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第9回

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第9回

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数値予報の歴史

1922 リチャードソンの夢

1950 数値予報のはじまり

1959 日本での数値予報の幕開け

モデルの高度化・高解像度化

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数値モデルの高度化

バロトロピック(順圧)モデルからバロクリニック(傾圧)モデルへ

順圧(barotropic):等圧面で密度が一定

傾圧(baroclinic):等圧面で密度一定でない

数値予報の開始当初は、技術の蓄積やコンピュータの計算能力が不十分であったことから、バロトロピックモデル(鉛直1層モデル)からスタートした国(日本を含む)が多かった

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数値モデルの高度化

ロスビー波(Rossby wave):ベータ効果(コリオリ力の緯度変化)を復元力とする、西向きにのみ進む波

バロトロピックモデルでは、ロスビー波の移動に支配される中緯度高・低気圧の移動はある程度予報できるが、傾圧不安定に支配される高・低気圧の発生・発達の予報は難しい

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数値モデルの高度化

準地衡風モデルからプリミティブモデルへ

準地衡風モデルは、中緯度の天気を支配する総観規模現象の本質を良くとらえられる上に計算コストも少なくすむが、多くの近似が含まれるため予報精度には限界も

コンピュータ計算能力の飛躍的進化とともに、より近似の少ないプリミティブ方程式系(主な近似は静水圧平衡のみ)による数値予報に移行

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数値モデルの高度化

静力学平衡モデルから非静力学平衡モデルへ

より細やかな予報へのニーズや防災上の観点などから、一部の領域について高解像度の予報を行うメソ気象モデルが開発

メソスケール現象は、静力学平衡近似が適用できないため、メソ気象モデルは静力学平衡を近似しないモデルが一般的

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全球モデルとメソモデル

全球モデル メソモデル

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コンピュータの進化 コンピュータの計算能力は急速に向上

→数値予報の高精度化・高解像度化を可能に

K Computer

10.51 PFlops

Earth Simulator

35.86 TFlops

M (Mega) : 106

G (Giga) : 109

T (Tera) : 1012

P (Peta) : 1015

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気象庁の数値予報モデル変遷

全球

モデル

領域

モデル

台風

モデル

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主な数値予報モデル

予報モデルの種類

モデルを用いて発表する予報

予報領域と水平解像度

予報期間 実行回数

メソモデル 防災気象情報 日本周辺 5km

~33時間

1日8回

全球モデル 分布予報、時系列予報、府県天気予報、台風予報、週間天気予報

地球全体 20km

~9日間 1日4回

台風アンサンブル予報モデル

台風予報 地球全体 60km

5日間 1日4回

週間アンサンブル予報モデル

週間天気予報 地球全体 60km

9日間 1日1回

1か月アンサンブル予報モデル

異常天候早期警戒情報、1か月予報

地球全体 110km

~1か月 週2回

3か月・暖寒候期アンサンブル予報モデル

3か月予報、暖寒候期予報 地球全体 180km

~7か月 月1回

気象庁ホームページより

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予報手順

気象観測

データ収集

客観解析・初期値化

数値予報

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観測データ

↓地上観測

ゾンデ→

海洋ブイ↘

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静止気象衛星の赤外画像 人工衛星のマイクロ波放射計(海面水温など)

パイロットバルーン、ウィンドプロファイラ 航空機

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データの収集 国際的な気象データ通信: 全球通信システム

GTS(Global Telecommunication System)

国内の気象データ通信: 気象資料自動編集中継システム

ADESS

(Automated

Data Editing

and Switching

System)

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客観解析

一般に、観測データは時間的にも空間的にも疎密がある(例えば、陸上に比べて海上の地上観測値はまばらであるなど)

一方で、数値モデルは時空間的に規則正しいデータ配置を要求

時空間的に不規則な観測データから、規則正しい格子点上のデータに焼き直す過程を客観解析という

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客観解析

不規則かつ疎密のある観測データから、規則的な格子点上のデータを求める

客観解析の手法

関数当てはめ法

最適内挿法

変分法(3次元変分法、4次元変分法)

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客観解析の手法

格子点上の解析値は、推定値を近くの観測値で修正して求める

解析値 = 推定値 + 修正値

数値モデルによる予報値 利点:物理法則に従った良質データ

欠点:現実とかけ離れている場合がある

観測値 利点:現実データを表現

欠点:十分なデータ量の確保が難しい

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客観解析の手法

基本的には、周囲に観測値が多ければ解析値は観測値に近づき、少なければ推定値(予報値)に近づく

近年では、解析値を求める際に予報モデルの方程式系も拘束条件として、求められた解析値ができるだけ力学的なバランスを満たすような、高度な技術が採用されている(3次元変分法、4次元変分法)

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客観解析の手法

予報精度を高めるため、場合によっては解析値に人工的なデータを反映させることもある(ex. 台風ボーガス)

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予報解析サイクル

予報値が客観解析の推定値となり、解析値が数値予報の初期値となる

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4次元データ同化

4次元同化システム: 4次元空間に不均一に分布する観測データから、物理法則に基づいて4次元に均一なデータを作成

予報解析サイクルも4次元同化システムの一種

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同化データの利用

4次元データ同化で得られた客観解析値は、気象要素(気温、風、気圧など)の間に物理的矛盾がなく、空間的にも時間的にも一様なデータであるため、数値予報の初期値として利用されるだけでなく、地球大気のモニタリング、気候監視の目的や、研究目的にも多いに利用されている(ex. 再解析データ)

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初期値化

客観解析で得られた解析値には、数値予報にとっては有害となる慣性重力波を引き起こす成分が含まれるため、解析値を修正してノイズを除去する → 初期値化

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予報手順

気象観測

データ収集

客観解析・初期値化

数値予報

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予報解析

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