Thermo plasticl elastomer

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1 熱可塑性エラストマー入門 TPE TPO Elastomer Solutions Company H.Yanagisawa

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Introduction of TPE

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熱可塑性エラストマー入門TPE と TPO

Elastomer Solutions CompanyH.Yanagisawa

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熱可塑性エラストマー :TPE

熱可塑性エラストマー(TPE)とはTPE : Thermo Plastic Elastomer高温で可塑化(流動性)されプラスチックのように加工が可能で、常温ではゴム弾性体(エラストマー)の性質を示す高分子材料。

TPEは一般的に樹脂用の加工機械を使用する。(高温で溶解し、冷たい金型で固化させ成型 。

ゴムのように熱硬化形ではないので加硫(架橋)は行わない)

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熱可塑性エラストマー :TPE

熱可塑性エラストマー工業化の歴史

1947:PVC-NBRブレンドエラストマー工業化1960:ウレタン系エラストマー(TPU)工業化1965:スチレン系エラストマー(SBS)工業化1972:スチレン系エラストマー(SEBS)工業化1981:オレフィン系エラストマー(TPO)工業化

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熱可塑性エラストマー :TPE

熱可塑性エラストマーの構造高温で流動性(可塑性)を必要とするので、TPE分子は架橋構造を有することは出来ない。

そのため、TPE分子は可塑性(ハードセグメント)と弾性(ソフトセグメント)成分から成り立つ。 大別して以下の2種類がある。ブロックポリマー型 : 単一ポリマー中にハードとソフトセグメントが化学結合し、一般にブロック共重合体。

ブレンド型 : ハードとソフトポリマーを物理的に混合して、一般的に「海島分散」「ポリマーアロイ」と呼ばれるもの。ハードセグメント中のソフトポリマーの分散粒子径と架橋度が重要となる。

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熱可塑性エラストマー :TPE

熱可塑性エラストマーの配合

TPEの場合予め配合がなされている為、ゴムのように自社配合をする必要は無い。 ペレット状態。均一重量袋詰めで販売。

一般的な配合は:ポリマー(ソフト/ハ-ド) / 充填剤 / 軟化剤(可塑剤)より成る。

酸化防止剤、着色剤、防黴/防菌剤等は顧客(或は委託先)で独自に指定配合

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熱可塑性エラストマー :TPE熱可塑性エラストマーの特徴プラスチック用の機械で加工。

配合、計量が不必要。成形時にバリの発生が無い。プラスチックとゴムの中間的な弾性、物性。

TPOでも35Aがある。 熱によって変形し易いが劣化しにくい。 基本的にポリマー中に2重結合が残存しない。

リサイクル使用が可能。軽量。(一般的に1.0以下)熱溶着が可能。(射出2色成形)着色が容易。

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熱可塑性エラストマー :TPE

熱可塑性エラストマーの種類

分類 略号 ハード ソフト 備考

SBS PS ポリブタジエン 共重合

スチレン系 TPS SEBS PS 水添ポリブタジエン 共重合

SEPS PS 水添ポリイソプレン 共重合

TPO PP EPM(無架橋) ブレンド

オレフィン系 TPO TPO PP EPDM(部分架橋) ブレンド

(TP-V) PP EPDM(完全架橋) ブレンド

R-TPO PP PE等共重合 共重合

塩ビ系 TPVC PVC PVC 重合

ポリエステル系 TPEE PET ポリエーテル 共重合

ポリウレタン系 TPU PU ポリエーテル/ポリエステル 共重合

ナイロン系 TPA PA ポリエーテル/ポリエステル 共重合

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熱可塑性エラストマー :TPE

熱可塑性エラストマーの特徴

SBS - ホットメルト主体SEBS/SEPS - ゴム弾性、半透明、軟質(<10A)TPO(無架橋)-自動車のバンパーTPO(部分架橋)- ゴム弾性、~110℃、TPO-V(完全架橋)- ゴム弾性、~135℃、耐薬品TPEE -物理強度、>150℃、耐油TPVC -塩ビの高分子量タイプ

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熱可塑性エラストマー : TPOTPOとは?

TPO(ThermoPlasticOlefin)はハードセグメントとしてのPP中にソフトセグメントとなるEPDMを微分散(径10ミクロン)させ、EPDMは部分或は完全架橋してある。完全架橋タイプの物性はよりゴムに近似。

PP : 安価、高流動、耐熱(120-130℃)EPDM : ゴム弾性、耐熱、耐化学薬品、耐候性

メーカー:AES Japan(完全架橋)三井化学(部分架橋)住友化学(部分架橋)三菱化学(部分架橋)DSM(完全架橋)

1 µm

架橋ゴム プラスチック

模式図はAES Japanカタログより転載

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熱可塑性エラストマー : TPOTPO(完全架橋タイプ)とゴムの比較-1物性:比重 – ゴムより軽い(0.95-0.97)常態物性 - Tb/Eb/TR/Cs等はゴムがやや優れる耐熱、耐薬品性 - TPOが優れる耐油性 – CR以上NBR相当低温脆化温度 - ゴムと同等(-60℃以下)耐候性、退色性 - TPOが優れる防振性 -ややゴムが優れるリサイクル – TPOの物性低下は少ない電気特性 –体積固有抵抗 :x10-15~16でゴム以上

但し、PPは高温で裸銅と接触禁止TPOは熱などによる物性の劣化は少ないが、性格上熱変形するゴムは一般的に熱に対して劣化しやすいが、変形は見えにくい

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)とゴムの比較-2加工:TPOはプラスチックの成形条件に近似計量、配合は不必要。 作業環境が良い。

射出・多色成形・押出し・ブロー(中空)・カレンダー・異形成形で成形サイクルはゴムより卓越して早い。

バリの発生が無い。

ランナー、不良品は再使用(リサイクル)可能

製品寸法精度はゴムの数倍精密

他樹脂との熱融着が可能(PP,PE,ABS,PC,PA、PMMAetc)金型費用はゴム用に比較し高価

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熱可塑性エラストマー

TPE 価格と性能

価格

SBSTPO

PVC/NBR

SEBSTPO-V

TPUCOPE

COPA

性能 良

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熱可塑性エラストマー

250

225

200

175

150

125

100

70

140 120 100 80 60 40 20 0

耐油性(% Swell in IRM 3 Oil)

fluoroelastomer

TPO-V

SEBS-SBC

copolyester

TPOPVC TPU (ester)

TPU (ether)

耐熱性(℃)

耐熱性と耐油性

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熱可塑性エラストマー

良耐酸性

TPO-V

SEBS-SBC

copolyester

TPOPVC

TPU (ester)

TPU (ether)

耐アルカリ性

fluoroelastomer

耐薬品性良

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)とゴムの比較-3TPOはゴム製品価格の-30%以上が目標TPOではゴム製品の形状、加工方法変更でコストダウン、軽量化、性能向上が容易。

TPOは高付加価値商品を作りやすい。

材料選択

加工技術

製品設計表面装飾+ 高付加価値

商品=

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)とゴムの比較-3欠点熱により変形する。 耐熱性に優れるSantoprene(135℃)でも、長時間の135℃での圧縮では歪が発生。永久伸びがゴムより大きい。

初期物性が低い。(然し、ゴムより劣化し難い)プラスチック加工設備、製品設計K-Hが必要。

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の産業別用途自動車

工業用品

電子機器

消費財

TPO(完全架橋タイプ)の機能別用途シール材(押出し、射出、ブロー成形製品)

グリップ(射出、多色成形製品)

足ゴム(射出、多色成形製品)

装飾(外観部品、射出、多色成形製品)

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の採用理由ゴム代替

CR,EPDM代替-- コスト・生産性、軽量化、環境改善他社TPE代替 --性能改善(物性、感触)部分架橋TPO,TPS(SEBS/SEPS)代替

PVC代替 --環境問題新規用途 --新規製品設計、付加価値商品

ABS,PA,PC,PMMA等との多色成形顧客の事業拡大と世代交代

TPE加工設備投資(自社設備或は他社の設備流用)

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途事例自動車:

ブロー

自動車

射出

写真はAES Japanカタログより転載

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途事例自動車

押出

コーナー部:射出

写真はAES Japan カタログより転載

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途事例

工業用品

2色

成形

写真はAES Japanカタログより転載

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途事例消費財

射出

写真はAES Japanカタログより転載

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途事例

消費財

射出

写真はAES Japanカタログより転載

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途事例工業用品

射出

2色成形

写真はAES Japanカタログより転載

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途事例消費財/工業用品

写真はAES Japanカタログより転載 http://www.santoprene.co.jp/index.cgi

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途開発プロセス顧 客

現行 新規

現行

+メンテナス主体+価格対応主体+困窮した新規提案

+新規開拓分野が減少(低経済成長、輸入品拡

大、同業者間競合)

新規

+TPEで新規提案(コスト、用途、デザイン、感触、軽量化、環境問題)

+新規地域・用途拡大高付加価値商品の製造

・販売が可能

商品・

用途

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の用途開発プロセス問題・課題の明確化ワークシート

顧 客 名 ( )ワークシート 顧客の要望 TPOで対策案現在の商品

・用途

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熱可塑性エラストマー : TPO

TPO(完全架橋タイプ)の推奨用途開発プロセスワ-クシートよりTPOでの代替テーマ選択実用化の検討材料選択---ポリマーメーカーの援助製造設備---自社或は外部委託

実用化後、他への拡大検討同用途で他地域顧客

同顧客で他の用途

10%の売り上げで設備投資、自社生産開始他用途、顧客、地域へ展開