VⅢ.鋳 物工場のオートメーションと プロセス・マネジメント · PDF file...

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  • 鋳造設備の自動化と制御技術 VIII.鋳 物工場のオ ートメーションとプロセス ・マネジメント 561

    連載講座 VⅢ .鋳 物工場のオー トメーションと

    プロセス ・マネジメント

    長 坂 悦 敬 *

    Serial Lectu

    J.JFS,恥1.81 No,11(2009)pp.561~569

    Automation and Process Managementin Foundry

    Yoshiyuki Nagasaka*

    キーワード:鋳造工場,BPM,デ ータ分析, トレーサビリティ,マ ネジメント

    1。まえがき

    大量消費の市場が不確実な市場に変化し,重 厚長大から

    軽薄短小へ,少 品種大量生産時代から変種変量生産時代に

    移行したと言われて久しい,供給が需要を上回り,インタ ー

    ネットを介して顧客が直接取引を行う現在,多 くの企業で

    は顧客個々人の感性をも意識 したマ ーケティング,開 発,

    生産体制の革新が進められている.グ ロ ーバル競争,IT

    革新が進む一方で,地 球環境への配慮も不可欠である.も

    のづくりに関わる多国籍企業では, 自国内で生産すべきも

    のと現地生産すべきものの比率と内容が変化し,そ れは国

    内中小企業の形態にも大きな影響を与えている.将 来にわ

    たり,企 業が持続的に発展するためには,環 境変化に迅速

    に対応できる力が必要であり, 日本では,改 正労働者派遣

    法 1),少

    子化,技 術 ・技能伝承問題等をお、まえ,生 産革新

    が推進できる人材育成の重要性も増 している.さ らに,製

    造業では,付 加価値製品を生産するための技術開発が必要

    である.

    製造業を消費者へ渡る最終製品を生産する川下産業とそ

    の川下産業に部品等を供給する川上産業に分類 してみる

    と,川 下産業 (機械 ・電機工業等)に 素形材部品を提供す

    る川上産業の素形材部品製造業 (鋳造,鍛 造,プ レス,粉

    末冶金,熱 処理,メ ッキなど)は とくに中小企業の比率が

    高くなっている.し かし, これら素形材産業の市場は国内

    で約5兆円 (2006年度)に ものばり,「中小企業ものづく

    り基盤技術高度化法」(2006年度制定)で うたわれている

    とおり,近 年は日本の製造業を支える川上産業しての重要

    な位置付けが再認識されている.品 質, コスト,納 期,環

    境への対応力をきっちり確保 し,信 頼を得る企業になるこ

    とが第一に重要であり,そ のためにはオ ートメーション技

    術の開発とマネジメントカの強化が不可欠である。

    以上のような背景 ・問題意識から,本 稿では,川 下産業

    でとくに重要な鋳造業を取り上げ, まず鋳造業を取り巻く

    経営環境変化について整理,考 察する。さらに,鋳 造工場

    の課題を列挙し, とくにオートメーションの意義について

    考察する。その結果として,品 質 トレ ーサビリティの重要

    性をとりあげ,そ の実現のためのマネジメント手法として

    データ・マネジメントを包含したプロセス・マネジメント

    を提案する.

    2.鋳 造工場 のオー トメー シ ョン

    2.1 経営環境の変化とオートメーション

    21世紀の製造業をとりまく環境の変化は激しい.適 切

    な鋳造工場管理のためには, これらの環境変化をとらえ,

    柔軟かつ迅速に適応 していく必要がある.と くに鋳造企業

    との関連において注目すべき経営環境の変化について文献

    より整理すると以下のようになった。

    ① グローバル・コンペティションとアジル・コンペティション

    子会社を数力国にもち,か つ,そ の経営管理者が多国籍

    であるいわゆる多国籍企業が増えている "。これにともな

    い,部 品供給企業もグローバル競争への対応が必須になっ

    てきた. 一方,生 産設備投資や生産計画に対して,少 品種大量生

    産時代では生産能力や設備稼働率を考慮 したが,変 種変量

    生産時代では需要変動への対応を第一に考えなければなら

    ない。従来,在 庫は財産であったが,現 在ではリスクであ

    るという認識が浸透 している。アジリティは, このような

    環境変化への迅速な対応力を意味し,次 世代生産環境で備

    えるべき重要な要素になっている。ここで,4つ の尺度,

    つまり,時 間, コス ト, ロバストネス (強靭性),ス コー

    プ (視野)に 対してバランスを保ちつつ俊敏な対応が持続

    されなければならないという指摘がある 3).ァジリティを

    平成21年 1月30日 原 稿受理 * 甲 南大学 Konan University

    *本解説のオリジナル記事

    Y Nagasaka:Automation and Process Management h Fountt lnt.J.Of Autom面on Technology9 Vol.2,No.4(2008),[266-275]

  • 鋳 造 工 学 第 81巻 (2009)第 11号

    確保するためには,エ ンジニアリングチェ ーンでの企画 ・

    設計や,サ プライチェ ーンでの資材調達など,さ まざまな

    コラボレーションが必要となる。このようなコラボレ ー

    ションにおいて重要になるのが,企 業と企業,顧 客と企業

    の間の意思疎通であり, ものづくりを行うための情報の流

    通 (共有,伝 達,交 換を含む)で ある。

    ② 二 極化

    改革に対する意識が明確で,環 境変化に迅速に対応でき

    る企業は資本力が増 し,優 秀な人材の確保も進む,一 方,

    変化を望まない企業は停滞し,人 材も不足していく。この

    差は従来に比べ今後ますます大きく開いていく ° .い わゆ

    る,“勝ち組 "と“

    負け組 "という企業業績の二極化である.

    また,正 社員と派遣社員 ,パート社員という雇用形態の二

    極化も進んでいる.モ チベーションの向上策, とくに製造

    品質への影響を含めて,業 績評価システムの見直し,公 平

    な利益配分を進めていく必要がある.

    ③ 少 子高齢化,技 能伝承,人 材育成問題

    日本では,団 塊の世代の引退にともなう技術伝承問題ヘ

    の対応を迫られている、また,少 子化が進む中,労 働力の

    確保がますます難しくなってきている,従 業員満足度を考

    慮 した工場管理は,優 秀な人材を確保し,最 終的に企業価

    値を高めることになる.人 材育成プログラムは,各 社の特

    徴にフィットとした効率的なものを開発する必要がある が, ものづ くりの

    “ 心

    ",“こだわり "をどのように伝承 し

    ていくか,工 夫が必要である 5).

    ④ 水 平分業,ア ウトソーシング,ア ライアンス,M&A

    現在およびこれからは,一 企業内での取り組みだけでは

    経営環境変化への対応に限界がある.様 々なアライアンス

    (複数の企業間の様々な連携 ・共同行動)を 具現化する必

    要がある 6).ァ

    ライアンスは,長 期継続的な取引を行って

    いるが,系 列のように資産の所有関係に基づく中核企業と

    排他的な関係ではなく,パ ヮー関係が存在するにしても,

    各エージェントは複数の取引相手を持っている組織である

    と定義されている。アライアンスはフォーマルな契約に

    よって:関 係づけられていることもあるが,通 常,長 期継

    続的な関係に基づく暗黙の契約によって関係づけられてい

    る。M&A(Mergers and Acquisitions,企業の合併及び買収)

    もさかんに行われる時代になった。日々のものづくりの努

    力と長期的視野に立ちながらも変化に即応できる経営戦略 が不可欠である.

    ⑤ コ スト競争激化と市場要求品質のレベルアップ

    海外調達品,競 合他社とのコス ト競争は激化 している。

    価格競争に備えるためには, きちんとした原価計算,原 価

    管理が不可欠である。変動費と固定費の比率に注目し, コ スト肖1減への改善を愚直に進めていく現場力の醸成が必要 である。当然のことながら, コストのみならず品質も重要 である.「鋳物に巣はあるもの」という発想が問題であり, 寸法バラツキも問題である。材質が均質でないし,巣 の位 置,大 きさゃ組織制御ができているとは思われていない

    つ .

    検査を徹底して,不 良品を出荷 しないようにする体制が必

    要である。川下産業から見れば,鋳 物メ ーカ‐に品質管理

    のできているところが少ないと考えられている。品質保証

    力をあげることはとても重要である。

    ⑥ 製 品ライフサイクル短縮化,多様性増加,小 ロット,

    JIT対応

    製品のライフが短くなり,