Title 京大広報 No. 391

Author(s)

Citation 京大広報 (1990), 391: 927-936

Issue Date 1990-05-15

URL http://hdl.handle.net/2433/209286

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Type Others

Textversion publisher

Kyoto University

1990. 5. 15

No. 391 京都大学 広報委員会

理学部物理学第二教室の更新されたタンデム・パンデグラーフ加速器

（左上：加速器本体，右上：イオン源，左下：新加速管，右下：制御デスク）

目

＜大学の動き＞

西島総長，アメリカ合衆国を訪問・…....・H ・・・ H ・H ・928

＜栄誉＞

河合雅雄名誉教授，坂井利之名誉教授が

紫綬褒章を受賞・・…・.........・ H ・.....・ H ・....…....928

数理解析研究所森重文教授が

日本学土院賞を受賞－…….....・ H ・－－－…－－－ ... 928

＜紹 介＞

理学部物理学第二教室 ・

更新タンデム ・パンデグラーフ加速器・…・－… 929

一関連記事本文929ベージー

次

言ト 報・・……… H ・H ・－－－….......・ H ・－－－－…・・…・・・…・－… 930

＜資料＞

平成2年度入学試験諸統計－－・・H ・H ・－－……・…・… 931

＜随想＞

思い出すままに

名誉教授中垣正幸－…..935

＜コラム＞

万葉集の富士

大型計算機センター教授星野 l徳…－・ 936

日 誌－…………－…………………－－……・・ 936

-927ー

No. 391 京大広報

く大学の動き〉

西島総長，アメリカ合衆国を訪問

西島安則総長は， 4月21日から，アメリカ合衆

国ワシントンD.C.で聞かれた「全米科学アカデ

ミー第 127四年次総会」（NationalAcademy of

Sciences, 127th Annual Meeting），及びニュー

ヨーク市における「高分子の科学 ・技術に関する

国際シンポジウム」（InternationalSymposium

in Polymer Science and Technology）に出席，

並びに学術国際交流を一層促進するため，同闘を

訪れ， 5月4日に帰国した。

全米科学アカデミーの年次総会では，同会での

「大学改革」についてのシンポジウム（University

Reform: International Perspectives）において

"University Reform-Partaking in Mission of

the World's Academic Community，，と題する

基調講演を行うとともに，学術研究並びに科学技

術に関わる日米聞の諸問題について討論 ・意見交

換を行った。

また，ヘルマン ・マーク（HermanF. Mark)

教授の95歳の誕生日を記念して聞かれた高分子

の科学 ・技術に関する国際シンポジウムでは

“Some Aspects of Polymer Research in Japan ;

From Pre-disciplinary to Poly-disciplinary with

Geheimrat”と題する講演を行った。また，ポリ

テクニック大学（PolytechnicUniversity）ブグ

リアレロ（GeorgeBugliarello）学長と共に，本

全米科学アカデミーの前庭にあるアルパート・アインシュタインの記念像

学と同大学との「学術交流に関する一般的覚書」

に署名し，これを交換した。

なお，このたびニューヨーク市を訪れた機会

に，ニューヨーク地域の京都大学同窓会「ニュー

ヨーク洛友会」の会員と懇談し，京都大学の現状

と創立 100周年に向けての記念事業計画などにつ

いて話した。

今回の訪問には，渡部健吉広報調査課長が同行

した。

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く栄誉〉

河合雅雄名誉教授，坂井利之名誉

教授が紫綬褒章を受賞

河合雅雄名誉教授（元霊長類研究所教授 霊長

類学）及び坂井利之名誉教授（元工学部教授情

報工学）に，わが国学術の向上発展のため顕著な

功献を挙げたことにより，平成2年4月29日紫綬

褒章が授与された。

数理解析研究所森重文教授が

日本学士院賞を受賞もり しげふみ

このたび，数理解析研究所森重文教授に日

本学士院'.il・が授与されることになった。授賞式は

6月11日（月），日本学士院会館で行われる。

以下に同教授の略歴，業績等を紹介する。

森教授は，昭和26年 2月23

日，愛知県に生まれた。昭和48

年，本学理学部を卒業，同50年

本学大学院理学研究科修士課程

を修了，同50年本学理学部助

手，同55年名古屋大学理学部講

師，同57年同大学理学部助教

授，同63年！日j大学理学部教授を歴任の後，本年4

月より本学数理解析研究所教授として大域解析学

研究部門を担当している。

森教授は，－1:t・して代数幾何学の研究にとりく

んできた。代数幾何学は，代数的手法により幾何

学（多様体）を研究する分野である。 1次元多様

体（曲線或いは Riemann面） については，Rie-

mannに始まる研究により，既に前世紀に完成し

-928ー

京大広報 1990 5, 15

ている。それによれば，曲線はその径数によって

分類される。 2次元多様体については，今世紀初

頭における Castelnuovoらのイタリア学派による

研究の後，小平邦彦氏（東京大学名誉教授）によ

り深い研究がなされた。

今回の受賞・は，森重文教授と共に飯高 茂氏

（学習院大学教授），川又雄二郎氏（東京大学教

授）の 3氏の同時受賞となったが，これは上述の

1・2次元多様体に対する深い研究を高次元の多

様体の場合にも遂行しようとする試みに対するも

のである。

高次元多様体の研究は， 1・2次元の場合に

比して格段に困難である。そ のよい例として，

Hartshorne予想がある。この予想は，森教授に

より肯定的に解決されたのであるが，これは射影

空聞を特徴づけようとするものである。これは最

も単純な多様体に関する予想、であるにもかかわら

ず，森教授が1979年に解決するまで，解決の方向

づけすら得られていなかった。森教授の解決方法

は，通常の複素数の世界から，有限体の世界（複

素数と同様に数の世界を形づくるが，この世界で

は有限個の数しかなし、）に移行するというもの

で，余人の考えを越えたまったくすばらしいもの

であった。森教授はその後，その考えを発展させ

て，現在世に“森理論” と呼ばれる理論をうちた

てた。

一方，高次元多様体の分類の問題は，まず飯高

氏による“小平次元”の導入により，その端緒が

ひらかれた。この小平次元によりまず高次元多様

体は大まかに分頴される。しかし，更に研究を進

めようとするとき，極小モデルの存在が重要な鍵

となる。森教授は， 川又氏の成果を用いて， 3次

元多嫌体における極小モデノレの存在を証明した。

これは，これからの高次元多様体の研究の基礎と

なるものと期待されている。

昭和58年日本数学会粥永賞，昭和59年中日文化

賞，昭和63年日本数学会秋季賞 CJll又雄二郎氏と

共同受賞），平成元年井上学術賞，また木年度は

アメリカ数学会 Cole賞を受賞している。

以上のような森教授の目覚しい業績によって，

今般，学士院賞を受賞されることは誠によろこば

しい。今後の同教授の研究の発展を期待したし、。

（数理解析研究所）

く紹介＞

理学部物理学第二教室・

更新タンデム・パンデグラーフ加速器

はじめに更新のいきさつについて，この計画の

旗上げともし、うべき昭和57年 1月18日開催のシン

ポジウムの序言を引用しよ う。

「京都大学理学部物理学第二教室のタンデム ・

パンデグラーフ加速器は昭和37年に予算が認めら

れて以来，世界では極めて数少ないホームメイド

マシンとして，多くの技術的困難を克服し，昭和45

年頃からは連続運転に対して効率よく稼働して現

在に至っている。この間多くの類似のマシンの中

で特徴を持たせるべく重イオンと偏極イオンの加

速に重点、がおかれ，原子核反応、と構造に関する数

十編の論文が欧文雑誌に公表され，それによって

理学t~1l土の学位を得た者はJO名を越え，またマシ

ンタイムの一部を学内学外の研究者との共同研究

にも開放するなど核物理の研究と教育に多くの寄

与をしてきた。…（中略）…京都大学理学部のタン

デム ・パンデグラーフは建設後IO数年を経過して

装置として老朽化しつつあるが，この規模のタン

デム ・パンデグラーフそのものは核物理研究用と

してエネルギー可変性，ビーム特性において（エ

ネルギーの一様性，向きの揃った空間的構造，時

間的に一様な強度等）精密測定に最も適した加速

器であり，核構造の解明にとって欠かせない存在

価値をもっている。また， 1970年代に入っていわ

ゆる学際領域における新技術（チャネリング，ピ

クシー，質量分析等）の発展が目覚しく宇宙 ・地

球科学，考古学，物質科学あるいは生物学，医学

など多方商で利用の必要性が急速に高まってきて

いる。このような学際領域においては， ’；；~に新し

い問題に遭遇し， J支術と経験を蓄和していかねば

ならないので，フレキシプルな利用のできるマシ

ンを身近にもつことが本質的に重要である。

一方，教育的見地からみるならば共同利用研究

所の大型マシンのみでは，大学院学生（特に修士

課程）及び学部学生の教育には不充分であり，充

分な運転時聞をもち，自ら失敗しつつ学ぶことが

実力ある研究者の養成に欠くことができなし、。わ

れわれとしてはこの際，構想を新たにして，タン

デム ・パンデグラーフの更新を計画した。現在の

-929-

No. 391 京大広報

情勢と過去の教訓に鑑み，この際いたずらなスケ

ールアップを避け，使い易さと信頼度を第ーとし

て定評ある商用マシンを既存の施設内に導入する

ことが最も賢明と思われる・・・ （以下略）」

このようにして更新計画がスタートしたが，幸

いにして昭和62年度より予r,i:（総額8.3億円， 3

ヶ年計画）が認められ，本年 3月をもって完成に

こぎつけた。現在仕上げの段階に入っており，木

年 9月より実験が再開することになろう。

旧タンデム ・パンデグラーフは，終りの 5年ほ

ど専ら学部学生の教育，学際領域の研究に用いら

れていたが，その頃実験に参加した学生から，こ

のマシンはいつできたのかと聞かれ，昭和37年と

答えると「ええっ ，それじゃ僕より年寄－りなんだ」

といわれたのは，さすがにショックであった。核

反応とし、う未知との遭遇に好奇心に目を輝かして

入ってくる新しい学生達に，規模は小さくても，

それなりに新鋭のマシンを使わせてやりたいとい

うのは私達だけの希望ではなかろう。また一大学

の設備としての適正規模ということで，予算を切

り詰めるため旧施設をできるだけ利用するように

し，また建物など更新しないことにした。当時視

察に来られた文部省のK研究助成課長に，古い建

物をみて「先生の御要求は心は錦ということです

ね」といわれたのが懐かしい思い出である。

建物は古いままであるが，一度中に入ると

VAXを中心とする最新式のデータ処理装置やコ

ンパクトな計算機制御のコントロール ・デスクな

どが目に入る。また本体室で・はすっかり更新され

た負イオン入射系が見え，タンクは古いままであ

るが，中味は全部新品で軽快な二連のベレット ・

チェ ーンの回転音がきこえる。また背懐かしい油

拡散ポンプの姿は全くなく，イオ ン・ポンプ，タ

ーボ分子ポンプがならんでいる。マシンは米国

NEC社製の 8UDHペレトロ ソで，木年のはじめ

に行われた性能試験の結果は次の如くである。

高電圧発生試験．カラム単独 9.8MV

加速禄組込 8.7MV

ビーム加速試験：

？ォぢ電荷主ノレ益課後九誌注射電

陽子 1+ 5.17MeV 5.5μA 16.7 μA 170KV

陽子 1+ 16.18 MeV 5.5 μA 7.5 μA 180 KV

Cリコ 7 + 64.00 MeV 5.2 μA 3.7 μA 180 KV

25年間の加速器技術の進歩は目覚しく ，上記の

結果は組み立ててから極めて短期間に実現したの

は驚きである。この新タンデムのマシンタイム

は，核物理（40%），学際（40%）， 教育（20%)

の各分野Pに割り当てられる。

広汎な利用にviiiえて 3月よりユーザーズ ・ミー

ティングが月 l回行われ，その都度タンデム ・ニ

ュースが発行されている。ビーム ・コースの整備

は理学部物理学教室のみならず，工学部原子核工

学教室，放射性同位元素総合センター，奈良女子

大学，京都府立大学などの研究者が協力してあた

っている。

最近の諸科学での加速器利用の多様化に伴い，

この加速探の利用価値を一層高めるため，高エネ

ルギ一物理学研究所（KEK）の協力を得て偏極イ

オン源の増設や加速器質量分析（AMS）用専用イ

オン源の新設も検討されている。 9月からの本格

的運転を迎えて着々と整備が進んでいるのをみる

とき，若い人々の活躍に期待し，思いもかけぬ成

果がでてくるのではなし、かと胸ふくらむ思し、であ

る。 （理学部）

．．・．．．・・．・’・．・・．．・・．．・．．・・・．・・．．・・．．－・．・・・．・・・・’・．．・．．・．．・・...

~ 田村 豊名誉教授

本学名誉教授田村蟻先生は， 5月7日逝去さ

れた。享年93。

先生は，大正9年京都帝国大学工学部を卒業，

本学講師，助教授を経て，昭和3年虫学部教授に

就任，同35年停年により退官され，京都大学名誉

教授の称号を授与された。この間， 27年 5月から

29年 4月まで京都大学評議員をつとめられ，大学

の管理運営に貢献された。

先生の専門は農業機械学で，中でも飼料調製機

の研究において数多くの優れた研究業績を残され

た。主な著書に『農業牽引車』， 『牽引車工学』等

がある。

これら一連の研究活動， 学術上の貢献に対し．

昭和45年には勲二等瑞宝章が授与された。

ここに謹んで‘哀悼の定；を表します。

（農学部）

-930ー

京大広報

く資 料＞

1990. 5. 15

平成 2年度入学試験諸統計

I. 募集人員，志願者数，合格者数， 入学者数，合格者最高点・最低点 （総点）等調

I I ；第1段階 ｜ ｜ ｜ ｜総 点

人員l志願者数 ｜選 抜 ｜受験者数 ｜合格者数 ｜入 明 日 「｜合格者数 l I ｜最高点 ｜最低点

｜ ：前期｜ 190 625 618 I 61: I 193 I I I I 文学部 。一一一ト一一一 l一一一一ーー｜一一一一一｜ 一一－ I I I －後期 ｜ 30 I 517 I 215 I I I 100 I 537 I 462. 75

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650 532 306

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1, 250 I, 058. 25 918.25 gg

1, 250 907.5 819

1, 000 89

850 619. 08 515. 66

1, 000 870. 581 649. 75 1, 041

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45 18 16 7

1, 283 1, 257 1, 241 277

J, 376 1, 346 945 31

439 405 397 91

207 199 123 10

174 174 168 I 67

145 27

2,098 626

2, 757 1, 714 427

778 778 765 277

551 550 312 69

7, 865 7,232 7, 149 2,143

6,934 6, 125 3,680 734

2,823

（備考） 1）法学部，経済学部後期の下段は，外国学校出身者のための入学者選考を示す。

2）合格者数には追加合格者を含む。

3）合格者最高点 ・最低点（総点〕は，前期（ 3月9日），後期（ 3月23日〉の合格発表時のもので，法

学部 ・経済学部の外国学校出身者のための選考を除く。

626

414

260

65

689

14,799

-931-

No. 391 京大広報

く工学部・農学部学科別内訳〉

学部・日程・学科 ｜募集人員志腕数｜霊1段要｜受験者数｜合格者数入学者数｜満点｜主計四点一一一 全盛重重J一一－ ＇＿一一 一－ l一一 1最高点最低点

工学部説 l--¥i：市下芳子｜寸告｜→；7 川 ｜川号号｜説 ｜

土木系学科苦＿＿＿＿；＿＼__J;~1てを I~ ~と｜ ｜金I~！~ I

機械系学科暗－ ；？→~l ~~~ I 寸~ I 86 I I 除：；電気系学科 ｜旦~」~ I 一三笠 ｜ I ~I 130 I 回日芝山＿！：！6

｜後日 I 272 270 I I 50 I I I 734. 6 I 629. 91

金属系学科 ｜去－ ；； ｜ま1 ~；~ づ引 80 I I 防；；

建築系学科｜去一 ~I ~ I 五判 I ~~ I 5 I I 晴66

工業化学科 ｜去 ~~ I ~~~ I ~~~I I ~~ J 5 I ,. 間2石油化学科号｜す ｜ぺ；； l す ｜ーす｜ 55 I ；鈴；；：：：：

玉三？？亙｜三喜｜三豆｜呈lE支仁王I1,ooo l~i[ 高分子倒閣-To-Iっ ；： I・ 1-* I す｜ 45 / 市市三合成化学科戸｜ 21 ;- 89 9 I :;;---- 5 1671.

毎eI 18 I 142 I 140 9 I 643凶 5 I

資源工学科市l 25 I 4 I 8 5 0 I 回生s I 後 I 15 I 3 I 2 5 I I 61 . 5

竺~f4 ii l-~~ I _it I 1~~ i・ ~I 25 : ~~~：出；：原子核工学科 市1 15 I 41 I 40 I I ~ I 25 I 但~盟問

後 10 I 85 I 82 I I 10 I I I 3 . 5

衛生工学科 ｜号1 ~~ I 1~~ I 1~~ I I ~~ I 46 I 鳴子鷹ご記司斗｜品川 ｜τI 45 I I 819-:-911698. 66

－科閣二司弓 ： 1－ ~1 ~

詰：；1

瓦工学科 ffl~弓｜ 号l ーす農学部 ！器 1 2~~ I→ fr--1- ；ξ｜三子｜ 2~~ 1 農 学科 ｜ 20 I （前期 16名 後期 4名）

林 学科 ｜ 20 1 （前期 16名 後期 4名）

農芸化学科 ｜ 74 I （前期 60名 後期 14名）

農林生物学科 ｜ is I （前期 12名 後期 3名）

農業工学科 ｜ 41 I （前期 33名 後期 8名）

農林経済学科｜ 35 I （前期 28名 後期 7名）

水産学科 ｜ 23 I （前期 18名 後期 5名）

林産工学科 ｜ 34 ' （前期 27名 後期 7名）

食品工学科｜ 38 I 〈前期初名 後期 8名） ｜ 畜産学科 ｜ 2s I （前期 20名 後期 5名） ｜

-932-

44

46

20

72

16

42

36

37

38

27

~~：＿置問；＇ 1

京 大広 報 1990. 5. 15

2. 志願者・入学者 出身高校所在都道府県別調

上段・・・・・・・・・・・・志願者数下段・…・・・・・・・・入学者数

一一3盟国型州国例制一う明

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（備考） 1）外国学校出身者のための選考を含む。

法学部・…・・志願者 69名，入学者 15名経済学部…・・志願者 45名，入学者 1名

2）高等専門学校出身者は，高等専門学校の

所在都道府県に含む。

-933ー

No. 391

入学資格取得年別調検…入学資格検定合格者，専…高等専門学校出身者，他…高校，高専，検定以外の者

，艶 「一一一一 志 願 者 ' ，入 一一一 写「一一一一一三皆 一一

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女 163 JI 女 27

一専

52.8 35 3

女 4

45.0

426

女 22検 1

-934一

4,855

女 181検 12専 2他 I

（備考）

学

工

』.. 日

計

学

部

部

No. 391 京大広報

［拾？？］ける （巻3の318番）

田子の浦ゅ う

ち出でて見れば

真白にぞ不意の

高嶺に雪は降り

有名な山辺赤人のこの歌は，彼が東国での勤

務を終えての帰路，駿河湾を西に進む船で富士

を詠んだものだと，私は思うのである。赴任の

旅と違って，務めを果たした安堵や都に上る嬉

しさで気分も軽く，歌を詠むゆとりがあったの

であろ う。

さて，この歌によると，田子の浦から潜ぎ出

す迄は，どうも富士が見

に 「夜」 と言うのは，真夜中ではあるまし、。薄

明から 日の出迄を指すのであろう。夜明け前に

漕ぎ出せば朝凪ぎで海路が安全なのである。次

の歌はその例である。

朝凪に真慢漕ぎ出て見つつ来し御津の

松原波越しに見ゆ（巻 7の1185番）

私は突然，思い当たった。「i曹ぎ出す頃は，

暗くて富士が見えなかったのかも知れない。」

三月も末のある日，富士市のホテルで、夜明け

前の富士を見つめていた。パソコンの計算で

は，有明の月はなく， 6時が日の出である。

午前5時，夜空にかすかな育が混じり，目を

凝らすと愛鷹山の稜線が

えていないらしい。とこ 万葉集の富士 見え出した。 しかし，富

士は夜空に埋もれてい

る。

ろで，ある場所から富士

が見えるかどうかは，コ

ンピュータで景観を表示

させればわかる筈である。

そこで，実際にやってみた。しかし，船出の

地に相応しい因子の浦浜でも三島の市内でも，

前方の愛j鷹山が富士山を完全に隠して呉れない

のである。流石に高い山である。私は困ってし

まった。

壷見れど飽かぬ因子の浦大君の命恐み

夜見つるかも（巻3の 297番）

題詞の説明によると，これは田口益人大夫が

上野の国に赴任の途中，今の興津で詠んだ歌で

ある。彼も明らかに西へ向かっているが，これ

は一旦都に上らなくてはならぬからである。歌

星野 聴、

それから 5分ばかり

で，あたりは急に明るさを増した。一様に薄墨

色の富土の上部をガスが覆っている。やがてガ

スが東に移って頂きが現われると，それに朝日

が射してくる。そして， 山肌の雪の白さと線状

の彫りの陰影が，始めてはっきり分かるように

なる。時折ヵースが懸かつては，また消える。

もう，近くの露地や木々の濃淡，山並の重な

りも見分けられる。 しかし，富士の裾野はやは

り霞の中にある。私は満足だった。この情景は

田子のrmの歌によく合っている。 富士は，もう

春だった。

（ほしの さとし 大型計算機センター教授）

日誌

(1990年4月1日～4月30日）4月2日 ドイツ連邦共和国Alexandervon Humboldt か2名来学，総長及び関係教官と懇談

財団 ReimarLiist総裁ほか3名来学，総長 17日～20日及び関係教官と懇談 新採用職員研修

6日 名誉教授称号授与式 19日 中国科学院孫鴻烈副院長ほか l名来学，

7日医療技術短期大学部入学式 総長及び関係教官と懇談。 医療技術短期大学部名誉教授称号授与式 。 カナタ・ McMaster大学 AlvinLee学長ほか9日 アメリカ合衆国 Tennessee州立大学 Lamar 3名来学，総長及び関係教官と懇談

Alexander学長ほか 3名来学，総長及び関 。 連合王国 Sussex大学 DonaldWinch教授係教官と懇談 ほかl名来学，総長及び関係教官と懇談

ク 連合王国ロンドン大学 ImperialCollege, 20日 防火委員会Eric Ash学長ほか2名来学，総長及び関係 21日 総長．全米科学アカデミ一年次総会出席並び教官と懇談 に高等教育 ・研究機関の実情調査のため，ア

11日学部入学式 メリカ合衆国を訪問（ 5月4日まで〉。 大学院入学式 26日 発明審議委員会

17日 評議会 27日 同和問題委員会。 ドイツ学術交流会 KarlRoeloffs事務総長ほ ク 体育指導センター管理運営委員会

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