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オラクル・ビジネス・ホワイトペーパー

2009年 4月

応答性の向上による

顧客ロイヤリティの強化

Page 2: インメモリ・データグリッド/分散キャッシュ入門 - 応答性の向上による顧客ロイヤリティの強化

概要 ............................................................................................................................................... 1

はじめに: Eコマースが直面するデータ管理上の課題.................................................................. 2

解決策: インメモリ・データグリッド .......................................................................................... 4

4つのケース・スタディ................................................................................................................ 5

ケース・スタディ 1: Webサイトの予測可能な応答パフォーマンスと稼働率......................... 5

ケース・スタディ 2: 統合された連続的な顧客体験................................................................. 6

ケース・スタディ 3: 社内アプリケーションのパフォーマンスとスループットの向上 .......... 8

ケース・スタディ 4: 成長の管理............................................................................................ 10

ミッションクリティカル: コストは度外視できるか? ................................................................ 11

Oracle Coherence: 製品とテクノロジーの概要 ......................................................................... 12

Oracle Coherenceの特長 ....................................................................................................... 12

結論 ............................................................................................................................................. 14

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概要概要概要概要

昨今の景気低迷により、どの企業も投資や継続的な支出をくまなく精査する必要に迫られていま

す。金融市場が逼迫するなかで、キャッシュフローは重大な問題です。民間企業も政府機関も一

様に、コスト削減と効率性向上の方法を模索しています。オンライン・ビジネスは、同等の物理

的なチャネルに比べて初期投資が少なくて済み、継続的なコストも低く抑えられることから、そ

の魅力を増しつつあります。

しかし、オンライン・ビジネスあるいはオンライン・チャネルを設立して成功を収めるには多く

の課題があります。参入障壁が低い、競争が熾烈、顧客のスイッチング・コストが極めて低い、

などがその一例です。Webサイトが稼働しているからといって、それが魅力的で効果を上げて

いるとは限りません。Webサイトが構築され、ユーザー基盤が急速に拡大し始めると、Webサ

イトを支える技術インフラがそれまで以上に重要となります。サイトの稼働率、応答速度、信頼

性が成功には不可欠であるからです。一貫した顧客体験の実現、新しい機能やオファー、サービ

スの迅速な導入、実験的な方策とリスク負担、成功または失敗の追跡、そして軌道修正が可能な

俊敏性を持つことが求められます。ビジネスの成長と需要の予測不可能性に対応できることが成

功への必要条件なのです。ミッションクリティカルなWebアプリケーションを支えるうえでテ

クノロジーは重要な役割を果たします。競合他社と闘う武器として用いれば市場でのリーダー

シップをもたらしてくれますが、無視すれば失敗の原因にもなり得ます。

Oracle Fusion Middlewareポートフォリオは、保証付きの信頼性と業界トップレベルのパフォー

マンスを保証する一連の堅牢な製品を、アプリケーション層とデータ層に提供します。業界を

リードするインメモリ・データグリッド製品である Oracle Coherenceは、上で述べた問題のユ

ニークな解決策をコスト効果の高い予測可能な方法で提供するとともに、データ・センターのグ

リーン化を推進します。

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はじめにはじめにはじめにはじめに: Eコマースコマースコマースコマースがががが直面直面直面直面するするするするデータデータデータデータ管理上管理上管理上管理上のののの課題課題課題課題

景気の低迷により、企業はコストの削減とより効率的なチャネルの模索を余儀なくされています。

ビジネス・チャネルとしてのインターネットの利用はますます一般化しており、インターネット

が唯一のチャネルとなる場合さえあります。しかし、Eコマースで成功を収めるまでには大きな

課題が待ち受けています。この課題の多くは、目標とする正しいマーケット・セグメントの識別、

適切な顧客体験を提供するWebサイトの構築、Webサイトの使いやすさ、Webサイト訪問者の

匿名性、コンバージョン率の低さ、ショッピング・カートに商品を入れた後の購買の中断といっ

たビジネス上の問題です。

企業のオンラインでの成功において、テクノロジーは重要な役割を果たします。テクノロジーそ

のものがオンライン・ビジネスを成功させることはできませんが、堅牢なテクノロジーが欠如し

ているために顧客が大きな不利益を被る可能性はあります。言い換えれば、バックエンド・テク

ノロジーはミッションクリティカルなWebアプリケーションにとって、成功の必要条件なので

す。Webアプリケーションの実現に関わるテクノロジーとして一般的なものには、Webコンテ

ンツを表現するためのWebポータルやその他の UIツール、実際のアプリケーション・ロジック

を配置するWebアプリケーション・サーバー、データの保存と操作(CRUD: 作成、読取、更新、

削除)のためのデータベース・サーバーがあります。

Webアプリケーションではデータの可用性と管理がきわめて重要です。Webアプリケーション

でユーザーが体感する処理の流れや操作性(顧客体験)は、内部的なセッション・データの可用

性と管理、および保存方法に大きく依存しています。このホワイトペーパーでは、ミッションク

リティカルな Web アプリケーションにおけるデータの可用性と管理に焦点を絞って解説します。

最先端のデータ管理テクノロジーは、次のような効果をもたらします。

• Webサイトのパフォーマンス(Webサイトの稼働率、応答速度、信頼性など)が大幅に向上

• 一貫した顧客体験 – 顧客視点での一貫した、まとまりのある操作性やフロー、アクション

• 新しいオファーやサービスの迅速な導入、実験的な方策とリスク負担、成功または失敗の追

跡、軌道修正が可能

• 競合他社の予期しない策略にも即座に対応可能

• ビジネスの予測不可能性への対応 – ビジネスの成長、顧客需要の変動、予測不可能なサプラ

イチェーンへの対応が可能

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多くのWebアプリケーションでは、アプリケーション・データはデータベース、メインフレー

ム、バックエンドの業務データ・ストアのいずれかに格納されます。データ管理をこうしたバッ

クエンド・システムのみに委ねることで発生する問題は多岐にわたります。

• データベースの応答パフォーマンスが予測できない –

バックエンド・システムはWebアプリケーション専用のリソースではないため、アプリケー

ションへの応答が遅く、顧客の期待に応えられない場合があります。バックエンド・システ

ムのサイクルを他のアプリケーションが消費している、システムが停止している、システム

への接続が失われている、などの原因が考えられます。

• データ生成量によりバックエンド・システムに負荷がかかる –

Webアプリケーションを通じて生成されるデータの量が非常に多く、急激に増大する場合が

あります。特に、ビジネスが成功している場合にその傾向が顕著です。たとえば、保険会社

の顧客プロファイル・データは 1MBを超えることもあります。そのため、何万もの顧客がプ

ロファイルを絶えず更新すると、このような用途での利用は意図していなかった後付けの

バックエンド・システムに多大な負荷が加わります。また、バックエンド・システムに依存

する他のアプリケーションまでもが危険にさらされます。

• ビジネスの成長に合わせてバックエンド・システムを容易にコスト効率よく拡張できない –

昨今の不確実な経済情勢のなかで、企業も消費者の購買パターンも変化しています。どの企

業も製品の提供に関する試みを重ねたうえで、売れ行きのよい製品ラインは拡大し、そうで

ないものは縮小することができなければなりません。つまり、企業のアプリケーションを支

えるインフラには動的であることが求められるのです。ビジネスの継続性を危険にさらさず

に、予測不可能な成長に迅速かつ容易に対応できること、そして売れ行きのよくない製品ラ

インの維持にかかるコストを削減する、つまり成功を収めているプロジェクトに迅速かつ容

易にインフラを振り向けて再利用できることが必要です。おそらく成熟度の高いテクノロ

ジーをベースに開発されているバックエンド・システムは、データの増大に対応して無制限

に拡張し、データ量が 100GBであれ 100TBであれ変わらない応答パフォーマンスやスルー

プット・パフォーマンスを提供し続けるように構築されてはいません。

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解決策解決策解決策解決策: インメモリインメモリインメモリインメモリ・・・・データグリッドデータグリッドデータグリッドデータグリッド

ミッションクリティカルなWebアプリケーション用の高度なデータ管理ソリューション、それ

はメモリ内でデータを分散させてキャッシュするインメモリ・データグリッドです。ごく簡単に

言えば、インメモリ・データグリッドにより、データを確実に、アプリケーションがすぐに利用

できる形でアプリケーション層に保存することが可能になります。データがWebアプリケー

ションと隣り合わせに存在すると考えればわかりやすいでしょう。その結果、データへのアクセ

スがきわめて高速になり、バックエンド・システムへの負荷、リスク、依存性も軽減されます。

また、バックエンド・システムへの同期または非同期のデータ書込みが可能になります。非同期

の場合、データが書き込まれるのは変更が永続的であるときに限られ、一時的なデータはメモリ

に留まります。

インメモリ・データグリッドは比較的新しい技術革新であり、市場でこのソリューションを提供

しているベンダーは数社です。ただし、すべてのインメモリ・データグリッドが同様に構築され

ているわけではありません。Oracle Coherenceインメモリ・データグリッドは上で説明したパ

フォーマンス上の優位性を備えていますが、この点では競合他社の製品も同じです。しかし、そ

のフォルトトレラント性に優れたアーキテクチャにより、Oracle Coherenceインメモリ・データ

グリッドは高い信頼性と予測可能かつ直線的なスケーラビリティを実現します。さらには、

Oracle Fusion Middlewareポートフォリオの製品であるWebLogic Server(多くのWebアプリケー

ションで選ばれているアプリケーション・サーバー)とWebLogic Portal(多くのWebアプリケー

ションのプレゼンテーション・レイヤーで使用されている主要なポータル製品)ときわめて緊密

に事前統合されています。Oracle Fusion Middlewareの一コンポーネントである Oracle Coherence

を使用すれば、データをアプリケーションに近い場所に配置してアクセスを高速化することがで

きます。透過的、自動的、かつ動的に、複数のサーバーにわたってメモリ内でデータをパーティ

ション化することにより、Oracle Coherenceはサーバー障害時にもデータの可用性とトランザク

ションの整合性が継続的に維持されるよう支援します。共有インフラである Oracle Coherenceは

データのローカル性とローカル処理能力を組み合わせて、リアルタイムのデータ分析、インメモ

リ・グリッド計算、並列トランザクション処理を実行します。

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4つのつのつのつのケースケースケースケース・・・・スタディスタディスタディスタディ

このホワイトペーパーでは、4つのケース・スタディを取り上げ、それぞれのケース・スタディ

でミッションクリティカルなWebアプリケーションについて紹介します。顧客のビジネス要件

は、ケースごとに異なっています。この 4つのケース・スタディは、ビジネス上の課題とそれに

対応する ITの課題、目前に迫った特定の問題を Oracle Coherenceがどのように解決したか、そ

の結果企業がどのような利益を享受したかをまとめたものです。

ケース・スタディ 1: Webサイトの予測可能な応答パフォーマンスと稼働率

Visaが 2008年 11月に発表した Eコマース追跡調査の結果によると、調査の対象となったアジ

ア太平洋地域のインターネット・ユーザーは、過去 12カ月で 1人当たり平均 3,000ドル以上を

オンライン購入に費やしたと回答しました。Techcrunchies.comは、2009年の英国のオンライン

購入者 1人当たりの平均オンライン支出額を 3,350ドルと予測しています。顧客のスイッチン

グ・コストは非常に低く、実際には 1回のマウス・クリックにすぎないことから、オンラインの

業界において自社のオンライン顧客を失ってしまうという事態は繰り返し発生する現象であり、

収益に多大な悪影響を与えます。

「当社では、サイトの応答と稼働率が最も重要なビジネス・メトリックとなっています」と語る

のは、大手オンライン・ソーシャル・ネットワークのエンジニアリング・ディレクターです。サ

イトの応答パフォーマンスが低ければ、ページの表示に時間がかかりすぎ、訪問者はしびれを切

らしてしまいます。さらにはサイトへの興味を失い、似たような製品や競合他社の製品が販売さ

れているサイトへ移動するのが一般的です。稼働率に問題がある場合、そのWebサイトは常に

利用可能ではありません。つまり、Webサイトを訪問しようとしてもサイトが稼働していない

のです。こうした問題は不快な顧客体験を生むため、訪問者数の減少、1訪問当たりの取引数の

減少、収益の損失へとつながり、最終的には顧客損失の原因となります。

ITの観点から見ると、このような課題にはさまざまな理由があります。

• アプリケーションのインフラを支える 1つ以上の技術的コンポーネントが稼働していない。

多くの場合、アプリケーション・サーバーまたはデータベース・サーバーです。

• アプリケーション・インフラのいずれかのコンポーネントに負荷がかかりすぎている – イン

フラの処理可能な量を超えるトラフィックまたはトランザクションがWebサイトに集中して

いる。

• トランザクションによって生成される業務データがボトルネックとなっている – トランザ

クションによって生成されるデータの量をシステムが処理できない。顧客が予想を超えるサ

イズのプロファイルを作成している、トランザクションの監査証跡データが予想より大きい、

などの原因が考えられます。

Overstock.comは、ディスカウントのブランド商品をインターネット経由で販売する、オンライ

ンのディスカウントショップです。2007年のサイバー・マンデーに最もトラフィックの多かっ

た小売Webサイトのトップ 10にランクインした Overstock.comは、特に 1年のうちで最もオン

ライン・ショッピングの盛んな日に発生する大量の予測不可能な負荷を考えれば、同社のインフ

ラにボトルネックが発生する可能性があると予測していました。

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comScoreによると、2007年のサイバー・マンデーには 7億 3,300万ドルの売上が記録されまし

た。「2007年 11月 26日のサイバー・マンデーには信じがたいほどの混乱が起こった」と Vizion

Interactiveは報告しています。Webアプリケーションを支えるインフラが、サイバー・マンデー

に予想される膨大な量のトランザクションを処理できないだろうという Overstock.comの予測は

正しいものでした。具体的には、Overstock.comはデータの可用性とデータ操作がボトルネック

と競合の原因になるであろうことを特定していたのです。同社は、応答性が低下して顧客満足度

の低下や取引の損失、顧客の損失が生じる危険にさらされていました。

「オンラインの買い物客は、商品を検索したら的確な応答が即座に得られるものと期待しています。検索

処理に 1秒以上かかれば、お客様は他のサイトへ移動してしまいますので、信頼性と潜在的な売上を失う

ことになります」

―――― Overstock.com、、、、SVPテクノロジーテクノロジーテクノロジーテクノロジー担当担当担当担当 Sam Peterson氏氏氏氏

Overstock.comは、Webアプリケーション用の分散キャッシングを実現するために Oracle

Coherenceを選択しました。Overstock.com社内の熟練した Java開発チームを活用したため、Oracle

Coherenceの実装開始から終了までの期間はわずか 2カ月でした。Oracle Databaseと Oracle Real

Application Clustersが Overstock.comのアプリケーション・アーキテクチャのデータ基盤となり

ました。Oracle Coherenceにより、予測可能なパフォーマンス、スケーラビリティ、耐障害性、

可用性が実現しました。

Oracle Coherenceを使用することで、Overstock.comは検索頻度の高いデータへの高速で信頼性の

高いアクセスを可能にしています。その結果、顧客が行った検索への応答時間は約 100%、ガイ

ド形式のナビゲーションにおける応答時間は 200%以上短縮されました。こうした改善は、コン

バージョン率と収益の向上にも結び付いています。

Overstock.comのテクノロジー担当シニア・バイス・プレジデント、Sam Peterson氏は次のよう

に述べています。「1年のうちで最もショッピングの盛んな日であるサイバー・マンデーに Oracle

Coherenceのテストを実施したのですが、追加のワークロードにもかかわらず、お客様による検

索に対して常に高いパフォーマンスが得られたことにとても満足しました」

「Oracle Coherenceは当社にきわめてスケーラブルなキャッシング・ソリューションをもたらし

ました。このソリューションはプレゼンテーション・レイヤーとバックエンドの検索レイヤー間

のバッファの役割を果たすことで、検索頻度の高い項目の応答時間を短縮します」Overstock.com

のシニア・アーキテクト、Allen Bettilyon氏はこう付け加えます。「Oracle Coherenceによる強力

な処理レイヤーを手に入れましたので、このテクノロジーの興味深い用途が他にも数多く生まれ

ることを期待しています」

ケース・スタディ 2: 統合された連続的な顧客体験

顧客の満足とリピート客獲得のためには、顧客が感覚的にすべてのWebページを利用できる状

況(一貫した顧客体験の提供)が不可欠です。「サービス提供者(サービスプロバイダ)には、

提供サービスの統合、集約、融合させる方法を模索している方が依然として見受けられます」と

AT&Tブロードバンド担当バイス・プレジデント、Kieran Nolan氏は語ります。「そうしたサー

ビス提供者は、商品/サービスの種類や数に関係なく、すべてに対して、統合・集約・融合させ

ることによって得られる有益性を吟味しているのです。」

多くの企業が直面する課題のひとつに、自社のWebサイトがそれぞれ異なる事業部門によって

提供されるさまざまなブランドや商品・サービスで構成され、それらが未統合であるということ

があります。統合には時間やコストがかかりすぎ、リスクも大きすぎるというのがその理由です。

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このようなWebサイトで取引をすることは、自身のテレコム・サービス・プロバイダから「ロ

マンチックなディナーと映画」のパックを購入するようなものです。最初のステップとして映画

を購入した後、顧客はお薦めレストランのリストが掲載されたWebサイトに単に誘導されるだ

けで、そこでまた「ロマンチックなディナー」を個別に購入しなければなりません。これでは、

最適な顧客体験とはとても言えません。

統合された体験を提供するうえで重要なのは、バックエンド・データ(メタデータと業務データ

の両方)を統合する機能です。顧客データ、購買データ、行動様式データを統合するのは容易な

ことではありません。こうしたデータは、異なる時期に開発された異なるシステムに格納されて

おり、アーキテクチャやデータ定義、保存基準も異なるのが一般的です。実行時には、異なる商

品・サービスを支える複数のアプリケーションが存在し、単一の一元的データ・レイヤーに業務

データを保存することが難しいのですが、それこそが、”一貫した顧客体験” の提供のために重

要な働きをするものなのです。

顧客顧客顧客顧客 – グローバルグローバルグローバルグローバルなななな衣料品小売業者衣料品小売業者衣料品小売業者衣料品小売業者

世界各国に 3,000以上の店舗を展開し、150億ドル超の収益を上げるグローバルな衣料品小売業

者は、男性、女性、子供向けのベーシック衣料の象徴的なカジュアル・ブランドを確立しました

が、年月とともに企業買収を通じて規模を拡大し、現在ではいくつものブランドを所有していま

す。同社のブランドの運営と管理は、それぞれ異なるシステムの異なるドメイン、異なるアプリ

ケーション・サーバーで行われていました。物理的な店舗については、この方式でうまく行って

います。

この方針によって、オンライン・チャネルの顧客は、異なるブランドを異なる店舗として扱うこ

とを求められました。あるブランドでの買い物を精算し、支払いを行った後、次のブランドでま

た買い物するというような操作が必要だったのです。この未統合の顧客体験は、顧客満足度の低

下と収益の減少の原因となっていました。

この小売業者は、4つのブランド、つまり 4つのアプリケーションに対応した一元的なデータ層

を構築するために、Oracle Coherenceを選択しました。Oracle Coherenceを使用することで、4つ

のアプリケーションはメモリ内の単一データ・リポジトリを介してユーザー・セッション・デー

タ(顧客が各種アプリケーションとやり取りする際に生成されるデータ)を共有できるようにな

ります。そのため、4つのアプリケーションのすべてから業務データの読取りと更新が行えます。

現在では、顧客がブランド 1の商品をショッピング・カートに入れてブランド 2に移動すると、

ショッピング・カートも一緒に移動します。こうして、統合された顧客体験が実現しました。

メモリ内のデータは、個々の障害の際にもユーザー・セッションが確実に保持されるように、共

有メモリ・グリッド全体の中でひとつ複製されます。したがって、ユーザーがセッション損失の

問題に遭遇することはありません。つまり、ブランド 1で購入手続きを行わずにブランド 1から

ブランド 2に移動した場合に、ブランド 1に戻ったらセッション状態が失われていたという事態

は発生しないのです。Oracle Coherenceを使用すれば、セッション・データは決して失われず、

ユーザーのショッピング・カートには商品が選択された状態が維持されます。ユーザー・セッショ

ン・データがアプリケーションに近い場所に格納されるようになったため、ユーザーが体感する

パフォーマンスも向上します。

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WebLogic ServerがWebアプリケーション実行時のインフラであり、Oracle CoherenceにWebLogic

Serverとの事前統合機能が用意されていたため、この小売業者のインフラに Oracle Coherenceを

組み込むためのコード変更は不要でした。その結果、開発期間が短縮され、コード変更に伴うリ

スクも軽減されました。

こうした改善策のすべてが顧客体験の大幅な向上に結び付きました。現在では、ブランドを横断

した商品検索が可能です。4つではなく 1つのショッピング・カートで買い物を済ませられるた

め、顧客は配送コストの削減というメリットも享受しています。注文した商品がまとめて出荷さ

れ、まとめて届くため、顧客体験の向上だけでなく環境にも優しい仕組みであるといえます。さ

らに、顧客はWebサイトのパフォーマンスとユーザー・セッションの信頼性の向上を体感する

ことができます。

このように顧客体験が統合されたことで、この小売業者のオンライン・チャネルでの売上は 2005

年から 2007年の間にほぼ倍増しました。

ケース・スタディ 3: 社内アプリケーションのパフォーマンスとスループットの向上

顧客体験は、企業と顧客との間の直接的なインタラクション・チャネルに依存するだけでなく、

企業内部の業務効率によっても大きく左右されます。こうした社内業務は、次のカテゴリに分類

されるシステムまたはアプリケーションによって支えられています。

• 顧客とのリアルタイムのやり取りで使用されるアプリケーション。たとえば、オンライン小

売業者の顧客サービス管理アプリケーション、テレコム・サービス・プロバイダの注文入力

アプリケーション、保険会社の融資処理アプリケーションなどがあります。

• 顧客サービスや顧客が注文した商品の調達に関連した機能を提供するアプリケーション。た

とえば、トラブル・チケット・システム(トラブル・チケットの記録とトラブル・チケット

のワークフロー促進のためのシステム)や注文調達管理システム(顧客の注文が到着した後

の注文品の調達処理を促進するためのシステム)などがあります。

パフォーマンスや成長の面でこうしたアプリケーションが抱える課題は、ケース・スタディ 1

で説明した状況に似ています。多くの場合、アプリケーションはビジネスの成長によって生じる

需要を満たしていくことができません。アプリケーションを支えるハードウェア・コンポーネン

トやコンピューティング・リソース(アプリケーション・サーバー、データベース、ポータル・

サーバー)は、当初のシステム設計を超えるトランザクション量に対応できません。その結果、

システムに過大な負荷がかかり、パフォーマンスが低下することが多いのです。このことは、顧

客に対しても次の例に示すような直接的な影響を及ぼします。

• オンライン書籍小売業者への顧客の注文に対して調達がタイムリーに行われない。注文量が

増加したため、その顧客が注文している間に入力された他の注文に注文処理システムが対応

できなかったことが原因です。

• 顧客サービス担当者による注文受付に時間がかかりすぎ、見込み客が不満を感じたり、最悪

の場合は見込み客を失ってしまう。

• 融資処理アプリケーションで時間がかかりすぎ、収益(融資の処理が速ければ速いほど、収

益ストリームが早く開始される)や顧客満足度に悪影響を与える。

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顧客顧客顧客顧客 – 大手金融大手金融大手金融大手金融サービスサービスサービスサービス会社会社会社会社ののののポータルポータルポータルポータル・・・・アプリケーションアプリケーションアプリケーションアプリケーション

2兆円を超える資産を保有し、60カ国以上で事業を展開する大手グローバル金融サービス会社は、

顧客のアカウント情報を格納・表示するポータル・アプリケーションを運用していました。顧客

が物理的に銀行の支店を訪れたり、電話をかけてくると、アカウント・マネージャは顧客に対応

しながらこのポータル・アプリケーションとリアルタイムにやり取りします。同社は、このアプ

リケーションの応答パフォーマンスに関連した重大な課題に直面していました。このアプリケー

ションはアカウント情報が表示されるダッシュボードです。ダッシュボードがバックエンド・

データにアクセスしたときの応答は断続的で遅く、特にトラフィックが多い場合にその傾向が見

られました。その結果、顧客は長時間待たされることとなり、不満を感じます。アカウント情報

の受信とその後のアカウント処理に時間がかかっていたため、トランザクションがシステムを通

過する速度は予想を下回っていました。

こうした問題が生じる技術的な要因となったのは、バックエンドのデータベースとメインフレー

ム・システムをユーザー・アカウント・データの保存や取出しに使用していたことです。ダッシュ

ボード・アプリケーションはWebLogic Portal上に位置していたため、WebLogic Portalはデータ・

アクセスのたびにバックエンドのメインフレーム・システムとデータベースにアクセスしなけれ

ばなりませんでした。ユーザー・セッション・データはWebLogic ServerとWebLogic Portalで管

理されていました。ユーザー・セッションが非常に大きくなると、WebLogic Portalのキャッシュ

はユーザー・セッションを管理することが困難な状況に陥っていました。

WebLogic Portal上のポータル・アプリケーションにキャッシング機能を提供するため、Oracle

Coherenceが導入されました。現在、WebLogic Portalは Oracle Coherenceをキャッシング・メカ

ニズムとして使用するとともに、セッション管理(セッション・データの共有とセッションの保

持)としても利用しています。その結果、すべてのアプリケーションが文字どおり無制限の量の

メモリを持ち、その中にユーザー・セッションを保持するようになりました。大きなセッション

は Oracle Coherenceのキャッシュに保持されます。オンライン・トランザクションやアカウント

へのアクセスの目的でバックエンド・データベースにアクセスする必要はありません。ユーザー、

トランザクション、セッションのデータは、バッチ更新としてのみバックエンド・システムにアッ

プロードされます。このソリューションを導入するにあたり、既存アプリケーションのコードの

変更は一切不要だったため、業務上のリスクが軽減され、変更のためのプロセスは短期間で終了

しました。

Oracle Coherenceの実装により、アプリケーションの無制限のスケーラビリティというさらなる

メリットも得られました。繰返しになりますが、このアプリケーションのユーザーやトランザク

ションの数が増加した場合は、サーバーを追加してデータが格納されているデータグリッドのサ

イズを大きくするだけで、データ増加のニーズを満たすことができます。

Oracle Coherenceを使用することで、同社はトランザクション速度の倍増と待ち時間の 60%短縮

を実現しました。

パフォーマンスの向上に加えて、同社はこのミッションクリティカルなアプリケーションの災害

時リカバリ機能も求めていました。Oracle Coherenceには「少なくともひとつ以上」データを内

部的に自動複製する機能を備えています。それに加えて、Oracle Coherenceは、データ保存レイ

ヤー全体で単一障害点がない構造になっています。Oracle Coherenceノードは、ローカル・エリ

ア・ネットワーク(1つのオフィスにある部門のデータ・センター内など)内でお互いに連携し

ますが、さらにはワイド・エリア・ネットワークを超えて(それぞれ異なる場所にある複数のデー

タ・センター間など)も連携できます。そのため、特定のデータ・センターで災害が発生しても、

他の地理的位置にある Oracle Coherenceノードが処理を引き継げるので、企業の業務データは災

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害に関係なく利用可能な状態が維持されます。影響を受けたデータ・センターが復旧した時点で、

Oracle Coherenceノードを他の場所と同期させ、業務に再度利用することができます。

ケース・スタディ 4: 成長の管理

多くのオンライン・ビジネスは、基盤となるテクノロジーよりも速いスピードで成長しています。

これは喜ばしい兆候ですが、成長がもたらす課題にはさまざまなものがあります。

• 成長が予測できない – 企業は一定の期間内に一定の事業分野で一定の規模の成長を遂げる

ことを予測しますが、予定したとおりになるかどうかは誰にもわかりません。このことは、

投資の面から見ると不確実性につながります。企業は、予測した成長に対応するためには投

資を惜しみませんが、投資が多すぎればコストがかさみ、容量過多となる一方で、少なすぎ

る場合にはパフォーマンス低下の危険が生じます。

• 企業はビジネスの継続性を無視できません。現在のビジネス、そして現在の顧客の成功に集

中し、成功を支える最新のテクノロジーとインフラを確実に導入して完全に機能させること

に力を注ぐことがきわめて重要です。

企業は、ビジネスとともに容易にコスト効率よく拡大・成長するインフラ・テクノロジーを求め

ています。また、ビジネスの成長に合わせてWebサイトのパフォーマンスや稼働率、信頼性な

どのビジネス要件をサポートするアーキテクチャとそれを支えるインフラも求めています。

Hotwire.com®は、格安旅行の大手Webサイトです。顧客基盤が拡大し、検索件数が増加するに

つれて、Hotwire.comのアプリケーション・インフラは継続的な成長に対応できるスケーラブル

なソリューションを必要とするようになりました。

「当社のビジネスは成長を続けていますので、当社のサイトを訪れて低価格の旅行を探すお客様が増える

につれ増大するトラフィック量にも対応できるインフラを用意しておくことが絶対に必要なのです」

-- Hotwire Group社長社長社長社長、、、、Eric Grosse氏氏氏氏

いくつもの選択肢を評価し、詳細なテストを実施した後、Hotwire.comは Oracle Coherenceと、

Oracle WebLogic Serverおよび Oracle TopLinkをはじめとするその他の Oracle Fusion Middleware

コンポーネントの導入を決定しました。これらの製品を使用することで、より効率的かつスケー

ラブルで、応答性に優れたアプリケーション・インフラが実現し、同社のWebサイトが求める

24時間 365日の超高速トランザクション処理(Extreme Transaction Processing: XTP)の要求を満

たすことができます。

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オラクルオラクルオラクルオラクル・・・・ホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパー – 応答性応答性応答性応答性のののの向上向上向上向上によるによるによるによる顧客顧客顧客顧客ロイヤリティロイヤリティロイヤリティロイヤリティのののの強化強化強化強化

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Hotwire.comは、1カ月足らずでアプリケーション・インフラのアップグレードを終えました。

現在では、1日当たり数十万件の検索を実行する数百万の顧客に対応しながら、トラフィックの

ピーク時にも最適なパフォーマンスを維持することができます。

Hotwire.comは、Oracle Coherenceを利用してインメモリ・パフォーマンスと分散キャッシングの

機能を実現し、ボトルネックの緩和、データ競合の低減、Javaアプリケーションの応答性向上

に役立てています。また、Oracle Coherenceを使用することで、直線的かつ動的な拡張が可能に

なり、パフォーマンスの予測可能性とリソースの使用率が向上します。たとえば、アクセス頻度

の高いデータ(サイトの週刊ニュースレターに広告が掲載されたために顧客が調べている格安商

品など)をメモリ内のアプリケーションに近い場所に保存することができます。これにより、ネッ

トワークのトラフィックとデータベースの負荷が減少し、スタック全体でパフォーマンス全般が

向上します。

さらに、サーバーが動作不能になったり、ネットワークから切断された場合には、自動的かつ透

過的にフェイルオーバーを行い、キャッシュ・データをグリッド全体に再分散することで、ピー

ク時のパフォーマンスを常に維持することができます。

「Oracle Coherenceと Oracle WebLogic Serverをインフラのバックボーンとして使用することで、

ビジネスに求められるトランザクション処理要件を効率的に管理しながら、お客様のユーザー体

験と成果を高められるようになりました」と Hotwire Group社長の Eric Grosse氏は語ります。

オンライン旅行業は、基盤となるテクノロジーよりも速いスピードで成長した業界の代表的な例

です。インメモリ・データグリッドと高性能なアプリケーション・サーバーをコモディティ・ハー

ドウェア上に配置することで、Hotwire.comなどの企業は XTP要件に対処しながら、ビジネス目

標と顧客ロイヤリティの目標を達成しています。

ミッションクリティカルミッションクリティカルミッションクリティカルミッションクリティカル: コストコストコストコストはははは度外視度外視度外視度外視できるかできるかできるかできるか?

企業は、ミッションクリティカルなアプリケーションには多額の投資を行う傾向があります。こ

れは、失敗したときのコストがあまりに大きく、顧客満足度の低下や顧客の損失、評判の低下、

コンプライアンス違反に加えて、最悪の場合には深刻な法的問題をも引き起こしかねないからで

す。ところが、今日の経済情勢のなかで、投資は 1円単位まで細かく精査され、コスト削減の一

方でビジネスの継続性を維持し、かつビジネスの成長に対応することが至上命令となっています。

ハードウェアへの投資とスペースや電力の過剰な消費を削減することは、もう 1つの至上命令で

ある「グリーン化」にも即しています。

企業が成長の規模を予測したり、「事前投資」を行ったりすることなく成長に対応できるような、

スケーラブルなアーキテクチャがあったとしたらどうでしょうか。ビジネスとともに拡張できる

アーキテクチャと製品機能があればどうなるか想像してみてください。企業がユーザー数 100

万から 1,000万へ、あるいは 1,000万から 1億へと成長を続けている場合でも、迅速かつ容易に

拡張できるのです。

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オラクルオラクルオラクルオラクル・・・・ホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパー – 応答性応答性応答性応答性のののの向上向上向上向上によるによるによるによる顧客顧客顧客顧客ロイヤリティロイヤリティロイヤリティロイヤリティのののの強化強化強化強化

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無制限に拡張する能力を備えた Oracle Coherenceは、この種の成長をサポートできます。

Oracle Coherence自身はフットプリントが小さく、コモディティ・ハードウェアで稼働するアプ

リケーションをサポートしているため、コスト削減効果が高まります。

さらに、今日の厳しい経済状況の下、企業はこれまで以上に試みを重ねており、過去に行った投

資のなかで利益の上がっていないものがあれば即座に削減しています。このような場合も、新し

いアプリケーションをサポートするよう Oracle Coherenceノードを配置しなおすのは簡単です。

Oracle Coherence: 製品製品製品製品ととととテクノロジーテクノロジーテクノロジーテクノロジーのののの概要概要概要概要

Oracle Coherenceはインメモリ・データグリッド・ソリューションであり、使用頻度の高いデー

タへの高速アクセスを実現することで、ミッションクリティカルなアプリケーションの計画的な

拡張を可能します。データグリッド・ソフトウェアは、メモリ内のデータ・オブジェクトを多数

のサーバーにわたって確実に管理するミドルウェアです。データを自動的かつ動的にパーティ

ション化することにより、Oracle Coherenceはサーバー障害時にもデータの可用性とトランザク

ションの整合性を継続的に維持します。Oracle Coherenceは、アプリケーションとデータ・ソー

スの間でデータの需要と供給を仲介する、堅牢なスケールアウト・データ抽象化レイヤーを提供

します。

Oracle Coherenceの特長

パフォーマンスパフォーマンスパフォーマンスパフォーマンス – Oracle Coherenceは、データをアプリケーションに近い場所に移動してアクセ

スを効率化することで、待ち時間の問題を解決し、パフォーマンスを大幅に高めます。インメモ

リ・パフォーマンスによってボトルネックが緩和され、データ競合も減少するため、アプリケー

ションの応答性が向上します。さらに、パラレル問合せとパラレル計算処理により、データ全体

に対する計算での応答時間が短縮されます。

信頼性信頼性信頼性信頼性 – Oracle Coherenceは、データの信頼性、正確性、一貫性を維持するフォルトトレラント

なメッシュ構造で構築されています。Oracle Coherenceによってデータ・トレランスと業務の継

続性が確保されるため、企業はミッションクリティカルな環境におけるデータ可用性の要求に応

えることができます。データグリッドの信頼性により、サーバーやネットワークの障害をアプリ

ケーションが補償する必要性は最小限に抑えられ、開発およびデプロイ・プロセスが簡素化され

ます。

スケーラビリティスケーラビリティスケーラビリティスケーラビリティ – Oracle Coherenceを使用すると、アプリケーションの直線的かつ動的な拡張

が可能になり、コストの予測可能性とリソースの使用率が向上します。多くのアプリケーション

に対し、Oracle Coherenceは共有データ・リソースの有効容量を増やすための直接的なアプロー

チを提供します。Oracle Coherenceは、データ損失やサービス中断の危険を冒すことなく、絶え

ず増大するアプリケーション負荷に対処します。

トランザクショントランザクショントランザクショントランザクションのののの整合性整合性整合性整合性 – アプリケーションでは、トランザクション・データはメモリの

データグリッド内部で管理されます。Oracle Coherenceは、メモリ内のトランザクションを、アー

カイブやレポート作成の目的で外部データ・ソースに保存されるまで管理することができます。

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オラクルオラクルオラクルオラクル・・・・ホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパー – 応答性応答性応答性応答性のののの向上向上向上向上によるによるによるによる顧客顧客顧客顧客ロイヤリティロイヤリティロイヤリティロイヤリティのののの強化強化強化強化

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複数言語複数言語複数言語複数言語ののののサポートサポートサポートサポート – Oracle Coherenceは、Java、C++、.NETで開発されたアプリケーションを

サポートできます。異なる時期に異なる組織によって異なるシステム上で開発された顧客のアプ

リケーションに対して、そのすべてに依存するアプリケーションを実現するためにインメモリ統

合しなければならないような状況にも対応できます。

障害時障害時障害時障害時リカバリリカバリリカバリリカバリ – データをメモリ内でひとつ以上複製しておく機能、およびトランザクション

の整合性を維持する機能を備えた Oracle Coherenceは、優れた災害時リカバリ・ツールの役割を

果たします。Oracle Coherenceクラスタは、企業の LANまたはWAN経由で管理され、複数の地

域をまたがってデータが複製されるため、企業データの自動バックアップ・ストアとなります。

Oracle Fusion Middleware製品製品製品製品とのとのとのとの統合統合統合統合 – Oracle Coherenceは、Oracle WebLogic Serverおよび

Oracle WebLogic Portalとあらかじめ統合された状態で提供されます。Oracle Coherenceの管理機

能は、Oracle Fusion Middlewareのあらゆる管理を支援する Oracle Enterprise Managerでサポート

されています。そのため、ユーザーが新しい管理ツールの使い方を学ぶ必要はなく、すべての情

報を 1箇所で確認できるので効率も向上します。

Oracle Coherenceデータグリッドは、アプリケーション層における業務データ保存機能を提供し、データベースやメインフレームといっ

た従来のデータ管理テクノロジーに対するフロントエンドの役割を果たします。Oracle Coherenceは、リアルタイム・クライアントや

Webクライアント、Webサービス、SOAクライアントなど、各種アプリケーションとのやり取りが可能です。

エンタープライズエンタープライズエンタープライズエンタープライズ・・・・

アプリケーションアプリケーションアプリケーションアプリケーション

リアルタイムリアルタイムリアルタイムリアルタイム・・・・

クライアントクライアントクライアントクライアント

Web

サービスサービスサービスサービス

データデータデータデータ・・・・サービスサービスサービスサービス

Oracle Coherence

データグリッドデータグリッドデータグリッドデータグリッド

データベースデータベースデータベースデータベース メインフメインフメインフメインフレームレームレームレーム Webサービスサービスサービスサービス

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オラクルオラクルオラクルオラクル・・・・ホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパーホワイトペーパー – 応答性応答性応答性応答性のののの向上向上向上向上によるによるによるによる顧客顧客顧客顧客ロイヤリティロイヤリティロイヤリティロイヤリティのののの強化強化強化強化

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結論結論結論結論

データ管理は Eコマース企業にとって重大な問題です。メインフレーム・システムやバックエ

ンドのレガシー・システムにデータを保存して管理するという従来のソリューションは、コスト、

リスク、成長、そしてビジネス継続性の観点から見れば、避けるべきであることは明らかです。

比較的新しい技術革新であるインメモリ・データグリッドはスマートでコスト効果の高い、非破

壊的テクノロジーで、実効性のあるデータ管理ソリューションを Eコマースに提供します。

Oracle Coherenceは、市場に出ている製品のなかでもトップレベルのインメモリ・データグリッ

ド・ソリューションです。ビジネスの成長に合わせて直線的に拡張できるだけでなく、コストを

抑制し、パフォーマンスを向上させ、バックエンドのデータ・リポジトリにかかる負荷とリスク

を軽減することが可能です。

4つのケース・スタディを通じてこのホワイトペーパーで解説したのは、Eコマース業界の顧客

が Oracle Coherenceを使用してWebサイトの応答パフォーマンスと稼働率を向上させ、既存のビ

ジネスを危険にさらすことなく成長を管理し、一貫・統合された顧客体験を提供し、(新しい技

術を使うという)リスクを負ってでも革新的な概念を採用しているという事実です。その実現の

ためにかかる費用はそれほど多額ではありません。こうした取組みによって、顧客体験の向上、

顧客のロイヤリティ、収益の増加、コストの削減をもたらし、収益性の向上、ひいては市場での

リーダーシップにもつながります。

Oracle Fusion Middlewareポートフォリオの一部である Oracle Coherenceは、多くのオラクル製品

とあらかじめ緊密に統合されています。Oracle Coherenceを使用すれば、顧客はビジネス上の問

題やアプリケーション・ロジック、重要成功要因に集中することができ、テクノロジーの限界に

悩む必要はなくなります。

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応答性応答性応答性応答性のののの向上向上向上向上によるによるによるによる顧客顧客顧客顧客ロイヤリティロイヤリティロイヤリティロイヤリティのののの

強化強化強化強化

2009年年年年3月月月月

著者著者著者著者: Ruma Sanyal

Oracle Corporation

World Headquarters

500 Oracle Parkway

Redwood Shores, CA 94065

U.S.A.

海外海外海外海外からのおからのおからのおからのお問合問合問合問合せせせせ窓口窓口窓口窓口:

電話電話電話電話: +1.650.506.7000

Fax: +1.650.506.7200

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本書本書本書本書によりによりによりにより、、、、契約上契約上契約上契約上のののの直接的直接的直接的直接的およびおよびおよびおよび間接的義務間接的義務間接的義務間接的義務もももも発生発生発生発生しませんしませんしませんしません。。。。本書本書本書本書はははは、、、、事前事前事前事前のののの書面書面書面書面によるによるによるによる許諾許諾許諾許諾をををを得得得得ることなくることなくることなくることなく、、、、電子的電子的電子的電子的またはまたはまたはまたは

機械的機械的機械的機械的にににに、、、、いかなるいかなるいかなるいかなる形態形態形態形態またはまたはまたはまたは手段手段手段手段によってもによってもによってもによっても複製複製複製複製またはまたはまたはまたは伝送伝送伝送伝送することはできませんすることはできませんすることはできませんすることはできません。。。。

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