Verus String Quartet KEISATO Beethoven 俳人 … String Quartet Beethoven...

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03 SPECIAL kkejkmq聡拷丙何ソヵチ‐ 16 16 16 16 若きカルテットが表現する 楽聖ベートーヴェンの意外な一面 {入滋} 215〔怒〕 "35<22貝嬢,36<22貝焔 {回嬢} iichiko化ば洗ポ‐ロ" {涼銀} 溢販 5.222堰~『幽ば回』ふふ恰4.922堰,47 災位仮3.722堰" {紋} kkejkmq聡拷丙何ソヵチ‐ "Vgn<2;9/755/6226 ウェールズ弦楽四重奏団 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲全曲演奏会 第2幕 Data チケット発売中 2/3、 iichiko総合文化センターiichiko音の泉ホールに 「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会」の第2幕が 開催される。ウェールズ弦楽四重奏団のメンバー・三原久 遠さん(2ndヴァイオリン)に意気込みを語ってもらった。 Verus String Quartet Beethoven ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は精神的に一番深く感じます。ベートーヴェン は生涯を通じて弦楽四重奏曲を書いていますが、特に後期の作品は完成度が 高く、精神の高みがあります。音楽として聴衆に媚びず、そういう意味では「音 楽が人を選ぶ」と思っています。 美術で例えると、オーケストラは油絵、弦楽四重奏曲は墨絵だと感じながら聴 いています。 多くの弦楽四重奏団が演奏するベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いてきま した。まだ若いウェールズSQの演奏がどう変化していくかも聴く私たちの楽し みの1つです。そういう意味でもとても良いプロジェクトだと思います。このプ ロジェクトを通して彼らが求めるもの、名前にふさわしい「Verus(ウェールズ)= 誠実あるいは真実」を見つけていってほしいです。今後の展開が楽しみです。 佼抗架置ブ┵ ©Satoshi Oono

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Page 1: Verus String Quartet KEISATO Beethoven 俳人 … String Quartet Beethoven お楽しみ下さい。的にもカルテットのアンサンブルを外と性格とも合致していて(笑)。視覚ケートに書かれるんですよ。これが意

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SPECIAL

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SPECIAL

(左)高橋鴿子、写真の油彩は《富士恵像》。 (右)大分県立美術館 館長 新見隆。

Coming Soon 歌心と絵ごころの交わり二豊路 漂泊の画人 佐藤 溪 と 俳人 種田山頭火

新見隆(以下新見) 高橋さんと佐藤

溪の出会いは、湯布院の『佐藤溪美術

館』でしたよね。

高橋鴿子(以下高橋) 美術に見識の

ある知人から、湯布院に佐藤溪という

画家の美術館ができたと聞いて。無名

だけど、この人こそ真の芸術家だと言

われ、美術館へ足を運んだのが始まり

です。当時、施設を運営していたのは

(佐藤溪の)弟の和雄さんでした。

新見 初めて絵を観たときの印象は

どうでしたか?

高橋 私は子どもの時から絵が好き

でよく美術館に通っていたので、昔か

ら好きな絵も多いのですが、あの日の

感動はいつもと全く違っていました

ね。戦慄を覚え、本当にその場にへた

り込んでしまいました。1人の画家が

描いたものとは思えないほど表現が

多種多様で、繊細であったり大胆で

あったり、暗く怪しい絵もあれば明る

く元気な絵もあり…

。その変幻自在な

自由さに強く惹かれたのだと思います。

新見 いちファンとして溪の作品に

惹かれていた高橋さんが、彼の作品を

収集し、最終的に自らの手で美術館を

立ち上げることになった経緯は何

だったのでしょう。

高橋 出会いから2年が経った頃、知

人を通じて溪の絵が売りに出されて

いることを知りました。せっかく1箇

所にまとまった作品が、売られて散逸

してしまっては後世に残すことがで

きない…

と残念でなりませんでした。

そのとき夫がある提案をしてくれた

のです。「鴿子がそんなに好きなら、『聴

潮閣』(

昭和初期、夫の祖父髙橋欽哉が

別府市に建てた近代和風建築・登録有

形文化財)

を美術館にしてはどうか」

と。この歴史ある名建築をどのような

形で一般公開するか迷っていたため、

当時の私は天にも昇る思いでした。け

れどその後、溪の最期の地・湯布院の

方々が作品を地元に残しておくことを

望んでいると知り、湯布院に美術館を

造り、1991年から20年間運営しま

した。そして2013年、当初の計画通

り聴潮閣に『佐藤溪美術館』を開館。と

ころが大分遺産である建物の保存策

を講じなくてはならず、残念ながら

2015年に閉館しました。

新見 溪という人物はとてもユニー

クな画家であり、湯布院で生涯を終え

るまでの間、全国を放浪しながら絵を

描き続けています。けれどなかなか日

本美術史の表舞台に立つ機会はな

かった。そんな彼の知られざる画業

を、多くの人に顕彰すべく立ち上がっ

たのが高橋さんですね。

高橋 結果的にはそうかもしれません

が、50代・専業主婦だった私が、まさか

美術館の館長になるなんて思っても

いませんでした。溪は21歳から陸軍の兵

隊となり、終戦の翌年復員した時は27

歳。青春のほとんどを戦地で過ごしてい

ます。その悲惨な体験が彼の深層にあっ

て、一連の不思議な作品群を生み出して

いると思われます。それと同時に、戦後

の高度成長期に日本全国を放浪しなが

ら、市井の人々やありふれた風景を、詩

情豊かに数多く描いています。細かい描

写や繊細なタッチの鉛筆画があると思

えば、子どもが描いたように大胆で粗い

タッチの水彩画や油彩画があります。

新見 溪は詩も書いていました。昭和

のモダンな作風は、やはり時代の空気

を受けて生まれたものでしょうか。洗

練さはあるが、各地を放浪する中でや

や自らの境涯や旅を謳っているとい

うか。純粋な心を持て余す、青春詩人

のような輝きが見えます。

高橋 溪は復員後に画家ではなく、詩

人を目指していた時期があります。そ

の素朴なのに哲学的な詩に感動する

方が多いのですが、私は彼の絵にも、

〝詩〞を感じることがあります。展覧会

に来られた方には、絵と詩を共にゆっ

くり鑑賞していただきたいですね。

新見 生前は出会うことのなかった

溪、山頭火の2人を僕らの意図で引き

合わせたのが今回の展覧会。共に大分

を放浪した画家と俳人であり、詩魂の

ようなものも共通していると思います。

高橋 溪は山頭火が35歳のときに生

まれました。年齢も育った環境も違い

ますが、放浪しながら見聞きしたもの

に2人が感じる優しさには、どこか通

じるものがあるような気がします。実

際には出会わなかったと思われます

が、山を背景に田園の中に山頭火風の

雲水が2人、かなり離れて歩いている

水彩画があります。その舞台は中津な

のですが、山頭火は中津にも何度か滞

在していますし、想像を逞しくすれ

ば、溪はその絵を描くことで出会いを

求めたのかもしれません。

│「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲

演奏会」のプロジェクトが2年目に突

入しました。本公演への意気込みを

教えてください。

 今回はベートーヴェンが作曲した16

作品のうち、3番・16番・8番の順に演

奏します。1曲目は番号こそ「3」です

が、実はベートーヴェンが初めて作っ

た弦楽四重奏曲です。16番は死の5カ

月ほど前に作られた最後の曲、そして

8番はちょうどその間ですから、初期・

中期・後期の3つの時代の曲を、1回の

公演で聴けるプログラムになってい

ます。しかも16番は、まるで原点に立ち

返ったかのような古典様式が取り込ま

れているので、3番とぜひ聴き比べて

みてほしいですね。

 ベートーヴェンといえば交響曲のイ

メージが強いですが、彼の弦楽四重奏

曲はカルテットにとってバイブルとい

われます。ウェールズ弦楽四重奏団が

結成して最初に取り組んだという意

味でも、ベートーヴェンは特別な存在

だと思います。

 曲に対して「ウェー

ルズ(誠実)」でいるた

めには、まず楽譜を丁

寧に読むことが重要だ

と考えています。ベー

トーヴェンの曲はとて

も難しいし、音楽的に

も奥が深い。だからこ

そ譜面の中には彼の感

情や性格が表現されて

いて、それを理解しよ

うと努めることが大切

だと思います。最近は

譜面を持ち歩いて、四

六時中、ベートーヴェ

ンのことばかり考えて

います(笑)。

│なかなか聴く機会

のないカルテットです

が、初めての人でも楽

しめるポイントはあ

りますか?

 カルテットでは4人

それぞれが独立して別々の音を奏

でているわけですが、あるタイミング

で4人がひとつの響きを作りだす瞬間

というのがあるんです。この〝響き〞こ

そがカルテットの魅力であり、一番聴

いてほしいポイントですね。

 ベートーヴェンというと、有名な交

響曲『運命』や、学校に飾ってある気難

しい顔をした肖像画から、荒く激しい、

あるいは厳格な音楽家というイメージ

がありますよね。けれど意外ですが、彼

の作曲した弦楽四重奏曲の中には、昔

の手回しオルガンを連想させるよう

な響きや、パレードのドンチャン騒ぎ

を連想するフレーズなど、ユーモアあ

ふれる部分がいくつもあるのです。そ

ういった所でも、一般的なイメージど

おり「厳格なベートーヴェン」を感じ

させる演奏をする事はできます。でも

僕たちは、そうした固定観念にとらわ

れず、譜面を読み解いてそこから感じ

たことをありのままに「ベートーヴェン

の弦楽四重奏曲」として奏でたいので

す。だから演奏を聴いて、想像してい

たベートーヴェン像とは違うフレー

ズも所々で感じてもらえたら、嬉しい

ですね!

 大分のお客様はとても集中力が高

いので、〝響き〞や〝意外性〞をきっと見

つけてくださると思います。ちなみ

に、僕たちは演奏時の動きや様子にそ

歌心と絵ごころの交わり 二豊路 漂泊の画人 佐藤 溪 と 俳人 種田山頭火

Data

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若きカルテットが表現する楽聖ベートーヴェンの意外な一面

2iichiko

ウェールズ弦楽四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会 第2幕

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チケット発売中

2/3、iichiko総合文化センターiichiko音の泉ホールにて「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会」の第2幕が開催される。ウェールズ弦楽四重奏団のメンバー・三原久遠さん(2ndヴァイオリン)に意気込みを語ってもらった。

Verus String QuartetBeethoven

れぞれ特徴があるようで、よくアン

ケートに書かれるんですよ。これが意

外と性格とも合致していて(笑)。視覚

的にもカルテットのアンサンブルを

お楽しみ下さい。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は精神的に一番深く感じま

す。ベートーヴェン

は生涯を通じて弦楽四重奏曲を書いていますが、特に後

期の作品は完成度が

高く、精神の高みがあります。音楽として聴衆に媚びず、そ

ういう意味では「音

楽が人を選ぶ」と思っています。

美術で例えると、オーケストラは油絵、弦楽四重奏曲は墨絵

だと感じながら聴

いています。多くの弦楽四重奏団が演奏

するベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いてきま

した。まだ若いウェールズSQの演奏がどう変化していくか

も聴く私たちの楽し

みの1つです。そういう意味でもとても良いプロジェクトだ

と思います。このプ

ロジェクトを通して彼らが求めるもの、名前にふさわしい「

Verus(ウェールズ)=

誠実あるいは真実」を見つけていってほしいです。今後の展

開が楽しみです。

©Satoshi Oono

個性あふれる人物画から詩情ゆたかな風景画まで、変化に富む佐藤溪の作品と、山頭火直筆の書や句を一緒に並べるのは初の試みです!

企画展

新見隆×高橋鴿子画家・佐藤溪(1918-1960年)と、俳人・種田山頭火(1882-1940年)の歩みを旅という視点から紐解き、絵と言葉の両面から辿る展覧会。佐藤溪という人物に魅せられ、自らの手で美術館を運営した高橋鴿子さんと、大分県立美術館館長・新見隆に、その魅力について語ってもらいました。

対談にい    み   りゅう たか    はし    はと    こ