VIDEO JOURnAL(ビデオジャーナル) - 2016年2月号
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●月刊ビデオジャーナル ● 昭和 43 年 3 月 1 日創刊●【発行所】株式会社伸樹社 ●【発行人】立石伸雄●〒 160-0006 東京都新宿区舟町 4-4-101● TEL.03-3353-9508 ● FAX.03-3357-4846● 年間購読料 10,800 円(税込)・一部 980 円(税込)● http://www.videojournal.co.jp ● [email protected] 2 0 1 6
Vol.1309February
◆ INDEX◆
◎ 1 面:第 2 回ウェアラブル EXPO 開催◎ 2 面:秋山謙一の映像業界トレンド探訪(109)〜 3DBiz 研究会が 4K3D 新コンテンツを公開〜◎ 5 面:〜ブラックマジックが Blackmagic Creators SHOW Vol.2 を開催〜◎ 7 面:〜 NVIDIA がレンダリング機能を強化する Irey を発売〜◎ 8 面:池上通信機、Avid 4K 編集体験フェアを東京国際フォーラムで開催◎ 10-11 面:ユーザー事例 〜アエックス×クレッセント〜
第 2 回ウェアラブル EXPO 開催 リード エグジビション ジャパン主催の「第2回ウェアラブル EXPO」が 1 月 13 〜 15 日の 3 日間、東京ビッグサイトにて開催された。 “ ウェアラブル端末 ” の展示会ということで、一般的な産業展示会よりもそのマーケットは広範でスマートグラスをはじめとして、AR/VR 関連、IoT(モノのインターネット)をキーワードとした出展、ヘルスケア関連等、幅の広い展示が見られた。以下、映像関連の出展をレポートする。 ブラザーの「AIR Scouter」は業務用のスマートグラス。活用例として工場の作業工程でこれまでは熟練者から
の指導がなければ作業を進められないような場面でも同製品を使用することにより映像で手順を確認しながら効率的に作業を進められるといった紹介がされた。また、同製品をドローン撮影へ応用することによりドローンから送られてくる映像を確認しながら本体から目を離さずに操縦することも可能。 クレッセントが参考出品した「ハンドアセンブル VR」はヤマハで開発されたセンサグローブとクレッセント取り扱いの光学式トラッキングシステム
「Vicon」を組み合わせることにより、VR 空間内に表示された手のモデルを直感的に操作できるというもの。展示
会ではセンサグローブとトラッキング用のマーカーを手に装着することにより、VR 空間内にある自動車のエンジンデータ (CAD) の組み付けシミュレーションを体験することができた。
旭化成せんいの「ROBODEN」は伸縮する “ 電線 ”。一般的なケーブルよりも伸縮するので、屈曲部の余分な配線のたるみがなく、配線スペースのコンパクト化や配線設計の容易化が可能だ。「ROBODEN TI」は情報機器向けの配線でウェアラブルに最適な細線で雨や汗にも強く、水洗いもできる製品。モーションキャプチャで対象者に取り付けるマーカーに使用すれば伸縮することにより動きへの追従ができ、電力供給と制御信号の供給が可能なのでウェアラブルの配線には最適だ。ブラザーの業務用のスマートグラス「AIR Scouter」 クレッセントの「ハンドアセンブル VR」 旭化成せんいの「ROBODEN」
VIDEO JOURNAL February 2016 | VOL.1309 |(2)COLUMN
■秋山 謙一の映像業界トレンド探訪(119-1)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
3DBiz 研究会が 4K3D 新コンテンツを公開
セミナーは大久保洋氏が司会を務めながら、「チャレンジ! 4K3D 映像制作プロジェクト」と題してパネルディスカッションが行われた。作品の監督を務めたビジュアルコミュニケーションズの小山一彦氏、作品の一部でカメラ・レンズのサポートを行ったキヤノンマーケティングジャパンの中野芳充氏、シューズプロモーション作品制作の演出・CG 合成を担当したデジタルキャンプの渡部健司氏、撮影アシストと RAW 収録を担当した計測技術研究所の田端宏至氏、4K3D の編集を担当した Too の櫻井充氏が登壇し、実際の制作について話した。 3DBiz 研究会は、3D 映像のビジネス利用を推進・提案するための活動を継続して行っており、昨年も 4K3Dコンテンツに取り組んだ(本コラム2014 年 8 月号で既報)。昨年は、富士周辺と三保の松原において移動撮影スタイルでの 4K3D 制作ワークフローの検証と、文教大学ダンス部の協力を得ながら映画スタイルの撮影で 4K3D撮影ワークフローの検証を目的に行われた。今回は、そこから先に進んで、プロモーション映像での 4K3D 映像の利用を検証するために制作された。 今回公開された 4K3D 作品は、埼玉県行田市の田んぼアートの空撮映像を含む地域紹介映像と、スポーツシューズメーカーのニューバランスジャパンの協力を得て制作された
シューズのプロモーション動画の 2種類。前者は 4K3D ドローン撮影の可能性を検証すること、後者は CG エフェクトを加えた 4K3D 動画の可能性を検証することを目的に撮影が実施された。
■初の 4K3D ドローン撮影を実施 田んぼアートの撮影は、JVC ケンウッドの協力で、開発中だった 4K小型モジュールカメラを 2 台使用した。MOVI-10 ジンバルにレンズ間隔12cm で平行同架して 4K60p の 3D撮影を実施し、QuickTime MOV 収録を行った。ドローンは CineStar-8を使用している。ビジュアルコミュニケーションズの小山氏は、「今回は4K3D で田んぼアートを撮ることにしたのですが、上空からの映像が必要になりました。4K3D 自体の取り組みの
難しさに加え、ドローン搭載・撮影の難しさがあった」と話した。 シューズのプロモーション動画の撮影は、キヤノンマーケティングジャパンが協力し、Cinema EOS C500 を2 台使用して行った。被写体が小さく、被写体とカメラが近かったことからコンパクトマクロレンズ EF50mm F1.2 を使用し、ミラーリグにて 3D撮影を実施したという。撮影現場では、フォーカス合わせと視差確認用に 4Kリファレンズディスプレイ DP-3010を持ち込んだ。EOS C500 の RAW映像出力を AJA Video Systems 製KiPro を使用して簡易 LUT を適用させ、フォーカスアシスト機能を用いて映像確認をしている。リファレンズディスプレイ新製品の CP-2410 ではRAW 信号の直接入力が可能になっているが、撮影段階には間に合わず、使用できなかったそうだ。中野氏はコンパクトマクロを使用した点について、
「CM や映画を本格的に撮るための 4Kレンズもキヤノンは持っているが、どうしてもコストがかかってしまう。プロモーション動画用のカットを撮影する場合においては、豊富な EF レンズを活用することで、コストも抑えることができる」とコメントした。 デジタルキャンプの渡部氏は、演出と CG 合成をしたポストプロ段階の作業を紹介。プレビジュアライゼーション段階、仮編集段階、仮合成段階、ク
ロマキー CG の各シーンを示しながら、最終合成映像をどのように組み立てたかメイキングを報告した。渡部氏は、「シューズを乗せたターンテーブルまで 30 〜 40cm という距離で、マクロ接写撮影による 3D 撮影をしなければならなかったので、かなりシビアな撮影条件になった。シューズの質感をどこまで見せられるかという部分で挑戦しました。最近のスポーツシューズは材質などユニークなものが多いが、高精細な 4K で表現するとともに 3D で立体感をもたせることで、網目の感じなどがより質感を伴った表現にできたと思う」と述べた。シューズの撮影は交差法を用いて撮影。CGは、背景部分は交差法で表現したものを合成し、シューズの前後に配置するCG レイヤーはシーンに応じて平行法と交差法を使い分け、タイトルは平行法で表現したものを用いるなど、交差法と平行法を併用した映像にすることで、立体感をより効果的に見せられるようになったという。 「4K 収 録 は フ ォ ー カ シ ン グ が 難しいので、フォーカスアシスト装置FA-P1 を活用した」と話すのは計測技術研究所の田端氏だ。「8K スーパーハイビジョン用に開発したピーキング機能を 4K 用に活用した製品。2 台を同時に使用することで、3D 撮影にも有効ではないかと考えた。本来はカメ
3DBiz 研究会(大久保洋 代表幹事)は、12 月 2 ~ 4 日にパシフィコ横浜で開催されたビジュアルメディア EXPO 2015(主催:アドコム・メディア)で 4K3D コンテンツの新作品を公開し、そのメイキングについて初日 2 日の午後、会場でセミナーを実施した。
セミナーの司会を務めた3DBiz 研究会 大久保洋 代表幹事
登壇したパネリスト
(右から)
ビジュアルコミュニケーションズ小山一彦氏
キヤノンマーケティングジャパン中野芳充氏
デジタルキャンプ渡部健司氏
計測技術研究所 田端宏至氏
Too 櫻井充氏
ドローンを使って 4K60p/3D 撮影された田んぼアート シューズプロモーション動画では、4K3D 映像に CG 演出を加えた。
(5面に続く→)