの企業や社会のあり方を考える上で、大きなキーワードとなるのが
「ダイバーシティ(多様性)」である。グローバル化やライフスタイルや価値
観の多様化の中で、異質であることを受容し、多様な価値観を融合させること
が新たな活力につながる。企業経営においても、性別・年齢・国籍・雇用形態
にかかわらず多様な人材を活かしていくことが、新たな付加価値の創出にも結
び付く。
この点について、多くの日本企業が直面している最大の課題は「女性の活
用」である。これは「男女雇用機会均等法への対応」という消極的な次元では
なく、優れた人材を登用・活用していく上で、開拓すべき大きなフロンティア
があるという積極的な次元で考えていかなければならない。
◆◆女女性性役役員員「「いいなないい」」8866%%、、33年年後後目目標標もも見見通通しし立立たたずず。。
自己評価では、過去3年間において女性役員(執行役員以上)が増加した企
業は15社に過ぎず、393社では女性役員がいないという状況であった。また、
女性役員がいない393社のうち、3年後目標に具体的数値を掲げて登用を目標
にした企業は10社にとどまり、この問題の進展にはまだ時間がかかることがあ
27
らためて示された。
図24:女性役員比率(執行役員以上):過去3年間の傾向
減少(4社)0.9%
横ばい(44社)9.6%
増加(15社)3.3%
いない(393社)86.2%
【参考】 393社の3年後目標 いる 10社 いない 51社 未回答 332社
◆◆女女性性管管理理職職「「増増加加ししたた」」企企業業4422%%、、大大企企業業でで増増加加傾傾向向顕顕著著。。
女性管理職(課長級以上)については、41.7%の企業が過去3年間において
増加傾向にあり、特に従業員規模5000名以上の企業では、67.5%の企業が「増
加傾向」と回答した。
図25-1:女性管理職(課長級以上):過去3年間の傾向
いない(113社)24.6%
増加(192社)41.7%
横ばい(139社)30.2%
減少(16社)3.5%
28
図25-2:女性管理職(課長級以上):「増加傾向」と回答した企業の割合
42.7%
46.2%
41.7%
25.5%
28.6%
36.6%
67.5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
会員所属企業(2003年)
会員所属企業(2005年)
全体(2005年)
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
「増加傾向」にあると回答した割合
◆◆女女性性管管理理職職比比率率、、33年年後後目目標標はは現現状状のの11..99倍倍。。
女性管理職比率は、有効回答296社の平均で2.28%であった。また、3年後
の目標については、現状と目標の両方に記入があった139社の平均で、現状
2.03%、3年後目標3.79%と約1.9倍となっている。
図25-2:女性管理職比率:企業規模別(有効回答296社の平均)
2.28%
5.57%
1.72%
1.98%
2.20%
0% 1% 2% 3% 4% 5% 6%
全体
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
29
図25-3:女性管理職比率:現状と3年後目標(双方に回答のあった139社の平均)
2.03%
3.79%
0.00%
1.00%
2.00%
3.00%
4.00%
現状 3年後目標
◆◆女女性性管管理理職職増増加加ししてていいるる企企業業、、育育児児支支援援もも「「十十分分なな内内容容」」。。
女性登用を進める上で障害となってきたのが、出産・育児に伴うキャリアの
中断である。女性の活用に積極的な企業では、法令の規定を上回る取り組みに
よって、仕事と育児の両立を支援しているケースが多い。特に最近の傾向とし
て、育児休業期間を延長するよりも、休業期間中から復帰に向けた支援プログ
ラムを提供したり、復帰後も短時間勤務が可能な柔軟な勤務体系を整備するこ
とによって、キャリアが中断しないような工夫が行われている。
図26:法令の規定を上回る育児支援の取り組み
21.8%
10.9%
16.4%
43.7%
35.4%
31.7%
26.8%
22.8%
32.3%
38.7%
37.0%
17.7%7.1%
5.4%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
従業員数:300人未満
300~999人
1000~4999人
5000人以上
女性管理職が増加傾向にある企業
女性管理職がいない企業
取り組んでおり、十分な内容である 取り組んでいる
30
自己評価では、53.5%の企業が法令を上回る独自の取り組みをしており、
21.8%がその内容を「十分」と評価している。また、女性管理職が増加傾向に
ある企業では、育児支援の内容も「十分」と評価する傾向が強く、逆に女性管
理職がいない企業では、法令を上回る取り組み自体が少ないことから、女性が
活躍できる環境として、育児支援を充実していく意義が裏付けられた。
◆◆非非正正規規型型社社員員ととのの対対話話、、「「十十分分」」66%%にに過過ぎぎずず。。
ダイバーシティの観点から日本企業が直面している問題の一つに、雇用形態
が多様化していく中での人材活用という問題がある。企業の中で、いわゆる
「非典型雇用」と呼ばれる契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなどが果
たす役割が増しているにもかかわらず、これまでは人件費抑制や雇用調整とい
う側面からの議論が中心であった。しかし、今後は、ライフスタイルの多様化
や雇用の流動化によって、雇用形態もますます柔軟化していくことが予想され、
雇用形態にかかわらず優れた人材を活かすという観点からのアプローチが必要
となる。
自己評価では、51.7%の企業が非正規型社員から職場環境や満足度について
意見を聴く仕組みを持っていたが、その内容を「十分」とした企業は6.2%に
過ぎなかった。業種別に見ると、これまでパートなどを活用してきた小売や銀
行などで「仕組みがある」との割合が高かった。こうした業界では、パートや
アルバイトという雇用形態で働く人々を積極的に責任ある役職に付け、成功し
ている例も多い。
図27:非正規型社員との対話
13.0%
14.6%
45.5%
81.3%
56.5%
46.3%
6.2%
12.5%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
業種別(例):銀行(16社)
小売(23社)
電気機器(41社)
仕組みがあり、十分な内容である 仕組みがある
31
おおわわりりにに――――フフララッットト化化すするる世世界界ととCCSSRR
「はじめに」で述べたとおり、経済同友会の「自己評価シート」の目的は、
企業経営者の「気づき」を得ることに最大の主眼が置かれている。企業経営者
が、「社会をより良いものにしていきたい」「そのために企業が本業として社会
の役に立つ事業を行いたい」という高い志を持つことが、社会的責任経営の出
発点である。「最低限のルールを遵守していればいい」「仕組みをつくればい
い」という考え方では、真に社会的責任経営を推進することは不可能である。
これからのより良い社会を考えるにあたって、21世紀の最大のテーマは「持
続可能性(サステナビリティ)」である。我々はそれを十分認識した上で、そ
の実現に向けて企業経営の中核にCSRを据えていくことが不可欠である。な
お、ここで言う「サステナビリティ」とは、単に環境面での持続可能性にとど
まらず、あらゆる分野で問われる問題である。
また、最近ではグローバル化や情報通信革命の進展に伴い、世界の「フラッ
ト化」(トーマス・フリードマン氏)という議論が行われている。世界経済の
一体化が進み、世界はますます“狭く”なっていくのである。CSRの問題に
ついても、国内外にサプライチェーンが拡大し、世界のあらゆる問題が日本企
業に密接にかかわってくる中で、我々は視野を国内だけにとどめることなく、
広く国際社会で起きている問題に目を向け、問題意識を持つ「感度」を高めて
いかなければならない。
2006年度の社会的責任経営推進委員会では、こうしたグローバル・レベルの
テーマも視野に入れながら、CSRの推進に向けた活動に取り組んでいきたい
と考えている。
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資資料料11::「「自自己己評評価価」」のの実実施施概概要要
【調査方法】
2005年10月から2006年1月にかけて、郵便により調査票を送付、郵便ま
たは電子データにて回収。
【調査対象/回答者数/回答率】
対象者 依頼数 回答数 回答率 全体 2,697 527 19.5% うち、経済同友会会員所属企業(代表者等各社1名) 866 314 36.3% 上記以外の東証1・2部上場企業(社長) 1,831 213 11.6%(参考)経済同友会会員所属企業かつ東証1部上場 397 224 56.4 %
【参考:「自己評価シート(改訂版)」の構成】
必須項目 選択項目 合計
合計 60 60 120
Ⅰ:企業の社会的責任(CSR) 45 45 90
a.仕組み 8 8 16 1.市場
b.成 果 3 5 8
a.仕組み 5 4 9 2.環境
b.成 果 6 4 10
a.仕組み 9 7 16 3.人間
b.成 果 9 4 13
a.仕組み 3 9 12
4.社会
b.成 果 2 4 6
Ⅱ:コーポレート・ガバナンス(CG) 15 15 30
1.理念とリーダーシップ 3 5 8
2.マネジメント体制 5 4 9
3.コンプライアンス 5 2 7
4.情報公開とコミュニケーション 2 4 6
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資資料料22::22000044~~0055年年度度のの委委員員会会活活動動ののハハイイラライイトト
(肩書は当時)
◆◆ 「「自自己己評評価価」」「「経経営営者者意意識識調調査査」」をを実実施施、、
日日本本企企業業ののCCSSRR取取りり組組みみ状状況況やや経経営営者者のの意意識識をを探探るる。。
2004年9月~2005年5月 「自己評価シート」の改訂作業
2005年5月 「自己評価シート(改訂版)」公表
2005年10月~2006年1月 第2回「自己評価」「経営者意識調査」実施
2006年2月 「経営者意識調査」集計・分析結果公表
2006年5月 「自己評価」集計・分析結果とりまとめ
◆◆企企業業のの先先進進事事例例ををヒヒアアリリンンググ、、経経営営者者ががCCSSRRへへのの思思いいをを語語るる。。
2004年8月 日本アイ・ビー・エム
(柴田稔久・常務執行役員)
2004年9月 ジョンソン・エンド・ジョンソン
(廣瀬光雄・元取締役社長)
2004年10月 ベネッセ・コーポレーション
(桜木君枝・常勤監査役)
2004年11月 住友信託銀行
(高橋温・取締役社長)
2004年12月 富士ゼロックス
(小山眞一・専務執行役員)
2005年2月 三井住友海上火災保険
(植村裕之・取締役社長)
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◆◆国国際際シシンンポポジジウウムム開開催催、、わわがが国国でで初初めめてて「「中中国国」」ををテテーーママにに。。
日 時:2005年11月10日 13:00~17:00
テーマ:「企業のグローバル化とCSR ~サプライチェーンの観点から見るリスクと対策」
詳 細:本報告書、資料3を参照。
◆◆海海外外専専門門家家とと意意見見交交換換、、日日本本のの取取りり組組みみをを世世界界にに発発信信。。
2005年1月 Business in the Community (BITC)=英国
(ピーター・デイビス・副理事長)
2005年5月 国際労働機関(ILO)
(ハンス・ホフマイヤー・多国籍企業プログラム長)
2005年11月 Association for Sustainable &Responsible Investment in Asia (ASrIA)=香港
(メリッサ・ブラウン・理事長)
CSR Asia=香港
(ステフェン・フロスト・理事長)
深セン当代社会観察研究所=中国
(劉開明・所長)
◆◆IISSOO・・SSRR((社社会会的的責責任任))国国際際標標準準化化動動向向、、定定期期的的ににフフォォロローー。。
2004年8月 ストックホルム会議参加報告
(柴田稔久・日本アイ・ビー・エム常務執行役員)
2005年10月 バンコク会議参加報告/SR国際標準化の今後
(足達英一郎・日本総合研究所上席主任研究員)
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◆◆専専門門家家・・実実務務家家をを迎迎ええ、、CCSSRRのの課課題題をを考考ええるる。。
2004年11月 「日本のSRIの現状と課題」
(金井司・住友信託銀行年金運用部次長)
2005年7月 「コンプライアンス革命」
(郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授)
2005年9月 「ステークホルダー・ダイアローグ:経営視点から見た現状と課題」
(秋岡久恵・ウィタン・アソシエイツ取締役会長)
2006年2月 「資本市場との対話:市場が企業を鍛える」
(澤上篤人・さわかみ投信代表取締役)
(足達英一郎・日本総合研究所上席主任研究員)
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資資料料33::『『経経済済同同友友』』((22000066年年33月月号号))特特集集記記事事
(省略)
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はじめに1.着実に進展したCSR体制づくり(1)CSR推進体制の構築(2)持続可能性報告書の発行(3)多様なステークホルダーとの対話(4)CSR調達基準の策定
2.急がれる規律ある組織・風土の構築(1)昨今の企業不祥事と企業の対応度(2)コンプライアンス体制の確立
3.優れた経営の継続に向けたガバナンスの確立(1)資本市場が企業や経営者を育てる(2)社外の視点の導入(3)経営トップの評価・交代のプロセス
4.CSRを意識したイノベーションの推進(1)CSRを意識した新製品・サービスの開発(2)SRI:金融分野におけるイノベーション(3)環境と経済の両立:CSRイノベーションの先例(4)人材活用のイノベーション:ダイバーシティの推進
おわりに――フラット化する世界とCSR資料1:「自己評価」の実施概要資料2:2004~05年度の委員会活動のハイライト資料3:『経済同友』(2006年3月号)特集記事
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