write once, publish anywhere ……という夢を見た。
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write once,write once,publish anywherepublish anywhere
株式会社トップスタジオ株式会社トップスタジオ武藤 健志武藤 健志@kmuto@kmuto
……という夢を見た。
株式会社トップスタジオ● http://www.topstudio.co.jp● 創業19年目の編集制作プロダクション
– 翻訳、編集、組版、デザイン、企画、執筆、検証、人材派遣
– IT書籍を中心に、多数の出版社の書籍制作をお手伝い
– メーカーや一般企業のマニュアルやカタログの制作も お仕事いつでも募集中!
株式会社トップスタジオ● 電子書籍ニーズに合わせて、
紙書籍と電子書籍双方の同時作成– 電子書籍のみの案件もあり
● 紙書籍も
「安く」「早く」「当然品質よく」
の強い圧力
紙書籍● InDesign● たまにTeX (upLaTeX)● QuarkXpress (えっ
● 紙面デザインは案件ごとに異なる(シリーズ書でも)– 専用システム化のコストをかけられない
電子書籍● 電子販売用PDF
– 単一ファイル– 表紙– しおり– 目次・索引等の
ハイパーリンク● EPUB
/ Kindle mobi
EPUB● EPUBとは● HTMLや
CSSといった既存のWeb技術
● JavaScriptは利用前提不可
コンテンツHTML
画像(カバー、図版、アイコン等)
CSSスタイルシート
書誌情報(opfファイル)
目次HTML
container.xmlmimetype
既存のWeb技術
ZIPファイル圧縮
EPUB● EPUBリーダー
– Readium, iBooks, BiB/i, Sony Reader, …● 他電子書籍形式の変換元形式
– Kindle mobi, iBooksブック, …– 電子取次企業
● 固定型とリフロー型
固定型EPUB● 紙のページ表現を完全に再現
– マンガ、デザイン性の高い書籍など● 全部、画像。
– あるいはCSSで要素のレイアウト厳密指示
PDF→固定EPUBの変換、お安く承ります!
リフロー型EPUB● ページ表現は可変
– 画面やウィンドウのサイズ、基本フォントの大きさなどによって自動で整形
● EPUBリーダーによって表現・制約が異なる– 種類が増えるほど、検証・対応のコストは
指数的に増加
EPUB作成手段● ネイティブEPUBデータを直接作成
– Sigilなど● 紙データ→EPUBの変換
– 出版社の既存資産の再利用● 抽象化データ→EPUB・紙データの変換
InDesign→EPUB● いちおうあるけど……● InDesign → 固定型EPUB出力
– フォントバンドル問題● InDesign → リフロー型EPUB出力
– ちょっと凝ったデザインで即破綻– 便利なスタイル機能を使うと文字が欠落– 手直し つらいです……
● ADPS か PDF が無難
LaTeX→EPUB● LaTeXがフリーダムすぎる
– マクロで無限に拡張可能● latexmlを使ったEPUB生成ツールは作ってみた
– latexml: TeX原稿をHTML+MathMLにするツール– latex2epub: https://github.com/kmuto/latex2epub
– マクロ対応が不十分– MathMLでの再現がイマイチ
EPUB作成手段● ネイティブEPUBデータを直接作成
– Sigilなど● 紙データ→EPUBの変換
– 出版社の既存資産の再利用● 抽象化データ→EPUB・紙データの変換
抽象化● 表現形態(InDesign, TeX, EPUBなど)
の上位層としての「抽象化形式」で管理する
EPUB (HTML) TeXInDesign
抽象化形式原稿
EASY!EASY!EASY!
HARD... HARD...
表現形態
抽象化● Markdown ?
– でんでんコンバーター http://conv.denshochan.com/
– 単純だが本格的な紙書籍制作には課題多い● XML ?
– 機能豊富だが人間には読みにくい● HTML ?
– XMLより気楽に始められるが紙書籍制作に使おうとすると結局複雑化
Re:VIEW (りびゅー)
http://reviewml.org
GNU LGPL 2.1 に基づくフリーソフトウェア
Re:VIEW● 抽象化形式およびその変換処理システム● Re:VIEW記法の抽象化形式原稿を、各表現形態向けに変換
HTML /EPUB
TeX /PDF
XML /InDesign
Re:VIEW変換処理
Re:VIEW原稿
手組用テキスト Markdown
Re:VIEW● review-epubmaker
– 1コマンドでEPUB作成● review-pdfmaker
– 1コマンドでPDF作成(TeX利用)● Ruby言語で実装
– Unix/Linux、Mac OS Xで動作– Windowsは開発陣としては関心薄め……
一応動く(Cygwin利用)
デモDemonstration
Re:VIEW記法
ゆるふわ
Re:VIEW記法
ゆるい書き方で、
ふわふわとしたいろいろな表現形態
に対応!
Re:VIEW記法● テキスト型の .reファイル● 細かいところは https://github.com/kmuto/review/blob/master/doc/format.ja.mdをご参照
● RD, EWBなどの記法からインスパイア
Re:VIEW記法● 段落
– 空行が登場するまで、文中の改行の有無にかかわりなく1つの段落と見なす
我輩は猫である。名前はまだ無い。 どこで生れたかとんと見当がつかぬ。……
我輩は猫である。名前はまだ無い。[改行][空行]どこで生れたかとんと見当がつかぬ。……
我輩は猫である。[改行]名前はまだ無い。[改行][空行]どこで生れたかとんと[改行]見当がつかぬ。……
Re:VIEW記法● 見出し
– = 〜:章見出し– == 〜:節見出し– === 〜:項見出し ……– 変換時に自動採番
Re:VIEW記法● 箇条書き
– ナカグロ箇条書き● [空白] * [空白] 〜
– 番号箇条書き● [空白] [数字] . [空白] 〜
– 定義箇条書き● [空白] : [空白] 〜
Re:VIEW記法● インラインタグ
– 段落や見出し中で使用– @<命令>{内容}
● ブロックタグ– 複数の行や段落を囲む– //命令[オプション...]{
内容……//}
Re:VIEW記法● 図
– //image[識別子][キャプション]{ 画像についてのメモなど… //}– 表現形態に最適の画像形式ファイルを自動選択(明示指定も可能)
● 表– //table[識別子][キャプション]{
タブ区切りセル…//}
– 列数が一定の単純な表を想定● 相互参照
– 章、見出し、図表、コードリスト等の「識別子」による採番参照機能
Re:VIEW設定ファイル群● config.yml
– 書誌情報、Re:VIEWパラメータ指定● catalog.yml
– ファイル順序(目次)● locale.yml (オプション)
– 「図X.X」などのカスタマイズ、多言語対応● review-ext.rb (オプション)
– Re:VIEW自体の挙動のカスタマイズ
Re:VIEWの開発● 青木峰郎さん(@mineroaoki)
– 原作者。自身の執筆環境● 武藤健志(@kmuto)
– 現在のリード開発。自身の執筆、制作業務環境。InDesign, EPUB対応
● 高橋征義さん(@takahashim)– 自身の執筆、制作業務環境。TeX, EPUB対応
● 角征典さん(@kdmsnr)– 自身の翻訳執筆環境。
全般の機能改良、リファクタリング
Re:VIEWの開発
「自分のため」に使いやすいものであり続けること
実績● 商業書籍(トップスタジオ)
– 紙のみ50冊、紙+電子50冊、電子のみ50冊(適当算出)
● トップスタジオ以外の商業制作例– 達人出版会、オライリー・ジャパン、オーム社、
インプレス など● 同人誌
– TechBoosterなど– 同人誌→Re:VIEWのまま商業出版社刊行の例も
● https://github.com/kmuto/review/wiki/利用実績
write once, publish anywhere
やったね、これで紙も電子もすぐできるよ!
write once, publish anywhere?
ところがどっこい、そう甘くは
ありません……
表現形態の制約● 「紙の見た目に似せたEPUBに」● InDesignのスタイル→EPUBのCSSスタイル
– 手作業– × 級数やpt○ 相対倍率指定 (しかも複利適用)
– 絶対的に足りないフォント– バリエーションの少ないケイ囲み
● EPUBリーダーによってなんか表示結果が違う……
表現形態の制約● 紙の組見本が確定したら間をおかずに
CSS作成作業へ– 制作序盤から出版社との間で
EPUBでのイメージを共有– 原稿更新に合わせてEPUB/HTMLを
自動生成し、(高コストの)紙組版に入る前の「文字校正プレビュー」としても活用
● Compassの導入– CSSの作成・管理作業を効率化
数式● reファイル内で、TeX数式で記述した箇所
– 社内では 数式→画像生成ツールを開発・使用● InDesign
– TeX数式の配置やサイズ調整の手作業が大変– 計算してTeXっぽく配置・リサイズするツールを開発
● EPUB– MathMLの機能不足– KindleでSVG不可?
画像と色
紙はモノクロ、電子PDFとEPUBはカラーでよろしくね。
画像と色● 紙PDF vs 電子PDF● 紙制作データをカラーで作って、
紙の入稿時にPDFをグレースケール化?– Acrobatプリフライトのグレースケール変換– たまに内容が壊れる?(図版の点線が実線になったり消えたりする)
● 危険の臭いを感じたら紙の安全を最優先– 電子PDFのカラー化見送りも提言– 入稿直前ではなく早期からテストする
画像と色● 紙
– ファイル形式:Illustrator AI、 Photoshop PSD、EPS、TIFF
– 色表現:CMYK● EPUB
– ファイル形式:JPEG、PNG、GIF、SVG– 色表現:RGB
画像と色● キャプチャ画像はRGB側データ優先● ドロー図やイラストはCMYK側データ優先
– キャプチャに矢印や吹き出しを付けるものは…?● どちらが主画像かの管理が煩雑● 紙画像データ←→EPUB画像データ変換の必要
– ImageMagick, Inkscape– IllustratorやPhotoshopのアクション、
自作スクリプトhttp://kmuto.jp/indesign/
画像と色● 2色(2C)刷
– 紙面、図版の「特色」– CyanかMagentaの版で代用– 印刷所でDICカラーに基づいて印刷
夏目漱石
夏目 漱石C版に特色適用
(色はDICで指定)
画像と色● 電子PDFの場合①PhotoshopでDICの値を調査②Lab値を調査③Lab値に基づいてカラープロファイルを作成④AcrobatでPDFを開く⑤Acrobatのグローバル設定の色設定を③のプロファイルに切り替えて、印刷工程メニューの色変換を実行⑥PDFを保存⑦忘れないうちに色設定を元に戻す
画像と色● EPUBの場合
– DICが入稿直前まで決まらない– RGB値を探す作業が煩雑– C/M使用図版のRGB変換が困難
【緩募】2C 色変換の解決方法
まとめ
まとめ● 「write once, publish anywhere」の実現
には、抽象化形式での原稿管理が妥当です。
まとめ● 「write once, publish anywhere」の実現
には、抽象化形式での原稿管理が妥当です。● Re:VIEWは、完全な解ではないかもしれませんが、「今」write once, publish anywhereを実現する「現実的」なソリューションです。
まとめ● 「write once, publish anywhere」の実現
には、抽象化形式での原稿管理が妥当です。● Re:VIEWは、完全な解ではないかもしれませんが、「今」write once, publish anywhereを実現する「現実的」なソリューションです。
● とはいえ、紙・電子の同時刊行は容易とは限らず、苦難に遭遇するかもしれません。
まとめ● 「write once, publish anywhere」の実現
には、抽象化形式での原稿管理が妥当です。● Re:VIEWは、完全な解ではないかもしれませんが、「今」write once, publish anywhereを実現する「現実的」なソリューションです。
● とはいえ、紙・電子の同時刊行は容易とは限らず、苦難に遭遇するかもしれません。– 2C本の電子化作業はツライということを今後も
強く訴えていきたい所存です。
Happy Writing & Publishing!