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Segmentation and TargetingLilien, G.L. & Rangaswamy, A.
Marketing Engineering (2004), Chapter 3
Web公開版
小野 滋 (インサイト・ファクトリー)
Marketing Engineering読書会 : 2014/07
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 1 / 58
目次
1. セグメンテーションのプロセス
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4. セグメンテーションの手法
5. 行動ベース・セグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
8. 要約 [略]
ケーススタディ [略]
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 2 / 58
1. セグメンテーションのプロセス
1. セグメンテーションのプロセス1.1 セグメンテーションの定義1.2 セグメンテーションの理論と実践1.3 STPアプローチ1.4 Phase1: マーケットのセグメンテーション1.5 Phase2: マーケット・セグメントを記述する1.6 Phase3: セグメントの魅力を評価する1.7 Phase4: ターゲット・セグメントを選択し資源を配分する1.8 Phase5: ターゲット顧客を発見する
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4. セグメンテーションの手法
5. 行動ベース・セグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 3 / 58
1.1 セグメンテーションの定義
顧客は、その価値、ニーズ、ウォンツ、制約、信念、行為のインセンティブにおいて多種多様である。
セグメンテーションによって、企業は顧客を理解し、マーケティングの労力を効率的・効果的にターゲティングできるようになる。
マーケット・セグメント: 製品やサービスにたいして類似したかたちで反応すると期待される、(実際のないし潜在的な)顧客のグループ。
マーケット・セグメンテーション: 製品やサービスに対する価値づけが大きく異なっている顧客たちを、価値づけが群内では類似しており群間では大きく異なっているようなグループ (セグメント) へと分割するプロセスのこと。
ターゲット・マーケット: 企業が効率・利益の観点から選んだ市場のこと。
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1.1 セグメンテーションの定義
セグメンテーション成功の条件:
顧客に異質性があること
でもいくつかのグループにわかれており、グループの中では似ていること
あるセグメントに対して必要なコストが、彼らが払ってくれる額を超えないこと
極端にいえば、顧客一人一人がセグメントだと考えてもよい。個々人のニーズに合わせていけば製品・サービスの価値も上がる。そのかわりコストも上がる。
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1.2 セグメンテーションの理論と実践
セグメントが満たすべき3要件:
等質性。いま関心があるマーケティング変数について、同じセグメントの潜在顧客は類似した反応を、異なるセグメントの潜在顧客は異なる反応を示すこと。
倹約性。セグメントの数が多すぎないこと。
アクセス可能性。マーケターが観察可能な変数を使ってそれぞれのセグメントにリーチできること。
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1.2 セグメンテーションの理論と実践
セグメンテーションのための変数:
ベース変数 basis : 従属変数。顧客の多様性がなぜ生じるかを説明してくれる変数。ニーズ、ウォンツなど。
記述変数 descriptors: 独立変数。異なるマーケティング・アクションを行うための手がかり。年齢、性別、メディア使用など。
どんな変数を使うべきかは、セグメンテーションを行う理由次第で変わってくる (Exhibit 3.1)。
実際には、どちらか一方だけに焦点を当てることも多い。
方法の良し悪しは、コスト、利用可能な情報、目的 (Exhibit 3.2) によって決まる。
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1.2 セグメンテーションの理論と実践
.Exhibit 3.1 適切な記述変数 (a)と不適切な記述変数 (b)..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 8 / 58
1.2 セグメンテーションの理論と実践...Exhibit 3.2 適切なベース変数 (Wind, 1978)..
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市場の一般的理解求められているベネフィット製品購入・使用パターンニーズブランド・ロイヤルティとブランド・スイッチング・パターン上記の変数の組み合わせ
ポジショニング製品使用製品選好求められているベネフィット上記の変数の組み合わせ
新製品コンセプト (新製品導入)
新コンセプトへの反応求められているベネフィット
プライシング価格感受性値引き敏感性購入・使用パターン別の価格感受性
広告求められているベネフィットメディア使用サイコグラフィクス / ライフスタイル上記の変数の組み合わせ
流通店舗ロイヤルティと愛顧店舗選択において求められているベネフィット
なぜ左に寄るのかわからないぜ
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1.3 STPアプローチ
6つの Phase:
...1 市場をセグメント化する
...2 各セグメントについて記述し、顧客理解・顧客とのコミュニケーション方法・購入者のスイッチング・コストを理解する
...3 各セグメントの需要の可能性、提供コスト、製品生産コスト、コアコンピテンシーと機会との一致性を定量化し、各セグメントの魅力を評価する
...4 各セグメントの潜在的利益、企業戦略との一致性に鑑み、ターゲットセグメントを選択。各セグメントへの資源配分を決める
...5 ターゲット・セグメントに属する顧客・見込み客を見つける。
...6 ターゲット顧客を引き付け企業イメージをより良くするコンセプト・ポジショニングを定める (→ 4章)
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 10 / 58
1.4 Phase1: マーケットのセグメンテーション
方法はたくさんあるが、ニーズと製品使用状況をベース変数にするのがお勧め。
この場合、次の 2つの方法がある。proactiveなアプローチがお勧め。
reativeなアプローチ (「簡易グループ」「アプリオリ・セグメンテーション」)。まず簡単に同定できる変数 (地域など)で分類し、群によってニーズが異なるかどうかを調べる
proactiveなアプローチ。ニーズに基づいて分類し、群を判別できる特性を探す
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 11 / 58
1.4 Phase1: マーケットのセグメンテーション
ニーズに基づく proactiveなセグメンテーション: 5つのステップ
...1 企業の戦略におけるセグメンテーションの役割を明確に述べる
...2 セグメンテーションに用いる変数を選択する
...3 統計的手法を選択する (離散的か、重複を許すか、ファジーか)
...4 セグメントの最大数を決める
...5 セグメント数を決める。経営層は少数、中間管理職は多数を好むので揉めやすい (Exhibit 3.3, 3.4)。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 12 / 58
1.4 Phase1: マーケットのセグメンテーション
.Exhibit 3.3 少数のセグメンテーションと多数のセグメンテーションの対立..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 13 / 58
1.4 Phase1: マーケットのセグメンテーション
.Exhibit 3.4 産業財市場の一般的なセグメント..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 14 / 58
1.5 Phase2: マーケット・セグメントを記述する
記述変数の候補はたくさんある (Exhibit 3.5)。以下のような変数を選ぶと良い。
セグメントのサイズと購買力を測る助けになる変数
セグメントにどのくらい効率的にリーチできるかを決める助けになる変数
顧客を引き付ける効率的なプログラムをつくる助けになる変数
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 15 / 58
1.5 Phase2: マーケット・セグメントを記述する
.Exhibit 3.5 一般的な記述変数..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 16 / 58
1.6 Phase3: セグメントの魅力を評価する..以下の 9つの指標で評価すると良い (Exhibit 3.6)。.Exhibit 3.6 セグメントの魅力を評価するための規準..
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規準 考慮事項の例I. サイズと成長1. サイズ 市場ポテンシャル、現在の市場浸透2. 成長 過去の成長、技術発達の予測II. 統計的特性3. 競合 参入障壁、撤退障壁、競合ポジション、応
酬能力4. 飽和 市場におけるギャップ5. 保護可能性 製品の特許資格、参入障壁6. 環境リスク 経済的・政治的・技術的変化III. 製品-市場適合性7. 適合 企業の強みとイメージに合致しているか8. 他セグメントとの関係 シナジー、コスト相互作用、イメージ転移、
カニバリゼーション9. 利益 参入コスト、マージンのレベル、投資利益
率
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 17 / 58
1.7 Phase4:セグメントを選択し資源を配分する
セグメントの選択には単純なヒューリスティクスが用いられることも多いが、GE流のマトリクスによる評価も有用である (Exhibit 3.7)。この場合の手順は:
...1 セグメントの魅力を評価する規準のなかから、重要な規準をいくつか選択。
...2 それらの規準に重みをつける。合意形成のプロセスが必要。
...3 各基準についてセグメントを評価する。
...4 評価の重みつき合計を求める
...5 得られた結果を眺める
...6 評価や重みを変えて確認する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 18 / 58
1.7 Phase4:セグメントを選択し資源を配分する
.Exhibit 3.7 セグメントの選択..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 19 / 58
1.7 Phase4:セグメントを選択し資源を配分する
基本的な選択肢は 5つある (Exhibit 3.8):
ひとつのセグメントに集中する
特化する複数のセグメントを選ぶ
あるセグメントに多様な製品を提供する
単一の製品を多数のセグメントに提供する
市場全体をカバーする (すべての製品をすべてのセグメントに提供する)
小さな企業は市場全体を選択するわけにはいかない。大企業であってもなんらかの選択は必要である。
いっぽう、ひとつのセグメントに集中するのはリスクも大きい。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 20 / 58
1.7 Phase4:セグメントを選択し資源を配分する
.Exhibit 3.8 製品-市場マトリクス..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 21 / 58
1.8 Phase5: ターゲット顧客を発見する
ある価値・ニーズを持つ人を特定するための 3つの戦略 (Forstythe, etal., 1999):
顧客の自己選択。製品や広告のリストから、自分のニーズにあったものを選ばせる。
スコアリング。判別分析 (後述)に基づき少数の設問を選び、聴取・判別する。
dual objectiveセグメンテーション。いくつか収集しやすいニーズ変数とデモグラフィクスを組み合わせる。
Exhibit 3.9: 通信会社の webサイトでのセグメント判別
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 22 / 58
1.8 Phase5: ターゲット顧客を発見する
.Exhibit 3.9 通信会社の webサイトでのセグメント判別..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 23 / 58
2. 市場を定義する
1. セグメンテーションのプロセス
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4. セグメンテーションの手法
5. 行動ベース・セグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 24 / 58
2. 市場を定義する
コトラーの定義: 「ある市場は、特定のニーズやウォンツを共有し、そのニーズやウォンツを満たすための交換に関与する意思を持ちかつ関与しうる、すべての潜在顧客からなる。」
伝統的な定義: 一般的タイトル+物理的特性。例:「コンパクトカー市場」
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 25 / 58
2. 市場を定義する
Exhibit 3.10-11: 市場を「電動タイプライター」と定義したら、A社のシェアは伸びている。市場を「ワードプロセッシング」と定義したら、A社のシェアは落ちている。.Exhibit 3.10-11 市場定義とシェア..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 26 / 58
2. 市場を定義する
Exhibit 3.12: 市場を定義する方法.Exhibit 3.12 市場を定義する方法 (Day et al., 1979)..
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購入・使用行動によるアプローチ需要の交差弾力性行動の類似性ブランド・スイッチング
顧客の知覚・判断によるアプローチ決定系列分析知覚マッピング技術代替性分析顧客による代替可能性判断
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 27 / 58
2. 市場を定義する
需要の交差弾力性:「製品 i の価格が上昇したせいで製品 j の需要が増大したら、i と j は同一の市場に属している」と考える。以下の限界がある:
企業が他者の価格変化に反応しないと仮定している。
静的であり、市場の構成する要素の変化に対応できない。
安定した市場においては交差弾力性を推定するのが困難。
行動の類似性: 例) ある症状に処方されている薬品群を、類似した治療価値を持つ薬品とみなす。
ブランド・スイッチング: スイッチング率の高いブランドは同一市場に属すると考える。(Exhibit 3.13)
こうした行動データに基づく方法は、市場がどうありうるかではなく、市場がこれまでどうだったかに焦点を当てている。これらを補完するために、顧客の知覚・判断に基づく方法が有用である。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 28 / 58
2. 市場を定義する
.Exhibit 3.13 ブランド・スイッチングによる市場定義..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 29 / 58
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
1. セグメンテーションのプロセス
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集3.1 測定の道具を開発する3.2 対象者を選択し累積する
4. セグメンテーションの手法
5. 行動ベース・セグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 30 / 58
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4つのステップ:
...1 測定の道具を開発する
...2 標本を選択する
...3 対象者を選択し累積する
...4 データを分析し市場をセグメント化する
詳細は市場調査の教科書に任せ、ここでは重要な点について触れよう。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 31 / 58
3.1 測定の道具を開発する
通常、以下のようなデータを収集する:
デモグラフィックな記述変数
心理学的な記述変数 ... 活動、関心、ライフスタイル
需要 ... 過去の購入・消費、将来の購入意向
ニーズ
態度 ... 製品への態度, 供給者への態度, 受容プロセス, etc.
メディア使用、流通チャネル使用
集めたデータは、ふつうデータ行列の形をとる。(Exhibit 3.14)
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 32 / 58
3.1 測定の道具を開発する
.Exhibit 3.14 データ行列..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 33 / 58
3.1 測定の道具を開発する
データ収集にあたって、以下の点に注意すること。
対象者は誰か。同じ世帯、同じ組織のなかにもさまざまな対象者がいる。
集めるデータは名義的か、評定尺度か。
測定尺度は同一か。
変数は相関していないか。例, 「サービスの質」と「時間通りの到着」。
外れ値をどう扱うべきか。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 34 / 58
3.2 対象者を選択し累積する
まず、母集団と抽出台帳 (sampling frame)を定義すること。
通常は、以下のような確率標本が用いられる。
単純無作為抽出
クラスタ抽出
層化抽出
層化抽出がお勧め。重要な層は多めに集めておくと良い。
同一世帯・同一組織の成員でもニーズは異なる (Exhibit 3.15)。決定に関わる人 (必要であれば複数人)に聴取すべき。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 35 / 58
3.2 対象者を選択し累積する
.Exhibit 3.15 対象者のタイプとニーズ..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 36 / 58
4. セグメンテーションの手法
1. セグメンテーションのプロセス
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4. セグメンテーションの手法4.1 因子分析によるデータの縮小4.2 クラスタ分析によるセグメントの形成: 連関の指標4.3 クラスタリング手法4.4 セグメンテーション・スタディの結果を解釈する
5. 行動ベース・セグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 37 / 58
4.1 因子分析によるデータの縮小
項目が相関しているとき、データをそのまま使うと誤った結論を得ることがある。また、関連のない変数を取り除くことも必要である。
そのために、因子分析で多数の項目を少数の因子に縮約してから分析することがある ∗。
∗セグメンテーションのための前処理として変数縮約を行うという考え方には、批判的意見も多いです (Arabie & Hubert, 1994)。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 38 / 58
4.2 クラスタ分析によるセグメントの形成: 連関の指標
セグメントを形成するためには次の 2点が必要である †(Exhibit 3.19):
要素間の類似性の指標を定義する
要素をクラスタに割り当てる方法を開発する
最も一般的な方法はクラスタ分析である。以下の点に注意。
多数の多様な変数を用いること。変数を多少増減させても結果に響かないように。
類似性の定義は変数のタイプによって異なる。尺度データには距離指標 (ユークリッド距離, ブロック距離)、名義データには一致指標を用いる。混在している場合は AIDのような手法のほうがよい。
変数間の距離を求める前に変数を標準化する場合がある。でもスケールそのものが大事な場合には標準化してはならない。
†類似性に基づく分類手法 (いわゆるクラスタ分析) の場合の話だと思います。AID のように外的基準を用いる場合、ないし潜在
クラス分析のような確率モデルの場合には、類似性の指標の定義は不要です。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 39 / 58
4.2 クラスタ分析によるセグメントの形成: 連関の指標
.Exhibit 3.19 クラスタ分析における距離の定義..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 40 / 58
4.3 クラスタリング手法
クラスタ分析の分類:
階層的手法集塊的手法 (agglomerative method)。項目をくっつけて塊をつくり、徐々に大きくしていく。単連結法、完全連結法、平均連結法、Ward法など。(Exhibit 3.21-22)分割的手法 (divisive method)。AIDなど。(Exhibit 3.24)
非階層的手法。k-means法など。クラスタ数はマネジリアルな観点ならびにデータの性質 (群内分散と群間分散の比)によって決める。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 41 / 58
4.3 クラスタリング手法
.Exhibit 3.21 単連結法と完全連結法..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 42 / 58
4.3 クラスタリング手法
.Exhibit 3.22 Ward法..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 43 / 58
4.3 クラスタリング手法
.Exhibit 3.24 AID..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 44 / 58
4.4 セグメンテーション・スタディの結果を解釈する
以下の点に注意。
クラスタ数の決定。マネジリアルな観点から決めること。
クラスタの良さ。名前がつけられるか、直感的に意味があるか、に留意する。
クラスタが存在しないという可能性も忘れないこと。
クラスタの記述には、まずはプロファイリングが有用 (Exhibit 3.25)。
さらに、判別分析によってセグメントを区別する少数の変数を見つけることができる (Exhibit 3.26)。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 45 / 58
4.4 セグメンテーション・スタディの結果を解釈する
.Exhibit 3.25 セグメントのプロファイリング..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 46 / 58
4.4 セグメンテーション・スタディの結果を解釈する
.Exhibit 3.26 判別分析..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 47 / 58
5. 行動ベース・セグメンテーション
1. セグメンテーションのプロセス
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4. セグメンテーションの手法
5. 行動ベース・セグメンテーション5.1 クロス分類5.2 回帰分析5.3 選択ベースのセグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 48 / 58
5. 行動ベース・セグメンテーション
前章では、ベース変数群からセグメントを構築する場合について考えた。
本章では、単に「購入見込みが高い」個人を特定する場合を考える。次の3つの方法について述べる:
クロス集計
回帰分析
選択モデル
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 49 / 58
5.1 クロス分類
クロス集計表を作成し、購入見込みが高い人のセルを見つける。分類変数が多いときには現実的でない。分類変数が連続的だと分割点の選択が難しい (Exhibit 3.27)。.Exhibit 3.27 クロス集計表..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 50 / 58
5.2 回帰分析
消費を表すなんらかの指標を従属変数、社会経済的変数やデモグラフィック変数を独立変数にして重回帰分析を行う。
例. MaCann(1974):
消費財 29ブランドについて、さまざまな反応指標 (広告感受性、価格感受性、プロモーション感受性)におけるセグメント間差異を説明するための回帰分析を行った。
使用率、世帯年収、年齢、地域人口、世帯サイズ、雇用状態が有意であることが示された。
これに基づき、各セグメントの有望性を定量化することができた。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 51 / 58
5.3 選択ベースのセグメンテーション
個人レベルでの購入確率をモデル化する。ダイレクト マーケティングでよく用いられる。
たとえば、デモグラフィクス変数、過去の購買, などの変数を x1, x2, ...として、
(Probability of Purchase) =1
1 + exp(b0 +∑
bixi )
個人ごとの収益性を評価できる (Exhibit 3.28)。複数ブランドについてモデル化し、より有用なセグメントを得ることもできる (Exhibit 3.29)。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 52 / 58
5.3 選択ベースのセグメンテーション
.Exhibit 3.28 選択ベースのセグメンテーション..
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 53 / 58
5.3 選択ベースのセグメンテーション
.Exhibit 3.29 複数ブランドについての選択モデル..
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市場を自社ロイヤル層、自社優位層、スイッチ可能層、競合ロイヤル層に分割している。
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小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 54 / 58
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
1. セグメンテーションのプロセス
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4. セグメンテーションの手法
5. 行動ベース・セグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 55 / 58
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
ここまでで考えてきたモデルでは、すべての顧客が同一の購買確率ルールに従うと想定してきた。しかし、顧客のなかでのルールの異質性も説明する必要がある。
顧客の異質性は以下のふたつに分けられる:
観察される異質性 (例, 性別によるちがい)。独立変数 (性別)を選択モデルに含めればよい。
観察されない異質性 (例, 価格感受性のちがい)。有限混合モデリングが使われることが多い。
構築されたモデルのデータに対する適合度を測る指標としては、out-of-sampleケースへのヒット率、AIC,BIC,CAICなどが使われている。
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 56 / 58
7. STPプロセスを実装する
1. セグメンテーションのプロセス
2. 市場を定義する
3. セグメンテーション調査: データの設計と収集
4. セグメンテーションの手法
5. 行動ベース・セグメンテーション
6. 選択モデルにおける顧客の異質性
7. STPプロセスを実装する
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 57 / 58
7. STPプロセスを実装する
多くの組織において、STPプロセスを実装する際の障害になるのはマーケティングに関わる組織である。「ブランドマネージャー」「マーケティングマネージャー」「広告マネージャー」etc.が顧客に焦点を置くのは難しい。「顧客セグメントマネージャー」が必要である。
STPプロセスが実装されてからも、その妥当性の継続的モニタリングが必要である。セグメンテーションとはオン・ゴーイングな戦略決定過程である。
おわり
小野 滋 (インサイト・ファクトリー) Lilien & Rangaswamy (2004) Chapter 3 ME 読書会 : 2014/07 58 / 58
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