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Title 二元液体合金の構造(修士論文(1987年度)) Author(s) 安仁屋, 勝 Citation 物性研究 (1988), 50(3): 457-523 Issue Date 1988-06-20 URL http://hdl.handle.net/2433/93084 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

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Title 二元液体合金の構造(修士論文(1987年度))

Author(s) 安仁屋 勝

Citation 物性研究 (1988) 50(3) 457-523

Issue Date 1988-06-20

URL httphdlhandlenet243393084

Right

Type Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

Kyoto University

物性研究50-3(1988- 6)

修士論文 (1987年度 )

二 元 蔀変 体 合 金 の 構 造

琉球大学理物理 安仁屋勝

E打 巨exist

ここ数年 ChemicalShortRangeOrder(CSRO)を示 し熱力学的 または電

磁気的性質に異常な物性を示す二元液体合金が精力的に研究されている

我々は CSROを示 しまたゼロ合金でもある液体 LiPbと Li71AgeJ につい

て構造の研究を行なったその結果構造の温度依存性は最近提案された

ModifiedXSXによってかなり良 く再現されることがわかった

この論文では二元液体合金を記述する上で必要な理論体系を初歩的な内容から

説 き起こし現時点までの主な成果を概観 した後上で述べた物質の構造 につい

て議論す る

また液体金属 に関す る興味深い話題 もいくつか紹介す る

蘭 毘言

1 序論

2 単純液体の統計力学

21 単純液体における原子分布

22 密度のゆちぎと相関関数

23 Ⅹ線 (中性子線 )散乱と構造因子

- 457-

安仁屋勝

24 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevickおよび

tlyper-Netted-Chain近似

25 熱力学関数 と分布関数

a 内部エネルギ ー

b 状態方程式

26 剛体球モデルと PY 方程式

27 HeanSphericalModel(HSH)

3 多成分液体の統計力学

31 多成分液体の分布関数構造因子Ornstein-Zernike

方程式

32 二元液体の構造 と散乱実験

33 Bhatia-Thorntonの部分構造因子

a NuⅦber-Nutnber構造因子SNN(q)

b Concentration-Concentration構造因子

Scc(q)

C NuE)her-Concentration構造因子SNC(q)

34 多成分液体における HSX

a 中性剛体球モデルの一般解

b ChargedHardSphere系

C Hard-Sphere-Yukava系

d その他

35 HodifiedMeanSpherical詫odel

4 液体 LiPbと Li71Ag20の構造

41 実験的事実

42 0rderingPotentialAnalysis

43 理論的計算 とその改良

a 液体 LiPb

b 液体 Li71Ag29

44 液体 LiPbの構造に関するその他のアプ ローチ

a SC(q)の第-ピークの位置の改良

b 化合物形成モデル

C 電荷移動のセルフ コンシステン ト的計算

d その他

-458-

二元液体合金の構造

5 液体金属 に関す るその他の間蓮

51 液体金属の電子的諸性質

a 電気抵抗

b Hall効果 故気的性質光学的性質

52 電子 イオン相互作用

53 高温 高圧下での液体金属

54 イオ ン性液体 CsAu

55 相分離型二元液体合金

最後に

参考文献

巨exist - 巨equivexist EEexist 巨喜ヨ

規則的な配列あ るいは構造を持つ結晶の物理は量子力学の誕生以来著 しい発

展を遂げて きた結晶の ような長距離秩序をもつ物資に対 する基本的な理解は一

応確立されたといってよい しか し現実に存在 する物質 のほとんどが何 らか

の意味での周期性か らのずれを持 っている従 って結 晶 と全 く対照的な特徴

を持つラ ンダム系 あるいは不規則系を統一的に理解することは物性物理学に残

された重要な課題であることがわかるまた乱れた系 に対する興味は学術的な

面のみに留 まらず アモルファス半導体 液晶非晶質金属等新素材 として応

用面 とも深 く結び付いている

ランダ ム系の一環 として液体金属 に関する物性論的な研 究は古 くか ら液体の

構造に関 する種々のアプ ローチが あったにも拘 らずその歴史は浅 く発展途上

の学問領域であるこの ことは 1966年 に第一 回の液体金属の国際会議が開か

れたことか らもうなずける(1)

液体金属の実験 は測定が高塩領域であるため試料の滴性度が大でありまた

蒸気圧が高い等のため 困難で ある (i)しか しここ数年測定技術の進歩 高温

度測定機器材料の開発等に伴って種 々の条件下で物性の測定が可能になる一方

コンピュ ーターの高速化 記憶容量増大 によりコンピュ ーターシミュ レーショ

ンによる研究が盛 んに行 なわれるようになったため液体金属 に関する基礎的な

研究は急速な発展 を遂げ たく2)

-459-

安仁屋勝

一方理論の立場からは中性子の非弾性散乱の広範囲な実験結果に刺激され

イオンの時間的空間的相関の問題を第-原理か ら解明しまたダイナミカル

なイオン運動を反映 した電子状態 輸送現象を多体問題の一つの大きな課題とし

て考えるようになった(1)

液体金属とは粗 くいえば古典力学に従 うイオン系と量子力学に従う電子系とか

らなる多成分系と考えられ研究対象として液体金属を遇択するおもしろさはア

ルゴンのような中性液体 とは異な り乱れた原子配列の中を動き回る電子の存在

にある

理論的に液体金属の問題に取り組む場合大きく分けて二通りのアプローチの

仕方が考 えられる第一のアプローチは液体論を出発点としこれに電子の影響

を取り入れ液体金属を考えるというや り方である要するにイオン間の有効

相互作用は直接の相互作用と伝導電子を通じての間接相互作用の二つからなると

考えるのである一方第二のアプローチはイオ ン配列が与えられているとし

乱れたイオンの影響の下で液体金属を考えるこの場合 81ochの定理は成立せ

ずまたunitcellも定義できないこんな場合電子状態が如何なるもので

あるかが重要な問題となるもちろん対象となる体系は一つなので二通りのアプ

ローチは互いに consistentでな ければならない

この論文では第-のアプローチに沿い主に二元液体合金の構造を取り扱う

第二章第三章ではそれぞれ-成分多成分液体の統計力学について述べ第四

章では我々の研究の対象 となった液体金属 Li4Pbと Li71Ag20 の構造について

説明する第五章では液体金属 に関する興味深い話題をいくつか紹介し最後

に液体金属研究に対する私見を述べて締めくくる

巨岩 ≒≒責exist 単 純 液 体 の 統 計 力 学

1950年代 までに Lennard-Jonesと Devonshireの理論 Eyringらの空

孔理論及び Yvon-Born-Green積分方程式と Kirkvoodの積分方程式の理論等

で代表されていた液体の統計力学は 1950年代末以降 Percus-Yevick(PY)

方程式Hyper-Netted-Chain(HCN)方程式 Scaledparticletheory 摂動

論等の新 しい方程式理論の登場及び HonteCarlo法 noleculardynamics

法等計算機実験等の発展でその様相を一変させ た(令)

近年の発展の著 しい特徴は積分方程式の理論が実用的なもの となって来たこ

とである従って以下ではそれらの叙述から始めよう

-460-

二元液体合金の構造

2 1 単純液体における原子分布

同一種のN個の原子からなる体積 V の系において原子の位置を rlr2

『 N 系のポテンシャルエネルギーを U とすれば

一体密度は

1(r)-p(町)- 岩 16(r-rl)

二体密度は

γ 2(hellip -華鳶 6(hellip )6 r-rJ

で表わされる

任意の点 町 での平均密度を β とすれば

I)= く γく1)(r)〉

(2-1)

(2-2)

5there4intexpi-U(tLlq2rN)RBT)sum6(い q l)dq 1dm

5intexpモーU(rlr2rN)KEITIdql加 N

N Iiexp i-U(どr2 rN)KBT)加 2 dqN

intSexpi-U(rlq2m)KBTldF 1drN

この β が実験で観測される密度である

(2-2) の平均をとると

A (2)(ど町)equiv

一般に

である

(2-3)

N(N-1)intintexpt-U(どF町5qN)RJaT)dq ぅ dqlN

intintexp i-U(町 1q2帆 )KBT)dq L 加 N

(2-4)

A (n)(∬ 1lr)equiv NSexp(-UKBT)d∬nHdqN

(N-n)5~exp(-UKBT)dq l arn

-461-

安仁屋勝

液体の統計力学で最も重要な役割をになうのは二体分布関数 p(2-(qF)で

p ほど直接の意味は持たないが 後で見るようにⅩ線あるいは中性子線の珂析

実験から観測されるものである

相互作用がない場合(2-4)式は U=0 か ら

p (2)(どr)equiv pと(1-1N)

となるそこで一般の場合

p (2)(ど町)equiv Peg (ど町) (2-5)

と置 くまた液体は一様専方的 と考えるとPF に依存するよりむしろ

ri2equivIr 一 町 l に関係する従って

p (2)(ど-打)equiv Peg(r12) (2-6)

とも書けるg (r12) は動径分布関数あるいは二体分布関数とよばれている

もので一つの原子が T の まわりの微小体積 dv にあるとき他の原子が

r のまわりの微小体積 dv に見出される確率である

また希薄な密度の場合二つの原子間ポテンシャルを cent(r12) とすると分

布確率は Boltzmann因子で与えられるので

p -2)(r12)= P 2exp(-βcent(r12))

とも書けるく4)

βequiv1KBT (2-7)

2 2 密度のゆらぎと相関関数 く5)

液体状態における各原子は空間的時間的に変動しているので微視的立場から

は当然密度のゆ ちぎが存在する従 って密度のゆらぎと g(ど)には何 らかの関

係式が成 り立つはずであるまず始めにこの節でその関係式を導き出し2

3節で実験で直接観測される構造因子との結び付 きについて述べ る

大正準分布で粒子数のゆらぎは

((N-(N))2)equiv (Ne)-(N)2

-462-

(2-8)

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

物性研究50-3(1988- 6)

修士論文 (1987年度 )

二 元 蔀変 体 合 金 の 構 造

琉球大学理物理 安仁屋勝

E打 巨exist

ここ数年 ChemicalShortRangeOrder(CSRO)を示 し熱力学的 または電

磁気的性質に異常な物性を示す二元液体合金が精力的に研究されている

我々は CSROを示 しまたゼロ合金でもある液体 LiPbと Li71AgeJ につい

て構造の研究を行なったその結果構造の温度依存性は最近提案された

ModifiedXSXによってかなり良 く再現されることがわかった

この論文では二元液体合金を記述する上で必要な理論体系を初歩的な内容から

説 き起こし現時点までの主な成果を概観 した後上で述べた物質の構造 につい

て議論す る

また液体金属 に関す る興味深い話題 もいくつか紹介す る

蘭 毘言

1 序論

2 単純液体の統計力学

21 単純液体における原子分布

22 密度のゆちぎと相関関数

23 Ⅹ線 (中性子線 )散乱と構造因子

- 457-

安仁屋勝

24 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevickおよび

tlyper-Netted-Chain近似

25 熱力学関数 と分布関数

a 内部エネルギ ー

b 状態方程式

26 剛体球モデルと PY 方程式

27 HeanSphericalModel(HSH)

3 多成分液体の統計力学

31 多成分液体の分布関数構造因子Ornstein-Zernike

方程式

32 二元液体の構造 と散乱実験

33 Bhatia-Thorntonの部分構造因子

a NuⅦber-Nutnber構造因子SNN(q)

b Concentration-Concentration構造因子

Scc(q)

C NuE)her-Concentration構造因子SNC(q)

34 多成分液体における HSX

a 中性剛体球モデルの一般解

b ChargedHardSphere系

C Hard-Sphere-Yukava系

d その他

35 HodifiedMeanSpherical詫odel

4 液体 LiPbと Li71Ag20の構造

41 実験的事実

42 0rderingPotentialAnalysis

43 理論的計算 とその改良

a 液体 LiPb

b 液体 Li71Ag29

44 液体 LiPbの構造に関するその他のアプ ローチ

a SC(q)の第-ピークの位置の改良

b 化合物形成モデル

C 電荷移動のセルフ コンシステン ト的計算

d その他

-458-

二元液体合金の構造

5 液体金属 に関す るその他の間蓮

51 液体金属の電子的諸性質

a 電気抵抗

b Hall効果 故気的性質光学的性質

52 電子 イオン相互作用

53 高温 高圧下での液体金属

54 イオ ン性液体 CsAu

55 相分離型二元液体合金

最後に

参考文献

巨exist - 巨equivexist EEexist 巨喜ヨ

規則的な配列あ るいは構造を持つ結晶の物理は量子力学の誕生以来著 しい発

展を遂げて きた結晶の ような長距離秩序をもつ物資に対 する基本的な理解は一

応確立されたといってよい しか し現実に存在 する物質 のほとんどが何 らか

の意味での周期性か らのずれを持 っている従 って結 晶 と全 く対照的な特徴

を持つラ ンダム系 あるいは不規則系を統一的に理解することは物性物理学に残

された重要な課題であることがわかるまた乱れた系 に対する興味は学術的な

面のみに留 まらず アモルファス半導体 液晶非晶質金属等新素材 として応

用面 とも深 く結び付いている

ランダ ム系の一環 として液体金属 に関する物性論的な研 究は古 くか ら液体の

構造に関 する種々のアプ ローチが あったにも拘 らずその歴史は浅 く発展途上

の学問領域であるこの ことは 1966年 に第一 回の液体金属の国際会議が開か

れたことか らもうなずける(1)

液体金属の実験 は測定が高塩領域であるため試料の滴性度が大でありまた

蒸気圧が高い等のため 困難で ある (i)しか しここ数年測定技術の進歩 高温

度測定機器材料の開発等に伴って種 々の条件下で物性の測定が可能になる一方

コンピュ ーターの高速化 記憶容量増大 によりコンピュ ーターシミュ レーショ

ンによる研究が盛 んに行 なわれるようになったため液体金属 に関する基礎的な

研究は急速な発展 を遂げ たく2)

-459-

安仁屋勝

一方理論の立場からは中性子の非弾性散乱の広範囲な実験結果に刺激され

イオンの時間的空間的相関の問題を第-原理か ら解明しまたダイナミカル

なイオン運動を反映 した電子状態 輸送現象を多体問題の一つの大きな課題とし

て考えるようになった(1)

液体金属とは粗 くいえば古典力学に従 うイオン系と量子力学に従う電子系とか

らなる多成分系と考えられ研究対象として液体金属を遇択するおもしろさはア

ルゴンのような中性液体 とは異な り乱れた原子配列の中を動き回る電子の存在

にある

理論的に液体金属の問題に取り組む場合大きく分けて二通りのアプローチの

仕方が考 えられる第一のアプローチは液体論を出発点としこれに電子の影響

を取り入れ液体金属を考えるというや り方である要するにイオン間の有効

相互作用は直接の相互作用と伝導電子を通じての間接相互作用の二つからなると

考えるのである一方第二のアプローチはイオ ン配列が与えられているとし

乱れたイオンの影響の下で液体金属を考えるこの場合 81ochの定理は成立せ

ずまたunitcellも定義できないこんな場合電子状態が如何なるもので

あるかが重要な問題となるもちろん対象となる体系は一つなので二通りのアプ

ローチは互いに consistentでな ければならない

この論文では第-のアプローチに沿い主に二元液体合金の構造を取り扱う

第二章第三章ではそれぞれ-成分多成分液体の統計力学について述べ第四

章では我々の研究の対象 となった液体金属 Li4Pbと Li71Ag20 の構造について

説明する第五章では液体金属 に関する興味深い話題をいくつか紹介し最後

に液体金属研究に対する私見を述べて締めくくる

巨岩 ≒≒責exist 単 純 液 体 の 統 計 力 学

1950年代 までに Lennard-Jonesと Devonshireの理論 Eyringらの空

孔理論及び Yvon-Born-Green積分方程式と Kirkvoodの積分方程式の理論等

で代表されていた液体の統計力学は 1950年代末以降 Percus-Yevick(PY)

方程式Hyper-Netted-Chain(HCN)方程式 Scaledparticletheory 摂動

論等の新 しい方程式理論の登場及び HonteCarlo法 noleculardynamics

法等計算機実験等の発展でその様相を一変させ た(令)

近年の発展の著 しい特徴は積分方程式の理論が実用的なもの となって来たこ

とである従って以下ではそれらの叙述から始めよう

-460-

二元液体合金の構造

2 1 単純液体における原子分布

同一種のN個の原子からなる体積 V の系において原子の位置を rlr2

『 N 系のポテンシャルエネルギーを U とすれば

一体密度は

1(r)-p(町)- 岩 16(r-rl)

二体密度は

γ 2(hellip -華鳶 6(hellip )6 r-rJ

で表わされる

任意の点 町 での平均密度を β とすれば

I)= く γく1)(r)〉

(2-1)

(2-2)

5there4intexpi-U(tLlq2rN)RBT)sum6(い q l)dq 1dm

5intexpモーU(rlr2rN)KEITIdql加 N

N Iiexp i-U(どr2 rN)KBT)加 2 dqN

intSexpi-U(rlq2m)KBTldF 1drN

この β が実験で観測される密度である

(2-2) の平均をとると

A (2)(ど町)equiv

一般に

である

(2-3)

N(N-1)intintexpt-U(どF町5qN)RJaT)dq ぅ dqlN

intintexp i-U(町 1q2帆 )KBT)dq L 加 N

(2-4)

A (n)(∬ 1lr)equiv NSexp(-UKBT)d∬nHdqN

(N-n)5~exp(-UKBT)dq l arn

-461-

安仁屋勝

液体の統計力学で最も重要な役割をになうのは二体分布関数 p(2-(qF)で

p ほど直接の意味は持たないが 後で見るようにⅩ線あるいは中性子線の珂析

実験から観測されるものである

相互作用がない場合(2-4)式は U=0 か ら

p (2)(どr)equiv pと(1-1N)

となるそこで一般の場合

p (2)(ど町)equiv Peg (ど町) (2-5)

と置 くまた液体は一様専方的 と考えるとPF に依存するよりむしろ

ri2equivIr 一 町 l に関係する従って

p (2)(ど-打)equiv Peg(r12) (2-6)

とも書けるg (r12) は動径分布関数あるいは二体分布関数とよばれている

もので一つの原子が T の まわりの微小体積 dv にあるとき他の原子が

r のまわりの微小体積 dv に見出される確率である

また希薄な密度の場合二つの原子間ポテンシャルを cent(r12) とすると分

布確率は Boltzmann因子で与えられるので

p -2)(r12)= P 2exp(-βcent(r12))

とも書けるく4)

βequiv1KBT (2-7)

2 2 密度のゆらぎと相関関数 く5)

液体状態における各原子は空間的時間的に変動しているので微視的立場から

は当然密度のゆ ちぎが存在する従 って密度のゆらぎと g(ど)には何 らかの関

係式が成 り立つはずであるまず始めにこの節でその関係式を導き出し2

3節で実験で直接観測される構造因子との結び付 きについて述べ る

大正準分布で粒子数のゆらぎは

((N-(N))2)equiv (Ne)-(N)2

-462-

(2-8)

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

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45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

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51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

24 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevickおよび

tlyper-Netted-Chain近似

25 熱力学関数 と分布関数

a 内部エネルギ ー

b 状態方程式

26 剛体球モデルと PY 方程式

27 HeanSphericalModel(HSH)

3 多成分液体の統計力学

31 多成分液体の分布関数構造因子Ornstein-Zernike

方程式

32 二元液体の構造 と散乱実験

33 Bhatia-Thorntonの部分構造因子

a NuⅦber-Nutnber構造因子SNN(q)

b Concentration-Concentration構造因子

Scc(q)

C NuE)her-Concentration構造因子SNC(q)

34 多成分液体における HSX

a 中性剛体球モデルの一般解

b ChargedHardSphere系

C Hard-Sphere-Yukava系

d その他

35 HodifiedMeanSpherical詫odel

4 液体 LiPbと Li71Ag20の構造

41 実験的事実

42 0rderingPotentialAnalysis

43 理論的計算 とその改良

a 液体 LiPb

b 液体 Li71Ag29

44 液体 LiPbの構造に関するその他のアプ ローチ

a SC(q)の第-ピークの位置の改良

b 化合物形成モデル

C 電荷移動のセルフ コンシステン ト的計算

d その他

-458-

二元液体合金の構造

5 液体金属 に関す るその他の間蓮

51 液体金属の電子的諸性質

a 電気抵抗

b Hall効果 故気的性質光学的性質

52 電子 イオン相互作用

53 高温 高圧下での液体金属

54 イオ ン性液体 CsAu

55 相分離型二元液体合金

最後に

参考文献

巨exist - 巨equivexist EEexist 巨喜ヨ

規則的な配列あ るいは構造を持つ結晶の物理は量子力学の誕生以来著 しい発

展を遂げて きた結晶の ような長距離秩序をもつ物資に対 する基本的な理解は一

応確立されたといってよい しか し現実に存在 する物質 のほとんどが何 らか

の意味での周期性か らのずれを持 っている従 って結 晶 と全 く対照的な特徴

を持つラ ンダム系 あるいは不規則系を統一的に理解することは物性物理学に残

された重要な課題であることがわかるまた乱れた系 に対する興味は学術的な

面のみに留 まらず アモルファス半導体 液晶非晶質金属等新素材 として応

用面 とも深 く結び付いている

ランダ ム系の一環 として液体金属 に関する物性論的な研 究は古 くか ら液体の

構造に関 する種々のアプ ローチが あったにも拘 らずその歴史は浅 く発展途上

の学問領域であるこの ことは 1966年 に第一 回の液体金属の国際会議が開か

れたことか らもうなずける(1)

液体金属の実験 は測定が高塩領域であるため試料の滴性度が大でありまた

蒸気圧が高い等のため 困難で ある (i)しか しここ数年測定技術の進歩 高温

度測定機器材料の開発等に伴って種 々の条件下で物性の測定が可能になる一方

コンピュ ーターの高速化 記憶容量増大 によりコンピュ ーターシミュ レーショ

ンによる研究が盛 んに行 なわれるようになったため液体金属 に関する基礎的な

研究は急速な発展 を遂げ たく2)

-459-

安仁屋勝

一方理論の立場からは中性子の非弾性散乱の広範囲な実験結果に刺激され

イオンの時間的空間的相関の問題を第-原理か ら解明しまたダイナミカル

なイオン運動を反映 した電子状態 輸送現象を多体問題の一つの大きな課題とし

て考えるようになった(1)

液体金属とは粗 くいえば古典力学に従 うイオン系と量子力学に従う電子系とか

らなる多成分系と考えられ研究対象として液体金属を遇択するおもしろさはア

ルゴンのような中性液体 とは異な り乱れた原子配列の中を動き回る電子の存在

にある

理論的に液体金属の問題に取り組む場合大きく分けて二通りのアプローチの

仕方が考 えられる第一のアプローチは液体論を出発点としこれに電子の影響

を取り入れ液体金属を考えるというや り方である要するにイオン間の有効

相互作用は直接の相互作用と伝導電子を通じての間接相互作用の二つからなると

考えるのである一方第二のアプローチはイオ ン配列が与えられているとし

乱れたイオンの影響の下で液体金属を考えるこの場合 81ochの定理は成立せ

ずまたunitcellも定義できないこんな場合電子状態が如何なるもので

あるかが重要な問題となるもちろん対象となる体系は一つなので二通りのアプ

ローチは互いに consistentでな ければならない

この論文では第-のアプローチに沿い主に二元液体合金の構造を取り扱う

第二章第三章ではそれぞれ-成分多成分液体の統計力学について述べ第四

章では我々の研究の対象 となった液体金属 Li4Pbと Li71Ag20 の構造について

説明する第五章では液体金属 に関する興味深い話題をいくつか紹介し最後

に液体金属研究に対する私見を述べて締めくくる

巨岩 ≒≒責exist 単 純 液 体 の 統 計 力 学

1950年代 までに Lennard-Jonesと Devonshireの理論 Eyringらの空

孔理論及び Yvon-Born-Green積分方程式と Kirkvoodの積分方程式の理論等

で代表されていた液体の統計力学は 1950年代末以降 Percus-Yevick(PY)

方程式Hyper-Netted-Chain(HCN)方程式 Scaledparticletheory 摂動

論等の新 しい方程式理論の登場及び HonteCarlo法 noleculardynamics

法等計算機実験等の発展でその様相を一変させ た(令)

近年の発展の著 しい特徴は積分方程式の理論が実用的なもの となって来たこ

とである従って以下ではそれらの叙述から始めよう

-460-

二元液体合金の構造

2 1 単純液体における原子分布

同一種のN個の原子からなる体積 V の系において原子の位置を rlr2

『 N 系のポテンシャルエネルギーを U とすれば

一体密度は

1(r)-p(町)- 岩 16(r-rl)

二体密度は

γ 2(hellip -華鳶 6(hellip )6 r-rJ

で表わされる

任意の点 町 での平均密度を β とすれば

I)= く γく1)(r)〉

(2-1)

(2-2)

5there4intexpi-U(tLlq2rN)RBT)sum6(い q l)dq 1dm

5intexpモーU(rlr2rN)KEITIdql加 N

N Iiexp i-U(どr2 rN)KBT)加 2 dqN

intSexpi-U(rlq2m)KBTldF 1drN

この β が実験で観測される密度である

(2-2) の平均をとると

A (2)(ど町)equiv

一般に

である

(2-3)

N(N-1)intintexpt-U(どF町5qN)RJaT)dq ぅ dqlN

intintexp i-U(町 1q2帆 )KBT)dq L 加 N

(2-4)

A (n)(∬ 1lr)equiv NSexp(-UKBT)d∬nHdqN

(N-n)5~exp(-UKBT)dq l arn

-461-

安仁屋勝

液体の統計力学で最も重要な役割をになうのは二体分布関数 p(2-(qF)で

p ほど直接の意味は持たないが 後で見るようにⅩ線あるいは中性子線の珂析

実験から観測されるものである

相互作用がない場合(2-4)式は U=0 か ら

p (2)(どr)equiv pと(1-1N)

となるそこで一般の場合

p (2)(ど町)equiv Peg (ど町) (2-5)

と置 くまた液体は一様専方的 と考えるとPF に依存するよりむしろ

ri2equivIr 一 町 l に関係する従って

p (2)(ど-打)equiv Peg(r12) (2-6)

とも書けるg (r12) は動径分布関数あるいは二体分布関数とよばれている

もので一つの原子が T の まわりの微小体積 dv にあるとき他の原子が

r のまわりの微小体積 dv に見出される確率である

また希薄な密度の場合二つの原子間ポテンシャルを cent(r12) とすると分

布確率は Boltzmann因子で与えられるので

p -2)(r12)= P 2exp(-βcent(r12))

とも書けるく4)

βequiv1KBT (2-7)

2 2 密度のゆらぎと相関関数 く5)

液体状態における各原子は空間的時間的に変動しているので微視的立場から

は当然密度のゆ ちぎが存在する従 って密度のゆらぎと g(ど)には何 らかの関

係式が成 り立つはずであるまず始めにこの節でその関係式を導き出し2

3節で実験で直接観測される構造因子との結び付 きについて述べ る

大正準分布で粒子数のゆらぎは

((N-(N))2)equiv (Ne)-(N)2

-462-

(2-8)

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

5 液体金属 に関す るその他の間蓮

51 液体金属の電子的諸性質

a 電気抵抗

b Hall効果 故気的性質光学的性質

52 電子 イオン相互作用

53 高温 高圧下での液体金属

54 イオ ン性液体 CsAu

55 相分離型二元液体合金

最後に

参考文献

巨exist - 巨equivexist EEexist 巨喜ヨ

規則的な配列あ るいは構造を持つ結晶の物理は量子力学の誕生以来著 しい発

展を遂げて きた結晶の ような長距離秩序をもつ物資に対 する基本的な理解は一

応確立されたといってよい しか し現実に存在 する物質 のほとんどが何 らか

の意味での周期性か らのずれを持 っている従 って結 晶 と全 く対照的な特徴

を持つラ ンダム系 あるいは不規則系を統一的に理解することは物性物理学に残

された重要な課題であることがわかるまた乱れた系 に対する興味は学術的な

面のみに留 まらず アモルファス半導体 液晶非晶質金属等新素材 として応

用面 とも深 く結び付いている

ランダ ム系の一環 として液体金属 に関する物性論的な研 究は古 くか ら液体の

構造に関 する種々のアプ ローチが あったにも拘 らずその歴史は浅 く発展途上

の学問領域であるこの ことは 1966年 に第一 回の液体金属の国際会議が開か

れたことか らもうなずける(1)

液体金属の実験 は測定が高塩領域であるため試料の滴性度が大でありまた

蒸気圧が高い等のため 困難で ある (i)しか しここ数年測定技術の進歩 高温

度測定機器材料の開発等に伴って種 々の条件下で物性の測定が可能になる一方

コンピュ ーターの高速化 記憶容量増大 によりコンピュ ーターシミュ レーショ

ンによる研究が盛 んに行 なわれるようになったため液体金属 に関する基礎的な

研究は急速な発展 を遂げ たく2)

-459-

安仁屋勝

一方理論の立場からは中性子の非弾性散乱の広範囲な実験結果に刺激され

イオンの時間的空間的相関の問題を第-原理か ら解明しまたダイナミカル

なイオン運動を反映 した電子状態 輸送現象を多体問題の一つの大きな課題とし

て考えるようになった(1)

液体金属とは粗 くいえば古典力学に従 うイオン系と量子力学に従う電子系とか

らなる多成分系と考えられ研究対象として液体金属を遇択するおもしろさはア

ルゴンのような中性液体 とは異な り乱れた原子配列の中を動き回る電子の存在

にある

理論的に液体金属の問題に取り組む場合大きく分けて二通りのアプローチの

仕方が考 えられる第一のアプローチは液体論を出発点としこれに電子の影響

を取り入れ液体金属を考えるというや り方である要するにイオン間の有効

相互作用は直接の相互作用と伝導電子を通じての間接相互作用の二つからなると

考えるのである一方第二のアプローチはイオ ン配列が与えられているとし

乱れたイオンの影響の下で液体金属を考えるこの場合 81ochの定理は成立せ

ずまたunitcellも定義できないこんな場合電子状態が如何なるもので

あるかが重要な問題となるもちろん対象となる体系は一つなので二通りのアプ

ローチは互いに consistentでな ければならない

この論文では第-のアプローチに沿い主に二元液体合金の構造を取り扱う

第二章第三章ではそれぞれ-成分多成分液体の統計力学について述べ第四

章では我々の研究の対象 となった液体金属 Li4Pbと Li71Ag20 の構造について

説明する第五章では液体金属 に関する興味深い話題をいくつか紹介し最後

に液体金属研究に対する私見を述べて締めくくる

巨岩 ≒≒責exist 単 純 液 体 の 統 計 力 学

1950年代 までに Lennard-Jonesと Devonshireの理論 Eyringらの空

孔理論及び Yvon-Born-Green積分方程式と Kirkvoodの積分方程式の理論等

で代表されていた液体の統計力学は 1950年代末以降 Percus-Yevick(PY)

方程式Hyper-Netted-Chain(HCN)方程式 Scaledparticletheory 摂動

論等の新 しい方程式理論の登場及び HonteCarlo法 noleculardynamics

法等計算機実験等の発展でその様相を一変させ た(令)

近年の発展の著 しい特徴は積分方程式の理論が実用的なもの となって来たこ

とである従って以下ではそれらの叙述から始めよう

-460-

二元液体合金の構造

2 1 単純液体における原子分布

同一種のN個の原子からなる体積 V の系において原子の位置を rlr2

『 N 系のポテンシャルエネルギーを U とすれば

一体密度は

1(r)-p(町)- 岩 16(r-rl)

二体密度は

γ 2(hellip -華鳶 6(hellip )6 r-rJ

で表わされる

任意の点 町 での平均密度を β とすれば

I)= く γく1)(r)〉

(2-1)

(2-2)

5there4intexpi-U(tLlq2rN)RBT)sum6(い q l)dq 1dm

5intexpモーU(rlr2rN)KEITIdql加 N

N Iiexp i-U(どr2 rN)KBT)加 2 dqN

intSexpi-U(rlq2m)KBTldF 1drN

この β が実験で観測される密度である

(2-2) の平均をとると

A (2)(ど町)equiv

一般に

である

(2-3)

N(N-1)intintexpt-U(どF町5qN)RJaT)dq ぅ dqlN

intintexp i-U(町 1q2帆 )KBT)dq L 加 N

(2-4)

A (n)(∬ 1lr)equiv NSexp(-UKBT)d∬nHdqN

(N-n)5~exp(-UKBT)dq l arn

-461-

安仁屋勝

液体の統計力学で最も重要な役割をになうのは二体分布関数 p(2-(qF)で

p ほど直接の意味は持たないが 後で見るようにⅩ線あるいは中性子線の珂析

実験から観測されるものである

相互作用がない場合(2-4)式は U=0 か ら

p (2)(どr)equiv pと(1-1N)

となるそこで一般の場合

p (2)(ど町)equiv Peg (ど町) (2-5)

と置 くまた液体は一様専方的 と考えるとPF に依存するよりむしろ

ri2equivIr 一 町 l に関係する従って

p (2)(ど-打)equiv Peg(r12) (2-6)

とも書けるg (r12) は動径分布関数あるいは二体分布関数とよばれている

もので一つの原子が T の まわりの微小体積 dv にあるとき他の原子が

r のまわりの微小体積 dv に見出される確率である

また希薄な密度の場合二つの原子間ポテンシャルを cent(r12) とすると分

布確率は Boltzmann因子で与えられるので

p -2)(r12)= P 2exp(-βcent(r12))

とも書けるく4)

βequiv1KBT (2-7)

2 2 密度のゆらぎと相関関数 く5)

液体状態における各原子は空間的時間的に変動しているので微視的立場から

は当然密度のゆ ちぎが存在する従 って密度のゆらぎと g(ど)には何 らかの関

係式が成 り立つはずであるまず始めにこの節でその関係式を導き出し2

3節で実験で直接観測される構造因子との結び付 きについて述べ る

大正準分布で粒子数のゆらぎは

((N-(N))2)equiv (Ne)-(N)2

-462-

(2-8)

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

一方理論の立場からは中性子の非弾性散乱の広範囲な実験結果に刺激され

イオンの時間的空間的相関の問題を第-原理か ら解明しまたダイナミカル

なイオン運動を反映 した電子状態 輸送現象を多体問題の一つの大きな課題とし

て考えるようになった(1)

液体金属とは粗 くいえば古典力学に従 うイオン系と量子力学に従う電子系とか

らなる多成分系と考えられ研究対象として液体金属を遇択するおもしろさはア

ルゴンのような中性液体 とは異な り乱れた原子配列の中を動き回る電子の存在

にある

理論的に液体金属の問題に取り組む場合大きく分けて二通りのアプローチの

仕方が考 えられる第一のアプローチは液体論を出発点としこれに電子の影響

を取り入れ液体金属を考えるというや り方である要するにイオン間の有効

相互作用は直接の相互作用と伝導電子を通じての間接相互作用の二つからなると

考えるのである一方第二のアプローチはイオ ン配列が与えられているとし

乱れたイオンの影響の下で液体金属を考えるこの場合 81ochの定理は成立せ

ずまたunitcellも定義できないこんな場合電子状態が如何なるもので

あるかが重要な問題となるもちろん対象となる体系は一つなので二通りのアプ

ローチは互いに consistentでな ければならない

この論文では第-のアプローチに沿い主に二元液体合金の構造を取り扱う

第二章第三章ではそれぞれ-成分多成分液体の統計力学について述べ第四

章では我々の研究の対象 となった液体金属 Li4Pbと Li71Ag20 の構造について

説明する第五章では液体金属 に関する興味深い話題をいくつか紹介し最後

に液体金属研究に対する私見を述べて締めくくる

巨岩 ≒≒責exist 単 純 液 体 の 統 計 力 学

1950年代 までに Lennard-Jonesと Devonshireの理論 Eyringらの空

孔理論及び Yvon-Born-Green積分方程式と Kirkvoodの積分方程式の理論等

で代表されていた液体の統計力学は 1950年代末以降 Percus-Yevick(PY)

方程式Hyper-Netted-Chain(HCN)方程式 Scaledparticletheory 摂動

論等の新 しい方程式理論の登場及び HonteCarlo法 noleculardynamics

法等計算機実験等の発展でその様相を一変させ た(令)

近年の発展の著 しい特徴は積分方程式の理論が実用的なもの となって来たこ

とである従って以下ではそれらの叙述から始めよう

-460-

二元液体合金の構造

2 1 単純液体における原子分布

同一種のN個の原子からなる体積 V の系において原子の位置を rlr2

『 N 系のポテンシャルエネルギーを U とすれば

一体密度は

1(r)-p(町)- 岩 16(r-rl)

二体密度は

γ 2(hellip -華鳶 6(hellip )6 r-rJ

で表わされる

任意の点 町 での平均密度を β とすれば

I)= く γく1)(r)〉

(2-1)

(2-2)

5there4intexpi-U(tLlq2rN)RBT)sum6(い q l)dq 1dm

5intexpモーU(rlr2rN)KEITIdql加 N

N Iiexp i-U(どr2 rN)KBT)加 2 dqN

intSexpi-U(rlq2m)KBTldF 1drN

この β が実験で観測される密度である

(2-2) の平均をとると

A (2)(ど町)equiv

一般に

である

(2-3)

N(N-1)intintexpt-U(どF町5qN)RJaT)dq ぅ dqlN

intintexp i-U(町 1q2帆 )KBT)dq L 加 N

(2-4)

A (n)(∬ 1lr)equiv NSexp(-UKBT)d∬nHdqN

(N-n)5~exp(-UKBT)dq l arn

-461-

安仁屋勝

液体の統計力学で最も重要な役割をになうのは二体分布関数 p(2-(qF)で

p ほど直接の意味は持たないが 後で見るようにⅩ線あるいは中性子線の珂析

実験から観測されるものである

相互作用がない場合(2-4)式は U=0 か ら

p (2)(どr)equiv pと(1-1N)

となるそこで一般の場合

p (2)(ど町)equiv Peg (ど町) (2-5)

と置 くまた液体は一様専方的 と考えるとPF に依存するよりむしろ

ri2equivIr 一 町 l に関係する従って

p (2)(ど-打)equiv Peg(r12) (2-6)

とも書けるg (r12) は動径分布関数あるいは二体分布関数とよばれている

もので一つの原子が T の まわりの微小体積 dv にあるとき他の原子が

r のまわりの微小体積 dv に見出される確率である

また希薄な密度の場合二つの原子間ポテンシャルを cent(r12) とすると分

布確率は Boltzmann因子で与えられるので

p -2)(r12)= P 2exp(-βcent(r12))

とも書けるく4)

βequiv1KBT (2-7)

2 2 密度のゆらぎと相関関数 く5)

液体状態における各原子は空間的時間的に変動しているので微視的立場から

は当然密度のゆ ちぎが存在する従 って密度のゆらぎと g(ど)には何 らかの関

係式が成 り立つはずであるまず始めにこの節でその関係式を導き出し2

3節で実験で直接観測される構造因子との結び付 きについて述べ る

大正準分布で粒子数のゆらぎは

((N-(N))2)equiv (Ne)-(N)2

-462-

(2-8)

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

2 1 単純液体における原子分布

同一種のN個の原子からなる体積 V の系において原子の位置を rlr2

『 N 系のポテンシャルエネルギーを U とすれば

一体密度は

1(r)-p(町)- 岩 16(r-rl)

二体密度は

γ 2(hellip -華鳶 6(hellip )6 r-rJ

で表わされる

任意の点 町 での平均密度を β とすれば

I)= く γく1)(r)〉

(2-1)

(2-2)

5there4intexpi-U(tLlq2rN)RBT)sum6(い q l)dq 1dm

5intexpモーU(rlr2rN)KEITIdql加 N

N Iiexp i-U(どr2 rN)KBT)加 2 dqN

intSexpi-U(rlq2m)KBTldF 1drN

この β が実験で観測される密度である

(2-2) の平均をとると

A (2)(ど町)equiv

一般に

である

(2-3)

N(N-1)intintexpt-U(どF町5qN)RJaT)dq ぅ dqlN

intintexp i-U(町 1q2帆 )KBT)dq L 加 N

(2-4)

A (n)(∬ 1lr)equiv NSexp(-UKBT)d∬nHdqN

(N-n)5~exp(-UKBT)dq l arn

-461-

安仁屋勝

液体の統計力学で最も重要な役割をになうのは二体分布関数 p(2-(qF)で

p ほど直接の意味は持たないが 後で見るようにⅩ線あるいは中性子線の珂析

実験から観測されるものである

相互作用がない場合(2-4)式は U=0 か ら

p (2)(どr)equiv pと(1-1N)

となるそこで一般の場合

p (2)(ど町)equiv Peg (ど町) (2-5)

と置 くまた液体は一様専方的 と考えるとPF に依存するよりむしろ

ri2equivIr 一 町 l に関係する従って

p (2)(ど-打)equiv Peg(r12) (2-6)

とも書けるg (r12) は動径分布関数あるいは二体分布関数とよばれている

もので一つの原子が T の まわりの微小体積 dv にあるとき他の原子が

r のまわりの微小体積 dv に見出される確率である

また希薄な密度の場合二つの原子間ポテンシャルを cent(r12) とすると分

布確率は Boltzmann因子で与えられるので

p -2)(r12)= P 2exp(-βcent(r12))

とも書けるく4)

βequiv1KBT (2-7)

2 2 密度のゆらぎと相関関数 く5)

液体状態における各原子は空間的時間的に変動しているので微視的立場から

は当然密度のゆ ちぎが存在する従 って密度のゆらぎと g(ど)には何 らかの関

係式が成 り立つはずであるまず始めにこの節でその関係式を導き出し2

3節で実験で直接観測される構造因子との結び付 きについて述べ る

大正準分布で粒子数のゆらぎは

((N-(N))2)equiv (Ne)-(N)2

-462-

(2-8)

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

液体の統計力学で最も重要な役割をになうのは二体分布関数 p(2-(qF)で

p ほど直接の意味は持たないが 後で見るようにⅩ線あるいは中性子線の珂析

実験から観測されるものである

相互作用がない場合(2-4)式は U=0 か ら

p (2)(どr)equiv pと(1-1N)

となるそこで一般の場合

p (2)(ど町)equiv Peg (ど町) (2-5)

と置 くまた液体は一様専方的 と考えるとPF に依存するよりむしろ

ri2equivIr 一 町 l に関係する従って

p (2)(ど-打)equiv Peg(r12) (2-6)

とも書けるg (r12) は動径分布関数あるいは二体分布関数とよばれている

もので一つの原子が T の まわりの微小体積 dv にあるとき他の原子が

r のまわりの微小体積 dv に見出される確率である

また希薄な密度の場合二つの原子間ポテンシャルを cent(r12) とすると分

布確率は Boltzmann因子で与えられるので

p -2)(r12)= P 2exp(-βcent(r12))

とも書けるく4)

βequiv1KBT (2-7)

2 2 密度のゆらぎと相関関数 く5)

液体状態における各原子は空間的時間的に変動しているので微視的立場から

は当然密度のゆ ちぎが存在する従 って密度のゆらぎと g(ど)には何 らかの関

係式が成 り立つはずであるまず始めにこの節でその関係式を導き出し2

3節で実験で直接観測される構造因子との結び付 きについて述べ る

大正準分布で粒子数のゆらぎは

((N-(N))2)equiv (Ne)-(N)2

-462-

(2-8)

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

00 exptβFLN)equiv=sum

N-0 N hl3N

で与えられる

PV=KBTlnE

(-PJTV-P -P

を用いると (2-8)は

dNrdNpexpi-βH〉

((N- (N))e)= (N)pKlTK T

となるここで

KT=-

は等温圧縮率であ る

一方

「1p(rprime)drノV

なので粒子数のゆらぎは

J農 6(- dv - N

く(N- くN))2)equiv

く )drp(い くp(州 Jとも書ける

密度 密度相関関数を

dr tP(町)- くp(町))))

G(町q)equiv くSp(ど)6p(町))= くp(町)p(q))-P2

-463-

(2-9)

(2-10)

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

6p(ど)=p(ど)- くp(ど))

と定義すると

く(N- くN))2)equiv

=Ⅴ

dr G(ど町)

dBlG(『)

を得るここで相関は距離だけの関数である羊とを用いた

(2-9) とて2-ll)より

くN)pKBTKT=V drG(r)

となるまた ( 2 - 1) (2 -2) ( 2 - 3) (2-4) ( 2-5) を利用すると

G(rr)= くp(lr)p(r)) -I)2

- く岩 S16(r 一m )6(r-rJ)) -pe

=pe(p-r )+pく2)(r r)-p2

ここで

(2-ll)

(2-12)

=p6(r-r)+pe[g(Lr-Bt)-1] (2-13)

h(r)equivg(r)-1

と相関関数 h(『) を定義すると

G(r)=p6(r)+peh(r)

(2-14)

(2-15)

となり G(r) は自己相関の部分と他粒子との相関の部分から成り立 ってい

ることが わかる

(2-12)式に (2-15)を代入すると

pKBTJrT=1+p

= i+p

h(r)dr

tg(r)-1〉dα

-464-

(2-16)

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

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45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

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51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

が得られる(2-16)式は圧縮方程式と呼ばれる以上の関係式により液体状

憩における粒子数のゆらぎは動径分布関数 g(r) と密接に関係 していることが

わかるまた g(『)を知ることによって等温圧縮率 という物理量が求まる後

で述べるように種々の物理量熱力学量も g(r)を用いて表現することがで

きる

2 3 Ⅹ練 (中性子線)取乱 と構造因子 (o〉く7〉

液体状愚における原子分布がたとえ乱れた無秩序なものであっても互いに隣

接する二つの原子間の距舷はどの隣接原子対を取ってみてもこれらの原子間

距離の平均値から著しい差を示すものは少ないであろうと考えられる従って

隣接原子対からの散乱波の間にはある程度の干渉

が起こりうるはすであるしかし第二隣接層

第三隣接層と原子間距離が大きくなるに従って散

乱波の位相差は変動が大 きくなり干渉が起こりに

くくなってくる

いま図2-1のように原点 0 と原点から 『頂 2-1

ご三I

の距敵にある点 M に位置する原子により旺 O

方向から入射したⅩ線が K 3 方向に取乱される弾性散乱を考えると

qequiv旺8-Ko

q=Iql=2Ksine2 Kequivl旺 oI=llKBI

点 0点 M で取乱されたX線の振幅をそれぞれ Co(qI)CJt(q) とすると

Czt(ql)equivC(q)e~lq q-

という関係が成り立ちCo(ql)equivf(q)は原子散乱振幅で各元素で異なる N個

の原子から 旺8方向に取乱されたⅩ線の振幅は

A(a)-f(qOl要 e-1qT

である従ってK8方向の散乱強度は原子がとりうる全ての分布について平均

することにより

-465-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

Ⅰ(q)equivIA(qi)le=f2(ql)(字 芋 e-lqくr h rJ)

-fa(qIdrldrく1雪 6(- i6(q-qJe-11(-

で与えられる(2-13)の二番目の式を使うと

Ⅰ(q)=f2(旬)

=f2(ql)Ⅴ

dre-IcIくr-4-〉tG(r一打)+pe)

dre-lqrG(町)+fe(ql)peV28(ql)

となる最後の項は q=0 の時にのみ要するに前方散乱 (0=0)の喝合に

のみ寄与するので通常無祝し

I(Ⅷ)=fe(ql)Ⅴ

と書く(5)

一方構造因子 S(ql)杏

dreJ qLLrG(打)

I(ql)=Nf2(ql)S(q)

と定義すると

S(旬)=- dr e-lqrG (ど)

となり(2-13)を用いると

S(q)=1十p dre-1可rtg(町)-1〉

S(q)=1+ph(g)

となるここで

h(ql)equiv

である

d町e~ lqtF(g(ど)-1〉

-466-

(2-17)

(2-18)

(2-19)

(2-20)

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

また (2-19)は qt-+0 で (2-16)と一致し

S(0)=1+βintdrig(町)-1〉=pKBTK T

と圧縮率を与える

(2-17)(2-19)より実験で Ⅰ(qT) を沸定 L S (q) を求めこれを Fou-

rier変換することによって動径分布関数が求 まることがわかるまた(2-19)

式の g(t)-1 を (2113)式より G(ど)で置き換えFourier変換を施 し

(2-10)を用いると

AEqS(q)eLq くr-r=vG(rr)=Ⅴ (ep(ど)ep(r)) (2-21)

となり構造因子 と密度のゆらぎとの関係が得られる

尚中性子散乱の場合 にはⅩ線 と異な り原子核 によって取乱される原子核の

大きさは使用される中性子線の波長と比べ圧倒的に小さいので散乱振幅 f(q)

は q に無関係とな りf(q)=b と置ける b は散乱長と呼ばれそれぞ

れの原子核によって固有の値をとるのでS(q) を求めるには中性子の散乱が便

利である

2 4 0rnstein-Zernike方程式と Percus-Yevick

および Hyper-Netted-Chain近似

動径分布関数 g(どr)は kl点にある原子からみて F 点に他の原子を兄

い出す確率を表わすものであるが

Ir-rⅠrarrinfin では

g(どr)=1

という性貿を持っている従って(2-14)で導入 した相関関数 h(ど)は

tど-rtrarrinfin で

h(rr)=0

となるこれは lr-rい infin で r 点と r 点との原子間にはまったく相

関がないことを意味する

一般に相関がある場合 には相関関数は二つの項から成 り立っていると考えら

れるその第-は直接の相関関数を表わす直接相関関数 C(- I)である これ

は短範囲の相関であるその第二は他の粒子を通 しての間接的な相関である従っ

て全相関関数は

h(町一打)=C(Ir一町)+pC(町イ )h(町-ど)dr

-467-

(2-22)

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

と書くことができる図式的には図2-2のように表わせる

図2-2 schematicdiagram toillustratethedifferencebetweenthetotalcorrelationfunctionh(r)(whichcanbelongrange)andthedirectcorrelationfunction0(r)(which

i88horもrange)

(2-22)に Fourier変換を施すと

h(q)C(q)equiv

1+ph(q)(2-23)

を得る(2-22)あるいは (2-23)を Ornstein-Zernikeの方程式と呼ぶ

ornst占in-Zernike方程式は厳密な式であるが閉 じていない従 って C(ど)

と h(ど)を結び付ける近似が必要となるよく知 られた近似 としてPercus

-Yevick(PY)近似と Hyper-Netted-Chain(HNC)近似がある く8)

これらの近似はクラスター展開の解析に基づいており数学的にははっきりし

ているが物理的には明確ではない (8)以下では多少粗っぽいが物理的イメージ

をえがきやすい導出を試みた

(2-7) より希薄な密度の場合には

g(ど)=expi-βcent(町)i (2-24)

となる ne(ど)は二原子間の其のポテンシャルなので直接相関が重要であるこ

とを示している

一方 Ornstein-Zernike 方程式を密度に関して展開すると

h(rlと)=C(rla)+p

を得る

intC(町13)h(町23)dr5

-C(町12)+plc(町13【C(町23十pJ空C(町li)+pγ

-468-

C(q84)h(r2)dr】dr3

(2-25)

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

また希薄密度での g(ど)(2-24)式に対す る補正 としては間接相互作用の

効果が きいて くる と考え られるので

g(lr)=eXPI-βne(ど))(1十pγ)

と置 く と ( 2 -25)(2- 2 6) より

C(町)=h(ど)-Pγ

=gくど)-1-pγ

=g(町)【1-exp tβcent(F))]

を得るこれを Ornstein-Zernikeの方程式(2-22)に代入すると

g(ど)exptβcent(町)〉=

1+〟 g(町)[1-exp(βcent(打))] 【g(ど-r)- 1】dr

(2-26)

(2-27)

(2-28)

が得 られ るく2-27))が Percus-Yevick 近似(2-28)が Percus-Yovick の

積分方程 式である

ここでは粗っぽい導 き出し方を したが (2-27)の妥当性 は集団座標の理論に基

づいた計算あるいは functionaldifferentiationを用 いての計算か らも示せ

るく)

一方 (2-27)より

g(ど)-C(ど)=g(町)exptβcent(ど)i

log 【1+h(ど)-C(ど)〕=log【g(町)】+βne(q)

h(q)-C(ど)lt1 の場合 には左辺を展開 し

h(ど)-C(ど)=log 【g(∬)】+βne(ど)

を得るすなわち

C(ど)=g(ど)-1-10g【g(ど)】-β ne(町)

であるこれを Ornstein-Zcrnikeの式(2-22)に代入すると

-469-

(2-29)

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

log 【g(ど)exptβne(ど)〉】equiv

lg(q)-1-ユog(g(r))-βS(F)] 【g(M )-1】dr

(2-30)

が得られる(2-29)が HNC近似(2-30)が HNC方程式である

2 5 熱力学帥数と分布関数

液体の構造を理解するうえで必要な分布関数は 21節で導入 され23節

ではこれが散乱実験とどう結び付いているかを見てきたここでは分布関数の有

効性を知 るため熱力学 との関係を検討する

a 内部エネルギ ー

N個の粒子系のポテンシャルエネルギ ーを U とすると分配関数は

ZN=27とmKBTh227cmKBTha与N2 1

N

3NaQ N

で与えられる従って内部エネルギーは

F=一KBTlogZN

E--Tea3-T(ijより

である

expi - βU ld Nr

3NK BT int Uexpt-βUDaggerdTLr

2 i expi-βUidNr

-470-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

U=高 cent(rlJ) IrlJequivlr1-rJJ

だとすると

二元液体合金の構造

(2-31)

3NKBT N(N-1)S cent(qlr2)expt-βU〉dNr

2 S expi-βUIdNr

となり(2-4)(2-6)を用いると

3NKBT N2+2V ne(ど)g(r)dr

を得るこの式より cent(r)と g(町)がわかれば液体の内部エネルギーを計青で

きることが わかる

また定積比熱は

c v-臥 - 3 昔 [約 一aas dr

から求めることができる

b 状態方程式

虎力は

p--(言打 -KBT(から計算 される従って

Qg01apartⅤ劉馳

QN号 I J 「 gUrlr)drldrN

(2-32)

を Ⅴ で微分しなければならないN 重積分を微分するのはめんどくさいが次

のような方法でさけられるく8) N 個の原子は一辺の長さ Vl3 の立方体の

中に入っているとする変数 町 を 町=Vl3『によって導入すると

- 47 1 -

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

VNQN= -

N L -βU(Vl3rlVl3町~)dr1drNe

(aa封 T- 言QN一昔 lol I 器 e ~βUd r ld r i

ここで

partU(Vl3rⅤレprime3町N)

partⅤ -岩 1 霊 も IU

である

(2-31)(2-4)(2-6)を用いると

(親-Q一 【言 - 6KBT

となる従って (2-32)より

PV 27EN

NKBT 3KBTV

ぷ JQkrdf書

dS(r)

d

g(r)47Er2dr]

g(r)rtdr (2-33)

この式をビリアル方程式あるいは圧力方程式と呼ぶここで も cent(r) と

g(r)を知ることにより状態方程式が求 まる

2 6 剛体球モデルとPY方程式

液体の物性を論ずるには液体における原子間ポテンシャルに関する知識を必

要とすることはいうまでもないこれまでの議論 より散乱実験か ら二体分布関数

g(ど)を求めこれを PY方程式あるいは HNC方程式に適用することにより

原子間のポテンシャルを導 き出すことが考えられるしか し液体金属の場合には

密度の高い電子ガスの中でイオンが無秩序に分布 していると考 えられるかなり複

雑な系なのでポテンシャルを量的に高い精度で導 き出す ことは PY方程式や

HCN方程式の持つ近似の度合いか ら考えて必ずしも適切ではない といえる (ei)

むしろポテンシャルを仮定して逆の道を辿 り実験的に得られた g(町) や

S(q)を再現できるかどうかを検算することによって仮定されたポテンシャルの

妥当性を調べることが望 ましい

-472-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

原子間ポテンシャルとして一番簡単なものは次式で与えられる剛体球ポテンシャ

ルであろう

cent ()= 00

= 0

rltJ

r≧ (2-34)

ここで cent(r) は二体間のポテンシャルげ は剛体球の直径である

このようなポテンシャルを使い WertheiEIく10)と Thiele(li)は Percus-Yevick

方程式 (2-28)に対 して厳密解を求めた

y(int)equivexptβcent()〉g(int)

とすると(2-27)(2-28)は

C(r)=yくr)【expi-βneくr)〉-1】

y (r)- 1+ p I 【e- β n r- 1 ] y (r【e- β 相 -信 - 1 】 dr

(2-35)

と書けるポテンシャル (2-34)を代入すると

y ()= 1+〟 y(r)dr-pJくす

となるこの積分方程式は長い計算の後 (8)

y(r)equiv(7- 1)4

y(r)y(町一打)drlt4--rt)ゝ C-

【(1+2ヮ)2-6ヤ(1+γ2)a(ど6)+〟2(1+2ヤ)2(r6)3]

(2-36)

となるここで ヤ は充填率で

47rPiiiFrArrii- 1

= - 7rAq36

で与えられる

従って剛体球モデルに対して直接相関関数は

- 473-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

C(ど)equiv-1

(-1)4【(1+2)2-6(12)2(ra)

2(12)2(ra)3] rltq

r≧qと γ の関数 として表わすことができる

剛体球モデルに対する構造因子 は (2-20)と (2-23)か ら得られる

1S(ql)equiv

1-pC(qD

(2-37)

より求まるここで C(ql) は (2-37)の Fourier変換である

融点に近い温度 における単純な金属頼体の実験的に求めた S(qt) は カ ニ

045- 046 ととるとき剛体球モデルによる S(ql) とよ く-敦するく)

次に剛体球を用いた Percus-Yevick の式から状態方程式を導 き出してみよヽつ

圧力方程式 (2-33)において剛体球ポテンシャル (2-34)を用いると

dne(int) dneg(ど) =- y(ど)e

d d

-β cent (r)

d

=~KBTry (r)言T e- β cent (r)

=一KBTry(r)6(r-6)

PV 27CN

NKBT 3KBTV

=1+47y()

=1+4ヮg(6)

なので

を得るy(6) に (2-36)を使 うと

PV 1+2ヤ+3ヮ2

NKBT (1- 7)2

- 474-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

となるこれが圧力方程式から計算 した剛体球モデルの状態方程式である

一方圧縮方程式 (2-16)から出発す ると

PV (1+ヤ+ヤ2)

NKBT (1-マ)3(2-38)

が得られ る e 近似が含 まれていなければ両式は一致す るはずであるが近似の

影響によりその差が出ている後者の方がより一般性が高いことが知 られている(ち)

また Carnahanと Starlingく12 は剛体球系に対 して Holeculardynanics方

法の結果 と最もよ く一致する経験 式として次式を与えた

PV (1+ヤ+ ヮ2-ヤ3)

NKBT (1-7)3

この式は実用的な目的で よく使われるものの一つである

2 7 hanSpherica lh del (MSM )

後で我 々の計算が基づ くことにな る NSHは液体論溶液論で広 く使われてい

るこの近似は歴史的 には Ising模型 rarr 格子気体 rarr bard-coreを有す

る格子気体 rarr hardcoreを有す る分子か らな る continuunfluidといった

道筋で導入されたものであり理論的にははっきりしている

Lebovitzと Percusく1ていによって導入 された 耕SHは以下のように表現 される

1) Ornstein-Zernikeの方程式

2) g(町)=0 rlt6

3) C(ど)equiv-βcent(ど) rgtq

(2-39a)

(2-39b)

(2-39C)

HSHは剛体球モデルの場合には Percus-Yevick方程式 (2-28)と一致する

条件式 (2-39b)は剛体球系 に対 しては厳密に成 り立つ式である

条件式 (2-39C)は正確 には多粒子の効果を考慮 したときの forceequation

に RandoznPhaseApproximation近似を適用 して導かねばな らないしか し次

の方法で簡単に導 けるPercus-Yevick近似 (2-27)

C(q)=g(ど)【1-expicent(lr)KBT)]

ー475-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

においてr の大 きい範囲では g (『 )ヰ 1there4 ~また

cent(ど)

KBT

C(町) だ

となるか ら

lt 1

-cent(ど)

KBT(2-40)

である従 って r の大 きい範囲では C(ど)は原子間ポ テンシャルの形 を示唆

す ることになる

Eexist 巨室 巨exist 多 成 分 蒋 体 の 統 計 力 学

3 1 多成分液体の分布関数 構造因子Ornstein-Zernike

方程式

分子性液体や単純金属液体における構造はどちらか というと無秩序分布をと

る剛体球 モデルによる構造因子を用いて一応近似で きる場合が多いしか し一

般 に我 々の研究対象 となる二元液体合金のような多成分系にな ると単純 に剛体

球モデル によって近似す ることはで きな いこの章では多成分系 特 に二成分頼

体の構造 をどのようにして扱 うか を検討 する物理的に考 えて多成分系 になっ

たからといって一成分系の跡形が全 く失われて しまうとは考え られない 粗っ

ぼ くいえば多成分系は一成分系を一般化 したものであろ従 って これか ら展開す

る議論は前章 と対応させ なが ら行な うことにするまたここか ら先は特 に断わ

らない限 り二成分系につ いて議論する

まず始 めに二体分布関数はr点のα粒子r点の β粒子 に対 して

NcくN9

pcw(hellip )=す す gcw(hellip )

と書けるであろうここで αβ は成分を区別する添 え字 (αβ=12)で

α=β の とき一成分系の場合 (2-1)に帰着す る NoこN6 はそれぞれ

αβ 成分の粒子数である

実験にかかる部分構造因子は (2-19) と対応させて

- 476-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

S(絹(qJ)=Scw+p(C二Cβ)12

で定義されるここで

NよCα =

N

は溝度でありまた

N=NくX+NB

二元液体合金の構造

dre~lqF【gcw(q)-1】 (3-1)

は全粒子数である (3-1)はしばしば Ashcroft-Langreth の構造因子 とも呼

ばれるtlも)

(3-1) を Fourier変換することにより

g(W(q)-1equiv

が得られるまた

(NoNG)12

hQgくど)equivgce(町)-1

弓 [S〇冶(q)-3oB]eldegr

で相関関数 hcw(ど)杏 (2-14)と同様に定義する

Ornstein-Zernikeの方程式は (2-22)と対応させて

hcw(ど)=C-(ど)十号 p T

と書けるここで

βで=

は γ 成分の密度である

(3-2)に Fourier変換を施すと

dr cct(r)hlB(q-q) (3-2)

γ=12

- 4 7 7 -

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

を得る

hew(q)-Ccw(q)+号 pγCαT(q)hrh(q)

3 2 二元液体の構造 と散乱実験

(3-3)

-成分液体の場合原理的には (2-17)(2-19)より一回の実験で構造因子と

動径分布関数を求めることが可能であった二成分系の場合には f1(q)

f2(q)をそれぞれ原子 12の原子散乱振幅 とすれば平均の構造因子は

S(Ⅶ)equivⅠ(qJ)

Nf2

C12f12Sll+2cIC2flf2S12+ce2f22S22

(clfl+C2fe)2

で与えられる(ら)

実験にかかるのは平均の S(q)であるのでただ一回の実験で系の完全な情

報は得られないあるいは言葉を変えていえば独立な棉造因子が三個あるので

三回の独立な実験結果を必要とするこの意味で液体状憩 における原子分布を知

る手段としてはⅩ線散乱実験より中性子散乱実験の方が適 当である何故なら同

位体元素の原子核の散乱長がみな異なることを利用 し同 じ組成の系に対 し三

回同様な実験を行なうことによって二元系液体の構造の完全な情報を引き出すこ

とが可能になるか らである

3 3 Bhatia-Thornton-の部分構造因子

二種規の原子 11及び 2か ら参る液体の構造を論ずるには原子 1のまわりに

くる原子 1の分布確率を示す部分動径分布関数 gま1(ど)prime原子 2の分布確率を

示す部分動径分布関数 g12(r)同 じように原子 2のまわ りにおける部分動径

分布関数 ga2(ど)および g21(ど)=g12(ど)をあるいはこれらの Fourier変

換である Sll(q)Sic(q)S22(ql)S皇I(q)=Si2(q)を知ることが必要で

ある

部分構造因子 So冶(q)は密度のゆらぎの相関と (2-21)に対応 して

1くSpa(ど)Sp prime9(町))- nabla Zq (paPβ)12Sc-(q)eIhellip 一灯 (3-4)

という関係にあるここで

- 478 -

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

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15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

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16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

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23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

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HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

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36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

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JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

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52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

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54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

6pc((ど)=P(ど)- (JDoこ(町))

=p3(ど)- (3-5)

である

二元液体合金の構造 について論ずる場合 Bhatia-Thornton(16)の部分構造因

子がよく使われる Bhatia-Thorntonの記述法ではSllS12Sel=S12

S22の線形結合である NuELber-Nunber構造因子 SNN(qJ)Concentration

-Concentration構造因子 Sc(qL) Nun)her-Concentration構造因子 SNC(qt)

によって構造を記述するこれらはそれぞれ粒子数のゆらぎ濃度のゆちぎ粒

子数と渡度のゆちぎの相関を与えるものである以下で これらが Scw(q) とど

のような関係にあるのかを示す

a NuDber-Nuznber構造因子 Shellip(q)

r 点での粒子数密度のゆらぎは

6pN(r)=PN(B)- くpN(F))

で与えられるここで

pN(ど)=苛 pQ(q)

くpN(町))=苦 くpα(ど))=sumCI

である SNN(ql)杏 (2-21) と対応させて

1くCpN(ど)SpN(F))equiv - 葛 pSNN(q)el甘 くr-LrⅤ

で定義しよう

-方

epN(ir-= (pな く町一昔o(

=E 6pα (町)C(

なので

-479-

(3-6)

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

(6p l(ど)6PIJ(F))=sum sum (6pet(ど)6p B(q))C( lLi

(3-4)を代入し定義式 (3-6) と比較すると

Shellip(旬)= 布 くCα cB )12Sqβ(q)

を得る

b Concentration-Concentration構造因子 Scc(q)

粒子の まざりぐあいを示す量として

pc(ど)equiv C IP2(r)-CePl(ど) (3-7)

を定義する粒子 12が完全にランダムな分布をとるならば cq =NQM

pα=NQVより pc=0 となるまた

なので

くpc(ど))=Clくp2(ど))- Ce(pl(r))

=C1

N2

VC2

Nlこ= コトneⅤ

CJ)C(ど)=Pc(町)- (pc(r))=Pc(ど)

である

また(2-21)と対応させて

1(epc(q)6pc(F))= - EqpScc(q)ellM r一町Ⅴ

で Scc(I)を定義する(3-8)(3-7) より

く6pc(町)6pc(q))= くpc(町)pc(町))

(3-8)

(3-9)

=cle くp2(肝)p2(町))+C 2ご くpl(q)pl(u))

-2cICeくpl(ど)pe(町))

-480-

(3-10)

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

ここで

くpl(tr)p2(町))= くpe(∬)pl(∬))I

すなわち相関は距離の関数であることを利用した

一方(3-4)は (3-5)を使うと

1くpQ(int)pβ(Jr))=PqPβ + - Eq(pQ Pβ)ieScw(q)elqくrIrV

とも書けるのでこれを用いると (3-10)は

1

く6pc(ど)Spc(町))= - EqlclepceS22(q)+C2ePCISll(旬)Ⅴ

-2cIC2P(c IC2)1eSle(a)】eq(lr~r)

となる定義式 (3-9) と比較すると

Scc(I)=cICe[cIS22(句)+C2Slユ(I)-2(c iC2)IeS12(g)】

を得る

C Nunber-Concentration構造因子SNC(g)

前節 ab と同様な方法でSNC(q)杏

1(6pN(ど)Cpc(r))equiv - 葛pS一(I)et約 -rⅤ

と定義すると数行の計算の後

SlC(q)=CIC2【Sl(qJ)-S之e(q)+(C2-Cl)(cICe) Iesle(q)】

を得る

abC の結果をまとめて行列形式で書 くと

-IJ

一存__LNl

hY

1

C2

l

C

2(cIC2)I2

-2(cICe)i2

(cg-C1)(CIC

-481-

(3-ll)

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

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46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

となる

二成分系の構造を記述する場合 Ashcroft-Langrethの構造因子を用 いよう

が Bhatia-Tborntonの構造因子 を用いようが結果は同 じで あるさらに直接

相関関数 は Ornstein-Zernike方程式を通 して粒子数や溝度の ゆちぎの相関

を示す Bbatia-Thornton の構造因子 と密接に結び付いている以下でこの関係

を明らか にしよう

Prnstein-Zernikeの方程式 (3-3)に (βα ββ)12を掛 けると

(potpβ)12hqβ(qO=(pc(pe)レprime2CoA(ql)

+守 (p咲 PT)12Cαγ(q)(pT P R )1ehγβ(I)

となる

(2-20)に対応 させて

Hく綿(q)equiv(pα Pβ)i2hcw(qJ)=Scw(q)-3棚

と置 く また

Ccw(旬)equiv(pcPG)I2Cqβ(qi)

とすると (3-12)式は

一へ へ

Hcw(旬)=Ccw(q)十三 cc(旬)H8(q)

となる行列形式で書 くと

〈 へ ~

H(A)equivC(ql)+C(qI)H(q)

ヽ ノ prime

H(qi)equiv【Ⅰ-C(q)】-1C(ql)

とな りこれは (2-23)に対応す る

二成分系では

へⅠ-C(哩)equiv

1-pICll(q)

Yl-(pIP2)C2i(I)

-482-

(3-12)

(3-13)

(3-14)

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

なので

へ primeヽ

【I-C(I)]-1=det【丁-C(唖)】~1

((i

となる一方(3-13)を行列形式で

へ へ へ

H(ql)=S(qi)-Ⅰ

と書き(3-14)と組み合わせると

へ ヽ へS(qI)equiv 【Ⅰ-C(q)】-1

が得られる従って

- p2C2e(q)

A IP2)ieC lと(q)

へ lt【det (Ⅰ-C(qt)) 】 - 1

であるこれを (3-ll) に使うと

(Sei l -

~ β

1 (iH (

primeヽ 〈ldet (I-C(qJ))]-I

Jl

1

0

prime---1

-し

二元液体合金の構造

- p eCL2(I)

-pICli(也)

pIP2)i2C

c iC2C22(旬)+c IC2C ll(ql)-2cIC2C le(q)

C22C2と(ql)+c l2C ll(qL)+2c IC2C le(旬)

C2C22(qI)- C ICll(I)- (ce- C l)C le(q)

HHu

ソ5

(3-15)

となりBhatia-Thorntonの構造因子と直接相関関数との関係式が得られる

3 4 多成分液体における HSH

前でも述べたようにただ一回の実験から求まる平均の S(q)より三個の独立

な gく絹(ど) を求めるのは不可能であるそれゆえ適当な原子間ポテンシャル

を仮定し理論的に部分構造因子 S llS le=S21S22 を算出しこれを合

成 して平均の S(qI)を求め実験結果 と比較するのが一般的なやり方である

-483-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁崖勝

27節ではこういうアプローチに対してかな りよく用いられている HSXを

導入したこの節ではこの近似を一般化する

単純液体金属合金の構造や熱力学の理論的計算において剛体球系や剛体球

混合系が基準系としてよく使われるこれらの液体金属合金系では伝導電子の

海の中を陽イオンが動きまわっていると考えられイオン間の有効相互作用は近

距故ではコア電子間のクーロン反発力およびパウ リ原理のため強い斥力となり

遠距離では伝導電子による Screening効果のため直接的クーロン相互作用が大

部分打ち消されているく7)剛体球モデルが構造熱力学的性質をうまく記述で

きるのは有効イオ ン間相互作用の強い斥力部分が これらの系で本質的な役割を演

じているからである

ところが我々が後程扱うことになるある種の液体合金 においては一方の原子

か ら他方の原子への電荷移動がおこり電子の海の中を錯イオンと陰イオ ンが動

きまわっているような状況が生じているこのようなイオ ン性液体合金を紀述す

るには明 らかに中性の剛体球系は不適当であり陽イオンと陰イオンの存在を考

慮した荷電剛体球モデルが適当である

以下では始めに各種の物性たとえば混合熱電気抵抗帯磁率などに対し

て単調な組成依存性をもつ合金液体の構造をかな りよく再現する中性剛体球混合

系を紹介 し次いでイオ ン性液体合金を記述する模型について述べる

a 中性剛体球モデルの一般解

Lebowitz17) は多成分系 (m成分 )における Percus-Yevick方程式 (ら)

glJか 1-CIJr)十か klを剛体球ポテンシャル

centlJ(r)= の

= 0

を使って解析的に解いたここで

6IJ=(61+dJ)2

616J は剛体球の直径である

系に対する状態方程式は

【gik(r)-1]CkJ(Iq-rI)dBl

rltqlJ

rgtqlJ

-484-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

daggerTI

pK BT= (【sum pI】【1+EH 2卜 18苛 ワ17 J(J~qJ)2冗【l

times [26iJ+cTlJJ(sumヮkq k2)日 (1-)一台帆

E=苛 γ kJ l(3

ここで

マk=7CPlく6

(3-16)

である (3-16)式は WertheimくlO)と Thiele(1日 によって得 られ た (2-38)

を拡張 したものである

b Ch a rgedHard Sphere 系

Waisnanと Lebowitz(18)は原子間ポ テンシャル として

centiJ(int)=infin rltO

=eleJsr rgt6

を使いHSH(2-39)を採用することによって以下の解を得 た尚上式で eI

eJ は電荷 E は誘電率である

また直接相関関数 に対 しては

CIJ(r)=C(riβ)-

=-βeieJer

を得たここで

βeleJ

86(2B_Bl )

6rlt6

rgt

P= (KBT)-1

言=7rPqe6 = 7r(pl+pe+ +ptb)636

B=【x 2+x -x(1+2x)12】 x 2

-485-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

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17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

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21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

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24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

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31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

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1etPhys131993(1983)

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34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

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37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

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40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

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45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

xa=K2o2= [47Eβ写ple2】52 8~

でKは Debye長の逆数であるまた C(riβ) は Werthein (10)と

Tbiele(1日によって得られた中性剛体球の直接相関関数 (2-37)である

一方 Helmholtzの自由エネルギーは

βF(Xβi)=βFo(iβ)-127EOTe

【3x2+6Ⅹ+2

-2(1+2Ⅹ)S2]

で与えられ Fo(iβ)は中性剛体球系での PY-HSHHelnholtz自由エネルギ

ーである

C Hard-Sphere-Yukava系

Waisnanく19)は原子間ポテンシャルとして

中り(r)= infin

Åexpモー〟rI

を用いHSHで次のような解を得ている

-xC(Ⅹ)=βeu [(1-e~乞り u(coshzx-1)

2Z 2e2

rltq

rgt6

】 xlt1

-4861

XC(Ⅹ)= βee~ 召 (Ⅹ~ 1)

ここで

Ⅹ=r6

Z=K Ol

Ⅹgt1

(3-17)

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

E=Ae~Z6

であるまた Uは

U

[1+- (1-e~Z)】4=2z

O=βSE

W

128

u

【Z-2TT ]

E=7EP636

を解いて得られる値である

また単位体積 当たりの Hel山oltzの自由エネルギーに対 して

βF(iβ8)=βFo(i)- -7E63

W(8)dO

を得ているここで F(吉)は中性剛体球系での自由エネルギーである

d その他

前述の Charged-Hard-Sphere系も Hard-Sphere-Yukava系も剛体球の直径

は全て同 じとして計算された Hiroike(20)と Ginozaくel)はそれぞれ Charged-

Hard-Sphere系と Hard-Sphere-Yukava系で剛体球の直径が一般に異なる場合に

対 して HSXの解を求めたこれ らの解はかな り複雑でまた後程の試論にも用い

ないので省略する

3 5 才odified伽anSphericalhdel

前節で述べた Charged-Hard-Sphere系 と Hard-Sphere-Yukava系の XSX

はいずれも電荷中性の条件

sum plZl=0 (3-18)

を用いて解かれたここで pLは i タイプ剛体球の粒子数密度で Zlはその

剛体球が有する電荷である要するに二元液体合金において一方の原子か ら他方

の原子への電荷移動は完全であると仮定 しているのであるしか し後程我々の

議論の対象となる Li-Pb 系のように電荷移動がおこると考 えられる二元液

体合金の電気抵抗は有限の億を持つ く2a)従 って電荷移動は完全ではな くい

くらかはバックグラウン ドで自由に動きまわる電荷として残ると考える方が妥当

である

-487-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

cIZl+C2ZL+cb=O

Ginoza23)は (3-18)の代わりに

を採用し原子間ポテンシャルとして

centlJ(r) = infin

= e2ziZJe-ん rr

(3-19)

を用いて HSXを解いたここで ci C2は濃度 cbはバックグラウンド電

荷の洩度 入は Screeningパラメタ~e は単位電荷である

HSHは (2-39) と同様以下の式で与えられる

htJ(r)=CIJ(r)+E p k

hlJ(r)=-1

drcik(lr-rl)hkJ(r)

rく び

CtJ(r)equiv-βe2zIZJe-ん rr

一連の式の変換によって上式は次の式に置き換えられる

hlJ(r)=fJ(r)+弓 pxk

hiJ(r)=-1

rgt6

drflk(lr-rI)hkJ(r) (3-20a)

rlt6 (3-20b)

flJ(r)equiv -βe2ZZJe一九一-r rgt6 (3120C)

ここで

入= [入oe+47Eβe2p写(Cr Xi)Z12】I2I

である (3120)式を HodifiedHSM と呼ぶ

HodifiedHSXは

c b ZeXl=Ci-

x2=C2+

Zl-Ze Z1-Z2

c b Zl

Z1-Z2 Zl-Z之

-488-

(3-21)

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

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51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

と選ぶこ とによって厳密 に解け次の解を与える

fli(r)=fs()+ 三L f a(r)

Xl

fl空(r)=f21(r)=f5(I)-fa(r)

f22(r)=fS(r)+ 三L f a(r)x2

ここで f(r)は WertheiEI10)と Thiele(ll)によって得 られ た直接相関関数

(2-37)でありfa(r) は WaisEIan(lg)によって得 られた直接相関関数 (3-17)

である

巨岩 塵劃subeequivexist 液 体 LiPb と Li71A geの羽ヨ 賢妻exist

多成分液体において原子がラン

ダムに分布 し物性の組成依存性

が単調な系を理想混合系 という

このような系の例 としては Na-K

Pb-aAu-AgA1-GaSb-Bi等が

ある(L4)

これに対 し図4-1で示すよう

に理想系からかけ触れた性寅を示

す物質が存在するこういった非

理想的な振舞をす る二元液体の構

造及び熱力学電磁気的性賞がこ

こ数年精力的に研究されている

アルカリ金属 と ⅠVA属の合金は

固体状態でも液体状憩で も両方の

電気陰性度の差が大 きいため く25)

イオン性結合の傾向が強 いこう

いう系の中で最も研究されているのが Li-Pb合金であるこの系は Li4Pbといっ

た stoichionetricconpositionです ぐ後で述べるように種々の物性に異常を

示すこういった異常を示す物貴 は理想液体混合系 と異な り歎原子間距離程度

-489-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

の短範囲で原子分布 に ShortRangeOrder(SRO)あるいは CheDical Short

RangeOrder(CSRO)と呼ばれる規則性を示す

この章 では CSROを示す液体 LiPbと Li71Ag20 に焦点をあてる特 に我 々

-の研究の対象 とな ったこれ らの構造を中心に議論する

4 1 実験 的事実

この十年来Li-Pb系の

様々な物性が測定 されて き

ている測定結果 は組成依

存性 に対 し非理想的な振 る

舞いを示 し特に Li4Pb

という組成で理想系か らの

違いが目立つ そのいく

つかの例 を次に示 そう

Excessstabilityは

part2GEE Sequiv

partc l2

で定義されるここで

GE は ExcessGibbs

エネルギ ー C l は成分 1

の濃度で ある Saboungi

etal(2eU によって測定

された Li-Pb系のExcess

Stability を図4-2に示

す これ より GE は

cpb=02で最小値を持つ

ことがわかるまたこの

ESは局所的洩度のゆ ちぎ

の幅を与 えるく2ei)

図4-3は Ruppersberg

と Speicher(27)によって

図4-2 variationsoftheexcessstabilityES【RT(1-XLl)IxtpartlnγLlaXLl)VithcompqsltionatT-932Ⅰく

く文献 26より)

u at pb

図4-3 Compositiondcpcndenceohheyolumeperどatomat600OC (令- CI)Anditsrchtiyetcmpcraturedcriya

lire(1va)dundT (- )A16000c in lllC doucdrcglOnOfthediaETamSthe81loy3arenotuquid

(文献 27より)

-490-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

0 20 40 60 8O lOO

otIM

図4-4

EJcctrical resistivity of liquid Liauoli ai a functiotlOE concentration-+一十一+- LトMg (Van Zyticld 1975) -ローローロー Li-TlatSOOoC0-O-G)-0 Li-Pbat800oC- times- times- x- Li-Biat600oC

(文 献 22よ り)

測定された Li-Pb系の原子一個当たりの ExcessVolumeであるExcessvolu-

Eleは理想系 (図では直線で表わされている)に対 して負の値をとり Li4Pbで

その差が著しい

電気抵抗に関しては図4-4に示す Nguyenと Enderby(22)の実験があり

Li4Pbで極大がみられる

これらの他に熱起電力混合のエン トロピー磁化率ナイ トシフ ト

スピン格子穏和時間拡散係数等 にも理想混合系 とかけ離れた振るまいが見られ

るく28)

液体 LiPbの構造解析に関する実験は Ruppersbergと Eggerく29)Ruppers-

bergと Reiterは 8)によって成された

二元液体合金の構造は三回の独立な実験により求まることは前章で述べ た二

元液体合金の中性子散乱による構造因子は Bhatia-Tbornton部分構造因子で書

くと次のように表わされるく28)

Ⅰ(q)S(q)=

くb2)

-491-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

ここで

くb)eShellip(q)+2くb)bSNC(q)+ (b)eScc(q)

くbe)

くb2) =clbユe+C 2b 22

b=bl-b2

くb)=clbl+cLb2

であるL卜Pb系の場合 には

b7Li望-23ftn bFb望 94fn

なので (30)同位体 7Liを使った LiPbでは

(b)--0

が成り立つ従って

S(q) C( Scc(q)

となり一回の測定で構造が求まる上式は便宜上

S(q)equivScc(q)

C ICG

(4-1)

と書くことにするく28)0

図(4-5)は Ruppersberg と Reiter(28)によって得られた液体 LiPbの中性

子散乱実験の測定結果であるこれによると SC(q)は次のような特徴を持つO

q二三15A~ に鋭いピークが存在しそのピークの高さは強い温度依存性を示す

また25A-1lt qlt35A~1 の範囲は殆ど温度に依存せず平坦である

LiPbのように単純な剛体球混合系で説明できない体系では局所的な秩序が

形成されているものと考 えられるこの秩序の度合いを知 るには漬度のゆ らぎを

見るのが適当であろうそこで RadialConcentrationCorrelationFunction

(RCF)47Cr2pcc(r) というものを次式で導入するく2り

-492-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

IヽI

iJL 1こ p-radicprimeLIprime一一primeiI-I二int0 1 i ) t ~

otL-I)

図4-5TotalsIuCIurcraclorsStI)-intrJq)(IOrrqUdLiPbmcasU亡dbyncuLron

di汀ractiona1995Kfrullcurve)1075K(brokencurve)and1225KtdollcdcurvcJ

(文献 28より)

2r47rr2p=C(r)equiv [scc(q)- cICe】sinqrdq

=4cretc2【pll(r)+pli(I)】+cllp22(r)+peュ(r)】

-β21(ど) Cl)

ここで p (r)は単位体積当たり i 原子か ら距離 r離れた場所にある j~

原子の数である図4-5から計算された RCFを図4-6に示すr望29Aでの負勺

のピークは hetero-coordinationが大きいことを示しているまたrlt2Aに

は原子が近寄れないこと秩序が r望20Aの範囲まで及んでいることもわかる

I 一 lIint I一

t-t-こ∵ヽヽ ヽ一一JI一lヽ primeヽ

ヽl

0 2 1 8 8 10 1~20

rlA)

図4-6 4nrZIi)curveO川quidLi-Pbat995KlrL川cl汀Cl1075KtbrokcnctlrVClotlJt225KtdoltcdcuryclThesCilleoTtheTaxisischangedbcyond8A

(文献 28より)

-493-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

~くCtq両 ~ - I八 ^ 一

o 5 10qÅ~1

図4m27pcscvIq-iS712C2utCrCdAfot三ILtirtisslLPnlecS0r5ドI)usltc(日ille775に(文献 3 1より)

0 5 10 (1

回4-84汀prime2pcc(r)cu-vcsco一-tinuousunc575にDashed

ljnc775に(文献 31より)

LiPbと同じくゼロ合金である液体 Li71Ag2 に対しても同様な実験が

Ruppersbergによって成 された (31)構造因子は図4-7にRCFは図4-8に示さ

れている液体 LiTlAgaQの構造に関 していえば液体 LiPbと比べ第-ピー

クは著 しく低 くまた 25ltqlt35A~L での平坦な部分も見られない一方

図4-8によれば液体 Li71Ag29 は r=ご28Aに hetero-coordinationを示す鋭

いピークを持つしかし秩序の範囲はせいぜい rごご5A程度までである

4 - 2 0rderingPotentialAnalysis

-成分液体の場合構造は剛体球モデルでかな り良く記述できるこの事実は

原子が短距離の強い原子間反発力を主な力として含んでいることを意味す る矛

盾なしに S(q)か ら原子間ポテンシャルの中長距離情報はわずかしか得 られ

ないしか し前節で見てきた液体 Li4Pbや Li71AgeO 等の合金では事情は異

なる以下ではそれを議論しよう

(3-ll)を用いると

-494-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

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一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

Shellip(q)Scc(q)-SNC2(q) =cIC2[Sll(q)S22(q)-S212(q)】

ヽ=cIC2det (S)

が示 され る従って

ノヽScc(q) det (S)Sc(q)

primeヽciCと det (S) cIC2

ここで

ど(q)equiv SNC2(q)

SNN(q)Scc(q)Ei)

det (S )Scc(q)

Scc(q)[SNN(q)SC(q)-StヾC2(q)】

である (4-2) に (3 - 1 5) を使う と

Scc(q)equivC IC と

(4-2)

- c IC2f(q)〕-1

1-cICaP [Cll(q)+C22(q)-2Clと(q)]-CIC2f(q)

となる 一方 RPAの結果 (2-40)より

CIJ(r)equiv -β中日(ど) P= (Kz)T)-I

と書けるので OrderingPotentialを

Ⅴ(r)= [中日(r)+cent22(r)-2申IL(r)】 2

と定義す ると (4-3) は

ScC(q)equivC 1Ca

1+2cIC2βpV(q) -cIC2f(q)

(4-3)

(4-4)

(4-5)

となるここで Ⅴ(q)は Ⅴ(ど)の Fourier変換である粒子数 の相関 と溝度

の相関Shellip(q) と Scc(q) はこれ らのクロスタ ームである SNc(q) と比べて

ず っと大 きいと仮定 して

f (q)=0

-495-

(4-6)

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

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-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

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15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

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16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

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18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

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27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

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31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

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35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

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50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

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53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

と置くことにする く32)この仮定が成り立つ基礎原理は明確ではないが少なく

とも LiPbの q=0の極限では図4-9で確認で きるように (4-6)は成 り立っ

ているく33)

0 02 04 06

(onく帥IrQHon(08 10

図4-9(o)asarunclioncrconccntrationroradiclhcrollowin8liquidbinarya一loysNaKat373KMacsat383KandLiPbatloodegKThelullcurvesarcthercsullsdcduccdrTOmthe

モモPCrirncntaldataThebrokencurv亡Sarctheyalucsor(0)COrrCSPOnding10idealrnixins(文献 33より)

仮定 (4-6)の下で (4-5)は

Scc(q)equiv

あるいは

C ICe

1+2cIC28pV(I)

βⅤ(q)equiv-KBT C ICe

2c ICe Scc(q)

となる

一方実験から求まる Scc(q)で次ぎの関数を作る

pW(q)equivK8T __ c IC2

2 c IC2 Scc(q)

これを (4-3) と比較すると

- 4 96 -

(4-7)

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

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36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

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43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

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550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

(a)こ

C3(a

-(a)

^d

t

0 1 ~ ) L ~

ぐtA1 11)

図ト10 CurvespW(I)-K8Tど(q)2(10-12erg)calculatedaccordingtolq

(4-7)EroJtheScc(q)ofliquidLiPb0995R1025RI1075tX1225R

1225RAt12A~Itheordinatescaleischangedforbettorresolutionof

thelarge-qpartofthecurves(文献 28より)

KBTW(I)= 【Cll(I)+C22(q)-2C12(q)】+

2

KBTf(q)

2p

が得 られ る従って仮定 (4-6)が成 り立ちかつ (4-4)が使える範囲な ら

Ⅴ(int)equiv-W (r)

とな り原子間ポテンシャルの様子 を知ることが できる液体 LiPbの 中性子

散乱実験 で得 られた Scc(q)図4-5を用 いて関数 pW(q)一KBTf(I) 2

を作ると図4-10のようになる

(4-7) を Fourier変換すると

W ()KBT

47C2rpc ICesin(qr)[1-

CIC2

Scc(q)]dq (4-8)

となるこれは図4-11 に示されている

Cop estak e et a l く2〉は実験 値 W(r)をフ イッ トする式 として

W(r)equiv-5times1011e-1lrr (ト9)

を得たこの式は図4-11の実線で表わされている式 (4-9)は Yukava型の原

子間ポテ ンシャルを示唆 するものである

Li71Ag29に関する W(q) と W(r)は図4-12と図4-13に示されている

-497-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

図4-ll Thlfunction-Y(r)obtainedfroltheneutrondiEEractiondataof

恥ppersbergandReiteratseveraldifferenttetperatureSThlfullcurye

denotestheforzLula(4-9)(文 献32より)

o S IA-1

回 ト 12 Y(I)-i(I)K IT2 calculated fr o4theScc(I)ofl iquid

Li71Al20 c ontin uousline57 5K Dashedlino775X(文献3 1よ り)

lVtr)101ergs

o 5 rA

図4-13 Y(I)calculatedaccordingtoeq(4-8)supposingi(I)0

continuousline575KDashedline775R(文献 31より)

-498-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

4 3 理論的計算 とその改良

a 液体 Lipb

copestakeetal (3eは前節で述べた OrderingPotentialAnalysisに基づ

き液体 LiPbに対して次のような計算を行なった原子間ポテンシャルとして

Hard-Sphere-Yukava型

centlJ(r)=infin

=zIZJe2eJrr

rlt6

rgt

を採用しこれを HSM (34C節参照 )で解いて図4-14 に与 えられるような

結果を得た (図では HSAで示されている)

0 2 L 6 8qtltl

図4-14ThestructurefactorScc(q)CICICa一culatedrTOrnLhcMSnd(hardcore)HNCaPPrOXimadonatditTercnttcmpcr81urcsTheuppercurycSatetheHNCresults8tT-1075K(curveA)andT=1225K(curvea)ThelowercurvesarctheMSArcsulLsatT=1075K(curycA)T=1225K(cuTYeB)andT=995K(curyeC)NotethaHheHNCresultsarc

shirtedupwardsbyl0(文献 32より)

計算に必要なパラメータとして(4-9) より 入=1lA~ 1 剛体球の直径とし

ては充填率が金属系の特徴的な値 γ=7EP636=044 になるように 6=2650Aを用い電荷は T=1075K の Scc(q) ciC 2 の第-ピークの高さを再現す

るように ZLl=Zl=0533Z=Ze=-2134 と遺んだ尚これらの間に

は電荷中性の条件

ー499-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

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-521-

安仁屋勝

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27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

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37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

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-522-

二元液体合金の構造

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57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

c IZl+C2Z2=0 (4-10)

が成り立 っている電荷中性の条件を課す ることによって XSHの解は解析的に

求まり (35節参照 )またSNN(q) と Scc(q) は切断された形で表現され

るあるいは言葉を変えていえば数の相関と濃度 (または電荷 )の相関は独立

な形で現われそれらの クロスタームである numberconcentration捕造因子は

SNC(q)=0 である

T=995 と T=1225K に対しては上で求めたパラメタ-を用いて計算された

その結果を表4-1に示すここで Sexp は Scc(q) cIC2の第-ピークの高

さの実測値SMSA は MSHでの計算値p は 1A当たりの原子数である (27)

表4-1Themeaミurcd101alnumberdcnsilyPandhci8htS叩 OrhcmainpeakinScc(q)cIClatYar10uSICmPCratureSTSMS andSHNC arcthecorrcspondinshcighlS

obtainedrrorncalculationsbasedonlhehardcorepotcntials(文献 32より)

T(K) p(Å~ユ) S叩 SMA SHNC

955 004601 264 247 -

1075 004558 236 236 199

1225 004479 205 220 192

Copestakeetalらの HSHでの主な結果をまとめるとまず第-に

Scc(q) cIC2 の q 依存性はかなりよく再現 されるが 温度依存性が弱い

その次に 25ltqlt35A~1の平坦な部分が再現で きなく第一ピークの位置がo O

実験値では q三三153A~1にあるのに対 しq三と16A~1にずれている

彼らはまた前に述べ たパラメタ-を用い HNC近似で Scc(q) cIC2を求

めたその結果は図4-14 と表4-1に示 されているHNC近似を使 うと第-ピーO o

クの位置は q-~15A1となり また 25ltqlt35A~1での構造は XSX よりは

平坦な振 る舞いを示すが ピークの高さも低 くまた温度依存性 も弱すぎるこ

れら二つの近似の違いは粒子数 と電荷の相関の違いに帰着するHNC近似では

SlN(q)と S=C(q)の切断は完全ではな くSNC(I)ne0 であるく32)

またCopestakeetal(1-2)は Scc(q)の温度依存性を説明するためLiか

ら Pbへの電荷の移動は過度の上昇と共に減少す ると主張 した

一方Ruppersberg と Schimacher(34)は Copestakeetalと同様な Ord旦

ringPotentialAnalysisを各温度について行ないscreeningparaDeterの温

度依存性を求めた図4-15にその結果を示す彼 らが求めた温度依存性は式

A(T)=007十10-3T

-500-

(4-ll)

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

0 1 2r(A)0 3 ん

図4-15Plotofln(-10-15ry(I))againstrrisgiveninAaridY(r)inerg

atorlTheslope yieldsA yhichisgiveninthe insetasafunctionof

te叩erature Thestraightlines areobtainedfro linearregressionsThe

yertical barsindicatethe 95DaggerliカitsofconfidenceThBVerticalbarsin

theinsetar8COnneCtedbycuryeslilitingtheareathroughyhichastrailht

line VOuldpassvith 95probabilityassuJLing arando一dlViationofthe

experiJIentalpointsfro)suchalinearA(I)rolation (文献 34より)

によって与えられる

しかしよく考えてみるとプラスイオンの周りにはマイナスイオンが集まりこれ

を遮蔽する要するに Debye-HJckel型の SCreening効果でsCrやening定数の

二乗は温度に逆比例する (35)また液体 LiPbは金属なので く22伝導電子によ

る温度に依存しない ThomS -Femiの Screeningも存在するはずであるそこ

で我々は次の式を提案 したく88)

IA(T)equiv(a+bT)12 A-1 (4-12)

ここで a と b は温度 に依存しないパラメターであるこれらは次のようにし

て求めたまず始めに T=1075Kの Scc(q)の第-ピークの高さを再現するよ

うに a を選びその次に T=995K と T=1225Kの第-ピークをベス トに再

現するような b を選んだその結果は (4-ll) を用いて計算された結果 と共に

表4-2に与えられている尚比較のため Copestakeetal く82らのや り方で

-501-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

-I入=入O=115A (4-13)

を用いて計算された結果 も表4-2に示 してあるこれ より(4-12)を採用するこ

とによって実験値がかな りよく再現され ることが わかるそれに比べ(4-ll)杏

用いると温度依存性が弓虫すぎ(4-13)を用いると温度依存性が弱すぎる

表4-2 TeJWeraturedependenceofthefirsトpeakheightsofScc(q)

CorrespondingtothescreeningparaM ter8givenbyeq(4-13)WithO

入o1(1075)115A-leqs(ト 11)and (4112)Witha271andb-150

times10Sandtheexperinent

T(汰) eq(4-13) eq(4-ll) 叫 (ト12) Exp

995 246 272 262 264

1075 236 236 236 236

1225 221 187 203 205

我々のモデルでの

ているこれより我々の

人 は実験誤差内に入っ

て O rdering Po tent i a l

analysis の結果 ともコ

ンシステ ン トであること

がわかる(4-12)式の

物理的基礎づけは35

節の HodifiedHSXによ

って与え られる(4-12)

式を見ると (3-21)式の

形になっていることがわ

かる要するに条件

(4-10)を取 り払い

(3-19)を採用 しバ ックグ

screening parameterの温度依存性は図4-16に与 えられ

1000 1100 1200

T(K)

図4-16 7eJPeraturQdependoncBOEscr- in= araMter1

Thocircularpoint= retheyaluelOE A obtainedfroJthe

dataofS(q)atyariouStelprltur- Adtyofullcqrhellip

connectingth- crticalbarsli)itthoar〇日 ndlcatldfthe

95IconfidenceliAits(ref34)ThoEullstraifhtlinelI

eq(4-ll)I yhil= hebrokencuryel= q(4-12)ith い271andb1-150times10与

ラウン ド電荷を考慮する

ことによって Scc(q)の第-ピークの温度依存性が再現で きた訳である

ここまでは Scc(q)の第-ピークに焦点をあてて きた訳であるがScc(q)

の全体 としての振る舞いはどうなっているのであろうか次にこれを見てみよう

-502-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

我々はHardSphereYukava係

centlJ(r)=infin

=e2z IZJe-ん r r

を HodifiedXSH

hlJ(r)=flJ(r)+sum pxkI

htJ(r)=-1

rlt6

rgt6

drflk(I町-rI)hlJ(r)

rく け

fl(r)ニ ー βe2ZIZJe~入r r rgt6

入= 【九 +47rβped写 (c i- X l)Zl-] i2I

で解 き (35節参照 )液体 LiPbに対して構造の計算を行なった く37)用い

たパラメターとして剛体球の直径 には Copestakeetalく32)ちと同 じ理由で

6=265Aをまた Ruppersbergと SchirzBaCherく34 の OrderingPotentialOI

Analysisによって得 られた 入(T=1075K)=1145A~1を再現 しかつ

scc(q) の第-ピークの温度依存性が最 もよく再現されるような値 として 入o=0

163A1 Zi= 0571Z2= -224を選んだこれ らのパラメタ ーを用いて計

算された S(q)を図4-17に示すまた第-ピークの温度依存性は実験値と共に図4-18に与えられている図4-17より第-ピークは q空16A~1 に位置し

図4-170 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

Theconcentration-ConcentrationstructurefactorScc(q)cIC2CurveAT-995氏curveBT-1075KcurveCr-1225K

-503-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

2

0

8

6

6

5

0

cap)

o

((i)三S

L)it101

図4-181GOO ll00 1200 1300

T(K)

ThecurveshowsthecalculatedresultforlO~)T【1-1SM(T)】asthefunctionoftemperatureSM(T)be-

ingthevalueofthenrstpeakheightorScc(q)CICZattemperatureTwhilecircularpointsshowlheexperimen-talresultofRuppersbergandReiter(ref2)

25lt qlt35A-1 での平坦な構造も見られないこれは Copestakeetal(32)

の結果と変わらないしかし第-ピークの溢度依存性と低波数領域の構造に関

してはかなり改善 されて いることがわかるO

q=01A--1 で計算された Sc(q)の温度依存性は図4-19に示されているA

で示されているのが我々の模型に基づいたものでBで示 されたのが Copestake

etalく32)らのケ ースである低波数での中性子散乱実験は困難なので く28)哩

論値と実験値がフイッ トしていないことに関しては何とも言えないが温度依存性

の傾向は我々の模型で再現されている

図4-191100 1200

T(帆)

curyeAshowsthecalcula【edresultforScc(q)cICヱatq-01Å ~-asthefunctionoftemperaturewhile

circularpointsShowtheexperimentalresultofRuppersbergandReiter CurveBshowstheresultfor

scc(q)cICユatq-01Å ~lcalculatedonthebasisofthetheorywiththc触edA

-504-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

3

2

1

O

sJO一

UD-

aJつ一Usup上S

ID

モD

d

図ト20 0 1 2 3 qL(A-1)5

6 7 8

Thepartialstructurerac【orsSt(q)(orLトLi(curveA)sZ2(q)forPb-Pb(curvea)andS2(q)ForLi-Pb(curveC)calcula【edat千-1075K

図4-20に T=1075Kにおける部分構造因子 Sll(q)See(q)SI皇(I)が

示されているq亡ご26A-1のピークは剛体球 (あるいは数 )の相関によるもの

であるSll(q)のピークが SL2(q)のピークと比べて大きいのは Liの数がO

Pbの数よりも多いからである一方 q--16A~のピークは電荷 (あるいは

濃度)の相関によるものであるこの領域で Sae(q)が Sli(I)と比べて大き

いのは Pbの有する電荷が Liのそれと比べて大 きいか らである一方

s i2(q)は q二三16A-1に負のピークを持つこれは二元合金における Charge

Orderingの存在を示す特徴的なものである(15)

図_21a O 1 2 qfL- 4 5 6

Thepartials(ructurefactorSIT(q)forLi-LiCurveAT=995KcurveaT=1075KcurveCr-1225K

- 50 5 -

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

図4-21b

0 1 2 3

q(A-1)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS22(q)forPb-PbCurveAT=995KcurveBT=1075KcurycCγ=1225K

0 1 2 3

図4-21c q(All)

4 5 6

ThepartialstructurefactorS-2(q)ForLi-PbCurveAT-995KcurveBT=1075KcurveCr-1225K

部分構造因子 Sll(q)S22(q)Sle(q)の過度依存性はそれぞれ図4-2la

図4-2lb 図4-2lc に示されているこれらより q=16A-1の電荷の相関が温

度に対して敏感であることがわかる

部分構造因子 Sil(q)S12(I)See(q)がわかれば当然 Bhatia-Thornton

の部分構造因子もわかる訳で図4-22 と図4-23 に SNN(q) と SNC(q)がそれtl

ぞれ示されているSM(q)のメインピークは q-~26A-1に位置し剛体球の

相関を反映 しているまた温度による影響も少ないことがわかる一方O

ST-C(q) は q=16A~Iにピークを持ちScc(q) と同様温度に敏感である

電荷中性の条件(4-10) を用いた CopestakeetalくS2の計井の場合には

SHc(q)=0 であったバックグラウン ド電荷を考慮すると Sco(I)や

-506-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

SNN(q) と比べ相対的に千分の一程度の小さいものではあるが SNC(q)ne0

であり剛体球 と電荷の相関の切断が不完全なものとなるこれが Scc(q)の

温度依存性の再現を可能にするのである

図ト22 0 1 2 3q(A-り4 5 6 7

Thenumber-numberstructurefactorSNN(q)CurveAT-995KcurveaT=1075KcurveCγ=1225K

6

prime勺

2

0

(bVUNs

M

Or

つム

-4

図4-23 To 1 2 3 4q(A-1)5 6 7 8

Thenumber-concentrationstructurefactorSNc(q)CurveAT-995KcurveBT-1075KcurveCr-1225K

- 50 7 -

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

b 液体 Li71AgeO

我々はゼロ合金である液体 LiァlAg-Qに対しても液体 LiPbと同様な計算を

行なった く313)ここで用いたパラメターは次の通 りである6=26A (こ

れは Ruppersberg(3日が実験値から求めたW(r)(図4-13)の ピークの位置を目d

安 とした)Ao=272A~1ZL=2781Zpb=-6811 (これらは Rupper旦

bergとSchirmacher(34)が OrderingPotentialAnalysisより求めたT=575KO

での 入=28A~1を再現 しかつベス トな第-ピークの温度依存性が再現できる

ように選んだ)計算 されたScc(q) は Ruppersbergの実験綾果 く31と共に

図4-24と表4-3に示されている Scc(q)の全体的な様相はかな りよく再現さ

れている実験結果との主な不一致は第-ピークの位置の温度変化に対するシフ

トが逆になっていることそれと低波数側での構造に見 られるこれら不一致

の原因を解明するのは今後の課題 として残っている

馴 -24 Scc(I)cIC20日 iquidLiHAg20atTZ575KandT775K

Th8Circular(575K)andtriangular(775X)Pointsaretho

experiJentalvalues(rOE31)

表4 -3 CoJ)parison of the firs t p e a k heigh t s ofScc(q)cIC壬 SNand

Scc(0) c IC2 betveen t he experien ta l values andtwo theorotical10d elsill

liquid Li71Ag20

-508-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

5prop) 600 700T(K)

図4125 7日peratured叩endenceofscr8eninDaggerparueter入The

circularpointsarethevaluesobtainedfro)OrderlnPotential

AnalysisbyRuppcrsberiandSchlnacher(ref34)

screeningparan)eterの温度依存性は Ruppersbergと SchirzBaCherくeL4)によ

る OrderingPotentialAnalysisの結果 と共に図4-25に示されているこれ

によると我々の計算ではscreeningparazDeterは温度依存性が弱くまた液体

LiPbの場合図4-16と比べてその依存性は逆の傾向を示 している要するに

温度の増加と共に screeningparameterは減少している

電荷のパラメターとして ZL=2781Zpbニー6811を用いるのは非物理的

に見えるかも知れないしかしこのことに関しては Ruppersbergと Schima-

cher(モー4)も述べているようにOrderingPotentialAnalysisでは何を電荷とし

て解釈するかと言う基本的な間道が未解決のまま残っているので現時点ではこれ

らのパラメターを用いると構造が再現で きるとしかいいようがないこれ らのバ

ラメターの解釈の問題については現在検討中である

4 4 液体 Li4Pbの構造に関するその他のアプローチ

この節では前節で議論した液体 LiAPbの構造をどうすればさらに改良できる

かまた他にどういうアプローチがあるのかを前節を補 う形で見ていくことに

する

a Scc(I)の第-ピークの位置の改良

HardSphereYukava系を 10difiedXSHで計算された第-ピークは図4-17か0 0

らわかるように q二王16A-1 に位置 しているこれを実測値の q望153A-1に

持ってい くには Liと Pbに関す る剛体球直径の差を考慮す仰 ぎよいこのよう

な系に対 しての形式的解はすでに求まっている (34節参照)

-509-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

b 化合物形成モデル

前節では液体 LiPbの構造について HardSphereYukavaモデルを用いてア

プローチ した訳であるけれども化合物が形成されると仮定 し系は LiPbそ

れに LiPbの三成分から成るものと見てアプローチするや り方もある図ト26

は多成分剛体球を用い (34a節 ) Hoshino(39)によって得られた液体

LilPbの構造である温度依存性は充填率 γ に持たせてあり化合物の洩度はO

x寺=07として計算 されている 25lt qlt35A-1 での平坦な構造は実に見

事に再現 されているしかし残念なことに現時点まで化合物の存在は確認さ

れていないくき2)

primeヽprimelIlllIIIll

ll tlLIint 一ー くヽ -ヽiprimeIyy

0 1 2 3 L 5

kti-1)

図4-26 ThcorcticaltotalstructureFactorror梓 045(brokencurve)andq=04(rull

curvc)atx3=07(文献 39より)

C 電荷移動のセルフ コンシテント的計算

前節でバックグラウン ド電荷を考慮すれば液体 Li4Pbの Scc(q)の温度依存

性が再現 されることを述べた一方 Copestakeetalく32)は温度の上昇と共

に一方の原子から他方の原子への電荷移動は減少するということで温度依存性を

説明しようとしたまたHolzheyetalく4Ln はイオン性の強い液体合金にお

いて原子構造と電子状態のセルフ コンシステン ト的な計算を行ない温度の

上昇と共に電荷移動が減少することを兄い出して いるしかし定量的な説明を

するには至っていない

d その他

液体 ノLトPb系 と同様なアルカ リ金属と ⅠVA属の合金である液体 L卜Sn系 と

Na-Sn系 についても中性子散乱実験が成 されている(25)I(41 これ らの系でも

Li-Pb系 と同様 Orderingが見られ前節で用いたアプローチが有効だと思われ

-510-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

また液体 LiAgでも CSRO の傾向が見られる (42)この系の構造について

の研究は現在進行中であ り原子の大きさの違いが重要な役軌を果 している徴候

がある

巨existEE 巨exist 液 体 金 属 に 関 す る そ の 他

の 間 晃琵

前章 までは主に構造要するに原子配列の問題 を扱って きた固体物性では電

子が重要な役割を果す液体金属 を扱う場合にも電子の存在を忘れてはならな

い液体金属が示す様々な性質はイオンと電子これら二者の相互作用の結果現

われてくるものなのである

そこで本章では ます始めに主に電子が絡んで くる輸送現象について述べ その

後に電子 イオン相互作用高温 高圧下での液体金属金属 非金属転移を示

す合金相分散型二元液体合金等 興味深い話題 をいくつか述べ る

5 1 液体金属の電子的緒性賞

a 電気抵抗 (cent)

Zizmnは純金属液体中の電子状態 と散乱機構について仮定

1融点以上では各イオ ンあたり原子価 Z 個の電子が伝導に寄与する

2伝導電子の状態としては平面波波動関数を無摂動状態 に採用する

3金属液体中の各イオンか らのポテンシャル Ⅴ(r一駅1)の和 冒 Ⅴ(町一臥 )

全体が摂動項 として働き遷移確率は平面波 による Born近似の計算で与え

られ る

を用い BoltzE)annの輸送方程式を基 にして比抵抗 pL(T)に対 して次の表

式を得ている

pL(T)equivm2 E2

127t2Th3e2n2tT

dqq3Iv(q)i 2S(I)

-511-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

ここで n は単位体積当たりの電子数

E2 は液体状態での原子体積S(q)

は構造因子Ⅴ(q)はポテンシャル

Ⅴ(r)の Fourier変換である

Ⅴ(r)は外殻電子がイオ ン芯から感ず

るポテンシャルであるがPauliの排

他律やその他の伝導電子 による

Screening効果等を取 り入れた結果生

ずる有効ポテンシャルであり擬ポテ

ンシャル と呼ばれるものである

通常上式を Ziman公式Ziman

のこの理論を NearlyFreeElectron

(NFE)近似と呼ぶ図5-1に Zitnan

公式に従 って計算されたいくつかの液

(u)Uqd)

dxad

53 1infin図5-1 PCdJc(fLBC71)

(文献 43より)

体金属の抵抗率が与えふれているい

くつかの例外を除いてかなり良い一致を示していることがわかる

尚二元液体合金に関 しては Faberと Zimanによる NFE近似の立場での比

抵抗の理論が存在することを付記 してお く

b Hall効果磁気的性質光学的性貴 く8) く44)

単純液体金属の抵抗率が ZiEIan理論でかな りよく記述で きるということは固

体結晶の場合の複雑多様性に比べ液体状態は驚 くほど単純でDrude理論のよ

うな素朴な自由電子モデルに近い立場をとることが良い近似になるように推測さ

れる このことは Hall効果磁気的性質光学的性寅か らも義すけされる

表5-1に Hall係数測定値と自由電子模型に基づ く値が比較されている表5-2

にはいくつかの物質に対 し自由電子模型で計算 された帯磁率 (一番右側の列)

と測定値 (右から二番目の列)との比較が成されている多価金属では自由電子

近似が良 くあてはまることがわかる Liや Csの差異については多体効果の重

要性を意味しているように思われる(el)

図5-2には光学的測定 によって得られ た液体 Snの誘電率と伝導度の波長依存

性が与えられている破線はDrudeの自由電子模型で計算されたものである

表5-1表5-2と図5-2より単純液体金属に対して自由電子模型はかなり良

い近似を与えることがわかるであろう

- 5 12-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

表5-1金属液伽 Hall係数 (文献 6より)

金属 自由花子Ro 測 定 値R R1h 対誤差 Gaに対嘉豊野 温度屯田 mlJ 定 著 名〔10~5cm3C〕ll0-5cm3C] 〔〕 〔t】

HgCdZnTl -768-729-512-630 -76 099 - 14i216I4 30- 210 Green氏eld

-7LI6 096 40 (-30)~ lOO CusackKendau

-73 096 70 20- 3(刀Tiache

-93 122 100 20- 200 Wilson

-80 10l 100 20 Enderby

-72 099 - 321へprime4( CrecnrttIld

-71 098 川prime-15 i320- 5(X) Buscl一Ti占chC

-70 O96 100 321- 4お TakeuchiEndo

-76 104 40 321- 650 Enderby

-43-57 088116 10-15 4226W Busthriさche

-52 106 40 Lt20- 650 EJlderhy

-48 076 - 320- 450 GreenrlCId

1nGaPbSnGe -569-395-512-442-340 -53 093 - 131721 156- 320 Grecnrteld

-55 098 100 156- 35j) TakeuchiEndo

-59 105 50 156- 54X) Endcrby-45 080 100 175へ205 Wilson

-383 097 25 35 Greenrteld

-38 096 80 35〉110 Cus8CketaI

-39 099 10〉IS 30- qX) BuSchTiさche

-37 072 150 3Jl0- 5(刀 GreenReld

-19 038 10-15 400-600 BuschTi主che

-44 088 70 330- 550 Enderby

-44 100 】- 250- 320 GreenTteld

-48 107 ll0 250- 310 WilSon

-44 098 100 230prime-425 TakcuchLEndo

-36 106 10-15100 960-1010 BuschTiampche

BiSl) -432-387 -30 069 285- 330 GrccnLTleld

-41 095 271- 425 TakeuchiEndo

-26 060 10-15 271- 8m BuschTi主che

-44 114 10〉15 630- 980 BuschTi占che

蓑5-2 敵脈における金柑 串の変化と液棚 掛 こおける花子系の欄 串

金 成 ZJ ZL-ZS Zl-ZlpI 2Zp3

Li 180 -0012 185 072

N1 063 0000 078 061

K 039 -0006 066 052

Rb 030 -0017 034 049

Cs 037 -0046 088 047Cu -I2 -05 i24 085

Zn -062 008 090 097

Hg -235 -05 083 085

Al 19 -039 129 104

Ge 036 095 I17 108

Pb -078 cap44 095 097

ZtZsは敵点の上と下での液体および間桐 火19妖料の封打払zrOは u=ZNlを(]Jb花子r紙 ととった 糾h花lfデルの PlUli引手磁平 和磁串の711dagger如110-1ergG-tcm-3

-513-

(文献 6よ り)

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

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一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

35 40 45

-logtol)incm

I_(Euutf)U

(n)Dc

O-

012 05 110 20 3O SO

huineV

図5-2 TheopticalpropertiesoiquidSnat800C0HodgsonCominsThebrokencurvescorrespondtothefreeelectEOnDrudeformulaeThef山IcurvescorrespondtotheDrudeformulaeafteradjustmentofn

andTD (文献 44より)

5 2 電子 イオン相互作用 (45)く48)

単純液体金属における原子分

布は剛対球モデルでかな り良く

表わせることは前で述べ た こ

れは結晶状憩に対応して持って

いた各々の金属の個性が融解と

いう相変態により弱め られる

一方方向性の少ない金属結合

の特徴と相接って液体金属の

原子分布 における共通な構造要

素を形成することに関係 してい

るしか し電子構造が液体金

属の原子分布に大なり小なり

2

1

(CIJS小田増撃

0 2 4 6 8 10Q(A一l)

図5-3 Ⅹ扱および中性子回折に上り求められた液体 Znの捕造田子

く文献 45より)

影響を与えることは確かである そこでイオンの周りの電子分布を表わすイオン

電子相関関数を実験的に求めることが課蓮となる

Ⅹ線の散乱はイオンの中心である原子核をとりまく電子からの散乱であるのに

対 し中性子の散乱はイオンの中心である原子核そのものからの散乱である液

体金属におけるイオン イオン電子 電子およびイオン 電子の相関を表わす

構造因子 をそれぞれ S i(q)See(q)S le(q) とするとⅩ線の干渉性全散乱

強度 Ⅰ Xcol-(q) は次式で与えられる

-514-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

Ixcoh(q)=N [f12(q)sll(q)+ZSe(I)+2Zl2f(I)S(I)】 (5-1)

fL(q) はイオンの散乱振幅Z は原子一個当たりの価電子数であるS H(q)

は中性子散乱実験によって得られ る構造因子 SN(q)で置 き換える一方Ⅹ線

散乱実験 によって得られる構造因子 Sx(q) は原子散乱振幅 f(q)を用いて

S x (q)equivIxcQh(q)

Nf2(q)

と書けるので(5-1)(5-2)より

1Sle(q)equiv

2Zl2fi(q)

となる

例として液体 Znにこれ

を応用してみようSx(q)

と SN(q) には図5-3に示

される実験的に得 られた構

造因子を用いSee(q) と

しては図ト4で与えられる

ような UtsuEli-Ichinaru

の See(q)を用いること

により図5-5aに見られ

るような S le(q)が得ら

れる

(5-3)を Fourier変換

して得られるイオン 電子

相関の動径分布関数は

図5-5b に示されている

ここで rlはイオン半径

rAは原点にあるイオンの

周りに集 まる電子雲の平均

距離rlは最近接原子間

距離である

尚合金系におけるイオ

ン 電子相関を導出する方

法の確立は今後の課旗とし

て残っている

(5-2)

lfa(q)Sx(q)-fie(q)sN(q)-ZSee(q)】 (5-3)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

q(A-1)

図5-4 ThestructureractorS亡(q)orelcctron-elcctronpairsusingtheUIsumJLlchlmaruscheme (文献46より)

(i

)aTs巾固相望

b

T

)ab

砧琵冷血

0 2 1 ど(A) 6 3 10

図5-5液体 Znのイオン一旬子榊 の柵連関Zka)構造因子b)分布

関数 (文献 45より)

-515-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

5 3

液体金属の基礎的研究は

ここ数年目覚ましく発展 し

その液体論的側面 (静的

動的構造熱力学的性質

拡散等)および電子論的側

面(電子構造輸送現象等)

の種々の性寅について数多

くの興味ある事実が兄い出

されてきている数年前 ま

での研究は主として図5-6

の斜線で表わされているよ

-

圧力(p)

高塩高圧下での液体金属 く)

法Tf(T)-

図5-6 (文献 48より)

うな常圧 における融点近傍

の液体金属についてであったしか しここ数年実験技術の進歩に伴い図5-6

で CPと示されている高温高圧状態にある臨界点近傍での研究も可能 になっ

融点直上では自由電子近似が成立っ典型的な単純液体金属も温度圧力を変

え臨界点近傍の著しく低密度の状態にすると非単純金属 となり更には非金属

へ と転移する例 として図5-7に液体 Hgの電気伝導度J と熱電能S の密

度依存性を示す9gcm3 の密度を境にして低密度側では α と S の変化が

急激になるまた核磁気共鳴実験によって得られる Hgのナイ トシフ トの密

度依存性を図5-8に示す (4g)95gcEI3 近傍の密度で急激な減少を始め

-516-

図5-7 批IもJlPの200-b

における屯東伝al庶Q(A)

及び熱屯臆 S(b)の虎庶

依存性

(文献 47より)

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

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図5-9

q3hellip

-0-2

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一C510 30 50 70 90Au

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Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

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CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

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4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

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1

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I I f ー int1 2 3 L 5

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図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

89gcm3 で消失するこれは

通常の温度圧力下で 6S バ

ン ドと 6p バン ドの重なりで

形成されていた伝導帯が密度の

減少に伴い両バ ン ド間の重な

りが減 り光学ギャップが 出現す

ることを示唆 しているく47)

一方臨界領域流体では電気

的な金属 非金属転移と熱力学

的な液体 気体転移 とが切断し

ては論じられない重要な関係に

あると考 えられるすなわち

高温金属液体の電子状態の問題

を与えられた不規則原子配列の

9

()1

3エS

9tNX

70 80 90 100 日0 120 ほ0 140

DENSITY fgcm~3)

図5-8 199HsKnightshirtvsdensityclStIheliqjd-SaSCOeXistencecuryeinexpandedliquidmercury

(文献 49より)

もとでの問題として考えるのは

不十分であり厳密には原子配列そのものが電子状態によりセルフ コンシステ

ン ト的に決められるべ きものであるく50)

金属非金属転移の機構については Wilson転移Xott転移Anderson転移

等色々あ りここ数年固体系については目覚ましい発展を遂げているが液体 気

体転移との関係については筆者が調べた限り殆 ど未解決である

5 4 イオン性液体 CsAu

前節では高塩 高圧下の臨界領域で金属 非金属転移が起こる例をみたが金

属 と金属 金属と半導体 半導体 と半導体等同種または異種の物寅を組み合わ

せることにより興味ある性寅を持つ液体物質を実現させる試みの中で Cs-Au

系はその組成比を変えていくことによって金属 非金属転移が見られ る図5-9

は液体 Cs-Au系の電気伝導度の組成依存性である (52組成比が 11の ところ

で伝導度は最低となっている実 に液体 Csのと比べて約三桁も小さい

図5-10には液体 Cs-Au系の T=600Cにおける共鳴シフ トとスピン 格子緩和

時間の逆数の組成依存性が示されている(53) このような共鳴シフ トお よび緩

- 5 17 -

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

(

)

1LrHS

u

UNVNOS

3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

u1くprop

NOll

V

XVl

uprop

CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

l

I

1

l

lヽ

rarr---~ヽ lJt 一一ヽJh---

一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

和時間の組成依存性はアルカリハ ラ

イ ド結晶等に見られる F 中心に類

似な状態が出現 し伝導電子は局在

していると考えられる (53)また電

気分解に関する Faradayの法則か

ら液体 CsAuがイオン性融体である

ことの直接的な検証も行なわれてい

るく51)

液体 CsAuの構造に関 しては

34b節の ChargedHardSphere

系を用いた計算が成されており比

較的良い一致が得 られている く54)

9000

ELECTRICALCONOUCTIVITYtnCmr1

3000 1000 100104 4 10 100

100 80 60 40 20 0 20

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1LrHS

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3prop

15

図5-9

q3hellip

-0-2

(Bap)y(袈)9

一C510 30 50 70 90Au

AlornJC7Au

Theelectricalconductivityqat6000CaJlditstem-

peraturecoefficient(dlnodT)xforCsAuuquidal王OysasafunctionofAuconcentrationForpureAutheyaluesaLCobtainedbyextraPOlatingthedatafromhigh tempcrattlreS

ForpureCstheyalucsarequotedfromdiedataof

KapeherandBratton (文献 52より)

(TSgt0こ

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V

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CS CSAU

図5-10 133cBresonanceShiLtB(circles)definedac-

cordingtotheconventionoftheKnightshiftandnuclearrelaスationrates(triangles)V8COmpOSitioninliquidC8-

Aualloysat600CBrokencurveshowsVariationofthefree-electronPaulivolumesusceptibilitynormaliZed

totheShiftdataforpurecsUpperscaleshowsthevariationofthedcelectricalconductivity

(文献 53より)

-518-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

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一SE

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図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

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-519-

安仁屋勝

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一prime

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図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

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33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

5 5 相分能型二元液体合金

液体 Li-Na系では高湿から低温

へ と温度を下げていくとある組成

で相分離が起こる液体 Li-Na系

の相図は図5-11に示されている

55)また一般に種々の物性も相分

離に伴い急激な変化が見られる

たとえば図5-12は液体 Li65Naき5

の電気抵抗の温度依存性である (58)

構造に関しては中性子散乱実験が

成されておりまた理論的には Hard

SphereYukawa系の HSH等でATOMIC PERCひJTS00 lUM-

図5-ll (文 献 55より)

図5-13から見れるようにかなり

良 く実験値が再現されているく57)(5e)Sc(q) は qrarr0 で発散している

これは濃度の相関距離が無限大になっていることを示すものである(5)相分離

を示すこのような二元液体合金に対して繰り込み群を用いた臨界現象の一般的な

アプローチが成立つはずであるこのことに関しては現在筆者により検討中であ

tS

1

LNnt冨

Y)

X

5

一SE

Nn〇tJY)

4

310 520 330 340 330T(C)

図5-12 sampleofcriticalcompositionLト35atNaResistivitya且ditsternt治raturederivativeabove

thecriticaltemperature(文献 56より)

-519-

安仁屋勝

) I I I tIちsub亡

I

l

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I

1

l

lヽ

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一prime

I I f ー int1 2 3 L 5

q(A-I)

図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

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図5-13 conccn- on一号oncenuadonsuucturefactorsortheHsY system intheMSAcompared w仙 theexpcnmentalone(lullcurve)roradicliquid Lio6INao398tT=590K

【RuppcrsbergandKnoll1977)(文献 57より)

最 後 8こ

こうやって五重にわたり液体金属を主 に液体論の面から眺めて きた訳であるけ

れどもこの分野はまだ 未ゝ開発でありちょっと掘下げれば知 らないことが山

程あるということが特に四五章から読み取れたことであろうこういう観点か

ら見ると二三章でくど ゝと基礎的なことについて述べた意味がわかるであろう

他人の仕事を引用した削りに自分のオ リジナルな部分が少ないと思われるか

も知れないしか しニケ年という期間を考えるとオリジナルな部分はこれから

の課題である実際液体 LioAgの構造や OrderingPotentialAnalysisにお

ける電荷の解釈についての研究 HodifiedHSXを用いての電気抵抗の計算は現

在進行中相分離型二元液体合金への繰 り込み群的アプローチたっいては検討中

の段階である

蘭体金属の研究はここ数年みられる高温度測定機器材料の開発コンピュータ

ーの高速化記憶容量増大に伴います ます摘発 になると思われるそういう中

で我々の研究が液体金属の理解に少しでも貢献で きれば物理学徒 として望外の喜

びである

-520-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

巨聖王】琶沼

液体金属の分野 に導入 し指導 して下 さった宜野座光昭先生に感甜察 します

琉球大学で学ぶ きっか けを作って下さった嘉手納用和先生に感謝致 します

物理に進むことを勧めて下 さった Dr0Baffaどを初め物理の基礎的事

項を教えて下さったサ ン パウロ大学 IFqSCと FFCLRPの先生方色々 と疑問

を解決 して下さった院生の皆様方 それ に地球の裏側から色々と励 ましの手紙を

下さった友達に感謝致 します

ゼミや講義等を通 して色々と教 えて下 さった琉球大学物理学科の先生方 集中

講義で教 えて頂いた先生方に感謝致 します

矢ケ崎克馬先生 与那城勝邦先生友寄友造先生には公私にわたり大変お世話

になりました

中里弘道先生採水孝則先生仲間隆男氏和字慶朝邦氏内聞滑坤氏平岡

まゆみ氏仲村渠春彦氏 には私的な面で色々とお世話にな りました

その他直接あるいは間接的に御協力 して下さった方々に感謝致 します

巨夢 邑exist巨重 た三娼

1遠藤裕久 渡部三雄 固体物理 2(7)12(1967)

2遠藤裕久 月刊フィジックス 7344(1986)

3荒川箔も 化学総説 1113(1976)日本化学会編

4JNZiznanHodelsofdisorderCab)bridgeUnivPress(1979)

5EStanleyIntroductiontophasetransitionsandcriticalpheno一

menaClarendonPressOxford(1971)

6日本金属学会編 金属液体の構造 と物性 丸善 (1978)

7PAEgelstaffAnlntroductiontotheLiquidStateAcadenicPress

(1967)

8戸 田盛和 松田博嗣 樋渡 保秋 和連三樹 液体の構造 と性車

岩波書店 (1976)

9NHMarchLiquidMetalsPergaE)OnPress(1968)

10HSWertheiDPhysRevLett10321(1963)

11EThieleIChenPhys39474(1963)

-521-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

29HRuppersbergHEggerIChenPhys634095(1975)

30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

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36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

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38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

安仁屋勝

12NFCarnahanaEStarlingintChenPhys51635(1969)

13intLLebovitzint氏PercusPhysRev144251(1966)

14NHMarchHPTosiAtoJDicDynazDicsinLiquidsTheHacHillan

Press(1976)

15APCopestakeREvansIPhysCSolidStatePhys154961

(1982)

16AちBhatiaDETborntonPhysRev823004(1970)

17intELebovitzPhysRev133A895(1964)

18EWaismanILLebowitzIChenPhys563093(1972)

19EWaismanICheEIPhys59495(1973)

20AHiroikeHoュPhys331195(1977)

21MGinozaintPhysSocJpn542783(1985)551782(1986)

22VTNguyenIEEnderbyPhilHag351013(1977)

23HGinozaIPhysSocdegJpn565(1987)

24田巻繁武田馬- 月刊フィジックス 7 367(1986)

25BPAlblasWvanderLugtJDijkstraCvanDijkIPhysF

HetPhys141995(1984)

26HLSaboungiIHarrHBlanderICheDlPhys681375(1978)

27HRuppersbergWSpeicherZNaturforsch3la47(1976)

28HRuppersbergHReiterIPhysFMetPhys121311(1982)

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30HSoltwichDQuitE)annHRuppersbergIBSuckPhysLett86A

241(1981)

31HRuppersbergPhysLett99A94(1983)

32APCopestake氏EvansHRuppersbergWSchirzBaCherIPhysF

1etPhys131993(1983)

33DintGonzalesHSilbertIPhysFNetPhys17LIO9(1987)

34HRuppersbergWSchimacherIPhysFHedaggerPhys142787

(1984)

35市村浩統計力学裳華房 (1971)

36HAniyaHGinozaIPhysSocJpn553281(1986)

37汁AniyaHGinozaIPhysSocJpn562046(1987)

38MAniyaHGinozaIPhysSocJpn57667(1989)

39KHoshinoIPhysFHedaggerPhys13L189(1983)

40CHolzheyどBrt)uersJ氏FranzWSchirIはCherIWonCryst

Solids61amp6265(1984)

-522-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

57KHoshinoWHYoungIPhysF打etPhys16L73(1986)

58XGinozaintPhysFMetPhys17Ll15(1987)

ー523-

二元液体合金の構造

418PAlblasWVanderLugtintDijkstraWGeertsJDaCvanDijk

JPhysFMetPhys132465(1983)

42HRuppersbergIPhysF打etPhys14L197(1984)

43深井有固体物理 2(2) 3(1967)

44TEFaberAnlntroductiontotheTheoryofLiquidMetals

CambridgeUnivPress(1972)

45早稲田義夫月刊フィジックス 7398(1986)

46STan)akiCanIPhys65286(1987)

47八尾誠月刊フィジックス 7349(1986)

48米沢富美子 渡部三雄遠藤裕久 日本物理学会誌 29 665(1974)

49WWWarrenJrFHenselPhysRevB265980(1982)

50米沢富美子 渡部三雄日本物理学会誌 291002(1974)

51星野英興月刊フィジックス 7388(1986)

52HHoshinoRWSchJDutZlerFHenselPhysLett51A7(1975)

53RDupreeDIKirbyWFreylandWWWarrenJrPhysRevLett

45130(1980)

54REvansHHTelodaGaznaPhilHag841351(1980)

550NSalmonDHAhE)annJPhysChe皿6013(1956)

56HKSchdrmnn氏DParksPhysRevLett271790(1971)

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