Title 尿石溶解の研究(第4報) 尿石の非晶型有機成分...

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Title 尿石溶解の研究(第4報) 尿石の非晶型有機成分の化学的分 Author(s) 森, 幸夫 Citation 泌尿器科紀要 (1955), 1(3): 153-163 Issue Date 1955-09 URL http://hdl.handle.net/2433/111073 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

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Title 尿石溶解の研究(第4報) 尿石の非晶型有機成分の化学的分析

Author(s) 森, 幸夫

Citation 泌尿器科紀要 (1955), 1(3): 153-163

Issue Date 1955-09

URL http://hdl.handle.net/2433/111073

Right

Type Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

Kyoto University

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'泌尿紀 要1巻3号

.昭 和30年9月

尿 石 溶 解 の 研 究(第4報)

尿 石 の 非 晶 型 有 機 成 分 の化 学 的 分 析

三重県立大学医学部皮膚科泌尿器科教室(主任 矢野教授)

助 手 森 幸 夫もり ゆき お

(本論文の要旨は第42回 ・一部は第43回 日本泌尿器科学会総会に於て発表した.尚

本研究の一部は昭和29年 度文部省科学研究費の補助による)

緒 言

尿 石 の溶 解 に は そ の成 分 な る無機 及び 有機

の結 晶質 を溶解 す る事 と,非 晶型 有 機 物 質 を

溶 解 す る事 の 両 方 面 よ り考 え る こ とが 出来

る.勿 論 同時 に 両者 を溶 解 す る こ とが 出 来れ

ば 理想 的 で あ るが,現 在 の と ころ その様 な溶

解 剤 は存 在 しない.

無機 物 の溶 解 に は 最 近SolutiollG,や

Verseneが,先 づ 米 国 に て用 い られ たが,有

機 性 の物質 が そ の 作用 を さ また げ る事Pが 知

られ て い る.我 教 室 に て もその実 験 につ い て

は既 に発 表 した.2陶

非 晶型 有 機 物 の溶 解 に 対 して も酵 素学 的立

場 よ り,P21又 膠質 学 的 立 場4[よ り研 究 され て

い るが その 効 果 は充 分 とは 云 え な い 即 非 晶

型 有機 物 の溶 解 が極 め て初 歩的 で,且 つ 一定

の基 礎 的 知 見 の上 に立 脚 して行 なわ れ て いな

い のは,尿 石 成 分 た る非 晶型 有 機 物 の成 分が

充分 に 究 明 され てい な い た め で,も しこれ が

究 明 され たな らぱ,自 然 適 当 な溶 解 剤 発 見 の

道 を開 き,結 晶 質 の溶 解 と相 まつ て尿 石 の 治

療 を 一段 と向 上 させ 得 る と考 え られ る.

さ て尿 中 には 膠 質状 態 を 呈す る多 くの有 機

物 が 含 まれ てい る.5,6,即 粘 素,コ ン ドロ イチ

ン硫 酸,核 酸,ク レ アチ ニン 、ウ ロ クロ ー ム,

或種 の含 水 炭 素,ゴ ム様 物 質,ア ル ブ ミン.

ムコ イ ド.タ ウロ コー ル酸,尿 酸,等,又 病

的 に は所 謂 酪 酸 体,高 分 子 蛋 白分 解物,胆 汁,

真性 蛋 白体,ア ル ブモ ー ゼ,ペ プ トン.血 色

素,等 が あ げ られ てい るが,ま だ他 に 多 くの

未知 物 質 が 存在 す るだ ろ う・ そ れ等 の物 質 の

中で尿 石 形 成 に如 何 な る ものが 関与 す るか が

問題 で あ るが,比 較 的不 安 定 な る膠 質 状態 に

あ るムチ ン.ブ イ ブ リノー ゲ ン7[がgelの 状

態 とな つ て 尿 石形 成 に 関 与 す る と 述 べ られ,

又 ブイ ブ リン8}が 関与 す る とされ て い る.

尿 石成 分 た る非 晶 型 有機 成 分 の 直接 の分 析

に 関 しては,古 くは 単 に燃 焼 せ しめ てそ の 焔

色 や 臭 気 に て 証 明 す る もの9〕が あ つ た が,

Higgins1ω は 先 づ アル カ リ熔 融 に てN及 び

Sを 証 明 す る,即 ア ンモ ニヤ を追 い 出 した 後

にNが 陽 性 なれ ば 有機 物 存 在 の証 とし,Nが

陰性 なれ ば有 機 物 は な し とした・ 又 チ スチ ン

が存 在 せ ず し てSが 証 明 され た時 に は,蛋 白

質 の存在 の証 とした.又Keyser1}は 尿 石 を

細粉 とし,SolutionG.に て24時 間処 理 し,

セ ル ロー ズ膜 に て最初 水,次 い でM/10塩

酸 に て透 析 した 内容 は 全 く有 機 物 の性 質 を有

し,窒 素,炭 素,酸 素 を有 し,又 通常 の蛋 白

の反 応 は呈 せ ず,水 及 び エ ー テ ル不溶,硫 黄

陰性,硝 酸 に て暗褐 色 よ り明黄 色 とな り.稀

ア ンモ ニャ水 に て明 黄色 よ り深 紅 褐 色 となつ

た と述 べ て い る.

以 上 の 如 く尿 石 の非 晶型 有 機 物 の分 析 は 梢

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154 森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報)

適確を欠 くものと考えられる.最 近斎藤11〕は

主 として組織化学的方法により,多 糖類,デ

ソキシリボ核酸,ア ミノ酸を証明した・余は

化学的方法により尿石中の非晶型有機成分の

分析を試み,尿 石溶解上の一助 とする目的に

て次の実験を行つた,

實 験 及 び 結 果

尿石の非晶型有機成分 を系統的に分 析 す る に適

当なる方法は存在 しない.そ れ等の有機物は動物成分

に属するものであるが,動 物成分を系統的に抽出する

方法は適当なものが見付からぬので・先づ系統的植物

成分分離抽出法121を参照 として予備実験を施行し・更

にその結果より存在すると思われる個 々の物質に付

いて個別実験を出来 るだけ 特異的な方法にて抽出し,

検出を試みた.

A.豫 備 實 駈

当教室所蔵の尿路結石 を用いた.そ の結石の成分 を

現在行 なわれている化学的方tz13}t4)にて 分析すれば

次の如 くである.但 し不明尿石細片 とは前報の実験に

使用 した 尿石小片の 混合 で・尿路の部位は 色々であ

る.

尿 酸

キ サ ン チ ン

炭 酸

ア ン モ ロ ヤ

チ ス チ ン

カル シユ ウム

マグネ シウ ム

燐 酸

蔭 酸

膀胱結石(イ)

』1一

(ロ)

tl一

同 不明(ハ)尿 石細片

一ト

ム抽出分について記せぱ次の如 くである

呂一テル抽出分

乾燥 にて約5mg,水 にて浸出せる液は 塩化鉄反応

陰性,稀 塩酸浸出液は マイヤー氏試薬による反応陰,

性,又 酒精に溶解し塩化 カ ドミウムにて沈澱を生じ,ノ

又 クロロホルムに も溶解する.

クロロホ ルム抽 出分

微量の赤色粘稠物 を得た.

次いで無水酒精 を充分に 揮発せしめて 次の如 く順

次処理した.

10 結石 混 合粉末(459} 

石 油 工一 テル抽 出

エ テー ル抽 出

ク ロロホ ル ム抽 出 

無水酒精抽出

冷水抽出1

コ残 渣

 

温水抽出.1

残 渣「

抽出液(A}

1%塩 酸 にて抽出1

抽出液(B)

「}残 渣

 

熱5%苛 性 ソーダ抽出

抽 出液(C)

 

残 渣 

5%塩 酸 抽 出

一一1

 

抽出液(D)

以上 の結石 を細粉 として混 合 し,塩 化 カル シ ウム,

デ シケー ター中 にて乾燥 し,そ の一 部 を取 り105~

110。Cに て恒 量 となる まで 乾 燥 すれ ば,硫 酸 に て黒

色 とな る部 分 が存 在 し、 又7・)oec前 後 にて電気 炉 に

て熱 す る 時 には 一 部炭 化 し,約32%の 減 量 を 示 し

た.又 稀 塩酸 に溶 か した場合 も明 らか に膜様,網 状,

又 無定 型の残渣 を見た,

以上 の如 き粉末459を ソ ノクス レーを用 い て 順 次

100ccの 石 油 工一 テル,エ ー テル,ク ロロホル ム,無

水 酒糟 を用 いて12時 間 抽 出 した.抽 出分 はいつ れ も

僅少 に て定 性反 応 す ら行 なえ ぬ程 度 であ つたが,比 較

的 多量 の抽 出分が 得 られ た エ ーテ ル及び クロロ ホル

}残 渣

 

抽出液(E)

即順 次,冷 水 温水(800C),1%塩 酸 液,5%熱 カ

セ イソー ダ液,5%塩 酸 液 に て反復 抽 出 し,夫 々の

抽 出液 を得た.

次い で夫 々 の抽 出液,及 びそ れ等 の抽 出液 を上 記A,

B,C,D,E,の 表 の如 く処 理 した ものに つい て次 の

如 き定 性反 応 を行つ た,

1.蛋 白質 に關 す るもの

ニン ヒ ドリン反応,ビ ウレソ ト反応,ミ ロン氏 反

応,キ サ ン トプ ロテ イン反応,坂 口氏 反 応,硫 化鉛 反

応,モ ー リ シユ反 応,ア ル コール,フ.ロ シア ン水プ

素 酸,ビ ク リン酸,塩 酸燐 タ ングステ ン酸,ズ ルホサ

ル チ ル酸,硫 安 及び煮 沸 に よる沈澱 反 応 ・

IL含 水擾 繁 に關 す る もの

ペ ネ デイ ク ト氏反 応,ニ ー ラ ンデル氏 反 応,フ ェ ー リ

ン グ氏液 に よる還 元 反 応,フ ェ ノー ル ヒ ドラチ ンに よ

る オザ ツ 、ン 形 成試 験,塩 酸 オル シ ン反 応,ナ フ ト

レ ゾル シン反 応.

III・ 脂 質に 開す る もの

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森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報) 155

ア クロレイ ン反 応,塩 化 カ ドミウ ムに よる レシチ ン 応,酷 酸 水銀 に よる沈 澱 反 応,ヂ アゾ反応,ム レキシ

の反 応 ザ ル コウス キ7氏 コレ ステ リン検 出試験 一 ド反応,燃 焼,酷 酸或 い は苛 性 ソー ダを加 える.S

IV。 其 の 他 及びPの 検 出.

グ メリン反 応,ヤ ッ フェ の反 応,オ ーベル マ イヤー 尚抽 出分A,B,C,D,Eに ついて 各種 の操 作 を行 つ

氏反 応,シ ュ レーヂ ンガー の反応,エ ール リッ ヒの ア た夫 々の分 劃 につい ての 反応 結果 は 別表 に示 す 如 く

ルデ ヒ ド試薬 に よる反応,塩 化第 二鉄 に よる メラニ ン であ る.

試験,過 マ ンガ ン酸 カ リに よる ウロ クロモー ゲ ンの 反

冷水 抽出分(A)

約400ccの 淡 褐 色液 を得「

減 圧濃 縮液(a),1

透 析 内液(b),「

20%塩 酸24時 間加 水 分解(c),硫 安飽 和1

 

上 澄び

透析内液 

アル コー ルを牽分 に加 う

沈 澱(d),

  ロ

沈 澱fe).

温水抽出液(B)

黄褐 色300ccの 液 を得 〔a) 

冷 却「

沈 澱f20%塩酸24時間

加水分 解(b)

「5e/n塩 酸32時 間

加水 分解(c)

1上 澄

透 析 内液(d)

1硫安飽和

1

[沈 澱

「水に熔 か し透 析(e)

1%塩 酸抽 出液(C)

 

上澄透 析1

加 アル コーλ沈澱1

水に熔 か す 〔f)

20%塩 酸48時 間

加水分解(9)

微黄 色透 明液500ccを 得(a)1

透 析 内液(b}[20%

塩 酸48時 間加 水分解(c)

1抽 出液aのPHは4.5)

熱5%苛 性 ソーダ抽出液ID}

濃 褐 色500ccの 液 を得「

塩 酸 中和(a)「

透 析 内液 制「

.15%塩 酸32時 間

加 水分解(c)

 

20%塩 酸48時 間

加水分解(①

[加ア ル コー ル

1沈 澱

硫 安飽 和1

一上澄透析(e)

 

沈 澱1

透析 内液(f)

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156 森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報)

空 欄 は 反 応

\ \\_分 副

反 応 名 \.\

冷 水 抽 出 分Al 温 水 抽 出

一.一一 司 ・1・1・1・ 「1・1・dl・

Ninhydrine

Biuret、

Millon

Xantboprotein

-Hopkjns-Cole

Sakaguchi

硫 化 鉛

Molisch

ア ル コ ー ル 沈 澱

R

R

R

R

R

R

R

R

Ferrocyan水 素 酸沈 澱

Picrin酸 沈澱

塩酸 燐1タン グステ ン酸沈 澱

ズル ポサル チル酸沈 澱

硫 安飽和 沈澱

硝 酸

煮 沸

Benedict

Nylander

Feh】ing液 還 元

Phenylphydrazjn

塩 酸 オ ル シ ン

Naphthoresorcine

Gmelin

Jaffe

Obermeyer

R

R

R

R

R

R

R

R

EhrlichのaldehydeR

塩 化第 二鉄 に よる呈色

WeissR

一1.一 十

++白 色沈澱

±

麓一 ∵

一 土

→一 一ト ート_

一 一 一 ・暑一

一1. _一 一土 一 一

・{一 一1-一_十

∫イ

熱にて透

 ・1懸 ・+

・← _十

淡褐色一 十 Pト ー

・卜 _

酷酸水銀沈澱 十 .← 一 十 一 一 十

DiazoR 一 一 一 一 一

P 一 一 一

S(硝 酸銀 に よ る) 一 一i

S(ニ トロ プ ル シ'ド ソー ダに よ る) 一 一 [! 一

MurexidR 一 …1」一

加,苛 性 ソ ー・ダ 十 十 +;-i. 一「一 一

加,酪 酸 一 一 一 一 一 一

燃 焼 黒色 黒色1.

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森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報) 157

を 行 な わ ず

分B

flg

白色沈澱

一←類 塩

1%Hc】 抽 出分C

・}・1・

→一

一ト

→一

一ト 十

黒色

5%熱NaOH抽 出分D

・lb ・1・ ・ f

着色にて不明

1一

一1㍉

一t.

一ト

→一

一1一

一ト

一壱一

黒色

1-

】一ト

一1-

→一

ロト

+熱 に

て消失十

淡褐緑色土

淡褐色1一一

1

→一

一暑

.1.

→一

白濁

5%Hc1抽 出分E

・1・ 「 ・1・

一ト

モー

淡褐色

白色沈澱

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158 森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報)

5%塩 酸抽出液(E)

淡褐 色51の 液 を得 中和 す(a}「

透 析 内液!

「上 澄

[

加 ア ルコール沈澱

(b}

1

沈 澱15%

塩 酸32時 間

加水分 解(c)

尚最後に黄褐色寒天様の物質 を微量に得たが,こ れ

は20%塩 酸 加水分解 にて ニンヒドリン反応陽性を

示した.

以上の諸反応は 抽出分の 量的質的関係 より前述の

すべての反応 を一様に 施行することは 出来ぬ場合 も

あつた し・又反応結果は理論上不可解の点 もあつた.

透析に用いたセロフアン紙はメチ レン青通過,ノ イ ト

ラル赤不通過で,透 析は一週間流水で行い(こ れにて

完全に中性 となる),そ の後燃焼 にて殆 ど全 く有機性

なることを知つた.又 硫安沈澱の透析はSO4が なく

なるまで充分に行い・硫安に よるビウレツ ト様着色 と

間違えぬ様に 注意した.以 上の予備実験より第一に

蛋白質が存在することは確実であり,更 に多糖類の存

在が考えられる.又Pが 温水抽出加水分解液(Bの

g}に て陽性を示したことは,そ の試料が無機質以外

120%塩酸48時 間

加水分解(d}

に求められねばならぬので,次 いで個別的に蛋白質,

多糖類,核 酸に ついて次の 個別実験を行つた.尚 各

抽出分は有機熔媒によるものを除いて,多 少 とも尿色

素と同様の着色が現われ,又 それぞれについて行った

操作にても殆んど最後 まで 微弱 ながら着色 を示した,

B.個 別 費 駿

1.蛋 白 質

上記尿石粉末を10g取 り,熱 カセイソーダにて30

分間つつ反復抽出を行い,約200ccの 濃黄褐色の抽

出液 を得た.次 いでその液を 予備実験同様 セ.ロフア

ン紙にて透析 し(約4日 間),内 液のPHが 流水の

PHに 等 しくなる様にし,次 いで硫安飽和にて沈澱を

得てそれ を透析 し,更 にその一部を取つて20%塩 酸

にて48時 間加水分解 を行い,定 性反応を行つた.そ

の結果は次の如 くである.

尿 石 粉末10gI5%熱

カセ イソー ダ抽 出「

透 析

ミロン氏 反応陽 性,ズ ル ポサ リチ ノ1酸にて沈 澱

(一部熱 に て消失),ア ル コー ル,ビ ク リン酸,塩 酸燐 タングス テ ン酸 に て沈澱

硫 安飽 和1

沈 澱1

透析 内液

乾燥 せ る ものはN陽 性,ビ ウレ ツ ト反応 弱 陽性,ミロ ン氏 反応 陽性,ア ル コー ル及び塩 酸 燐 タン

グステ ン酸 にて沈 澱

20%塩 酸 にて48時 間 加水 分解

ニン ヒ ドリン反 応陽 性

IL多 糖 願

多糖類に も種 々あるが,尿 中に存在するものはおそ

らく粘液多糖類が主で あろうとの想像の下に,左 右

田,江 上151が コ ン ドロ ィチ ン硫酸 の精 製 に用 いた方

法 を参 考 として,同 様の 尿石 粉末 を用 い て次 の如 く行

つた.

尿 石粉 末IOgl

[冷水 抽 出液

14N塩酸12時間 加水分 解

ナ フ トレゾル シン反応 陽性モー リツ シユ反応 陽性

フ エー リン グ液還 元 す

SO4陰 性

1

残 渣1

3%苛 性 ソー ダで2日 間抽 出1炉 液

1

塩酸 中和PH4.0

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森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報) 15∋

}上 澄 液

1炭 酸ソー ダ中 和1炉 液

,アル コー ル を充分 に加 える

 

沈 澱 を水 に熔 かすJ

4N塩 酸 にて12時 間加 水分解

ナ フ トレゾル シン反応 陽性

モー リツ シユ反応 陽性

フエー リング液 還 元す

SO4陽 性

沈 澱

加水分解 は4N塩 酸 にて12時 間行 つ たの で あ るが,

本法 はMeyer'6,に よれ ば 多糖 類 の加水 分解 には 充

分 と云わ れてい る,

即加水分 解に て初 め て,モ ー リツ シユ反応,還 元反

応,SO4(塩 酸 々性BaC12沈 澱 に よる),ナ フ トレゾ

ル シン反応 等が いつれ も陽性 となつ た.こ の時SO4

は冷水 抽出分の加 水分解 液 に ては陰性 を示 した.対 照

として左右田,江 上5Jの 方 法 にて精 製 した コン ドロ

イチ ン硫酸 を用 い て同様 に操作 して 見たが ・全 く同様

の結果 を得 た,

III.櫓 酸

予備 実 験 に於 て 温水抽 出分 の加 水分解 液(B,g)に

Pが 証 明せ られ たが,他 に核 酸 の存 在 を 思わせ る も

の は 存在 しなかつ たけれ ども,核 酸 ノ)存在が 予 想せ

られ るので,同 様 の結 石粉 末 を用 いて次 の如 く処 理 し

定 性反 応 を行つ た.本 法はLevenei7}に よる方 法 で

ある.

尿右粉 末(10q.JJ熱5%

カ セ イソー ダ(35分 間「

炉 液エ

酷 酸 中和 飽 和 ピ

ク リン酸 を加 える1

炉液 を・一夜放 置i

20%塩 酸 を含 む2倍 容 の メタノール を加 える1沈 澱

1塩酸 が な くなる まで メタ ノー ルで洗 う1

乾 燥

塩酸 オル シン反応 陰性

ヂ フエ ニール ア ミン反応 陰 性

システ イン硫酸 反応 陰性

次 いで市販 の デソ キシ・ペ ン トー ス核酸 及 びペ ン ト

ース核酸 を夫 π5mgつ つ同 じ結石 粉 末に 加 え,以 上

と同 じ一方 法 に よつ て 抽 出 した もの を15ccの 水に溶

解 し,そ の2cc,O.5cc,5ccを 取 つ て夫 々ヂ フエ ニー

ルア ミン反応,シ ステ ィ ン硫酸 反応,塩 酸 オル シン反

応 を行つたが いつれ も著 明 に呈 色 を示 した.Murexid

反応 はあ ま り美 しい色 を呈 しなか つ た・

考 按

生理的に尿中に存在する有機物は結晶質も

又彦質状態を なす 物質 も多数確認されて お

り,又病的の場合には更に複雑になる 尿石中

の非晶型有機物質は,そ れ等の尿中有機物の

一部を含むのか,又 その全部を含むのか,他

の物質を含むか,更 にその量的関係等は,そ

の尿石の発生場所,性 質,又 尿石存在時に於

ける尿路の状態,個 人の状態にて多様に異な

るであろうと云 うことは充分に考えられるこ

とである.そ れ等のすべてに適当するが如き

分析法を行 う事は甚しく困難であるので,実

験はそれ等の特異性を一応無視し,平 均的な

観点に立つて定性反応を行つた.

先づ現在生化学的に尿に応用されている一

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160 森 一一尿 石 溶 解 の 研 究(銘4報)

般的な定性反応を 選んで 予備実験を行つた・ の予備実験にっいて見れば,少 くとも冷水抽

尿石中に有機性 の網状,膜 様,無 構造の物質 出液,1%塩 酸々性液,5%熱 苛陛ソーダ

が存在することは十九世紀初期より知 られて 抽出液に溶出して来るはつである・以上の抽

いることで,前 回に行つた溶解実験にても,出 液を透析したものについて見れば・いつれ

本実験に用いた結石にても明らかに証明され も硫安飽和にて沈澱を生じ・20%塩 酸の加

る.又 それ等は硫酸にて黒色 となり,熱 灼に 水分解にてニンヒ ドリン反応陽性となり・苛

て炭化する.又 上述の各反応にても有機物で 性 ソーダ抽出液にては透析後はビウレッ ト反

あ る こ とに 疑 は な い.

1.脂 質 に つ い て

脂 質 は 大 体 有 機 溶 媒 に 可溶 の ものが 多 く,

予備 実験 に 於 て,石 油 工 一 テ ルに て は 脂 肪,

リポ イ ド.配 糖 体等 が溶 出 して 来 る筈 で あ る

応は着色のため不明瞭であるが,ミ ロン氏反

応陽性,ズ ルホサ リチル酸にて沈澱し(一 部

熟にて溶解す る),ピ クリン酸,塩 酸燐タン

グステン酸にて沈澱し,更 に硫安飽和沈澱を

水に溶かして透析 したものはビウレッ ト反応

が,本 操作にて溶出して来たものは全 く微量 陽性,塩 酸燐 タングステン酸に よる沈澱反応

であり,充 分な定性反応すら行えなかつた事 陽性 であり,又 冷水抽出透析内液に ついて

より,そ れ等の 物質は 存在 しないと思われ も,硫 安飽和沈澱を透析 したものにてはビウ

る.む しろエーテル抽出分の方が多量であつ レッ ト反応弱陽性,ズ ルホサ リチル酸及びア

たので,本 抽出物にて行つた反応にては,そ ルコールによる沈澱反応陽性であ り,尚 温水

の溶鰍 圭(ク ロロホルム,酒 緒 工一テル可 浸出液にても透析後は20%塩 酸加水分解に

溶),CdCl、 にてアルコール溶液より沈澱す て三ンヒ ドリン反応陽性,塩 酸燐タングステ

る点より.レ シチンに似ていると老えられ ン酸にて沈澱を生じ,尚Pが 存在し,又硫安

る・レシチンが存在すれば・石油工一テル抽 飽和沈澱透析液にてビウレツ ト反応陽1生であ

出分にも溶出して来 るわけであるが,石 油工 つたことにより,蛋 白質の存在は殆ど聞違い一テル抽出分にては,前 述の如 く定性反応が ない.

出来 な かつ た.次 に ク ロ ロ ホル ム抽 出 分 に は

弾性 ゴ ム様物 質 が 溶 出 して 来 る筈 で あ るが,

予備 実験 に て も赤 色 を 帯 び た粘 綱 な物質 を得

た こ とはBaischls}やLandwehr等 の 云 う

動物 性 ゴ ム様 質 で あ ろ う.CPtll

.蛋 白質 及 び ア ミ ノ酸 につ い て

蛋 白質 が 結 石 中に 存在 す る こ とは 緒 言 に述

温水抽出液にても蛋白質の存在が想像され

るのは,比 較的熟に安定なるものが存在する

ためであろうか.ド ナギオ反応陽性物質がや

はり熱に対して安定であり,プ ロテオーぜ11

と云われているが,本 物質もその様な比較的

低分子の蛋白体に属すると思われ る・又夫々

の抽出液は ニンヒドリン反応が 陽性であり,

べた如 く,古 くより知られているが,蛋 白質 透析後は陰性 とな り、特に熱5%苛 性 ソーダ

には色々の種類があり,又 その溶解性 もまち 抽出液にては ミロン氏反応陽性であつたこと

まちで,酸可溶性のもの,ア リカリ可溶性のも は,シ スチンの他にもアミノ酸が存在すると

の,又 水に可溶性のものがあり,又 更に困難 思われる.又 以上の夫々の抽出液には透析後

なことは,尿 石中に存在する蛋白質は生体 よ 酷酸水銀にて沈澱する物質が存在し,そ れが

り死後直ちに抽出する場合 と異り,尿 中に尿20%塩 酸にて茄水分解した後は 沈澱を生じ

石に含まれて存在する間に変1生が起ると考え なくなるが,之 は尿中に存在す るオキシプロ

られる・例えば或種の蛋白質は尿素にて変性'テ イン酸22〕によると思われ,又 尿色素がその

をうける・19}20〕従つてその抽出にも困難が伴 一部に属し,23)又尿色素があらゆる分劃に多

うわけであるが・一応系統的にしらべた上記 少 とも含まれることを考え合す時一層此の感一

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森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報) 161

が深い が多糖類1コ ンドロイチン硫酸)に 行つた方

以上の如 くアミノ酸及び蛋白質の存在する 法は4N塩 酸にて12時 間行つており,そ の時

ことは殆ど確実であるが・更に行つた個別実 に最 も効果的 と述べている 又熱5%苛 性ソ

験に於ても同様の反応を示し,透 析内液にも 一ダ抽出液がナフトレゾルシン反応陽性を示

明らかにNの 存在を示 した・ し,温 水抽出液及び熱5%苛 性ソーダ抽出液

即蛋白質,ア ミノ酸が存在する事は確実で の透析内液を5%塩 酸にて 加水分解した 時

あり,更 にズルポサ リチル酸による沈澱が一 に もナフトレゾルシン反応が陽性 となる・本

部熱にてとける事(プ ロテオーゼ,ア ルブモ 反応はグルクロン酸によるもので,グ ルクローゼはこれに属す24))及 び温水抽出液にも蛋 ン酸は 又還元仮応をも呈するのであるから,

白質が存在することは,ア ミノ酸より蛋白質 稻結果としては矛盾があるが,以 上の結果よ

に至るまでの各種の誘導蛋白が存在すると考 り見て多糖類の存在は否定出来ないと思われ

えられる.但 し分子が小さい事は抽出操作に る ただし個別実験に於ては,37。Cの 冷水

よる二次的の結果かも知れない 尚塩酸々性 抽出液及び3%苛 性 ソーダ抽出液を 前述の

液に溶出したものも,硫 安飽和にて沈澱し,如 く処理した場合には,4N塩 酸にて加水分

加水分解にてニンヒドリン反応が再現するの 解を行つた時に始めてモーリッシユ反応,ナ

は,比 較的低分子の塩基性蛋白質も含まれ る フトレゾルシン反応,フ ェー リング氏液の還

のではなからうか.元,が 証明され,又3%苛 性 ソーダ抽出分に

III,炭 水化物について てはSO4が 証明された 即アミノ糖・ グル

予備実験にて糖類が存在する時だは,之 が クロン酸SO4の 含まれた多糖類が存在する

無水酒精抽出分,冷 水抽出分,温 水抽出分に と思われる 此の場合アミノ糖の存在につい

出て来 るはずである 特に単糖類は溶出し易 てであるが・モー リッシュ反応はアミノ糖の

いだろう.又 多糖類に於てもそれが単独にて 外に糖の一般反応であ り・五炭糖,果 糖にて

存在する時にはいつれかの抽出分に溶出して も呈色し易いからアミノ糖によるものか・糖

来ると老える.に よるものかが問題 となるが・同時にグル クロン酸,SO4が 存在すること,又 特別の抽出本実験に用いた尿石については

,い つれの法を用いた個別実験及び予備実験の冷水抽出抽出分に於ても,5%の 塩酸加水分解の前後分の結果 より,ア ミノ糖によるものと考えら共に還元反応は陰性であつた.然 し冷水抽出れる.液に於て

,そ の透析液を硫安飽和にて沈澱 さ

した上澄をアルコールにて沈澱 さしたものに さて多糖類 としては・アミノ糖を含むから

ついては,弱 いながらモ_リ ッシュ反応陽性 分類上粘液多糖類 と老えられる それには酸

であつた.即 本操作によつて硫安飽和沈澱分 性及び中性・又硫酸をもつもの・もたぬもの

たる蛋白質 と,同 時に存在する粘液物質が分 があるが25)・個別実験に於ける冷水抽出分に

離されるわけである 従つてモ_リ ッシュ反 は硫酸を含まぬ粘液多糖類があり・3%苛 性

応が陽性であることは,そ の陽性物質 とされ ソーダ抽出液のものは硫酸を含む粘液多糖類

ているものの一つであるアミノ糖が,粘 液中 と考える・

の多糖類によるものである可能性がある.従IV・ 核 酸

つて尿石中には単糖類,特 に還元糖が存在し 予備実験に於ては透析後の液はいつれもム

ないとしても多糖類の含まれている可能性が レキシー ド反応は陰性であつた・然し温水抽

ある・普通多糖類は5%塩 酸にて加水分解 さ 出液に於ける透析内液を20%塩 酸で加水分

れて還元反応を呈するものであるが,Meyer解 した時にPが 存在 した.之 のPは 透析直後

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162 森 一 尿 石 溶 解 の 研 究(第4報)

は存在 しないから,お そらく有機性のものと ミノ酸,誘 導蛋白,蛋 白質,硫 酸粘液多糖類,

考えられ る.そ の中既に有機溶媒で処理後で 硫酸を含まぬ粘液多糖類,尿 色素の存在を証

あるから燐脂質によるものではない.故 に燐 明したが,以 上の物質が如何なる状態に,即

蛋白,或 は多糖類,核 酸によるものかも知れ 単なる混合の状態であるか化学的結合である

ないと考え,又 熱5%苛 性 ソーダ 抽出液は か等,又 いつれが量的に優位であるかの点も

透析後に於てオルシン塩酸反応にて軽度なが 尿石溶解には更に問題 となる・又以上の外に

ら緑色が現れた 故にペントーゼの存在 も問 も尚多 くの 非晶型有機物質は存在 しようし,

題 となるので,個 別実験の如 く核酸の検出を 又相互間に於ける結合状態,蛋 白質の変性の

行つた・核酸にはペントース核酸,デ ソキシ 状態,尿 石に於ける特異性等に関しては推測

ペン トース核酸があり,そ の定性反応は敦れ の範囲を出る事は出来ない・然 し例えば多糖

も構成分たる糖,或 はプリン.ピ リミヂン塩 類の抽出には左右田,江 上両氏の方法を用い

基による反応である26,.故 に一種の反応が陽 たが・余の施行 した上記の実験段階に就て両

性でも直ちに核酸が 存在するとは云えない,氏 が原著に於て述べている処によれば尚多糖

個別実験に行つたLeveneの 抽出法は彼が 類 と共に蛋白の存在が述べられておるし・又

動物組織より直接抽出した方法で,お そらく 事実余の実験にても加水分解によりニンヒド

ペン トース核酸 とデソキシペントース核酸 と リン反応が陽性を示した・以上の点より多糖

の混合物が 得られる冒と思われる.又 プ リン.類 と蛋白質の結合(そ れが如何なる種類の結

ピリミヂン塩基 によるムレキシー ド反応は,合 かは不明 としても)が 尿石中に存在すると

組織抽出物,核 蛋白,純 核酸にてもしぽしば も考えられよう・

汚い呈色を示し,鋭 敏度が減ぜられ るので,要 約核酸の抽出反応には前記の三法を併用し

,三

者共陽性の場合にのみ核酸の 存在の 証とし 生化学的方法により尿石溶解上問題 となる

た.即 その三者はいつれも糖によるものであ 尿石中の非晶型有機成分の定性的分析を行つ

り,又 糖にて特異性のあるものではない.以 た・

上の如 くして実験に用いた尿石よりはいつれ1・ 蛋白質・アミノ酸及び誘導蛋白・硫酸

の反応も陰性の結果が得られ,又 対照 として 粘液多糖類 硫酸を含まぬ粘液多糖類 尿色

行つた核酸添加の方はいつれも著明に陽性を 素が存在する・

示した.即 反応に関しては一応存在する核酸2・ 核酸は本実験では証明されなかつた・

の量が問題 となるが,ヂ フェニ_ル アミン反3・ レシチン様物質・動物性ゴム様物質 も

応 はO・1mg,又 オ ル シ ン塩 酸 反 応 は80γ で 微 量 に存 在 す る・

も反応するから2'〕.本実験 に用 い た 尿石に(御 指導を賜つた矢野教授及び御指導 御校

は核酸は存在 しないか,又 はあつても極微量 閲を賜は りし本学生化学教室鈴木達雄薮授に

と考 え られ る.

V.其 の 他

実験の項に述べた如く,前 記の実験に於け

る抽出分には,多 少 とも尿色素の存在が見ら

れた.尿 の色素は種々存在するも,そ の色調

より老えて,ウ ロクロームと思われる.

以上の全実験の結果を総括すれば尿石中に

は,レ シチン様物質,動 物性ゴム様物質,ア

深 く感謝する)

丈 献

1)Keyser:J.ofuroL;59,829,1948,

21矢 野,他:皮 膚 科 紀 要;48 ,6,412.

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森一尿 石 溶 解 の 研 究(第4報) 163

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26)江 上 謳:核 酸 及 び 核 蛋 白;上.132・

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